JP3072715B2 - 連続鋳造機の電磁ブレーキ装置 - Google Patents

連続鋳造機の電磁ブレーキ装置

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JP3072715B2
JP3072715B2 JP08161586A JP16158696A JP3072715B2 JP 3072715 B2 JP3072715 B2 JP 3072715B2 JP 08161586 A JP08161586 A JP 08161586A JP 16158696 A JP16158696 A JP 16158696A JP 3072715 B2 JP3072715 B2 JP 3072715B2
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正志 河本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、鋼の連続鋳造に
おいて、鋳型内に溶鋼を注入する浸漬ノズルからの溶鋼
流に静磁場による制動(ブレーキ)を加え、溶鋼中の介
在物が流下して鋳片内に捕捉されるのを低減する電磁ブ
レーキ装置に関し、特に鋳型長辺の背面に電磁石装置を
配置した連続鋳造鋳型の改良に係るものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、連続鋳造においては、レードル
内の溶鋼をタンディッシュに注入し、タンディッシュか
ら浸漬ノズルを用いて水冷鋳型内に鋳込み、この水冷鋳
型の1次冷却により溶鋼外周に凝固シェルを形成し、鋳
型下方に配列された多数の鋳片支持ロール間を通過させ
ながらスプレー冷却等により2次冷却して凝固シェルを
成長させ、完全凝固した鋳片を引き抜くことにより、鋳
片を連続的に製造している。
【0003】このような連続鋳造鋳片の介在物を低減す
る方法として、水冷鋳型に電磁ブレーキ装置を組み込む
技術があり、この方法では、浸漬ノズルからの溶鋼注入
流に対して電磁ブレーキ装置の静磁場により制動力を加
えて溶鋼注入流を減速し、これにより、溶鋼中に含まれ
る介在物が凝固シェル内の溶融部分に深く侵入して凝固
シェル界面にトラップされるのを防止している。
【0004】このような電磁ブレーキ装置を鋼の連続鋳
造に適用すること自体は、特公平2−20349号公報
などで開示され公知である。また、特公平4−5998
8号公報には、電磁ブレーキ装置の構造として、平面視
長方形断面の鋳型の長辺側に、電磁コイルとコアとヨー
クからなる電磁石装置を対向配置し、複数組の磁極間に
静磁場を発生させることにより、鋳型内の溶鋼にブレー
キをかける。通常、電磁ブレーキ装置では、磁界の形成
の効率を上げる点から溶鋼を挟んで対向するコアの間隔
を最小限とする必要があるために、前記電磁ブレーキ装
置では、鋳型の長辺銅板の背面の冷却箱に凹部を設け、
この凹部に電磁石およびコアを挿入する構造が採用され
ており、鋳型と電磁石装置とが一体構造となっている。
【0005】さらに、特開平5−277645号公報に
は、鋳型と電磁石装置とを分離可能とした電磁ブレーキ
装置が提案されている。この電磁ブレーキ装置では、鋳
型の長辺銅板の背面の冷却箱に出し入れ可能な可動コア
を挿入し、固定コアと電磁コイルとヨークからなる電磁
石装置を、鋳型とは分離して配置し、鋳型支持枠(振動
架台)に支持させ、可動コアとの背面と固定コアの前面
との間に強磁性体からなるスペーサーを挿入配置して隙
間を10mm以下としている。冷却箱内の可動コアとス
ペーサーを取り外すだけで、鋳型銅板を取り外すことが
でき、電磁コイルを分解することなく、メンテナンスを
行うことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述の特公平4−59
988号公報に記載されているような鋳型と電磁石装置
が一体構造の電磁ブレーキ装置では、鋳型交換時におい
て、 電磁石装置への給電ケーブルの取外し・取付け作業
