JP3074098B2 - 新規16員環マクロリド誘導体 - Google Patents
新規16員環マクロリド誘導体Info
- Publication number
- JP3074098B2 JP3074098B2 JP23356193A JP23356193A JP3074098B2 JP 3074098 B2 JP3074098 B2 JP 3074098B2 JP 23356193 A JP23356193 A JP 23356193A JP 23356193 A JP23356193 A JP 23356193A JP 3074098 B2 JP3074098 B2 JP 3074098B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- hydrogen atom
- compound
- formula
- hydroxyl group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Saccharide Compounds (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はグラム陽性菌およびマイ
コプラズマに有効で、体内動態に優れ、かつ血漿中で抗
菌活性の持続する新規16員環マクロリド誘導体および
それらの製造法に関する。
コプラズマに有効で、体内動態に優れ、かつ血漿中で抗
菌活性の持続する新規16員環マクロリド誘導体および
それらの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】グラム陽性菌、マイコプラズマ、クラミ
ジア等に有効なマクロリド系抗生物質は、経口投与が可
能であり、かつ毒性が低いなどの理由により臨床上重要
な抗菌剤に分類される。中でも、市販の16員環マクロ
リド系抗生物質は耐性誘導されにくく、14員環マクロ
リドに比較して他の薬剤との相互作用も少なく、腸管に
与える影響も少ないなどの利点があり、アジア諸国を中
心に世界中で広く使用されている。とりわけ天然の化合
物に比べ体内動態に優れ、苦みの少ないミオカマイシン
(MOM)(ジャーナル・オブ・アンチビオチックス,
29(5), 536(1976)、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・
アンチビオチックス, 35(6), 1462(1982))が半合成1
6員環マクロリド系抗生物質として臨床で盛んに用いら
れている。
ジア等に有効なマクロリド系抗生物質は、経口投与が可
能であり、かつ毒性が低いなどの理由により臨床上重要
な抗菌剤に分類される。中でも、市販の16員環マクロ
リド系抗生物質は耐性誘導されにくく、14員環マクロ
リドに比較して他の薬剤との相互作用も少なく、腸管に
与える影響も少ないなどの利点があり、アジア諸国を中
心に世界中で広く使用されている。とりわけ天然の化合
物に比べ体内動態に優れ、苦みの少ないミオカマイシン
(MOM)(ジャーナル・オブ・アンチビオチックス,
29(5), 536(1976)、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・
アンチビオチックス, 35(6), 1462(1982))が半合成1
6員環マクロリド系抗生物質として臨床で盛んに用いら
れている。
【0003】本発明者らは各種グラム陽性菌に有効な1
6員環マクロリド誘導体の合成化学的、生化学的探索研
究を重ね、これまでに16員環マクロリドの3位水酸基
に結合するアシル基をある種のカビにより特異的に切断
する生化学的反応を見い出し、特許出願した(EP 526,9
06(1993)、US 5,219,736(1993))。更に本発明者らは、
MOMでは代謝によりマイカロース部分のアシル基が切
断され抗菌活性が明らかに低下するという事実(薬学雑
誌, 102(8), 781(1982))をドラッグデザインにフィー
ドバックし、新しい思想の下に誘導体研究を行なった。
即ち生体内で安定であり、たとえ代謝されても抗菌活性
が低下しにくい16員環マクロリド誘導体を指向し合成
化学的研究を重ねた結果、16員環マクロリド誘導体の
マイカロース部分の2つの水酸基が共にアルキル基によ
りエーテル結合した誘導体を新しく合成する事に成功
し、in vitroにおいて抗菌活性が顕著に持続する事を証
明し、特許出願した(特願平4-39013、特願平5-438
9)。
6員環マクロリド誘導体の合成化学的、生化学的探索研
究を重ね、これまでに16員環マクロリドの3位水酸基
に結合するアシル基をある種のカビにより特異的に切断
する生化学的反応を見い出し、特許出願した(EP 526,9
06(1993)、US 5,219,736(1993))。更に本発明者らは、
MOMでは代謝によりマイカロース部分のアシル基が切
断され抗菌活性が明らかに低下するという事実(薬学雑
誌, 102(8), 781(1982))をドラッグデザインにフィー
ドバックし、新しい思想の下に誘導体研究を行なった。
即ち生体内で安定であり、たとえ代謝されても抗菌活性
が低下しにくい16員環マクロリド誘導体を指向し合成
化学的研究を重ねた結果、16員環マクロリド誘導体の
マイカロース部分の2つの水酸基が共にアルキル基によ
りエーテル結合した誘導体を新しく合成する事に成功
し、in vitroにおいて抗菌活性が顕著に持続する事を証
明し、特許出願した(特願平4-39013、特願平5-438
9)。
【0004】従来より16員環マクロリド化合物、とり
わけロイコマイシン類縁体における3位に関しては、そ
の構造と体内動態を含めた種々の活性との相関が詳細に
研究されている(ジャーナル・オブ・アンチビオチック
ス, 21(9), 532(1968))。本発明者らは16員環マクロ
リド化合物のうち、特にミデカマイシン類縁体における
9位の構造の違いが体内動態に与える影響に関して検討
を行なった。即ち9位が水酸基であるミデカマイシンA
1 (メデマイシン・MDM)(ジャーナル・オブ・アン
チビオチックス, 24(7), 452(1971))と9位がカルボニ
ル基であるミデカマイシンA3 (同誌, 24(7), 476(197
1))について、マウスを用いた動物実験(経口投与)に
よりその体内動態を観察した。その結果9位が水酸基で
あるミデカマイシンA1は、血清中濃度の持続性および尿
中回収率の何れもがミデカマイシンA3と比較して良好で
ある事を確認した。即ち16員環マクロリド誘導体、特
にミデカマイシン類縁体において体内動態を改善するに
は、9位がカルボニル基であるよりは水酸基である事が
好ましいと判断した。
わけロイコマイシン類縁体における3位に関しては、そ
の構造と体内動態を含めた種々の活性との相関が詳細に
研究されている(ジャーナル・オブ・アンチビオチック
ス, 21(9), 532(1968))。本発明者らは16員環マクロ
リド化合物のうち、特にミデカマイシン類縁体における
9位の構造の違いが体内動態に与える影響に関して検討
を行なった。即ち9位が水酸基であるミデカマイシンA
1 (メデマイシン・MDM)(ジャーナル・オブ・アン
チビオチックス, 24(7), 452(1971))と9位がカルボニ
ル基であるミデカマイシンA3 (同誌, 24(7), 476(197
1))について、マウスを用いた動物実験(経口投与)に
よりその体内動態を観察した。その結果9位が水酸基で
あるミデカマイシンA1は、血清中濃度の持続性および尿
中回収率の何れもがミデカマイシンA3と比較して良好で
ある事を確認した。即ち16員環マクロリド誘導体、特
にミデカマイシン類縁体において体内動態を改善するに
は、9位がカルボニル基であるよりは水酸基である事が
好ましいと判断した。
【0005】一方、ロイコマイシン類縁体ではないもの
の、同じく16員環マクロリド、ロザラマイシンに関し
て、9位のカルボニル基を水酸基に変換し、3位の水酸
基をアシル化した化合物は、原体と比較してマウスにお
ける感染治療効果が改善されたという事実も確認されて
いる(特開昭50-126880)。またイソ型16員環マクロ
リドの13位に関しては、カルボニル型誘導体よりも水
酸基型誘導体の方がinvivo活性が優れている事も報告さ
れている(明治製菓研究年報, 13, 100(1973))。
の、同じく16員環マクロリド、ロザラマイシンに関し
て、9位のカルボニル基を水酸基に変換し、3位の水酸
基をアシル化した化合物は、原体と比較してマウスにお
ける感染治療効果が改善されたという事実も確認されて
いる(特開昭50-126880)。またイソ型16員環マクロ
リドの13位に関しては、カルボニル型誘導体よりも水
酸基型誘導体の方がinvivo活性が優れている事も報告さ
れている(明治製菓研究年報, 13, 100(1973))。
【0006】ところで、16員環マクロリドの構造活性
相関の解明・生合成研究および構造解析等を目的とし
て、9位のカルボニル基を水酸基に還元する方法とし
て、合成化学的アプローチ(ジャーナル・オブ・オーガ
ニック・ケミストリー, 39(16),2474(1974)、ジャーナ
ル・オブ・アンチビオチックス, 34(12), 1577(1981)、
同誌, 39(12), 1784(1986))及び生化学的アプローチ
(特開昭50-126880、ジャーナル・オブ・アンチビオチ
ックス, 32(7), 777(1979)、同誌, 33(8), 911(1980))
等が知られている。
相関の解明・生合成研究および構造解析等を目的とし
て、9位のカルボニル基を水酸基に還元する方法とし
て、合成化学的アプローチ(ジャーナル・オブ・オーガ
ニック・ケミストリー, 39(16),2474(1974)、ジャーナ
ル・オブ・アンチビオチックス, 34(12), 1577(1981)、
同誌, 39(12), 1784(1986))及び生化学的アプローチ
(特開昭50-126880、ジャーナル・オブ・アンチビオチ
ックス, 32(7), 777(1979)、同誌, 33(8), 911(1980))
等が知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】最近本発明者らにより
合成されたマイカロース部分に2つのエーテル結合を有
する新規16員環マクロリド誘導体、例えば4"-O-デプ
ロピオニル-4"-O-イソアミル-3"-O-メチルミデカマイシ
ンA3(特願平4-39013、特願平5-4389)は、そのマイカ
ロース部分がエステラーゼによる攻撃を受けにくいため
に、近年上市された16員環マクロリド抗生物質と比較
して、マウス動物実験における最高血清中濃度および尿
中回収率は明らかに改善された。しかしながらその体内
動態は必ずしも完全に満足し得るものではない。優れた
体内動態を実現するために障害となる要因の一つとし
て、前述した如く9位のカルボニル基の存在が考えられ
た。そこで、生体内で安定で、たとえ代謝されても抗菌
活性が低下しにくく、先に本発明者らが合成したマイカ
ロース部分に2つのエーテル結合を有する誘導体と比較
して更に体内動態の優れた16員環マクロリド誘導体の
出現が期待されている。
合成されたマイカロース部分に2つのエーテル結合を有
する新規16員環マクロリド誘導体、例えば4"-O-デプ
ロピオニル-4"-O-イソアミル-3"-O-メチルミデカマイシ
ンA3(特願平4-39013、特願平5-4389)は、そのマイカ
ロース部分がエステラーゼによる攻撃を受けにくいため
に、近年上市された16員環マクロリド抗生物質と比較
して、マウス動物実験における最高血清中濃度および尿
中回収率は明らかに改善された。しかしながらその体内
動態は必ずしも完全に満足し得るものではない。優れた
