JP3065152B2 - 光選択機能性樹脂組成物 - Google Patents

光選択機能性樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、光選択機能性を有す
る樹脂組成物に関し、詳しくは波長520nm付近の波
長帯の光線を選択的に吸収する樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】光選択機能性を有する樹脂組成物とし
て、エルビウム化合物が波長520nm付近の光線を選
択的に吸収する特性を利用したものが、従来より知られ
ている。例えば、特開昭60−88071号公報に記載
のエルビウム含有透明樹脂は、アルキルメタクリレート
やスチレンなどのモノマーとアクリル酸エルビウムなど
のエルビウム化合物とカルボン酸などのエルビウム化合
物の溶媒と重合開始剤とからなる混合物をセルキャスト
法で重合したものである。
【0003】これらの樹脂組成物は、上述のように波長
520nm付近の波長域で選択的に光線を吸収する特性
を有し、カラーCRTなどのカラーディスプレイ装置の
フィルターやスクリーン板、照明器具などの具体的な用
途が考えられている。
【0004】しかしながら、透明プラスチック基材に酸
化エルビウム粉末を分散させたものでは、無機粉末の分
散系であることから、透明度や光線透過率が低下し、ま
た吸収ピークがブロードでかつ吸収光量も少ないと言う
欠点がある。
【0005】また、特開昭60−88071号公報の樹
脂組成物では、エルビウム化合物および溶媒がポリマー
中に分子状に結合あるいは溶解しているため、ポリマー
自体の機械的特性等が変化し、光学的に十分な量のエル
ビウム化合物を含有させようとすると、樹脂組成物の大
幅な特性劣化を招く不都合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】よって、この発明にお
ける課題は、透明度や光線透過率の低下、樹脂組成物の
特性劣化などの不都合を伴わず、しかも鋭い吸収特性を
有する光選択機能性樹脂組成物を得ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる課題は、透明ポリ
マー中にエルビウム化合物を含有せしめてなる光選択機
能性を持つビーズを用意し、このビーズを透明な樹脂組
成物中に分散させることで解決される。
【0008】以下、本発明を詳しく説明する。まず、こ
の発明で使用される光選択機能性ビーズは、透明ポリマ
ー中にエルビウム化合物が含有されてなる粒子である。
このビーズの粒径は5mm以下、0.01μm以上の範
囲とされる。この粒径は、ビーズの用途によって大きく
変動する。また、ビーズ中のエルビウム化合物は、透明
ポリマーと共重合などの手段によって化学的に結合され
ていてもよく、また透明ポリマー中に溶解されていても
よい。また、ビーズ自体が透明であることが必要であ
る。
【0009】次に、この光選択機能性ビーズをその製法
によって説明する。この光選択機能性ビーズの製法は、
カルボン酸エルビウムとカルボン酸とから得られた複塩
と、重合ポリマーが透明となる重合性モノマーとの混合
物を懸濁重合するものである。
【0010】このエルビウム化合物としてのカルボン酸
エルビウムは、重合性を有するものであっても、また非
重合性であってもよい。重合性のカルボン酸エルビウム
としては、メタクリル酸エルビウム、アクリル酸エルビ
ウム、α−クロロアクリル酸エルビウム、α−エチルメ
タクリル酸エルビウム、マレイン酸エルビウム、フマー
ル酸エルビウム、イタコン酸エルビウムなどが挙げられ
る。また、非重合性のカルボン酸エルビウムとしては、
プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−吉草酸、イソ
吉草酸、n−カプロン酸、n−カプリル酸、n−カプリ
ン酸、α−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ステアリン
酸等の飽和脂肪酸のエルビウム塩およびオレイン酸、リ
ノール酸、リノレン酸、リシノール酸、安息香酸、フタ
ール酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、イタコン
酸モノアルキルエステル、ナフテン酸等の不飽和脂肪
酸、レプリン酸、アセチル吉草酸等のオキソカルボン
酸、乳酸、グリコール酸エチルエーテル、グリコール酸
ブチルエーテル等のヒドロキシカルボン酸、ブチルアッ
シドフォスフェート、エチルアッシドフォスフェート等
の燐酸類、脂肪族、芳香族のスルホン酸等のエルビウム
塩などが挙げられる。これらカルボン酸エルビウムは1
種単独もしくは2種以上混合して用いられ、重合性のも
