JP3064666B2 - 回転形スクロール流体機械 - Google Patents

回転形スクロール流体機械

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JP3064666B2
JP3064666B2 JP4138383A JP13838392A JP3064666B2 JP 3064666 B2 JP3064666 B2 JP 3064666B2 JP 4138383 A JP4138383 A JP 4138383A JP 13838392 A JP13838392 A JP 13838392A JP 3064666 B2 JP3064666 B2 JP 3064666B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蒸気圧縮式冷凍空調シ
ステム等に用いられる容積式回転形圧縮機に係り、特
に、一対のスクロール部材が共に回転する方式の同期回
転形スクロール流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、蒸気圧縮式冷凍空調システム等に
用いられる回転形の流体機械はスクロール形圧縮機が原
理的に同時多室圧縮動作を行うことから、他形式の圧縮
機、例えば、往復動式圧縮機やスクリュ式圧縮機と比較
して相対的に高効率,低振動,低騒音と言うことで注目
されている。また、空調システム等においては始動時の
暖房感及び冷房感を効果的に達成するため、圧縮機の回
転数を低速回転から高速回転まで、広範囲にわたって高
い効率を維持して運転できることが望まれている。この
種の圧縮機を提供するため、例えば、特開平2−227576
号公報に開示されているように、両方のスクロール部材
を同期回転運動させて気体を圧縮するものが考案されて
いる。この同期回転形スクロール流体機械は、図12に
示すように密閉ケーシングのほぼ中央にスクロールラッ
プから成る圧縮要素が構成されているもので、一対の回
転スクロールはオルダム機構付き動力伝達片を介してそ
れぞれモータによって回転させられ外周部から気体を吸
込み、中央の駆動軸を介して高圧になったガスを密閉ケ
ーシングの内部に吐出するようになっている。
【0003】スクロール部材は駆動軸とほぼ一体に構成
されていて、さらにこの駆動軸は、滑り軸受形式の主軸
受によって片持ち式で回転可能に軸支されている。密閉
容器内には潤滑油が収納されていて、この潤滑油は給油
配管を通じてそれぞれの滑り軸受に供給される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように構成された
同期回転形スクロール流体機械、すなわち、圧縮機を空
調機用として適用すると、スクロールラップ内部の圧縮
作動室内の圧縮ガスによって半径方向の力と軸方向の力
が駆動軸に作用する。しかし、駆動軸を支える主軸受は
滑り軸受で構成されているため、軸方向に作用するスラ
スト力は主軸受けで支持することができない。従って、
このスラスト力はフレームとスクロール背面部とを摺動
させること、すなわち駆動軸とは別に設けたスラスト軸
受によって受けることになる。前記した公知技術の中で
はこのスラスト面で生ずる摩擦損失については十分な配
慮が成されていないが、実際には他の公知技術、例え
ば、特開昭56−113089号公報に開示されている旋回型の
スクロール圧縮機のスラスト受けと異なり回転型のスラ
スト受けになる。従って、圧縮機としての機械損失は、
この油膜による粘性抵抗が加算されて非常に大きな摺動
損失が発生する。この原因はスクロール部材の運動形態
にあり、旋回形スクロール圧縮機の場合にはスクロール
全体が小さな旋回半径で運動し、全ての部分で同じ速度
になっている。他方、回転形の場合には回転中心からの
距離によって速度が異なり半径が大きいほど速度が大き
くなるという問題がある。特に、公知技術における同期
回転形スクロール圧縮機の発明の狙いは、出力可変巾を
大きくすることであり、そのために圧縮機の回転速度を
高速化することが重視されていると思われるが、高速化
することによるスラスト受け部の摺動損失は増大する傾
向にある。
