JP4737862B2 - 球面軸受及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リンク機構の揺動中心となるボール部を備えた内側部材とこれを包持する外側部材とが揺動あるいは回転運動自在に連結され、主に自動車のサスペンションアーム部やステアリング部、コンバインの切刃駆動部等のリンクモーション機構等に用いられる球面軸受及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、この種の球面軸受としては、ボール部を有する内側部材と、この内側部材のボール部を包持するボール受部を有して該内側部材と相対的に揺動あるいは回転運動自在に連結する外側部材とを備えたものが知られている。上記外側部材のボール受部は内側部材に対して荷重が作用した場合であっても、かかる荷重に抗してボール部を離脱不能に包持するものでなくてはならない。このため、球面軸受においては、如何なる構造を用いて上記ボール部をボール受部内に封じ込め、且つ、ボール部とボール受部との自由な揺動及び回転運動を確保するかが問題となる。
【0003】
従来より採用されているボール受部の構造の一つとしては、ボール部の直径よりも大きな凹所を有する金属製ケーシングを準備し、自己潤滑性を有する樹脂シートによって包まれたボール部をこのケーシング内に圧入したものが知られている(特開昭57−79320号公報、実開昭63−188230号公報、特開平5−26225号公報、特開平7−190066号公報等)。このボール受部の構造では、ボール部を包み込む樹脂シートが該ボール部とケーシングとの間で押し潰されて弾性変形を生じるので、これによってボール部と樹脂シートとの間の隙間が排除され、かかるボール部をケーシング内でガタつきなく回転させることが可能である。また、ボール部は樹脂シートにのみ摺接していることから、長期にわたってこの球面軸受を使用しても、ボール部が偏摩耗を生じる等のトラブルが発生することもない。
【0004】
その反面、このように樹脂シートをボール部とケーシングとの間に挟み込むタイプのボール受部では、かかる樹脂シートが圧縮された状態でボール部に接していることから、ボール部の動きが若干重くなり、この球面軸受を用いてリンク機構を構成した場合に、滑らかな軽い動きを得にくくなるといった問題点がある。また、樹脂シートがボール部の球面に圧接していることから、経時的な使用によって樹脂シートの摩耗が発生し易く、かかる摩耗が進行すると、ボール受部とボール部との間にガタつきが発生し易くなるといった問題点もある。更に、大きな荷重が作用すると樹脂シートが弾性変形することから、そのような荷重がこの球面軸受に作用した場合にはボール部がボール受部から離脱し易いといった問題点もある。
【0005】
一方、その他のボール受部の構造としては、ボール部を中子としてボール受部を鋳造することにより、かかるボール部をボール受部内に封じ込めた構造が知られている(特公平5−77886号公報等)。この構造では、鋳造の際にボール部の球面がボール受部に転写されることから、樹脂シートを用いずとも、鋳造された金属製のボール受部とボール部との隙間を最小限に抑えることができ、ボール部とボール受部との間に僅かな給油を行うのみで、かかるボール部をボール受部内でガタつきなく回転させることが可能である。また、ボール受部とボール部との間に微小な隙間が形成され、かかる隙間を油膜潤滑していることから、樹脂シートを圧接させているボール受部の構造と比較してボール部の動きが軽く滑らかなものになる。また、金属製のボール受部とボール部とを油膜潤滑によって摺接させているので、長期の使用によってもガタつきが発生せず、耐久性に優れていると言った特質がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この後者の球面軸受(特公平5−77886号公報)においては、金属製のボール受部とボール部との微小隙間を油膜潤滑しているので、高荷重や高速揺動といった特殊な使用条件下においては、これらボール受部とボール部との接触面圧が高い部位で、油膜が切れて両部材が固体接触を生じてしまう懸念があり、そのような現象が発生した状態で使用を継続すると、ボール部やボール受部が偏摩耗を生じて円滑な運動が損なわれることが予想される他、極端な場合には両部材が焼きついてしまい、使用不能に陥る事態も予想される。