や防水対策施工等の作業、および電磁コイルを冷却する
ための冷却水の給水・排水管の脱着作業などを実施した
後に、鋳型と電磁石装置を一緒に吊り出さなねばならな
ず、鋳型交換の作業性を大幅に低下させ、連続鋳造機の
稼働率を低下させている。
【0007】さらに、この鋳型と電磁石装置が一体構造
の電磁ブレーキ装置では、連続鋳造中に鋳型と電磁石装
置が鋳型オシレーション装置により一緒に振動するた
め、 振動荷重が大きくなり、振動系の構造が大きくな
る、 同様に重量が増加することにより、鋳型交換クレー
ンやメンテナンスクレーン等の付帯設備の能力不足が生
じるなどの問題があった。
【0008】また、前述の特開平5−277645号公
報に記載されている鋳型と電磁石装置が分離可能な電磁
ブレーキ装置では、この場合も連続鋳造中に鋳型と電磁
石装置が鋳型オシレーション装置により一緒に振動する
ため、の問題がある他、 分割された可動コアと固定コア間の隙間が、磁束密
度の減衰を発生させるという致命的な問題があり、アイ
ディアとしては存在するが、実機での使用には多大のロ
スを生じさせる問題等があって、使用されていないのが
現状である。
【0009】この発明は、前述のような問題点を一挙に
解消すべくなされたもので、その目的は、鋳型と電磁石
装置とを完全に分離独立させることができる共に、分離
独立型でも一体型と同等の電磁ブレーキ能力を得ること
のできる連続鋳造機の電磁ブレーキ装置を提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明に係る電磁ブレ
ーキ装置は、溶鋼が注入される鋳型(平面視で水平断面
が長方形・丸形・正方形など)の背面に電磁石装置を設
け、この電磁石装置により鋳型内の溶鋼流に制動を加え
ながら連続的に引き抜いて鋳片を鋳造する連続鋳造機に
おいて、鋳型オシレーション装置により上下振動する
型の背面に固定され鋳型と一体の固定コア(鉄芯)と、
鋳型から分離独立して配設されると共に前記固定コアに
対して移動コア(鉄芯)が連続可能に位置する移動電磁
石装置と、鋳型から分離独立して基礎に固定されると共
に前記移動電磁石装置を鋳型に対して接離移動可能に支
持する支持架台とを備え、近接させた前記固定コアと前
記移動コアとの間に隙間を設け、この隙間の外周部を可
撓性を有するシール部材で覆うと共に、このシール部材
の内部における前記隙間に変形可能な磁性体(例え
ば、鉄粉などを充填し、固定コアと移動コアを一体化
する。
【0011】移動電磁石装置は、移動コアと、電磁コイ
ルと、固定コアおよび移動コアを鋳型の片側に複数配設
した場合に移動コア同士を接続するヨークとからなり、
鋳型およびその振動架台から機械的に分離独立して基礎
に固定した支持架台に前記移動電磁石装置を設置し、ガ
イドレールにより鋳型に対して進退移動可能とする。
【0012】移動電磁石装置の移動コアを鋳型の固定コ
アと一体化させる時の両コア間の隙間はできるだけ小さ
い方がよいが、3〜5mm程度であれば充分である。こ
の隙間に充填される磁性体粉は、磁束が作用しない状態
では落下してしまうので、移動コアあるいは固定コアの
いずれか一方の接合端部に可撓性と絶縁性を有する連接
・シール部材(薄いゴムシートやゴムチューブなど)を
取付けておき、隙間の外周を覆いながら隙間に磁性体粉
を充填する。
【0013】以上のような構成において、電磁ブレーキ
装置を作動させる時には、鋳型に対して移動電磁石装置
を接近移動させ、鋳型と一体の固定コアの背面と移動コ
アの正面とを適当な隙間をおいて対向させ、この隙間に
磁性体粉等の変形可能な磁性体を充填し、固定コアと移
動コアを磁気的に一体化させる。タンディッシュからの
溶鋼が浸漬ノズルを介して鋳型内に鋳込まれ、引き抜き
が開始されると、鋳型が鋳型オシレーション装置により
所定のストロークおよびサイクルで上下振動し鋳片が連
続的に製造される。
【0014】変形可能な磁性体は磁束を通す可撓性継手
としての機能を果たし、支持架台上に定置された移動電
