JP2005298436A - 16員環マクロライド誘導体及びその製造方法 - Google Patents

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祐一 照井
Kenji Kinoshita
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Abstract

【課題】 16員環マクロライド誘導体の抗菌活性を高水準に維持しつつ、血漿中における構造安定性が十分に高く生体内半減期の大幅な延長を可能とする16員環マクロライド誘導体を提供すること。
【解決手段】 下記一般式(1):
【化1】
Figure 2005298436

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Xは=CH−OH又は=C=Oで表される基を示す。)
で表されることを特徴とする16員環マクロライド誘導体又はその塩。
【選択図】 なし

Description

本発明はグラム陽性菌に有効な16員環マクロライド誘導体及びその製造方法に関する。
グラム陽性菌、マイコプラズマ、クラミジア等に有効なマクロライド系抗生物質は、経口投与が可能であり、かつ毒性が低い等の理由により臨床上重要な抗菌剤に分類される。中でも16員環マクロライド系抗生物質は、耐性誘導されにくいこと、他の薬剤との相互作用が少ないこと、腸管に与える影響が少ないことなどから、多くの誘導体合成研究が行われており、非特許文献1には、ロキタマイシン(RKM)が造出されていることが報告されている。
しかしながら、16員環マクロライド系抗生物質には、一般的に生体内での構造安定性が低く生体内半減期が短いという点で問題があり、例えば非特許文献2においては、16員環マクロライド系抗生物質であるスピラマイシンは血漿中エステラーゼによりアグリコンが開環されて活性が消失すると報告されている。
また、16員環マクロライド誘導体に関し、特許文献1には2位にメチル基等の低級アルキル基が置換した2−アルキルタイロシン誘導体が開示されているが、それでもなお生体内における構造安定性が未だ十分なものではなかった。
このように、従来の16員環マクロライド誘導体はいずれも血漿中における構造安定性が十分に高いものではなく、生体内半減期が十分に延長された16員環マクロライド誘導体は未だ得られていなかった。
特開平6−306094号公報 H.Sakakibara,et al.,"Acyl Derivatives of 16-Membered Macrolides",The Journal of Antibiotics,1981,Vol.34,No.8,p.1001〜1018 A.Inoue,et al.,"Biosynthesis and The Metabolic Fate of Carbon-14 Labeled Spiramycin I",The Journal of Antibiotics,1983,Vol.36,No.4,p.442〜444
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、抗菌活性を高水準に維持しつつ、血漿中における構造安定性が十分に高く生体内半減期の大幅な延長を可能とする16員環マクロライド誘導体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、16員環マクロライド誘導体の2位に少なくとも一つのメチル基を導入すると共に3位にカルボニル基又は水酸基を残すことにより前記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の16員環マクロライド誘導体又はその塩は、下記一般式(1):
Figure 2005298436
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Xは=CH−OH又は=C=Oで表される基を示す。)
で表されることを特徴とするもの又はその塩である。
本発明の16員環マクロライド誘導体又はその塩としては、下記一般式(2):
Figure 2005298436
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
で表されるもの又はその塩が好ましい。
また、本発明の16員環マクロライド誘導体の製造方法は、下記一般式(3):
Figure 2005298436
(式中、Aは保護されていてもよいアルデヒド基を示し、Bは同一でも異なっていてもよく、それぞれ保護されていてもよい水酸基を示す。)
で表される化合物の9位を還元剤により還元した後、生成された9位の水酸基と、3位の水酸基及び19位のアルデヒド基が閉環することにより生ずるアセタールとに保護基を導入して下記一般式(4):
Figure 2005298436
(式中、Bは一般式(3)中のBと同義であり、Bは同一でも異なっていてもよく、それぞれ保護されていてもよい水酸基を示す。)
で表される化合物を得る第1工程と、
前記一般式(4)で表される化合物に塩基を反応させてラクトン環の2位の水素原子を引き抜いた後、メチル化剤を反応させて下記一般式(5):
Figure 2005298436
(式中、B及びBは一般式(4)中のB及びBとそれぞれ同義であり、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
で表される化合物を得る第2工程と、
前記一般式(5)で表される化合物中の保護基を除去した後、ラクトン環の9位を酸化して下記一般式(2):
Figure 2005298436
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
で表される16員環マクロライド誘導体を得る第3工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