【0007】
また、このようにボール部を中子としてボール受部を鋳造した球面軸受では、確かにボール部の球面がボール受部に転写されることから、両者の隙間を最小限に抑えることができるのだが、ボール受部に対するボール部の運動を可能とするために、両者の間に極微少な隙間(0.05〜0.1mm程度)を与えており、かかる隙間の範囲内におけるガタつきまでも完全に排除することは不可能であった。
【0008】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、高荷重の負荷時において金属製のボール受部とボール部とが油膜切れによって固体接触を生じてしまうような場合であっても、ここれら両部材の偏摩耗や、焼きつきの発生することがなく、長期にわたって軽く且つ円滑な揺動及び回転運動を行うことが可能な球面軸受及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、ボール部とボール受部との間のガタつきを完全に排除することが可能であり、しかも長期にわたって軽く且つ円滑な揺動及び回転運動を行うことが可能な球面軸受及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の球面軸受は、ボール部を有する内側部材と、この内側部材のボール部を包持するボール受部を有して該内側部材と相対的に揺動あるいは回転運動自在に連結する外側部材とを備え、上記外側部材のボール受部が、内側部材のボール部と摺接すると共に該ボール部を離脱不能に包持する凹球面状の金属摺接面を具備した球面軸受を前提とし、上記ボール受部には内側部材のボール部と摺接する樹脂ライナを埋め込み、この樹脂ライナによる樹脂摺接面と上記金属摺接面とが隙間なく隣接する受部側摺接面を構成することを特徴とするものである。
【0011】
このような本発明の球面軸受では、外側部材のボール受部に具備された凹球面状の金属摺接面が内側部材のボール部を離脱不能に包持しており、これによって内側部材と外側部材とが相対的に揺動あるいは回転運動自在に連結している。従って、これら金属摺接面とボール部の球面との微小隙間を油膜潤滑してやることにより、軽く滑らかな運動を得ることができる。また、上記ボール受部は内側部材のボール部に接する樹脂ライナを具備しているが、かかる樹脂ライナによる樹脂摺接面は金属摺接面と隙間なく隣接し、上記ボール部を包持する受部側摺接面を構成しているので、樹脂ライナとボール部との隙間も油膜潤滑されることになり、内側部材と外側部材との円滑な揺動及び回転運動を依然として確保することができる。
【0012】
また、ボール部とボール受部との間で接触面圧がより高い領域に対して樹脂ライナを配置することにより、仮にボール部とボール受部との間で油膜切れが生じても、ボール部が金属摺接面ではなく樹脂摺接面と固体接触を生じるので、ボール部の偏摩耗や、ボール部とボール受部とが焼きつくのを防止することが可能となる。
【0013】
ここで、上記樹脂ライナはボール受部の何処に配置しても差支えない。ボール受部とボール部との間で油膜切れが発生する箇所は、これら両者の間でより大きな接触面圧を生じる部位であり、そのような部位は球面軸受の具体的な使用態様によって異なってくるからである。但し、樹脂ライナが球体受部の端部に位置していると、ボール部をボール受部から引き抜く方向に荷重が作用した際に、かかる樹脂ライナが弾性変形を生じ、ボール部がボール受部から抜け出し易くなるので、そのような観点からすれば、上記樹脂摺接面が金属摺接面に取り囲まれるよにう樹脂ライナを配置するのが好ましい。
【0014】
また、本発明の球面軸受はボール受部に備えられた金属摺接面によってボール部を離脱不能に包持するものであるが、機械加工によってかかる金属摺接面をボール部の球面に略合致した凹球面状に形成し、これにの間に油膜潤滑される微小隙間を形成するのは大変困難である。仮に、機械加工によってそのような金属摺接面をボール受部に加工し得たとしても、加工コストが嵩んでしまう。従って、生産コストや人的労力の軽減化、精度の良い金属摺接面の形成という観点からすれば、特公平5−77886号公報の如く、ボール部を中子として鋳造金型内にインサートしたダイカスト鋳造によってボール受部を成形するのが好ましい。この際、樹脂ライナを予めボール部に装着しておき、その状態から樹脂ライナを覆うようにしてボール受部のダイカスト鋳造を行うことにより、かかる樹脂ライナをボール受部内に埋め込んで固定することができる。
