JP3066489B2 - ポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents

ポリイミドフィルムの製造方法

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JP3066489B2
JP3066489B2 JP21140298A JP21140298A JP3066489B2 JP 3066489 B2 JP3066489 B2 JP 3066489B2 JP 21140298 A JP21140298 A JP 21140298A JP 21140298 A JP21140298 A JP 21140298A JP 3066489 B2 JP3066489 B2 JP 3066489B2
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義秀 大成
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリイミドフィルム
の製造方法に関し、特に、寸法安定性に優れ、フレキシ
ブルプリント配線板用ベースフィルムに適したポリイミ
ドフィルムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エレクトロニクスの技術分野において
は、益々高密度実装の要求が高くなり、それに伴いフレ
キシブルプリント配線板(以下、FPCという)を用い
る技術分野においても、高密度実装の要求が高くなって
きている。FPCの製造工程において、寸法変化が大き
い工程はエッチング工程の前後であり、この工程の前後
においてFPCの寸法変化が小さいことが高密度実装を
するために要求されている。
【0003】従来より、FPC用ベースフィルムとして
ポリイミドフィルムが用いられており、そのうちハンド
リングに優れ、フレキシビリティーに富んだポリイミド
フィルムは弾性率が小さく線膨張係数が大きいため、高
密度実装の要求に十分応えられるものではなかった。一
方、線膨張係数が小さく、弾性率が大きいポリイミドも
合成できるが、フレキシビリティーは非常に劣ってい
て、FPCとして使用することができなかった。また、
特開昭61-296034 号公報によれば、フィルムを延伸する
ことによって寸法安定性(低熱収縮率、低線膨張係数)
に優れたポリイミドフィルムを得ているが、十分な伸び
等の機械的物性が得られていない。
【0004】FPCの製造はロールトゥロールで行われ
ており、ロールに巻き取られているFPC用ベースフィ
ルムと銅箔がそれぞれ引き出されて加熱してラミネート
されている。このため、ベースフィルムと銅箔にはフィ
ルム(銅箔)がロールによって送られる送り方向、すな
わち機械的送り方向(以下、MD方向という)にテンシ
ョンがかけられており、その状態でFPCが製造されて
いる。
【0005】ベースフィルムについて考察すると、MD
方向に関しては、ベースフィルムにはテンションによる
フィルムの伸びとラミネート時に加えられる熱による熱
膨張のための伸びが与えられる。一方、このテンション
によりフィルムがMD方向に伸ばされた分、フィルムの
機械的送り方向と直交する方向(以下、TD方向とい
う)にフィルムが縮むという現象がおこり、TD方向に
関しては、縮みが与えられる。
【0006】他方、銅箔について考察すると、銅箔は弾
性率が非常に大きいため、通常のFPCの製造工程で加
えられるテンションでは銅箔はほとんど変形しない。銅
箔が変形させられるのは、ラミネート時に加えられる熱
による熱膨張だけであり、銅箔にはMD方向とTD方向
に熱膨張による伸びが与えられる。
【0007】したがって、MD方向に関しては、テンシ
ョンによるフィルムの伸びとフィルムの熱膨張による伸
びの和が銅箔の熱膨張による伸びと等しければ歪が相殺
されることになる。また、TD方向に関しては、テンシ
ョンによりMD方向に延伸されることによるフィルムの
縮みと熱膨張による伸びの和が銅箔の熱膨張による伸び
と等しければ歪は相殺されることになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ベース
フィルム及び銅箔は等方的に製造されており、ベースフ
ィルムと銅箔がラミネートされたFPCはTD方向に大
きな歪を持ったままベースフィルムが銅箔に固定される
ことになる。そのため、パターンを形成するためにエッ
チングにより銅箔を除去したとき、固定された歪が解消
されるためエッチング前後で大きな寸法変化がおこり、
高密度実装を行うことができなくなるという問題が生じ
ていた。
【0009】そこで、本発明者らは、FPC製造工程に
おけるエッチング工程前後の寸法変化が非常に小さい樹
脂フィルム、特にポリイミドフィルムを製造することを
目的に鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係るポリイミド
フィルムの製造方法の要旨とするところは.フィルムの
機械的送り方向の線膨張係数(a)と該機械的送り方向
と直交する方向の線膨張係数(b)の比(a/b)が0.
