JP2005265135A - 球面軸受の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
ホルダに包持された鋼球に対してシャンクをプロジェクション溶接してボールシャンクを形成する際に、かかる鋼球の球面に溶接電極に対応した酸化皮膜が形成されるのを防止し、もってホルダに対するボールシャンクの円滑な揺動運動又は回転運動を得ることが可能な球面軸受の製造方法を提供する。
【解決手段】
先端に金属ボール部を有するボールシャンクと、このボールシャンクのボール部を包持するボール受部を有して該ボールシャンクと相対的に揺動あるいは回転運動自在に連結するホルダとを備えた球面軸受の製造方法であって、前記ボールシャンクのボール部となる鋼球をコアとして型内にインサートした鋳造により、かかる鋼球を覆うホルダを成形し、前記鋼球にシャンクを圧接させると共に、これらシャンク及び鋼球に電極を接続し、鋼球と電極との接触部位を無酸素雰囲気中においた状態で、シャンクと鋼球とをプロジェクション溶接した。
【選択図】 図6

Description

本発明は、リンク機構の揺動中心となるボール部を備えたボールシャンクとこれを包持するホルダとが揺動あるいは回転運動自在に連結され、主に自動車のサスペンションアーム部やステアリング部、コンバインの切刃駆動部等のリンクモーション機構等に用いられる球面軸受の製造方法に関する。
特開昭57−79320号公報 実開昭63−188230号公報 特開平5−26225号公報 特開平7−190066号公報 特開昭62−288716号公報
一般的に、この種の球面軸受としては、先端にボール部を有するボールシャンクと、このボールシャンクのボール部を包持して該ボールシャンクと相対的に揺動あるいは回転運動自在に連結するホルダとを備えたものが知られている。前記ホルダはボールシャンクに対して荷重が作用した場合であっても、かかる荷重に抗してボール部を離脱不能に包持するものでなくてはならない。このため、球面軸受においては、如何なる構造を用いて前記ボール部をホルダの内部に封じ込め、且つ、ボールシャンクとホルダとの自由な揺動及び回転運動を確保するかが問題となる。
従来より採用されている球面軸受の構造の一つとしては、ボール部の直径よりも大きな凹所を有するホルダとしての金属製ケーシングを準備し、自己潤滑性を有する樹脂シートによって包まれたボールシャンクのボール部をこのケーシング内に圧入したものが知られている(特開昭57−79320号公報、実開昭63−188230号公報、特開平5−26225号公報、特開平7−190066号公報等)。この球面軸受では、ボール部を包み込む樹脂シートが該ボール部とケーシングとの間で押し潰されて弾性変形を生じるので、これによってボール部と樹脂シートとの隙間が排除され、かかるボール部をケーシング内でガタつきなく回転させることが可能である。また、ボール部は樹脂シートにのみ摺接していることから、長期にわたってこの球面軸受を使用しても、ボール部が偏摩耗を生じる等のトラブルが発生することもない。
その反面、このように樹脂シートをボール部とケーシングとの間に挟み込むタイプのホルダでは、かかる樹脂シートが圧縮された状態でボール部に接していることから、ボール部の動きが若干重くなり、この球面軸受を用いてリンク機構を構成した場合に、滑らかな軽い動きを得にくくなるといった問題点がある。また、樹脂シートによって包まれたボール部をケーシング内に圧入していることから、樹脂シートとボール部の球面との間の面圧が不均一になり易く、経時的な使用によって樹脂シートの部分摩耗が発生し、かかる摩耗の進行によってホルダとボール部との間にガタつきが発生し易くなるといった問題点もある。更に、大きな荷重が作用すると樹脂シートが弾性変形することから、そのような荷重がこの球面軸受に作用した場合にはボール部がホルダから離脱し易いといった問題点もある。
一方、その他の球面軸受の構造としては、ボール部を中子としてホルダを鋳造することにより、かかるボール部をホルダ内に直接封じ込めた構造が知られている(特開昭62−288716号公報)。この球面軸受ではボール部となる鋼球を型内にインサートしてホルダのダイカスト鋳造を行っており、かかる鋳造後には鋼球がホルダから離脱不能となっている。そして、このホルダから露呈した鋼球の球面に対してシャンクをプロジェクション溶接し、ホルダの形成後にボールシャンクを完成させている。この球面軸受では、ボール部の凸状球面の形状が鋳造されたホルダにそのまま転写されることから、樹脂シートを用いずとも、鋳造された金属製のホルダとボール部との隙間を最小限に抑えることができ、ボール部とホルダとの間に僅かな給油を行うのみで、かかるボール部をホルダの内部でガタつきなく回転させることが可能である。また、ホルダとボール部との間に微少な隙間が形成され、かかる隙間を油膜潤滑していることから、前述の如く樹脂シートがボールを締め付けている従来のホルダの構造と比較してボール部の動きが軽く滑らかになるといった利点がある。
