JP3069764B2 - 画像処理方法および画像処理装置 - Google Patents

画像処理方法および画像処理装置

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JP3069764B2 JP6146900A JP14690094A JP3069764B2 JP 3069764 B2 JP3069764 B2 JP 3069764B2 JP 6146900 A JP6146900 A JP 6146900A JP 14690094 A JP14690094 A JP 14690094A JP 3069764 B2 JP3069764 B2 JP 3069764B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、撮像素子の撮像領域内
を移動する物体表面の状態を縦横方向の割合が正確な画
像として再生するための画像処理装置に係り、特に、撮
像素子の分解能の1/1〜1/100程度の移動距離分解能を
もつ移動距離エンコーダを併設し、この移動距離エンコ
ーダから得られる物体の移動距離信号に基づいて撮像素
子からの画像信号取り込みタイミングを制御し、物体表
面の状態を最適画像に再生する画像処理手段に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、移動する物体表面を固体一次元セ
ンサなどの一次元撮像素子により撮像し二次元画像に再
生する場合、移動距離エンコーダから得られるパルス数
に基づいて計算された物体の移動速度を積算し、物体の
移動距離に換算し、一次元画像情報を二次元画像情報に
展開し、物体表面の状態を再現していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の方
法では、移動速度が頻繁に変化したり極端に遅い場合、
縦横方向の割合すなわち物体の移動方向とそれに直交す
る方向との割合が正確な画像として物体表面の状態を再
生することは困難であった。
【0004】例えば、CCDカメラのスキャンスピード
に比べてかなり分解能の悪い移動距離エンコーダを使用
する場合、各スキャン毎に信号処理をするのは困難であ
る。その結果、CCDカメラからフレームメモリに書き
込まれたデータについて、平均移動速度を積算して物体
の移動距離に換算し、一次元画像情報を二次元画像情報
に展開し、表示のためのフレームバッファに出力するこ
とになる。この平均移動速度を積算し物体の移動距離に
換算して得られる画像は、物体の加減速の時や極端に遅
い時などに、実際の移動距離とかけ離れてしまうので、
本来の物体表面の状態とはかなり異なる二次元画像とし
て再生されるという問題があった。
【0005】一方、移動距離エンコーダからのパルスが
所定値に達する毎にCCDカメラのスキャン開始をトリ
ガする単純な方式も考えられる。この方式では、物体の
移動速度に対応したトリガパルスが得られるから、物体
の移動が極端に遅い場合も、それに応じてパルス数が減
少するので、パルス数が所定値に達する毎にトリガして
CCDカメラのスキャンを開始させれば、物体の移動方
向に間延びが生ずることがなく、実際の移動距離を正確
に反映できる。
【0006】ところが、例えばCCDカメラでは、電荷
を所定周期以上の速さで転送しないと、電荷が飽和して
しまい、画面が白くなり、まともな画像情報が得られな
くなる。すなわち、ダイナミックレンジが極端に狭くな
る。
【0007】したがって、移動距離エンコーダからのパ
ルスが所定値に達する毎にトリガしCCDカメラのスキ
ャンを開始させる方式は、物体の移動が極端に遅い場合
にCCD素子の電荷が飽和してしまうので、CCDの電
荷転送速度すなわちスキャンスピードの下限により、物
体の移動速度の下限側が制限されるという欠点があっ
た。
【0008】なお、上記いずれの方式においても、物体
の移動速度がCCDカメラのスキャンスピードに比べて
かなり速い場合には、物体表面の情報の取りこぼしが生
じ、そのままの画像情報をつないで再生すると、物体の
移動方向にいわゆる寸詰まりの二次元画像として再生さ
れるという問題があった。
【0009】本発明の目的は、物体の移動速度にかかわ
りなく、移動する物体表面の状態をほぼ忠実に再生可能
な画像処理方法および画像処理装置を提供することであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、移動する物体表面を一次元撮像手段によ
り所定周期で撮像しフレームメモリに送るとともに、物
体の移動距離に基づいてフレームメモリ内の画像情報を
