JP3070021B2 - Si用分子線セルと分子線エピタキシー装置 - Google Patents

Si用分子線セルと分子線エピタキシー装置

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JP3070021B2 JP9031096A JP3109697A JP3070021B2 JP 3070021 B2 JP3070021 B2 JP 3070021B2 JP 9031096 A JP9031096 A JP 9031096A JP 3109697 A JP3109697 A JP 3109697A JP 3070021 B2 JP3070021 B2 JP 3070021B2
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    • C30B23/00Single-crystal growth by condensing evaporated or sublimed materials
    • C30B23/02Epitaxial-layer growth
    • C30B23/06Heating of the deposition chamber, the substrate or the materials to be evaporated
    • C30B23/066Heating of the material to be evaporated

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、MBE装置におい
て、膜を作るに十分な量のSi分子線を得るためのSi
用分子線セルとこれを用いた分子線エピタキシー装置に
関する。
【従来の技術】MBE装置は超高真空中で加熱した基板
に適当な物質の分子線をあてその材料の薄膜を生成する
装置である。図2によって分子線エピタキシー装置(M
BE装置)の概略を述べる。中央上部にはマニピュレー
タ1があってこれが下向きに基板2を支持している。マ
ニピュレータ1は基板2を回転させる機能と基板2を加
熱する機能を有する。基板面に向かって材料の分子線を
照射するのが分子線セル3である。複数の分子線セル3
が放射状に設けられる。チャンバ6の壁面近くには液体
窒素のシュラウド5があってガスを吸着し、お互いの熱
干渉を防ぐようになっている。チャンバ6は超高真空に
引く事ができる。チャンバ6は他の真空室に連絡してい
てその真空室でウエハーを交換するようになっている。
縦長の分子線セルであるから4つ〜8つは簡単に設置で
きる。大型の場合は10以上の分子線セルを設けること
もできる。
【0002】分子線を生成する装置としては通常分子線
セル3(K−セル;クヌーセンセル)を用いる。これも
いろいろの変形例があるが典型的な一例を図4によって
説明する。有底円筒形状のるつぼ8を囲むように、ヒー
タ9が設けられる。これはリボン状のヒータ或いはコイ
ル状の抵抗加熱ヒータである。さらにその外側には複数
枚の円筒形反射板(リフレクタ)10が設けられる。ヒ
ータの熱を反射しるつぼの方に戻すためである。底面に
も反射板11がある。いずれも薄いタンタル(Ta)の
板を重ねたものである。
【0003】るつぼ8の下方には円板状の支持板12が
あり、側面反射板10の最外殻の板が支持板12に結合
されている。るつぼ8の上部の鍔部13が反射板10の
上部端によって支持される。るつぼは反射板10を介し
て支持板12によって支持されることになる。支持板1
2は支柱14によってさらに下方にある超高真空フラン
ジ15に結合されている。超高真空フランジ15はネジ
によってチャンバのフランジ16に取り付けられてい
る。ネジをはずすと、超高真空フランジ15ごとすっぽ
りと抜き取ることができる。
【0004】るつぼ8の底部には熱電対17の先端が接
触している。るつぼには材料固体を入れるが、真空中で
ヒータによって加熱され材料液体18になる。液体の状
態で蒸発し分子線になる。物質によっては液体の状態を
とることなく固体から直接に気体になる(昇華)ことも
ある。砒素Asや燐Pのような材料は液状にならないか
ら昇華させて分子線とする。るつぼはPBNを用いる事
が多い。PBNは耐熱性が高く多くの物質と反応しない
からるつぼ材料として最適である。分子線セルのるつぼ
としてPBN以上のものはないと思われている。それで
殆どの材料についてPBNをるつぼとする。分子線セル