【0005】他方、主軸受が滑り軸受で構成されている
ためここには軸受隙間が適度に設けられている。従っ
て、半径方向の力は主軸受けで支持することができるも
のの負荷を受けると駆動軸は、軸受隙間内で負荷の方向
に偏心してしまい、ラップ側面もしくは同期駆動片に不
必要な力が作用するので振動や騒音を悪化させる恐れが
ある。また、回転スクロール部材が高速回転するとラッ
プ自身の遠心力でラップが外側に変形し相手ラップに強
く接触したり、反対に他の部分ではラップ隙間が大きく
なるという恐れがあった。また、運転中モータは高温高
圧の吐出ガス雰囲気中に置かれるためモータの信頼性が
低下するという恐れもあった。また、吸入室内に潤滑油
が溜ることについての得失については触れられていない
が、油が溜ってしまった場合には、回転スクロール部材
による大きな撹拌損失が発生する恐れもある。さらに、
駆動軸の支持方法について前記した公知技術では副軸受
を設ける点については構造が複雑になるという問題を指
摘しているが、副軸受を設けることによる軸受部分の信
頼性向上効果については触れられていない。また、両ス
クロールを同期回転するためオルダム機構に類似した機
構の採用が示されているが、これを取り去って圧縮機を
運転することや、圧縮機構部を油潤滑すること無しに運
転することについては十分な考慮がなされていない。
【0006】本発明の目的は、第1にスクロール背面部
とフレームとの間に設けられたスラスト支持部での潤滑
油による粘性抵抗を減らして高効率で運転すること、第
2にガス圧縮によって生じる負荷を主軸受で受けて回転
スクロールの姿勢や運動の安定化を図ること、第3に高
速運転時でもモータコイルの温度を低く保つこと、第4
に軸受部の潤滑状態を良好に保つこと、第5に高速回転
時にもスクロールラップの変形量を少なくすること、第
6に両スクロールを同期回転するための駆動機構を無く
して駆動機構の簡略化すなわち製造コストの低減を図る
と共に、両方のモータを一つの駆動回路で運転するこ
と、そして第7に、摺動部への潤滑油供給を不要として
も運転することができること。またさらには、圧縮機と
しても高効率で運転できること等、これらの目的を同時
に複数個達成できる同期回転形スクロール流体機械を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、スクロール部材の表面とフレーム面との間に十分な
隙間を設けて配設し、スクロール部材と駆動軸とを一体
に形成する。さらに、この駆動軸をフレームに設けた転
がり軸受形式の主軸受で軸方向の動きを規制させた状態
で回転可能に支持する。但し、ここで示す「一体」と
は、スクロール部材と駆動軸を別々に製作されたものを
「焼ばめ」とか「圧入」等の結合手段によって、一つの
部品にすることも意味している。また、主軸受の軸受形
式は特に複列式アンギュラ玉軸受,組合せアンギュラ玉
軸受,自動調心形玉軸受そして自動調心形コロ軸受を採
用するとより一層の効果を発揮できる。
【0008】
【作用】以上のように構成された回転形スクロール流体
機械が運転されるときには、まず第一に両方のスクロー
ル部材同士は接触して回転するが、フレームなどの静止
部材とは十分な距離を保ち非接触で回転することになる
ので、潤滑油の粘性抵抗を最小限に保つことができる。
第二に、駆動軸を支持する主軸受では軸受を介して駆動
軸を径方向と軸方向に対して固定することができるの
で、ガス圧縮に伴って発生する各方向の力を主軸受で受
けることができ、ひいてはスクロール部材の姿勢を回転
中でも安定した状態で維持できる。第3に、副軸受を軸
方向に対して弾性支持したことにより駆動軸が熱膨張す
る場合、駆動軸は主軸受を起点として副軸受の方向に伸
びるようになる。従って、スクロール側では駆動軸によ
る熱膨張の影響を最小限に保つことができるので、一方
のスクロールラップ先端面が他方のスクロール鏡板面に
強く接触するのを未然に防止できる。第4に、モータを
吸入ガスによって冷却できる他、スクロール部材外周部
の吸入室を狭い空間にすることが無い。よって、この吸
入室には潤滑油が溜らずスクロール部材で潤滑油を撹拌
することも防止できる。第5に、強制給油手段によって
