JP3065410B2 - 電子内視鏡装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、固体撮像素子にて得ら
れたビデオ信号をモニタに表示する電子内視鏡装置の構
成に関する。

【０００２】

【従来の技術】先端部に設けられた固体撮像素子である
ＣＣＤ（ChargeCoupled Device ）で、消化管等の体腔
内あるいは構造物の細管内等を観察する電子内視鏡が周
知であり、この種の電子内視鏡では上記ＣＣＤにて撮像
された被観察体内の画像がモニタ上に表示される。従っ
て、モニタ上に表示された画像を観察することにより、
医療分野では診断や各種の処置が行われ、また工業分野
では細管内の状態等が検査できることになる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、従来におけ
る電子内視鏡装置は、電子内視鏡（電子スコープ）が外
部プロセッサ装置に接続され、この外部プロセッサ装置
にモニタが接続される構成となっている。この外部プロ
セッサ装置は、比較的大きい装置となっており、従って
容易に携帯することはできず、医療分野では手術室又は
検査室以外で行う簡易な検査あるいは集団検診の場合に
は、装置の搬入、セッティング等を簡単に行うことがで
きなかった。他方、工業分野では検査対象自体を動かす
ことができない場合も多く、携帯し易い装置が求められ
ている。

【０００４】また、電子内視鏡装置は種々の使用目的を
有しており、例えば簡易な検査に用いられる場合もあ
り、詳細な検査・処置に用いられる場合もあり、しかも
詳細な検査・処置にあっては画像をフリーズし、あるい
はカラー表示状態を変化させて観察したりする必要が生
じる。しかし、この装置は目的に応じて使い方が異なっ
ているのに対応して構成されておらず、汎用性に欠ける
という問題もある。

【０００５】更に、電子内視鏡装置では外部プロセッサ
部に組み込まれているビデオ信号処理回路や被観察体内
を照す光源装置が故障することもあり、この場合には外
部プロセッサ装置を一体として修理しなければならず、
電子内視鏡の使用が不可能となる。また更に、電子内視
鏡装置にはＩＣ部品が用いられているが、このＩＣ部品
は時代の推移により新しいものに置き換えられており、
近年ではそのスピードも速くなっている。一方、光源装
置を含むＩＣ以外の部品は上記ＩＣ部品よりも長期間使
用することが可能であり、使用寿命が異なる部品が一つ
の装置に混在することによる無駄が生じている。

【０００６】そこで、本出願人はＣＣＤを駆動する回路
とビデオ信号を処理する回路の一部を独立させて別ユニ
ットとして構成することを提案している。しかし、この
場合は独立させたユニット内に、アイソレーションデバ
イスにより出力回路から電気的に遮断された患者回路が
含まれることから放射ノイズに対して無防備となり、放
射ノイズの影響を受けてしまうという問題がある。すな
わち、従来から電子内視鏡装置においては、所定の電気
的安全性と絶縁耐圧を確保するために、患者回路側と出
力回路側をパルストランス等のアイソレーションデバイ
スで電気的に遮断している。従って、患者回路を有する
上記ユニットが出力回路、光源部、その他の回路を有す
る外部プロセッサ装置から浮いてしまうことになる。

【０００７】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、携帯性を有することができ、かつ
汎用性があり、また特に光源装置等が故障した場合でも
内視鏡の使用が可能となるシステム構成を提供すると共
に、このシステム構成で放射ノイズの影響を良好に防止
する電子内視鏡装置を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る電子内視鏡装置は、固体撮像素子を先
端部に配設した電子内視鏡と、この電子内視鏡に接続可
能に構成され、少なくとも画像用メモリを有するプロセ
ッサ装置と、上記電子内視鏡に着脱自在に取り付けられ
る駆動／処理ユニットとを備え、上記駆動／処理ユニッ
トには、上記固体撮像素子を駆動する駆動回路及び固体
撮像素子で得られたビデオ信号について上記画像用メモ
リ前段までの処理をする処理回路を有する回路部と、こ
の回路部で形成されたビデオ信号を上記プロセッサ装置
に出力するためのコネクタ部と、外部との電気的分離を
図るアイソレーションデバイスと、上記回路部において
同時化処理されたビデオ信号を上記アイソレーションデ
バイスを介してモニタへ出力するためのコネクタ部と、
少なくとも上記回路部を覆うように配置され、上記電子
内視鏡側のアースに接続されるノイズ対策用金属部材と
を設けたことを特徴とする。

【０００９】

【作用】上記の構成によれば、駆動／処理ユニットが光
源装置、メモリ、オプション回路等が配設された外部プ
ロセッサ装置に対して、あるいは操作部に対して着脱自
在となるので、駆動／処理ユニットと外部プロセッサ装
置とを分離して取り扱うことができ、また駆動／処理ユ
ニット自体で処理したビデオ信号に基づいて画像表示さ
せることが可能となる。そして、上記駆動／処理ユニッ
トの金属部材は、電子内視鏡のアースと同電位となり、
放射ノイズにより影響を受けたとしても電子内視鏡の回
路の影響と関連付けられるので、ノイズの影響が良好に
防止される。