体内動態を実現するために障害となる要因の一つとし
て、前述した如く9位のカルボニル基の存在が考えられ
た。そこで、生体内で安定で、たとえ代謝されても抗菌
活性が低下しにくく、先に本発明者らが合成したマイカ
ロース部分に2つのエーテル結合を有する誘導体と比較
して更に体内動態の優れた16員環マクロリド誘導体の
出現が期待されている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の期待
に応えるべく生化学的研究を重ね、本発明者らによって
特許出願した16員環マクロリド誘導体である、マイカ
ロース部分の2つの水酸基が共にアルキル基によりエー
テル結合した種々の誘導体(特願平4-39013、特願平5-4
389)を、放線菌の一菌種であるストレプトミセス・マ
イカロファシエンス SF-837の変異株、例えば新たにSF2
772と命名した菌株で微生物変換する事により、その9
位のカルボニル基を効率よく天然型立体配置を有する水
酸基へと還元することに成功した。しかもこれらの誘導
体は、臨床上重要なグラム陽性菌ならびにマイコプラズ
マの発育を強く阻止し、ラット血漿中での抗菌活性が極
めて長く持続すると同時に、マウスを用いた動物実験に
おいて高い血清中濃度とその持続性を含め特に優れた体
内動態を示すことを見い出し、本発明を完成した。な
お、ストレプトミセス・マイカロファシエンス SF2772
は、FERM P-13227として工業技術院生命工学工業技術研
究所に寄託されている。
に応えるべく生化学的研究を重ね、本発明者らによって
特許出願した16員環マクロリド誘導体である、マイカ
ロース部分の2つの水酸基が共にアルキル基によりエー
テル結合した種々の誘導体(特願平4-39013、特願平5-4
389)を、放線菌の一菌種であるストレプトミセス・マ
イカロファシエンス SF-837の変異株、例えば新たにSF2
772と命名した菌株で微生物変換する事により、その9
位のカルボニル基を効率よく天然型立体配置を有する水
酸基へと還元することに成功した。しかもこれらの誘導
体は、臨床上重要なグラム陽性菌ならびにマイコプラズ
マの発育を強く阻止し、ラット血漿中での抗菌活性が極
めて長く持続すると同時に、マウスを用いた動物実験に
おいて高い血清中濃度とその持続性を含め特に優れた体
内動態を示すことを見い出し、本発明を完成した。な
お、ストレプトミセス・マイカロファシエンス SF2772
は、FERM P-13227として工業技術院生命工学工業技術研
究所に寄託されている。
【0009】本発明の要旨とするところは、新規化合物
としての次の式(I)
としての次の式(I)
【化2】
【0010】[式中、R1は水素原子または式COR7の基
(但しR7は炭素数1〜3の直鎖のアルキル基を示す。)
を、R2は水素原子または置換されていてもよい水酸基
を、R3は水素原子または置換されていてもよい水酸基
(但しR2及びR3のいずれか一方は水素原子を示す。)
を、R4は水素原子または式COR7の基(但しR7は前記と同
じ意味を示す。)を、R5は炭素数1〜4の直鎖のアルキ
ル基を、R6は置換されていてもよい炭素数1〜10の直
鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、アルケニル基またはア
ラルキル基を示す。]で表される化合物、又はその薬学
的に許容し得る塩に関するものである。本発明による一
般式(I)で表される化合物は、本発明者らが合成化学
的手法により例えばミデカマイシンA3等より調製した次
の式(II)
(但しR7は炭素数1〜3の直鎖のアルキル基を示す。)
を、R2は水素原子または置換されていてもよい水酸基
を、R3は水素原子または置換されていてもよい水酸基
(但しR2及びR3のいずれか一方は水素原子を示す。)
を、R4は水素原子または式COR7の基(但しR7は前記と同
じ意味を示す。)を、R5は炭素数1〜4の直鎖のアルキ
ル基を、R6は置換されていてもよい炭素数1〜10の直
鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、アルケニル基またはア
ラルキル基を示す。]で表される化合物、又はその薬学
的に許容し得る塩に関するものである。本発明による一
般式(I)で表される化合物は、本発明者らが合成化学
的手法により例えばミデカマイシンA3等より調製した次
の式(II)
【0011】
【化3】
【0012】[式中、R1は水素原子または式COR7の基
(但しR7は炭素数1〜3の直鎖のアルキル基を示す。)
を、R5は炭素数1〜4の直鎖のアルキル基を、R6は置換
されていてもよい炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝鎖
のアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基を示
す。]で表される化合物を、9位のカルボニル基を選択
的に水酸基へと還元する機能を有する微生物、例えば放
線菌の一菌種であるストレプトミセス・マイカロファシ
エンス SF2772株で微生物変換する事によって、或いは
更に必要に応じて、9位及び/又は2'位の水酸基に対し
公知の選択的或いは非選択的合成化学反応(発酵と工
業, 37(12), 1171(1979))等を実施する事によって製造
される。
(但しR7は炭素数1〜3の直鎖のアルキル基を示す。)
を、R5は炭素数1〜4の直鎖のアルキル基を、R6は置換
されていてもよい炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝鎖
のアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基を示
す。]で表される化合物を、9位のカルボニル基を選択
的に水酸基へと還元する機能を有する微生物、例えば放
線菌の一菌種であるストレプトミセス・マイカロファシ
エンス SF2772株で微生物変換する事によって、或いは
更に必要に応じて、9位及び/又は2'位の水酸基に対し
公知の選択的或いは非選択的合成化学反応(発酵と工
業, 37(12), 1171(1979))等を実施する事によって製造
される。
【0013】新規化合物としての式(I)で表される化
合物を式(II)で表される化合物より製造する方法とし
ては、生化学的手法、例えば微生物変換あるいは生体が
生産する酵素を作用させる等の方法に限定されるもので
はなく、18位のアルデヒド基の保護・脱保護工程を含
む合成化学的手法(ジャーナル・オブ・オーガニック・
ケミストリー, 39(16), 2474(1974))等によっても製造
する事が可能である。しかしながら合成化学的手法によ
り9位のカルボニル基を天然型の立体配置を有する水酸
基へ還元する場合、当該反応の立体選択性および上記の
保護・脱保護工程(特に18位のアセタール化工程)の
収率を考慮すると、必ずしも満足し得る結果が得られる
とは限らない。そこで本発明者らは生化学的手法による
9位の還元を詳細に検討した。
合物を式(II)で表される化合物より製造する方法とし
ては、生化学的手法、例えば微生物変換あるいは生体が
生産する酵素を作用させる等の方法に限定されるもので
はなく、18位のアルデヒド基の保護・脱保護工程を含
む合成化学的手法(ジャーナル・オブ・オーガニック・
ケミストリー, 39(16), 2474(1974))等によっても製造
する事が可能である。しかしながら合成化学的手法によ
り9位のカルボニル基を天然型の立体配置を有する水酸
基へ還元する場合、当該反応の立体選択性および上記の
保護・脱保護工程(特に18位のアセタール化工程)の
収率を考慮すると、必ずしも満足し得る結果が得られる
とは限らない。そこで本発明者らは生化学的手法による
9位の還元を詳細に検討した。
【0014】ミデカマイシンA3の9位のカルボニル基を
天然型の立体配置を有する水酸基へ還元する生化学的手
法に関しては、当社研究グループにより既に報告された
事実(ジャーナル・オブ・アンチビオチックス, 32(7),
777(1979))であるゆえ、マイカロース部分に2つのア
ルキル基を有する16員環マクロリド化合物の9位のカ
ルボニル基を生化学的手法により相当する水酸基へと還
元する方法論それ自身は容易に類推される。
天然型の立体配置を有する水酸基へ還元する生化学的手
法に関しては、当社研究グループにより既に報告された
事実(ジャーナル・オブ・アンチビオチックス, 32(7),
777(1979))であるゆえ、マイカロース部分に2つのア
ルキル基を有する16員環マクロリド化合物の9位のカ
ルボニル基を生化学的手法により相当する水酸基へと還
元する方法論それ自身は容易に類推される。
【0015】しかしながら本法において用いられる放線
菌の一菌種であるストレプトミセス・マイカロファシエ
ンス SF-837の変異株、例えばSF2772株は、ミデカマイ
シンA 1を生産するストレプトミセス・マイカロファシエ
ンス SF-837株のミデカマイシ類縁物質非生産株であ
り、微生物変換に際しては添加物質および変換物質以外
に抗菌活性を有する物質を生産する事がなく、大変優れ
た菌株である。この様な機能と特徴を有するミデカマイ
シン類縁物質非生産株はSF2772株に限定されるものでは
なく、SF-837株を公知の方法で人工変異処理する事によ
り、SF2772株の他にも非生産株を創製する事ができる。
菌の一菌種であるストレプトミセス・マイカロファシエ
ンス SF-837の変異株、例えばSF2772株は、ミデカマイ
シンA 1を生産するストレプトミセス・マイカロファシエ
ンス SF-837株のミデカマイシ類縁物質非生産株であ
り、微生物変換に際しては添加物質および変換物質以外
に抗菌活性を有する物質を生産する事がなく、大変優れ
た菌株である。この様な機能と特徴を有するミデカマイ
シン類縁物質非生産株はSF2772株に限定されるものでは
なく、SF-837株を公知の方法で人工変異処理する事によ
り、SF2772株の他にも非生産株を創製する事ができる。
【0016】ところでストレプトミセス・マイカロファ
シエンス SF-837は、FERM P-262として工業技術院生命
工学工業技術研究所に寄託されている。また、アメリカ
ン・タイプ・カルチャー・コレクションに ATCC21454と
して寄託されていて、分譲可能な状態にある。加えて本
微生物変換法は、ミデカマイシン類縁物質非生産株によ
って実施される事に限定されるものではなく、同生産株
によっても実施することが可能である。更に生化学的手
法を用いた16員環マクロリド化合物の9位のカルボニ
ル基の還元は、ミデカマイシン生産菌またはその変異株
以外でも可能であり、一般にプラテノマイシン生産菌
(ジャーナル・オブ・アンチビオチックス, 28(10), 78
9(1975))およびマリドマイシン生産菌(アグリカルチ
ュラル・アンド・ビオロジカル・ケミストリー, 43(6),
1331(1979))の如く9位に水酸基を有する16員環マ
クロリド系抗生物質の生産菌またはその変異株等を使用
する事が可能である。
シエンス SF-837は、FERM P-262として工業技術院生命
工学工業技術研究所に寄託されている。また、アメリカ
ン・タイプ・カルチャー・コレクションに ATCC21454と
して寄託されていて、分譲可能な状態にある。加えて本
微生物変換法は、ミデカマイシン類縁物質非生産株によ
って実施される事に限定されるものではなく、同生産株
によっても実施することが可能である。更に生化学的手
法を用いた16員環マクロリド化合物の9位のカルボニ
ル基の還元は、ミデカマイシン生産菌またはその変異株
以外でも可能であり、一般にプラテノマイシン生産菌
(ジャーナル・オブ・アンチビオチックス, 28(10), 78