二次元画像情報に展開して画像表示用フレームバッファ
に送り、物体表面の状態を二次元画像に再生する画像処
理方法において、物体の移動速度が所定の基準速度の場
合は、一次元撮像手段からの1スキャン分の画像情報を
フレームメモリに取り込み、物体の移動速度が基準速度
よりも遅い場合は、所定の移動距離に達する毎に一次元
撮像手段からの1スキャン分の画像情報をフレームメモ
リに取り込み、物体の移動速度が基準速度よりも速い場
合は、直前のスキャンで取り込まれフレームメモリに記
憶されている画像情報を物体の移動速度に対応した回数
だけフレームバッファに複写し、画像情報に欠陥の発生
を示す変化が生じたときに欠陥検出信号を生成し、別設
のフレームメモリまたはフレームバッファに欠陥部分を
含む画像情報を一時的に退避させおよび/または別設の
外部記憶装置に格納し、呼び出し要求に応じて別設のフ
レームメモリまたはフレームバッファまたは別設の外部
記憶装置から上記画像表示用フレームバッファに再度呼
び出す画像処理方法を提案する。
【0011】本発明は、また、上記目的を達成するため
に、移動する物体表面を所定周期で撮像する一次元撮像
手段と、一次元撮像手段からの画像情報を記憶するフレ
ームメモリと、フレームメモリ内の画像情報を展開して
生成された二次元画像情報を記憶する画像表示用フレー
ムバッファと、物体の移動距離に応じてパルスを出力す
る移動距離エンコーダと、物体の移動速度VMが所定の
基準速度VMSのときに一次元撮像手段の1スキャンの間
に移動距離エンコーダで発生すべきパルス数EPOを保持
するレジスタと、移動距離エンコーダからのパルス数を
カウントするカウンタと、カウンタのカウント数EPCを
レジスタ内のパルス数EPOと比較し、カウンタのカウン
ト数EPCがレジスタ内のパルス数EPOと等しい場合は、
一次元撮像手段からの1スキャン分の画像情報をフレー
ムメモリに取り込ませ、1スキャンにおけるカウンタの
カウント数EPCがレジスタ内のパルス数EPOよりも少な
い場合は、レジスタ内のパルス数EPOに達する毎に一次
元撮像手段からの1スキャン分の画像情報をフレームメ
モリに取り込ませ、1スキャンにおけるカウンタのカウ
ント数EPCがレジスタ内のパルス数EPOよりも多い場合
は、直前のスキャンで取り込まれフレームメモリに記憶
されている画像情報を物体の移動速度VMに対応した回
数だけフレームバッファに複写させる制御手段と、フレ
ームバッファ内の二次元画像情報を表示するモニタと
らなり、物体の移動速度VMが基準速度VMSよりも速い
場合にフレームメモリからフレームバッファに複写させ
る回数NCOPYが、 NCOPY=(EB・EPC/BW)−1 だし、EB:移動距離エンコーダ分解能 BW:フレームメモリ1素子の分解能 回であり、カウンタが、複写回数演算時に生じたカウン
トの余り EPN=EPC−NCOPY・EPO を次回のカウント時に初期値として残しカウントアップ
するカウンタである 画像処理装置を提案する。
【0012】前記画像処理装置は、画像情報に欠陥の発
生を示す変化が生じたときに欠陥検出信号を生成する手
段と、欠陥部分を含む画像情報を一時的に退避させるフ
レームメモリまたはフレームバッファと、欠陥部分を含
む画像情報を格納する外部記憶装置と、別設のフレーム
メモリまたはフレームバッファまたは前記別設の外部記
憶装置から上記画像表示用フレームバッファに再度呼び
出す要求を入力する手段とを備えることもできる。
【0013】本発明は、応用製品として、金属帯板に連
続的に塑性変形を与え金属帯板を加工する金属加工装置
において、上記いずれかの画像処理装置の一次元撮像手
段および移動距離エンコーダを金属帯板の最終加工段よ
りも後に配置し、前記フレームメモリ,フレームバッフ
ァ,制御手段,レジスタ,カウンタ,モニタ等を金属加
工装置の近くに設置した金属加工装置を提案する。
【0014】金属加工装置は、具体的には、熱間圧延
機,冷間圧延機,プライトミル,テンションレベラ,連
続焼鈍炉,スリッタ,フライイングシャー,自動打抜機
のいずれかひとつである。
【0015】
【作用】本発明においては、画像情報に欠陥の発生を示
す変化が生じたときに欠陥検出信号を生成し、別設のフ
レームメモリまたはフレームバッファに欠陥部分を含む
画像情報を一時的に退避させおよび/または別設の外部
記憶装置に格納し、呼び出し要求に応じて別設のフレー
ムメモリまたはフレームバッファまたは別設の外部記憶
装置から上記画像表示用フレームバッファに再度呼び出
すので、モニタの画面を常時注視していなくとも、欠陥
の発生とその形状および/または位置等をチェックで
