JP3072743U - マット敷設用固定具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 地面に敷設されるマット面から地中に打ち込
まれる固定具身の引き抜き抵抗を大きくしてマットの安
定性を高め、汎用の固定具に替えて使用できて取り扱い
面からも煩雑さのないマット敷設用固定具を提供する。 【解決手段】 マット５面から地中に打ち込まれる固定
具１であって、基端に頭部２を有する固定具身３の先端
に、地中に打ち込まれて引き抜き抵抗を大きくする返し
４を設ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、マット敷設用固定具に関するものであり、さらに詳しくは、造成さ れた広い地面に植物を植栽して緑化するような時に、雑草、土壌流出などから植 物を保護し、その生育を助けるために長期的に地面に敷設されるようなマットを 固定するマット敷設用固定具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、土を積み上げたり（盛土）、土を削ったり（削土）して形成された 造成地では、新しい地面（土壌）が露出して景観が好ましくないばかりでなく、 地盤が軟弱になる。また、地面が露出したままに放置されると雑草が生えて地面 が荒れる原因にもなる。そこで、自然環境保護の立場から人為的に植物を植栽す ることが行われている。こうして、造成された地面に植栽された植物は、その根 が地中を縦横に張って地盤を強化するともに、緑化による景観保護の一石二鳥の 効果が得られる。

【０００３】 また、地面に植物を植栽するに当たって、表土の飛散や崩壊、流出を防ぎ、雑 草がむやみに生えるのを抑制し、植栽された植物を夏場の高温、乾燥から守るた めに、予め、地面にマルチング材を敷設することも多い。この場合のマルチング 材としては、従来より、稲藁類を束ねたものが一般的であったが、稲藁類を束ね た種類のマルチング材は、広い面積の地面に敷設するのが非常に面倒で、多くの 人手と時間を必要とし、施行性に難点がある。そこで、近年では、黄麻を原料と してフェルト状に加工した植生マットが広く使用されている。この黄麻を原料に した植生マットは、生産工場からロール巻マットの形で提供され、マットの敷設 現場で隣り合うマット縁部は接着剤等を使用して接合し、地面に対する固定は、 マット面から専用の固定具を地面に打ち込んで固定するので、地面には均一に簡 単に敷設することができて施工性が良い。

【０００４】 このように広い地面にマットを敷設するには、マット敷設現場の状況に合わせ て多くの固定具が使用される。また、マットが敷設される造成地の地面は、平面 に限らず、大小さまざまな凹凸や、盛土や削土により地面の硬さもいろいろとあ り、マットを地面に固定する上で、固定具としては、使用される場所により、さ まざまな形態のものが使用される。例えば、汎用の固定具としては、図１０に示 すような「釘」形態の固定具Ａの他に、図１１に示すような固定具Ｂ、Ｃ、Ｄ、 Ｅ等が多く使用されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、植生マットを地面に固定する汎用の固定具の基本的形態としては、 適宜長さのストレート状の固定具身の基端に頭部を設けたものであるため、軟弱 な地面等に打ち込まれた固定具は固縛力の不足からマット面が強風に煽られる等 して浮上力が作用すると、固定具が抜けてマットが地面から剥離するようなこと が起こる。このマットの剥離は、単に、マットの一部が一時的に地上に浮き上が るだけに止まらず、マット相互の接合部から破綻を生じてマット機能が消失する 原因にもなる。

【０００６】 そこで、本考案は、地面に敷設されるマット面から地中に打ち込まれる固定具 の引き抜き抵抗を大きくし、しかも、取り扱い面からは汎用の固定具と同じにで きるマット敷設用固定具を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するために、本考案のマット敷設用固定具は、地面に敷設し たマット面から地中に打ち込まれる固定具であって、基端に頭部を有する固定具 身の先端部に、地中に打ち込まれて引き抜き抵抗を大きくする返しを設けたこと を特徴とする。

【０００８】 ここで、本考案が適用されるマットは、造成された地面に敷設される汎用のも ので、一般的には、黄麻を原料としてフェルト状に加工した植生マット等である 。このマットは、生産工場から提供されたロール巻状のマットを敷設現場で地面 に拡げ、隣り合うマット縁部を重ねるなどして接着剤等を使用して接合し、マッ ト面から地中に固定具を打ち込んでマットは敷設される。

