JP3064851B2 - マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管の製造方法 - Google Patents

マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ラインパイプ、油井管
または油井化工機用配管として使用して好適なマルテン
サイト系ステンレス鋼溶接管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マルテンサイト系ステンレス鋼、なかで
もC含有量を低く抑えた低Cマルテンサイト系ステンレ
ス鋼は、通常、焼入れ焼戻し処理することによって、マ
ルテンサイト体積率が80%以上になるように調整して
製造されている。
【0003】この低Cマルテンサイト系ステンレス鋼
は、Cr以外の他の成分の含有量が少ないので、オース
テナイト系ステンレス鋼や2相系ステンレス鋼よりも比
較的安価で、良好な機械的性質および耐食性を有すると
ともに、低Cであるため溶接した場合の溶接金属の硬度
上昇がほとんどなく、一般のマルテンサイト系ステンレ
ス鋼に比べて溶接性にも優れている。そのため、低Cマ
ルテンサイト系ステンレス鋼は、ラインパイプ、油井管
または油井化工機用配管用等の材料として従来から広く
用いられている。
【0004】そして、従来、上記低Cマルテンサイト系
ステンレス鋼からなる溶接鋼管は、焼入れ焼戻し処理し
て製造された素材帯鋼を連続的に成形ロール群に通して
管状に成形して帯鋼両エッジ部を突き合わせ、この突き
合わせ部を電縫溶接法(以下、ERW法という)や、ガ
ス・タングステン・アーク溶接法(以下、GTAW法と
いう)あるいはサブマージ・アーク溶接法(以下、SA
W法という)等のアーク溶接法によって造管溶接して製
造されていた。また、近年ではレーザ溶接法の開発が進
められており、このレーザ溶接法によっても製造されて
いた。
【0005】しかし、上記ERW法またはGTAW法や
SAW法等のアーク溶接法によって低Cマルテンサイト
系ステンレス鋼溶接管を造管溶接する場合には、溶接金
属の冷却速度が遅いため、溶接シーム部の溶接金属に隣
接して熱影響部(以下、HAZという)が生じ、このH
AZでは元素分配の不均一化が生じて耐食性皮膜が劣化
するのに加え、Cr炭化物やV炭化物等の金属間化合物
が析出するので耐食性が劣化する。また、軟化による強
度低下が生じる等して母材部の性能に比べて溶接部の性
能が著しく劣化する。このため、造管溶接時にフィラー
ワイヤを用いて所定の合金成分を溶接金属中に添加する
か、または/および造管溶接後に管全体またはHAZを
含む溶接部分に所定の後熱処理を施すことによってHA
Zを含む溶接部の性能を母材部のそれに近ずけるように
している。
【0006】また、レーザ溶接法では設備制約上、上記
フィラーワイヤを用いての溶接金属中への所定の合金成
分の添加が困難なため、低Cマルテンサイト系ステンレ
ス鋼を対象とするものではないが、例えば特開昭63−
278688号公報、同63−278689号公報、同
63−278690号公報に見られるように、レーザ溶
接造管後に管全体またはHAZを含む溶接部分に所定の
後熱処理を施すことによってHAZを含む溶接部の性能
を母材部のそれに近ずけるようにしている。
【0007】しかしながら、溶接金属に隣接するHAZ
は、溶接金属とは異なり溶接時においても固体状態であ
るので、上記フィラーワイヤを用いての所定の合金成分
の添加による組織制御ができないため、HAZの性能を
母材のそれに近ずけることはできない。勿論、造管溶接
後に管全体またはHAZを含む溶接部のみに後熱処理を
施す場合にはHAZの性能を母材のそれに近ずけること