シャンクを鋼球に対してプロジェクション溶接する具体的な方法としては、かかる鋼球の球面に対してシャンクの端面を押し付けると共に、シャンクと電極との間に鋼球を挟み込んで加圧し、この状態でシャンクと電極との間に溶接電流を通電する方法が採られており、鋼球とシャンクとの当接部とが電気抵抗によって発熱し、それによってシャンクと鋼球とを溶接し得るようになっている。また、鋼球と電極との接触部に大きな電気抵抗が発生しないよう、かかる鋼球に接する電極の先端には該鋼球の球面に合致した凹面座が形成されており、鋼球と電極とが緊密に面接触するように構成されている。
しかし、このように電極が鋼球に対して緊密に面接触しても、両者の間における通電抵抗を完全に排除することはできないことから、電極の当接部位における鋼球の温度は上昇してしまい、鋼球の表面には電極の外縁に沿って酸化皮膜が形成されてしまう傾向にある。前述の如く、鋼球をコアとしてホルダをダイカスト鋳造した場合には、ホルダと鋼球との間に殆ど隙間が存在しないことから、鋼球(ボール部)の表面に酸化皮膜が局部的に形成されてしまうと、ボール部とホルダとの滑らかな摺接が損なわれ易いという問題がある。特に、ホルダとボール部の間に耐摩耗性に優れた樹脂ライナを介装させる場合には、ボール部と接する樹脂ライナの摺動面の摩耗が促進されてしまう。
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、ホルダに包持された鋼球に対してシャンクをプロジェクション溶接してボールシャンクを形成する際に、かかる鋼球の球面に溶接電極に対応した酸化皮膜が形成されるのを防止し、もってホルダに対するボールシャンクの円滑な揺動運動又は回転運動を得ることが可能な球面軸受の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の球面軸受の製造方法は、ボールシャンクのボール部となる鋼球をコアとして型内にインサートした鋳造により、かかる鋼球を覆うホルダを成形した後、前記鋼球にシャンクを圧接させると共に、これらシャンク及び鋼球に電極を接続し、鋼球と電極との接触部位を無酸素雰囲気中においた状態で、シャンクと鋼球とをプロジェクション溶接して前記ボールシャンクを形成するようにしたものである。
このような本発明方法によれば、ホルダに封じ込められた鋼球に対してシャンクをプロジェクション溶接してボールシャンクを形成する際に、譬え鋼球が電極との接触部位で発熱したとしても、かかる鋼球の表面、すなわちボールシャンクのボール部の表面に酸化皮膜が形成されてしまうことはなく、ボール部の表面を凹凸のない平滑な状態に保つことができるものである。これにより、ホルダに対するボールシャンクの円滑な揺動運動又は回転運動を得ることが可能となる。
このような技術的手段において、前記ホルダは鋼球をコアとして用いた鋳造により成形されるものであれば良く、かかる鋳造方法としては、高圧鋳造、ダイカスト鋳造等を適宜選択することが可能である。また、鋳造に用いる金属材料としては、製作する球面軸受の用途等に応じ、アルミニウム合金、亜鉛合金、マグネシウム合金、チタン合金等、各種金属材料を選択することが可能である。
一方、前記ホルダはボールシャンクのボール部を直接覆うものであっても差し支えないが、耐摩耗性に優れた樹脂ライナを介してボール部を覆うようにしても良い。この場合、ホルダの鋳造の際には、予め樹脂ライナを被せた鋼球をコアとして金型内にインサートすることが必要となる。このため、かかる樹脂ライナとしては、ホルダ鋳造時の高温下においても鋼球との接触面が良好な性状に維持されることが必要である。かかる樹脂ライナに使用し得る材質としては、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンケトン、ポリケトン、ポリエーテルサルフォン、液晶ポリマー、ポリアリルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂、ポリアミド等を使用することができる。
