JP3069307B2 - アルミニウム缶の製法 - Google Patents

アルミニウム缶の製法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアルミニウム缶の製
法に関する。さらに詳しくは、耐食性とガスバリヤー性
を要求されるアルミニウム缶、例えば飲料用アルミニウ
ム缶の製造に好適な製法に関する。
【0002】
【従来の技術】飲料用アルミニウム缶においては耐食性
が要求され、また充填される飲料物の種類によっては缶
容器内にガスが充填されているので、ガスバリヤー性が
要求される。
【0003】従来、耐食性とガスバリヤー性はアルミニ
ウム缶の内外面に塗装を施すことで付与していたが、最
近では耐食性とガスバリヤー性をより向上させるためア
ルミニウム缶の内外面にプラスチックフィルム、とくに
ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(以下、PE
Tフィルムという)をラミネートすることが検討されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところでプラスチック
フィルムの引張強さや伸び、破裂強さなどの機械的性
質、またガスバリヤー性等の化学的性質は、プラスチッ
クフィルムの結晶化度に大きく影響を受けることが知ら
れている。たとえば、PETフィルムでは結晶化度が低
いと機械的性質が強いので製缶加工が容易となるが、ガ
スバリヤー性が劣り飲料用容器として使えない。また結
晶化度が高いとガスバリヤー性が良くなるが、機械的性
質が弱くなって製缶加工が困難となり歩留りが低くな
る。結晶化度を高くもなく低くもない程々にすると、歩
留りもガスバリヤー性も中途半端となり、これも好まし
くない。
【0005】本発明はかかる事情に鑑み、製造上の歩留
りもよく、ガスバリヤー性も高いアルミニウム缶の製法
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のアルミニウム缶
の製法は、アルミニウムシートにプラスチックフィルム
をラミネートする第1工程、第1工程で得られたラミネ
ートを加熱し、ついで冷却することによりプラスチック
フィルムの結晶化度を0〜15%とする第2工程、第2工
程で得られたラミネートシートでアルミニウム缶を製缶
し、かつ該製缶工程のなかで缶胴部にしごき加工を施し
てプラスチックフィルムの結晶化度を40〜80%とする第
3工程、第3工程で得られたアルミニウム缶をガラス転
移温度以上に保持してプラスチックフィルムの結晶化度
を80〜 100%にする第4工程からなることを特徴とす
る。
【0007】本発明によると、第1工程でプラスチック
フィルムをラミネートしたアルミニウムシートを第2工
程で加熱し、ついで冷却するとプラスチックフィルムの
結晶化度が低下し0〜15%となる。このように製缶前に
プラスチックフィルムの結晶化度を下げると引張強さや
伸びなどの機械的性質が良くなるので、次工程の製缶加
工における分留りが向上する。
【0008】第3工程では前記第2工程で得られたアル
ミニウムシートで製缶加工するが、通常最初に深しぼり
により缶形状を作り、つぎに胴部をしごき加工を加えて
寸法精度を高め、最後にフタを巻締めして製缶加工を終
える。この工程中に胴部外面のプラスチックフィルムは
しごき加工を加えられて結晶化度が上昇する。
【0009】さらに第4工程の熱処理によってプラスチ
ックフィルムの結晶化度が 100%まで上昇する。これに
より、ガスバリヤー性がより一層高くなる。
【0010】以上のように本発明では、製缶加工前に結
晶化度を低くして加工を容易にし、これにより歩留りを
高め、実質上強加工が不要になった段階から結晶化度を
高めているので、ガスバリヤー性の高いアルミニウム缶
が得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施形態を図面
に基づきを説明する。
【0012】以下の実施形態は、アルミニウムシート
(以下、アルミシートという)にPETフィルムをラミ
ネートとして飲料用アルミニウム缶(以下、アルミ缶と
いう)を製造する製法である。
【0013】図1に示すように本実施形態の製法は、ア
ルミシートにPETフィルムをラミネートしてPETフ
ィルムラミネートアルミシート(以下、ラミネートシー
トという)を作る第1工程I、ラミネートシートに加熱
と冷却を施す熱処理を行う第2工程II、ラミネートシー
トでアルミ缶を製缶し、その工程中にしごき加工を含む
工程である第3工程III 、最後にアルミ缶をガラス転移
温度以上に保持する熱処理を加える第4工程からなるこ
とを特徴とする。