2 以上1.0 未満であり、100℃〜200℃の範囲にお
ける前記機械的送り方向の線膨張係数が 0.4〜2.0 ×10
-5-1であり、かつ、ジアミン成分として、4,4 ' −ジ
アミノジフェニルエーテル、及び一般式化3
【0011】
【化3】
【0012】(R1 は、水素原子または1 価の置換基で
ある。)で表される芳香族ジアミンを含むジアミン成分
より得たフィルムを機械的送り方向に 1.0〜 1.5倍に延
伸し、且つ該機械的送り方向と直交する方向に0.5 〜0.
99倍に延伸することにある。
【0013】また、前記ポリイミドフィルムの製造方法
において、ジアミン成分として、4,4 ' −ジアミノジフ
ェニルエーテル、及び一般式化4
【0014】
【化4】
【0015】(R1 は、水素原子または1 価の置換基で
ある。)で表される芳香族ジアミンを含むジアミン成分
を90モル%以上含有することにある。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳細に説
明する。FPC(フレキシブルプリント配線板)の製造
工程におけるエッチング工程前後において、FPCの寸
法変化を非常に小さくするには、ベースフィルムである
樹脂フィルム、特にポリイミドフィルムを次の条件を満
たすように製造することが必要である。
【0017】すなわち、MD方向に関しては、テンショ
ンによるフィルムの伸びとフィルムの熱膨張による伸び
の和が銅箔の熱膨張による伸びと等しいことが必要であ
り、TD方向に関しては、テンションによりMD方向に
延伸させられることによるフィルムの縮みと熱膨張によ
る伸びの和が銅箔の熱膨張による伸びと等しいことが必
要である。つまり、次式を満たすことが必要である。
【0018】MD方向: (テンションによるフィルムの伸び)+(フィルムの熱
膨張による伸び)=(銅箔の熱膨張による伸び) TD方向: (MD方向に延伸させることによるフィルムの縮み)+
(フィルムの熱膨張による伸び)=(銅箔の熱膨張によ
る伸び)
【0019】かかる条件を満たすためには、フィルムの
線膨張係数に関して、MD方向に小さくTD方向に大き
いこと、すなわちMD方向の線膨張係数(a)とTD方
向の線膨張係数(b)の比(a/b)が0.2 以上1.0 未
満、好ましくは0.2 以上0.8以下、更に好ましくは0.25
以上0.6 以下であることが望ましい。なお、比(a/b)が
0.2 未満であってもよいが、事実上そのように異方性を
持ったフィルムを製造することは困難である。ここで、
線膨張係数は 100〜200 ℃における線膨張係数をいう。
【0020】MD方向の線膨張係数(a)については、
銅の線膨張係数(約1.68×10-5-1)以下、すなわち0.
5 ×10-5-1以上2.0 ×10-5-1以下、好ましくは0.5
×10 -5-1以上1.8 ×10-5-1以下、更に好ましくは0.
6 ×10-5-1以上1.4 ×10-5-1以下であることが好ま
しい。MD方向の線膨張係数(a)は0.5 ×10-5-1
満であってもよいが、線膨張係数の小さいフィルムは弾
性率も大きくなり、テンションにより伸びないので、テ
ンションによるフィルムの伸びとフィルムの熱膨張によ
る伸びの和が銅箔の熱膨張による伸びよりもかなり小さ
くなるのであまり好ましくない。
【0021】このように、フィルムの線膨張係数をMD
方向とTD方向によって異なる異方的にさせるためには
フィルム製造時に、フィルムをMD方向に1.0 〜1.5 倍
に、好ましくは1.1 〜1.4 倍に、更に好ましくは1.1 〜
1.3 倍に延伸させるとともに、TD方向に0.5 〜0.99倍
に、好ましくは0.6 〜0.9 倍に、更に好ましくは0.6〜
0.8 倍に延伸させることにより達成される。
【0022】更に本発明にかかる製造方法を具体的に説
明すれば、ポリイミドフィルムやポリアミドフィルムな
どの反応硬化型樹脂フィルムはそれらの前駆体がエンド
レスベルトやキャスティングドラムなどに流延, 塗布さ
れて、少なくとも自己支持性を備える程度に反応硬化さ
せられた後、ベルトなどから剥離させられる。次いで、
剥離させられた自己支持性フィルムはフィルムの端部を
保持して更に反応硬化させるとともに反応生成物や溶媒
が蒸散させられる。その際、フィルムの厚さ方向だけで
なくMD方向及びTD方向にフィルムが収縮させられる
ため、元の寸法に対してそれぞれ所定の倍率に延伸させ
られるのである。
【0023】かかる製造方法により得られたフィルムの
線膨張係数はMD方向とTD方向のそれぞれについて異
なる値を備えていて、前述の式をほぼ満足させることが
できる。したがって、このフィルムを用いて製造された
FPCはエッチング工程の前後における寸法変化がほと
