JP3067286B2 - モノリシックフィルタ回路 - Google Patents

モノリシックフィルタ回路

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JP3067286B2 JP3174624A JP17462491A JP3067286B2 JP 3067286 B2 JP3067286 B2 JP 3067286B2 JP 3174624 A JP3174624 A JP 3174624A JP 17462491 A JP17462491 A JP 17462491A JP 3067286 B2 JP3067286 B2 JP 3067286B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はモノリシックフィルタ回
路に係わり、特に、カットオフ周波数のばらつきを補償
するための調整用外部基準抵抗をICの内部に設けるよ
うにしたモノリシックフィルタ回路に用いて好適なもの
である。
【0002】
【従来の技術】周知の通り、フィルタ回路をIC化する
技術の一つとして、図4に示すモノリシックフィルタ回
路が知られている。このモノリシックフィルタ回路は、
トランジスタQ1 ,Q2 、抵抗RE 、電流源9などから
なる電圧−電流変換回路1、トランジスタQ3 〜Q6
電流源11からなる乗算器2を備えている。更に、上記
乗算器2の各出力に電流源10が接続されていて、トラ
ンジスタQ5 のコレクタに流れる電流IY がトランジス
タQ6 のコレクタに流れるように構成された電流ミラー
回路3、および上記乗算器2の出力端と出力端子TOUT
との間に接続されたコンデンサCにより構成される積分
回路4を備えている。
【0003】このように構成されるフィルタ回路のカッ
トオフ周波数の精度は、コンデンサCと抵抗RE との積
に依存することになる。しかしながら、集積回路上に形
成されるコンデンサや抵抗の精度はかなり悪く、例え
ば、コンデンサの精度は±5%程度である。また、抵抗
の場合は、コンデンサの精度よりも更に悪くなってい
て、例えば±20%程度である。したがって、フィルタ
回路を集積回路化すると高い精度が得られないので、そ
の用途は極めて限定されてしまう不都合があった。
【0004】上記欠点を解決するために、図4に示した
モノリシックフィルタ回路においては、内部に設けられ
ている基準抵抗Ri と並列に外部基準抵抗Re を外付け
する。そして、これらの抵抗Ri 、Re に基準電圧V
REF を加え、各抵抗Ri 、Re に流れる電流Ii ,Ie
の比によって乗算器2の利得を変化させることにより、
回路定数ばらつきを補償してカットオフ周波数のばらつ
きが小さくなるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、従来のフ
ィルタ回路の場合にはカットオフ周波数の精度を向上さ
せるように構成すると、ICに外付けする部品の点数が
増えてしまう不都合があった。また、外付け部品が増え
ると、それに伴ってICピン数を増やさなければならな
いので、設計上の制約が大きくなるとともに、コスト高
になってしまう問題もあった。
【0006】本発明は上述の問題点に鑑み、IC内に設
けられている抵抗の値がばらつくことによりカットオフ
周波数がばらつくのを、調整用の外部基準抵抗を外付け
することなく補償できるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のモノリシックフ
ィルタ回路は、入力された電圧を電流に変換して出力す
る電圧−電流変換器と、上記電圧−電流変換器から出力
される電流が流れ込む一対のダイオード、およびエミッ
タが共通に接続されていて上記ダイオード対の電圧がベ
ースにそれぞれ与えられるエミッタ結合差動トランジス
タ対からなる乗算器と、上記エミッタ結合差動トランジ
スタ対の電流出力端と、積分出力を次段回路に導出する
ための出力端子との間に接続されている積分用コンデン
サと、上記電圧−電流変換回路の伝達コンダクタンスを
設定するための抵抗に対する抵抗値の比が所定の比にな
るように形成されている内部基準抵抗に電圧を印加する
ための基準電圧源と、上記基準電圧源と並列に設けられ
ていて、上記乗算器のエミッタ結合差動トランジスタ対
の共通エミッタに流れる電流の大きさを加減する回路定