【0014】つぎに、順に各工程を詳述する。図2は工
程I,IIで用いられるラミネート熱処理装置である。s
はアルミシートで、巻出しロール1から繰出され、ガイ
ドロール2,3で案内されて一次加熱装置4、ニップロ
ール5、二次加熱装置6、冷却装置7を順に通り、ガイ
ドロール8で案内されて、巻取ロール9に巻取られるよ
うになっている。
【0015】一次加熱装置4はアルミシートsを 100〜
200℃に加熱し、この加熱されたアルミシートに巻出し
ロール10から繰出されたPETフィルムfがニップロー
ルで挟圧されることによって、アルミシートsの両面に
ラミネートされ、ラミネートシートSができあがる。こ
れが第1工程Iである。
【0016】二次加熱装置6と冷却装置7は、ラミネー
ト後にPETフィルムfを融点まで再加熱し、ついで急
冷する熱処理装置である。二次加熱装置6は誘導加熱装
置から構成され、冷却装置7はミスト冷却装置やスプレ
ー冷却装置の単独または組合せ、さらに望ましくは、水
切り装置から構成されている。
【0017】ラミネート後のPETフィルムfの結晶化
度は0〜15%であるが、この熱処理によりフィルムが再
溶融するので、PETフィルムfの結晶化度が、約10%
に低下する。このため、引張強さや引裂強さが向上す
る。
【0018】第3工程の製缶加工を図3に基づき説明す
る。はアルミシートのブランクから深絞り加工により
缶形状を作る工程で、通常円筒状ダイスにブランクを載
せ円柱状ポンチで押して、胴部aと座部bを有する円筒
状容器に成形する。この加工は一般に強加工となるが、
前記熱処理工程IIにおいて結晶化度を低下させ、引張強
度や引裂強度を高めているので、PETフィルムが損傷
することはない。これによって製品の歩留りが向上す
る。
【0019】はついで行われるしごき加工で、前記胴
部aの板厚を減らすようにポンチとダイスによってしご
く加工である。このしごき加工を施すと、フィルムは一
定方向の加工を受ける為、PETフィルムfの結晶化度
が40〜80%に向上する。なお、この段階で結晶化度が高
くなっても、後工程のへら絞り加工やカーリング加工、
巻締め加工は強加工でないので、PETフィルムfが引
裂けるような不都合は生じない。
【0020】は口部cの直径を若干小さくする加工で
あり、通常はへら絞り加工により行われる。は口部c
の端にフランジdを形成するカーリング加工であり、最
後はのフタeを口部cに巻締めする加工である。
【0021】図1に示す最終工程の第4工程は、第3工
程を終えたアルミ缶を熱処理炉11に入れPETフィルム
fのガラス転移温度(Tg=69.6℃以上)より高温の80
〜 120℃に一定時間、例えば 20sec〜2minに保つ工程で
ある。この熱処理工程により、フィルムの再配向がおこ
り、結晶化度が80〜 100%となる。
【0022】かくして得られたアルミ缶はPETフィル
ムfの結晶化度が約80〜 100%と高く、フィルムの配向
性が高い為ガスバリヤー性が向上する。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば製造上の歩留りが良く、
ガスバリヤー性に優れたアルミニウム缶が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製法を示す工程図である。
【図2】本発明の製法に用いられるラミネート熱処理装
置の説明図である。
【図3】本発明における第3工程の説明図である。
【図4】本発明における第4工程の説明図である。
【符号の説明】
I 第1工程 II 第2工程 III 第3工程 IV 第4工程 s アルミシート f PETフィルム 4 一次加熱装置 5 ニップロール 6 二次加熱装置 7 冷却装置 11 熱処理炉

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウムシートにプラスチックフィル
    ムをラミネートする第1工程、第1工程で得られたラミ
    ネートを加熱し、ついで冷却することによりプラスチッ
    クフィルムの結晶化度を0〜15%とする第2工程、第2
    工程で得られたラミネートシートでアルミニウム缶を製
    缶し、かつ該製缶工程のなかで缶胴部にしごき加工を施
    してプラスチックフィルムの結晶化度を40〜80%とする
    第3工程、第3工程で得られたアルミニウム缶をガラス
    転移温度以上に保持してプラスチックフィルムの結晶化
    度を80〜 100%にする第4工程からなることを特徴とす
    るアルミニウム缶の製法。
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