なお、本発明の16員環マクロライド誘導体によれば生体内における活性が高水準に維持されつつ生体内での構造安定性が向上して生体内半減期が大幅に延長される理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、血漿中のエステラーゼによりアグリコンが開環して活性が消失する現象は14員環マクロライド系抗生物質では報告されておらず、この原因を追求すべく14員環マクロライド系抗生物質と16員環マクロライド系抗生物質の化学構造を比較すると、14員環マクロライド系抗生物質は2位にメチル基が存在するのに対して16員環マクロライド系抗生物質は2位にメチル基が存在しないことが分かった。そのため、14員環マクロライド系抗生物質はエステル結合の近傍に存在する2位メチル基の立体障害によって血漿中エステラーゼに対する抵抗性を有しているものと推察した。また、前述の特許文献1では2−アルキルタイロシン誘導体が開示されているが、本化合物は3位水酸基を除去しているために生体内における構造安定性が不十分であると推察した。そこで16員環マクロライド系抗生物質の2位にメチル基を導入し、且つ、3位に水酸基またはカルボニル基を残すことによって血漿中エステラーゼに対する立体障害が相乗的に作用するようになるため、血漿中エステラーゼに対する抵抗性が驚くべきことに向上したものと推察する。
本発明によれば、抗菌活性を高水準に維持しつつ、血漿中における構造安定性が十分に高く生体内半減期の大幅な延長を可能とする16員環マクロライド誘導体及びその製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明の16員環マクロライド誘導体又はその塩について説明する。本発明の16員環マクロライド誘導体又はその塩は、下記一般式(1):
Figure 2005298436
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Xは=CH−OH又は=C=Oで表される基を示す。)
で表されるもの又はその塩である。
前記の一般式(1)で表したように本発明の16員環マクロライド誘導体は、2位に少なくとも1つのメチル基が結合している。2位に置換基を有さない場合、すなわち、2位が=CHである場合には、血漿中のエステラーゼによりアグリコンが開環して活性が消失する現象が起こる。
また、前記一般式(1)中のXが=C=O又は=CH−OHであるため、立体障害が向上し、前記2位に置換している少なくとも1つのメチル基との相乗効果により構造安定性が向上する。なお、前記Xが=CH−OHの場合、水酸基の立体配置はα配置又はβ配置のどちらでもよいが、下記一般式(2):
Figure 2005298436
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
で表されているように、水酸基がα配置したものは、抗菌活性がより高くなることから特に好ましい。
また、本発明の16員環マクロライド誘導体の塩は、前記一般式(1)で表される16員環マクロライド誘導体が酸又は塩基と塩を形成したものである。このような塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の有機酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸との酸付加塩が挙げられる。
このような16員環マクロライド誘導体又はその塩の使用形態は特に制限されないが、例えば、常用の増量剤、pH調節剤、溶解剤等を添加し、常用の製剤技術によって、錠剤、顆粒剤、丸剤、カプセル剤、粉剤、液剤、懸濁剤、注射剤等の製剤とすることができる。また、本発明の16員環マクロライド誘導体を含有する製剤の投与方法も特に制限されず、経口的又は非経口的に投与することが可能である。
また、本発明の16員環マクロライド誘導体又はその塩の投与量も特に制限されず、、その投与量は疾病の種類、症状、患者の年齢、体重等により適宜増減することができるが、一般的には、成人の患者に対して200〜1500mg/日程度を数回に分けて投与することが好ましい。
本発明の16員環マクロライド誘導体又はその塩は、種々の方法により製造することができるが、以下にその代表的な製造法について説明する。
先ず、前記一般式(1)中のXがカルボニル基(=C=O)である一般式(6):
Figure 2005298436
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
で表される16員環マクロライド誘導体の代表的な製法は、下記反応式(i):
Figure 2005298436
(式中、Aは保護されていてもよいアルデヒド基を示し、Bは保護されていてもよい水酸基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
で表される製法である(以下、「第一の製法」という)。
すなわち、第一の製法は反応式(i)中において一般式(7)で表される16員環マクロライド誘導体の2位を不活性溶剤中でメチル化した後、そのメチル化後の16員環マクロライド誘導体から保護基を除去することにより製造する方法である。
不活性有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ヘキサン、ヘキサメチルホスホラミド(HMPA)、N,N’−ジメチルプロピレンウレア(DMPU)、クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、ベンゼン、トルエン又はその混合溶媒等が挙げられる。
また、前記一般式(7)中のAで表される「保護されていてもよいアルデヒド基」としては、アルデヒド基、或いはアセタール、チオアセタール、ケタール、チオケタール等の保護されているアルデヒド基が挙げられる。このような保護されているアルデヒド基としては、具体的にはジメチルアセタール、ジメチルケタール、ジエチルアセタール、ジエチルケタール、ジエチルチオアセタール、ジエチルチオケタール、エチレンアセタール、エチレンチオケタール、プロピレンアセタール、プロピレンケタール、或いはこれらに更にメチル基等の置換基が結合したもの等が挙げられる。
