JP3064394B2 - 磁気記録装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はビデオテープレコーダなどの磁気記録再生装
置に関するものであり，特に，磁気テープの編集，ダビ
ングを繰り返しても記録信号の劣化を増加させず，再生
画像に色にじみを発生させない磁気記録装置に関する。

〔従来の技術〕 本発明の磁気記録装置の例として第１図（ａ），
（ｂ）にハイビジョン用VTR（HDVTR）装置の記録系REC
とこれに対応する再生系PBの構成を示す。

第１図（ａ）に示したHDVTR装置の記録系RECの動作を
述べる。

ベースバンドの記録用輝度信号Ｙは，アナログ／ディ
ジタル信号変換回路（ADC）１で所定のサンプリングク
ロックでディジタル信号に変換され，時間軸伸長するた
めスイッチ回路４によって選択的に切り換えられ時間軸
伸長回路7,8で時間軸伸長処理される。また，ベースバ
ンドの記録用色差信号P_B,P_RはADC2,3で所定のサンプリ
ングクロックでディジタル信号に変換され，信号反転回
路5,6で信号反転され，色差線順次信号処理回路10にお
いて後述する線順次垂直フィルタリング処理され，さら
に，時間軸圧縮回路11,12で時間軸圧縮される。

時間軸伸長処理された記録用輝度信号Ｙおよび線順次
処理され時間軸圧縮処理された記録用色差信号P_B,P
_Rが，フレームメモリ14でシャフリング処理され，輝度
信号と色差信号とが一体化されたチャネルA,BのTDM信号
形態の映像記録信号が生成される。そのTDM信号形態の
チャネル映像記録信号に，信号加え合わせ回路16,17に
おいて同期信号発生回路15からの同期信号SYNCおよびバ
ースト信号BURSTが付加され，ディジタル／アナログ信
号変換回路（DAC）18,19でアナログ信号に変換され，ア
ナログ信号処理回路20,21および記録ヘッド23を介して
磁気テープ25に記録される。アナログ信号処理回路20,2
1はローパスフィルタリング，エンファシス処理,FM変調
などを行う。第１図（ｂ）に示すHDVTR装置の再生系PB
の動作を述べる。再生系PBの回路構成およびその動作は
基本的には記録系RECの逆になる。

磁気テープ25に記録された映像信号が再生ヘッド30で
読み出されスイッチ回路31を介してアナログ信号処理回
路32,33に印加される。アナログ信号処理回路32,33は記
録系RECにおけるアナログ信号処理回路20,21の逆動作，
たとえば,FM復調，デエンフアシス処理を行う。アナロ
グ信号処理回路32,33の出力はADC34,35でディジタル信
号に変換され，フレームメモリ36においてフレームメモ
リ14のシャフリング処理とは逆のデシャフリング処理が
行われる。

フレームメモリ36から読みだされた輝度信号が時間軸
圧縮回路37,38において時間軸圧縮処理され，一方の時
間軸圧縮処理信号が1H信号遅延回路39で1H遅延され，ス
イッチ回路40で時間軸圧縮回路37からの信号と1H信号遅
延回路39からの信号とが切替られDAC50から記録用輝度
信号Ｙに対応する再生用輝度信号Ｙが生成される。フレ
ームメモリ36から読みだされた色差信号は，時間軸伸長
回路42,43で時間軸伸長処理され，一方の時間軸伸長処
理信号はさらに1H信号遅延回路44で遅延され，これらの
信号がスイッチ回路45で切替られ，色差線順次信号補間
回路46に印加され，信号反転回路47,48で信号反転され,
DAC51〜52でアナログ信号に変換されて記録用色差信号P
_B,P_Rに対応する再生用色差信号P_B,P_Rが再生される。

第３図に第１図（ａ）に示した色差線順次信号処理回
路10の従来の回路構成を示す。第３図の色差線順次信号
処理回路10は，ラッチ回路101,102,スイッチ回路103,お
よび，垂直フィルタ回路10Aを構成する2Hラインメモリ1
05,信号加算回路106,1/2の係数を乗ずる係数乗算回路10
7,信号加算回路108,1Hラインメモリ109および1/2の係数
を乗ずる係数乗算回路110が図示のごとく構成されてい
る。