9(1975))およびマリドマイシン生産菌(アグリカルチ
ュラル・アンド・ビオロジカル・ケミストリー, 43(6),
1331(1979))の如く9位に水酸基を有する16員環マ
クロリド系抗生物質の生産菌またはその変異株等を使用
する事が可能である。
【0017】一方本微生物変換法は、複雑な酵素系の制
御、例えばNADPHの添加や厳密な水素イオン濃度の調整
等を必要としない事を特徴とする。当該微生物を用いる
変換は、通常放線菌の培養に利用されている公知の培地
はもとより、栄養源の希薄な培地の下で行なわれた際、
より効率的な変換と変換物質の単離が実現する。なお、
本微生物変換法に関する詳細は、後述する実施例におい
て記載した。
御、例えばNADPHの添加や厳密な水素イオン濃度の調整
等を必要としない事を特徴とする。当該微生物を用いる
変換は、通常放線菌の培養に利用されている公知の培地
はもとより、栄養源の希薄な培地の下で行なわれた際、
より効率的な変換と変換物質の単離が実現する。なお、
本微生物変換法に関する詳細は、後述する実施例におい
て記載した。
【0018】ところで式(II)で表される化合物の9位
のカルボニル基を微生物変換により水酸基に還元する
際、式(II)においてR1が水素原子で表される化合物を
基質として用いた場合、変換株によってはラクトン環の
3位水酸基をアシル化する場合が有り得る。
のカルボニル基を微生物変換により水酸基に還元する
際、式(II)においてR1が水素原子で表される化合物を
基質として用いた場合、変換株によってはラクトン環の
3位水酸基をアシル化する場合が有り得る。
【0019】次に、マイカロース部分に2つのアルキル
基を有し、9位がカルボニル基である16員環マクロリ
ド誘導体を出発物質として、相当する9位還元体を得る
ための製造法について具体的に述べる。本微生物変換法
を実施するには、まず液体培地中で当該微生物をシード
培養し、得られたシードに16員環マクロリド化合物を
添加すればよい。マクロリド化合物(基質)の添加はシ
ードの生育時以降何れの時期でもよいが、シード培養開
始24時間後に添加することが好ましい。また基質の添
加量としては、通常0.01 mg/ml〜2 mg/mlが用いられ
る。
基を有し、9位がカルボニル基である16員環マクロリ
ド誘導体を出発物質として、相当する9位還元体を得る
ための製造法について具体的に述べる。本微生物変換法
を実施するには、まず液体培地中で当該微生物をシード
培養し、得られたシードに16員環マクロリド化合物を
添加すればよい。マクロリド化合物(基質)の添加はシ
ードの生育時以降何れの時期でもよいが、シード培養開
始24時間後に添加することが好ましい。また基質の添
加量としては、通常0.01 mg/ml〜2 mg/mlが用いられ
る。
【0020】培地の栄養源としては、従来放線菌の培養
に利用されている公知のものが使用できる。好ましく
は、炭素源としてはグルコースを、また窒素源としては
ポリペプトンを用いると良い。即ち、本微生物変換を固
形分の少ない培地中で実施する事により、効率的な変換
と変換物質の迅速な単離精製が可能となることが、本法
の特徴である。その他必要に応じて、ナトリウム、カリ
ウム、カルシウム、マグネシウム、コバルト、塩素、燐
酸、硫酸およびその他のイオンを生成することができる
無機塩類を添加することが可能である。また、菌の発育
を助け、基質の変換を促進するような有機物及び無機物
を適当に添加する事ができる。
に利用されている公知のものが使用できる。好ましく
は、炭素源としてはグルコースを、また窒素源としては
ポリペプトンを用いると良い。即ち、本微生物変換を固
形分の少ない培地中で実施する事により、効率的な変換
と変換物質の迅速な単離精製が可能となることが、本法
の特徴である。その他必要に応じて、ナトリウム、カリ
ウム、カルシウム、マグネシウム、コバルト、塩素、燐
酸、硫酸およびその他のイオンを生成することができる
無機塩類を添加することが可能である。また、菌の発育
を助け、基質の変換を促進するような有機物及び無機物
を適当に添加する事ができる。
【0021】培養法としては、好気的条件での培養法、
特に深部培養法が最も適している。培養に適当な温度は
24〜32℃であるが、多くの場合28℃付近で培養する。基
質の変換効率は培地や培養条件により異なるが、振とう
培養、タンク培養の何れにおいても通常1〜72時間で変
換物質の蓄積が最高に達する。培養液中の変換物質の蓄
積量が最高になった時点で培養を停止し、培養液より目
的物質を単離精製する。
特に深部培養法が最も適している。培養に適当な温度は
24〜32℃であるが、多くの場合28℃付近で培養する。基
質の変換効率は培地や培養条件により異なるが、振とう
培養、タンク培養の何れにおいても通常1〜72時間で変
換物質の蓄積が最高に達する。培養液中の変換物質の蓄
積量が最高になった時点で培養を停止し、培養液より目
的物質を単離精製する。
【0022】上記の培養液から目的とする変換物質を得
るには、培養後菌体を除去し、固形分のなくなった培養
液をアルカリ性にしてから水と混ざらない有機溶媒、例
えばブタノール、酢酸エチル、クロロホルム、塩化メチ
レン等で抽出を行なうことにより、変換物質は有機溶媒
層に保持される。変換物質をさらに精製するには、シリ
カゲル、アルミナ等の吸着剤等を用いるクロマトグラフ
ィーを行なうとよい。また少量の精製には、分取用TL
Cを用いると効果的である。ところで変換物質の精製法
に関しては、上記の吸着剤による方法に限定されるもの
ではなく、ゲル濾過法、向流分配クロマトグラフ法等、
天然あるいは合成有機化合物を精製する際に通常用いる
ことのできる手法を適用する事が可能である。更に遊離
塩基の形で得られた変換物質は、薬学的に許容し得る無
機酸あるいは有機酸を用いて、常法により相当する塩類
に変化させてもよい。従って、遊離塩基の変換物質と同
様にその塩類もまた本発明の範囲内に包含されるものと
する。
るには、培養後菌体を除去し、固形分のなくなった培養
液をアルカリ性にしてから水と混ざらない有機溶媒、例
えばブタノール、酢酸エチル、クロロホルム、塩化メチ
レン等で抽出を行なうことにより、変換物質は有機溶媒
層に保持される。変換物質をさらに精製するには、シリ
カゲル、アルミナ等の吸着剤等を用いるクロマトグラフ
ィーを行なうとよい。また少量の精製には、分取用TL
Cを用いると効果的である。ところで変換物質の精製法
に関しては、上記の吸着剤による方法に限定されるもの
ではなく、ゲル濾過法、向流分配クロマトグラフ法等、
天然あるいは合成有機化合物を精製する際に通常用いる
ことのできる手法を適用する事が可能である。更に遊離
塩基の形で得られた変換物質は、薬学的に許容し得る無
機酸あるいは有機酸を用いて、常法により相当する塩類
に変化させてもよい。従って、遊離塩基の変換物質と同
様にその塩類もまた本発明の範囲内に包含されるものと
する。
【0023】ところで式(II)で表される化合物を微生
物変換する事によって調製した式(I)(式中、R2は水
素原子、R3は水酸基、R4は水素原子である)で表される
化合物、又はその塩に対しては、9位及び/又は2'位の
水酸基を選択的に或いは非選択的にアシル化する公知の
方法(発酵と工業, 37(12), 1171(1979))又は希薄な酸
の存在下に9位の水酸基を11位又は13位へアリル転位さ
せる公知の方法(ケミカル・アンド・ファーマシューチ
カル・ブレタン, 18(8), 1501(1970)、明治製菓研究年
報, 12, 85(1972)、ジャーナル・オブ・アンチビオチッ
クス, 35(11),1521(1982))等を実施して、本発明を基
軸とした新規有用物質を造出することが可能である。そ
の一例として、化合物(1)(式(I)において、R1が
プロピオニル基、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素
原子、R5がメチル基、R6がイソアミル基で表される化合
物)の9位水酸基を、公知の方法(特開昭48-13380)を
用いて選択的にアセチル化し、化合物(6)を合成し
た。
物変換する事によって調製した式(I)(式中、R2は水
素原子、R3は水酸基、R4は水素原子である)で表される
化合物、又はその塩に対しては、9位及び/又は2'位の
水酸基を選択的に或いは非選択的にアシル化する公知の
方法(発酵と工業, 37(12), 1171(1979))又は希薄な酸
の存在下に9位の水酸基を11位又は13位へアリル転位さ
せる公知の方法(ケミカル・アンド・ファーマシューチ
カル・ブレタン, 18(8), 1501(1970)、明治製菓研究年
報, 12, 85(1972)、ジャーナル・オブ・アンチビオチッ
クス, 35(11),1521(1982))等を実施して、本発明を基
軸とした新規有用物質を造出することが可能である。そ
の一例として、化合物(1)(式(I)において、R1が
プロピオニル基、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素
原子、R5がメチル基、R6がイソアミル基で表される化合
物)の9位水酸基を、公知の方法(特開昭48-13380)を
用いて選択的にアセチル化し、化合物(6)を合成し
た。
【0024】以下に本発明化合物を得るための実施例
と、本発明化合物の理化学的性状を示す。本実施例によ
って、ストレプトミセス属に属する微生物を用いる16
員環マクロリド化合物の9位の還元法に関する有用性が
示されたので、これに基づき同種の生化学的手法による
当該物質の製造法を種々考案する事ができる。一方合成
化学的手法によっても又当該物質(1)〜(6)等の製
造法を種々考案する事が可能である。従って本発明は実
施例に限定されるものではなく、実施例の修飾手段は勿
論、本発明によって明らかにされた一般式(I)で表さ
れる化合物(1)、(2)、(3)、(4)、(5)及
び(6)の性状に基づき、公知の手段を施してこれらを
合成、生産、抽出、精製する全ての方法を包括する。
と、本発明化合物の理化学的性状を示す。本実施例によ
って、ストレプトミセス属に属する微生物を用いる16
員環マクロリド化合物の9位の還元法に関する有用性が
示されたので、これに基づき同種の生化学的手法による
当該物質の製造法を種々考案する事ができる。一方合成
化学的手法によっても又当該物質(1)〜(6)等の製
造法を種々考案する事が可能である。従って本発明は実
施例に限定されるものではなく、実施例の修飾手段は勿
論、本発明によって明らかにされた一般式(I)で表さ
れる化合物(1)、(2)、(3)、(4)、(5)及
び(6)の性状に基づき、公知の手段を施してこれらを
合成、生産、抽出、精製する全ての方法を包括する。
【0025】
実施例1化合物(1)(一般式(I)において、R1がプロピオニ
ル基、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5が
メチル基、R6がイソアミル基で表される化合物)の製造
法 培地として、グルコース 2.0%、ポリペプトン 1.0%、リ
ン酸水素二カリウム 0.05%、硫酸マグネシウム・7水和
物 0.05%、塩化ナトリウム 0.3%の組成からなるものを
用い、殺菌前 pH 7.0に調整して使用した。前記の培地
80 mlを分注した 500 ml容三角フラスコ3本を120℃で3
0分間殺菌し、各三角フラスコにストレプトミセス・マ
イカロファシエンス SF2772株の凍結シード 1.6 mlをそ
れぞれ接種し、28℃で24時間振とう培養した。これに、
一般式(II)において、R1がプロピオニル基、R5がメチ
ル基、R6がイソアミル基で表される化合物 20 mgのメタ
ノール溶液 1.2 mlを、三角フラスコ1本あたり 0.4 ml