のと非重合性のものと混合物であってもよい。
【0011】まず、このようなカルボン酸エルビウムと
カルボン酸とを反応させて複塩とする。これは、一般に
カルボン酸エルビウムが重合性モノマーに対して難溶で
あるためであって、複塩とすることで重合性モノマーに
対して易溶とすることができるためである。
【0012】このためのカルボン酸としては、メタクリ
ル酸、アクリル酸などの重合性の不飽和カルボン酸やプ
ロピオン酸、イソ酪酸、n−酪酸、カプロン酸、カプリ
ル酸、カプリン酸、2−エチルヘキサン酸、ステアリン
酸、オクタン酸、ナフテン酸などの飽和または不飽和の
脂肪族などが挙げられ、これらの1種または2種以上を
組み合せて用いられる。カルボン酸エルビウムとカルボ
ン酸との混合量比は、両者合計量を100重量%とした
場合、カルボン酸が10〜40重量%の範囲とすること
が好ましい。カルボン酸の量が40重量%を越えると、
ビーズ中のエルビウムの含有量が低下し、かつビーズの
機械的特性、熱的特性が低下し、好ましくない。
【0013】また、カルボン酸エルビウムの溶解性を一
層向上させるため、α−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、α−ヒドロキシエチルメタクリレートなどの不飽和
アルコール、プロピルアルコール、シクロヘキシルアル
コールなどの飽和脂肪族アルコール、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の
多価アルコールなどを上記カルボン酸と併用することが
できる。このアルコール類の使用量は、カルボン酸との
混合物として、前記同様10〜40重量%とされる。
【0014】また、重合ポリマーが透明である重合性モ
ノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルやスチレ
ンが代表的である。(メタ)アクリル酸エステルとして
は(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル等の(メタ)アクリル酸アルキルまたは(メタ)アク
リル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒド
ロフリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アク
リル酸フェニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)
アクリル酸メタリル、(メタ)アクリル酸β−ナフチ
ル、(メタ)アクリル酸β−アミノエチル、(メタ)ア
クリル酸2−メトキシエチル、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、1,4ブタンジオールジ(メタ)アクリ
レート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレ
ート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート
及びこれらのハロゲン置換(メタ)アクリレート等であ
る。
【0015】また、上記重合性モノマーには、得られる
ビーズの透明性を損なわない程度に、共重合性モノマー
を用いることができ、このような共重合性モノマーとし
ては、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニト
リルなどがあり、さらにエチレングリコールジアクリレ
ート、ジエチレングリコールジメタクリレートなどの多
官能アクリル酸エステルを添加して架橋タイプのビーズ
とすることもできる。
【0016】カルボン酸エルビウムとカルボン酸との複
塩の生成は、カルボン酸エルビウムとカルボン酸とを重
合性モノマーに添加し、攪拌、混合することで行われ
る。この混合は、常温もしくは100℃以下の温度に加
温する温度条件で行われ、0.5〜5時間の攪拌を行う
ことで、複塩が生成し、重合性モノマーに溶解する。こ
の操作により、カルボン酸エルビウム、カルボン酸およ
び重合性モノマーの三者が均一に溶解した重合性混合溶
液が得られる。次に、このようにして得られた重合性混
合溶液を懸濁重合して、目的とする光選択機能性ビーズ
を得る。ここでの懸濁重合には、通常の水相に上記重合
性混合溶液および重合開始剤を懸濁させて行う方法が用
いられる。
【0017】重合開始剤として、α,α′−アゾビスイ
ソブチロニトリル、α,α′−アゾビス(2,4−ジメ
チルバレロニトリル)、α,α′−アゾビス(2,4−
ジメチル−4−メトキシバレロニトリル等のアゾビス系
のものが用いられる。
【0018】この重合開始剤は、単独または2種以上を