磁石装置に対して、鋳型内の固定コアが鋳型と共に振動
しても、これを吸収し、また移動コアが磁性体を介して
固定コアと一体化した移動電磁石装置により浸漬ノズル
からの溶鋼流に制動力を加えて溶鋼注入流を減速し、溶
鋼中に含まれる介在物が凝固シェル内の溶融部分に深く
侵入して凝固シェル界面にトラップされるのを防止す
る。
【0015】連続鋳造が終了すると、移動電磁石装置の
電磁コイルに流れていた電流を遮断すれば、固定コアと
移動コア間の磁性体が落下し、固定コアと移動コアの縁
が切れる。また、鋳型交換の時は、この状態から移動電
磁石装置を鋳型から離れる方向に移動させ、鋳型の交換
などを行う。
【0016】 鋳型の交換などに際して、鋳型と移動
電磁石装置を完全に分離することができるので、電磁コ
イルの給電ケーブルあるいは冷却水の給排水管等は、若
干移動することはあるものの、脱着は不要となる。ま
た、移動電磁石装置を後方に移動させることで、鋳型の
交換作業やメンテナンス等が容易となる。
【0017】 移動電磁石装置が鋳型から機械的に分
離独立し、鋳型のみを振動架台に載置し、移動電磁石装
置は固定の支持架台に支持させることができるため、振
動架台や鋳型オシレーション装置の設計に当たっては、
鋳型の重量のみで行えばよく、振動発生装置系の設備を
小さく、安価な設備とすることができる。
【0018】 移動電磁石装置が鋳型から機械的に分
離独立しているため、鋳型の重量を従来一般の鋳型と同
様の重量とすることができ、鋳型交換時のハンドリング
設備の全てに、既存の設備を使用することができる。
【0019】 移動電磁石装置は基礎に固定された支
持架台上に定置されるため、電磁コイルおよびその冷却
装置のメンテナンスが簡単となり、また定量的な性能検
査が可能となる。さらに、移動電磁石装置は各種の鋳型
に対して共用することができる。
【0020】 鋳型と一体の固定コアと移動電磁石装
置の移動コアとの間には磁性体が充填されるため、電磁
石の発生する磁束密度の減衰はなく、電磁石によるブレ
ーキ性能が低下することはない。
【0021】図4(a)に示す電磁ブレーキ装置の概略
図において、隙間による磁束密度減衰は次のようにな
る。電磁コイルの巻数をN、電流をI、鉄の比透磁率を
μS (≒3000とする)、空気の透磁率をμ0 (4π
×10-7)、鉄芯端部の有効断面積をS〔m2 〕、磁束
をΦ〔wb〕、鉄芯の有効磁路長L〔m〕、鉄芯間隔を
l〔m〕とすると、磁気抵抗Rは(1)式で表される。
また、起磁力をF〔AT〕とすると、F=N・Iであ
り、磁束Φ〔wb〕は(3)式で表され、磁束密度B
〔T〕は(4)式で表される。
【0022】
【数1】
【0023】これをグラフに表すと、図4(b)に示す
ようになる。また、これに鉄芯間隙を変化させると(l
0 ’=0〜10mm)、図4(c)に示すように、減衰
する。以上から、本発明では、磁性体粉により隙間
0 ’を完全に無くすことができるため、隙間による減
衰のない一体の鉄芯と同等の磁束密度が得られる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、この発明を図示する一実施
例に基づいて詳細に説明する。これは、スラブの連続鋳
造に適用した例であり、図1はこの発明に係る電磁ブレ
ーキ装置を鋳型の長辺側に組み込んだ鋳型の縦断面図、
図2はその平面図である。図3に、鋳型側の固定コアと
電磁石側の移動コアの接合部分の詳細を示す。
【0025】図1において、図示しないタンディッシュ
内の溶鋼Aが浸漬ノズル2により水冷鋳型1内に鋳込ま
れ、水冷鋳型1の1次冷却により溶鋼表面に凝固シェル
が形成された鋳片を鋳片支持ロール3により案内支持し
ながらスプレー冷却等の2次冷却により凝固を促進し、
完全凝固した鋳片を引き抜くことにより、鋳片を連続的
に製造している。
【0026】水冷鋳型1は、一対の長辺銅板4間に一対
の短辺銅板5を移動可能に配置したスラブ幅可変の組立