ずつ添加して28℃で18時間振とう培養した。培養終了後
培養液を 3000 rpmで10分間遠心分離し、透明培養液 18
0 mlを得、菌体等の固形分を除去した。固形分に水 120
mlを加え撹拌後遠心分離を行ない、得られた洗液を先
の透明培養液に合わせた。これを pH 9に調整後、変換
物質を酢酸エチル 300 mlで2度抽出し、酢酸エチル層
を無水硫酸ナトリウムで乾燥後これを濾過した。濾液を
減圧濃縮して得られた残さを分取用TLC(展開系:ク
ロロホルム-メタノール(10:1))で精製して、粗化合物
(1) 9.6 mgを得た。これをセファデックスLH-20カラ
ムクロマトグラフィー(20 ml,メタノール)で精製し
て、化合物(1) 7.3 mgを得た。 化合物(1)の理化学的性状 (1) 色および形状 : 無色固体 (2) 分子式 : C44H75NO14 (3) マススペクトル (EIMS) : m/z 841 (M)+ (4) 比旋光度 : [α]D 26 -49°(c0.7, CH3OH) (5) 融点 : 98〜100℃ (6) 1H NMRスペクトル (400MHz, CDCl3) δ
(ppm) : 2.24(br d, 2-H), 2.76(dd, 2-H), 5.13(br
d, 3-H), 3.26(br d, 4-H), 3.57(s, 4-OCH3), 3.87(br
d, 5-H), 1.89(m, 8-H), 4.07(dd, 9-H), 5.62(dd, 10
-H), 6.68(dd, 11-H), 6.08(br dd, 12-H), 5.79(ddd,
13-H), 5.03(ddq, 15-H), 1.26(d, 16-H3),2.85(br dd,
17-H), 9.63(s, 18-H), 0.99(d, 19-H3), 2.51(dq, 3-
OCOCH 2CH3), 2.64(dq, 3-OCOCH 2CH3), 1.22(t, 3-OCOCH
2CH3 ), 4.53(d, 1'-H), 3.22(br dd, 2'-H), 3.48(t,
4'-H), 3.28(dq, 5'-H), 1.15(d, 6'-H3), 2.62(s, 3'-
N(CH3)2), 4.89(d, 1"-H), 1.57(dd, 2"-Hax), 2.22(d,
2"-Heq), 1.24(s, 3"-CH3),2.78(d, 4"-H), 4.39(dq,
5"-H), 1.23(d, 6"-H3), 3.25(s, 3"-OCH3), 3.60(dt,
4"-OCH 2CH2CH(CH3)2), 3.64(dt, 4"-OCH 2CH2CH(CH3)2),
1.69(m, 4"-OCH2CH2CH(CH3)2), 0.89(d, 4"-OCH2CH2CH
(CH3)2 )
ル基、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5が
メチル基、R6がイソアミル基で表される化合物)の製造
法 培地として、グルコース 2.0%、ポリペプトン 1.0%、リ
ン酸水素二カリウム 0.05%、硫酸マグネシウム・7水和
物 0.05%、塩化ナトリウム 0.3%の組成からなるものを
用い、殺菌前 pH 7.0に調整して使用した。前記の培地
80 mlを分注した 500 ml容三角フラスコ3本を120℃で3
0分間殺菌し、各三角フラスコにストレプトミセス・マ
イカロファシエンス SF2772株の凍結シード 1.6 mlをそ
れぞれ接種し、28℃で24時間振とう培養した。これに、
一般式(II)において、R1がプロピオニル基、R5がメチ
ル基、R6がイソアミル基で表される化合物 20 mgのメタ
ノール溶液 1.2 mlを、三角フラスコ1本あたり 0.4 ml
ずつ添加して28℃で18時間振とう培養した。培養終了後
培養液を 3000 rpmで10分間遠心分離し、透明培養液 18
0 mlを得、菌体等の固形分を除去した。固形分に水 120
mlを加え撹拌後遠心分離を行ない、得られた洗液を先
の透明培養液に合わせた。これを pH 9に調整後、変換
物質を酢酸エチル 300 mlで2度抽出し、酢酸エチル層
を無水硫酸ナトリウムで乾燥後これを濾過した。濾液を
減圧濃縮して得られた残さを分取用TLC(展開系:ク
ロロホルム-メタノール(10:1))で精製して、粗化合物
(1) 9.6 mgを得た。これをセファデックスLH-20カラ
ムクロマトグラフィー(20 ml,メタノール)で精製し
て、化合物(1) 7.3 mgを得た。 化合物(1)の理化学的性状 (1) 色および形状 : 無色固体 (2) 分子式 : C44H75NO14 (3) マススペクトル (EIMS) : m/z 841 (M)+ (4) 比旋光度 : [α]D 26 -49°(c0.7, CH3OH) (5) 融点 : 98〜100℃ (6) 1H NMRスペクトル (400MHz, CDCl3) δ
(ppm) : 2.24(br d, 2-H), 2.76(dd, 2-H), 5.13(br
d, 3-H), 3.26(br d, 4-H), 3.57(s, 4-OCH3), 3.87(br
d, 5-H), 1.89(m, 8-H), 4.07(dd, 9-H), 5.62(dd, 10
-H), 6.68(dd, 11-H), 6.08(br dd, 12-H), 5.79(ddd,
13-H), 5.03(ddq, 15-H), 1.26(d, 16-H3),2.85(br dd,
17-H), 9.63(s, 18-H), 0.99(d, 19-H3), 2.51(dq, 3-
OCOCH 2CH3), 2.64(dq, 3-OCOCH 2CH3), 1.22(t, 3-OCOCH
2CH3 ), 4.53(d, 1'-H), 3.22(br dd, 2'-H), 3.48(t,
4'-H), 3.28(dq, 5'-H), 1.15(d, 6'-H3), 2.62(s, 3'-
N(CH3)2), 4.89(d, 1"-H), 1.57(dd, 2"-Hax), 2.22(d,
2"-Heq), 1.24(s, 3"-CH3),2.78(d, 4"-H), 4.39(dq,
5"-H), 1.23(d, 6"-H3), 3.25(s, 3"-OCH3), 3.60(dt,
4"-OCH 2CH2CH(CH3)2), 3.64(dt, 4"-OCH 2CH2CH(CH3)2),
1.69(m, 4"-OCH2CH2CH(CH3)2), 0.89(d, 4"-OCH2CH2CH
(CH3)2 )
【0026】実施例2化合物(2)(一般式(I)において、R1がプロピオニ
ル基、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5が
メチル基、R6がノルマルブチル基で表される化合物)の
製造法 本実施例1において記載した培地 80 mlを分注した 500
ml容三角フラスコ3本を120℃で30分間殺菌し、各三角
フラスコにストレプトミセス・マイカロファシエンス S
F2772株の凍結シード 1.6 mlをそれぞれ接種し、28℃で
24時間振とう培養した。これに、一般式(II)におい
て、R1がプロピオニル基、R5がメチル基、R6がノルマル
ブチル基で表される化合物 20 mgのメタノール溶液 1.2
mlを、三角フラスコ1本あたり 0.4 mlずつ添加して28
℃で20時間振とう培養した。培養終了後培養液を 3000
rpmで10分間遠心分離し、透明培養液 200 mlを得、菌体
等の固形分を除去した。固形分に水 180 mlを加え撹拌
後遠心分離を行ない、得られた洗液を先の透明培養液に
合わせた。これを pH 9に調整後、変換物質を酢酸エチ
ル 380 mlで2度抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナト
リウムで乾燥後これを濾過した。濾液を減圧濃縮して得
られた残さを分取用TLC(展開系:クロロホルム-メ
タノール(10:1))で精製して、粗化合物(2) 13.5 mg
を得た。これをセファデックスLH-20カラムクロマトグ
ラフィー(20 ml,メタノール)で精製して、化合物
(2) 9.2 mgを得た。 化合物(2)の理化学的性状 (1) 色および形状 : 無色固体 (2) 分子式 : C43H73NO14 (3) マススペクトル (EIMS) : m/z 827 (M)+ (4) 比旋光度 : [α]D 27 -50°(c0.9, CH3OH) (5) 融点 : 99〜101℃ (6) 1H NMRスペクトル (400MHz, CDCl3) δ
(ppm) : 2.24(br d, 2-H), 2.76(dd, 2-H), 5.13(br
d, 3-H), 3.25(br d, 4-H), 3.57(s, 4-OCH3), 3.87(br
d, 5-H), 1.89(m, 8-H), 4.07(dd, 9-H), 5.62(dd, 10
-H), 6.67(dd, 11-H), 6.08(br dd, 12-H), 5.79(ddd,
13-H), 5.03(ddq, 15-H), 1.26(d, 16-H3),2.85(br dd,
17-H), 9.63(s, 18-H), 0.98(d, 19-H3), 2.51(dq, 3-
OCOCH 2CH3), 2.64(dq, 3-OCOCH 2CH3), 1.21(t, 3-OCOCH
2CH3 ), 4.53(d, 1'-H), 3.22(br dd, 2'-H), 3.48(t,
4'-H), 3.28(dq, 5'-H), 1.15(d, 6'-H3), 2.62(s, 3'-
N(CH3)2), 4.89(d, 1"-H), 1.57(dd, 2"-Hax), 2.23(d,
2"-Heq), 1.24(s, 3"-CH3),2.78(d, 4"-H), 4.39(dq,
5"-H), 1.22(d, 6"-H3), 3.25(s, 3"-OCH3), 3.57(dt,
4"-OCH 2CH2CH2CH3), 3.62(dt, 4"-OCH 2CH2CH2CH3), 1.6
0(m, 4"-OCH2CH2 CH2CH 3), 1.37(m, 4"-OCH2CH2CH2 CH3),
0.91(t, 4"-OCH2CH2CH2CH3 )
ル基、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5が
メチル基、R6がノルマルブチル基で表される化合物)の
製造法 本実施例1において記載した培地 80 mlを分注した 500
ml容三角フラスコ3本を120℃で30分間殺菌し、各三角
フラスコにストレプトミセス・マイカロファシエンス S
F2772株の凍結シード 1.6 mlをそれぞれ接種し、28℃で
24時間振とう培養した。これに、一般式(II)におい
て、R1がプロピオニル基、R5がメチル基、R6がノルマル
ブチル基で表される化合物 20 mgのメタノール溶液 1.2
mlを、三角フラスコ1本あたり 0.4 mlずつ添加して28
℃で20時間振とう培養した。培養終了後培養液を 3000
rpmで10分間遠心分離し、透明培養液 200 mlを得、菌体
等の固形分を除去した。固形分に水 180 mlを加え撹拌
後遠心分離を行ない、得られた洗液を先の透明培養液に
合わせた。これを pH 9に調整後、変換物質を酢酸エチ
ル 380 mlで2度抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナト
リウムで乾燥後これを濾過した。濾液を減圧濃縮して得
られた残さを分取用TLC(展開系:クロロホルム-メ
タノール(10:1))で精製して、粗化合物(2) 13.5 mg