数ばらつき補償回路とを具備し、上記回路定数ばらつき
補償回路を、多結晶シリコンにより形成される調整用抵
抗を直列に複数個接続してなる抵抗直列回路と、上記抵
抗直列回路の抵抗値を調整するための抵抗値調整手段と
で構成するとともに、上記抵抗直列回路を流れる電流に
比例する電流を上記乗算器のエミッタ結合差動トランジ
スタ対の共通エミッタ電流として流すようにしている。
【0008】
【作用】多結晶シリコンにより形成される複数個の調整
用外部基準抵抗を直列に接続して構成される抵抗直列回
路を、例えばツェナーザップ法などによりトリミングす
ることにより、調整用の外部基準抵抗をICの内部に設
けて製造工程における抵抗値のばらつきを吸収すること
が可能となり、ICの内部に形成された抵抗の絶対ばら
つきや、温度依存性の影響などを、調整用外部基準抵抗
をICの外部に設けることなく排除できるようになる。
【0009】
【実施例】図1は、本発明の一実施例を示すモノリシッ
クフィルタ回路の構成図である。本実施例のモノリシッ
クフィルタ回路においては、全ての抵抗をIC上に形成
している。ところで、IC上に集積化可能な抵抗の構造
としては、拡散抵抗、多結晶シリコン抵抗、(薄膜)蒸
着抵抗などがある。これらの各抵抗のうち、(薄膜)蒸
着抵抗は抵抗精度や温度特性などが優れている抵抗を形
成することが可能である。しかし、これは特殊な製造工
程を必要とするので、コスト高となり民生用ICを製造
する場合には適さない。
【0010】これに対し、多結晶シリコン抵抗の場合に
は特殊な製造工程が不要なので、拡散抵抗よりも配置上
の制約が小さい。したがって、集積度が向上するので最
近では、民生用ICにおいて一般的に用いられるように
なってきた。最も一般的な拡散抵抗は、温度依存性が大
であるので、温度依存性が小さい抵抗を形成することは
できない。一方、多結晶シリコン抵抗は、拡散抵抗より
も温度依存性が小さく、かつ、不純物濃度により温度依
存性を正にしたり、負にしたりすることができる。ま
た、不純物濃度を丁度よくすることにより、温度依存性
を零にすることができる利点もある。
【0011】図1において、内部基準抵抗Ri は電圧−
電流変換回路1の伝達コンダクタンスを設定するための
抵抗RE と同じ構造を有しており、これらは正確な比が
保たれるように設計されている。そして、上記内部基準
抵抗Ri に流れる内部基準電流Ii に正確に比例する電
流IX が生成される。一方、図4に示した外部基準抵抗
e は絶対精度が要求され、これを流れる外部基準電流
Ieにより、トランジスタQ5 ,Q6 のコレクタ電流I
Y が生成される。
【0012】本実施例では、多結晶シリコン抵抗の温度
依存性が小さいことを生かし、これにチップのトリミン
グ手段を付加してなる回路定数ばらつき補償回路5をI
C上に設けることにより、従来のモノリシックフィルタ
回路で必要としていた外部基準抵抗(図4における抵抗
E )を省略できるようにしている。
【0013】次に、図1に示した回路定数ばらつき補償
回路5の具体例を、図2の回路図に従って説明する。図
2において、図4の回路における外部基準抵抗Re に相
当する調整用外部基準抵抗として用いられる抵抗直列回
路7は、Re0〜Re3として示されていて、これらの外部
基準抵抗Re0〜Re3は多結晶シリコン抵抗により構成さ
れている。
【0014】一方、内部基準抵抗Ri の構造は任意であ
り、上記したように伝達コンダクタンス設定抵抗RE
正確な比が保たれていればよい。多結晶シリコン抵抗に
より形成される外部基準抵抗Re0〜Re3は、絶対的な精
度は高くないが、温度依存性を小さく設定することがで
きる。トランジスタQ11〜Q13はツェナダイオードとし
て働き、端子P1〜P3および接地端子にサージ電圧を
印加することによりPN接合を破壊し、いわゆるツェナ
ーザップ法と呼ばれるトリミング方式を実現する。
【0015】このような回路定数ばらつき補償回路5が
設けられることにより、本実施例のモノリシックフィル
タ回路は製造工程における抵抗値のばらつきを良好に吸
収することができる。なお、各トランジスタQ11〜Q13
のうち、どのトランジスタを破壊するかは、これらの端
子P1〜P3から抵抗値を測定して決めても良く、或い
はフィルタ回路の周波数特性を測定し、その結果に基い
て決定するようにしても良い。しかし、後者のフィルタ