また、前記一般式(7)中のBで表される「保護されていてもよい水酸基」としては、水酸基、或いは下記保護基により保護されている水酸基が挙げられる。このような保護基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ(イソプロピル)シリル基、トリ(tert−ブチル)シリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジエチルシリル基、セキシルジメチルシリル基等のシリル系の保護基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基等のアルカノイル系の保護基、2−テトラヒドロフラニル基、2−テトラヒドロピラニル基等の保護基が挙げられる。
また、ラクトン環の2位のメチル化の方法としては、エステルに隣接するα位をアルキル化する一般的な方法を用いることができ、特に制限されるものではないが、具体的には、カリウムtert−ブトキシドや水素化ナトリウム等の塩基と反応させた後にメチル化剤を導入する方法や、シリルエノレート、チタンエノレート等を用いてエノレートを形成させた後に2位アルキル化を行う方法等を挙げることができる。なお、メチル化の反応を通じて、不活性有機溶媒中、室温又は冷却した温度条件下(好ましくは、−78〜0℃)で反応をさせることが好ましい。前記温度条件を超える高温となると、マクロライド化合物が分解する傾向にある。
また、保護基を除去する方法としては、通常用いられる方法を用いることができ、特に制限されないが、具体的には、アンモニア等の塩基、塩酸、硫酸等の無機酸で処理する方法や、トリフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸等の有機酸で処理する方法等が挙げられる。また、保護基がシリル系保護基である場合は、テトラブチルアンモニウムフルオリド、塩酸、酢酸等で処理する方法が挙げられる。なお、保護基の除去に際しては、20〜60℃の温度条件下、1〜72時間攪拌して反応させることが好ましい。
次に、前記一般式(1)中のXが=CH−OHである一般式(8):
Figure 2005298436
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
で表される16員環マクロライド誘導体の製造方法のうち代表的な例を説明する。このような16員環マクロライド誘導体の代表的な製造方法は、下記反応式(ii):
Figure 2005298436
(式中、Aは保護されていてもよいアルデヒド基を示し、Bは保護されていてもよい水酸基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
で表される製造方法である(以下、第二の製法という)。
すなわち、第二の製法は、反応式(ii)において一般式(9)で表される化合物の3位及び9位のカルボニル基(オキソ基)を還元して水酸基とした後、酸化剤を用いて9位を再酸化し、その後に保護基を除去することにより前記一般式(8)で表される16員環マクロライド誘導体を製造する方法である。
酸化する方法としては、ピリジニウムクロロクロメート、ピリジニウムジクロメート等のクロム化合物、Dess−Martin試薬、Jones試薬等の酸化剤を用いる方法の他、Swern酸化、Corey−Kim酸化等の方法を用いることもできる。
また、反応溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル等が用いられる。また、前記一般式(9)中のAで表される「保護されていてもよいアルデヒド基」及び前記一般式(9)中のBで表される「保護されていてもよい水酸基」は、前記第一の製法で説明したものと同様である。
また、カルボニル基を還元する方法としては、一般的な方法を用いることができ、特に制限されないが、具体的には、塩化セリウム等のランタノイド化合物や、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の存在下、アルコール中において水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤を添加して還元する方法が挙げられる。なお、還元に際しての反応条件としては、用いる還元剤によって適宜選択されるが、一般的には−20〜25℃の温度条件下、0.5〜2時間反応させることが好ましい。
また、9位を再酸化する方法としては、前記酸化剤により酸化する方法が挙げられる。また酸化に際しての反応条件としては、用いる酸化剤によって適宜選択されるが、一般的には−20〜25℃の温度条件下、0.5〜2時間反応させることが好ましい。
次に、本発明の16員環マクロライド誘導体の製造方法、すなわち、前記一般式(2)で表される16員環マクロライド誘導体の製造方法を説明する(以下、「第三の製法」という。)。このような本発明の16員環マクロライド誘導体の製造方法は、反応式(iii):
Figure 2005298436
(式中、Aは保護されていてもよいアルデヒド基を示し、B及びBはそれぞれ保護されていてもよい水酸基を示し、Rはメチル基又は水素原子を示す。)
で表される方法である。
先ず、第1工程として、反応式(iii)において一般式(3)で表される化合物の9位のカルボニル基を還元剤により還元した後、生成された9位の水酸基と、3位の水酸基及び19位のアルデヒド基が閉環することにより生ずるアセタールとに保護基を導入して一般式(4)で表される化合物を得る。
反応式(iii)中のAで表される「保護されていてもよいアルデヒド基」及び、B、Bで表される「保護されていてもよい水酸基」としては、前記第一の製法において説明したものと同様である。
また、カルボニル基を還元剤により還元する方法としては、前記第二の製法において説明した方法と同様である。また、還元剤の配合量としては、一般式(3)で表されている化合物の1モルに対して還元剤の配合量が、3〜6モルとなることが好ましい。なお、還元剤を導入することで得られた化合物を精製して得られる中間体を、以下「中間体a」という。