はこのように縦長のPBNるつぼ8、これを囲む抵抗加
熱ヒータ9、円筒形反射板10などよりなる。図4の分
子線セルを複数個斜め上向きに設置した図2に示すもの
が通常の分子線エピタキシー装置である。このような装
置でGa、As、In、P、Al、Bなどを飛ばすこと
ができる。
【0005】問題はSiである。Siは融点(1410
℃)が高くて簡単には融けない。また融けたSiは極め
て反応性に富む。GaAsやInPの薄膜を形成したと
きにSiをドーパントとして微量添加する場合はSiに
ついても在来のPBNるつぼを使った分子線セルが用い
られる。GaAsのなかではSiは条件によってn型不
純物になったりp型不純物になったりする。重要なドー
パントである。ドーパントとする場合は分子線のフラッ
クス(単位時間の線量)が小さくてよいからSiは溶融
しないで固体のまま昇華させて分子線としている。固体
のままで融かさないからPBNのるつぼであってもSi
を保持できる。セル温度は融点より低いが微量の分子線
を生成できるのである。不純物としてSiを微量添加す
るのならこれで良い。
【0006】しかしより強いSiのフラックスが必要と
される場合がでてきた。Siの膜を生成するという場合
などである。3つの新たな需要について述べよう。例え
ばSi/Geの混晶膜を発光素子の材料として用いる試
みがなされる。Siは間接遷移型の半導体であるから発
光させるのは難しいがGeと混晶を作ることによって直
接遷移にすることができると言われており、GaAs等
に代わる発光素子の材料として研究されている。混晶膜
を作る場合は、かなりの分子線強度が必要になる。2番
目の需要はSiウエハーの上にSi薄膜を一様に形成し
その上にDRAMを作製するとSiウエハーに直接に形
成したものよりも品質のよいものが得られるかもしれな
い、と言われ研究されている。その場合はSi一様膜を
作るのであるから強いフラックスが必要である。不純物
を飛ばすような弱い分子線では時間がかかりすぎて現実
的でない。
【0007】3番目の需要としてはGaAsウエハーに
Si膜を付けてその上に新規な能動素子をつくろうとい
うものである。これも新しい試みであって希望がもて
る。いずれも実験段階の試みであるがSiの強い分子線
を必要としている。分子線強度を高めるにはやはりSi
を溶融し液体にしてから蒸発させる必要がある。Siの
融液は反応性が強くるつぼと反応しるつぼの材料を変質
させる。高温のSiの融液を支えることのできるような
堅牢で耐熱性ある容器はない。MBEで通常使用される
PBNるつぼは溶融Siと反応し、反応したものが成長
膜に取り込まれるという問題がある。さらにPBNるつ
ぼは溶融Siによって穴が穿く。PBNは溶融Siを保
持できない。従来はSi自体を容器とする他はなかっ
た。つまりSiの塊の一部を融かしてそのほかの固体部
分でその融液を保持するようにする。抵抗加熱ヒータで
は一部だけを溶融するというようなことはできない。
【0008】そこで局所的に加熱できる電子ビーム加熱
(EB加熱)を用いる。図3は電子ビーム加熱によるS
i分子線源を示す。EBガン用るつぼ19は浅い容器で
あるがここにSi固体20が収容されている。電子ビー
ム21を発するEBガンがあってそこからでた電子ビー
ムは磁場によって曲げられSi固体20の上面に衝突す
る。電子ビームを絞って狭い範囲に収束することができ
る。衝突した電子は運動エネルギーを失うのでここで熱
を生じる。熱によってSiが一部融ける。電子ビームが
当たるのは狭い領域であるからそれ以外のSiは固体の
ままである。丁度固体の上面にビームが当たるようにす
るからSiの固体部分20は池のようになりSi融液2
2をためることができる。池の周りは固体20であるか
ら金属製のるつぼ19によって保持できる。Siによっ
て金属るつぼ19が侵されることはない。
【0009】このように大フラックスのSi分子線を作
るためには電子ビーム加熱が用いられている。図1に分
子線セルとEBガンを併用した分子線エピタキシャル成
長装置の概略の断面図を示す。チャンバ6の一部に横向
きの円筒部を形成し先に鉛直方向の特別なフランジ24
を形成し、これにEBガン4を取り付けた超高真空フラ
ンジ23を固定するようになっている。EBガン4のさ
らに先にはEBガン用るつぼ19があってここにSi固
体20が収容される。EBガン4から電子ビームがでて
磁場によって曲げられSi固体20の上頂にあたり図3
のように上頂部にSi融液22の池を作る。Si融液2