軸受負荷の大きな主軸受を積極的に潤滑することができ
るので軸受の信頼性も向上する。第6に、スクロール部
材をアルミニウム合金で形成したのでラップ自身の遠心
力を小さくできる。また、シリコン含有量を多くしたこ
とによりラップ同士の摺動面の摩耗を小さくできる。第
6に、ラップ同士を接触させた状態で回転させることに
なるが、それぞれのスクロール部材は一つの駆動回路に
より回転制御されるモータで同期回転するため、ラップ
接点の負荷は両スクロール部材のトルク差が作用するだ
けでその大きさは小さいのでラップ同士が互いに回転位
相差を適正に保つことができる。第8に、本発明の一実
施例では摺動部が構成される部分は、ラップ表面と軸受
だけとなる。そして、ここでは無潤滑摺動に耐えられる
ように構成されているので、密閉ケーシング内に潤滑油
を保持しなくても運転が可能になる。次に、スクロール
ラップの先端面にその渦巻に沿ってシール部材を配設し
たので、スクロールラップ自身が熱膨張しても実際には
このシール部材が相手鏡板に接するだけで、ラップ自身
が接することは無い。
【0009】
【実施例】以下、本発明の第1の実施例を図1及び図2
により説明する。図1は密閉形の同期回転形スクロール
流体機械を空調機用圧縮機として適用したもので圧縮機
全体の構成を示した断面図である。図2は、同期回転形
スクロール流体機械の圧縮動作中の両スクロールの動作
の説明図であり、両スクロールが互いにラップを噛み合
わせた状態で一回転する時の様子を90度毎に示したも
のである。以下図に従って説明する。図1で、1は円筒
部1aと第1の側ケース1b及び、第2の側ケース1c
からなる密閉ケーシングであってその中央部に一対の回
転スクロール部材2a,2bからなる圧縮要素部が構成
されている。この密閉ケーシング1には作動ガスの流れ
る低圧の吸入配管3がその中央部に接続され、圧縮機の
両側の側ケース1a,1bにはそれぞれ高圧の吐出配管
4a,4bが設けられている。密閉ケーシング1の中央
部にはハーメチック端子5(5a,5b)がその内部を
密封状態に維持して配置されている。ハーメチック端子
5は、モータ駆動回路6から両方のモータへ同時に電力
を与えるため並列的に配線されている。密閉ケーシング
1にはモータステータ7(7a,7b)がスペーサ9
(9a,9b)を介して固定されている。そして、この
スペーサ9(9a,9b)により両モータの中心を互い
に偏心させている。さらにモータロータ8(8a,8
b)に駆動軸10(10a,10b)が固定的に備えら
れている。この駆動軸10(10a,10b)はクラン
ク部がなく真直ぐに構成されており、一方の端部を副軸
受支持板11(11a,11b)に配設された転がり軸
受形の副軸受12(12a,12b)によって回転可能
に支持され、他端は密閉ケーシング1の中心部に配設し
たフレーム13(13a,13b)に固定された転がり
軸受形式の主軸受14(14a,14b)によって、回
転可能に支持される。この主軸受14(14a,14
b)は、例えば、組合せアンギュラ玉軸受のように内輪
が駆動軸10に圧入されていてさらに軸受ナット15
(15a,15b)によって固定される一方、外輪が軸
受押さえ16(16a,16b)によって軸方向の動き
が拘束されるものである。一方、副軸受12は、内輪が
駆動軸10に圧入されていて、外輪が弾性体17(17
a,17b)を介して軸受押さえ18(18a,18
b)によって軸方向の動きが許容された状態で配設され
ている。また、それぞれの駆動軸10a,10bの内部
には吐出孔20(20a,20b)が形成されている。
吐出孔20(20a,20b)は、他端が吐出室28
(28a,28b)に開口される。第1の回転スクロー
ル2aと第二の回転スクロール2bは、共にフレーム1
3(13a,13b)とは十分な隙間をもって非接触状
態に配設され互いに組み合わされて吸入室21や圧縮作
動室22を形成している。図1では回転スクロール2と
駆動軸10を一体にして示しているが、回転スクロール
2と駆動軸を別々に加工し、後に圧入や焼嵌めなどいわ
ゆる結合時にはすきまのない嵌めあい状態で結合された
ものでも、駆動軸10の回転トルクを回転スクロール2