また、保護基を導入する方法としては、特に制限されないが、例えば前記第一の製法において説明した保護基を含有する化合物(保護剤)を、中間体aを不活性有機溶媒に溶解させた溶液に添加して保護基を導入する方法が挙げられる。具体的には、tert−ブチルジメチルシリルクロリド等の化合物を保護剤として添加し、攪拌して反応させることにより、保護基を導入する方法が好ましい。このような保護剤の配合量としては、中間体aの1モルに対して保護剤の配合量が、2〜4モルとなることが好ましい。また、保護基の導入に際しての反応条件としては、用いる保護剤によって適宜選択されるが、一般的にはDMF等の不活性有機溶媒中、20〜60℃の温度条件下、12〜24時間反応させて保護基を導入することが好ましい。
また、一般式(4)で表される化合物を精製する方法としては一般的な方法を用いることができ、特に制限されないが、具体的には、反応液から化合物を抽出した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥させて濃縮して得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製する方法等が挙げられる。
次に、第2工程として、前記一般式(4)で表される化合物に不活性有機溶媒中塩基を反応させてラクトン環の2位の水素原子を引き抜いた後、メチル化剤を反応させて前記一般式(5)で表される化合物を得る。
このような不活性有機溶媒としては、第一の製法で説明したものと同様である。また、塩基としては、水素の引き抜きに用いることができるものであればよく、特に制限されないが、ブチルリチウム、LDA(リチウムジイソプロピルアミド)のような塩基を好適に用いることができる。また、メチル化剤としては、ヨウ化メチル等の一般的なものが挙げられる。
また、2位の水素原子を引き抜く反応としては、窒素気流下、室温又は冷却した温度条件下(好ましくは−78〜0℃)で、不活性有機溶媒に塩基を配合した溶液に前記一般式(4)で表されている化合物を添加して、2位の水素原子を引き抜く反応が挙げられる。なお、反応時間としては、用いる塩基によって適宜選択されるが、一般的に、塩基の導入後5〜30分間反応を行わせることが好ましい。また、塩基の配合量としては、一般式(4)で表されている化合物の1モルに対して塩基の配合量が、3〜6モルとなることが好ましい。なお、ここで得られた化合物を精製して得られる中間体を、以下「中間体b」という。
また、メチル化剤を反応させる方法としては、一般的な方法を用いることができ、具体的には、窒素気流下、室温又は冷却した温度条件下(好ましくは−78〜0℃)で、不活性有機溶媒中の中間体bに、ヨウ化メチル等のメチル化剤を添加して攪拌し、反応させる方法が挙げられる。このような反応に際しては、メチル化剤を添加した後、0.5〜2時間攪拌して反応させることが好ましい。また、メチル化剤の配合量としては、中間体bの1モルに対してメチル化剤の配合量が、3〜6モルとなることが好ましい。
このようにしてメチル化した後の化合物を第1の工程で説明した精製方法と同様の方法を用いて精製し、一般式(5)で表されている化合物を得ることができる。
次に、第3工程として、前記一般式(5)で表される化合物中の保護基を除去した後、ラクトン環の9位を酸化して下記一般式(2)で表される16員環マクロライド誘導体を得る。
保護基を除去する方法としては、前記の第一の製法において説明した方法と同様である。なお、保護基を除去して得られた化合物を精製して得られる中間体を、以下「中間体c」という。
9位を酸化する方法としては、得られた中間体cを反応溶媒中に溶解して反応溶液を得た後、得られた反応溶液に酸化剤を導入することで酸化反応せしめる方法が挙げられる。酸化に際しての反応条件としては、0〜20℃の温度条件下、酸化剤を添加して0.5〜2時間攪拌して反応させることが好ましい。また、酸化剤の配合量としては、中間体cの1モルに対して酸化剤の配合量が、1〜2モルとなることが好ましい。なお、反応溶媒及び酸化剤としては、前記第二の製法で説明したものと同様である。
また、酸化剤を用いて中間体cの9位を酸化した後、この反応液から化合物を抽出し、これを精製することで目的の化合物である前記一般式(2)で表される16員環マクロライド誘導体を得ることができる。
前記一般式(2)で表される16員環マクロライド誘導体を精製する方法としては、特に制限されるものではないが、クロロホルムとメタノールとの混合溶媒(好ましい配合比(容量基準)は、9:1〜2:1)からなる展開溶媒を用いるpTLCによる精製が好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
合成例1〜2[中間体1:2β−メチル−3−デヒドロ−2’,4’,4’’−トリ−O−アセチルデスマイコシン−20−ジエチルアセタール(下記一般式(10)中、Aがジエチルアセタール基、Bがアセトキシル基、Rが水素原子、2位のメチル基がβ配置で表される化合物)、及び中間体2:2,2−ジメチル−3−デヒドロ−2’,4’,4’’−トリ−O−アセチルデスマイコシン−20−ジエチルアセタール(下記一般式(10)中、Aがジエチルアセタール基、Bがアセトキシル基、Rがメチル基で表される化合物)の合成]
一般式(10):
Figure 2005298436