混合して使用でき、その使用量は、上記重合性溶液中の
重合性成分100重量部に対して0.001〜1重量部
とされる。
【0019】また、懸濁粒子の安定化のため、ポリビニ
ルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアク
リル酸ナトリウム、アルギン酸、ゼラチンなどの保護コ
ロイドを適宜添加することができる。重合条件は、温度
30〜90℃、時間1〜10時間程度とすることが好ま
しいが、この範囲に限られるものではなく、また初めに
低温で重合し、ついで温度を上昇させて重合を継続させ
る方法なども用いられる。
【0020】重合完結後、常法によって重合粒子を脱
水、水洗、乾燥させれば、透明で球状の光選択機能性ビ
ーズが得られる。
【0021】この光選択機能性ビーズを風力ミクロンセ
パレータなどの分級器によって所望の粒径範囲に分級
し、透明樹脂組成物中に分散される。
【0022】このようにして得られた光選択機能性ビー
ズは、透明ポリマー中にエルビウム化合物が結合あるい
は溶解された状態で含有されており、ビーズ自体が透明
となる。また、エルビウム化合物の存在により520n
m付近での光吸収があり、かつエルビウム化合物が結合
または溶解状態であるため、鋭く、かつ吸光率の大きな
吸収が見られる。さらに、ビーズ自体には、機械的特性
等がさほど厳しく要求されないので、エルビウムの含有
量を十分高くすることができ、例えば15重量%程度に
までその含有量を高めることができる。さらに、重合条
件を適宜変化させることにより、種々の粒径のものを得
ることができ、重合性モノマー、カルボン酸エルビウ
ム、カルボン酸の種類、配合比等を変化させることで、
ビーズ自体の屈折率を用途等に合せて変化させることも
できる。
【0023】このようにして得られた光選択機能性ビー
ズは、透明樹脂組成物中に分散されて、本発明の光選択
機能性樹脂組成物とされる。
【0024】ここでの透明樹脂組成物としては、透明性
を有していれば熱可塑性、熱硬化性のいかんをとわず用
いられ、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポ
リ塩化ビニル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、
ポリカーボネート、セルロース系プラスチックなどが用
いられる。
【0025】成形法としては、押出成形、射出成形、カ
レンダー成形などがまず挙げられる。これらの成形法で
は予め重合されたポリスチレン、ポリ塩化ビニルやポリ
メチルメタクリレートのペレットなどに所定量の上記ビ
ーズを配合し、混合したのち、押出成形機、射出成形
機、カレンダーにより、シート、フィルムあるいは種々
の形状の成形品とされる。また、透明樹脂組成物として
ポリメチルメタクリレートなどのアクリレートを用いる
場合には、いわゆるセルキャスト法によっても成形品と
することができる。すなわち、アクリレートの部分重合
体に上記ビーズを添加し、鋳型に注入して重合を行うも
のである。
【0026】この透明樹脂組成物への添加においては、
ビーズの屈折率とマトリックスとなる透明樹脂組成物の
屈折率とを合致させることにより、透明な成形品を得る
ことができる。また、ビーズの粒径を0.2μm以下と
すれば、両者の屈折率が異なっていても良好な透明性が
得られる。また、粒径0.5〜2mm程度のビーズを添
加した場合は、ざら目調の外観を呈し、粒径50〜10
0μm程度のビーズでは、フロスト調あるいは乳半(乳
色半透明)調の外観を呈する。また、他の酸化チタン、
タルク、硫酸バリウムなどの光拡散材を併用して、乳半
調とすることもできる。
【0027】この透明樹脂組成物への光選択機能性ビー
ズの添加量は、ビーズ中のエルビウム含有量によって
も、また成形品の用途によっても左右されるが、透明樹
脂組成物100重量部に対して通常2〜30重量部程度
の範囲とされる。このようなエルビウム化合物を含有す
るビーズの形態で樹脂製品にエルビウムを含有させるも
のでは、マトリックスとなる透明樹脂組成物自体の機械
的特性等が低下することがないため、結果的に多量のエ
ルビウムを最終樹脂製品中に存在せしめることが可能と
なり、エルビウムが持つ光選択機能性を十二分に発揮さ
せることができるとともに、最終樹脂製品の機械的特性
等もほとんど低下することがない。
【0028】さらに、顔料、染料などの着色剤を併用し
て着色された成形品とすることもできる。この着色剤の
併用の際、波長380〜420nm、480〜530n
m、560〜610nmおよび640〜780nmのう
ち少なくとも一つの波長域に吸収を有し、前記以外の波
長域の可視光線に対しては吸収をほとんどまたは全く有
しない着色剤を配合し、これにより前記エルビウム化合