んどなく、高密度実装が可能なFPCを得ることができ
る。
【0024】このようなMD方向とTD方向の線膨張係
数がそれぞれ異なる樹脂フィルムや、またその製造方法
はポリイミドフィルムやポリアミドフィルムに限定され
ず、反応硬化型樹脂フィルムに対して適用し得るもので
あるが、次に最も好ましい実施態様を示す。
【0025】本発明が適用される好ましいポリイミドフ
ィルムは一般式化5
【0026】
【化5】
【0027】(ただし、R1は化6
【0028】
【化6】
【0029】又は化7
【0030】
【化7】
【0031】であり、R2は水素原子または1価の置換基
であり、m,n は整数を表し、m/n=0.1〜100 の値をと
る。)で表される反復単位を90%以上含むものが好まし
い。
【0032】ここで、使用される芳香族テトラカルボン
酸としては、ピロメリット酸又はその酸二無水物、 3,
3′,4,4′- ビフェニルテトラカルボン酸またはその酸
二無水物、 3,3′,4,4′- ベンゾフェノンテトラカルボ
ン酸又はその酸二無水物である。しかし、 2,3,3′,4′
- ビフェニルテトラカルボン酸又はその酸二無水物、
2,2′,3,3′- ビフェニルテトラカルボン酸又はその酸
二無水物、ナフタレン-1,2,5,6- テトラカルボン酸又は
その酸二無水物、ナフタレン-2,3,6,7- テトラカルボン
酸又はその酸二無水物、2,3, 3′,4′- ベンゾフェノン
テトラカルボン酸又はその酸二無水物、あるいはそれら
の酸のエステル化物、酸塩化物などの酸誘導体が一部使
用されても良い。
【0033】ポリイミド共重合体の前駆体であるポリア
ミック酸共重合体溶液を製造する具体例を以下にしめす
が、他のポリイミド共重合体を用いてもよい。但し、物
性上以下のポリイミド共重合体を用いることが好まし
い。
【0034】(1) 芳香族テトラカルボン酸二無水物(a)
と芳香族ジアミン(b),(c) の和が実質等モルになるよう
に極性溶媒中で反応させる方法。この方法によりランダ
ム共重合体を得ることができる。
【0035】(2) 極性溶媒中に芳香族ジアミン(b) をと
り、冷却しながら過剰の芳香族テトラカルボン酸二無水
物(a) を一気に加え、両末端に酸無水物化物基を有する
プレポリマーとする。次いで、((a)-(b)) モルに相当す
る芳香族ジアミン(c) を加える方法。この方法により反
復単位が共重合体分子内において一定である共重合体を
得ることができる。
【0036】ポリアミック酸を得るためには、他の方法
を用いてもよく、また異種のポリアミック酸を混合して
もよい。但し、(2) の方法で得たポリイミド共重合体を
用いるのが物性上好ましい。
【0037】芳香族ジアミン成分として 4,4′- ジアミ
ノジフェニルエーテルと一般式化8
【0038】
【化8】
【0039】(R1 は、水素原子または1 価の置換基で
ある。)で表される芳香族ジアミンが使用されるが、こ
の一般式で示される芳香族ジアミンとしてはパラフェニ
レンジアミン、 1,4′- ジアミノ-2- フルオロ- ベンゼ
ン、 1,4′- ジアミノ-2- クロロ- ベンゼン、 1,4′-
ジアミノ-2- ブロモ- ベンゼン、 1,4′- ジアミノ-2-
メチル- ベンゼン、 1,4′- ジアミノ-3- フルオロ- ベ
ンゼン、 1,4′- ジアミノ-3- クロロ- ベンゼン、 1,
4′- ジアミノ-3- ブロモ- ベンゼン、 1,4′- ジアミ
ノ-3- メチル- ベンゼン、 1,4′- ジアミノ-2,6- ジフ
ルオロ- ベンゼン、 1,4′- ジアミノ-2,6- ジクロロ-
ベンゼン、 1,4′- ジアミノ-2,6- ジブロモ- ベンゼ
ン、 1,4′- ジアミノ-2,6- ジメチル- ベンゼン、 1,
4′- ジアミノ-2,5- ジフルオロ- ベンゼン、 1,4′-
ジアミノ-2,5- ジクロロ- ベンゼン、 1,4′- ジアミノ
-2,5- ジブロモ- ベンゼン、 1,4′-ジアミノ-2,5- ジ
メチル- ベンゼン、 1,4′- ジアミノ-2,3- ジフルオロ
- ベンゼン、 1,4′- ジアミノ-2,3- ジクロロ- ベンゼ
ン、 1,4′- ジアミノ-2,3- ジブロモ- ベンゼン、 1,
4′- ジアミノ-2,3- ジメチル- ベンゼン等をあげるこ
とができる。これらの中では特にパラフェニレンジアミ
ンが物性上好ましい。
【0040】しかしながら、一般式 H2N-R-NH2 (式中、Rは二価の有機基)で表される芳香族ジアミン
化合物、たとえば、3, 3′- ジメトキシ-4,4′- ジアミ
ノビフェニル、 3,3′- ジメチル-4,4′- ジアミノビフ
ェニル、 3,3′- ジクロロ-4,4′- ジアミノビフェニ
ル、 4,4″- ジアミノパラタ -フェニル-4,4′-ビス(4