【０００９】 しかして、本考案の固定具は、汎用の固定具に替えて汎用の固定具と同じよう に使用されるもので、本考案に係る固定具によれば、マット敷設後に、強風に煽 られるなどしてマットに掛かる浮上力に対し、地面に打ち込まれた固定具身には 返しが存在するので、従来の固定具身がストレート状の固定具に比べ、引き抜き 抵抗を格段に大きくしてマットの安定性を高める。

【００１０】 また、地面が軟質な所に使用される固定具としては、固定具身に対し固定具身 先端部を鋭角に折曲して返しを形成すると、強度的にも返しの部分を堅固にし、 返しの長さの設定も自由にできて所要の引き抜き抵抗の大きなものが得られる。 また、固定具身先端部の曲げ加工で返しが形成できるので、固定具の生産性を高 めて安価に提供できる。

【００１１】 また、線材からなる固定具身に対し、その両端部をＺ型に折曲して頭部と返し を形成すると、固定具が地中に打ち込まれてマット面に頭部を当接させて固定具 身はマット面に対し傾斜して地面に打ち込まれて安定するので、マット縁部等を 固定するのに好適する。また、所定長さの線材両端部の曲げ加工で固定具がつく られるので、固定具の生産性を高めて安価に提供できる。

【００１２】 マットを地面に固定する上で、固定具身から出っ張る返しがあると、場所的に 地面が固いようなところでは固定具が打ち込み難いようなことがある。そこで、 固定具身面から切り起こし状に返しを形成し、該返しに撓み性を付与した構成に すると、地面に固定具を打ち込む際は、外圧により返しは自然に固定具身側に寄 って外への出っ張りを小さくして地中に打ち込まれるので、固定具が打ち込み易 くなり、作業性を向上できる。

【００１３】

【考案の実施の形態】

以下、本考案の実施の形態を、図面に基づいて説明する。

【００１４】 図１〜７は本考案の実施の形態を示すマット敷設用固定具の斜視図である。

【００１５】 図において、固定具１は、基端に頭部２を有する固定具身３の先端部に地中に 打ち込まれて引き抜き抵抗を大きくする返し４を設けている。

【００１６】 返し４は地面に打ち込まれて引き抜き抵抗を大きくする上で、形態的には、特 に制約はなく、固定具身３に対する返し４の位置や数についても適宜設定される 。なお、頭部２は、汎用の「釘」と同じ形態のものの他、同じ線材で固定具身３ と曲げ加工して連続的に形成されるもので、頭部２と固定具身３との基本構成は 汎用の固定具と同じである。

【００１７】 図１〜４に示す実施の形態の固定具１は、上述の図１０に示す汎用の「釘」形 態の固定具Ａを改良したものに相当する。

【００１８】 図１に示す実施の形態の固定具１では、固定具身３の下端部から側方に張り出 し状に返し４を形成している。図２に示す実施の形態の固定具１では、固定具身 ３の下端から側方２方向に張り出し状に返し４を形成している。図３に示す実施 の形態の固定具１では、固定具身３の下端から離れた位置に背向的に側方２方向 に張り出し状に返し４を形成している。この場合の変形実施例として、返し４を 固定具身面から切り起こし状に形成し、返し４に撓み性を付与した構成にすると 、固定具身３が固い地面等に打ち込まれるような時に、図８（ａ）に示すように 、外圧により返し４が固定具身３側に寄って外への出っ張りを小さくして打ち込 み易くし、マット敷設後にマット５に掛かる浮上力に対しては、図８（ｂ）に示 すように、返し４が地中に展開して地面に対する食い込み量を大きくして引き抜 き抵抗の増大が図られる。図４に示す実施の形態の固定具１では、固定具身３の 下端と中間部からそれぞれ側方２方向に張り出し状に返し４を形成している。