2からSiの分子線が基板2に向けて照射される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】Siは高融点金属であ
って極めて扱いにくい。PBNるつぼが使えないのでや
むなく電子ビーム加熱して飛ばしているのが現状であ
る。局所加熱であり局所的にSiを融液にするがビーム
の状態が不安定であるために、融液量が常に変動する。
するとビーム量が時間的に変動して安定でない。薄膜の
厚みは時間で管理するがビームフラックスが不安定であ
ると薄膜厚みがばらついてしまう。分子線エピタキシャ
ル成長法は超格子など薄い薄膜を制御性よく成長させる
ために使われるから膜厚が正確に制御できないようでは
いけない。EBガンによる局所加熱にはこのような不安
定性がある。
【0011】もう一つの難点がある。電子ビームによっ
てSiの固体を叩くので一部がイオン化して飛ぶ。これ
がシュラウドに付着するとここが帯電する。帯電によっ
てフレーク(付着した不定型物)が飛び散り試料を汚染
することがある。さらなる欠点もある。図1によっても
分かるようにEBガンは装置の中に横向きに取り付けら
れるからより広い場所を占有してしまう。通常のPBN
分子線セルのように小さくない。中型の分子線エピタキ
シー装置の場合、PBNセルは8本ぐらい取り付けるこ
とができる。ところがEBガンの分子線セルは4本しか
取り付けることができない。PBNセルとEBガンセル
が混在する場合EBガンの存在が邪魔になって所望の数
の分子線セルを取り付けることができない。
【0012】このようにSiをEBガンによって飛ばす
のには難点が多い。EBガンよりもるつぼを使い抵抗加
熱による通常の分子線セルによってSiを飛ばしたいと
いう要望が依然として強い。本発明者は、Si分子線セ
ルとして、極めて巧妙なものをかつて発明している。実
願平2−25833号「高温用分子線セル」である。ヒ
ータ絶縁材にサファイヤを、るつぼにサファイヤ、高純
度アルミナ、高純度カーボンを、ヒータをタングステン
としたものである。サファイヤによってヒータを保持す
るからSiを溶融するような高温にしても不純物が飛ば
ない。るつぼをPBNにすると窒素が飛んで試料を汚染
するがサファイヤにすると窒素が出ないし高温に良く耐
えるからSi全体を融液にしてよく保持できる。
【0013】るつぼ・抵抗加熱にできたのはいいのであ
るが、サファイヤを多用する必要がありいかにも高価で
ある。PBNももちろん高価な材料であるがサファイヤ
をるつぼとヒータ絶縁材に使うと全体として極めて高価
な分子線セルになってしまう。やはり実用的な価額であ
ってしかもSiを抵抗加熱・円筒るつぼによって分子線
とすることのできる装置が欲しいものである。
【0014】EBガンによることなくSiを分子線にで
きる分子線セルを提供することが本発明の第1の目的で
ある。EBガンによることなく実用的に十分なフラック
スをうることのできるSi分子線セルを提供することが
本発明の第2の目的である。EBガンより寸法が小さい
Si分子線セルを使用しSi分子線セルを含むより多く
の分子線セルを収容できる分子線エピタキシー装置を提
供することが本発明の第3の目的である。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明のSi用分子線セ
ルは、3mm以上の肉厚をもつタンタル、タングステ
ン、モリブデン製のるつぼを抵抗加熱するものである。
つまり肉厚の高融点金属によってるつぼを作りこれを抵
抗加熱ヒータによって加熱する。ヒータの外側には反射
板があり輻射熱を反射する。電子ビーム加熱ではない抵
抗加熱である。EBガンは使わない。つまり通常のPB
Nるつぼを使う分子線セルと同じ形状をとるようにでき
る。通常の分子線セルのポートに取り付ける事ができス
ペースもEBガンの半分程度しか取らない。
【0016】どうして高融点金属の円筒形のるつぼでS
i融液を保持できるのか?これが疑問となろう。Siは
極めて反応性の強い金属でありSiの融点ではどのよう
な金属とも激しく反応する。それはそうなのであるが金
属とSiがシリサイドという化合物をつくる。これはS
iより安定な材料である。ある程度の厚みのシリサイド
ができるとこれが融液を遮断して金属をSi融液から保
護する作用をする。為にそれ以上Si融液と金属るつぼ
の反応が進まない。これ以後は金属シリサイドによって
守られて安定になる。金属るつぼが3mm以上あるとシ
リサイドが外部にまで出ないので金属層は守られる。タ