また、ホルダとボール部との間に樹脂ライナを介装する場合、樹脂ライナのみがボール部と摺接し、鋳造されたホルダがボール部と直接接触しない構造としても良いし、鋳造されたホルダが樹脂ライナを完全に覆い、樹脂ライナと金属製ホルダの双方がボール部と摺接する構造としても良い。
また、このような樹脂ライナを設けず、ボールシャンクのボール部と鋳造されたホルダとが直接接触している場合、ボールシャンクをホルダに対して自由に動かすためには、シャンクをボール部に溶接した後に、ボールシャンクの軸方向へ衝撃力を加え、それによってホルダとボール部との間に僅かな隙間を形成することが必要である。
以上説明してきたように、本発明の球面軸受の製造方法によれば、ホルダに封じ込められた鋼球に対してシャンクをプロジェクション溶接してボールシャンクを形成するに当たり、鋼球と電極との接触部位を無酸素雰囲気中においているので、鋼球の発熱に伴いって該鋼球の表面、すなわちボールシャンクのボール部の表面に酸化皮膜が形成されてしまうのを防止することができ、ホルダに対するボールシャンクの円滑な揺動運動又は回転運動を達成することが可能となる。
以下、添付図面を用いながら本発明の球面軸受の製造方法を詳細に説明する。
図1は本発明を適用した球面軸受の実施例を示すものである。この球面軸受は、先端にボール部を備えたボールシャンクとしてのボールシャンク1と、このボールシャンク1のボール部10を包持するボール受部20を有するホルダとしてのホルダ2とから構成され、前記ボールシャンク1及びホルダ2が揺動又は回転運動自在に連結している。
前記ボールシャンク1はボール部10となる真球度の高いベアリング用鋼球に対して棒状のシャンク11を溶接して形成されており、このシャンク11の根元にはリンク等の被取付体を固定するための六角座面12が形成されている。また、このシャンク11の先端には雄ねじ13が形成されており、この雄ねじ13にナットを螺合させることで、被取付体を前記六角座面12との間で挟持固定し得るようになっている。
一方、前記ホルダ2は、ボールシャンク1のボール部10を包持するボール受部20と、かかるボール受部20をリンクに結合するための固定部21とを備え、これらボール受部20と固定部21とがアルミニウム合金又は亜鉛合金のダイカスト鋳造により一体に成形されている。前記ボール受部20にはボール部10の球面を包持するようにして環状の樹脂ライナ3が埋め込まれており、ボールシャンク1のボール部10はこの樹脂ライナ3とのみ接している。樹脂ライナ3は厚さ1mm程度であり、ボール部10が離脱することがないよう、かかるボール部10の赤道を含む略2/3程度の球面を覆っており、この樹脂ライナ3の内側にはボール部10の球面に略合致した凹球面状の摺接面30が形成されている。これにより、ボールシャンク1はボール部10を揺動中心とし、ホルダ2に対して自在に揺動又は回転運動をなし得るようになっている。尚、図1中では省略してあるが、前記固定部21には雌ねじが形成されており、例えばリンクを構成するロッド等の先端に形成された雄ねじを結合できるようになっている。
また、かかるホルダ2のボール受部20にはボール部10を露出させる一対の開口部22,23が相反する方向に向かって形成されており、一方の開口部22を介して前記シャンク11がボール部10と接合される一方、他方の開口部23には蓋部材24が取り付けられ、この蓋部材24の内側が油溜まり25となっている。これら開口部22,23の周縁とボール部10との間には前記樹脂ライナ3の一部が露呈しており、ボール受部20を構成する合金はボール部10に対して直接接触していない。また、各開口部22,23の周縁は樹脂ライナ3の端面に被さっており、ボール受部20が樹脂ライナ3を強固に抱え込む構造となっている。
ホルダ2のボール受部20に形成された各開口部22,23の内径は、ボールシャンク1のボール部10のに直径よりも僅かに小さく形成されている。前述の如く、樹脂ライナ3がボール部10の赤道を含む略2/3程度の球面を覆うと共に、かかる樹脂ライナ3はボール受部20によって抱え込まれていることから、本来、ボール部10がホルダ2のボール受部20から離脱してしまうことは無いはずである。しかし、ボールシャンク1に対して軸方向の荷重が過大に作用した場合に、樹脂ライナ3を押し潰すようにしてボール部10がボール受部20から離脱してしまうトラブルも想定される。このため、譬え樹脂ライナ3が押し潰されてもボール部10がボール受部20から離脱することがないよう、各開口部22,23の内径をボール部10の直径よりも僅かに小さく形成してある。