き、作業効率が上がる。また、このようにフレームメモ
リまたはフレームバッファを増設すれば、連続表示モー
ドと、欠陥が生じたときだけ欠陥を所望の位置に表示す
るバッチ表示モードとを明確に使い分けることができ
る。
【0016】さらに、物体の移動速度が基準速度よりも
速い場合にフレームメモリからフレームバッファに複写
させる回数を演算する時に、生じたカウントの余りを次
回のカウント時に初期値として残しカウントアップする
と、余りのパルス数を切り捨てることが避けられ、整数
化による誤差の蓄積が無くなり、物体移動方向の長さを
より忠実に再現した画像が得られる。
【0017】
【実施例】図1は、移動物体表面の状態を高精度に再生
するための本発明による画像処理装置の一実施例の構成
を示すブロック図である。CCDカメラ1は、移動物体
2の表面を撮像し、アナログ画像信号をA/D変換器3
に所定周期で出力する。A/D変換器3は、CCDカメ
ラ1からのアナログ画像信号にシェーディング補正等の
処理を施し、その補正されたアナログ画像信号をデジタ
ル画像信号に変換し、CCDカメラ1の画素数に対応し
た1フレーム当たりの記憶素子を有するフレームメモリ
4に出力する。フレームメモリ4に記憶された移動物体
2の表面のデジタル画像信号は、モニタ6に表示するた
めのフレームバッファ5に出力される。
【0018】一方、移動物体2の移動距離は、移動距離
エンコーダ7により取り込まれ、カウンタ8をカウント
アップさせる。CPU9は、カウンタ8からの物体移動
距離を示すカウントと、CCDカメラ1を最適解像状態
で動作させる条件を前記カウント値に対応して設定する
レジスタ10との値に基づいて、フレームメモリ4への
デジタル画像信号の書き込みタイミングとフレームバッ
ファ5への転送タイミングとを制御するとともに、移動
物体表面の状態を高精度に再生できるように、本画像処
理装置全体の動作を監視し制御する。CPU9は、必要
に応じて、フレームメモリ4および/またはフレームバ
ッファ5の画像信号を外部記憶装置例えばハードディス
ク駆動装置11内のハードディスクに転送して格納し、
オペレータから要求があったときは、前記画像信号を読
み出して再利用できるようにしておく。ここで、ロータ
リエンコーダ等の移動距離エンコーダ7は、CCDカメ
ラ1の幅方向分解能の1/1〜1/100程度の移動方向
分解能を有しており、物体の移動距離を高精度に検出で
きる。
【0019】図2は、図1の実施例においてCCDカメ
ラが所定周期で移動物体表面を撮像する場合の移動物体
表面における撮像位置の相互関係を示す模式図である。
なお、図2(B)においては、スキャン順次に重ねて描く
と、文字の判読が困難になるので、奇数番のスキャンの
結果を左側に描き、偶数番のスキャンの結果を右側に描
いてあるが、実際は、互いに50%ずつ重なっていると理
解すべきである。CCDカメラ1が所定周期で移動物体
2の表面を撮像する場合に、CCDの画素1個当たりの
移動物体表面における幅と物体が前記所定周期に移動す
る距離とを一致させれば、図2(A)に示すように、物体
移動方向の分解能とそれに直交する方向すなわち幅方向
の分解能とが等しくなり、しかも、物体移動方向に撮像
位置の重なりや空きが生ずることがなく、移動物体表面
の最良の再生画像が得られることになる。
【0020】これに対して、図2(B)のように、移動物
体の移動速度が半分になった場合、図2(A)と同じ所定
周期でCCDカメラ1からの画像信号をフレームメモリ
4に取り込むと、例えば第1スキャンの画像信号と第2
スキャンの画像信号との間に50%の重なりが生じ、これ
らを順次フレームバッファ5に送り込めば、物体移動方
向に2倍だけ間延びした物体表面の画像が得られること
になる。
【0021】この間延びを避けるには、この場合、奇数
番のスキャンの画像信号のみか偶数番のスキャンの画像
信号のみを順次フレームバッファ5に送り込めばよいこ
とが分かる。
【0022】これを一般化すると、移動速度が所定値よ
りも低下した場合には、移動距離が所定値に達した瞬間
毎に、所定周期でCCDカメラ1から出力される画像信
号をフレームメモリ4に取り込めば、不要な画像信号は
間引きされ、間延びした再生画像の発生を防止できる。
【0023】なお、CCDカメラ1からフレームメモリ
4には、CCDカメラ1のスキャン周期で画像信号をす
べて取り込み、フレームバッファ5に出力する時に間引
き処理する方式も考えられるが、物体の移動速度が低下
するほど、物体表面の重複の度合いが大きくなり、それ
につれてフレームメモリ4に要求される記憶容量も増大