出発物質である2,3−デヒドロ−2’,4’,4’’−トリ−O−アセチルデスマイコシン−20−ジエチルアセタールは公知の化合物(Lawrence C.Creemer,et al.,“3-Keto 16-Membered Macrolides Derived from Tylosin”,The Journal of Antibiotics,2002,Vol.55,No.4,p427〜436)である。本化合物1.54gをテトラヒドロフラン75mlに溶解後、氷冷下、カリウムtert−ブトキシド210.9mg、ヨウ化メチル0.2mlを添加して2時間撹拌した。反応液に水75mlを添加し、これを酢酸エチル150mlで2回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮し、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、2β−メチル−3−デヒドロ−2’,4’,4’’−トリ−O−アセチルデスマイコシン−20−ジエチルアセタールを595.3mg、2,2−ジメチル−3−デヒドロ−2’,4’,4’’−トリアセチルデスマイコシン−20−ジエチルアセタールを319.9mgそれぞれ得た。なお、中間体1及び中間体2は以下のような物性を示した。
中間体1の物性:(1)比旋光度:[α] +4.6°(c1.05,CHCl)(2)分子式:C5081NO18(3)マススペクトル(ESI−MS):m/z984[M+H](4)H NMR(500MH,CDCl):δ(ppm)0.89(17−H),1.11(21−H),1.31(2−Me)1.80(22−H),1.94(OAc),2.03(OAc),2.08(OAc),2.30(3′−NMe),3.40(2″−OMe),3.49(3″−OMe),3.55(2−H),5.79(13−H),6.08(10−H),7.06(11−H)。
中間体2の物性:(1)比旋光度:[α] −31.1°(c1.03,CHCl)(2)分子式:C5183NO18(3)マススペクトル(ESI−MS):m/z998[M+H](4)H NMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)0.92(17−H),0.97(18−H),1.13(21−H),1.33(2−Me),1.81(22−H),1.95(OAc),2.05(OAc),2.11(OAc),2.34(3’−NMe〉,3.42(2”−OMe),3.51(3”−OMe),5.94(13−H),6.08(H−10),7.18(11−H)。
実施例1[化合物1:2−メチル−3−デヒドロデスマイコシン(一般式(1)中のRが水素原子、Xが=C=Oで表される化合物)の製造]
前記のようにして得た中間体1の220.8mgをメタノール25mlに溶解し、これに28%アンモニア水0.1mlを添加して室温で72時間撹拌した。反応液を濃縮後、得られた残査をアセトニトリル4mlに溶解し、これに1N塩酸を1ml添加して室温で1時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加して中和した後、酢酸エチル50mlで2回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去して2−メチル−3−デヒドロデスマイコシンを161.2mg得た。本化合物はケト体、エノール体の平衡状態で存在する。このような化合物1は以下のような物性を示した。
化合物1の物性:(1)分子式:C4065NO14(2)マススペクトル(HRTOF−MS):m/z782.4343[M−H](理論値:782.4327(C4065NO14として計算))。(4)H NMR:δ(ppm)12.3(enol−OH)。
実施例2[化合物2:2,2−ジメチル−3−デヒドロデスマイコシン(前記一般式(1)のRがメチル基、Xが=C=Oで表される化合物)の製造]
前記の中間体2の262.7mgを化合物1の製法における手法と同様の手法で脱保護し、2,2−ジメチル−3−デヒドロデスマイコシン(化合物2)を96.5mg得た。このような化合物2は以下のような物性を示した。
化合物2の物性:(1)比旋光度:[α] +14.3°(c1.04,CHCl)(2)分子式:C4167NO14(3)マススペクトル(HRTOF−MS):m/z796.4496[M−H](理論値:796.4483(C4166NO14として計算))(4)H NMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)0.90(17−H),1.07(18−H),1.12(21−H),1.29(2−Me),1.32(2−Me),1.81(22−H),2.49(3’−NMe),3.44(2”−OMe),3.58(3”−OMe),6.03(13−H),6.11(10−H),7.19(11−H),9.82(20−H)。
合成例3[中間体3:2β−メチル−3−エピ−9−ヒドロ−2’,4’,4’’−トリ−O−アセチルデスマイコシン−20−ジエチルアセタール(下記一般式(11)中、Aがジエチルアセタール基、Bがアセトキシル基、2位のメチル基がβ配置で表される化合物)の合成]
一般式(11):
Figure 2005298436
前記のようにして製造された中間体1の261.4mgをメタノール6mlに溶解後、塩化セリウム7水和物148.4mgを添加して室温で30分撹拌した後、氷冷下、水素化ホウ素ナトリウム0.4gを添加して15分撹拌した。反応液に水50mlを添加し、これを酢酸エチル50mlで2回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮し、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、2β−メチル−3−エピ−9−ヒドロ−2’,4’,4’’−トリ−O−アセチルデスマイコシン−20−ジエチルアセタールを98.7mg得た。
中間体3の物性:(1)比旋光度:[α] +7.0°(c1.14,CHCl)(2)分子式:C5085NO18(3)マススペクトル(ESI−MS):m/z988[M+H](4)H NMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)0.72(18−H),0.88(17−H),0.97(21−H),1.36(2−Me),1.70(22−H),1.96(OAc),2.01(OAc),2.08(OAc),2.30(3’−NMe),2.65(2−H),3.44(2″−OMe),3.49(3″−OMe),4.11(9−H),5.36(13−H),5.67(10−H),6.32(11−H)。