鋳型であり、長辺銅板4の背面にはSUS製のバックア
ッププレート6が取付けられ、給水管8から冷却箱7に
導入されバックアッププレート6を通って排水管(図示
省略)から排出される冷却水により長辺銅板4が冷却保
持される。短辺銅板5の背面にも、SUS製のバックア
ッププレート9が取付けられており、このバックアップ
プレート9に冷却水の給水・排水管10および短辺銅板
5を移動させる幅調整装置11が接続されている。
【0027】このような構成の水冷鋳型1は図示しない
振動架台に載置され、連続鋳造中に図示しない鋳型オシ
レーション装置により所定のストロークおよびサイクル
で上下移動し、溶鋼Aが鋳型内面に焼き付くのを防止し
ている。
【0028】以上のような構成において、本発明では、
水冷鋳型1の長辺銅板4の冷却箱7内の所定位置に強磁
性体の固定コア(鉄芯)12を複数個配置して水冷鋳型
1と一体化し、水冷鋳型1とは分離独立して移動電磁石
装置13を基礎側に設置すると共に、この移動電磁石装
置13を水冷鋳型1に対して移動可能とする。
【0029】固定コア12は、冷却箱7の開口部に挿入
し、その正面がバックアッププレート9の背面に当接す
るように、冷却箱7に対して固定する。また、平面視で
溶鋼Aを挟んで対向する一対の固定コア12を、浸漬ノ
ズル2の左右両側に位置するように配設して合計4個と
する。
【0030】移動電磁石装置13は、鋳型の片側におい
て一対の固定コア12に対して連続可能な一対の移動コ
ア(鉄芯)14と、各移動コア14を取り囲む一対の電
磁コイル15と、一対の移動コア14を連結するヨーク
16からなり、このような構成の移動電磁石装置13を
水冷鋳型1を挟んで一対で配設する。なお、水冷鋳型1
を挟んで対向する一対の固定コア12は、それぞれの先
端部にN極、S極が形成されるように、それぞれの電磁
コイル15に流す電流の方向を決め、また浸漬ノズル2
の左右両側の吐出口からそれぞれ流出する溶鋼流の向き
が反対であるため、浸漬ノズル2の左右両側に位置する
固定コア12では磁極が逆となるようにする。
【0031】各移動電磁石装置13は、基礎に対して固
定した左右一対の支持架台17に載置すると共に、電磁
石支持装置18により水冷鋳型1に対して進退移動可能
とする。例えば、電磁石支持装置18は、電磁コイル1
5の下部に取付け、支持架台17の先端部上面に取付け
たガイドレールにより移動自在とする。この進退移動は
手動あるいは駆動装置(油圧シリンダやモータ・スクリ
ューロッド方式など)で行う。
【0032】移動電磁石装置13を水冷鋳型1に対して
移動させて固定コア12の背面に移動コア14の正面を
当接させるが、両者を磁気的に完全に一体化させるため
に、両者間に隙間を設け、この隙間に磁性体粉(鉄粉)
19を充填し、固定コア12と移動コア14とを鉄粉1
9とにより接続して一体的な鉄芯を形成し、強力な磁束
を流せるようにする。
【0033】鉄粉19を充填する隙間には、隙間の外周
部を覆う可撓性を有する絶縁材料からなるシール部材
(連接部材)20を予め取付けておき、このシール部材
20の内部に鉄粉19を投入して充填するようにすれば
よい。シール部材20には、ゴムシートやゴムチューブ
などを使用でき、また鉄粉入りシムパックなども活用で
きる。
【0034】図3(a)に示すのは、シール部材20に
ゴムシート20aを用いた例であり、移動コア14の接
合端部にゴムシート20a(輪ゴムの大型のもの)の基
部をゴムバンドやスチールバンド等のクランプ21でク
ランプし、非稼働時には先端部を捲くり上げておく。水
冷鋳型1をCCマシンに設置した時、固定コア12と移
動コア14の隙間を調整し、捲くり上げたゴムシート2
0aを伸ばしつつコア12・14間に鉄粉19を入れ
る。電磁コイルに通電すると、いったん充填した鉄粉1
9はN→Sの磁束の方向に並び、鉄粉19が漏れること
はない。従って、固定コア12側のゴムシート押さえは
不要である。
【0035】その他のシール部材20としては、図3
(b)に示すように、自在軸継手などに用いられている