するので、実用的でなく、本実施例のように、フレーム
メモリ4に取り込む段階で間引き処理する方式の方が、
実際的である。
【0024】一方、図2(C)のように、移動物体の移動
速度が倍になった場合に、図2(A)と同じ所定周期でC
CDカメラ1からの画像信号をフレームメモリ4に取り
込むと、例えば第1スキャンの画像信号と第2スキャン
の画像信号との間に1スキャン分の空きが生じ、これら
を順次フレームバッファ5に送り込めば、物体移動方向
に半分だけ寸詰まりとなった物体表面の画像が得られる
ことになる。
【0025】この寸詰まりを避けるには、この場合、直
前のスキャンで得られた画像信号を複写してフレームバ
ッファ5に送り込めば、空きの部分を補えることが分か
る。
【0026】これを一般化すると、移動速度が所定値よ
りも上昇した場合には、移動距離が所定値の整数倍に達
する毎に、所定周期でCCDカメラ1から出力される画
像信号を、(前記整数−1)回複写して補えば、ほぼ寸詰
まりの無い再生画像が得られる。
【0027】このように、CCDカメラ1の一次元セン
サのスキャンスピードと物体の移動速度とは、既に述べ
た理由から、常に同期させるわけにはいかないので、本
実施例においては、物体の移動速度に応じて、CCDカ
メラ1からの信号を間引きしまたは複写して、高精度の
画像を再生している。
【0028】次に、計算条件として、より具体的な数値 CCD素子数NCCD:2048[bit] 検査スピードVSCAN:300[μs/scan] 視野幅IW:430[mm] 物体の移動速度VM:0〜300[mpm](=0〜5[mps]) エンコーダ円周EL:333[mm] エンコーダパルス数EPR:25000[pulses/rotation]を入れて、図1の実施例を説明する。
【0029】CCDカメラ1の素子数に合わせたフレー
ムメモリ4を使用するための幅方向の分解能BWは、 BW=IW/NCCD=430/2048=0.21[mm/bit] ……(1) である。言い換えれば、フレームメモリの1素子の分解
能がBWとなる。
【0030】物体の移動速度VMが最適値であれば、す
なわち図2(A)のような場合には、物体移動方向の分解
能BLは BL=BW ……(2) となる。
【0031】しかし、実際の物体移動方向の分解能BL
は、物体の移動速度VMの関数として BL=VM/60[s]・1000[mm]・VSCAN・10-6[s]……(3)で表される。 この場合、実際の物体移動方向の分解能B
Lは,1スキャンの間に物体が移動する速度である。
【0032】逆に(2)式を満足するための条件は(1),
(3)式より VM=BW・60[s]/1000[mm]/VSCAN/10-6[s] =42[mpm](=700[mm/s]) ……(4) となる。
【0033】フレームメモリ4は(1),(2)式の仕様に
合わせて設計してあるので、フレームメモリ4の内容を
フレームバッファ5に転送して画像表示する際に、物体
の移動速度VMの値に応じて変わる1スキャン間の物体
の移動速度BLを補正する必要がある。(4)式に示した
ように、物体の移動速度VMが42mpmよりも低い時は、重
複スキャンとなるから、スキャンを間引きする。一方、
物体の移動速度VMが42mpmよりも高い時には、空きが生
じてしまうので、直前のスキャンで得られた画像信号を
複写する。
【0034】ハードウエアとしてそれらの機能を実現す
るには、ローラエンコーダ等の移動距離エンコーダ7の
カウント数(EP)を基準に、以下の処理を実行する。間
引き処理の場合、移動距離エンコーダ分解能EBは、 EB=EL/EPR ……(5) であり、(2)式を満たすためにVSCAN間に発生すべきパ
ルス数EPOは(6)式 EPO=BW/EB(=16パルス) ……(6)で与えられる。 すなわち、1スキャン開始からEPO(1
6パルス)に達する前にCCDカメラ1からA/D変換
器3を介して入力された画像信号は、重複していると判
断し、フレームメモリ4に取り込まない。
【0035】一方、複写処理の場合、(1),(3)式か
ら、複写回数NCOPY NCOPY=(BL/BW)−1(ただしNCOPYは整数)……(7)を計算する。 ここで、VMは、VSCAN間に発生するパル
ス数EPC VM=EB/1000[mm]・EPC・60[s]/VSCAN/10-6[s] ……(8)で表現できる。 (8)式を(3)式に代入して整理すると、 BL=EB・EPC ……(9) となり、これを(7)式に代入して、 NCOPY=(EB・EPC/BW)−1 ……(10)を得る。 (10)式において、移動距離エンコーダ7の分解
能EBおよびフレームメモリ4の1素子の分解能BWは、