【００１９】 図５〜７に示す実施の形態の固定具１は線材を曲げ加工してなるもので、上述 の図１１に示す汎用の固定具Ｂ、Ｃ、Ｄを改良したものに相当する。

【００２０】 図５に示す実施の形態の固定具１は、線材の両端部をＺ型に折曲して頭部２と 返し４を形成している。この場合、頭部２は返し４と同じように固定具身３に対 し鋭角に形成すると、マット縁部５ａを固定する時に、図９（ａ）に示すように 、マット縁部５ａ上で固定具１を倒すようにして返し４の端部から打ち込みを開 始し、この後、固定具１を起こしマット面に対し所定の角度で傾斜させ（図９（ ｂ）、（ｃ）参照）、この傾斜を保持して地面に打ち込むと、最終的には、図９ （ｄ）に示すように、頭部２をマット縁部５ａ面に当接させて固定具身３はマッ ト面に対し内側向けに傾斜して安定する。また、図６に示す実施の形態の固定具 １は、線材の中央部に適宜長さの直線部（頭部２）を残し、その両側をコ字状に 曲げて固定具身３とし、この固定具身３に対し線材両端部を鋭角に側方に折曲し て返し４を形成している。図７に示す実施の形態の固定具１は、線材の一方の端 寄りの所でＵ字状に曲げ、このＵ状部をさらに側方に直角に曲げ加工して頭部２ を形成し、この頭部２から延びる片方の線材部を固定具身３とし、この固定具身 ３に対し線材端部を鋭角に側方に折曲して返し４を形成している。

【００２１】 本考案に係る固定具１は、黄麻を原料としてフェルト状に加工した植生マット 等を地面に敷設するのに使用され、汎用の固定具に替えて使用される。

【００２２】 本考案に係る固定具１によれば、マット敷設後に、強風に煽られるなどしてマ ットに掛かる浮上力に対し、地面に打ち込まれた固定具身３には返し４が存在す るので、従来のストレート状の固定具身の固定具に比べ、固定具１の引き抜き抵 抗を格段に大きくして長期に亘ってマットの安定性を高めることができる。

【００２３】

【考案の効果】

本考案は、以上説明したような形態で実施され、本考案のマット敷設用固定具 によれば、地中に打ち込まれる固定具身には返しが存在するので、マット敷設後 に、強風に煽られるなどしてマットに掛かる浮上力に対し、固定具の引き抜き抵 抗を格段に大きくして長期に亘ってマットの安定性を高めることができる。また 、形態的には、汎用の固定具とほとんど変わらず、汎用の固定具に替えて使用で きるので、取り扱い面からも煩雑なところはない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施の形態を示すマット敷設用固定具
の斜視図である。

【図２】本考案の実施の形態を示すマット敷設用固定具
の斜視図である。

【図３】本考案の実施の形態を示すマット敷設用固定具
の斜視図である。

【図４】本考案の実施の形態を示すマット敷設用固定具
の斜視図である。

【図５】本考案の実施の形態を示すマット敷設用固定具
の斜視図である。

【図６】本考案の実施の形態を示すマット敷設用固定具
の斜視図である。

【図７】本考案の実施の形態を示すマット敷設用固定具
の斜視図である。

【図８】（ａ）、（ｂ）は、本考案の係る固定具により
マットを固定する要領説明図である。

【図９】（ａ）、（ｂ）、（ｃ）は、本考案に係る固定
具によりマットを固定する要領説明面である。

【図１０】汎用の「釘」形態の固定具Ａを示す斜視図で
ある。

【図１１】地面に対するマットの敷設要領説明図であ
る。

【符号の説明】

１ 固定具 ２ 頭部 ３ 固定具身 ４ 返し ５ マット

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】地面に敷設したマット面上から地中に打ち
   込まれる固定具であって、基端に頭部を有する固定具身
   に、地中に打ち込まれて引き抜き抵抗を大きくする返し
   を設けたことを特徴とするマット敷設用固定具。
2. 【請求項２】固定具身に対し固定具身先端部を鋭角に折
   曲して返しを形成したことを特徴とする請求項１記載の
   マット敷設用固定具。
3. 【請求項３】線材からなる固定具身に対し、その両端部
   をＺ型に折曲して頭部と返しを形成したことを特徴とす
   る請求項１又は２記載のマット敷設用固定具。
4. 【請求項４】固定具身面から切り起こし状に返しを形成
   し、該返しに撓み性を付与したことを特徴とする請求項
   １記載のマット敷設用固定具。