【0015】
ボール受部を構成する金属材料として亜鉛合金を用いた場合の鋳造温度は400℃以上であり、また、アルミニウム合金を用いた場合の鋳造温度は600℃以上であることから、これらの鋳造温度は樹脂の耐熱温度を遥かに超えており、樹脂ライナを中子として鋳造金型内にインサートした状態で鋳造を行うと、通常は樹脂ライナが炭化してしまうと考えられる。しかし、樹脂ライナを装着したボール部はある程度の大きさの熱容量を具備していることから、かかるボール部に接触している樹脂ライナはボール受部の鋳造時にボール部から冷却されることになり、樹脂ライナの外側、すなわち鋳造合金の溶湯に接した側はボール受部に対して焼き付いてしまうものの、ボール部に対して接している樹脂摺接面は該ボール部に対して焼きつくことがなく、ボール受部の鋳造後においてもボール部の球面に対して良好な接触状態を維持することができる。また、ダイカスト鋳造は鋳造合金の溶湯を高圧で素早く金型内に注入して、即座に冷却することから、高圧鋳造等と比較して製品生産のサイクルタイムが極めて短く、これによっても鋳造時に樹脂ライナが受けるダメージを最小限に抑えることが可能となっている。
【0016】
一方、樹脂ライナはボール受部の鋳造前にボール部に装着されるが、装着後のボール部の取り扱いを容易なものにするためには、かかる樹脂ライナがボール部に対して緊密に嵌合し得るよう、かかる樹脂ライナをリング状に成形するのが好ましい。また、ボール受部に埋め込まれた樹脂ライナがボール部に連れ回されて該ボール受部内で回転してしまうと、かかる樹脂ライナがボール部ではなく、ボール受部と擦れて摩耗してしまうので、そのような観点からすれば、リング状に形成した樹脂ライナの外周面にボール受部に対する回り止めを形成するのが好ましい。
【0017】
更に、上記樹脂ライナはボール部と別個に成形し、それを後からボール部に対して装着しても差支えないが、労力及びコストの削減という観点からすれば、ボール部を中子としてインサートした射出成形によって樹脂ライナをボール部の外周面に対して直接成形するのが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の球面軸受及びその製造方法を詳細に説明する。
図1及び図2は本発明を適用した球面軸受の第1実施例を示すものである。この球面軸受は、先端にボール部を備えた内側部材としてのボールシャンク1と、このボールシャンク1のボール部10を包持するボール受部20を有する外側部材としてのホルダ2とから構成され、上記ボールシャンク1及びホルダ2が揺動又は回転運動自在に連結している。
【0019】
上記ボールシャンク1はボール部10となる真球度の高い鋼球に対して棒状のシャンク11を溶接して形成されており、このシャンク11の根元にはリンク等の被取付体を固定するための六角座面12が形成されている。また、このシャンク11の先端には雄ねじ13が形成されており、この雄ねじ13にナットを螺合させることで、被取付体を上記六角座面12との間で挟持固定し得るようになっている。
【0020】
一方、上記ホルダ2は、ボールシャンク1のボール部10を包持するボール受部20と、かかるボール受部20をリンクに結合するための固定部21とを備え、これらボール受部20と固定部21とがアルミニウム合金又は亜鉛合金のダイカスト鋳造により一体に成形されている。上記ボール受部20はボールシャンク1のボール部10が離脱することがないよう、かかるボール部10の略2/3を覆っており、このボール受部20の内側にはボール部10の球面に略合致した凹球面状の摺接面22が形成されている。これにより、ボールシャンク1はボール部10を揺動中心とし、ホルダ2に対して自在に揺動又は回転運動をなし得るようになっている。また、このホルダ2には上記シャンク11と反対側の位置に油溜まり23が形成されており、かかる油溜まり23は蓋部材24によって閉塞されている。尚、上記固定部21には雌ねじ25が形成されており、例えばリンクを構成するロッド等の先端に形成された雄ねじを結合できるようになっている。
