JP3065893B2 - 空気調和機の吸気整流装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、空気調和機の室内機に
係り、より詳細には、室内機の熱交換器を通過する吸気
を整流する空気調和機の吸気整流装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般家庭に設置される空気調和機におい
て、普及形の小形クーラーやヒートポンプ式の空調機
は、図４に示すように、室内機の外箱２内に熱交換器３
および室内送風ファン８等を配設したものが一般的な構
成となっている。また、この室内機の外箱２は、前面パ
ネル２ａの上半部に吸気口５を開設するとともに、下部
側に排気口７を開設しており、この吸気口５と排気口７
との間を隔壁１０で仕切って通風路６を形成している。

【０００３】そして、前記吸気口５側に熱交換器３が傾
斜して立設され、この熱交換器３の前面にフィルタ１２
が装着される一方、背面側の下端に近接して通風路６内
に室内送風ファン８が配置されている。なお、１１ａは
熱交換器３から落下する結露を受けるドレンパンであ
る。

【０００４】しかして、上記空気調和機は、冷房運転を
開始すると、室内送風ファン８が回転駆動して吸気口５
から室内の空気が吸入される。この吸気は、同図矢印に
示すように、フィルタ１２および熱交換器３を通過して
通風路６に導かれた後、排気口７より室内に排出され
る。このとき、熱交換器３で熱交換が行われ、通気の熱
が奪われることから、室内空気の温度が低下し冷気とな
って再び室内側に送風されるものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
空気調和機は、室内送風ファン８が熱交換器３の下端に
おける通風路６の下部側に配置されているので、吸気口
５から流入する吸気の流速は、熱交換器３の上部側と下
部側とで大きく異なる。すなわち、吸気の流速は、室内
送風ファン８に接近するほど速く、遠くなるに従って漸
次遅くなる。このため、上下方向に延びる通風路６内で
気流の乱れが生じ、不快感を与える騒音が発生してい
た。

【０００６】また、熱交換器３ではチューブ３ａの上部
側から下部側に向けて冷媒が流通するようになっている
が、この熱交換器３の上部側と下部側とで通気の流速が
大きく異なるため、流速の遅い上部側の温度が低下せず
流速の早い下部側が低温となる現象が生じる。すると、
熱交換器３全体に温度差が発生することから、熱を奪わ
れる度合いも異なり、熱交換効率が低下するという問題
が残されていた。

【０００７】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
で、室内機への吸気を整流して騒音の発生を低減すると
ともに、熱交換効率を高め得る空気調和機の吸気整流装
置を提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、室内ユニットの筐体に通風路を介して吸
入口と排気口とが設けられ、前記吸気口側に熱交換器が
略垂直に配置される一方、この熱交換器の下部側におけ
る通風路に室内ファンが配置された空気調和機におい
て、前記熱交換器の横幅に略等しく長さの異なる複数枚
の整流板を熱交換器の上下方向に所定の間隔をあけて配
設し、各整流板をそれぞれ同一方向に向け、かつ前記熱
交換器の背面側から前記室内ファンに到る吸気流路が略
等しい距離となる長さに設定したことを特徴としてい
る。

【０００９】

【作用】本発明においては、室内ファンを回転させる
と、吸気口側から空気が吸引されて熱交換器および複数
枚の整流板を通過し通風路を介して排気口より排出され
る。ここで、各整流板は、横幅が熱交換器に略等しく形
成されているので、熱交換器を通過する吸引空気が整流
される。また、各整流板の長さを異ならせるとともに、
熱交換器の背面側から室内ファンまでの吸気流路が略等
しい距離となる長さに設定しているので、熱交換器の上
下部における空気の通過速度がほぼ均等になる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の一実施例について、図を参照
しながら説明する。図１は、本発明に係る空気調和機の
室内機を示す断面図、図２は、同室内機に設けた吸気整
流装置の概要構成図である。

【００１１】この空気調和機の吸気整流装置は、普及形
の小形クーラーやヒートポンプ式の空調機における室内
ユニット１に適用され、この室内ユニット１の外箱２内
に配設された熱交換器（エバポレータ）３側に吸気整流
部４を設けた構成となっている。

【００１２】前記外箱２は、横長の略矩形状に形成され
ており、前面パネル２ａの上半部に吸気口５が開設され
るとともに、下部側に排気口７が開設されている。そし
て、吸気口５側の前面パネル２ａには、グリルが装着さ
れている。また、外箱２の天板２ｃ側に上部支持板９が
固設され、この上部支持板９から背面パネル２ｂに沿っ
て底板２ｄまでの間に彎曲状の隔壁１０が設けられてい
る。

【００１３】さらに、前記前面パネル２ａの下部側に沿
って、下部支持板１１が水平方向に固設されており、こ
の下部支持板１１には略Ｕ字状のドレンパン１１ａが傾
斜状に一体形成されている。

【００１４】前記熱交換器３は、吸気口５の内側におい
て上部支持板９側に上端部が、下部支持板９側に下端部
がそれぞれ固定され、所要の傾斜角を有して立設されて
いる。そして、この熱交換器３の前面側にフィルタ１２
が装着される一方、背面側に吸気整流部４が配設される
ようになっている。

【００１５】また、この熱交換器３の背面側と前記隔壁
１０との空間が、吸気口５から排気口７に延びる通風路
６の主要部を構成するようになっており、この通風路６
における熱交換器３の下端部側に室内送風ファン８が配
設されている。