実施例3[化合物3:2β−メチル−3−エピ−デスマイコシン(前記一般式(1)中のRが水素原子、Xが=C−OH(水酸基はβ配置)、2位のメチル基がβ配置で表される化合物)の製造]
中間体3の98.7mgをジクロロメタン6mlに溶解し、これに氷冷下、Dess−Martin試薬50mgを添加して1.5時間撹拌した。反応液に0.2N水酸化ナトリウム水溶液を10ml添加し、これを酢酸エチル20mlで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮し、得られた残査を実施例2と同様の手法で脱保護して2β−メチル−3−エピ−デスマイコシンを68.7mg得た。
化合物3の物性:(1)比旋光度:[α] −9.2°(c0.95,CHCl)(2)分子式:C4067NO14(3)マススペクトル(HRTOF−MS):m/z784.4495 [M−H](理論値:784.4483(C4066NO14として計算))(4)H NMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)0.78(17−H),0.84(18−H),1.13(21−H),1.31(2−Me),1.73(22−H),2.44(3’−NMe),2.56(2−H),3.41(2”−OMe),3.54(3”−OMe),5.85(13−H),6.16(10−H),7.02(11−H),9.67(20−H)。
合成例4[中間体4:9−ヒドロ−9,20−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−2’,4’,4’’−トリ−O−アセチルデスマイコシン−3,20−アセタール(前記一般式(4)中、B がアセトキシル基、B がO−tert−ブチルジメチルシリル基で表される化合物)の合成]
出発物質の2’,4’,4’’−トリ−O−アセチルデスマイコシン−20−ジエチルアセタール(前記一般式(3)において、Aがジエチルアセタール基、Bがアセトキシル基で表される化合物)は公知の化合物である(Lawrence C.Creemer,et al.,“3-Keto 16-Membered Macrolides Derived from Tylosin”,The Journal of Antibiotics,2002,Vol.55,No.4,p427〜436)。本化合物50.1gをメタノール1Lに溶解し、これに塩化セリウム7水和物28.8gを添加して室温で30分撹拌した。その後、氷冷下で水素化ホウ素ナトリウム9.7gを30分かけて添加し、添加終了より室温で10分撹拌した。反応液に1Mのリン酸水素二ナトリウム500mlを添加し、これを500mlの酢酸エチルで2回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮し、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して9−ヒドロ−2’,4’,4’’−トリ−O−アセチルデスマイコシン−20−ジエチルアセタールを22.4g得た。次いで本化合物22.2gを300mlのアセトニトリルに溶解し、これに1N塩酸水溶液75mlを添加し、室温で1時間撹拌した。反応液を1N水酸化ナトリウム水溶液で中和し、これを酢酸エチル300mlで2回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮し、得られた残査をN,N−ジメチルホルムアミド250mlに溶解した。これにtert−ブチルジメチルシリルクロリド10.9g、イミダゾール9.8gを添加し、45℃で18時間撹拌した。反応液に水250mlを加え、これをトルエン500mlで2回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮し、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して9−ヒドロ−9,20−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−2’,4’,4’’−トリ−O−アセチルデスマイコシン−3,20−アセタールを3.98g得た。
中間体4の物性:(1)比旋光度:[α] −8.4°(c1.04,CHCl)(2)分子式:C57101NO17Si(3)マススペクトル(ESI−MS):m/z1128[M+H](4)H NMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)0.87(Si(CHC(CH ),0.88(Si(CHC(CH ),0.98(21−H),1.73(22−H),1.97(OAc),2.04(OAc),2.09(OAc),2.33(3’−NMe),3.46(2”−OMe),3.50(3”−OMe),3.81(9−H),5.36(13−H),5.90(10−H),6.18(11−H)。
合成例5[中間体5:9−ヒドロ−9,20−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−2’,4’,4’’−トリス−O−トリエチルシリルデスマイコシン−3,20−アセタール(前記一般式(4)中、B がO−トリエチルシリル基、B がO−tert−ブチルジメチルシリル基で表される化合物)の合成]
中間体4の3.88gをメタノール250mlに溶解し、これに28%アンモニア水2mlを添加して室温で72時間撹拌した。反応液を濃縮後、得られた残査をN,N−ジメチルホルムアミド60mlに溶解し、これにトリエチルシリルクロリド3.5ml、イミダゾール2.8gを添加して室温で18時間撹拌した。反応液に水60mlを添加し、これを酢酸エチル120mlで2回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮し、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して9−ヒドロ−9,20−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−2’,4’,4’’−トリス−O−トリエチルシリルデスマイコシン−3,20−アセタールを3.37得た。