ンタル、モリブデン、タングステンでないといけないの
は、Siの融点以上の高温にも耐えるためである。るつ
ぼは内面を予めSiと反応させシリサイドの層を作りこ
れによって内面をコ−テイングしおくと更に良い。
【0017】本発明者は何年も前からSi用の抵抗加熱
分子線セルを開発してきた。PBNるつぼは高温にする
から窒素が出るし溶融Siと反応するから使えない。石
英るつぼはやはりSiと反応し脆くなって割れる。パリ
ロリティックカーボンPGを被覆したPBNるつぼもや
はり割れる。タンタルの0.1mm〜1mmの肉厚のる
つぼも作って試したがSiがるつぼを溶かし穴が開く。
タングステンやモリブデンでも試みたが1mm以下の肉
厚のものではSiのために穴が穿いてしまう。
【0018】そこで3mm以上のタンタルでるつぼを作
って分子線セルに組み込み試してみるとSi融液を保持
できSiの分子線を生成することができた。3mmもの
肉厚のるつぼというのはそれまでなかったものである。
融液に接触する面をシリサイドに変えることによって本
体をSiの反応性から防護するようにしている。敢えて
常識に挑戦してSiるつぼの難問を解決したのである。
【0019】
【発明の実施の形態】図5は、本発明が提案するSiの
るつぼの断面図である。タンタル、モリブデン、タング
ステン製の有底円筒のるつぼである。るつぼ30は肉厚
であって底部31、円筒部32、鍔部33よりなる。底
部31、円筒部32は3mm以上の肉厚がある。例えば
5mmとか4mmとかの分厚いものである。鍔部は融液
が直接にふれないから3mm以下であっても良い。これ
を図4のような分子線セルのるつぼとして使う。PBN
をこのるつぼに置き換えるだけでよい。図6は本発明の
実施例にかかるSi用分子線セルの断面図である。肉厚
金属の有底円筒るつぼ30がセルの中心にある。側面ヒ
ータ9や側面反射板10、底部反射板11などは同じよ
うに設ける。側面反射板10の一部によってるつぼ30
の鍔部が支持される。反射板10、11がるつぼ側へ熱
を反射する。支持板12が反射板9、10を支持する。
支柱14(図2)が、支持板12を超高真空フランジ1
5に固定する。熱電対17の先端をるつぼ30の底部に
接触させる。鍔部を側面反射板10によって支持する構
造も図4のものと同様である。リボンヒータあるいはコ
イル上のヒータ9によってるつぼを加熱する。抵抗加熱
してSiを全部融液にしてしまう。融液の表面積はるつ
ぼの断面積に等しく不変である。蒸発面積が同一である
から分子線強度は安定する。Siに接触する部分で金属
はシリサイドになるがこれがそれ以上の化学反応を防ぎ
金属を保護する。
【0020】さらに本発明者の先願である実願平2−2
5833号の工夫を加えればより効果的である。つまり
ヒータ絶縁材がサファイヤであり、ヒータがタングステ
ンであるようにする。また、他の手段としてヒ−タを自
立型とする方法もある。これならヒ−タ絶縁材を使用し
ないため、絶縁材を用いなくて済む。
【0021】
【実施例】本発明のSi用分子線セルは図5のようにコ
ンパクトになる。これを配置した分子線エピタキシー装
置は図2と同じようになる。抵抗加熱であって縦長のる
つぼを使うので通常の分子線セルになっておりスペース
を取らない。中型の規模の分子線エピタキシー装置の場
合8つの分子線セルを並べることができる。またるつぼ
内部のSiは全部融かして融液とする。液面積が一定で
温度も一定であるから分子線フラックスが安定しSi膜
厚を時間によって正確に制御することができる。制御
性、省スペースという二大特徴の他にもまだ利点があ
る。ヒータ電力がEBガンよりも小さくて済む。500
W〜1kW程度のヒータパワーによってSi分子線を飛
ばすことができる。電子ビームを飛ばさないからSiが
イオン化する可能性がない。イオンがシュラウドについ
て放電を惹起するというようなこともない。まことに優
れた発明である。
【0022】本発明の最も優れている点はその制御性で
ある。EBガンには望み難いことであるが抵抗加熱によ
る本発明は優れた制御性がある。制御パラメータはヒー
タ電流であるがそれがセルの温度を決めるからセル温度
をパラメータとしても良い。セル温度は熱電対によって
測定しており、扱い易い変数である。Siウエハーの上
にSi薄膜を成長させた場合、セル温度(℃)と成長速
度(nm)の関係を測定した。その結果を図7に示す。
1350℃のとき成長速度は4.3pm/sである。1
489℃で43pm/sである。1660℃の時に0.