タイヤカップリングやチューブカップリング20bでも
よい。
【0036】図3(c)に示すように、一般の蛇腹20
cを取付ける方法も簡単でよい。図3(d)に示すよう
に、消防ホース用の布地20dでもよい。その他、これ
らに準ずるものも使用可能である。
【0037】電磁コイル15の給電ケーブル22および
電磁コイル15を冷却する給・排水ホース23は、一端
を電磁コイル15に接続し、他端を基礎側に接続し、移
動電磁石装置13の移動を吸収できるように余裕を持た
せて配設すればよい。なお、24は給電ケーブル22の
端子箱であり、25は給・排水ホース23のジョイント
である。
【0038】以上のような構成の電磁ブレーキ装置にお
いて、 (1) 連続鋳造を開始する際に、移動電磁石装置13を水
冷鋳型1に対して接近する方向に移動させ、固定コア1
2の背面と移動コア14の正面との間に3mm程度の隙
間ができるように停止させ、シール部材20の内部に鉄
粉19を充填し、固定コア12と移動コア14を磁気的
に一体化させる。
【0039】(2) タンディッシュからの溶鋼が浸漬ノズ
ル2を介して水冷鋳型1内に鋳込まれ、鋳片の引き抜き
が開始されると、移動電磁石装置13の電磁コイル15
に電流を流し、浸漬ノズル2からの溶鋼流に対して静磁
場による制動を加える。鉄粉19により固定コア12と
移動コア14が一体的な鉄芯を形成し、強力な磁束を流
すことにより、磁束密度が減衰することがない。また、
水冷鋳型1は鋳型オシレーション装置により上下移動
し、一方の移動電磁石装置13は定置で上下移動しない
が、鉄粉19は変形可能であるため、固定コア12と移
動コア14を磁気的な一体化を保持した状態で固定コア
12の上下移動を吸収することができる。
【0040】(3) 水冷鋳型1を交換する時や電磁コイル
15のメンテナンスをする時には、電磁コイル15に流
れていた電流を遮断すれば、鉄粉19がシール部材20
内の下部に落下し、固定コア12と移動コア14の縁が
切れる。この状態から移動電磁石装置13を電磁石支持
装置18により水冷鋳型1から離れる方向に移動させれ
ば、水冷鋳型1と移動電磁石装置13を簡単に分離する
ことができる。水冷鋳型1は既存のハンドリング設備を
使用して容易に吊り出すことができ、鋳型交換作業を容
易に行うことができる。また、水冷鋳型のメンテナンス
もその場で容易に行うことができる。
【0041】移動電磁石装置13は支持架台17上に定
置されているため、電磁コイルの給電ケーブルや給排水
管を脱着する必要がなく、またメンテナンスもその場で
容易に行うことができる。さらに、移動電磁石装置13
を移動させて移動コア14を鋳型の固定コア12に接合
させればよいので、移動電磁石装置13は各種の水冷鋳
型1に対して共用することができる。これにより、従来
と比較して電磁石装置の保有数を大幅に削減することが
できる。
【0042】また、組立に際しても、水冷鋳型1を振動
架台上に据え付け、その後、鋳型背面部に移動電磁石装
置13を移動させ、前述の鉄粉充填作業を行うことで簡
単に組立を行うことができる。
【0043】なお、以上はスラブ用の偏平鋳型の場合に
ついて説明したが、これに限らず、その他の鋳型にも本
発明の電磁ブレーキ装置を適用できることはいうまでも
ない。
【0044】
【発明の効果】前述の通り、本発明は、鋳型の背面に固
定コアを固定して鋳型と共に上下移動可能とし、固定コ
アに対して移動コアが連続可能な移動電磁石装置を、水
冷鋳型から分離独立して基礎に固定された支持架台で支
持すると共に、水冷鋳型に対して接離移動可能とし、移
動コアと固定コアを変形可能な磁性体により一体化する
ように構成したため、次のような効果を奏する。
【0045】(1) 鋳型と移動電磁石装置が完全に分離独
立しているので、鋳型交換やメンテンナス等を簡単に、
かつ短時間に行うことができ、また電磁コイルの給電ケ
ーブルあるいは冷却水の給排水管等の脱着作業が不要と
なり、鋳造時間率(稼働率)を向上させることができ、