ができるが、この場合には後熱処理用の特別な設備を設
けるとともに、多大の工数をかける必要があって製品コ
ストが著しく高くなるという問題があった。
【0008】なお、後熱処理をHAZを含む溶接部のみ
に対して施す場合には、製品コストの上昇を比較的低く
抑えることができるが、この場合にはその有効熱処理領
域の両側に、新たに熱影響部分(以下、後HAZとい
う)が生じ、この後HAZの耐食性および機械的性質が
劣るという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の実状に鑑みなされたもので、溶接ままで使用してHA
Zを含む溶接部の耐食性に優れた安価な低Cマルテンサ
イト系ステンレス鋼溶接管の製造方法を提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次のマ
ルテンサイト系ステンレス鋼溶接管の製造方法にある。
【0011】マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管を造
管溶接するにあたり、素材として10.0〜14.0重
量%のCrを含み、不純物中のC含有量が0.05重量
%以下のマルテンサイト系ステンレス鋼からなる素材帯
鋼を用い、下記式で計算される以上の溶接速度V(m
/min)でレーザ溶接し、そのまま製品とすることを
特徴とするマルテンサイト系ステンレス鋼溶接管の製造
方法。
【0012】 V=1.35(P/h)×{1000/(1000−T0 )}・・・・ ここで、 P :レーザ出力(kW) h :素材帯鋼肉厚(mm) T0 :素材帯鋼エッジ部の予熱温度(℃) (但し、予熱なしの場合、T0 =0℃とする)
【0013】
【作用】本発明において、使用する素材帯鋼の化学成分
およびレーザ溶接条件を上記のように定めた理由を以下
に詳細に説明する。
【0014】《素材帯鋼》本発明で用いる素材帯鋼とし
ては、10.0〜14.0重量%のCrを含み、不純物
中のC含有量が0.05重量%以下のマルテンサイト系
ステンレス鋼からなる帯鋼を用いる必要がある。すなわ
ち、C含有量が0.05重量%を超えると溶接金属の硬
度が著しく上昇し、応力腐食割れ感受性が大きくなり、
溶接ままでラインパイプ等として使用した場合、要求さ
れる耐食性能を満たせなくなる。
【0015】また、Cr含有量が10.0重量%未満で
は、母材部を含めてその鋼表面に十分な耐食性能を有す
る耐食性皮膜が生成形成されないため、ラインパイプ等
で硫化水素を含む環境中で使用した場合、必要な耐食性
が確保できない。逆に、Cr含有量が14.0重量%を
超えるとフェライト相が出現し、マルテンサイト/フェ
ライト相間で元素分配を起こして耐食性皮膜の性能劣化
の原因になる。なお、Cr含有量を14.0重量%を超
えて多くする場合には、オーステナイト生成元素である
高価なNi等の合金元素の含有量を増量する必要があ
り、素材コストの上昇を招いて安価であることを特徴の
一つとするマルテンサイト系ステンレス鋼の経済性が損
なわれる。
【0016】なお、素材として用いる素材帯鋼は、熱延
によって所定の板厚に成形した後、常法によって焼入れ
焼戻し処理して製造されたものであればどのようなもの
であってもよいが、フェライト相や残留オーステナイト
相の析出による元素分配と、この元素分配による耐食性
皮膜の性能劣化を防止する観点から、マルテンサイトの
体積率が80%以上になるように調整したものを用いる
のが望ましい。
【0017】また、素材帯鋼の成分組成としては、上記
CとCrの他に、重量%で、1.0%以下のSi、0.
5%以下のMn、0.005%以下のS、0.04以下
のP、7.0%以下のMo、8.0%以下のNi、0.