を得た。これをセファデックスLH-20カラムクロマトグ
ラフィー(20 ml,メタノール)で精製して、化合物
(2) 9.2 mgを得た。 化合物(2)の理化学的性状 (1) 色および形状 : 無色固体 (2) 分子式 : C43H73NO14 (3) マススペクトル (EIMS) : m/z 827 (M)+ (4) 比旋光度 : [α]D 27 -50°(c0.9, CH3OH) (5) 融点 : 99〜101℃ (6) 1H NMRスペクトル (400MHz, CDCl3) δ
(ppm) : 2.24(br d, 2-H), 2.76(dd, 2-H), 5.13(br
d, 3-H), 3.25(br d, 4-H), 3.57(s, 4-OCH3), 3.87(br
d, 5-H), 1.89(m, 8-H), 4.07(dd, 9-H), 5.62(dd, 10
-H), 6.67(dd, 11-H), 6.08(br dd, 12-H), 5.79(ddd,
13-H), 5.03(ddq, 15-H), 1.26(d, 16-H3),2.85(br dd,
17-H), 9.63(s, 18-H), 0.98(d, 19-H3), 2.51(dq, 3-
OCOCH 2CH3), 2.64(dq, 3-OCOCH 2CH3), 1.21(t, 3-OCOCH
2CH3 ), 4.53(d, 1'-H), 3.22(br dd, 2'-H), 3.48(t,
4'-H), 3.28(dq, 5'-H), 1.15(d, 6'-H3), 2.62(s, 3'-
N(CH3)2), 4.89(d, 1"-H), 1.57(dd, 2"-Hax), 2.23(d,
2"-Heq), 1.24(s, 3"-CH3),2.78(d, 4"-H), 4.39(dq,
5"-H), 1.22(d, 6"-H3), 3.25(s, 3"-OCH3), 3.57(dt,
4"-OCH 2CH2CH2CH3), 3.62(dt, 4"-OCH 2CH2CH2CH3), 1.6
0(m, 4"-OCH2CH2 CH2CH 3), 1.37(m, 4"-OCH2CH2CH2 CH3),
0.91(t, 4"-OCH2CH2CH2CH3 )
【0027】実施例3化合物(3)(一般式(I)において、R1がプロピオニ
ル基、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5が
メチル基、R6がヘキシル基で表される化合物)の製造法 本実施例1において記載した培地 80 mlを分注した 500
ml容三角フラスコ3本を120℃で30分間殺菌し、各三角
フラスコにストレプトミセス・マイカロファシエンス S
F2772株の凍結シード 1.6 mlをそれぞれ接種し、28℃で
24時間振とう培養した。これに、一般式(II)におい
て、R1がプロピオニル基、R5がメチル基、R6がヘキシル
基で表される化合物 20 mgのメタノール溶液 1.2 ml
を、三角フラスコ1本あたり 0.4 mlずつ添加して28℃
で19時間振とう培養した。培養終了後培養液を 3000 rp
mで10分間遠心分離し、透明培養液 190 mlを得、菌体等
の固形分を除去した。固形分に水 160 mlを加え撹拌後
遠心分離を行ない、得られた洗液を先の透明培養液に合
わせた。これを pH 9に調整後、変換物質を酢酸エチル
350 mlで2度抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥後これを濾過した。濾液を減圧濃縮して得られ
た残さを分取用TLC(展開系:クロロホルム-メタノ
ール(10:1))で精製して、粗化合物(3) 12.2 mgを得
た。これをセファデックスLH-20カラムクロマトグラフ
ィー(20 ml,メタノール)で精製して、化合物(3)
8.3 mgを得た。 化合物(3)の理化学的性状 (1) 色および形状 : 無色固体 (2) 分子式 : C45H77NO14 (3) マススペクトル (EIMS) : m/z 855 (M)+ (4) 比旋光度 : [α]D 24 -50°(c0.8, CH3OH) (5) 融点 : 96〜102℃ (6) 1H NMRスペクトル (400MHz, CDCl3) δ
(ppm) : 2.24(br d, 2-H), 2.76(dd, 2-H), 5.13(br
d, 3-H), 3.25(br d, 4-H), 3.57(s, 4-OCH3), 3.87(br
d, 5-H), 1.89(m, 8-H), 4.07(dd, 9-H), 5.62(dd, 10
-H), 6.68(dd, 11-H), 6.08(br dd, 12-H), 5.79(ddd,
13-H), 5.03(ddq, 15-H), 1.26(d, 16-H3),2.85(br dd,
17-H), 9.63(s, 18-H), 0.99(d, 19-H3), 2.51(dq, 3-
OCOCH 2CH3), 2.64(dq, 3-OCOCH 2CH3), 1.22(t, 3-OCOCH
2CH3 ), 4.53(d, 1'-H), 3.22(br dd, 2'-H), 3.48(t,
4'-H), 3.28(dq, 5'-H), 1.15(d, 6'-H3), 2.63(s, 3'-
N(CH3)2), 4.89(d, 1"-H), 1.57(dd, 2"-Hax), 2.23(d,
2"-Heq), 1.24(s, 3"-CH3),2.78(d, 4"-H), 4.39(dq,
5"-H), 1.23(d, 6"-H3), 3.25(s, 3"-OCH3), 3.55(dt,
4"-OCH 2CH2(CH2)3CH3), 3.61(dt, 4"-OCH 2CH2(CH2)3C
H3), 1.61(m, 4"-OCH2CH 2 (CH2)3CH3), 0.88(t, 4"-OCH2
CH2(CH2)3CH3 )
ル基、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5が
メチル基、R6がヘキシル基で表される化合物)の製造法 本実施例1において記載した培地 80 mlを分注した 500
ml容三角フラスコ3本を120℃で30分間殺菌し、各三角
フラスコにストレプトミセス・マイカロファシエンス S
F2772株の凍結シード 1.6 mlをそれぞれ接種し、28℃で
24時間振とう培養した。これに、一般式(II)におい
て、R1がプロピオニル基、R5がメチル基、R6がヘキシル
基で表される化合物 20 mgのメタノール溶液 1.2 ml
を、三角フラスコ1本あたり 0.4 mlずつ添加して28℃
で19時間振とう培養した。培養終了後培養液を 3000 rp
mで10分間遠心分離し、透明培養液 190 mlを得、菌体等
の固形分を除去した。固形分に水 160 mlを加え撹拌後
遠心分離を行ない、得られた洗液を先の透明培養液に合
わせた。これを pH 9に調整後、変換物質を酢酸エチル
350 mlで2度抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥後これを濾過した。濾液を減圧濃縮して得られ
た残さを分取用TLC(展開系:クロロホルム-メタノ
ール(10:1))で精製して、粗化合物(3) 12.2 mgを得
た。これをセファデックスLH-20カラムクロマトグラフ
ィー(20 ml,メタノール)で精製して、化合物(3)
8.3 mgを得た。 化合物(3)の理化学的性状 (1) 色および形状 : 無色固体 (2) 分子式 : C45H77NO14 (3) マススペクトル (EIMS) : m/z 855 (M)+ (4) 比旋光度 : [α]D 24 -50°(c0.8, CH3OH) (5) 融点 : 96〜102℃ (6) 1H NMRスペクトル (400MHz, CDCl3) δ
(ppm) : 2.24(br d, 2-H), 2.76(dd, 2-H), 5.13(br
d, 3-H), 3.25(br d, 4-H), 3.57(s, 4-OCH3), 3.87(br
d, 5-H), 1.89(m, 8-H), 4.07(dd, 9-H), 5.62(dd, 10
-H), 6.68(dd, 11-H), 6.08(br dd, 12-H), 5.79(ddd,
13-H), 5.03(ddq, 15-H), 1.26(d, 16-H3),2.85(br dd,
17-H), 9.63(s, 18-H), 0.99(d, 19-H3), 2.51(dq, 3-
OCOCH 2CH3), 2.64(dq, 3-OCOCH 2CH3), 1.22(t, 3-OCOCH
2CH3 ), 4.53(d, 1'-H), 3.22(br dd, 2'-H), 3.48(t,
4'-H), 3.28(dq, 5'-H), 1.15(d, 6'-H3), 2.63(s, 3'-
N(CH3)2), 4.89(d, 1"-H), 1.57(dd, 2"-Hax), 2.23(d,
2"-Heq), 1.24(s, 3"-CH3),2.78(d, 4"-H), 4.39(dq,
5"-H), 1.23(d, 6"-H3), 3.25(s, 3"-OCH3), 3.55(dt,
4"-OCH 2CH2(CH2)3CH3), 3.61(dt, 4"-OCH 2CH2(CH2)3C
H3), 1.61(m, 4"-OCH2CH 2 (CH2)3CH3), 0.88(t, 4"-OCH2
CH2(CH2)3CH3 )
【0028】実施例4化合物(4)(一般式(I)において、R1がプロピオニ
ル基、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5が
メチル基、R6がアリル基で表される化合物)の製造法 本実施例1において記載した培地 80 mlを分注した 500
ml容三角フラスコ3本を120℃で30分間殺菌し、各三角
フラスコにストレプトミセス・マイカロファシエンス S
F2772株の凍結シード 1.6 mlをそれぞれ接種し、28℃で
24時間振とう培養した。これに、一般式(II)におい
て、R1がプロピオニル基、R5がメチル基、R6がアリル基
で表される化合物 20 mgのメタノール溶液 1.2 mlを、
三角フラスコ1本あたり 0.4 mlずつ添加して28℃で17
時間振とう培養した。培養終了後培養液を 3000 rpmで1
0分間遠心分離し、透明培養液 180 mlを得、菌体等の固
形分を除去した。固形分に水 120 mlを加え撹拌後遠心
分離を行ない、得られた洗液を先の透明培養液に合わせ
た。これを pH 9に調整後、変換物質を酢酸エチル 300
mlで2度抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで
乾燥後これを濾過した。濾液を減圧濃縮して得られた残
さを分取用TLC(展開系:クロロホルム-メタノール
(10:1))で精製して、粗化合物(4) 9.8 mgを得た。
これをセファデックスLH-20カラムクロマトグラフィー
(20 ml,メタノール)で精製して、化合物(4) 6.4 m
gを得た。 化合物(4)の理化学的性状 (1) 色および形状 : 無色固体 (2) 分子式 : C42H69NO14 (3) マススペクトル (EIMS) : m/z 811 (M)+ (4) 比旋光度 : [α]D 26 -55°(c0.6, CH3OH) (5) 融点 : 101〜106℃ (6) 1H NMRスペクトル (400MHz, CDCl3) δ
(ppm) : 2.24(br d, 2-H), 2.76(dd, 2-H), 5.13(br
d, 3-H), 3.26(br d, 4-H), 3.57(s, 4-OCH3), 3.87(br