増産化を図ることができる。
【0046】(2) 鋳型のみを振動架台に載置し、移動電
磁石装置は固定の支持架台に支持させることができるた
め、振動架台や鋳型オシレーション装置の設計に当たっ
ては、鋳型の重量のみで行えばよく、振動発生装置系の
設備を小型化でき、安価な設備とすることができる。
【0047】(3) 移動電磁石装置が鋳型から機械的に分
離独立しているため、鋳型の重量を従来一般の鋳型と同
様の重量とすることができ、鋳型交換時のハンドリング
設備の全てに、既存の設備を使用することができる。
【0048】(4) 移動電磁石装置は基礎側に定置される
ため、電磁コイルおよびその冷却装置のメンテナンスが
簡単となり、また定量的な性能検査が可能となる。さら
に、移動電磁石装置を各種の鋳型に対して共用すること
ができ、従来各鋳型毎に設置していた電磁石装置の総量
を1/3程度に削減することができる。
【0049】(5) 鋳型と一体の固定コアと移動電磁石装
置の移動コアとの間には磁性体が充填されるため、電磁
石の発生する磁束密度の減衰はなく、電磁石によるブレ
ーキ性能が低下することはない。これにより、電磁石装
置分離独立型でも、一体型と同じ能力の電磁ブレーキ装
置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る電磁ブレーキ装置を組み込んだ
鋳型を示す縦断面図である。
【図2】この発明に係る電磁ブレーキ装置を組み込んだ
鋳型を示す平面図である。
【図3】(a)〜(d)は、この発明に係る電磁ブレー
キ装置における固定コアと移動コアの接合部分に設ける
シール部材の種々の例を示す側面図である。
【図4】(a)は電磁ブレーキ装置による磁路を示す概
略平面図、(b)はコア間の隙間と磁束密度の関係を示
すグラフ、(c)はコア間の隙間を変化させた場合の数
値変化を示す図表およびグラフである。
【符号の説明】
1…水冷鋳型 2…浸漬ノズル 3…鋳片支持ロール 4…長辺銅板 5…短辺銅板 6…バックアッププレート 7…冷却箱 8…給水管 9…バックアッププレート 10…給・排水管 11…幅調整装置 12…固定コア(鉄芯) 13…移動電磁石装置 14…移動コア(鉄芯) 15…電磁コイル 16…ヨーク 17…支持架台 18…電磁石支持装置 19…磁性体粉(鉄粉) 20…シール部材 21…クランプ 22…給電ケーブル 23…給・排水ホース
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/04 B22D 11/11 B22D 11/114

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶鋼が注入される鋳型の背面に電磁石装
    置を設け、この電磁石装置により鋳型内の溶鋼流に制動
    を加えながら連続的に引き抜いて鋳片を鋳造する連続鋳
    造機において、鋳型オシレーション装置により上下振動する 鋳型の背面
    に固定され鋳型と一体の固定コアと、鋳型から分離独立
    して配設されると共に前記固定コアに対して移動コアが
    連続可能に位置する移動電磁石装置と、鋳型から分離独
    立して基礎に固定されると共に前記移動電磁石装置を鋳
    型に対して接離移動可能に支持する支持架台とを備え、
    近接させた前記固定コアと前記移動コアとの間に隙間を
    設け、この隙間の外周部を可撓性を有するシール部材で
    覆うと共に、このシール部材の内部における前記隙間に
    変形可能な磁性体粉を充填し、固定コアと移動コアを
    体化してなることを特徴とする連続鋳造機の電磁ブレー
    キ装置。
JP08161586A 1996-06-21 1996-06-21 連続鋳造機の電磁ブレーキ装置 Expired - Lifetime JP3072715B2 (ja)

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