【0021】
また、上記ホルダ2の外周縁とボールシャンク1のシャンク11との間にはブーツシール3が取り付けられており、ボールシャンク1のボール部10とホルダ2のボール受部20との隙間に対して埃やごみ等が侵入するのを防止している他、グリース等の潤滑剤を収容するシールポケット30を形成している。ここで、上記ブーツシール3のボールシャンク1側の端部31はその弾性によってシャンク11に密着する一方、ホルダ2側の端部32は係止リングによってホルダ2の外周縁との間に挟み込まれており、ボールシャンク1の揺動あるいは回転運動によっても外れることがないようになっいる。
【0022】
前述のように、上記ホルダ2のボール受部20はアルミニウム合金又は亜鉛合金の鋳造によって成形されており、ボールシャンク1のボール部10と接する摺接面22もこれら合金から形成されている。ボール受部20の摺接面22とボール部10の球面との間には微小な隙間(例えば、0.1mm以下)が形成されており、この隙間に対してボール受部20の両側に配置したシールポケット30及び油溜まり23から潤滑剤が流れ込み、ボール部10の球面とボール受部20の摺接面22との間に油膜を形成するようになっている。これにより、この球面軸受では鋼球からなるボール部10とやはり金属からなるボール受部20とが油膜潤滑された状態で摺接し、ホルダ2に対するボールシャンク1の軽く滑らかな運動を可能としている。
【0023】
ここで、ボール受部20の摺接面22とボール部10の球面とは略均一に接しているが、球面軸受の使用態様によっては上記摺接面22の局所に対して大きな荷重が作用する。例えば、図3に示すように、ロッド4の両端に対して一対の球面軸受を結合し、一方の球面軸受のボールシャンク1から他方の球面軸受のボールシャンク1に対して運動を伝達するコネクティングロッドを構成した場合、ボールシャンク1のボール部10の回りにおける荷重分布は図4に示すようになる。つまり、この使用態様ではホルダ2がロッド4によって押し引きされ、それによって運動が伝達されることから、ロッド4の長手方向に合致したボール部10の最大直径の周囲で摺接面22に対して最大荷重が作用することになる。このように、ボール受部20の摺接面22の局所に対して大きな荷重が作用すると、かかる摺接面22とボール部10との接触面圧が高くなり、これらの間における油膜が破断してしまう懸念がある。仮にそのような事態が生じた場合には、夫々金属から形成された摺接面22とボール部とが油膜を介さずに直接接触してしまうことから、摺接面及びボール部の球面が損傷してしまい、ボールシャンクの円滑な運動が損なわれる他、極端な場合にはボール受部とボール部とが焼き付いてしまい、ボールシャンクがホルダに対して運動不能になってしまう。
【0024】
そこで、この球面軸受では、ホルダ2のボール受部20にボールシャンク1のボール部10と摺接するリング状の樹脂ライナ5を埋め込み、この樹脂ライナ5による樹脂摺接面が金属摺接面と隙間なく連続してボール受部20の摺接面22を構成するようにした。この樹脂ライナ5は例えばPEEK材等から形成され、油膜破断が生じ易いと考えられる摺接面22内の局所に配置される。従って、図3の使用例の如く使用する球面軸受では、図1に示すように、ロッド4の長手方向に合致したボール部10の最大直径の周囲に配置される。尚、ボール受部20に対する樹脂ライナ5の埋め込み位置はこの例に限らず、ボール部10と摺接面22との接触面圧の分布に応じて最適な位置に配置すれば良い。
【0025】
この樹脂ライナ5の内周面側に形成された樹脂摺接面は金属摺接面と隙間なく隣接して一つの摺接面22を形成しており、後述するように射出成形によってボール部に装着されている。従って、かかる樹脂ライナ5は何らボール部10に圧接しておらず、ボール部10は樹脂ライナ5によって締め付けられた状態にないので、ボールシャンク1は軽く滑らかに運動することができるものである。また、ボール受部20の摺接面22に対して局所的に大きな荷重が作用して、ボール部10と摺接面22との間の油膜が破断するような事態が発生した場合であっても、前述の如く油膜が破断する可能性の高い箇所には樹脂ライナ5を配置し、ボール部10との摺接を金属摺接面ではなく樹脂摺接面と行わせているので、ボール部10の球面が損傷するのを防止することができ、ボール部10とボール受部20とが焼きつくといった最悪の事態をも回避することが可能となる。