に十分伝えられるものであれば採用できる。第1の回転
スクロール2aの中心は第1の駆動軸10aの中心に合
わせて配置されている。他方、第2の回転スクロール2
bの中心は、第1の駆動軸10aの中心からこれに垂直
方向に一定距離偏心して配置されている第二の駆動軸1
0bの中心に合わせて配置されている。この結果、一対
の回転スクロール2は、両方の駆動軸10の回転と共に
同一方向に回転することができるようになっている。
【0010】フレーム13には、吸入室21とモータ室
23(23a、23b)とを連通させる連通孔24(2
4a,24b)があって、モータ室23の圧力と吸入室
21の圧力を均圧させている。さらには、密閉ケーシン
グ1内にはこれらの要素部品と共に潤滑油25(25
a,25b,25c)が収納されているが、フレームの
連通孔24によって吸入室21とモータ室23(23
a,23b)内の潤滑油25cの油面レベルを等しく、
且つ、低く保っている。吐出室28(28a,28b)
は、吐出圧に等しい高い圧力になるが副軸受支持板11
(11a,11b)と軸封手段19(19a,19b)
とによって、モータ室23と圧力的に隔絶している。ま
た、吐出室28(28a,28b)には、油分離手段2
6(26a,26b)が配設されていて吐出ガス中に混
入した油分が効果的に分離される。分離された潤滑油2
5aは、吐出室28の底部に溜り、作動ガスは吐出配管
4から圧縮機外へ送り出される。他方、分離された潤滑
油25aは、副軸受支持板11(11a,11b)やス
ペーサ9そしてフレーム13を貫通して設けられた絞り
部を有する給油管27(27a,27b)によって圧力
の低い主軸受部へ供給される。
【0011】次に、同期回転形スクロール圧縮機の動作
原理について図2により説明する。両スクロールは、互
いの中心を偏心させて噛み合った状態で複数個の圧縮作
動室22を形成する。そして、共に同じ方向に回転する
とラップ接点は常に同じ位置で生じながら、圧縮作動室
22が中央へ向かって進行し、漸次、その体積だけが減
少しガスを圧縮させる。このときのラップ接点は、偏心
の方向にほぼそろって配列された状態になる。作動ガス
は、ラップ外周部からスクロール部材の回転に伴って圧
縮作動室22に取り込まれ、所定の圧力に昇圧されて吐
出孔20から吐出される。
【0012】次に第1の実施例の動作について図1と図
2に基づいて説明する。モータ駆動回路6からハーメチ
ック端子5を通して電力供給を受けることにより第1の
モータ(7a+8a)と、第二のモータ(7b+8b)
が同時に回転する。これによって、第1の回転スクロー
ル2aと第二の回転スクロール2bが同じ方向に同じ速
度で回転する。これに伴い、サイクル内に封入されてい
る冷媒ガスが密閉ケーシング1に設けられた吸入配管3
を通って圧縮機内に流入し、回転スクロール2の外周部
を通って圧縮作動室内22に取り込まれ、中心に向って
移動するにつれて昇圧される。高圧になったガスは、吐
出孔20から駆動軸10の中を通って密閉ケーシング1
内の吐出室28に吐出される。さらに、この吐出室28
に充満すると吐出配管4から機外へ排出される。
【0013】本実施例によれば、回転スクロール部材2
は主軸受14によって運転中の姿勢の安定化が図られて
いるため、スクロールラップ間の隙間が好適な状態に保
たれている。また、スクロール部材2とフレーム13と
の間には十分な隙間が保たれているため、潤滑油がこの
隙間内に残ることができない。従って、潤滑油による粘
性抵抗が発生しない。さらに、吸入室21がモータ室2
3に開放されているため、油面レベルが低くスクロール
部材2による油撹拌損失も発生しない。本実施例のよう
に特別な機構を用いないで両スクロール部材2を同期回
転させると、ラップ接点ではラップ接触による径方向の
負荷が発生するが、転がり軸受形式の主軸受14が好適
にこの負荷を受けることが出来る。また、主軸受け14
は、吐出室21に溜った潤滑油25aが給油管27によ
って強制給油され十分な給油量を確保出来るので高い負
荷能力を持つことが出来る。さらに、駆動軸10がモー
タを挟んで両持ち式に軸支され、駆動軸10の熱膨張も
逃がす構造とした。
【0014】次に、主軸受14について他のいくつかの