第４図に第３図の色差線順次信号処理回路10の各部分
における信号処理形態を示す。ラッチ回路101,102から
の信号S101,S102はスイッチ回路103によって1Hごとに交
互に切替られて信号S103,S104が得られる。なお，第４
図において符号，たとえば，「41B」は41H番目の色差信
号P_B,「41R」は41H番目の色差信号P_Rを示す。

これらの交互に切替られた色差信号P_B,P_Rは垂直フィ
ルタ回路を構成する2Hラインメモリ105および1Hライン
メモリ109に記憶される。この垂直フィルタ回路10Aは,1
Hラインメモリ109からの水平方向のライン（これを基準
ラインと呼ぶ）の色差信号を中心にその上下の水平方向
ラインの垂直方向の色差信号をフィルタリングする。す
なわち，基準ラインの下の水平ラインの色差信号と2Hラ
インメモリ105からの基準ラインの上の水平ラインの色
差信号とが信号加算回路106で加算され，係数乗算回路1
07は1/2にされ，この信号に信号加算回路108において1H
ラインメモリ109からの基準ラインの色差信号が加算さ
れ，係数乗算回路110で半分にされる。以上の信号処理
によって得られる信号S103,S104,S110を第４図に示す。
信号S110は上記線順次垂直フィルタリングされた信号を
示す。たとえば，垂直フィルタリング信号43B′は次の
ようにして算出される。

43B′＝（（42B＋44B）/2＋43B）/2 このように線順次垂直フィルタリング処理された信号
が上述したように第１図（ａ）に図解した時間軸圧縮回
路11,12で時間軸圧縮処理され，フレームメモリ14でシ
ャフリングされ,FM変調され磁気テープ25に記録され
る。

第１図（ｂ）に示すHDVTR装置の再生系PBにおける色
差線順次信号補間回路46は第５図に示すように色差線順
次信号処理回路10と逆回路構成となる。すなわち，色差
線順次信号補間回路46は，補間フィルタ回路46Aを構成
する1Hラインメモリ461,2Hラインメモリ462,信号加算回
路463および1/2の係数を乗ずる係数乗算回路464,さらに
スイッチ回路465が図示のごとく接続されている。補間
フィルタ回路46Aは第３図を参照して上述した垂直フィ
ルタ回路10Aの逆回路構成となっている。

第６図に第５図における信号形態を示す。第１図
（ｂ）に図解した時間軸伸長処理されスイッチ回路45で
切替られた信号S45は、第６図に図解した1Hラインメモ
リ461から1H遅延され信号S461としてスイッチ回路465に
出力される。また信号S45は信号加算回路463において2H
ラインメモリ462で2H遅延された信号と加算され，係数
乗算回路464で半分にされて信号S464としてスイッチ回
路465に出力される。これらの信号がスイッチ回路465を
介して切替られて補間信号S465,S466が得られる。Ｂ″,
R″は磁気テープに記録された垂直フィルタリング信号
Ｂ′,R′をさらに補間した信号を示す。

以上に述べた記録再生処理の信号形態を第７図に示
す。

第７図（ａ）に示すように振幅100％の色差信号P_B,P_R
が記録系RECに印加された場合上述した色差線順次信号
処理回路10の垂直フィルタ回路を通すことにより第７図
（ｂ）に示すように，画面の垂直方向に色の変化が広が
る。磁気テープ25の記録された第７図（ｂ）の信号は再
生系PBで第７図（ｃ）に示すような信号形態で色差信号
P_B,P_Rに再生される。すなわち，色差線順次信号補間回
路46の補間フィルタ回路を通すことにより色差信号P_B,P
_Rのそれぞれの変化が画面の垂直方向に広がる。第７図
において＊は前後のラインから得られる補間信号を示
す。