検査システム固有の値で固定値であり、複写回数NCOPY
は、VSCAN間に発生するパルス数EPCにより一義的に決
まる。
【0036】上記具体的数値を代入してみると、物体の
移動速度が最高の300mpmの場合は、300÷42≒7とな
り、最高速度でも、0.21×7≒1.5[mm]程度の欠陥の存
在を検出可能である。すなわち、本実施例では、物体の
移動速度に応じて0.21〜1.5[mm]程度の物体移動方向分
解能で、欠陥を検出可能である。この分解能は、検出す
べき欠陥の大きさや物体の移動速度の変動範囲に応じて
適宜変更できる。
【0037】図3は、移動物体表面の状態を高精度に再
生するための本発明による画像処理手順の一実施例を示
すフローチャートである。スタートに先立って、物体の
移動速度VMが最適値となるようにVSCAN間に発生すべ
きパルス数EPO例えば16パルスをレジスタ10に設定
しておく。ステップ31においては、移動距離エンコー
ダ7からのパルスをカウントするカウンタ8をリセット
し、EPC=0とする。ステップ32においては、カウン
タ8が、移動距離エンコーダ7からのパルスをカウント
する。ステップ33においては、CPU9が、カウンタ
8のカウントEPCをレジスタ10に設定されたパルス数
EPOと比較し、EPC≧EPOとなる瞬間を検出する。すな
わち、CCDカメラ1の所定のスキャン周期に影響され
ることなく、物体の移動距離が所定値に達した時点で1
スキャン分の画像を取り込むタイミングを検出する。
【0038】ステップ34においては、EPC≧EPOとな
った瞬間のCCDカメラ1からの1スキャン分の画像信
号を、A/D変換器3を介して、フレームメモリ4に書
き込む。ここまでの手順によれば、物体の移動速度低下
に伴う再生画像の間延びが避けられる。ステップ35に
おいては、物体の移動速度VMが最適値を超えたかどう
かを判断するために、EPC≧2EPOか否かを判定する。
ステップ36においては、EPC≧2EPOである場合に
は、CCDカメラ1から所定のスキャン周期の画像信号
を取り込むだけでは、空きが生じてしまうので、直前の
スキャン分のフレームメモリ4の内容をNCOPY=(EB・
EPC/BW)−1回分だけフレームバッファ5に複写す
る。ただし、NCOPYは整数である。
【0039】図1のモニタ6は、フレームバッファ5に
生成された画像を表示する。なお、画像表示の際には、
カウンタ8のカウントに基づいてCPU9で計算した物
体の移動距離等を、図1に示すように、画面上に表示し
てもよい。
【0040】本実施例においては、CCDカメラ1から
の画像信号をA/D変換器3を介してフレームメモリ4
に書き込む際に、移動距離エンコーダ7の信号をカウン
タ8により計測し、CPU9でその情報に基づいて物体
2の移動速度を知り、フレームメモリ4に書き込む1回
毎のスキャン信号について、必要な場合は間引き処理を
施し、一方、フレームメモリ4からフレームバッファ5
に出力する際に、必要な場合は複写処理を施すので、物
体の移動速度が大幅に変化しても、フレームバッファ5
からモニタ6に出力される画像は、移動物体の表面の状
態をほぼ忠実に再現できる。
【0041】なお、図3の実施例では、ステップ31に
おいて、移動距離エンコーダ7からのパルスをカウント
するカウンタ8をリセットし、EPC=0としている。し
たがって、複写回数を整数化するときの余り分の誤差を
補正できない。この誤差が蓄積していかないように複写
回数を決めるには、次のような方式が考えられる。複写
回数を求める上記(10)式中の EB・EPC/BW は、(6)
式により、EPC/EPOに置き換えることができる。した
がって、整数化による余りのパルス数EPNは、 EPN=EPC−NCOPY・EPO ……(11)で表せる。 図3の実施例では、ステップ31において、
カウンタ8をリセットし、EPC=0としてこのEPNを切
り捨てていたが、誤差が蓄積していかないように複写回
数を決めるには、EPNをカウンタ8に残したままで、次
の複写回数を決めるカウントを開始すればよい。
【0042】このようにすると、整数化による余りのパ
ルス数EPNを切り捨てることが避けられ、物体移動方向
の長さをより忠実に再現した画像が得られることにな
る。
【0043】図4は、図1の実施例をアルミニウムスト
リップ等の金属帯板を矯正するテンションレベラに適用
した一実施例の概要を示す斜視図である。本実施例にお
いては、テンションレベラ30により平面性等を矯正さ
れた金属帯板が巻き取られる直前の位置に、CCDカメ
ラ1と移動距離エンコーダ7とを設置してあり、CCD