回路の周波数特性を測定して決めると、積分器容量Cの
ばらつきを反映させることができるので、精度を高くす
ることができる。
【0016】図3は、回路定数ばらつき補償回路5の変
形例を示す回路である。この例の場合は、図2における
トランジスタQ11〜Q13の代わりに、ヒューズF1〜F
3を設けて抵抗値調整手段6を構成している。このよう
に構成した場合も上述したのと同様に、端子P1〜P3
から所定のヒューズに電流を流して溶断することによ
り、抵抗値を調整するトリミングを行うことができる。
なお、この配線をレーザ光線で溶断するトリミング法も
あり、任意のトリミング法を用いればよい。
【0017】このようにして、多結晶シリコンによる調
整用の外部基準抵抗をICの内部に形成し、その絶対値
ばらつきをトリミング法で調整するので、製造工程によ
る抵抗値の絶対値ばらつきや温度依存性の影響などを受
けなくすることができる。したがって、高精度なカット
オフ周波数が得られるようにする場合、従来回路におい
ては必ず設けなければならなかった外付けの外部基準抵
抗を、本実施例の回路では省略することができ、外付け
部品やICピンの数を低減することができる。
【0018】
【発明の効果】本発明は上述したように、多結晶シリコ
ンにより形成される複数個の調整用外部基準抵抗を直列
に接続して構成される抵抗直列回路と、上記抵抗直列回
路の抵抗値を調整するための抵抗値調整手段とからなる
回路定数ばらつき補償回路をIC上に設けたので、製造
工程における抵抗値のばらつきを吸収するための調整用
外部基準抵抗をICの内部に設けることが可能となり、
ICの内部に形成された抵抗の絶対ばらつきや、温度依
存性の影響などを打ち消すために必要としていた外付け
の外部基準抵抗を省略することができる。したがって、
外付けの部品点数やICピン数などを減らすことができ
るようになり、モノリシックフィルタ回路の小型化やコ
ストダウンなどが図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すモノリシックフィルタ
回路の回路図である。
【図2】回路定数ばらつき補償回路の一例を示す回路図
である。
【図3】回路定数ばらつき補償回路の変形例を示す回路
図である。
【図4】従来のモノリシックフィルタ回路の一例を示す
回路図である。
【符号の説明】
1 電圧−電流変換回路 2 乗算器 5 回路定数ばらつき補償回路 6 抵抗値調整手段 7 抵抗直列回路 TOUT 出力端子 C コンデンサ VREF 基準電圧 Ri 内部基準抵抗 RE 伝達コンダクタンス設定抵抗 Re0〜Re3 調整用外部基準抵抗

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力された電圧を電流に変換して出力す
    る電圧−電流変換器と、上記電圧−電流変換器から出力
    される電流が流れ込む一対のダイオード、およびエミッ
    タが共通に接続されていて上記ダイオード対の電圧がベ
    ースにそれぞれ与えられるエミッタ結合差動トランジス
    タ対からなる乗算器と、上記エミッタ結合差動トランジ
    スタ対の電流出力端と、積分出力を次段回路に導出する
    ための出力端子との間に接続されている積分用コンデン
    サと、上記電圧−電流変換回路の伝達コンダクタンスを
    設定するための抵抗に対する抵抗値の比が所定の比にな
    るように形成されている内部基準抵抗に電圧を印加する
    ための基準電圧源と、上記基準電圧源と並列に設けら
    れ、上記乗算器のエミッタ結合差動トランジスタ対の共
    通エミッタに流れる電流の大きさを加減する回路定数ば
    らつき補償回路とを具備し、上記回路定数ばらつき補償
    回路を、多結晶シリコンにより形成される調整用抵抗を
    直列に複数個接続してなる抵抗直列回路と、上記抵抗直
    列回路の抵抗値を調整するための抵抗値調整手段とで構
    成するとともに、上記抵抗直列回路を流れる電流に比例
    する電流を上記乗算器のエミッタ結合差動トランジスタ
    対の共通エミッタ電流として流すようにしたことを特徴
    とするモノリシックフィルタ回路。
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