〔発明が解決しようとする課題〕

以上のように信号処理を行うHDVTR装置を用いて，一
旦記録された映像信号の編集，ダビングを反復すると，
記録映像信号が劣化していき，再生画像の色にじみが蓄
積されていくという問題がある。

たとえば上記処理によって記録された磁気テープから
HDVTR装置を用いてダビングを行う場合,HDVTR装置は第
７図（ｃ）示す色差信号を再生し，この色差信号に基づ
いて記録系RECで磁気テープに記録する。この記録信号
は第７図（ｄ）に示す信号形態となる。すなわち，ダビ
ングのとき再び記録系RECの垂直フィルタ回路を通すこ
とにより，第７図（ｄ）に示すようにさらなる波形劣化
が生じ，これを再生すると第７図（ｅ）に示すように更
に劣化した再生色差信号P_B,P_Rとなる。

このようにダビングまたは編集を繰り返すと記録映像
信号の劣化が増大し再生画像の色にじみが大きくなって
いく。

以上,HDVTR装置について例示したが，その他映像信号
をフィルタリング処理して記録し再生する装置において
同様の問題が発生している。

したがって，本発明は，簡単な回路構成によって上記
問題を解決することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本発明によれば、複数の水平走査線に直交する方向の
色信号に対して線順次フィルタ処理を行い，時間軸圧縮
し，輝度信号とともに記録媒体に記録する磁気記録装置
において， 前記色差線順次フィルタを行う回路に、 第１入力端子に接続された2Hラインメモリと、第２入
力端子に接続された1Hラインメモリを有し、前記2Hライ
ンメモリの入力信号と出力信号とを加算する第１の加算
手段と、第１の係数乗算回路と、該第１の係数乗算手段
の乗算結果と前記1Hラインメモリの出力との加算を行う
第２の加算手段とを有し、前記1Hラインメモリに記録さ
れた色差信号を基準としてその前後のフレームの色差信
号とについてフィルタリングするフィルタ手段と、 第１および第２の色差信号と1Hごとに切り換えて、切
り換えた第１の色差信号と第２の色差信号とを交互に前
記フィルタ手段の前記第2Hラインメモリと前記1Hライン
メモリとに入力する第１のスイッチング手段と、 第１の動作モードにおいて前記フィルタ手段のフィル
タ処理結果を出力し、第２の動作モードにおいて前記1H
ラインメモリの出力とを出力する第２のスイッチング手
段と を有することを特徴とする磁気記録装置が提供される。

〔作用〕

第１のスイッチング手段は、第１および第２の色差信
号を線順次切り換えて、フィルタ手段の1Hラインメモリ
および2Hラインメモリに出力する。

フィルタ手段は1Hラインメモリに記憶されて１フレー
ムの色差信号を基準として、その前後のフレームの色差
信号とのフィルタ処理、すなわち、垂直方向のフィルタ
処理を行う。

第２スイッチング手段は、たとえば、通常の記録モー
ドである第１の記録モードにおいてはフィルタ手段のフ
ィルタ処理結果を出力し、たとえば、ダビングまたは編
集を行うモードである第２の記録モードにおいは前記垂
直フィルタ処理をおこなわない1Hラインメモリの出力を
そのまま出力する。この第２の記録モードにおいてはフ
ィルタリング処理にともなう新たな記録信号の劣化が生
じないから，上述した再生画像の色にじみの増大が発生
しない。

なお、複数の水平走査線に直送する方向の色信号に対
してフィルタ処理を行い，時間軸圧縮し，輝度信号とと
もに記録媒体に記録する処理は従来と同様である。

〔実施例〕

第２図に本発明の磁気記録装置の実施例として上述し
た第１図のHDVTR装置を例示する。

本発明においては，第１図の色差線順次信号処理回路
10を第２図に示すように構成する。

第２図の回路は，第３図に示した従来の色差線順次信
号処理回路10に対して，スイッチ回路111が付加されて
いる。スイッチ回路111は垂直フィルタ回路の係数乗算
回路110の信号S110または1Hラインメモリ109からの信号
S109を切り換える。通常の記録モードにおいてはスイッ
チ回路111は係数乗算回路110の出力に接続されている接
点Ｎからの信号を出力し，ダビングまたは編集モードに
おいては1Hラインメモリ109に接続されている接点Ｅか
らの信号を出力する。

通常の記録モードにおける信号処理は，図１（ａ）を
参照して従来技術の説明において，上述した通りであ
る。

編集モードにおいては，垂直フィルタリングされない
1Hラインメモリ109からの信号が出力される。したがっ
て，この場合垂直フィルタ回路10Aを通すことによる従
来の記録信号の劣化は生じない。なお，すでに再生され
た色差信号が垂直フィルタリングされているから，編集
モードにおいては更に垂直フィルタリングしないでもよ
い。

なお，この垂直フィルタリング処理をバイパスする方
法としては，第２図に破線で示したように,1Hラインメ
モリ109そのものをバイパスしてもよい。

なお，輝度信号Ｙについては上述した垂直フィルタリ
ング処理を行わないから，上述した信号劣化も発生せず
バイパス処理は不要である。

以上，水平方向３ラインについての垂直方向のフィル
タリング処理について述べたが，本発明の実施にあたっ
ては水平方向複数ラインについての垂直フィルタリング
処理に適用できる。

またHDVTR装置を例示したが，本発明は２種の色差信
号など複数の色信号を線順次フィルタリング処理する装
置において上述したものと同様に適用できる。

〔発明の効果〕

以上に述べたように，本発明によれば，簡単な回路構
成で，複数回編集またはダビングしても記録信号の劣化
が増加しない磁気記録装置が提供できる。その結果とし
て，その再生画像の色にじみも増大しない。

【図面の簡単な説明】

第１図（ａ），（ｂ）は本発明の実施例のHDVTR装置の
構成図， 第２図は本発明の実施例の垂直フィルタ回路図， 第３図は従来な垂直フィルタ回路図， 第４図は第３図による信号処理形態図， 第５図は第１図における補間フィルタ回路図，第６図は
第５図の補間フィルタ回路による信号処理形態図， 第７図（ａ）〜（ｅ）は従来の信号処理形態を示す図で
ある。 （符号の説明） 7,8……時間軸伸長回路， 10……色差線順次信号処理回路， 11,12……時間軸圧縮回路， 14……フレームメモリ， 20,21……アナログ信号処理回路， 32,33……アナログ信号処理回路， 36……フレームメモリ， 37,38……時間軸圧縮回路， 42,43……時間軸伸長回路， 46……色差線順次信号補間回路。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の水平走査線に直交する方向の色信号
   に対して線順次フィルタ処理を行い，時間軸圧縮し，輝
   度信号とともに記録媒体に記録する磁気記録装置におい
   て， 前記色差線順次フィルタを行う回路は、 第１入力端子に接続された2Hラインメモリと、第２入力
   端子に接続された1Hラインメモリを有し、前記2Hライン
   メモリの入力信号と出力信号とを加算する第１の加算手
   段と、第１の係数乗算回路と、該第１の係数乗算手段の
   乗算結果と前記1Hラインメモリの出力との加算を行う第
   ２の加算手段とを有し、前記1Hラインメモリに記録され
   た色差信号を基準にしてその前後のフレームの色差信号
   とについてフィルタリングするフィルタ手段と、 第１および第２の色差信号と1Hごとに切り換えて、切り
   換えた第１の色差信号と第２の色差信号とを交互に前記
   フィルタ手段の前記第2Hラインメモリと前記1Hラインメ
   モリとに入力する第１のスイッチング手段と、 第１の動作モードにおいて前記フィルタ手段のフィルタ
   処理結果を出力し、第２の動作モードにおいて前記1Hラ
   インメモリの出力とを出力する第２のスイッチング手段
   と を有することを特徴とする磁気記録装置。