-アミノフェノキシ)ビフェニル、 4,4′- ジアミノジ
フェニルスルホン、3,3 ′- ジアミノジフェニルスルホ
ン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル] スルホ
ン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル] スルホ
ン、ビス[4-(2-アミノフェノキシ)フェニル] スルホ
ン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビ
ス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミ
ノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェニ
ル)ベンゼン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニ
ル] エーテル、 4,4′- ジアミノジフェニルメタン、ビ
ス(3-エチル-4- アミノフェニル)メタン、ビス(3-メ
チル-4- アミノフェニル)メタン、ビス(3-クロロ-4-
アミノフェニル)メタン、2, 2′,5,5′- テトラクロロ
-4,4′- ジアミノビフェニル、4,4 ′- ジアミノジフェ
ニルスルフィド、3,3 ′-ジアミノジフェニルエーテ
ル、 3,4′- ジアミノジフェニルエーテル、 4,4′-ジ
アミノジフェニルメタン、 4,4′- ジアミノビフェニ
ル、 4,4′- ジアミノオクタフルオロビフェニル、 2,
4′- ジアミノトルエン、メタフェニレンジアミン、2,2
-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル] プロパン、
2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル] ヘキサフ
ルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパ
ン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロ
パン、2,2-ビス(3-ヒドロキシ-4- アミノフェニル)プ
ロパン、2,2-ビス(3- ヒドロキシ-4-アミノフェニル)
ヘキサフルオロプロパン、9,9-ビス(4- アミノフェニ
ル)-10-ヒドロ- アントラセン、オルトトリジンスルホ
ン、3,3 ′,4,4′- ビフェニルテトラアミン、3,3 ′,
4,4′- テトラアミノジフェニルエーテルなどの多価ア
ミン化合物の一部使用も可能である。
【0041】本発明の芳香族ポリイミドの製造におい
て、重合反応で使用される有機極性溶媒としては、たと
えばジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなど
のスルホキシド系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、N,
N-ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,
N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミドな
どのアセトアミド系溶媒、N-メチル-2- ピロリドン、N-
ビニル-2- ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノ
ール、o-、m-、又はp-クレゾール、キシレノール、ハロ
ゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶
媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ- ブチロ
ラクトンなどを挙げることができる。これらを単独に又
は混合物として用いるのが好ましいが、更にはキシレ
ン、トルエンのような芳香族炭化水素の使用も可能であ
る。ポリアミック酸共重合体は上記の有機極性溶媒中に
5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%溶解されている
のが取扱いの面からも好ましい。
【0042】本発明の芳香族ポリイミドは、その前駆体
(芳香族ポリアミック酸)を有機極性溶媒に溶解させた
溶液(ワニス)となし、その溶液を支持体であるエンド
レスベルトあるいはキャリアフィルム上に流延し、溶媒
を除去するために約50〜150℃の温度で約 1〜60分間乾
燥させ、自己支持性ポリアミック酸膜とされる。
【0043】ここで、支持体であるエンドレスベルトに