d, 5-H), 1.89(m, 8-H), 4.07(dd, 9-H), 5.62(dd, 10
-H), 6.68(dd, 11-H), 6.08(br dd, 12-H), 5.79(ddd,
13-H), 5.03(ddq, 15-H), 1.26(d, 16-H3),2.84(br dd,
17-H), 9.63(s, 18-H), 0.99(d, 19-H3), 2.51(dq, 3-
OCOCH 2CH3), 2.64(dq, 3-OCOCH 2CH3), 1.22(t, 3-OCOCH
2CH3 ), 4.54(d, 1'-H), 3.50(t, 4'-H), 3.28(dq, 5'-
H), 1.16(d, 6'-H3), 2.65(s, 3'-N(CH3)2), 4.91(d,
1"-H),1.57(dd, 2"-Hax), 2.24(d, 2"-Heq), 1.24(s,
3"-CH3), 2.87(d, 4"-H), 4.40(dq, 5"-H), 1.23(d, 6"
-H3), 3.25(s, 3"-OCH3), 4.11(br dd, 4"-OCH 2CH=C
H2), 4.19(br, dd, 4"-OCH 2CH=CH2), 5.95(ddt, 4"-OCH
2CH=CH2), 5.17(br d, 4"-OCH2CH=CH 2), 5.23(br d, 4"
-OCH2CH=CH 2)
ル基、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5が
メチル基、R6がアリル基で表される化合物)の製造法 本実施例1において記載した培地 80 mlを分注した 500
ml容三角フラスコ3本を120℃で30分間殺菌し、各三角
フラスコにストレプトミセス・マイカロファシエンス S
F2772株の凍結シード 1.6 mlをそれぞれ接種し、28℃で
24時間振とう培養した。これに、一般式(II)におい
て、R1がプロピオニル基、R5がメチル基、R6がアリル基
で表される化合物 20 mgのメタノール溶液 1.2 mlを、
三角フラスコ1本あたり 0.4 mlずつ添加して28℃で17
時間振とう培養した。培養終了後培養液を 3000 rpmで1
0分間遠心分離し、透明培養液 180 mlを得、菌体等の固
形分を除去した。固形分に水 120 mlを加え撹拌後遠心
分離を行ない、得られた洗液を先の透明培養液に合わせ
た。これを pH 9に調整後、変換物質を酢酸エチル 300
mlで2度抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで
乾燥後これを濾過した。濾液を減圧濃縮して得られた残
さを分取用TLC(展開系:クロロホルム-メタノール
(10:1))で精製して、粗化合物(4) 9.8 mgを得た。
これをセファデックスLH-20カラムクロマトグラフィー
(20 ml,メタノール)で精製して、化合物(4) 6.4 m
gを得た。 化合物(4)の理化学的性状 (1) 色および形状 : 無色固体 (2) 分子式 : C42H69NO14 (3) マススペクトル (EIMS) : m/z 811 (M)+ (4) 比旋光度 : [α]D 26 -55°(c0.6, CH3OH) (5) 融点 : 101〜106℃ (6) 1H NMRスペクトル (400MHz, CDCl3) δ
(ppm) : 2.24(br d, 2-H), 2.76(dd, 2-H), 5.13(br
d, 3-H), 3.26(br d, 4-H), 3.57(s, 4-OCH3), 3.87(br
d, 5-H), 1.89(m, 8-H), 4.07(dd, 9-H), 5.62(dd, 10
-H), 6.68(dd, 11-H), 6.08(br dd, 12-H), 5.79(ddd,
13-H), 5.03(ddq, 15-H), 1.26(d, 16-H3),2.84(br dd,
17-H), 9.63(s, 18-H), 0.99(d, 19-H3), 2.51(dq, 3-
OCOCH 2CH3), 2.64(dq, 3-OCOCH 2CH3), 1.22(t, 3-OCOCH
2CH3 ), 4.54(d, 1'-H), 3.50(t, 4'-H), 3.28(dq, 5'-
H), 1.16(d, 6'-H3), 2.65(s, 3'-N(CH3)2), 4.91(d,
1"-H),1.57(dd, 2"-Hax), 2.24(d, 2"-Heq), 1.24(s,
3"-CH3), 2.87(d, 4"-H), 4.40(dq, 5"-H), 1.23(d, 6"
-H3), 3.25(s, 3"-OCH3), 4.11(br dd, 4"-OCH 2CH=C
H2), 4.19(br, dd, 4"-OCH 2CH=CH2), 5.95(ddt, 4"-OCH
2CH=CH2), 5.17(br d, 4"-OCH2CH=CH 2), 5.23(br d, 4"
-OCH2CH=CH 2)
【0029】実施例5化合物(5)(一般式(I)において、R1がプロピオニ
ル基、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5が
メチル基、R6がベンジル基で表される化合物)の製造法 本実施例1において記載した培地 100 mlを分注した 50
0 ml容三角フラスコ2本を120℃で30分間殺菌し、各三
角フラスコにストレプトミセス・マイカロファシエンス
SF2772株の凍結シード 2.0 mlをそれぞれ接種し、28℃
で24時間振とう培養した。これに、一般式(II)におい
て、R1がプロピオニル基、R5がメチル基、R6がベンジル
基で表される化合物 20 mgのメタノール溶液 1.0 ml
を、三角フラスコ1本あたり 0.5 mlずつ添加して28℃
で20時間振とう培養した。培養終了後培養液を 3000 rp
mで10分間遠心分離し、透明培養液 160 mlを得、菌体等
の固形分を除去した。固形分に水 160 mlを加え撹拌後
遠心分離を行ない、得られた洗液を先の透明培養液に合
わせた。これを pH 9に調整後、変換物質を酢酸エチル
320 mlで2度抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥後これを濾過した。濾液を減圧濃縮して得られ
た残さを分取用TLC(展開系:クロロホルム-メタノ
ール-濃アンモニア水(100:10:1))で精製して、粗化合
物(5) 10.8mgを得た。これをセファデックスLH-20カ
ラムクロマトグラフィー(20 ml,メタノール)で精製し
て、化合物(5) 7.9 mgを得た。 化合物(5)の理化学的性状 (1) 色および形状 : 無色固体 (2) 分子式 : C46H71NO14 (3) マススペクトル (SIMS) : m/z 862 (M+H)+ (4) 比旋光度 : [α]D 15 -52°(c0.8, CH3OH) (5) 融点 : 112〜116℃ (6) 1H NMRスペクトル (400MHz, CDCl3) δ
(ppm) : 2.24(br d, 2-H), 2.76(dd, 2-H), 5.13(br
d, 3-H), 3.25(br d, 4-H), 3.57(s, 4-OCH3), 3.87(br
d, 5-H), 1.89(m, 8-H), 4.07(dd, 9-H), 5.62(dd, 10
-H), 6.68(dd, 11-H), 6.08(br dd, 12-H), 5.79(ddd,
13-H), 5.03(ddq, 15-H), 1.26(d, 16-H3),2.31(br dd,
17-H), 2.84(br dd, 17-H), 9.63(s, 18-H), 0.98(d,
19-H3), 2.51(dq, 3-OCOCH 2CH3), 2.64(dq, 3-OCOCH 2CH
3), 1.21(t, 3-OCOCH2CH3 ), 4.54(d, 1'-H), 3.49(t,
4'-H), 3.28(dq, 5'-H), 1.15(d, 6'-H3), 2.62(s, 3'-
N(CH3)2), 4.90(d, 1"-H), 1.57(dd, 2"-Hax), 2.22(d,
2"-Heq), 1.15(s, 3"-CH3),3.00(d, 4"-H), 4.45(br d
q, 5"-H), 1.23(d, 6"-H3), 3.25(s, 3"-OCH3), 4.62
(d, 4"-OCH 2C6H5), 4.70(d, 4"-OCH 2C6H5), 7.3-7.4(m,
4"-OCH2C 6H5 )
ル基、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5が
メチル基、R6がベンジル基で表される化合物)の製造法 本実施例1において記載した培地 100 mlを分注した 50
0 ml容三角フラスコ2本を120℃で30分間殺菌し、各三
角フラスコにストレプトミセス・マイカロファシエンス
SF2772株の凍結シード 2.0 mlをそれぞれ接種し、28℃
で24時間振とう培養した。これに、一般式(II)におい
て、R1がプロピオニル基、R5がメチル基、R6がベンジル
基で表される化合物 20 mgのメタノール溶液 1.0 ml
を、三角フラスコ1本あたり 0.5 mlずつ添加して28℃
で20時間振とう培養した。培養終了後培養液を 3000 rp
mで10分間遠心分離し、透明培養液 160 mlを得、菌体等
の固形分を除去した。固形分に水 160 mlを加え撹拌後
遠心分離を行ない、得られた洗液を先の透明培養液に合
わせた。これを pH 9に調整後、変換物質を酢酸エチル
320 mlで2度抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥後これを濾過した。濾液を減圧濃縮して得られ
た残さを分取用TLC(展開系:クロロホルム-メタノ
ール-濃アンモニア水(100:10:1))で精製して、粗化合
物(5) 10.8mgを得た。これをセファデックスLH-20カ
ラムクロマトグラフィー(20 ml,メタノール)で精製し
て、化合物(5) 7.9 mgを得た。 化合物(5)の理化学的性状 (1) 色および形状 : 無色固体 (2) 分子式 : C46H71NO14 (3) マススペクトル (SIMS) : m/z 862 (M+H)+ (4) 比旋光度 : [α]D 15 -52°(c0.8, CH3OH) (5) 融点 : 112〜116℃ (6) 1H NMRスペクトル (400MHz, CDCl3) δ
(ppm) : 2.24(br d, 2-H), 2.76(dd, 2-H), 5.13(br
d, 3-H), 3.25(br d, 4-H), 3.57(s, 4-OCH3), 3.87(br
d, 5-H), 1.89(m, 8-H), 4.07(dd, 9-H), 5.62(dd, 10
-H), 6.68(dd, 11-H), 6.08(br dd, 12-H), 5.79(ddd,
13-H), 5.03(ddq, 15-H), 1.26(d, 16-H3),2.31(br dd,
17-H), 2.84(br dd, 17-H), 9.63(s, 18-H), 0.98(d,
19-H3), 2.51(dq, 3-OCOCH 2CH3), 2.64(dq, 3-OCOCH 2CH
3), 1.21(t, 3-OCOCH2CH3 ), 4.54(d, 1'-H), 3.49(t,
4'-H), 3.28(dq, 5'-H), 1.15(d, 6'-H3), 2.62(s, 3'-
N(CH3)2), 4.90(d, 1"-H), 1.57(dd, 2"-Hax), 2.22(d,