48nm/sの程度である。温度を300℃変えること
によって薄膜成長速度を100倍にすることができる。
つまりSi分子線の強度を1倍〜100倍に変化させる
ことができる。ヒータパワーの調整によって所望の強度
の分子線を自在に作り出すことができる。極めて好都合
な性質である。
【0023】さらにSi基板上に成長させたSi薄膜の
成分をオージェ分析した。その結果を図8に示す。横軸
は電子の運動エネルギーである(eV)。縦軸はその電
子の強度を示す。X線を試料に与えると、X線によって
内殻の電子が叩き出される。その軌道に外殻の電子が落
ち込むのであるがそのときにX線が出る。外殻軌道と内
殻軌道のエネルギー差は元素によって決まるからそのX
線の強度によって元素が分かるのである。エネルギーに
よって元素を決めることができるがSi、C、O、Si
のピークがでているだけである。CとOはSi薄膜を大
気中にさらした結果現れたピークである。つまり膜内に
はSiだけが存在する。るつぼ材料であるタンタルは膜
中に存在しない。シリサイドの部分も蒸発していないこ
とが分かる。不純物の少ない薄膜を作製することができ
る。
【0024】
【発明の効果】本発明は金属厚肉のるつぼを使ってSi
を抵抗加熱して融液とし蒸発させて分子線としている。
EBガンを用いずに十分なフラックスのSi分子線を飛
ばす実用的な装置を初めて与えることができる。Si薄
膜をエピタキシャル成長させるという用途は増えつつあ
るからその需要に時宜良く応えることができる。サファ
イヤのるつぼのように高価額の装置にはならない。抵抗
加熱によってSiの全体を融液にしているから分子線の
フラックスの揺らぎはEBガンに比較して著しく小さく
なる。品質、膜厚の安定したSi薄膜を成長させること
ができる。微妙な膜厚の薄膜を成長することが多い分子
線エピタキシー装置に最適である。また分子線エピタキ
シー装置ではEBガンを使う装置は異質であるが本発明
によって在来のPBN分子線セルと同じ形状の分子線セ
ルを与えることができるので取扱い容易である。EBガ
ンよりも寸法が小さいのでより多くの分子線セルを一つ
の分子線エピタキシー装置に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】EBガンを用いた従来のSi分子線セルを含む
分子線エピタキシー装置の概略断面図。
【図2】抵抗加熱・円筒るつぼを用いる本発明のSi分
子線セルを含む分子線エピタキシー装置の概略断面図。
【図3】Si固体に電子ビームを当てて局所加熱し一部
だけを融液にして蒸発させSiの分子線とする従来の電
子ビーム加熱Si分子線セルの断面図。
【図4】PBNるつぼと抵抗加熱ヒータとより成る従来
の分子線セルの断面図。
【図5】本発明の分子線セルに用いられる肉厚金属円筒
からなるるつぼの断面図。
【図6】肉厚金属円筒のるつぼを用いた本発明のSi用
分子線セルの断面図。
【図7】Si基板の上に、本発明のSi用分子線セルを
用いて、Si薄膜を成長させたときのセル温度(℃)を
変えて成長速度(nm/s)を測定した結果を示すグラ
フ。
【図8】Si基板の上に、本発明のSi用分子線セルに
よってSi薄膜を成長させた場合のSi膜のオージェ分
析結果を示すグラフ。
【符号の説明】
1 マニピュレータ 2 基板 3 抵抗加熱分子線セル 4 EBガン 5 液体窒素シュラウド 6 チャンバ 8 るつぼ 9 抵抗加熱ヒータ 10 側面反射板 11 底面反射板 12 支持板 13 るつぼの鍔部 14 支柱 15 超高真空フランジ 16 取り付けフランジ 17 熱電対 18 原料融液 19 EBガン用金属るつぼ 20 Si固体 21 電子ビーム 22 Si融液 23 超高真空フランジ 24 取り付けフランジ 30 金属るつぼ 31 るつぼ底面 32 るつぼ円筒面 33 鍔部 34 シリサイド層

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンタル、タングステンあるいはモリブ
    デンによって作った肉厚が3mm以上のるつぼと、るつ
    ぼを抵抗加熱するヒ−タと、ヒ−タ熱を反射する為の反
    射板を含み、るつぼ内面とSi融液とが反応して形成さ
    れたシリサイドがるつぼ内面を保護するようにしたこと
    を特徴とするSi用分子線セル。
  2. 【請求項2】 ヒ−タ絶縁材がサファイヤであることを
    特徴とする請求項1に記載のSi用分子線セル。
  3. 【請求項3】 ヒ−タを自立型としたことを特徴とする
    請求項1に記載のSi用分子線セル。
  4. 【請求項4】 タンタル、タングステンあるいはモリブ
    デンによって作った肉厚が3mm以上のるつぼと、るつ
    ぼを抵抗加熱するヒ−タと、ヒ−タ熱を反射する為の反
    射板を含むSi用分子線セルと、PBNるつぼと抵抗加
    熱ヒ−タと反射板よりなるSi以外の原料の為の分子線
    セルとを含み、Si用分子線セルにおいてはるつぼ内面
    とSi融液とが反応して形成されたシリサイドがるつぼ
    内面を保護するようにしたことを特徴とする分子線エピ
    タキシー装置。
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