カメラ1からの画像信号と移動距離エンコーダ7からの
パルスとは、画像処理装置20に取り込まれる。画像処
理装置20は、図1の実施例で説明したようなA/D変
換器3,フレームメモリ4,フレームバッファ5,カウ
ンタ8,CPU9,レジスタ10,外部記憶装置11
と、レジスタ10に金属帯板の移動速度VMが最適値と
なるようにVSCAN間に発生すべきパルス数EPOを設定し
たりするためのキーボード等とを含み、モニタ6ととも
に、テンションレベラ30の近くに設置されている。
【0044】本実施例によれば、始動/停止時または矯
正作業中に金属帯板の移動速度が大幅に変化しても、金
属帯板の最適移動速度を基準として、この基準速度より
も遅い場合は、間延びした再生画像にならないように、
画像情報のフレームメモリへの取り込みを中止して間引
きし、それとは逆に前記基準速度よりも速い場合は、寸
詰まりの再生画像にならないように、直前に取り込んだ
画像情報を必要な回数だけ複写して補うので、金属帯板
の移動速度にかかわりなく、金属帯板の表面の状態をほ
ぼ忠実に再生可能な画像処理装置が得られ、金属帯板の
品質管理に有効である。
【0045】なお、図4においては、本発明の画像処理
装置をテンションレベラに適用した実施例を説明した
が、本発明の画像処理装置の応用分野は、これに限ら
ず、例えばアルミニウム圧延材の加工プラントにおい
て、熱間圧延機,冷間圧延機,プライトミル,連続焼鈍
炉,スリッタ,フライイングシャー,自動打抜機等によ
りそれぞれ加工された圧延材の表面検査すなわち圧延材
表面に生じているかもしれない欠陥の検査に適用可能で
あることは、容易に想像できるであろう。
【0046】図5は、図1または図4の実施例において
欠陥が検出された場合の画面表示手順の一変形例を示す
図である。本実施例は、図1または図4の実施例におい
て、A/D変換器3の出力をCPU9にも取り込むよう
にするとともに、フレームメモリ4およびフレームバッ
ファ5を少なくとも1つ増設して実現する。
【0047】本実施例において、CPU9は、取り込ん
だA/D変換器3の出力に所定値以上の変化があったと
き、移動物体の表面に欠陥があると判断し、欠陥検出信
号を出力し、欠陥を含む画像信号を増設したフレームメ
モリ4またはフレームバッファ5に格納し、図示しない
キーボード等からの指示により、モニタ6にいつでも呼
び出せるようにしておく。
【0048】なお、増設したフレームメモリ4またはフ
レームバッファ5に格納された欠陥を含む画像信号をハ
ードディスク等の外部記憶装置11に蓄積し、例えば欠
陥のデータベースとして利用してもよいことは勿論であ
る。
【0049】本実施例によれば、モニタ6の画面を常時
注視していなくとも、欠陥の発生とその形状および/ま
たは位置等をチェックでき、作業効率が上がる。
【0050】なお、このようにフレームメモリ4および
フレームバッファ5を少なくとも1つ増設すれば、連続
表示モードと、欠陥が生じたときだけ欠陥を所望の位置
(例えば常に画面中心を基準とした位置に)に表示する
バッチ表示モードとを明確に使い分けることができる。
【0051】この場合の連続表示モードにおいては、フ
レームバッファを複数用いる。例えば2つのフレームバ
ッファを備えている場合、通常は1スキャン毎にフレー
ムメモリ4からフレームバッファ51とフレームバッフ
ァ52とに交互に画像信号を転送し、モニタ6に表示す
る。欠陥の発生に気付いたオペレータが[画像固定]の
表示コマンドを入力したとすると、その瞬間の画像をフ
レームバッファ52が持っていたときは、フレームバッ
ファ51が次の[連続表示]コマンドの入力すなわち画
像固定解除に備えて、フレームメモリ4から1スキャン
毎の画像信号を取り込む。一方、[画像固定]の瞬間の
フレームバッファ52の画像信号は、モニタ6に表示さ
れるとともに、外部記憶装置11に蓄積され、欠陥のデ
ータベースとして利用される。この場合、間引き処理も
複写処理も上記実施例と同様に行なう。
【0052】この場合のバッチ表示モードにおいては、
フレームメモリを複数用いる。例えば2つのフレームメ
モリを備えている場合、図5の欠陥検出信号に基づいて
自動的に[欠陥表示]コマンドが発生したときのみ,フ
レームメモリ41またはフレームメモリ42に画像信号
を書き込む。フレームメモリ41およびフレームメモリ
42のいずれの書き込み時においても、間引き処理は上
記実施例と同様に行なう。一方、複写処理回数は、[欠
陥表示]コマンドが発生した瞬間の値を採用する。例え
ば、フレームメモリ41が欠陥部分の画像を含んでいる
場合、その欠陥部分を画面中心に表示したり、拡大縮小