【0026】
従って、このような油膜は破断時における樹脂ライナ5の機能からすれば、かかる樹脂ライナ5を成形する材料は耐摩耗性に優れ、ボール部10と固体接触を生じた場合であってもボールシャンク1の運動を阻害しないよう、自己潤滑性を備えた材料であることが好ましい。
【0027】
次に、この実施例の球面軸受の具体的製造方法について説明する。
この実施例の球面軸受のホルダ2はボールシャンク1のボール部10を中子として鋳造金型内にインサートしたダイカスト鋳造により製造される。このため、樹脂ライナ5をボール受部20に埋め込むに当たっては、先ず、かかる樹脂ライナ5をボール部10となる鋼球に対して装着する必要がある。図5及び図6は鋼球に対して樹脂ライナを装着した状態を示す正面図及び平面図である。この樹脂ライナ5はボール部10の外径に適合する内径を具備したリング状に成形され、ボール部10の最大直径を覆うように該ボール部10に対して装着されている。また、樹脂ライナ5の外周面には回り止めとなる突部50が形成されており、後にダイカスト鋳造でこの樹脂ライナ5をホルダ2のボール受部20に埋め込んだ際に、かかる樹脂ライナ5がボール受部20に対して回転を生じるのを防止している。この樹脂ライナ5は厚さ約0.5mmに形成されており、ボール受部20とボール部10との隙間(0.1mm以下)よりも厚く形成されている。
【0028】
このような樹脂ライナ5はボール部10と別個にこれを成形し、ホルダ2のダイカスト鋳造に先立ってボール部10に装着するようにしても良い。但し、樹脂ライナ5をボール部10に装着する手間を考慮した場合は、ボール部10を中子としてインサートした射出成形によって樹脂ライナ5を製作するのが好ましい。すなわち、ボール部10となる鋼球を金型内にインサートした状態で合成樹脂の射出成形を行い、樹脂ライナ5の成形とボール部10への装着を一つの工程で行うのである。このように樹脂ライナ5の成形を行えば、ボール部10への装着手間が省略される他、樹脂ライナ5の内周面がボール部10の球面に略合致したものとなり、樹脂ライナ5がボール部10を締め付けるのを防止しつつ、かかる樹脂ライナ5をボール部10に対して確実に装着してやることができる。
【0029】
次に、上記ホルダをダイカスト鋳造する。このダイカスト鋳造に際しては、図7に示すように、上下に分割された一対の鋳造金型6,7内に対して前工程で樹脂ライナを装着したボール部10を中子としてインサートし、この状態でアルミニウム合金又は亜鉛合金の溶湯を金型内のキャビティ8に圧入する。このとき、インサートされたボール部10は金型6,7に形成された支持座60,70によって挟持され、金型内における位置ずれが防止される。また、樹脂ライナ5はボール部10に装着された状態でキャビティ8内に位置し、ボール部10と接触する内周面を残し、かかるキャビティ8内に注入された合金に覆われる。
【0030】
これにより、図8に示すように、ボール部10を上記合金でくるんだホルダ2が鋳造され、上記ボール部は金型6,7の支持座60,70に対応する部位でのみホルダ2のボール受部20から露呈する。また、ボール部10に装着されていた樹脂ライナ5は鋳造されたボール受部20に埋め込まれた状態となり、かかるボール受部20に強固に固定される。ホルダ2の材質として亜鉛合金を用いた場合の鋳造温度は400℃以上であり、また、アルミニウム合金を用いた場合の鋳造温度は600℃以上であることから、かかる鋳造温度は樹脂ライナ5の耐熱温度を遥かに上回っており、本来であれば、0.5mmと極めて薄く形成された樹脂ライナ5はホルダ2の鋳造の際に炭化してしまうと考えられる。しかし、このようなダイカスト鋳造を用いた製造工程では、ボール部10が樹脂ライナ5に比べて極めて大きな熱容量を有していることから、ボール部10が鋳造合金の溶湯から樹脂ライナ5に流入した熱エネルギを奪い取る役割を果たし、かかる樹脂ライナ5の炭化が防止される。従って、樹脂ライナ5はボール受部20と接する外周面側は該ボール受部20に対して焼きついてしまうが、ボール部10と接する内周面側は炭化することなく残存し、ボール部10との樹脂摺接面を形成する。また、ダイカスト鋳造は鋳造合金の溶湯を高圧で素早くキャビティ8内に注入するものであり、溶湯の注入からホルダ2の取り出し迄の時間が5〜10秒と極めて短い。従って、この点においてもホルダ2の鋳造時における樹脂ライナ5の炭化が防止されているものと考えられる。