【００１０】

【実施例】図１には、第１実施例での電子内視鏡と駆動
／処理ユニットとの接続関係が示され、図２には、第１
実施例の電子内視鏡装置の全体構成図［図（ａ）］及び
駆動／処理ユニットの構成図［図（ｂ）］が示されてお
り、まず全体の構成から説明する。図２（ａ）におい
て、電子内視鏡１０には先端部にＣＣＤ１１が配設さ
れ、中間部に操作部１２が設けられており、この操作部
１２の操作によって先端部が曲げ操作されると共に、撮
影あるいは処置のための操作が可能となる。この電子内
視鏡１０は、コネクタ１３によって駆動／処理ユニット
１４に接続され、この駆動／処理ユニット１４は他の装
置と独立（別体）させ、かつ着脱自在に形成し、コネク
タ１５によって外部プロセッサ装置１６に接続される。
また、電子内視鏡１０へ光を供給するファイバケーブル
１７が途中から分岐し、コネクタ１８によって外部プロ
セッサ装置１６に接続されている。

【００１１】図２（ｂ）において、独立した上記駆動／
処理ユニット１４には、ＣＣＤ１１を駆動するＣＣＤ駆
動回路２０、同期信号発生回路２１、そしてユニット全
体の制御を行うマイコン等からなるＣＰＵ（中央処理
部）２２が設けられ、またＣＣＤ１１から伝送されるビ
デオ信号を処理するために、Ａ／Ｄ変換器２３、デジタ
ル信号処理回路２４、Ｄ／Ａ変換器２５が設けられる。
上記デジタル信号処理回路２４は、信号増幅、ガンマ補
正、クランプ、ブランキング等の信号処理を行ってお
り、同時式タイプの装置ではこの処理回路２４の出力で
画像表示が可能な状態となる。

【００１２】また、図２（ａ）に示される外部プロセッ
サ装置１６には、光源部２７，光量制御回路２８が設け
られ、この光量制御回路２８によって制御された光源部
２７の光がファイバケーブル１７を介して内視鏡先端に
供給される。そして、上記駆動／処理ユニット１４から
の出力を入力するアイソレーションデバイスとしてのパ
ルストランス（フォトカプラでもよい）２９、画像デー
タを記憶するメモリ３０、表示カラーの色条件の設定等
を行うオプション回路３１、出力部３２が設けられてい
る。上記パルストランス２９は、電子内視鏡１０側（患
者回路側）と外部プロセッサ装置１６側（出力回路側）
とを電気的に遮断し、電子内視鏡１０において所定の絶
縁耐圧を維持する役目をしている。

【００１３】更に、第１実施例は駆動／処理ユニット１
４から直接モニタに入力できるビデオ信号が取り出せる
ようになっており、同時化されたビデオ信号を出力する
ための専用コード３５ａ，３５ｂ及びコネクタ３６ａ，
３６ｂと、電源を入力するための電源コード３７及びコ
ネクタ３８を設けている。そして、図２（ｂ）に示され
るように、内部にはアイソレーションデバイスとしての
パルストランス３９が設けられる。このパルストランス
３９には、少なくともＤ／Ａ変換器２５及び同期信号発
生回路２１の出力が供給され、専用コード３５ａ，３５
ｂからビデオ信号を出力できる構成とされている。

【００１４】この第１実施例は、同時式の内視鏡に適用
でき、上記駆動／処理ユニット１４の信号処理により、
同時化されたビデオ信号、例えばＹ（輝度）／Ｃ（色
差）信号、コンポジット信号、ＲＧＢ信号、同期信号等
が出力されることになる。

【００１５】このような装置において、図１に示される
ように、上記駆動／処理ユニット１４は、内部回路４１
を金属ケース（金属シールドでも可）４２で覆う構成と
され、この金属ケース４２は電子内視鏡１０内のアース
Ｇ1 に接続される。すなわち、電子内視鏡１０における
ＣＣＤ１１に接続される出力回路４３はアースＧ1 に接
続されているが、このアースＧ1 に上記金属ケース４２
がコネクタ１５を介して接続される。従って、金属ケー
ス４２の電位はアースＧ1 の電位と同一となる。なお、
上記金属ケース４２は内部回路４１のアースＧ2 にも接
続される。