更に、前記ホルダ2の外周縁とボールシャンク1のシャンク11との間にはブーツシール4が取り付けられており、ボールシャンク1のボール部10とホルダ2のボール受部20との隙間に対して埃やごみ等が侵入するのを防止している他、グリース等の潤滑剤を収容するシールポケット40を形成している。ここで、前記ブーツシール4のボールシャンク1側の端部41はその弾性によってシャンク11に密着する一方、ホルダ2側の端部42は係止リングによってホルダ2の外周縁との間に挟み込まれており、ボールシャンク1の揺動あるいは回転運動によっても外れることがないようになっている。
次に、この実施例の球面軸受の具体的製造方法について説明する。
この実施例の球面軸受のホルダ2はボールシャンク1のボール部10を中子として鋳造金型内にインサートしたダイカスト鋳造により製造される。このため、樹脂ライナ3をボール受部20に埋め込むに当たっては、先ず、かかる樹脂ライナ3をボール部10となるベアリング用鋼球に対して装着する必要がある。図2は鋼球に対して樹脂ライナ3を装着した状態を示す正面図である。この樹脂ライナ3はボール部10の外径に適合する内径を具備したリング状に成形され、ボール部10の赤道を覆うように該ボール部10に対して装着されている。この樹脂ライナ3にはガラス転移点143℃、融点334℃のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が用いられており、厚さ約1.0mmに形成されている。
このような樹脂ライナ3はボール部10をコアとして型内にインサートした射出成形によって製作され、そのままボール部に装着される。すなわち、ボール部10となる鋼球を金型内にインサートした状態で合成樹脂の射出成形を行い、樹脂ライナ3の成形とボール部10への装着を一つの工程で行うのである。このように樹脂ライナ3の成形を行えば、ボール部10への装着手間が省略される他、樹脂ライナ3の内周面がボール部10の球面に略合致したものとなり、かかる樹脂ライナ3をボール部10に対して確実に装着してやることができる。
次に、前記ホルダ2をダイカスト鋳造する。このダイカスト鋳造に際しては、図3に示すように、上下に分割された一対の鋳造金型5,6内に対して前工程で樹脂ライナ3を装着したボール部10を中子としてインサートし、この状態でアルミニウム合金又は亜鉛合金の溶湯を金型内のキャビティ7に圧入する。このとき、インサートされたボール部10は金型5,6に形成された円柱状の支持座50,60によって挟持され、金型内における位置ずれが防止される。また、支持座50,60はボール部10だけでなく樹脂ライナ3も上下から挟み込んでおり、これによって樹脂ライナ3はボール部10に装着された状態でキャビティ7内に固定され、ボール部10と接触する内周面を残して前記キャビティ7内に注入された合金に覆われる。
これにより、図4に示すように、ボール部10を前記合金でくるんだホルダ2が鋳造される。鋳造されたホルダ2には金型5,6の支持座50,60に対応した部位に開口部22,23が形成され、ボール部10はこれら開口部22,23からのみ露呈している。また、ボール部10に装着されていた樹脂ライナ3は鋳造されたボール受部20に埋め込まれた状態となり、かかるボール受部20に強固に固定される。金型5,6の支持座50,60が樹脂ライナを上下から挟み込んでいたので、ダイカスト鋳造されたボール受部20はボール部10に接触していない。更に、ダイカスト鋳造されたボール受部20は樹脂ライナ3の端面の一部に被さっており、かかるボール受部20は樹脂ライナ3を抱え込んでいる。これにより、樹脂ライナ3はボール受部20と強固に一体化されている。
ホルダ2の材質として亜鉛合金を用いた場合の鋳造温度は400℃以上であり、また、アルミニウム合金を用いた場合の鋳造温度は600℃以上であることから、かかる鋳造温度は樹脂ライナ3の耐熱温度を遥かに上回っており、本来であれば、約1mmと極めて薄く形成された樹脂ライナ3はホルダ2の鋳造の際に炭化してしまうと考えられる。しかし、このようなダイカスト鋳造を用いた製造工程では、ボール部10が樹脂ライナ3に比べて極めて大きな熱容量を有していることから、ボール部10が鋳造合金の溶湯から樹脂ライナ3に流入した熱エネルギを奪い取る役割を果たし、かかる樹脂ライナ3の炭化が防止される。