2"-Heq), 1.15(s, 3"-CH3),3.00(d, 4"-H), 4.45(br d
q, 5"-H), 1.23(d, 6"-H3), 3.25(s, 3"-OCH3), 4.62
(d, 4"-OCH 2C6H5), 4.70(d, 4"-OCH 2C6H5), 7.3-7.4(m,
4"-OCH2C 6H5 )
【0030】実施例6化合物(6)(一般式(I)において、R1がプロピオニ
ル基、R2が水素原子、R3がアセトキシ基、R4が水素原
子、R5がメチル基、R6がイソアミル基で表される化合
物)の製造法 化合物(1) 13.0 mgに無水トルエン 0.64 mlを加え溶
解し、無水ピリジン 5.6μl及び塩化アセチル 4.8μlを
順次加えた後、室温で45分間撹拌した。反応混合物に酢
酸エチル 3.2 ml及びトリエチルアミン 8.0μlを加え抽
出し、酢酸エチル層を水 3.2 mlで2回洗浄した後、無
水硫酸ナトリウムで乾燥後これを濾過した。濾液を減圧
濃縮して得られた残さを分取用TLC(展開系:クロロ
ホルム-メタノール(10:1))で精製して、化合物(6)
10.7 mgを得た。 化合物(6)の理化学的性状 (1) 色および形状 : 無色固体 (2) 分子式 : C46H77NO15 (3) マススペクトル (SIMS) : m/z 884 (M+H)+ (4) 比旋光度 : [α]D 13 -56°(c1.0, CH3OH) (5) 融点 : 104〜108℃ (6) 1H NMRスペクトル (400MHz, CDCl3) δ
(ppm) : 2.25(br d, 2-H), 2.74(dd, 2-H), 5.11(br
d, 3-H), 3.24(br d, 4-H), 3.57(s, 4-OCH3), 3.93(br
d, 5-H), 2.01(m, 8-H), 5.08(dd, 9-H), 2.02(s, 9-O
COCH3), 5.57(dd,10-H), 6.74(dd, 11-H), 6.09(br dd,
12-H), 5.88(ddd, 13-H), 2.17(dt, 14-H), 4.98(ddq,
15-H), 1.26(d, 16-H3), 2.83(br dd, 17-H), 9.64(s,
18-H), 0.95(d, 19-H3), 2.51(dq, 3-OCOCH 2CH3), 2.6
7(dq, 3-OCOCH 2CH3), 1.21(t, 3-OCOCH2CH3 ), 4.51(d,
1'-H), 3.15(dd, 2'-H), 2.39(t, 3'-H), 3.46(t, 4'-
H), 3.27(dq, 5'-H), 1.14(d, 6'-H3), 2.56(s, 3'-N(C
H3)2), 4.88(d, 1"-H), 1.56(dd, 2"-Hax), 2.22(d, 2"
-Heq), 1.24(s, 3"-CH3), 2.78(d, 4"-H), 4.42(dq, 5"
-H), 1.23(d, 6"-H3), 3.25(s, 3"-OCH3), 3.59(dt, 4"
-OCH 2CH2CH(CH3)2), 3.64(dt, 4"-OCH 2CH2CH(CH3)2),
1.51(m, 4"-OCH2CH2 CH(CH3)2), 1.69(m, 4"-OCH2CH2CH
(CH3)2), 0.89(d, 4"-OCH2CH2CH(CH3)2 )
ル基、R2が水素原子、R3がアセトキシ基、R4が水素原
子、R5がメチル基、R6がイソアミル基で表される化合
物)の製造法 化合物(1) 13.0 mgに無水トルエン 0.64 mlを加え溶
解し、無水ピリジン 5.6μl及び塩化アセチル 4.8μlを
順次加えた後、室温で45分間撹拌した。反応混合物に酢
酸エチル 3.2 ml及びトリエチルアミン 8.0μlを加え抽
出し、酢酸エチル層を水 3.2 mlで2回洗浄した後、無
水硫酸ナトリウムで乾燥後これを濾過した。濾液を減圧
濃縮して得られた残さを分取用TLC(展開系:クロロ
ホルム-メタノール(10:1))で精製して、化合物(6)
10.7 mgを得た。 化合物(6)の理化学的性状 (1) 色および形状 : 無色固体 (2) 分子式 : C46H77NO15 (3) マススペクトル (SIMS) : m/z 884 (M+H)+ (4) 比旋光度 : [α]D 13 -56°(c1.0, CH3OH) (5) 融点 : 104〜108℃ (6) 1H NMRスペクトル (400MHz, CDCl3) δ
(ppm) : 2.25(br d, 2-H), 2.74(dd, 2-H), 5.11(br
d, 3-H), 3.24(br d, 4-H), 3.57(s, 4-OCH3), 3.93(br
d, 5-H), 2.01(m, 8-H), 5.08(dd, 9-H), 2.02(s, 9-O
COCH3), 5.57(dd,10-H), 6.74(dd, 11-H), 6.09(br dd,
12-H), 5.88(ddd, 13-H), 2.17(dt, 14-H), 4.98(ddq,
15-H), 1.26(d, 16-H3), 2.83(br dd, 17-H), 9.64(s,
18-H), 0.95(d, 19-H3), 2.51(dq, 3-OCOCH 2CH3), 2.6
7(dq, 3-OCOCH 2CH3), 1.21(t, 3-OCOCH2CH3 ), 4.51(d,
1'-H), 3.15(dd, 2'-H), 2.39(t, 3'-H), 3.46(t, 4'-
H), 3.27(dq, 5'-H), 1.14(d, 6'-H3), 2.56(s, 3'-N(C
H3)2), 4.88(d, 1"-H), 1.56(dd, 2"-Hax), 2.22(d, 2"
-Heq), 1.24(s, 3"-CH3), 2.78(d, 4"-H), 4.42(dq, 5"
-H), 1.23(d, 6"-H3), 3.25(s, 3"-OCH3), 3.59(dt, 4"
-OCH 2CH2CH(CH3)2), 3.64(dt, 4"-OCH 2CH2CH(CH3)2),
1.51(m, 4"-OCH2CH2 CH(CH3)2), 1.69(m, 4"-OCH2CH2CH
(CH3)2), 0.89(d, 4"-OCH2CH2CH(CH3)2 )
【0031】
【発明の効果】本発明で得られる一般式(I)で表され
る化合物(1)、(2)、(3)及び(5)は、臨床上
重要なグラム陽性菌及びマイコプラズマに対して強い抗
菌力を有している。特に化合物(1)及び(2)は、表
1に示す様にMDMと比較しても同等以上の優れた抗菌
活性を保持している。さらに化合物(1)は実用上有効
な抗マイコプラズマ活性を示している。また化合物
(6)も化合物(1)におよそ匹敵する抗菌活性を有し
ている。
る化合物(1)、(2)、(3)及び(5)は、臨床上
重要なグラム陽性菌及びマイコプラズマに対して強い抗
菌力を有している。特に化合物(1)及び(2)は、表
1に示す様にMDMと比較しても同等以上の優れた抗菌
活性を保持している。さらに化合物(1)は実用上有効
な抗マイコプラズマ活性を示している。また化合物
(6)も化合物(1)におよそ匹敵する抗菌活性を有し
ている。
【0032】また本発明で得られる一般式(I)で表さ
れる化合物(1)、(2)及び(3)は、ラット血漿中
において抗菌活性が極めて長く持続するという性質を有
している。この安定性は、本発明で得られる化合物にお
けるマイカロース部分の水酸基がアシル基によりエステ
ル結合しているのではなく、何れの水酸基もアルキル基
によりエーテル結合していることに直接関与している。
図1に、化合物(1)、(2)、(3)及びMOMを解
凍ラット血漿中において37℃で24時間インキュベートし
た際の、M. luteusに対する相対的な抗菌活性(それぞ
れの化合物について、血漿中における0時間の抗菌力を
100%とした時の比活性)を示す。ラット血漿を用いて実
験した場合、マイカロース部分に2つのエーテル結合を
有し、かつ9位が水酸基である化合物(1)、(2)及
び(3)は代謝されにくく中性糖部分に遊離の水酸基が
出現しないため、血漿中での抗菌活性の減少度合いがM
OMと比較して明らかに少ない。この事実が、後述する
本発明化合物の優れた体内動態に直接影響を与えてい
る。ちなみにMDMを同一条件で試験した場合、24時間
後には殆ど抗菌活性を示さなかった。ところで、MOM
に関するマイカロース部分の代謝のパターンは、ヒト及
びラットにおいて概ね類似していることが報告されてい
る(薬学雑誌, 102(8), 781(1982))。それゆえ本発明
における化合物(1)、(2)及び(3)は、ヒトの血
液内においてもその強い抗菌活性が長く持続されること
が容易に示唆される。
れる化合物(1)、(2)及び(3)は、ラット血漿中
において抗菌活性が極めて長く持続するという性質を有
している。この安定性は、本発明で得られる化合物にお
けるマイカロース部分の水酸基がアシル基によりエステ
ル結合しているのではなく、何れの水酸基もアルキル基
によりエーテル結合していることに直接関与している。
図1に、化合物(1)、(2)、(3)及びMOMを解
凍ラット血漿中において37℃で24時間インキュベートし
た際の、M. luteusに対する相対的な抗菌活性(それぞ
れの化合物について、血漿中における0時間の抗菌力を
100%とした時の比活性)を示す。ラット血漿を用いて実
験した場合、マイカロース部分に2つのエーテル結合を
有し、かつ9位が水酸基である化合物(1)、(2)及
び(3)は代謝されにくく中性糖部分に遊離の水酸基が
出現しないため、血漿中での抗菌活性の減少度合いがM
OMと比較して明らかに少ない。この事実が、後述する
本発明化合物の優れた体内動態に直接影響を与えてい
る。ちなみにMDMを同一条件で試験した場合、24時間
後には殆ど抗菌活性を示さなかった。ところで、MOM
に関するマイカロース部分の代謝のパターンは、ヒト及
びラットにおいて概ね類似していることが報告されてい
る(薬学雑誌, 102(8), 781(1982))。それゆえ本発明
における化合物(1)、(2)及び(3)は、ヒトの血
液内においてもその強い抗菌活性が長く持続されること
が容易に示唆される。
【0033】次に本発明化合物(1)について、マウス
を用いた体内動態試験を行なった。即ち 200 mg/kgの化
合物(1)をマウスに経口投与し、試験菌株としてM. l
uteusを用いたバイオアッセイ法により血清中濃度を測
定した。その結果化合物(1)の最高血清中濃度は 11.
3 μg/mlであり、MOMの 6.2μg/ml、MDMの 5.2μ
g/ml、ロキタマイシン(RKM)(ジャーナル・オブ・
アンチビオチックス,34(8), 1001(1981))の 2.9μg/ml
を完全に上回り、代表的なニュー・マクロリドであるク
ラリスロマイシン(CAM)に匹敵した。マウスにおけ
るこの最高血清中濃度は、本発明者らの知る限りにおい
ては9位が遊離の水酸基である16員環マクロリド化合
物における最高の値であり、従来より指摘されてきた1
6員環マクロリド抗生物質の弱点である「低い血清中濃
度」という問題点を抜本的に解決した。又化合物(1)
の9位の水酸基がアセチル化された化合物(6)に関し
て同様な動物試験を行なった場合、その最高血清中濃度
(投与後約2時間)は化合物(1)を更に上回り、投与
後6時間においても、最高値の80%以上の高い血清中濃
度が持続しており、新しい体内動態を示すマクロリド誘
導体として注目される。
を用いた体内動態試験を行なった。即ち 200 mg/kgの化
合物(1)をマウスに経口投与し、試験菌株としてM. l
uteusを用いたバイオアッセイ法により血清中濃度を測
定した。その結果化合物(1)の最高血清中濃度は 11.