【0031】
次に、ホルダ2のボール受部20に包持されたボール部10に対してシャンク11を溶接する。かかる溶接にはプロジェクション溶接が用いられ、図9に示すように、ホルダ2のボール受部20から露呈するボール部10の球面に対してシャンク11の端面を所定の力Fで圧接させると共に、ホルダ2及びシャンク11の夫々に電極を当接させ、これら電極の間に所定の溶接電流を通電して行われる。ホルダ2のボール受部20は前工程においてこれを鋳造した際にボール部10に密着していることから、このようにホルダ2を介して間接的にボール部10に溶接電流を通電しても、ボール受部20とボール部10との境界部における通電抵抗は極めて小さく、ボール受部20とボール部10とを溶着させることなく、シャンク11をボール部10に接合することができる。また、樹脂ライナ5はボール部10の球面の一部のみを覆っていることから、ボール受部20からボール部10に対して溶接電流を通電する際の妨げとはならない。そして、このようにしてプロジェクション溶接が終了すると、ボール部10がホルダ2のボール受部20に包持されたボールシャンク1が完成する。
【0032】
この後、ホルダ2あるいはボールシャンク1に外力を作用させ、未だ互いに密着したままのボール受部20とボール部10との間に微小な隙間を形成する。かかる外力の作用のさせ方としては、例えばボール受部20の外周を軽く叩いたり又はボールシャンク1をその軸方向に軽く叩いたりし、ボール部10に軽い衝撃を与えればよい。これにより、ボールシャンク1のボール部10がホルダ2のボール受部20に対して自在に摺接するようになり、ボールシャンク1とホルダ2とが揺動又は回転運動自在に連結した状態となる。
【0033】
このとき、ボール受部20の金属摺接面とボール部10との間には塑性変形によって微少隙間が形成されるが、樹脂ライナ5は弾性変形することから、かかる樹脂ライナ5は依然としてボール部10に密着した状態にある。このため、ボールシャンク1は無負荷状態においてもホルダ2に対してガタつくことは一切ない。
【0034】
そして、最後にシャンク10とホルダ2の外周縁との間に前述したブーツシール3を取付け、このブーツシール3が形成するシールポケット30にグリース等の潤滑剤を充填することにより、本実施例の球面軸受は完成する。
【0035】
図10は樹脂ライナ5の他の例を示す正面図である。前述の如く、前記ホルダ2はボール部10を中子として鋳造金型6,7内にインサートしたダイカスト鋳造によって製作される。樹脂ライナ5はダイカスト鋳造の前にボール部10に装着されていることから、ボール部10と共に鋳造金型6,7内にインサートされることになる。また、図8に示されるように、ホルダ2の鋳造がなされた後は、樹脂ライナ5はボール10との接触面を除いてホルダ2に覆われている。従って、図5及び図6に示したように単にリング状に形成された樹脂ライナ5は、ダイカスト鋳造時、ボール部10には接しているものの、鋳造金型6,7には何ら接していないことになる。このため、鋳造合金の溶湯を高圧で素早くキャビティ8内に注入すると、樹脂ライナ5がボール部10に対して変位してしまう恐れがあり、仮にそのような事態が生じた場合には、かかる樹脂ライナ5をホルダ2のボール受部20の所定の位置に埋め込むことが不可能となってしまう。
【0036】
そこで、図10に示す樹脂ライナ5Aにはボール部10を取り巻くリング部53から下方へ突出する脚部54を複数設け、ボール部10を鋳造金型6,7内にセットした際に、上記脚部54が鋳造金型7の支持座70の縁部に当接するようにした。これにより、鋳造金型6,7内にインサートされた樹脂ライナ5Aはボール部10が支持座70にセットされれば一定の姿勢に保持されることになり、高圧の溶湯がキャビティ8内に勢い良く注入されても、ボール部10に対して装着された姿勢を維持する。従って、図10に示す樹脂ライナ5Aを用いれば、かかる樹脂ライナ5Aを常にホルダ2のボール受部20の所定の位置に埋め込むことができるものである。尚、図10中における符号50は図5に示した樹脂ライナ5と同じく回り止め用の突部である。また、上記脚部54は必ずしもリング部53から下方へ突出する必要はなく、上方へ向けて突出して鋳造金型6の支持座60の縁部に当接するものであっても良い。