処理したりする機能を備える。このバッチ表示中に、次
の欠陥検出信号が発生したら、残りのフレームメモリ4
2側が次のバッチ表示に備えて、A/D変換器3から画
像信号を取り込む。
【0053】欠陥の発生頻度に応じて、フレームメモリ
4およびフレームバッファ5をそれぞれ更に増設しても
よいことはいうまでもない。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、画像情報に欠陥の発生
を示す変化が生じたときに欠陥検出信号を生成し、別設
のフレームメモリまたはフレームバッファに欠陥部分を
含む画像情報を一時的に退避させおよび/または別設の
外部記憶装置に格納し、呼び出し要求に応じて別設のフ
レームメモリまたはフレームバッファまたは別設の外部
記憶装置から上記画像表示用フレームバッファに再度呼
び出すので、モニタの画面を常時注視していなくとも、
欠陥の発生とその形状および/または位置等をチェック
でき、作業効率が上がる。また、このようにフレームメ
モリまたはフレームバッファを増設すれば、連続表示モ
ードと、欠陥が生じたときだけ欠陥を所望の位置に表示
するバッチ表示モードとを明確に使い分けることができ
る画像処理方法および画像処理装置が得られる。
【0055】さらに、物体の移動速度が基準速度よりも
速い場合にフレームメモリからフレームバッファに複写
させる回数を演算する時に、生じたカウントの余りを次
回のカウント時に初期値として残しカウントアップする
ので、余りのパルス数を切り捨てることが避けられ、整
数化による誤差の蓄積が無くなり、物体移動方向の長さ
をより忠実に再現した画像が得られる画像処理装置を実
現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】移動物体表面の状態を高精度に再生するための
本発明による画像処理装置の一実施例の構成を示すブロ
ック図である。
【図2】図1の実施例においてCCDカメラが所定周期
で移動物体表面を撮像する場合の移動物体表面における
撮像位置の相互関係を示す模式図である。
【図3】移動物体表面の状態を高精度に再生するための
本発明による画像処理手順の一実施例を示すフローチャ
ートである。
【図4】図1の実施例をアルミニウムストリップ等の金
属帯板を矯正するテンションレベラに適用した一実施例
の概要を示す斜視図である。
【図5】図1または図4の実施例において欠陥が検出さ
れた場合の画面表示手順の一変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 CCDカメラ 2 移動物体 3 A/D変換器 4,41,42 フレームメモリ 5,51,52 フレームバッファ 6 モニタ 7 移動距離エンコーダ 8 カウンタ 9 CPU 10 レジスタ 11 HDD(外部記憶装置) 20 画像処理装置 30 テンションレベラ
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G06T 7/00 G06F 15/64 325A 7/20 15/70 410 (56)参考文献 特開 昭63−215954(JP,A) 特開 平4−122845(JP,A) 特開 平4−166750(JP,A) 特開 平1−136055(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01B 11/00 - 11/30 102 G01N 21/84 - 21/958 B21C 51/00 B21K 27/00 G06T 1/00 G06T 7/00 G06T 7/20

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 移動する物体表面を一次元撮像手段によ
    り所定周期で撮像しフレームメモリに送るとともに、前
    記物体の移動距離に基づいて前記フレームメモリ内の画
    像情報を二次元画像情報に展開して画像表示用フレーム
    バッファに送り、前記物体表面の状態を二次元画像に再
    生する画像処理方法において、 前記物体の移動速度が所定の基準速度の場合は、前記一
    次元撮像手段からの1スキャン分の画像情報を前記フレ
    ームメモリに取り込み、 前記物体の移動速度が前記基準速度よりも遅い場合は、
    所定の移動距離に達する毎に前記一次元撮像手段からの
    1スキャン分の画像情報を前記フレームメモリに取り込
    み、 前記物体の移動速度が前記基準速度よりも速い場合は、
    直前のスキャンで取り込まれ前記フレームメモリに記憶