実施例について図3,図4,図5そして図6に従ってそ
の特徴を説明する。以下、ここでは主軸受14について
のみ説明するが、圧縮機の他の部分の構成は図1と同じ
にできるので他の構成部分については説明を省略する。
図3から図6まで各図に対してそれぞれの実施例を示し
ているが、いずれもラジアル荷重とスラスト荷重を同時
に受けられ且つ、スクロール部材の位置の安定化を図る
ため両方向のスラスト荷重を受けることができるように
したものである。また、いずれの主軸受も軸受内輪は駆
動軸に圧入されている。さらに、各軸受の外周部には給
油孔を設けてありこれがフレームに設けた給油管27と
連通するようになっている。図3で14a1は、複列ア
ンギュラ玉軸受を適用したので高速回転することができ
る。図4は主軸受に組合せアンギュラ玉軸受14a2を
適用したものであり、軸受予圧を与えることによって軸
受剛性を調節できるので高速回転や高い回転精度を得る
ことが出来る。また、実施例では二つの組合せ例を示し
てあるが、スラスト力の大きさによって三つもしくは四
つを組合せることもできる。図5及び図6に示す実施例
は、軸受に自動調心機能を持たせた軸受であって、第4
の実施例では組立て精度が悪くて駆動軸同士に芯ずれが
生じたときや駆動軸が撓んだ時には、スクロールラップ
側面同士が片当りになる恐れがあるのに対して、本実施
例ではこのような僅かな芯ずれは自動調心機能によって
吸収できるので、ラップ側面同士の接触部での片当たり
を未然に防止できる。第5の実施例では第4の実施例の
特徴の他、さらに、軸受のスラスト負荷能力を大きくし
たものであり、軸受としても低騒音,低トルクで運転す
ることができる。
【0015】図7は第6の実施例を示す同期回転形スク
ロール圧縮機の断面図である。本実施例は、圧縮機を縦
置き形として利用する場合を示している。圧縮機の構成
としては第1の実施例と同じようなところもあるので、
ここではそれと異なる部分について説明する。図7にお
いて、第1の駆動軸10aには内部を貫通する吐出孔2
0aが設けられている。第1の駆動軸10aの端部は吐
出室28に開口されており、吐出ガスは油分離装置26
を通って吐出配管4から機外へ排出される。第1の副軸
受支持板11aには、軸封手段9が在って吐出室28と
モータ室23とを圧力的に隔絶している。さらに、絞り
部を有する連通孔32があって、これは油分離装置26
で分離された潤滑油を差圧によってモータ室23側へ戻
す役目をしている。他方、第二の駆動軸10bは中実体
で形成されており、その端部には給油ポンプ手段30が
設けられている。この給油ポンプ手段30は、第二の駆
動軸10bが回転することによりポンプ能力を発揮する
ものである。この給油ポンプ手段30と第1のフレーム
13aとを連絡するように給油配管27が密閉ケーシン
グ壁に沿って設けられている。給油配管27の第1のフ
レーム13a側の出口は、第1の主軸受部14aに開口
されている。従って、駆動軸10が回転すると潤滑油2
5はこの給油配管27を通って第1の主軸受14aを先
ず最初に潤滑し、そこから吸入室21に滴下して第二の
フレーム13bの面を通ってさらに、第二の主軸受け1
4bに給油される。第二の主軸受け14bを潤滑すると
更に下のモータ室23bへ滴下して第二のモータの隙間
や第二のスペーサに設けた流路33から最下部にある油
溜りへと滴下する。第二の副軸受支持板11bには、開
口部31が設けられていて潤滑油25は再度給油ポンプ
30に吸い込まれる。本実施例では、主軸受を組合せア
ンギュラ玉軸の採用を示しているが、種々の主軸受の構
成を採用することができる。
【0016】上部に位置した第1の副軸受12aは、軸
封手段19より上に配置され且つ、副軸受支持板11a
の内部に配設されているので、潤滑油は常に維持されて
いる。また、第二の副軸受12aは、潤滑油中に浸漬し
ているので良好な給油状態になっている。また、吸入室
21には潤滑油が溜らないことになっているので、回転
スクロール2が高速回転しても油による粘性抵抗は大き
くならない。モータ室23は、第1の実施例と同様に吸
入圧空間になるのでモータの冷却効果は十分に得られ
