JP3072302B2 - 血圧降下作用を有する窒素を含有しない燐脂質類似化合物の製造方法 - Google Patents

血圧降下作用を有する窒素を含有しない燐脂質類似化合物の製造方法

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JP3072302B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は本願発明者等が特開昭62−195334号で開示し
た技術内容をより研鑽を加え開発した高血圧症に用いる
非窒素含有燐脂質血圧値降下抽出物に関するものであ
る。
[従来技術の問題点] 近年血圧降下作用を促す各種の物質の開発、その進展
は著しく本件に係る化合物は数多く発明され開示されて
いる。
しかしながら上記、一般的にこれらの作用を示す物質
分子内には窒素化合物が含まれている。
しかしこれらの物質はその持続性や即効性等に難点を
もつものが少なくない。そこで長時間に亘っての持続性
を有し、かつ即効性を有する物質の開発が要望されてい
る。
本発明に用いられるキノコ類、特にマイタケは従来よ
り栗、みずなら、等の古木に自生する天然のキノコであ
り、漢方薬の配合原料として、従来より珍重されてき
た。
近年、該マイタケ自体に含有されている各種の成分を
抽出しこれを制癌作用を有する薬剤や、又健康食品…等
に利用し、注目されているキノコである。近時、該マイ
タケの人工栽培による生産法が開発され多量の需要に対
応できることが可能となった。
[発明の目的] 本発明は、上記の事由に鑑みて、キノコ類特にマイタ
ケ科に属するキノコを原材料として血圧降下作用を有す
る薬物を抽出し臨床医学的に経口投与法のみならず、注
射法においても即効性を有し、かつ長時間の持続性並び
に副作用を皆無と成した物質を発明することを目的とす
るものである。
[発明の概要] 本発明の、キノコはサルノコシカケ科に属するマイタ
ケ(シロマイタケ、トンビマイタケ)を原材料とし、該
マイタケ菌糸体及び子実体より血圧降下作用を有する物
質を抽出できることは、上述の如く本件発明者等が特開
昭62−195334号公報で開示した様に明らかであるが本発
明においては、同一原材料より血圧降下作用を有する新
規物質を抽出したものである。
以下、本発明の新規化合物質の抽出方法を具体的に説
明する。
生マイタケ又は、乾燥マイタケ、或いは粉末マイタケ
をエーテルと混合させ50℃で約3時間熱処理の後、得ら
れた抽出物を更に濃縮する。
次に、アセトンで処理し、アセトン可溶物(ES−AS)
とアセトン不溶物(ES−AP)に分離する。
ES−AS・ES−AP共に血圧降下作用を示すが、後者のES
−AP物質を更にケイ酸を充填したカラムに吸着させ、ク
ロロホルム−メタノール−水(130:50:8)の混合液を用
いて溶出させ、5画分を取得する。
これらの画分は何れも血圧降下作用を示すが、この内
特に、該血圧降下作用が強く認められる画分を、コスモ
シール5C18カラムを担体とする液体クロマトグラフ法で
精製し、得られた物質を、ES−AP−3と命名する。
なお、該物質の溶出には、エーテール−メタノールの
混合液を用いる。
次に上記、ES−AP−3の、脱アシル化処理を行う。
即ち、クロロホルム−メタノール混合液中にメタノー
ル性苛性ソーダを添加し、一定時間27℃で放置後、更に
クロロホルム−メタノール−水の混合液を加え混和す
る。
続いて、遠心分離機でメタノール−水の層とクロロホ
ルム層とに分取する。次に、メタノール−水層に、アン
バーライト陽イオン交換樹脂を加える。
得られた上澄液に、メタノール性NH4OHを添加して中
和する。
更に濃縮した後、メタノール−水(10:9)の混合液を
加えて溶解し、該液を検液とする。
次に、ES−AP−3をホスホリパーゼCによる酵素処理
を行う。
即ちES−AP−3に、0.1Mトリス緩衝液に溶解した0.01
mgのホスホリパーゼCを加え、27℃で3時間反応させ
る。
終了後、有機層を蒸発させ、更にメタノールクロロホ
ルム−水混合液を添加する。
その後、遠心分離機で分取したメタノール−水層とク
ロロホルム層を各々検液とする。
次に、上述の如くにして、得られた検液で、具体的に
ラットによる血圧測定について説明する。
1)自然発症高血圧ラットを飼育し、収縮期血圧が165m
mHg以上に達したラットを用いる。
2)血圧測定はプレチスモグラフ法で非観血的に尾動脈
収縮期の血圧を調べ検液は33%プロピレングリコール溶
液にけん濁し経口投与する。
以下数例の実施例を列挙する。
(実施例第1) ES−APをKieselge160G−Silicaゲル60(4:1)の混合
物をカラムに充填し、クロロホルム−メタノール−水
(130:50:8)の混合液を移動相として用いる。
精製されたES−AP−3は燐酸塩を含有するが窒素は含
まない。
該ES−AP−3を前記ラットに2.0mg/kgを経口投与する
と下表の結果が得られた。
いずれもt−testはP<0.01で有意差> 上表で明らかな様にES−AP−3は有意の差で血圧降下
作用を示す物質であることを示すものである。
(実施例第2) ES−AP−3の化学構造を調査するため、赤外吸収スペ
クトルを測定すると、グリセロール型脂質に認められる
1736cm-1と長い脂肪鎖の存在を示す2928cm-1と2856cm-1
に各々強い吸収帯が見られる。
(実施例第3) 前記、検液を乾燥させCDCl3に溶解し′3H−核磁気共
鳴で分析し次の値を得る。
(この測定にはCOSY及びrelay cosy法を用いる) また13C−NMR測定でつぎの結果を得る。
(実施例第4) FD−質量分析(MS)を行うとつぎの値が得られる。
880(879),616,598,及び183 以上の結果により、マイタケ中に存在する血圧降下作
用を有する物質の構造は、次の一般式で示される窒素を
含有しない燐酸脂質類似の新規抽出物である、と結論さ
れる。
(発明の作用効果) 上述の如く従来より見出だされている、血圧降下作用
を示し得る燐酸脂質類似化合物は、窒素を含有するが、
本願発明の物質(ES−AP−3)には、全く窒素が存せ
ず、経口投与法のみならず、注射法によっても、速やか
に高血圧値を低下させると共に、経時的持続性を有し、
副作用が存在しなく、さらに、低い方の血圧値には何等
の影響も及ぼさない高血圧症に極めて有効な新規化合物
の提供である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マイタケ子実体及び菌糸体をエーテルで抽
    出し該抽出物質をアセトン処理してアセトン可溶物を除
    いて、アセトン不溶物を精製し、これを脱アシル化処理
    及びホスホリパーゼCによる酵素処理を行う事を特徴と
    する血圧降下作用を有する窒素を含有しない新規な燐脂
    質類似抽出物の製造方法
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