【００１６】上記の構成によれば、まず図２の光源部２
７から出力された光がフィルタケーブル１７を介して先
端部から被観察体内へ出射されると、被観察体像はＣＣ
Ｄ１１で捉えられ、このＣＣＤ１１の出力は、駆動／処
理ユニット１４へ供給される。そうすると、この駆動／
処理ユニット１４では、ＣＣＤ１１の出力がデジタル信
号に変換され、このデジタルビデオ信号についてデジタ
ル信号処理回路２４にて増幅処理、ガンマ処理、クラン
プ処理、ホワイトバランス処理等が行われ、この後にア
ナログ信号に変換されて出力される。

【００１７】上記駆動／処理ユニット１４の出力は、外
部プロセッサ装置１６内のパルストランス２９を介して
メモリ３０へ入力されることになり、このメモリ３０内
の画像データを読み出し、出力部３２を介してモニタに
出力することによって画像表示が行われる。この場合、
メモリ３０に画像データが記憶されているので、所望の
画像をフリーズして観察することができるし、後段のオ
プション回路３１によって、色表示状態を変えて観察し
たりすることが可能となる。

【００１８】このような動作中に、駆動／処理ユニット
１４に放射されるノイズについては、例えば小さいノイ
ズは金属ケース４２で吸収され、大きいノイズにより処
理信号に変動が生じる場合は、電子内視鏡のアースへの
接続によって電子内視鏡内の処理信号も共に変動するこ
とになる。従って、外部プロセッサ装置１６内の光源部
２７からの点灯ノイズ等やその他のノイズ（外来ノイズ
も含む）の影響をなくすことができる。なお、駆動／処
理ユニット１４内の回路から放射されるノイズも上記金
属ケース４２で吸収されることになる。

【００１９】上記第１実施例の構成は、外部プロセッサ
装置１６がなくとも簡易な画像表示等を行う装置として
用いることができる。すなわち、図３に示されるよう
に、簡易な光源装置４７にファイバケーブル１７及び電
源コード３７をそれぞれのコネクタ１８，３８で接続
し、モニタ４８に専用コード３５ａ，３５ｂをコネクタ
３６ａ，３６ｂで接続する。上記光源装置４７は、電源
回路４９、制御回路５０及び光源部５１を有し、観察光
の供給のみを目的としたものであり、光学的手段のみに
て観察する従来の内視鏡で用いられている簡易なものを
利用することができる。このような接続状態とすれば、
駆動／処理ユニット１４で処理され、同時化されたビデ
オ信号が専用線３５ａ，３５ｂを介してモニタ４８に出
力されるので、フリーズ、色調整などをすることはでき
ないが、被観察体内の観察が可能となる。

【００２０】従って、例えば医療分野では集団検診等の
簡易な検査、工業分野の通常の細管内検査に使用するこ
とができ、この場合には外部プロセッサ装置１６を用い
る必要がないので、携帯性のある装置とすることができ
る。また、外部プロセッサ装置１６自体が故障等によっ
て使用できない時には、上記簡易な光源装置４７によっ
て電子内視鏡１０の使用が可能である。

【００２１】上記第１実施例では、駆動／処理ユニット
１４からモニタ４８に直接ビデオ信号を出力できる構成
としたが、単に外部プロセッサ装置１６から独立させる
構成とすることができる。すなわち、上記において専用
コード３５ａ，３５ｂ及びコネクタ３６ａ，３６ｂ、電
源コード３７及びコネクタ３８、更にパルストランス３
９を設けず、コネクタ１５のみにて外部プロセッサ装置
１６との接続を行う。この場合は、同時式、面順次式の
いずれの内視鏡にも適用することができる。例えば、面
順次式の場合は、上記光源部２７にカラーフィルタを備
え、このカラーフィルタにてＲＧＢの各光が被観察体内
へ順次出力されることになり、ＣＣＤ１１から出力され
たＲＧＢのビデオ信号を駆動／処理ユニット１４で処理
することになる。また、後段のオプション回路３１で
は、色ずれ等を防ぐことが可能となる。

【００２２】このような構成によっても、上記駆動／処
理ユニット１４が別体で、かつ着脱自在となるので、駆
動／処理ユニット１４と外部プロセッサ装置１６を分離
して取り扱うことができ、例えばいずれかが故障等した
場合には、代りのユニット及び装置と交換することがで
きるという利点がある。また、近年ではＩＣ部品が激し
く変化しているため、駆動／処理ユニット１４内のＩＣ
部品の構成を変更する必要が生じる場合があるが、この
ような場合でも外部プロセッサ装置１６を替えることな
く、駆動／処理ユニット１４のみの交換によって新しい
部品構成に対応することが可能となる。更に、電子内視
鏡１０自体が変る場合にも変更された電子内視鏡１０に
対応して、駆動／処理ユニット１４を変更して使用する
こともできることになる。