ワニスを流延する前に、イミド化を促進するために化学
量論以上の脱水剤と触媒量の第3級アミンを混合させて
おいても良いし、あるいは加熱のみによりイミド化を行
わせても良い。物性上、脱水剤と触媒量の第3級アミン
を加える化学的脱水法の方が好ましい。なお脱水剤とし
ては、たとえば無水酢酸などの脂肪族酸無水物、芳香族
酸無水物などが挙げられる。また、触媒としては、たと
えばトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジ
メチルアニリンなどの芳香族第3級アミン類、ピリジ
ン、ピコリン、イソキノリン、キノリンなどの複素環式
第3級アミン類などが挙げられる。
【0044】次に、自己支持性ポリアミック酸膜を支持
体より引き剥した後、更にその自己支持性ポリアミック
酸膜の端部をピンなどにより固定して50〜550 ℃の温度
で熱処理が施されながら、MD方向には 1.0〜1.5 倍
に、TD方向には 0.5〜0.99倍に延伸させられる。
【0045】その後、更に自己支持性ポリアミック酸膜
を約 100〜550 ℃の温度範囲で徐々に加熱することによ
りイミド化させ、冷却後固定しているピンなどより取り
外して、本発明の芳香族ポリイミド重合体フィルムが得
られる。
【0046】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基
づき種々なる改良、修正、訂正を加えた態様で実施し得
るものであり、いずれも本発明の範囲に入るものであ
る。
【0047】以下に本発明の好ましい態様を実施例で説
明するが、これらの実施例は本発明を説明するためのも
のであり、限定するためのものではない。当業者は、本
発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、及
び改変を行い得る。
【0048】
【実施例】以下の実施例および比較例において、以下の
略号を用いる。 DMF:ジメチルホルムアミド ODA: 4, 4′- ジアミノジフェニルエーテル PMDA:無水ピロメリット酸 P-PDA:パラフェニレンジアミン BPDA: 3,3′,4,4′- ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物
【0049】
【実施例1】2リットルのセパラブルフラスコに所定量
のDMFと、0.36モルのODAをとり、ODAが完全に
溶解するまで室温で攪拌した。この溶解液中に 0.6モル
のPMDAを溶液の昇温を抑えながら徐々に添加し、プ
レポリマーを得た。なお、DMFの使用量はジアミノ化
合物及び芳香族テトラカルボン酸化合物のモノマー仕込
濃度が18重量%となるようにした。次に、0.24モルのP-
PDAをDMFに溶解させた20重量%の溶液を徐々に添
加することにより、ポリアミック酸溶液を得た。
【0050】理論量より過剰の無水酢酸と触媒量の第3
級アミンをポリアミック酸溶液に混合させた後で、ガラ
ス板上にその溶液を流延塗布し、約80℃で約90秒間乾燥
させた後、ポリアミック酸塗膜がガラス板より剥した。
その膜を支持枠に固定して約100℃で約90秒間加熱した
後、MD方向に 1.3倍に、TD方向に 0.6倍に延伸させ
た。
【0051】次いで、延伸させた膜を約 250℃で約30秒
間、約 300℃で約30秒間、約 400℃で約30秒間、約 450
℃で約30秒間、約 500℃で約3分間加熱して、約25ミク
ロンのポリイミド共重合体膜を得た。
【0052】得られたポリイミド共重合体膜によりフレ
キシブルプリント配線板(FPC)を作成し、エッチン
グ前後の寸法変化率を調べた。その結果と、ポリイミド
共重合体膜のMD方向とTD方向それぞれの線膨張係数
を第1表に示す。
【0053】
【表1】
【0054】ただし、FPCのエッチング前後の寸法変
化率はIPC-FC-241A の方法に準じて測定した。また、線
膨張係数は理学電気株式会社製、TAS-100 型熱機械分析
装置を用い、昇温速度10℃/分で100 〜200 ℃の温度範
囲で測定し、次式数1
【0055】
【数1】
【0056】によって算出した。
【0057】
【実施例2】実施例1と同様にして、ポリイミド共重合
体膜を得た。ただし、ガラス板から剥がしたポリアミッ
ク酸塗膜をMD方向に 1.2倍、TD方向に 0.8倍にそれ
ぞれ延伸させてポリイミド共重合体膜を得た。
【0058】得られたポリイミド共重合体膜によりフレ
キシブルプリント配線板(FPC)を作成し、エッチン
グ前後の寸法変化率を調べた。その結果と、ポリイミド
共重合体膜のMD方向とTD方向それぞれの線膨張係数
を第1表に示す。
【0059】
【実施例3】実施例1と同様にして、ポリイミド共重合
体膜を得た。ただし、ガラス板から剥がしたポリアミッ