中間体5の物性:(1)比旋光度:[α] −17.5°(c1.00,CHCl)(2)分子式:C69137NO14Si(3)マススペクトル(ESI−MS):m/z1345[M+H](4)H NMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)0.87(Si(CHC(CH ),1.18(21−H),1.75(22−H),2.42(3’−NMe),3.47(2”−OMe),3.58(3”−OMe),5.44(13−H),5.84(10−H),6.14(11−H)。
合成例6〜7[中間体6:2β−メチル−9−ヒドロ−9,20−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−2’,4’,4’’−トリス−O−トリエチルシリルデスマイコシン−3,20−アセタール(前記一般式(5)中、B がO−トリエチルシリル基、B がO−tert−ブチルジメチルシリル基、Rが水素原子、2位のメチル基がβ配置で表される化合物)及び中間体7:2α−メチル−9−ヒドロ−9,20−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−2’,4’,4’’−トリス−O−トリエチルシリルデスマイコシン−3,20−アセタール(前記一般式(5)においてB がO−トリエチルシリル基、B がO−tert−ブチルジメチルシリル基、Rが水素原子、2位のメチル基がα配置で表される化合物)の合成]
窒素気流下、ジイソプロピルエチルアミン0.35ml、テトラヒドロフラン2ml、N,N’−ジメチルプロピニルウレア2mlの混液を−78℃に冷却し、これに中間体5(675.1mg)のテトラヒドロフラン溶液2mlを添加した。5分後にヨウ化メチル0.16mlを添加してさらに30分撹拌した後、反応液に水200mlを添加し、これを酢酸エチル200mlで2回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮し、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、2β−メチル−9−ヒドロ−9,20−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−2’,4’,4’’−トリス−O−トリエチルシリルデスマイコシン−3,20−アセタールを340.1mg、2α−メチル−9−ヒドロ−9,20−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−2’,4’,4’’−トリス−O−トリエチルシリルデスマイコシン−3,20−アセタールを39.2mg得た。
中間体6の物性:(1)比旋光度:[α] −2.1°(c0.84,CHCl)(2)分子式:C70139NO14Si(3)マススペクトル(ESI−MS):m/z1359[M+H](4)H NMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)1.26(2−Me),1.69(22−H),2.41(3’−NMe),2.52(2−H),3.47(2”−OMe),3.58(3”−OMe),5.42(13−H),5.71(10−H),5.94(11−H)。
中間体7の物性:(1)比旋光度:[α] −63.6°(c0.68,CHCl)(2)分子式:C70139NO14Si(3)マススペクトル(ESI−MS):m/z1359[M+H](4)H NMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)1.81(22−H),2.42(3’−NMe),2.46(2−H),3.46(2”−OMe),3.58(3”−OMe),3.82(3−H),5.46(13−H),5.98(10−H),6.29(11−H)。
実施例4:[化合物4:2β−メチルデスマイコシン(前記一般式(2)中、Rが水素原子、2位のメチル基がβ配置で表される化合物)の製造]
中間体6の107.3mgをアセトニトリル5mlに溶解し、これに水5mlを添加した。これにジフルオロ酢酸50μlを添加して45℃で72時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム溶液を添加して中和し、これを酢酸エチル50mlで2回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した。得られた残査をジクロロメタン3mlに溶解し、これに氷冷下、Dess−Martin試薬25mgを添加して1.5時間撹拌した。反応液に0.2N水酸化ナトリウム水溶液を10ml添加し、これを酢酸エチル20mlで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮し、得られた残査をクロロホルム−メタノール4:1を展開溶媒とするpTLCにより精製し、2β−メチルデスマイコシンを25.9mg得た。
化合物4の物性:(1)比旋光度:[α] −21.3°(c1.15,CHCl)(2)分子式:C4067NO14(3)マススペクトル(HRTOF−MS):m/z784.4477[M−H](理論値:784.4483(C4066NO14として計算)(4)H NMR(500MHz,CDCl):δ(ppm)0.86(17−H),0.95(18−H),1.13(21−H),1.21(2−Me),1.72(22−H),2.28(2−H),2.51(3’-NMe),3.41(2”−OMe),3.54(3”−OMe),5.82(13−H),6.15(10−H),7.11(11−H),9.63(20−H)。