る。さらに、高温の吐出ガスが上部にあるため下部に在
る潤滑油25は冷却効果が高く常に低温の状態が維持さ
れる。従って、特に下部に配置したモータは潤滑油でも
冷却されるのでより一層の低温化が期待できる。
【0017】このように構成すると、一方の駆動軸10
aには吐出ガスによるスラスト力が作用するが、主軸受
には両方向のスラスト力が受けられる転がり軸受を適用
しているので、回転スクロール2は互いにスラスト力を
受けることは無い。図8は、第6の実施例のスクロール
部材2の平面図である。2b1がスクロールラップで、
2b2がスクロール鏡板、そして、2b3がシールチッ
プである。シールチップ2b3はスクロールラップ2b
1の溝に組み込まれる紐状のシール部材であり複合高分
子材料からできている。このシールチップ2b3はスク
ロールラップ2b1自身の熱膨張を吸収できるので、運
転中は常にラップの軸方向隙間を好適に維持される。ま
た、図示してはいないが他方の回転スクロール部材2a
にもこのシールチップ2a3を適用できる。従って、本
実施例では圧縮機の性能をより一層高く維持することが
できる。
【0018】図9は、圧縮機をある特定した負荷条件で
運転した時のスクロール部材の変形の状況を計算により
求め図に表したものである。図の表し方は、変形の無い
静止した状態を破線で示し、回転中の変形状態を実戦で
示し且つ、その変形量だけを数百倍に拡大して示したも
のである。第1の実施例のように同期回転形ではスクロ
ール部材が回転運動するためスクロールラップ2a2に
は遠心力が作用する。この遠心力はスクロール部材が重
い程大きく且つ、ラップの外周になればなる程大きくな
る。変形量は、スクロールラップの巻終わり付近で大き
く、軸方向に特に変形している。この変形を少なくする
には、鏡板2a1の厚さを厚くすれば可能であるがスク
ロール部材全体としての慣性モーメントも大きくなり、
駆動回路で回転制御する場合に電気的な負荷が増大す
る。また、ラップの巻終わり付近で軸方向に大きく変形
するのは、圧縮機としての体積効率が低下し、ひいては
空調機では冷房能力や暖房能力が低下することになる。
スクロール部材をアルミニウム合金で形成することは、
回転の慣性モーメントを小さくしながらラップの変形を
小さくするのに大きな効果をもたらす。本実施例では、
通常のアルミニウム合金に比べより多くのシリコンを含
有させたアルミニウム合金でスクロール部材2を構成し
たので、前述の効果をもたらす他にラップ接触部におけ
る摩擦や摩耗に対して通常のアルミニウム材を適用する
より大きな耐久力を保つことができる。
【0019】図10は、第7の実施例を示す同期回転形
のスクロール圧縮機を示す断面図である。図11は、第
7の実施例に採用したスクロール部材の断面図である。
以下、圧縮機の構成について説明するが、特に第1の実
施例と異なる点について説明する。本実施例は、いわゆ
るオイルフリー圧縮機を提供するものであり密閉ケーシ
ング1内に潤滑油を保持する必要が無いことが最大の特
徴である。これを達成するために、まず主軸受の無潤滑
化を行っている。すなわち、主軸受14や副軸受12の
軸受材料としてセラミックを適用したものを用いてい
る。また、スクロール部材2には図11に示すようにラ
ップ側に無潤滑摺動に耐えられる高分子複合材料の表面
層2a4を設け、さらに、ラップ先端にシールチップ2
a3を配設している。なお、スクロール鏡板2a2の裏
面は、摺動部とはならないようにしたのでこの部分は表
面層が不要になっている。ラップ側に設けた表面層2a
4は、4沸化ポリテトラフルオロエチレン樹脂とポリイ
ミド樹脂を主成分とする樹脂層であり、その厚さは5か
ら200μmにすることができる。このように、本実施
例では摺動部は全て油による潤滑をすること無しで運動
することができる。フレーム13には、吸入室21とモ
ータ室23とを連通させる比較的大きな連通孔35を設
けてある。従って、吸入室21の中のガスとモータ室2
3の中のガスとが混合しやすくなっているため、モータ
は吸入ガスによって冷却される。また、高温の吐出室2
8は密閉容器の両はじに配置してあるのでスクロール部
材2からなる圧縮機構部は、吐出室28の温度の影響を