    されている画像情報を前記物体の移動速度に対応した回
    数だけ前記フレームバッファに複写し、 前記画像情報に欠陥の発生を示す変化が生じたときに欠
    陥検出信号を生成し、 別設のフレームメモリまたはフレームバッファに前記欠
    陥部分を含む画像情報を一時的に退避させおよび/また
    は別設の外部記憶装置に格納し、 呼び出し要求に応じて前記別設のフレームメモリまたは
    フレームバッファまたは前記別設の外部記憶装置から上
    記画像表示用フレームバッファに再度呼び出す ことを特
    徴とする画像処理方法。
  2. 【請求項2】 移動する物体表面を所定周期で撮像する
    一次元撮像手段と、前記一次元撮像手段からの画像情報
    を記憶するフレームメモリと、前記フレームメモリ内の
    画像情報を展開して生成された二次元画像情報を記憶す
    る画像表示用フレームバッファと、前記物体の移動距離
    に応じてパルスを出力する移動距離エンコーダと、前記
    物体の移動速度VMが所定の基準速度VMSのときに前記
    一次元撮像手段の1スキャンの間に前記移動距離エンコ
    ーダで発生すべきパルス数EPOを保持するレジスタと、
    前記移動距離エンコーダからのパルス数をカウントする
    カウンタと、前記カウンタのカウント数EPCを前記レジ
    スタ内のパルス数EPOと比較し、前記カウンタのカウン
    ト数EPCが前記レジスタ内のパルス数EPOと等しい場合
    は、前記一次元撮像手段からの1スキャン分の画像情報
    を前記フレームメモリに取り込ませ、前記1スキャンに
    おけるカウンタのカウント数EPCが前記レジスタ内のパ
    ルス数EPOよりも少ない場合は、前記レジスタ内のパル
    ス数EPOに達する毎に前記一次元撮像手段からの1スキ
    ャン分の画像情報を前記フレームメモリに取り込ませ、
    前記1スキャンにおけるカウンタのカウント数EPCが前
    記レジスタ内のパルス数EPOよりも多い場合は、直前の
    スキャンで取り込まれ前記フレームメモリに記憶されて
    いる画像情報を前記物体の移動速度VMに対応した回数
    だけ前記フレームバッファに複写させる制御手段と、前
    記フレームバッファ内の二次元画像情報を表示するモニ
    タとからなり、 前記物体の移動速度VMが前記基準速度VMSよりも速い
    場合に前記フレームメモリから前記フレームバッファに
    複写させる回数NCOPYが、 NCOPY=(EB・EPC/BW)−1 だし、EB:移動距離エンコーダ分解能 BW:フレームメモリ1素子の分解能 回であり、 前記カウンタが、前記複写回数演算時に生じたカウント
    の余り EPN=EPC−NCOPY・EPO を次回のカウント時に初期値として残しカウントアップ
    するカウンタである ことを特徴とする画像処理装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の画像処理装置におい
    て、 前記画像情報に欠陥の発生を示す変化が生じたときに欠
    陥検出信号を生成する手段と、 前記欠陥部分を含む画像情報を一時的に退避させるフレ
    ームメモリまたはフレームバッファと、 前記欠陥部分を含む画像情報を格納する外部記憶装置
    と、 前記別設のフレームメモリまたはフレームバッファまた
    は前記別設の外部記憶装置から上記画像表示用フレーム
    バッファに再度呼び出す要求を入力する手段とを備えた
    ことを特徴とする画像処理装置。
  4. 【請求項4】 金属帯板に連続的に塑性変形を与え前記
    金属帯板を加工する金属加工装置において、請求項2または3に 記載の画像処理装置の一次元撮像手
    段および移動距離エンコーダを金属帯板の最終加工段よ
    りも後に配置し、 前記フレームメモリ,フレームバッファ,制御手段,レ
    ジスタ,カウンタ,モニタ等を前記金属加工装置の近く
    に設置したことを特徴とする金属加工装置。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の金属加工装置におい
    て、 前記金属加工装置が、熱間圧延機,冷間圧延機,プライ
    トミル,テンションレベラ,連続焼鈍炉,スリッタ,フ
    ライイングシャー,自動打抜機のいずれかひとつである
    ことを特徴とする金属加工装置。
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