JP3067540U - トンネル施工用空気抜きパイプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 セグメント筒体における長さ方向の相隣るセ
グメントのリブにそれらを挟着するように取付けるのみ
で、コンクリートの打設時に空気を残留させることなく
排出できる空気抜き用パイプを提供すること。 【解決手段】 金属製パイプ１を大略Ｕ字状に曲げ、そ
の両先端部に、ゴム又は合成樹脂製の穴付キャップ２を
取付けて成り、円筒状に組み立てられたセグメント筒体
Ｓの長さ方向に隣合うセグメント３，3’の前後に突出
形成されたリブ31，31’、又は、セグメント３，3’の
中間に突出形成されたリブ状厚肉部に挟着するようにし
た。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、シールド工法によるトンネル施工において、円筒状に構築されたシ ールドセグメントの内面にコンクリートを打設する際に、コンクリートを打設す る空間に空気が残留して空洞が生じるのを防止するための空気抜きパイプに関す るものである。

【０００２】

【従来の技術】

シールド工法によるトンネルの構築に際しては、シールド機により掘削した横 孔にセグメントを円筒状に組み立て、組み立てられたセグメント筒体の内部に型 枠を配備して、セグメント筒体と型枠との間の空間にコンクリートを打設するの であるが、前記セグメントはその組み立ての長さ方向の前後、或は、中間にリブ やリブ状厚肉部が突出形成されているため、コンクリートの打設時に前後のリブ や圧肉部の間に空気が残留して、コンクリートの充満を妨げ、コンクリートの固 化後も空洞が生じて、トンネルの強度に悪影響を及ぼすおそれがある。

【０００３】 そこで、従来、前記の空気が残留しないようにするため、実公昭62-43037号公 報に記載された「トンネル施工用空気抜きパイプ」が考案されたが、形状が複雑 なため取付作業が面倒で、トンネル工事の能率上あまり好ましいものではなかっ た。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は上述のような従来技術に鑑み、セグメント筒体における長さ方向の相 隣るセグメントのリブにそれらを挟着するように取付けるのみで、コンクリート の打設時に空気を残留させることなく排出できる空気抜き用パイプを提供するこ とを、その課題とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】 上記課題を解決することを目的としてなされた本考案トンネル施工用空気抜き パイプの構成は、金属製パイプを大略Ｕ字状に曲げ、その両先端部に、ゴム又は 合成樹脂製の穴付キャップを取付けて成り、円筒状に組み立てられたセグメント 筒体の長さ方向に隣合うセグメントの前後に突出形成されたリブ、又は、セグメ ントの中間に突出形成されたリブ状厚肉部に挟着するようにしたことを特徴とす るものである。

【０００６】 なお、上記キャップは、その両端側の対向する面を、平坦粗面状に形成してお けば、これが滑り止め作用を発揮して、セグメントへの取付力が強くなり、取付 け後に脱落するおそれはおよそ皆無となる。

【０００７】

【考案の実施の形態】

次に、本考案の実施の形態例を図により説明する。図１は本考案空気抜きパイ プをセグメントのリブに取付けた状態の正面図、図２は図１のパイプの平面図、 図３はセグメント筒体への取付個所の一例を示す図である。

【０００８】 図１，図２において、Ａは、金属製パイプ、例えば鉄製パイプ１を大略Ｕ字状 に屈曲しその両先端部に、先端部を内方傾斜面21，21'に形成すると共に対向す る面22，22'を平坦粗面状に形成したゴム製の穴付キャップ２，2'を、前記傾斜 面21，21'をパイプ１の両先端から突出させて嵌着固定した本考案の一例の空気 抜きパイプである。

【０００９】 この空気抜きパイプＡは、図１に例示するように、組上げたセグメント筒体Ｓ における上部に位置し、かつ、その筒体Ｓの長さ方向において隣合うセグメント ３，3'の前後に突出形成されたリブ31，31'に、それらを挟むように取付けて使 用する。なお、このパイプＡは、セグメント３，3'の前後端に形成されたリブ31 ，31'のみならず、セグメント31又は31'の中間に形成された補強用のリブ（図示 せず）やリブ状肉厚部（図示せず）を挟むように取付けて使用することもできる 。

【００１０】 上記の空気抜きパイプＡにおいて、キャップ２，2'の材質はゴムに限られるこ となく、合成樹脂でもよく、また、キャップ２，2'の対向面22，22'には、粗面 を形成して滑り止め機能を持たせている。更に、この空気抜きパイプＡに使用す るパイプ１は鉄製に限られず、アルミニウム，銅など、他の金属製でもあっても よい。なお、2a，2a'は、キャップ２，2'に設けたパイプ１を挿入するための貫 通穴である。