少なくすることができる。そして、この実施例では現時
点で使用の禁止が見込まれているフロンガスに代る新し
い冷媒ガスを圧縮する圧縮機としても利用することがで
きる。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、駆動軸とスクロール部
材とを一体にすると共に、圧縮機の主軸受をラジアル負
荷とスラスト負荷とを同時に受けることのできる転がり
軸受で構成し、さらに回転スクロール同士互いに側面を
接触させることによって同期回転させることとしたた
め、構成部品点数が少なく簡単な構成で同期回転形スク
ロール圧縮機を提供することができる。また、主軸受に
おける軸受隙間が小さく回転精度が高くさらには、高速
回転時もスクロール部材の姿勢の安定性が確保できるの
で、スクロールラップ間の隙間を常に適正化できるため
性能の高いスクロール圧縮機を提供できる。また、同様
に振動や騒音レベルの小さなスクロール圧縮機を提供で
きる。さらに、油潤滑式圧縮機を構成する場合には、強
制給油により十分な給油量が確保できる。また、摺動個
所を極力少なくした構成とし、それでも残った摺動部に
は無潤滑摺動材を適用したことにより、潤滑油を不要と
するスクロール圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す同期回転形スクロ
ール圧縮機の断面図。
【図2】本発明の第1の実施例を示す同期回転形スクロ
ール圧縮機におけるスクロール部の動作の説明図。
【図3】本発明の第2の実施例を示す同期回転形スクロ
ール圧縮機の主軸受部の断面図。
【図4】本発明の第3の実施例を示す同期回転形スクロ
ール圧縮機の主軸受部の断面図。
【図5】本発明の第4の実施例を示す同期回転形スクロ
ール圧縮機の主軸受部の断面図。
【図6】本発明の第5の実施例を示す同期回転形スクロ
ール圧縮機の主軸受部の断面図。
【図7】本発明の第6の実施例を示す同期回転形スクロ
ール圧縮機の断面図。
【図8】本発明の第6の実施例のスクロール部材の平面
図。
【図9】本発明の同期回転中のスクロール部材の変形状
況を示す斜視図。
【図10】本発明の第7の実施例を示す同期回転形スク
ロール圧縮機の断面図。
【図11】本発明の第7の実施例に適用した回転スクロ
ール部材の断面図
【図12】従来の同期回転形スクロール圧縮機の断面
図。
【符号の説明】
1…密閉ケーシング、2…回転スクロール部材、3…吸
込配管、4…吐出配管、5…ハーメチック端子、6…モ
ータ駆動回路、7…モータステータ、8…モータロー
タ、9…スペーサ、10…駆動軸、11…副軸受支持
板、12…副軸受、13…フレーム、14…主軸受。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04C 18/02 311

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の鏡板と渦巻状のラップを有する第1
    の回転スクロールと、第2の鏡板と渦巻状のラップを有
    する第2の回転スクロールがあって、前記両方の回転ス
    クロールが互いに回転軸心を偏心させて渦巻状ラップを
    互いに噛み合わせた状態で組み合わされており、前記両
    方の回転スクロールが共に同じ方向に回転することによ
    って、前記第1の回転スクロールと前記第2の回転スク
    ロールとで構成される圧縮作動室の体積を変化させて作
    動流体を圧縮する回転形スクロール流体機械において、
    モータロータに結合されたそれぞれの駆動軸の一方の端
    部に前記第1及び第2の回転スクロールの部材を配設
    し、前記両方の回転スクロールのラップ側面同士を部分
    的に接するように回転させると共に、前記スクロール部
    材とモータの間に設けたフレームによって固定された主
    軸受を配設し、前記主軸受が前記駆動軸に働く半径方向
    の荷重とスラスト方向の荷重を受けられる転がり軸受で
    あることを特徴とする回転形スクロール流体機械。
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