【００１６】この室内送風ファン８は、ファンモータ８
ａおよびファンガード８ｂが前記下部支持板１１に固設
されており、ファンモータ８ａの回転駆動によって、室
内空気を吸気口５から吸引し、フィルタ１２、熱交換器
３、吸気整流部４および通風路６を介し排気口７側より
室内に向けて排出するようになっている。このとき、熱
交換器３で熱交換が行われ、吸気の熱が奪われることか
ら、室内空気の温度が低下し冷気となって再び室内側に
送風され、冷房が行われることとなる。

【００１７】前記吸気整流部４は、４枚の整流板４ａ〜
４ｄを２本の左右支持枠４ｅ，４ｆに配設したもので、
この左右支持枠４ｅ，４ｆの各上端を前記上部支持板９
に、各下端を前記下部支持板１１に固定するようになっ
ている。前記第１〜第４の各整流板４ａ〜４ｄは、横幅
が熱交換器３よりも長く形成されているが、縦幅はそれ
ぞれ異ならせている。すなわち、左右支持枠４ｅ，４ｆ
の上部側に固定する最上段の第１整流板４ａを最も幅狭
とし、最下段に固定する第４整流板４ｄを最も幅広とし
て、中間となる第２、第３の各整流板４ｂ，４ｃは漸次
幅広としている。

【００１８】そして、これらの各整流板４ａ〜４ｄは、
前記熱交換器３の背面側から前記室内送風ファン８に到
る吸気流路ｌが略等しい距離となる角度に設定し、それ
ぞれ上向きとなるように前記左右支持枠４ｅ，４ｆに固
設している。

【００１９】すなわち、前記室内送風ファン８は、熱交
換器３の下端部側に位置していることから、通常、熱交
換器３を通過して室内送風ファン８に到る吸気の流路ｌ
が熱交換器３の上部側では長く、下部側が短かくなる。
このため、熱交換器３を通過する吸気の流速に差が生じ
て、騒音が発生したり熱交換効率が低下する。

【００２０】本例では、第１〜第４の各整流板４ａ〜４
ｄを、先端が上向きとなる傾斜角度で固定しているが、
図３に示す如く室内送風ファン８に最も近い第４整流板
４ｄの縦幅が最も長く、最も遠い第１整流板４ａの縦幅
を最も短かくして、これらの整流板４ａ〜４ｄにより区
分される吸気流路ｌ1 〜ｌ4 をほぼ等しい距離に設定し
ている。

【００２１】しかして、上記吸気整流装置を備えた空気
調和機の運転を開始すると、室内送風ファン８が回転駆
動して吸気口５側から室内空気が吸引され、同図矢印に
示すように、フィルタ１２および熱交換器３を介して通
風路６に導入される。そして、熱交換器３を通過した吸
気が４枚の整流板４ａ〜４ｄによって通風路６の上方に
向けられた後、通風路６の下部側に導かれ、室内送風フ
ァン８を通過して排気口７より排出される。

【００２２】この吸気の流通過程においては、各整流板
４ａ〜４ｄの横幅が熱交換器３に略等しく、縦幅も所要
の長さを有しており、かつ、それぞれが同一方向に向け
られているので、熱交換器３を通過するときに吸気が整
流される。よって、気流の乱れが抑制されることから、
騒音の発生が大幅に低減する。

【００２３】また、各整流板４ａ〜４ｄの長さを異なら
せるとともに、予め傾斜角度を設定して吸気流路ｌを略
等しい距離としているため、熱交換器３の上下部は勿
論、どの部位においても吸気の通過速度がほぼ均等にな
る。

【００２４】よって、チューブ３ａの上部側から下部側
に向けて冷媒が流通するこの種の熱交換器３の全面で熱
が奪われる状態となり、従来のように熱交換器３の上下
部において熱交換効率が異なるという問題が軽減され
て、効率的な熱交換が行われる。

【００２５】なお、上記実施例においては、小型クーラ
ーやヒートポンプ式の空調機に適用する場合について説
明したが、パッケージ型の式空気調和機等にも採用し得
ることは勿論である。

【００２６】

【発明の効果】本発明は、複数枚の整流板により熱交換
器を通過する吸引空気を整流することができるので、従
来のような気流の乱れによる騒音の発生を大幅に低減す
ることができる。また、熱交換器を通過する吸引空気の
速度をどの部位においてもほぼ均等に保つことができる
ので、熱交換器の上下部において熱交換効率が異なると
いう問題が軽減され、効率的な熱交換が図れるといった
効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る空気調和機の室内機を
示す断面図である。

【図２】同室内機に設けた吸気整流装置の概要構成図で
ある。

【図３】同吸気整流装置の吸気整流状態を示す説明図で
ある。

【図４】従来の空気調和機の室内機を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 室内ユニット ２ 筐体 ３ 熱交換器 ４ａ〜４ｄ 整流板 ５ 吸気口 ６ 通風路 ７ 排気口 ８ 室内ファン ｌ 吸気流路

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】室内ユニットの筐体に通風路を介して吸入
   口と排気口とが設けられ、前記吸入口側に熱交換器が略
   垂直に配置される一方、この熱交換器の下部側における
   通風路に室内ファンが配置された空気調和機において、 前記熱交換器の横幅に略等しく長さの異なる複数枚の整
   流板を熱交換器の上下方向に所定の間隔をあけて配設
   し、各整流板をそれぞれ同一方向に向け、かつ前記熱交
   換器の背面側から前記室内ファンに到る吸気流路が略等
   しい距離となる長さに設定したことを特徴とする空気調
   和機の吸気整流装置。