1%以下のAl、0.75%以下のTiおよび2.0%
以下のZrのうちの1種または2種以上を含有させたも
のであってもよい。そして、これら元素のうち、Moま
たは/およびNiを含有させる場合には耐食性を向上さ
せることができ、Tiまたは/およびZrを含有させる
場合にはCr炭化物または/およびV炭化物の析出によ
る強度の異常上昇や耐食性劣化を抑制することができ
る。また、SiとAlは、通常、鋼の脱酸剤として添加
されるが、上記量以下を含有させる場合には、鋼の清浄
性を確保することができる。
【0018】《レーザ溶接条件》ラインパイプに代表さ
れる微量の硫化水素(H2 S)を含む環境中におけるマ
ルテンサイト系ステンレス鋼溶接管のHAZを含む溶接
部の耐食性、具体的には耐応力腐食割れ性は、溶接部の
硬度によって大きく左右され、溶接部の硬度が高くなれ
ばなるほど劣化する。しかし、上記したようにC含有量
を0.05重量%以下に低く抑制した低Cマルテンサイ
ト系ステンレス鋼を用いる場合には、その溶接金属およ
びHAZの硬度上昇がほとんどないため硬度上昇による
耐食性劣化はほとんどない。従って、低Cマルテンサイ
ト系ステンレス鋼からなる溶接管のHAZを含む溶接部
の耐食性は、鋼表面に生成成形されるCr酸化物を主体
とした耐食性皮膜の特性に大きく左右されることにな
る。
【0019】ところが、製品コストの低減を図るべく、
造管溶接後に施す後熱処理を省略した場合、その溶接金
属およびHAZ、特にHAZの表面に生成成形する耐食
性皮膜の特性が母材のそれに比べて劣るので、この部分
の耐食性が十分ではない。
【0020】また、前述したように、HAZに対しては
フィラーワイヤを用いての所定の合金成分の添加による
組織制御ができないため、これによっての耐食性皮膜の
性能を母材のそれに近ずけることはできない。
【0021】そこで、本発明者らは、溶接金属の冷却速
度の速いレーザ溶接法を用いるとともに、その入熱量を
少なくして溶接金属の冷却速度をより速めて造管溶接す
る場合には、溶接時に熱影響を受ける時間が短くなって
溶接金属およびHAZ、特にHAZの耐食性皮膜の劣化
防止ができて耐食性を母材のそれに近ずけ得るのではな
いかと予想し、種々実験研究の結果、素材として上記化
学成分を有する低Cマルテンサイト系ステンレス鋼から
なる素材帯鋼を用いて上記式で計算される以上の溶接
速度V(m/min)でレーザ溶接する場合に限って、
溶接ままで使用してHAZを含む溶接部の耐食性が母材
と同等の性能を発揮する製品の得られることを見いだし
た。
【0022】図1は、C:0.008重量%、Cr:1
2.41重量%を含み、通常は焼入れ焼戻し処理によっ
て0.2%耐力(以下、YSという)が80〜95ks
iとなるよう調整使用される低Cマルテンサイト系ステ
ンレス鋼製であって、焼入れ後の焼戻し温度を600〜
650℃の範囲内で種々かえてYSレベルを80〜10
0ksiの範囲に変化させた素材帯鋼を用い、溶接時の
材料に対する入熱量Q(kJ/mm2 )を種々変えてレ
ーザ造管溶接して得た溶接ままの溶接管からその溶接部
が長さ方向の中央に位置するように応力腐食試験片(厚
さ2mm×幅10mm×長さ75mm−ノッチなし)を
採取し、これらの試験片に実際の使用時における最大付
加応力を想定して素材帯鋼YSの100%の応力を付加
した状態で応力腐食割れ試験を行った結果を示す図であ
り、図中には従来のGTAW法およびERW法で貫通溶
接可能な下限臨界入熱量Qで造管溶接して得た溶接まま
の溶接管の結果も示してある。
【0023】なお、応力腐食割れ試験は、図2に示すよ
うに、上記各試験片に4点曲げによって所定の応力を付
加した状態で0.01atmH2 S−30atmCO2
−5%NaClの常温水溶液中に336時間浸漬し、割
れ発生の有無を調べた。
【0024】図1からわかるように、通常の使用強度レ
ベルであるYSが80〜95ksiの範囲内では、レー
ザ溶接時の入熱量Qが0.045以下の場合には付加応
力を素材帯鋼YSの100%にしても応力腐食割れは発
生していないが、入熱量Qが0.045を超えると応力
腐食割れが発生している。このことから、HAZを含む
溶接部の耐食性を母材部と同等にするには材料に対する
入熱量Qが0.045以下となる溶接条件でレーザ溶接
すればよいことが明かとなった。
【0025】ここで、上記入熱量Q(kJ/mm2 )は
下記式で表されるから、この式に入熱量Qの上限値
「≦0.045」を代入すると下記式が求められられ
る。