物による選択的吸収を補い、もしくは前記エルビウム化
合物が吸収を有しない可視光波長域において選択的吸収
を行なわせることができる。このような作用を有する着
色剤としては、例えば、つぎに記すような染料、顔料ま
たは紫外線吸収剤がある。
【0029】380〜420nmの波長域に対して主た
る吸収を有する着色剤としては、サリチル酸フェニル、
サリチル酸パラ−tert−ブチルフェニル等のサリチ
ル酸エステル、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチル
フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキ
シ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5
−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール
類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2
−ヒドロキシ−4−メトキシ−4′−クロロベンゾフェ
ノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−オクトキシベンゾ
フェノン等のベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤があ
る。
【0030】480〜530nmの波長域に対して主た
る吸収を有する着色剤としては、ホスタゾール・レッド
GG(ヘキスト社製)、バリオゲン・レッド3730
(BASF社製)、ダイヤレジン・レッドHS(三菱化
成工業株式会社製)、ダイヤレジン・レッドS(三菱化
成工業株式会社製)、アマブラスト・ピンクP4B(ア
メリカン・アニリン社製)、オレンジC−タイプ(ハー
キュレス社製)等の赤色系色素がある。
【0031】640〜780nmの波長域において主た
る吸収を有する着色剤としては、ユウビニル・ブルー7
02(BASF社製)、オイル・ブルー615(オリエ
ント化学工業株式会社製)、マクロレックス・グリーン
513(バイエル社製)、セイカゲン・オ・ブル−GK
−1200(大日精化工業株式会社製)、スミトンシア
ニン・ブルーHB−1(住友化学工業株式会社製)等の
青色系色素がある。 560〜610nmの波長域に主たる吸収を有する着色
剤としては、適切なものはないが、上記の3波長域に主
たる吸収を有する着色料のうち、560〜610nmの
波長域にも吸収を有するものが好ましく使用される。こ
のような着色料には、例えばユウビニル・ブルー702
(BASF社製)がある。
【0032】このような着色剤を用いたものでは、赤、
緑、青の光の三原色以外の光が吸収されることになり、
特にカラーCRTなどの発光面を被うフィルタなどに使
用すると、蛍光体からの発光の色純度が改善され、色再
現性が向上し、高輝度を保持しながらコントラストの低
下を防止できる。
【0033】このような光選択機能性を有する樹脂成形
品は、例えば、フィルタ、レンズ、照明カバー、リヤー
プロジェクションスクリーンなどの映像用スクリーン、
看板、グレージングなどに利用される。以下、具体例を
示す。
【0034】製造例1〜9(光選択機能性ビーズの製
造) (製造例1)オクタン酸エルビウム43重量%にメタク
リル酸メチル38重量%、メタクリル酸10重量%、プ
ロピレングリコール9重量%をフラスコに入れ攪拌下6
5℃に加温し約2時間で溶解させた。次いで、攪拌機、
窒素ガス導入口のついたオートクレーブ容器に上記エル
ビウムモノマー混合液を100重量部、アゾビスイソブ
チロニトリル0.5重量部、ポリビニルアルコール3.
0重量部、水800重量部を高速攪拌下、窒素ガスで置
換した後、容器を加熱し、第一重合を75℃で4時間、
次いで第二重合を90℃で1時間加熱する事により重合
を完結させた。その後、常法通り脱水、水洗、乾燥さ
せ、透明で球状のビーズを得た。これを風力ミクロセパ
レーターにて分級し所望の粒径のビーズを得た。
【0035】(製造例2〜9)次の表1のA欄の配合割
合でオクタン酸エルビウムとメタクリル酸ないしはラウ
リン酸とを混合し65℃に加熱溶解させた。次いで表1
のB欄からなるモノマーを所定量加え、室温下溶解させ
る。微量の不溶解分を除去した後、製造例1と同様にオ
ートクレーブ中で懸濁重合を行ないビーズを得た。
【0036】◎
【表1】
【0037】実施例 (実施例1〜6)メタクリル酸メチルの部分重合体(重
合率20%)並びにこれと共重合性のモノマー100重
量部に、重合触媒としてα,α′−アゾビス−(2,4
−ジメチルバレロニトリル)0.04重量部、離型剤と
してジオクチルスルホサクシネート・ナトリウム塩0.