【0037】
上記第1実施例では本発明の内側部材としてシャンクの先端にボール部が一体に接合されたボールシャンクを示したが、他の例としては、ボール部に対して貫通孔を形成し、この貫通孔を利用してロッド等をボール部に対して固定するものであっても良い。
【0038】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の球面軸受及びその製造方法によれば、外側部材のボール受部が内側部材のボール部を離脱不能に包持する金属摺接面を具備する他、樹脂摺接面を形成する樹脂ライナを具備しており、これら金属摺接面と樹脂摺接面とが隙間なく隣接してボール部を包持する摺接面を形成しているので、これらの摺接面とボール部との間に形成された微小隙間を油膜によって潤滑することにより、内側部材と外側部材との軽く且つ円滑な揺動及び回転運動を得ることが可能となる。また、ボール部とボール受部との間で接触面圧がより高い領域に対して樹脂ライナを配置することにより、仮にボール部とボール受部との間で油膜切れが生じても、ボール部が金属摺接面ではなく樹脂摺接面と固体接触を生じるので、ボール部の偏摩耗や、ボール部とボール受部とが焼きつくのを防止することが可能となり長期にわたって内側部材の良好な揺動及び回転運動を得ることが可能となる。
【0039】
また、樹脂ライナの樹脂摺接面はボール部に対して隙間なく接触しているので、ボール部と金属摺接面との間に極微少な隙間が存在する場合であっても、内側部材と外側部材とのガタつきを完全に排除することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用される球面軸受の第1実施例を示す断面図である。
【図2】 第1実施例に係る球面軸受を示す側面図である。
【図3】 第1実施例に係る球面軸受の使用例を示す斜視図である。
【図4】 図3の使用例においてボールシャンクのボール部の周囲における荷重分布を示した図である。
【図5】 第1実施例に係る球面軸受の製造方法において、ボール部に樹脂ライナを装着した状態を示す正面図である。
【図6】 第1実施例に係る球面軸受の製造方法において、ボール部に樹脂ライナを装着した状態を示す平面図である。
【図7】 第1実施例に係る球面軸受の製造方法において、ボール部を中子としてホルダを鋳造する様子を示す断面図である。
【図8】 第1実施例に係る球面軸受の製造方法において、鋳造されたホルダを示す断面図である。
【図9】 第1実施例に係る球面軸受の製造方法において、ホルダに包持されたボール部に対してシャンクを溶接する様子を示す断面図である。
【図10】 樹脂ライナの形状の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1…ボールシャンク(内側部材)、2…ホルダ(外側部材)、5…樹脂ライナ、10…ボール部、20…ボール受部、22…摺接面

Claims (3)

  1. ボール部を有する内側部材と、この内側部材のボール部を包持するボール受部を有して該内側部材と相対的に揺動あるいは回転運動自在に連結する外側部材と、この外側部材に埋め込まれると共に上記内側部材のボール部を中子とした射出成形によって一体的に成形されて該内側部材のボール部と摺接する樹脂摺接面を備えた樹脂ライナと、から構成され、
    上記ボール受部は、上記樹脂ライナが装着された内側部材のボール部を中子とした鋳造によって一体的に成形されて、前記内側部材のボール部と摺接すると共に該ボール部を離脱不能に包持する凹球面状の金属摺接面を具備し、この金属摺接面と前記樹脂ライナによる樹脂摺接面とが隙間なく隣接した受部側摺接面を有することを特徴とする球面軸受。
  2. 上記樹脂ライナは内側部材のボール部と外側部材のボール受部との接触面圧が高い領域に対応して配置されていることを特徴とする請求項1記載の球面軸受。
  3. 上記樹脂摺接面は周囲を金属摺接面に取り囲まれていることを特徴とする請求項2記載の球面軸受。
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