【0026】 Q=0.06×P/(hV)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ただし、P:レーザ出力(kW) h:素材帯鋼肉厚(mm) V:溶接速度(m/min) V≧1.35(P/h)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 従って、溶接ままで使用してHAZを含む溶接部の耐食
性が母材部と同等の溶接管を得るためには、上記式で
計算される以上の溶接速度Vでレーザ溶接すればよいこ
とになる。
【0027】なお、上記および式は、レーザ溶接に
際して予め素材帯鋼の両エッジ部を予熱することなく造
管溶接する場合であり、高能率な造管溶接を可能ならし
めるべく、ERW法で用いる高周波加熱手段等の適宜な
手段を用いて管状に成形後の素材帯鋼の両エッジ部を例
えば900℃以下の所定の温度T0 (℃)に予熱してか
らレーザ溶接する場合の材料に供給する入熱量Q’(k
J/mm2 )は、予熱なし時の入熱量Qを下記に基づ
いて補正する必要がある。
【0028】 Q’=1000Q/(1000−T0 )・・・・・・・・ ただし、予熱なし時はT0 =0 これは、本発明者らの実験研究の結果によれば、溶接金
属およびHAZの耐食性皮膜の劣化、換言すれば耐食性
が1000℃以上の高温域における被熱影響時間に依存
することが明らかとなったためである。すなわち、材料
に対する入熱量が同じである場合、溶接金属およびHA
Zの1000℃以上の高温域における被熱影響時間は、
素材帯鋼の両エッジ部を予め予熱しない場合に比べて予
熱した場合の方が材料温度がより高温になるので高温に
なった分だけ長くなり、耐食性皮膜の劣化が著しくなっ
て耐食性が劣化するため、素材帯鋼の両エッジ部を予熱
する場合には入熱量を少なくする必要があるからであ
る。
【0029】そして、素材帯鋼の両エッジ部をT
0 (℃)に予熱してからレーザ溶接した場合における溶
接直後の温度がT(℃)である溶接金属の冷却速度v
(℃/sec)は、例えば、「Cooling Rate and Tempe
rtures in Fusion Welding - WeldingJournal 37(1958)
210S 」に示されるADAMSの計算式によれば、下記
式で表される。
【0030】 v=−dT/dt=A×(hV/P)2 ×(T−T0 3 ・・・・・・・・ ここで、 A :定数 P :レーザ出力(kW) h :素材帯鋼肉厚(mm) V :溶接速度(m/min) また、上記式より、溶接金属の温度がT1 からT
2 (ただし、T1 >T2 )に達するのに要する時間Δt
(sec)は、下記式で表される。
【0031】 Δt=−∫1/V(T)dt =1/2A×(P/hV)2 × {1/(T2 −T0 2 −1/(T1 −T0 2 }・・・・・・ そして、上記式においてはレーザ溶接直後の溶接金属
の温度Tを無限大としているので、レーザ溶接直後から
1000℃までの被熱影響時間Δtは、上記式に「T
1 =無限大」、「T2 =1000」および「Q=0.0
6×P/(hV)」を代入して下記式で表される。
【0032】 Δt=P2 /2A(hV)2 (1000−T0 2 =Q2 /0.0072A(1000−T0 2 ={1000Q/(1000−T0 )}2 /7200A・・・・ 従って、素材帯鋼の両エッジ部を予熱しないでレーザ溶
接を行った場合における溶接金属のレーザ溶接直後の温
度Tから1000℃になるまでの被熱影響時間Δt’
(sec)は、上記式に「T0 =0」を代入して下記
式で表される。
【0033】 Δt’=P2 /2A(hV)2 (1000)2 =Q2 /7200A・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ この式と上記式との対比からわかるように、素材帯
鋼の両エッジ部をT0℃の温度に予熱してからレーザ溶
接を行った場合の上記式で計算される被熱影響時間Δ
tは、素材帯鋼の両エッジ部を予熱せずに「1000Q
/(1000−T0 )」の入熱量、すなわち上記式で
計算される入熱量Q’でレーザ溶接を行った場合の被熱
影響時間Δt’と等しくなるから、素材帯鋼の両エッジ
部をT0℃の温度に予熱してからレーザ溶接を行う場合
には、上記式に基づいて素材帯鋼の両エッジ部を予熱
しないでレーザ溶接を行う場合の入熱量Qを補正する必
要があるのである。
【0034】従って、上記式に上記式および図1か
ら定まる上限入熱量0.045を代入して求められる下
記式、すなわちこの式を整理した下記’式を満足
する条件でレーザ溶接する場合には、外表面に生成形成
する耐食性皮膜の性能劣化がないHAZを含む溶接部を
有する溶接管が得られるのであり、このことから本発明