【００１１】 セグメント筒体Ｓの内面にコンクリート二次覆工を施すに際しては、図３に示 すように、セグメント筒体Ｓの上部に位置するセグメント３，3'のリブ31，31' に、本考案の空気抜きパイプＡを上述のように取付け、セグメント筒体Ｓ内部に 型枠Ｃを配備して、セグメント筒体Ｓと型枠Ｃとの間の環状の空間の一端側から コンクリートを注入する。コンクリートが注入されると、打設コンクリート面の 上昇につれてセグメント筒Ｓの上部に位置する隣合うセグメント３，3'のリブ31 ，31'及びセグメント内表面の間に空気が充満する。

【００１２】 然し乍ら、トンネルの長さ方向において隣り合うセグメント３，3'は、上記の 空気抜きパイプＡにより連通しているため、コンクリートがセグメント３，3'に 充満する際、空気は空気抜きパイプＡのキャップ２の傾斜面21から鉄製パイプ１ に導入され、該鉄製パイプ１内を通ってキャップ２の傾斜面21'から下流側のセ グメントに押し出され、この状態がコンクリートの流れによって順次繰り返され るから、コンクリートはセグメント３内に充満し、空洞が形成されることはない 。

【００１３】 上記において、Ｕ字状パイプ１の先端に取付けた穴付キャップ２，2'は、その 先端面を傾斜面21，21'として空気の吸入排出を確保したが、本考案では傾斜面2 1，21'に代え、この面を段部や凹凸部に形成して空気の吸入排出を確保するよう にしてもよい。なお、空気抜きパイプＡはコンクリートに埋め込まれたまま、コ ンクリートが充填されるので、二次覆工に空洞のないトンネルが完成されるので ある。

【００１４】

【考案の効果】

本考案は上述の通りであって、金属製パイプを略Ｕ字状に曲げ、その両先端部 に、ゴム又は合成樹脂製の穴付キャップを取付けて成り、円筒状に組み立てられ たセグメント筒体の長さ方向に隣合うセグメントの前後に突出形成されたリブ、 或は、セグメントの中間に突出形成されたリブ状肉厚部に挟着するようにしたも のであるから、シールド工法において構築されたセグメント筒体の上部に位置す るセグメントへの取付作業を、いわばワンタッチ操作のきわめて容易な作業によ り行うことができ、従って、セグメント筒体内面の覆工工事のためのコンクリー トの打設に際して、セグメント筒体上部に充満する空気を確実に抜くことができ るので、空洞を残留させることなく、コンクリートの打設を行うことができる。

【００１５】 また、本考案空気抜きパイプは、金属製の直パイプをＵ字状に曲げ、その両先 端にゴム製等の滑り止めのキャップを取付けるだけで製造できるから、構造が簡 単な上に、容易且つ低廉に作製して実用に供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案空気抜きパイプをセグメントのリブに取
付けた状態の正面図。

【図２】図１の空気抜きパイプの平面図。

【図３】セグメント筒体への取付個所の一例を示す図。

【符号の説明】

Ａ 空気抜きパイプ Ｃ 型枠 Ｓ セグメント筒体 １ 鉄製パイプ ２ キャップ 21，21' 内方傾斜面 22，22' 平坦粗面 ３，3' セグメント 31，31' セグメントのリブ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 島田 昌美 兵庫県尼崎市南塚口町３丁目12番１号 株 式会社イズミ内 (72)考案者 下田 敏雄 兵庫県尼崎市南塚口町３丁目12番１号 株 式会社イズミ内 (72)考案者 廣岡 勝則 兵庫県尼崎市南塚口町３丁目12番１号 株 式会社イズミ内 (72)考案者 矢代 孝弘 兵庫県尼崎市南塚口町３丁目12番１号 株 式会社イズミ内

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属製パイプを大略Ｕ字状に曲げ、その
   両先端部に、ゴム又は合成樹脂製の穴付キャップを取付
   けて成り、円筒状に組み立てられたセグメント筒体の長
   さ方向に隣合うセグメントの前後に突出形成されたリ
   ブ、又は、セグメントの中間に突出形成されたリブ状厚
   肉部に挟着するようにしたことを特徴とするトンネル施
   工用空気抜きパイプ。
2. 【請求項２】 金属製パイプを大略Ｕ字状に屈曲し、そ
   の両上端部に、先端部を内方に傾斜させると共に対向す
   る面を平坦面状又は平坦粗面状に形成したゴム製又は合
   成樹脂製の穴付キャップを傾斜部を突出させて取付けて
   成り、円筒状に組み立てられたセグメント筒体の長さ方
   向に隣合うセグメントの前後に突出形成されたリブ、又
   は、セグメントの中間に突出形成されたリブ状厚肉部に
   挟着するようにしたことを特徴とするトンネル施工用空
   気抜きパイプ。
3. 【請求項３】 穴付キャップの先端面は、段状又は凹凸
   状に形成して空気がこのキャップの穴に流通するように
   した請求項１又は２のトンネル施工用空気抜きパイプ。