実施例5[化合物5:2α−メチルデスマイコシン(前記一般式(2)中、Rが水素原子、2位のメチル基がα配置で表される化合物)の製造]
中間体7の53.5mgを実施例4と同様に処理し、2α−メチルデスマイコシンを18.9mg得た。
化合物5の物性:(1)比旋光度:[α] +3.8°(c0.43,CHCl)(2)分子式:C4067NO14(3)マススペクトル(HRTOF−MS):m/z786.4659[M+H](理論値:786.4640(C4068NO14として計算)(4)H NMR(500MHz,acetone―d):δ(ppm)0.94(17−H),0.99(2−Me),1.01(18−H),1.88(22−H),2.48(2−H),2.48(2’−NMe),3.45(2”−OMe),3.52(3”−OMe),5.88(13−H),6.40(10−H),7.23(11−H),9.69(20−H)。
(実施例で得られた化合物の評価)
<試験例1>
実施例1〜5において得られた化合物1〜5並びにデスマイコシン及びロキタマイシンについて、NCCLS標準法に準じた微量液体希釈法により試験菌に対する最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。測定用培地は、S.pneumoniaeでは2%馬溶血液加Cation−adjusted Mueller−Hintonbroth(2%LHB加CAMHB)を使用し、H.influenzaeではHaemophilus test medium(HTM)を使用した。最終接種菌数を10CFU/wellとし、35℃で20〜24時間好気培養した。各プレートの薬剤不含有培地における菌の発育を対照に、菌の発育の認められない最小の薬剤濃度をもってMICとした。その結果を表1に示す。なお、表中の数値の単位は(μg/ml)である。
Figure 2005298436
このように化合物1〜5は臨床上重要なグラム陽性菌に対して抗菌力を有し、化合物4はデスマイコシンと同等の抗菌力を有していた。また、化合物5はマクロライド耐性菌に対して特に強い抗菌力を示した。
<試験例2>
化合物4について、以下のようにして血漿中エステラーゼに対する抵抗性について評価した。すなわち、化合物4をラットの血漿中に37℃で1時間インキュベートした後、ラクトン開環体の存在比を未変化体との存在比として評価した。比較物質としてデスマイコシンを使用した。なお、開環体存在比は、以下の式によって計算した。
開環体存在比(%)=(ラクトン開環体量/未変化体残存量)×100
結果は、デスマイコシンの開環体存在比が16.6%であり、化合物4の開環体存在比は1%以下であった。このように化合物4はラット血漿中1時間で安定に存在したことから、2位のメチル基と3位の水酸基により相乗的に血漿中エステラーゼに対する抵抗性を獲得しことが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、抗菌活性を高水準に維持しつつ、血漿中における構造安定性が十分に高く生体内半減期の大幅な延長を可能とする16員環マクロライド誘導体及びその製造方法を提供することが可能となる。
したがって、本発明の16員環マクロライド誘導体は、抗菌活性を十分に発揮しつつ生体内半減期が延長されるため、抗菌剤として、特に抗生物質等として有用である。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1):
    Figure 2005298436
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Xは=CH−OH又は=C=Oで表される基を示す。)
    で表されることを特徴とする16員環マクロライド誘導体又はその塩。
  2. 下記一般式(2):
    Figure 2005298436
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
    で表されることを特徴とする請求項1に記載の16員環マクロライド誘導体又はその塩。
  3. 下記一般式(3):
    Figure 2005298436
    (式中、Aは保護されていてもよいアルデヒド基を示し、Bは同一でも異なっていてもよく、それぞれ保護されていてもよい水酸基を示す。)
    で表される化合物の9位を還元剤により還元した後、生成された9位の水酸基と、3位の水酸基及び19位のアルデヒド基が閉環することにより生ずるアセタールとに保護基を導入して下記一般式(4):
    Figure 2005298436
    (式中、Bは一般式(3)中のBと同義であり、Bは同一でも異なっていてもよく、それぞれ保護されていてもよい水酸基を示す。)
    で表される化合物を得る第1工程と、
    前記一般式(4)で表される化合物に塩基を反応させてラクトン環の2位の水素原子を引き抜いた後、メチル化剤を反応させて下記一般式(5):
    Figure 2005298436
    (式中、B及びBは一般式(4)中のB及びBとそれぞれ同義であり、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
    で表される化合物を得る第2工程と、
    前記一般式(5)で表される化合物中の保護基を除去した後、ラクトン環の9位を酸化して下記一般式(2):
    Figure 2005298436
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。)
    で表される16員環マクロライド誘導体を得る第3工程と、
    を含むことを特徴とする16員環マクロライド誘導体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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