3 μg/mlであり、MOMの 6.2μg/ml、MDMの 5.2μ
g/ml、ロキタマイシン(RKM)(ジャーナル・オブ・
アンチビオチックス,34(8), 1001(1981))の 2.9μg/ml
を完全に上回り、代表的なニュー・マクロリドであるク
ラリスロマイシン(CAM)に匹敵した。マウスにおけ
るこの最高血清中濃度は、本発明者らの知る限りにおい
ては9位が遊離の水酸基である16員環マクロリド化合
物における最高の値であり、従来より指摘されてきた1
6員環マクロリド抗生物質の弱点である「低い血清中濃
度」という問題点を抜本的に解決した。又化合物(1)
の9位の水酸基がアセチル化された化合物(6)に関し
て同様な動物試験を行なった場合、その最高血清中濃度
(投与後約2時間)は化合物(1)を更に上回り、投与
後6時間においても、最高値の80%以上の高い血清中濃
度が持続しており、新しい体内動態を示すマクロリド誘
導体として注目される。
【0034】続いて 200 mg/kgの化合物(1)をマウス
に経口投与し、投与後24時間以内の尿中回収率を同バイ
オアッセイ法により測定した。その結果、化合物(1)
の尿中回収率は20%であり、CAMには僅かに及ばない
ものの、同回収率が2%に満たないMOMやMDM或い
はRKMと比較して、16員環マクロリド誘導体中際立
つ尿中回収率を示した。即ち、化合物(1)のマウス生
体内での極めて高い安定性(抗菌活性の保持能力)が示
された。
に経口投与し、投与後24時間以内の尿中回収率を同バイ
オアッセイ法により測定した。その結果、化合物(1)
の尿中回収率は20%であり、CAMには僅かに及ばない
ものの、同回収率が2%に満たないMOMやMDM或い
はRKMと比較して、16員環マクロリド誘導体中際立
つ尿中回収率を示した。即ち、化合物(1)のマウス生
体内での極めて高い安定性(抗菌活性の保持能力)が示
された。
【0035】以上述べた様に本発明化合物(1)は、単
にラット血漿中での抗菌活性が持続することのみなら
ず、マウス動物実験において特に優れた体内動態を示し
た。また化合物(6)も、マウス動物実験において優れ
た血清中濃度の持続を示した。これらのことは、マイ
カロース部分の側鎖がアシル基ではなくアルキル基であ
ること、ラクトン環の9位がカルボニル基ではなく水
酸基(或いはアシル化された水酸基)であること、の2
つの構造上の理由に依るところが大きい。また化合物
(2)をはじめその他の類縁化合物も、化合物(1)と
同様に極めて優れた体内動態を示すであろうことが容易
に類推される。
にラット血漿中での抗菌活性が持続することのみなら
ず、マウス動物実験において特に優れた体内動態を示し
た。また化合物(6)も、マウス動物実験において優れ
た血清中濃度の持続を示した。これらのことは、マイ
カロース部分の側鎖がアシル基ではなくアルキル基であ
ること、ラクトン環の9位がカルボニル基ではなく水
酸基(或いはアシル化された水酸基)であること、の2
つの構造上の理由に依るところが大きい。また化合物
(2)をはじめその他の類縁化合物も、化合物(1)と
同様に極めて優れた体内動態を示すであろうことが容易
に類推される。
【表1】
【図1】 化合物(1)、(2)、(3)及びMOMの
解凍ラット血漿中における24時間後のM.luteusに対す
る相対的な抗菌活性(それぞれの化合物について、0時
間を100%とした時の比活性)を示す。
解凍ラット血漿中における24時間後のM.luteusに対す
る相対的な抗菌活性(それぞれの化合物について、0時
間を100%とした時の比活性)を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菊地 伸江 神奈川県横浜市港北区師岡町760番地 明治製菓株式会社薬品総合研究所内 (72)発明者 宮田 愛子 神奈川県横浜市港北区師岡町760番地 明治製菓株式会社薬品総合研究所内 (72)発明者 荒明 美奈子 神奈川県横浜市港北区師岡町760番地 明治製菓株式会社薬品総合研究所内 (72)発明者 原 修 神奈川県横浜市港北区師岡町760番地 明治製菓株式会社薬品総合研究所内 (72)発明者 柴原 聖至 神奈川県横浜市港北区師岡町760番地 明治製菓株式会社薬品総合研究所内 審査官 斎藤 真由美 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07H 1/00 - 23/00 A61P 1/00 - 43/00 C12P 19/00 - 19/64 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) REGISTRY(STN) WPI(DIALOG)
Claims (7)
- 【請求項1】 次の式(I) 【化1】 [式中、R1は水素原子または式COR7の基(但しR7は炭素
数1〜3の直鎖のアルキル基を示す。)を、R2は水素原
子または置換されていてもよい水酸基を、R3は水素原子
または置換されていてもよい水酸基(但しR2及びR3のい
ずれか一方は水素原子を示す。)を、R4は水素原子また
は式COR7の基(但しR7は前記と同じ意味を示す。)を、
R5は炭素数1〜4の直鎖のアルキル基を、R6は置換され
ていてもよい炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝鎖のア
ルキル基、アルケニル基またはアラルキル基を示す。]
で表される化合物、又はその薬学的に許容し得る塩。 - 【請求項2】 請求項1の式(I)において、R1がプロ
ピオニル基、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原
子、R5がメチル基、R6がイソアミル基で表される化合
物、又はその薬学的に許容し得る塩。 - 【請求項3】 請求項1の式(I)において、R1がプロ
ピオニル基、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原
子、R5がメチル基、R6がノルマルブチル基で表される化
合物、又はその薬学的に許容し得る塩。 - 【請求項4】 請求項1の式(I)において、R1がプロ
ピオニル基、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原
子、R5がメチル基、R6がヘキシル基で表される化合物、
又はその薬学的に許容し得る塩。 - 【請求項5】 請求項1の式(I)において、R1がプロ
ピオニル基、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原
子、R5がメチル基、R6がアリル基で表される化合物、又
はその薬学的に許容し得る塩。 - 【請求項6】 請求項1の式(I)において、R1がプロ
ピオニル基、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原
子、R5がメチル基、R6がベンジル基で表される化合物、
又はその薬学的に許容し得る塩。 - 【請求項7】 請求項1の式(I)において、R1がプロ
ピオニル基、R2が水素原子、R3がアセトキシ基、R4が水
素原子、R5がメチル基、R6がイソアミル基で表される化
合物、又はその薬学的に許容し得る塩。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23356193A JP3074098B2 (ja) | 1992-10-29 | 1993-09-20 | 新規16員環マクロリド誘導体 |
DE69324434T DE69324434T2 (de) | 1992-10-29 | 1993-10-27 | 16-Gliederige Makrolid-Derivate und Verfahren zu deren Herstellung |
ES93117427T ES2131549T3 (es) | 1992-10-29 | 1993-10-27 | Derivados macrolidas de 16 eslabones y su procedimiento de preparacion. |
EP93117427A EP0595303B1 (en) | 1992-10-29 | 1993-10-27 | 16-Membered macrolide derivatives and process for producing the same |
US08/143,125 US5407918A (en) | 1992-10-29 | 1993-10-29 | 16-membered macrolide derivatives and process for producing the same |
US08/359,825 US5519122A (en) | 1992-10-29 | 1994-12-20 | 16-membered macrolide derivatives and process for producing the same |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29143892 | 1992-10-29 | ||
JP4-291438 | 1992-10-29 | ||
JP23356193A JP3074098B2 (ja) | 1992-10-29 | 1993-09-20 | 新規16員環マクロリド誘導体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06206897A JPH06206897A (ja) | 1994-07-26 |
JP3074098B2 true JP3074098B2 (ja) | 2000-08-07 |
Family
ID=26531083
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23356193A Expired - Fee Related JP3074098B2 (ja) | 1992-10-29 | 1993-09-20 | 新規16員環マクロリド誘導体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3074098B2 (ja) |
-
1993
- 1993-09-20 JP JP23356193A patent/JP3074098B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06206897A (ja) | 1994-07-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP0638585B1 (en) | 5-o-desosaminylerythronolide a derivative | |
JP2817064B2 (ja) | Bu―3608抗生物質のセリン類縁体 | |
US5407918A (en) | 16-membered macrolide derivatives and process for producing the same | |
AU2020103289A4 (en) | Preparation and Application of Alkaloid Derivatives for Reversing Human Tumor Drug Resistance and Anti-canine Breast Cancer | |
JP3074098B2 (ja) | 新規16員環マクロリド誘導体 | |
EP0633266B1 (en) | 16-Membered macrolide derivatives and process for producing the same | |
JP3074039B2 (ja) | 16員環マクロライド抗生物質の3位脱アシル体の製造法及びこれに用いる微生物並びに新規マクロライド抗生物質 | |
JPH0633312B2 (ja) | 14−ハイドロキシエリスロマイシン誘導体およびその製造方法 | |
JPH039919B2 (ja) | ||
Kurihara et al. | Cladinose analogues of sixteen-membered macrolide antibiotics VI. Synthesis of metabolically programmed, highly potent analogues of sixteen-membered macrolide antibiotics | |
JP3078965B2 (ja) | 新規16員環マクロリド誘導体 | |
JP3023041B2 (ja) | 新規16員環マクロリド誘導体 | |
JP3074084B2 (ja) | 新規16員環マクロリド誘導体及び製造法 | |
NZ195507A (en) | Macrolide antibiotics and pharmaceutical compositions;preparations of gentamicin c complex | |
Hussain et al. | Synthetic Studies towards Fungal glycosides: An Overview | |
JPH05286990A (ja) | 新規マクロライド抗生物質および微生物変換を利用したマクロライド抗生物質の製造法 | |
JP2701069B2 (ja) | 抗腫瘍性アントラサイクリン系化合物 | |
JP4443740B2 (ja) | アントラサイクリン抗生物質 | |
JPH0550519B2 (ja) | ||
US6660718B1 (en) | 3-modified leucomycin derivatives | |
JPH0362718B2 (ja) | ||
GB2071658A (en) | Synthesis of daunosamine hydrochloride and intermediates used in its preparation | |
JPH05117292A (ja) | 新規16員環マクロリド誘導体及びその製造法 | |
JPS6259716B2 (ja) | ||
JP2005298436A (ja) | 16員環マクロライド誘導体及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080602 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090602 Year of fee payment: 9 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |