JP3064229B2 - ボールジョイントの製造方法 - Google Patents
ボールジョイントの製造方法Info
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Description
中心となる鋼球とこれを包持するホルダーとが揺動ある
いは回転運動自在に連結され、主に自動車のサスペンシ
ョンアーム部やステアリング部、コンバインの切刃駆動
部等のリンクモーション機構に用いられるボールジョイ
ントの製造方法に関する。
方法としては、特公平5−77886号公報に開示され
る方法が知られている。この方法は、図14に示すよう
に、金型100内に鋼球101を中子としてインサート
したダイカスト鋳造によってホルダー102を形成する
第一工程(分図a,b)と、かかるホルダー102にく
るまれた鋼球101に対してシャンク103をプロジェ
クション溶接で接合して球付きシャンク104を形成す
る第二工程(分図c,d)と、球付きシャンク104又
はホルダー102に外力を与え、第一工程での鋳造の際
に互いに密着した鋼球101とホルダー102との間に
微小な隙間を形成する第三工程とから構成されており、
ホルダー102の鋳造に際して鋼球101の球面がホル
ダー側へ転写されることから、かかる方法で製作したボ
ールジョイントはその鋼球101とホルダー102とが
ガタつくことなく摺接し、円滑な回転運動あるいは揺動
運動を達成するといった特長を有している。
ダー102の鋳造の際に中子となる鋼球101を金型1
00内で固定するため、型閉めした金型で当該鋼球10
1を上下から挟み込んでおり、鋳造されたホルダー10
2には鋼球101の上下位置に対応して開口部105,
106が形成されるようになっている。そして、上記第
二工程ではこれらの開口部105,106を利用してプ
ロジェクション溶接が行われ、一方の開口部105から
はシャンク103を、他方の開口部106からは溶接電
流を通電する電極107を夫々鋼球101の球面に当接
させ、この状態で鋼球101とシャンク103との間に
所定の溶接電流を通電しながらプロジェクション溶接が
行われるようになっている。
来の製造方法では、上記ホルダーの成形材料として亜鉛
を基材としたダイカスト用合金(例えば、亜鉛−アルミ
ニウム−銅系のダイカスト用亜鉛合金)を主として用い
ており、かかるダイカスト用亜鉛合金は引張強度、硬度
及び靭性等の機械的強度には優れているものの、耐蝕性
がなく且つ比重が大きいことからホルダーが腐食し易い
と共に重量化せざるを得ず、当該ボールジョイントを用
いて構成するリンク機構の使用箇所に制限がある他、当
該リンク機構の軽量化が妨げられるといった問題点があ
った。
てはアルミニウムを基材としたものが挙げられるが、か
かるダイカスト用アルミニウム合金はダイカストによっ
て成形したままでは前述のダイカスト用亜鉛合金に比べ
て引張強度、硬度等に乏しく、当該合金で製作したボー
ルジョイントは機械的強度が要求される構造箇所、例え
ば自動車のタイロッドのような箇所には使用することが
できなかった。
ものであり、その目的とするところは、アルミニウム合
金のダイカストによって機械的強度に優れたホルダーを
形成することができるボールジョイントの製造方法を提
供することにある。
に、本発明のボールジョイントの製造方法は、鋼球が中
子としてインサートされた鋳造金型内にアルミニム合金
を鋳込み、当該鋼球をくるんだホルダーをダイカスト鋳
造する第一工程と、かかるホルダーを加熱して当該ホル
ダーを形成するアルミニウム合金の溶体化処理を行う第
二工程と、上記鋼球あるいはホルダーに外力を付与して
これら鋼球とホルダーとの間に隙間を形成し、かかる鋼
球のホルダーに対する回転を可能とする第三工程とから
構成されることを特徴とするものである。
によれば、その第一工程において鋼球をくるんだホルダ
ーをアルミニウム合金でダイカスト鋳造し、これに続く
第二工程においてホルダーの溶体化処理を行っているの
で、かかる処理後数時間にわたって生じる時効硬化によ
ってホルダーの機械的強度は著しく向上する。従って、
機械的強度において劣ると考えられていたアルミニウム
合金のダイカストでホルダーを成形しても、ボールジョ
イントに要求される機械的強度を十分に満足させること
ができた。
を考慮した場合、上記第一工程で使用する鋼球には耐摩
耗性が要求され、当該鋼球としてはその表面に予め浸炭
焼入れ等の焼き入れ処理がなされたものを使用するのが
一般的である。しかし、上記第一工程で鋼球をくるんだ
アルミニウム合金の溶体化処理温度は鋼球の焼き入れ温
度に比べて著しく低いことから、ダイカスト鋳造後のホ
ルダーに溶体化処理を施すと、鋼球に対して焼戻し処理
を施したのと同一の結果を生じ、せっかくの焼入れ処理
によって硬化していた鋼球の表面が軟化してしまい、ホ
ルダーと鋼球との摺接状態が早期に悪化してしまう懸念
がある。
(ステンレス鋼/440C)に焼戻し処理を行った場合
における当該焼戻し温度と鋼球の硬度との関係を示すグ
ラフである。このグラフからすれば、焼戻し温度が55
0℃を越えると鋼球の硬度が急激に低下しており、鋼球
表面の軟化が加速されることが伺われる。従って、上記
鋼球としてステンレス鋼等の特殊鋼を用いる場合、ホル
ダーの溶体化処理温度が550℃以下であれば、鋼球の
表面硬度を実用上問題のない程度に維持することができ
る。
ば、上記鋼球には浸炭焼入れがなされた普通鋼を用いる
のが好ましいが、かかる場合にはホルダーの溶体化処理
温度は前述のステンレス鋼よらりも更に低くなければな
らない。本願発明者が確認したところによれば、ホルダ
ーの溶体化処理温度が450℃以下であれば、普通鋼で
形成された鋼球の表面硬度を実用上問題のない程度に維
持することができた。
ム合金の組成によって異なるものであることから、溶体
化処理温度を前述の範囲内のものとするためにはアルミ
ニウム合金の組成が問題となる。アルミニウムに対する
添加元素を調製することで溶体化処理温度が当該温度範
囲内となるアルミニウム合金は種々生じるものと考えら
れるが、本願発明者らが確認したところによれば、アル
ミニウム−亜鉛−けい素系のダイカスト用アルミニウム
合金には溶体化処理温度が360〜450°Cであり、
かつ、時効硬化によってダイカスト用亜鉛合金を上回る
機械的強度を示すものが存在した。このダイカスト用ア
ルミニウム合金の具体的組成については後述する。
溶体化処理及び焼入れ処理が終了した後、従来の製造方
法と同様、鋼球に対してシャンクをプロジェクション溶
接で接合して球付きシャンクを形成するようにしても良
い。但し、ホルダーの溶体化処理後は前述したように鋼
球の表面が軟化する傾向にあるので、鋼球の傷つきを防
止するという観点からすれば、溶接電流を通電する電極
は鋼球に対してではなくホルダーに対して当接させ、ホ
ルダーを介して間接的に鋼球へ溶接電流を通電させるの
が好ましい。このように構成すれば、電極を鋼球に対し
て押し付けずともプロジェクション溶接を実施すること
ができ、鋼球の表面を傷つけることなく球付きシャンク
を形成することができる。
ダイカスト鋳造後に鋼球へ接合する必要はなく、ダイカ
スト鋳造前に鋼球へ接合しても良い。かかる場合には、
接合により形成された球付きシャンクの鋼球部のみを鋳
造金型内にインサートし、この状態でホルダーのダイカ
スト鋳造を行う。
シャンクを接合する必要はなく、貫通孔が形成された孔
開き鋼球を用いてホルダーをダイカスト鋳造すれば、当
該貫通孔にリンク機構のロッド等を挿入し且つ固定する
ことで、本発明方法によるボールジョイントを使用する
ことができる。
溶体化処理されるホルダーが既に鋼球を包持しているこ
とから、ホルダーを加熱すると上記鋼球をも加熱するこ
ととなり、かかる鋼球の表面が酸化作用によって著しく
荒れてしまい、ホルダーと鋼球との円滑な摺接といった
ボールジョイント本来の機能が発揮できなくなる懸念が
ある。従って、かかる観点からすれば、当該ホルダーを
無酸素環境下で加熱して溶体化処理を行い、かかる加熱
による鋼球表面の酸化を防止して、ホルダーと鋼球との
円滑な摺接動作を確保するのが好ましい。
のボールジョイントの製造方法を詳細に説明する。図1
は本発明方法によって製造されるボールジョイントの第
一実施例を示すものである。このボールジョイントは球
付きシャンク1の鋼球部1aの周囲に略円筒状のホルダ
ー2が係合したものであり、上記鋼球部1aとホルダー
2とが互いに摺接することにより、上記球付きシャンク
1に対してホルダー2が揺動又は回転運動自在に連結さ
れている。また、図2はこのボールジョイントの使用例
を示すものであり、上記球付きシャンク1には矢線A方
向に沿って進退するプッシュアーム3が係止される一
方、上記ホルダーには矢線B方向に沿って揺動するスイ
ングアーム4が係止されている。
真球度の高い鋼球に棒状のシャンク1bを溶接して形成
されており、このシャンク1bには上記プッシュアーム
3が嵌合するテーパ状の取付部11が形成されると共
に、当該取付部11の先端には雄ねじ12が形成されて
いる。従って、この雄ねじ12にナット13を螺合させ
ることで、上記プッシュアーム3がテーパ状の取付部1
1に固定されるようになっている。
ト鋳造により製作され、上記鋼球部1aに対するシャン
ク1bの接合部のみを残して、当該鋼球部1aを略覆っ
ている。このホルダー2には上記シャンク1bと反対側
の位置に平坦部20が形成されており、かかる平坦部2
0は後述するシャンク1bのプロジェクション溶接の際
に電極の当接面として利用される。また、このホルダー
2の外周にはホルダー2を上記スイングアーム4に係止
するための鍔部21が形成されると共に、この鍔部21
から若干離れた位置には環状溝22が形成され、当該環
状溝22にストップリング23を嵌合させることによ
り、上記スイングアーム4がホルダー2に固定されるよ
うになっている。
ャンク1のシャンク1bとの間にはシール部材5が取り
付けられており、上記鋼球部1aとホルダー2との隙間
に供給されるグリース等の潤滑剤を収容する潤滑剤ポケ
ット24を形成している他、鋼球部1aとシャンク1b
との接合部から当該隙間に対して埃やごみ等が侵入する
のを防止している。ここで、上記シール部材5のシャン
ク1b側の端部5aはその弾性によってシャンク1bに
密着する一方、ホルダー2側の端部7bは、球付きシャ
ンク1の揺動あるいは回転運動によってホルダー2から
外れることがないよう、係止リングによってホルダー2
の外周縁との間に挟み込まれている。
に注油口25が開設されているが、上記潤滑剤ポケット
24に収容された潤滑剤のみでホルダー2と鋼球部1a
との間を十分に潤滑できると判断される場合には、この
注油口25を開設するには及ばない。
体的製造方法について説明する。先ず、第一工程では上
記ホルダーをアルミニウム合金によりダイカスト鋳造す
る。本願発明者らが試作に使用したダイカスト用アルミ
ニウム合金の組成を以下の表1に示す。
示すように、上下に分割された一対の金型6,7内に球
付きシャンク1の鋼球部1aとなる鋼球8を中子として
インサートし、この状態で溶湯を金型内のキャビティ9
に圧入する。このとき、インサートされた鋼球8は金型
7に形成された支持座7aによって位置が決定され、金
型6から突出した係止棒6aによって上記支持座7aに
固定される。尚、磁気的な吸引力あるいはバキューム装
置の吸引力等によって、鋼球8を金型7の支持座7aに
確実に固定できるのであれば、金型6の係止棒6aは不
要である。
上記合金でくるんだホルダー2が鋳造され、上記鋼球8
は上記支持座7aに対応する部位でのみホルダー2から
露呈する。また、本実施例では鋼球8を係止棒6aで押
さえながらダイカスト鋳造を行ったので、この係止棒6
aに対応する部位においてもホルダー2には小さな孔が
開設され、この孔は前述した注油口25として利用され
る。尚、ホルダー2の鍔部21はこのダイカスト鋳造に
よって形成されるが、環状溝22はダイカスト鋳造後の
機械加工によって形成される。
造されたホルダー2を加熱し、かかるホルダー2を形成
するアルミニウム合金の溶体化処理を行う。具体的に
は、鋼球8をくるんだホルダー2を真空炉に入れて無酸
素環境下で溶体化処理温度まで加熱した後、これを取り
出して急冷するのだが、表1に示したアルミニウム合金
における溶体化処理温度は360〜450°Cであり、
加熱時間は2時間程度であった。
たホルダー2の鋼球8に対してシャンク1bを溶接す
る。かかる溶接にはプロジェクション溶接が用いられ、
図5に示すように、ホルダー2から露呈する鋼球8の球
面に対してシャンク1bの端面を所定の力Fで圧接させ
ると共に、ホルダー2及びシャンク1bの夫々に電極1
0a,10bを当接させ、これら電極10a,10bの
間に所定の溶接電流を通電して行われる。
0aは鋼球8に直接当接されることなくホルダー2の平
坦部20に当接され、かかる鋼球8に対してはホルダー
2を介して間接的に溶接電流が通電される。ホルダー2
は前工程においてこれを鋳造した際に鋼球8に密着して
いることから、このようにホルダー2を介して間接的に
鋼球8に溶接電流を通電しても、ホルダー2と鋼球8と
の境界部における通電抵抗は極めて小さく、ホルダー2
と鋼球8とが溶着することはない。また、鋼球8の表面
は前工程の溶体化処理での加熱によって焼きなまし状態
となり、軟化していることが予想されるが、電極10a
を鋼球8に直接圧接させていないので、かかる鋼球8の
表面に傷がつくこともない。
溶接が終了すると、図6に示すように、ホルダー2に包
持された鋼球8とシャンク1bとを接合した球付きシャ
ンク1が形成され、当該球付きシャンク1の鋼球部1a
がホルダー2に鋳込まれた状態となる。
が終了した後に、そのままの電極接続状態で再度電流を
通電し、鋼球8とシャンク1bとの接合部に焼き戻し処
理を施しており、これによって当該接合部に溶接後の置
き割れが発生するのを防止している。
付きシャンク1に外力を作用させ、未だ互いに密着した
ままのホルダー2と鋼球部1aとの間に微小な隙間を形
成する。かかる外力の作用のさせ方としては、例えばホ
ルダー2の外周を軽く叩いたり又は球付きシャンク1を
その軸方向に軽く叩いたりし、鋼球部1aに軽い衝撃を
与えればよい。これにより、球付きシャンク1の鋼球部
1aがホルダー2に対して自在に摺接するようになり、
球付きシャンク1とホルダー2とが揺動又は回転運動自
在に連結した状態となる。
の外周縁との間に前述したシール部材5を取付け、この
シール部材5が形成する潤滑剤ポケット24にグリース
などの潤滑剤を充填することにより、本実施例のボール
ジョイントは完成する。
にして製造されるものであるが、この製造方法によれ
ば、その第二工程においてホルダー2を成形するアルミ
ニウム合金の溶体化処理を行うに当たり、無酸素環境下
でこれを実行しているので、かかるホルダー2にくるま
れた鋼球8の表面が酸化して荒れることがなく、完成し
たボールジョイントについてホルダー2と鋼球8との滑
らかな摺接を得ることができる。
方法では、前述の如くその第二工程においてホルダー2
の溶体化処理を行っているので、ボールジョイントの完
成後数時間にわたって時効硬化が進行し、ホルダー2の
引張り強度、伸び、衝撃値等の機械的強度は当該溶体化
処理を施さない場合と比較して著しく改善される。以下
の表2に改善結果の具体的な数値を示すとともに、図7
〜図9には溶体化処理温度と引張り強度、伸び、硬度と
の関係グラフを示す。
ルミニウム合金はホルダー2の溶体化処理温度が最高で
も450°Cであり、400°C前後であっても溶体化
処理を行うことが可能なので、ホルダー2にくるまれた
鋼球8が焼なまし状態となって軟化するのを可及的に防
止することができる。以下に示す表3は表面から0.5
mmの深さまで浸炭焼入れが施された普通鋼の鋼球(表
面硬度Hv=653)に対して、種々の温度で焼なまし
を施した際の鋼球の表面硬度を示すものである。
発生するのを防止するためには、ホルダー2の硬さにも
よるが、Hv=327程度は必要であることから、表3
の結果からすればホルダー2の溶体化処理温度は450
°C以下でなければならないが理解される。従って、表
1に示したダイカスト用アルミニウム合金はこの条件を
満足していることから、ホルダー23に対して溶体化処
理を行っても、鋼球8の硬度はボールジョイントとして
の機能を十分に発揮できる値に維持されていることが判
明した。
た製品は加熱をするとブリスターが発生して機械的強度
が低下し易いことから、一般的にはアルミニウム合金ダ
イカストの製品に対しては溶体化処理を施さないのが通
例である。しかし、本実施例で用いたダイカスト用アル
ミニウム合金は溶体化処理温度は360〜450℃であ
り、JIS規格に規定されている一般的なアルミニウム
合金の溶体化処理温度よりも低いことから、ブリスター
の発生による機械的強度への影響は少なく、溶体化処理
0施してもホルダー2の機械的強度の著しい向上をみる
ことができるものである。
ールジョイントの第二実施例を示すものである。このボ
ールジョイントにおいても球付きシャンク30の鋼球部
30aがホルダー31にくるまれており、これら球付き
シャンク30とホルダー31とが揺動又は回転運動自在
に連結されているが、ホルダー31には前述のスイング
アーム4と同じく機能するアーム部32が設けられてお
り、このアーム部32には雌ねじ33が形成されてい
る。
球付きシャンク30のシャンク30bとの間にはシール
部材34が取り付けられており、鋼球部30aとホルダ
ー31との摺接面に潤滑剤を供給するための潤滑剤ポケ
ット35が形成されている。
の製造方法について説明する。前述の第一実施例ではホ
ルダー2をダイカスト鋳造した後に、かかるホルダー2
にくるまれている鋼球8に対してシャンク1bを接合し
て球付きシャンク1を形成するようにしたが、この製造
方法では先ず球付きシャンク30を形成し、かかる後に
ホルダー31をダイカスト鋳造するようにした。
球36の球面に対してシャンク30bの端面を所定の力
Fで圧接させると共にこれらの間に所定の溶接電流を通
電し、かかる鋼球36とシャンク30bとをプロジェク
ション溶接で接合して球付きシャンク30を形成する。
シャンク30の鋼球部30aを中子として上記ホルダー
31のダイカスト鋳造を行う。かかるダイカスト鋳造に
際しては、図12に示すように、前工程で形成された球
付きシャンク30を鋳造金型37内に固定すると共に、
この球付きシャンク30の鋼球部30aをキャビティ3
8内にインサートし、このキャビティ38内に第一実施
例と同じダイカスト用アルミニウム合金の溶湯を圧入す
る。これにより、球付きシャンク30の鋼球部30aを
アルミニウム合金でくるんだホルダー31が完成する。
0とホルダー31とが連結したら、前述の第一実施例と
同じ条件の下、真空炉を用いてホルダー31の溶体化処
理を行い、次いで球付きシャンク30あるいはホルダー
31に外力を作用させて互いに密着したこれらの間に微
小な隙間を形成する。これにより、球付きシャンク30
の鋼球部30aがホルダー31に対して自在に摺接する
ようになり、この後に球付きシャンク30とホルダー3
1との間にシール部材34を取りつければ本実施例のボ
ールジョイントが完成する。
ボールジョイントにおいても、アルミニウム合金のダイ
カストで形成されたホルダー31には溶体化処理が施さ
れていることから、かかる溶体化処理の後に生じる時効
硬化によってホルダー31の機械的強度は著しく向上す
る。また、上記溶体化処理を無酸素環境下で行っている
ことから、ホルダー31にくるまれた鋼球部30bの表
面が酸化によって荒れてしまうこともなく、しかも溶体
化処理温度を450°C以下に抑えていることから、鋼
球部30aの表面が軟化するのも可及的に防止できるも
のである。すなわち、この第二実施例のボールジョイン
トの製造方法においても、第一実施例の方法と同様、機
械的強度に優れ且つ球付きシャンク30の鋼球部30a
とホルダー31とが円滑に摺接するボールジョイントを
製造することができるものである。
ルジョイントの製造方法によれば、かかるボールジョイ
ントのホルダーをアルミニウム合金のダイカストで成形
した場合であっても、当該ホルダーに溶体化処理を施す
ことによって、従来の亜鉛タイカスト合金からなるホル
ダーと同等あるいはそれ以上の機械的強度を得ることが
でき、軽量で機械的強度に優れたボールジョイントを製
造することができるものである。
法によれば、鋼球をくるんでいるホルダーに対して溶体
化処理を行っても、かかる鋼球の表面が軟化するのを可
及的に防止することができ、やはり円滑に揺動あるいは
回転運動を行い得るボールジョイントを製造することが
可能となる。
ントの第一実施例を示す断面図である。
を示す断面図である。
図である。
接工程を示す図である。
す断面図である。
ム合金の溶体化処理温度と引っ張り強度との関係を示す
グラフである。
ム合金の溶体化処理温度と伸びとの関係を示すグラフで
ある。
ム合金の溶体化処理温度と硬度との関係を示すグラフで
ある。
イントの第二実施例を示す断面図である。
工程を示す図である。
す図である。
を示すグラフである。
工程図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 リンク機構を構成する構造部材が接合さ
れる鋼球とこれを包持するホルダーとが揺動あるいは回
転運動自在に連結されたボールジョイントの製造方法に
おいて、 鋼球が中子としてインサートされた鋳造金型内にアルミ
ニウム合金を鋳込み、当該鋼球をくるんだホルダーをダ
イカスト鋳造する第一工程と、 かかるホルダーを550℃以下に加熱して当該ホルダー
を形成するアルミニウム合金の溶体化処理を行う第二工
程と、 上記鋼球あるいはホルダーに外力を付与してこれら鋼球
とホルダーとの間に隙間を形成し、かかる鋼球のホルダ
ーに対する回転を可能とする第三工程とから構成される
ことを特徴とするボールジョイントの製造方法。 - 【請求項2】 リンク機構を構成する構造部材が接合さ
れる鋼球とこれを包持するホルダーとが揺動あるいは回
転運動自在に連結されたボールジョイントの製造方法に
おいて、 鋼球が中子としてインサートされた鋳造金型内にアルミ
ニウム合金を鋳込み、当該鋼球をくるんだホルダーをダ
イカスト鋳造する第一工程と、 かかるホルダーを加熱して当該ホルダーを形成するアル
ミニウム合金の溶体化処理を行うと共に、溶体化処理が
終了したホルダーを急冷後に放置してアルミニウム合金
の時効硬化を進行させる第二工程と、 上記鋼球あるいはホルダーに外力を付与してこれら鋼球
とホルダーとの間に隙間を形成し、かかる鋼球のホルダ
ーに対する回転を可能とする第三工程とから構成される
ことを特徴とするボールジョイントの製造方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載のボールジョイント
の製造方法において、上記鋼球として浸炭焼入れのなさ
れた普通鋼を用いる場合、上記ホルダーの鋳造材料であ
るダイカスト用アルミニウム合金の溶体化処理温度が4
50°C以下であることを特徴とするボールジョイント
の製造方法。 - 【請求項4】 請求項3記載のボールジョイントの製造
方法において、上記ホルダーの鋳造材料は、アルミニウ
ム−亜鉛−けい素系のダイカスト用アルミニウム合金
で、且つ、溶体化処理温度が360〜450°Cである
ことを特徴とするボールジョイントの製造方法。 - 【請求項5】 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載
のボールジョイントの製造方法において、上記第二工程
の終了後であって第三工程の開始前に、上記ホルダーか
ら露呈する鋼球に対してシャンクを圧接させると共に、
上記シャンク及びホルダーの夫々に対して電極を当接さ
せ、これら電極間に溶接電流を通電することにより、鋼
球とシャンクとをプロジェクション溶接で接合して球付
きシャンクを形成する工程を備えることを特徴とするボ
ールジョイントの製造方法。 - 【請求項6】 請求項1又は2記載のボールジョイント
の製造方法において、その第二工程の溶体化処理は無酸
素環境下で行うことを特徴とするボールジョイントの製
造方法。 - 【請求項7】 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載
のボールジョイントの製造方法において、上記第一工程
の開始前に上記鋼球に対してシャンクを予め接合して球
付きシャンクを形成しておき、上記第一工程ではかかる
球付きシャンクの鋼球部を鋳造金型内にインサートする
ことを特徴とするボールジョイントの製造方法。
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JP8041823A JP3064229B2 (ja) | 1996-02-28 | 1996-02-28 | ボールジョイントの製造方法 |
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JP8041823A JP3064229B2 (ja) | 1996-02-28 | 1996-02-28 | ボールジョイントの製造方法 |
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JPH09229051A (ja) | 1997-09-02 |
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