005重量部、製造例1,4で得られたエルビウム含有
ビーズを表2の配合で添加、混合し、脱気した後、予め
板厚が3mmとなるよう設定された強化ガラスと軟質の
塩化ビニル製ガスケットとで構成された鋳型内に注入
し、70℃の温水中に80分間浸漬した。次いで130
℃の空気浴中で80分間置いて重合を完結させた。鋳型
を取り除いて得られたキャストシートの光学性能及び分
光透過率曲線は表2及び図1に示すとおりであった。こ
のようにして得られたキャストシートは、光拡散性なら
びに波長520nm付近に強い吸収が見られる。このた
め白熱電球やハロゲンランプのランプカバーとして用い
ると演色効果が大きくなり照明器具として有用なことが
わかる。
【0038】◎
【表2】
【0039】(実施例7〜9,比較例1)アクリペット
VH(三菱レイヨン(株)製メタクリル樹脂ペレット)
と製造例3,6で得られたエルビウム含有ビーズを表3
で示した組成となる様配合し、タンブラーで十分混合し
て均一化した後、押出機を用いて樹脂温度260℃の条
件下、ダイスより押出し、三本の鏡面仕上げしたロール
間を通し冷却して、板厚が3mmの樹脂板を得た。 こ
れの光学性能を表3に示す。表3の結果から、必要に応
じ無機拡散剤ないしは基材の屈折率とは異なる屈折率を
有する透明ポリマービーズを添加することができるが、
いずれも、エルビウムを含有することにより、520n
m付近に光の吸収が見られ、これらで光源のカバーを構
成することにより、色彩かな照明器具を得ることができ
る。
【0040】◎
【表3】
【0041】(実施例10〜12,比較例2,3)表4
の構成となるよう実施例1で示したと同様の鋳込重合法
によりキャストシート(実施例10,11および比較例
2,3)を、また実施例7で示したと同様の押出法によ
り押出シート(実施例12)を製造した。いずれの実施
例のシートは、エルビウム含有ポリマービーズが均一に
分散した光拡散性のものであり、一方、比較例のシート
には、エルビウムは含まれていない。これらシートの光
学性能を表4および図2に示す。
【0042】◎
【表4】
【0043】(実施例13〜16,比較例4)製造例8
で得られたエルビウム含有ビーズと、特開平2−183
329号公報および、特開平2−184478号公報に
開示されたネオジム含有ビーズ(ビーズ中のネオジム濃
度6%)を表5の構成となるよう、実施例1で示したと
同様の鋳込み重合法によりキャストシート(実施例13
〜16,比較例4)を得た。キャストシートの光学性能
および分光透過曲線は表5および図3に示すとおりであ
った。このようにして得られたキャストシートは、光拡
散ならびに波長520nm、580nm付近に強い吸収
が見られる。これらのシートで光源のカバーを構成する
ことにより、演色効果が上がり色鮮やかな照明器具を得
ることが出来る。
【0044】◎
【表5】
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の光選択
機能性樹脂組成物は、エルビウム化合物を多量に含有
し、波長520nm付近に鋭い吸収を示す光選択機能性
のビーズを透明樹脂組成物に分散せしめたものであるの
で、優れた光選択機能性を有するとともに、エルビウム
含有量を十分高めても機械的特性等の低下のないものと
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明で得られた樹脂シートの分光特性を示
すスペクトルである。
【図2】この発明で得られた樹脂シートの分光特性を示
すスペクトルである。
【図3】この発明で得られた樹脂シートの分光特性を示
すスペクトルである。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 101/16 C08K 3/00 - 13/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明ポリマー中にエルビウム化合物が含
    有されてなる光選択機能性ビーズを透明樹脂組成物中に
    分散したことを特徴とする光選択機能性樹脂組成物。
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