ク酸塗膜をMD方向に 1.0倍、TD方向に 0.9倍にそれ
ぞれ延伸させてポリイミド共重合体膜を得た。
【0060】得られたポリイミド共重合体膜によりフレ
キシブルプリント配線板(FPC)を作成し、エッチン
グ前後の寸法変化率を調べた。その結果と、ポリイミド
共重合体膜のMD方向とTD方向それぞれの線膨張係数
を第1表に示す。
【0061】
【比較例1】実施例1と同様にしてポリイミド共重合体
膜を得た。ただし、MD方向及びTD方向のいずれの方
向にも原寸法に保持させた。同様に、得られたポリイミ
ド共重合体膜によりフレキシブルプリント配線板(FP
C)を作成し、エッチング前後の寸法変化率を調べた。
その結果と、ポリイミド共重合体膜のMD方向とTD方
向それぞれの線膨張係数を第1表に示す。
【0062】
【実施例4】2リットルのセパラブルフラスコにDMF
を入れ、その中にODAとp-PDAをモル比が25:75に
なるようにとり、ジアミノ化合物が完全に溶解するまで
室温で攪拌した。次に、BPDAで重合させ、18重量%
のポリアミック酸共重合体溶液を得た。このポリアミッ
ク酸共重合体溶液を用い、実施例1と同様の方法で約25
ミクロンのポリイミド共重合体膜を得た。
【0063】同様に、得られたポリイミド共重合体膜に
よりフレキシブルプリント配線板(FPC)を作成し、
エッチング前後の寸法変化率を調べた。その結果と、ポ
リイミド共重合体膜のMD方向とTD方向それぞれの線
膨張係数を第1表に示す。
【0064】
【比較例2】実施例1と同様の方法を用い、DMF中の
ODAとPMDAを共重合させ、18重量%のポリアミッ
ク酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液を用い、実施
例1と同様の方法で約25ミクロンのポリイミド共重合体
膜を得た。同様に、得られたポリイミド共重合体膜によ
りフレキシブルプリント配線板(FPC)を作成し、エ
ッチング前後の寸法変化率を調べた。その結果と、ポリ
イミド共重合体膜のMD方向とTD方向それぞれの線膨
張係数を第1表に示す。
【0065】
【発明の効果】本発明による樹脂フィルム、特にポリイ
ミドフィルムはフィルムの機械的送り方向における線膨
張係数と機械的送り方向と直交する方向の線膨張係数と
を所定の範囲内に異ならしめているため、フレキシブル
プリント配線板(FPC)の製造工程におけるエッチン
グ工程前後の寸法変化が小さく、特に高密度実装用フレ
キシブルプリント配線板用フィルムのベースフィルムと
して非常に有用なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 79:08 (72)発明者 硲 淳一 滋賀県大津市比叡辻2−1−1 鐘淵化 学工業株式会社 滋賀工場内 (56)参考文献 特開 昭61−264028(JP,A) 特開 昭62−236827(JP,A) 特開 昭64−17219(JP,A) 特開 昭61−297034(JP,A) 特開 昭61−60725(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 55/02 - 55/28 C08J 5/18 CFG

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィルムの機械的送り方向の線膨張係数
    (a)と該機械的送り方向と直交する方向の線膨張係数
    (b)の比(a/b)が0.2 以上1.0 未満であり、10
    0℃〜200℃の範囲における前記機械的送り方向の線
    膨張係数が 0.4〜2.0 ×10-5-1であり、かつ、ジアミ
    ン成分として、4,4 ' −ジアミノジフェニルエーテル、
    及び一般式化1 【化1】 (R1 は、水素原子または1 価の置換基である。)で表
    される芳香族ジアミンを含むジアミン成分より得たフィ
    ルムを機械的送り方向に 1.0〜 1.5倍に延伸し、且つ該
    機械的送り方向と直交する方向に0.5 〜0.99倍に延伸す
    ることを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ポリイミドフィルムの製造方法にお
    いて、ジアミン成分として、4,4 ' −ジアミノジフェニ
    ルエーテル、及び一般式化2 【化2】 (R1 は、水素原子または1 価の置換基である。)で表
    される芳香族ジアミンを含むジアミン成分を90モル%以
    上含有することを特徴とする、請求項1に記載するポリ
    イミドフィルムの製造方法。 【0000】
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