【００２３】図４には、上記駆動／処理ユニット１４内
のビデオ信号処理部の他の構成が示されており、このよ
うな構成に置き換えることができる。すなわち、図４
（ａ）はアナログ処理する場合であり、端子１４ａと端
子１５ａとの間に増幅器３３、アナログ信号処理回路３
４を設けた例である。この例では、ビデオ信号をアナロ
グ処理しており、アナログ信号処理回路３４は上記デジ
タル信号処理回路２４と同様に、ガンマ補正、クランプ
処理等を行うものである。また、図４（ｂ）は上記第１
実施例のビデオ信号処理部のＤ／Ａ変換器２５をなくし
た例であり、この場合は外部プロセッサ装置１６内のア
イソレーションデバイスとしてのパルストランス２９を
フォトカプラとする必要があり、これによって外部プロ
セッサ装置１６の後の処理もデジタル処理することがで
きる。

【００２４】図５には、第２実施例の構成が示されてお
り、この第２実施例は駆動／処理ユニットを操作部に配
設したものである。図５に示されるように、電子内視鏡
１０の操作部１２には内視鏡先端を上下・左右に曲げ操
作するアングルツマミ５３が設けられ、その他にも撮影
シャッタ５４等が設けられる。そして、駆動／処理ユニ
ット５５は小型化された状態で、操作部１２の後端部に
コネクタ５６によって着脱自在に取り付けられる構成と
なっている。また、上記駆動／処理ユニット５５に接続
される形で専用コード５７ａ，５７ｂ、コネクタ３６
ａ，３６ｂと、電源コード５８、コネクタ３８が配設さ
れる。更に、上記駆動／処理ユニット５５は全体を覆う
ように金属シールドが内部に形成された金属シールドケ
ース５９に収納され、この金属シールドケース５９は電
子内視鏡１０内のアースＧ1 に接続されると共に、駆動
／処理ユニット５５の内のアースＧ2 に接続される。

【００２５】従って、第１実施例の場合と同様に、簡易
な光源装置４７にファイバケーブル１７、電源コード５
８を接続し、モニタ４８に専用コード５７ａ，５７ｂを
接続することによって、外部プロセッサ装置１６を用い
ることなく、被観察体内の画像を表示することができ
る。そして、使用の際には、放射ノイズを良好に防止す
ることが可能となる。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
固体撮像素子駆動回路及びビデオ信号のメモリ前段まで
の処理回路を有する回路部を駆動／処理ユニットとして
独立させ、かつ着脱自在に形成し、この回路部で同時化
処理されたビデオ信号をアイソレーションデバイス及び
コネクタ部を介してモニタへ出力できるようにし、また
この駆動／処理ユニットは金属部材で覆うと共に、この
金属部材を電子内視鏡側のアースに接続したので、駆動
／処理ユニットを外部プロセッサ装置から分離して取り
扱うことができ、また外部プロセッサ装置がなくても画
像表示が可能となり、更には携帯性及び汎用性を有する
システム構成装置における放射ノイズの影響を良好に防
止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例に係る電子内視鏡装置の接
続構成を示す図である。

【図２】第１実施例における全体構成図［図（ａ）］及
び駆動／処理ユニット内の構成を示す図［図（ｂ）］で
ある。

【図３】第１実施例での他の使用状態を示す図である。

【図４】実施例の駆動／処理ユニット内におけるビデオ
信号処理部の他の構成を示すブロック図である。

【図５】第２実施例の構成を示すブロック図である。

【符号の説明】

１０ … 電子内視鏡、 １１ … ＣＣＤ、 １４，５５ … 駆動／処理ユニット、 １３，１５，１８，３６，３８ … コネクタ、 １６ … 外部プロセッサ装置、 ２０ … ＣＣＤ駆動回路、 ２１ … 同期信号発生回路、 ２４ … デジタル信号処理回路、 ２７，５１ … 光源部、 ２９，３９ … パルストランス、 ３０ … メモリ、 ４２ … 金属ケース、 ４７ … 光源装置、 ５９ … 金属シールドケース。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 固体撮像素子を先端部に配設した電子内
   視鏡と、 この電子内視鏡に接続可能に構成され、少なくとも画像
   用メモリを有するプロセッサ装置と、 上記電子内視鏡に着脱自在に取り付けられる駆動／処理
   ユニットとを備え、 上記駆動／処理ユニットには、 上記固体撮像素子を駆動
   する駆動回路及び固体撮像素子で得られたビデオ信号に
   ついて上記画像用メモリ前段までの処理をする処理回路
   を有する回路部と、この回路部で形成されたビデオ信号
   を上記プロセッサ装置に出力するためのコネクタ部と、
   外部との電気的分離を図るアイソレーションデバイス
   と、上記回路部において同時化処理されたビデオ信号を
   上記アイソレーションデバイスを介してモニタへ出力す
   るためのコネクタ部と、少なくとも上記回路部を覆うよ
   うに配置され、上記電子内視鏡側のアースに接続される
   ノイズ対策用金属部材とを設けた電子内視鏡装置。