では上記式で計算される以上の溶接速度でレーザ溶接
することとした。
【0035】 Q’=1000Q/(1000−T0 ) =1000{0.06P/(hV)}/(1000−T0 ) =60P/{hV(1000−T0 )≦0.045・・・・・・・・・・・・ V≧1.35(P/h)×{1000/(1000−T0 )}・・・・・・’
【0036】
【実施例】表1に示すA〜Gの化学成分を有し、焼入れ
後の焼戻し温度を600〜650℃の範囲で種々変えて
YSレベルを80〜100ksiの範囲に変化させた素
材帯鋼を用い、表2に示す各条件でレーザ溶接を行って
溶接管を製造し、得られた溶接ままの各溶接管からその
溶接部が幅方向の中央に位置するように応力腐食試験片
(厚さ2mm×幅10mm×長さ75mm−ノッチな
し)を採取し、これらの試験片に上記図1に示す結果を
得た場合と同じく4点曲げ(図2参照)によって素材帯
鋼YSの100%の応力を付加した後、0.01atm
2 S−30atmCO2 −5%NaClの常温水溶液
中に336時間浸漬して割れ発生の有無を調査し、割れ
発生時の最大付加応力を調べてHAZを含む溶接部の耐
食性を評価した。また、従来のGTAW法とERW法に
よって造管溶接した溶接ままの溶接管および造管溶接後
に管全体に対して900℃に15分間保持後水冷し、そ
の後640℃に30分間保持後空冷する条件で後熱処理
を施した溶接管についても調査した。その結果を、表2
に併記して示した。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】表2に示す結果から明らかなように、素材
帯鋼としてその化学成分が本発明で規定する範囲内の鋼
種A〜Dを用い、本発明で規定する条件を満たす溶接速
度でレーザ溶接した本発明例(No. 1〜8)では、割れ
発生時の母材YSが100ksiと高く、HAZを含む
溶接部の耐食性が優れている。
【0040】これに対し、素材帯鋼の化学成分は本発明
で規定する範囲内の鋼種A〜Dであるが、溶接速度が本
発明で規定する条件を満たしていない比較例(No. 9〜
16)では、割れ発生時の母材YSが80ksiと低
く、HAZを含む溶接部の耐食性が劣っている。また、
溶接速度は本発明で規定する条件を満たしているが、素
材帯鋼の化学成分が本発明で規定する条件を外れる比較
例(No. 17〜19)では、割れ発生最時の母材YSが
80ksiと低く、HAZを含む溶接部の耐食性が劣っ
ている。さらに、従来のGTAW法およびERW法で造
管溶接した従来例(No. 20〜23)では、後熱処理の
有無にかかわらずHAZの劣化が著しいため、割れ発生
時の母材YSが80ksiと低く、HAZを含む溶接部
の耐食性が劣っている。
【0041】
【発明の効果】本発明は、造管溶接後に後熱処理を施す
ことなく、HAZを含む溶接部の耐食性に優れる低Cマ
ルテンサイト系ステンレス鋼溶接管を安価に製造するこ
とができるので、その工業的価値は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザ溶接時の材料への入熱量が母材強度の1
00%応力付加時の応力腐食割れに及ぼす影響を示す図
である。
【図2】応力腐食割れ試験の概要を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // B23K 101:10 103:04 (56)参考文献 特開 昭63−278688(JP,A) 特開 昭63−278689(JP,A) 特開 平4−191319(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 26/00 - 26/42

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管を造
    管溶接するにあたり、素材として10.0〜14.0重
    量%のCrを含み、不純物中のC含有量が0.05重量
    %以下のマルテンサイト系ステンレス鋼からなる素材帯
    鋼を用い、下記式で計算される以上の溶接速度V(m
    /min)でレーザ溶接し、そのまま製品とすることを
    特徴とするマルテンサイト系ステンレス鋼溶接管の製造
    方法。 V=1.35(P/h)×{1000/(1000−T
    )}・・・・ ここで、 P :レーザ出力(kW) h :素材帯鋼肉厚(mm) T :素材帯鋼エッジ部の予熱温度(℃) (但し、予熱なしの場合、T =0℃とする)
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