従って、樹脂ライナ3はボール受部20と接する外周面側は該ボール受部20に対して焼きついてしまうが、ボール部10と接する内周面側は炭化することなく残存し、ボール部10との摺接面を形成する。また、ダイカスト鋳造は鋳造合金の溶湯を高圧で素早くキャビティ8内に注入するものであり、溶湯の注入からホルダ2の取り出し迄のサイクルタイムが5〜10秒と極めて短い。従って、この点においてもホルダ2の鋳造時における樹脂ライナ5の炭化が防止されているものと考えられる。もっとも、樹脂ライナ3のボール部10に対する摺接面30を確実に保護するという観点からすれば、ダイカスト鋳造後に金型5,6から取り出したホルダ2を直ちに水冷し、鋳造後のホルダ2が有している残留熱を除去することが好ましい。
次に、ホルダ2のボール受部20に包持されたボール部10に対してシャンク11を溶接する。かかる溶接にはプロジェクション溶接が用いられ、図5に示すように、ボール受部20の開口部22を介してから露呈するボール部10の球面に対してシャンク11の端面を所定の力Fで圧接させる一方、開口部23を介して露呈するボール部10の球面に対して電極8を当接させ、これらシャンク11及び電極8に溶接電流を通電して行われる。電極8とボール部10との間に大きな通電抵抗が存在すると、ボール部10の電極当接箇所が溶融してしまうので、かかる電極8にはボール部10の球面に沿った凹面座80が形成され、ボール部10の球面に対して緊密に面接触を生じるようになっている。
一方、このように電極8がボール部10に対して緊密に面接触しても、両者の間における通電抵抗を完全に排除することはできないことから、電極8の当接部位におけるボール部10の温度は上昇してしまい、ボール部10の表面には電極8の外縁に沿って酸化皮膜が形成されてしまう傾向にある。本実施例の球面軸受ではボール部10と樹脂ライナ3との間に殆ど隙間が存在しないことから、ボール部10の表面に酸化皮膜が局部的に形成されてしまうと、樹脂ライナ3に対するボール部10の滑らかな摺接が損なわれ易いという問題がある。
このため、本実施例の電極8には真空ポンプが接続されており、かかる電極8が挿入されるホルダ2の開口部23の周囲を無酸素状態に保ちながら、ボール部10と電極8とを接触させると共に該電極8への通電を行い得るようになっている。図6はボール部10と電極8との接触状態を詳細に示す断面図である。電極8の先端にはホルダ2の開口部22に挿入される円柱状の接触端81が突設されており、この接触端81の先端に前記凹面座80が形成されている。前記接触端81の周囲にはOリング82が設けられており、電極8の凹面座80がボール部10に接触すると、かかるOリング82が開口部23の周縁でホルダ2に圧接し、接触端81の周囲に周辺雰囲気から密閉された空間が作り出されるようになっている。また、電極8には前記密閉空間と連通する吸引孔83が開設されており、かかる吸引孔83はホース84によって図示外の真空ポンプに接続されている。
従って、電極8の接触端81をボール部10に接触させた後に前記真空ポンプを動作させ、接触端81の周囲に形成された密閉空間内を減圧すれば、かかる接触端は無酸素雰囲気中でボール部に接触し、譬え電極の接触部位でボール部が発熱したとしても、かかるボール部の表面に酸化皮膜が形成されてしまうのを防止することができる。
尚、電極8とボール部10との接触部位は無酸素状態に保つことができれば、必ずしも真空状態に保つ必要はなく、電極8の周囲に不活性ガスを満たすように構成することも可能である。
そして、このようにしてプロジェクション溶接が終了すると、図7に示すように、ボール部10がホルダ2のボール受部20に包持されたボールシャンク1が完成する。ボールシャンクが完成したならば、最後にシャンク10とホルダ2の外周縁との間に前述したブーツシール3を取付け、このブーツシール3が形成するシールポケット30にグリース等の潤滑剤を充填することにより、本実施例の球面軸受は完成する。
本発明が適用される球面軸受の実施例を示す正面断面図である。 実施例に係る球面軸受の製造方法において、ボール部に樹脂ライナを装着した状態を示す正面図である。 実施例に係る球面軸受の製造方法において、ボール部を中子としてホルダを鋳造する様子を示す断面図である。 実施例に係る球面軸受の製造方法において、鋳造されたホルダを示す正面断面図である。 実施例に係る球面軸受の製造方法において、ホルダに包持されたボール部に対してシャンクを溶接する様子を示す正面断面図である。 溶接時におけるボール部と電極との接触状態を示す断面図である。 実施例に係る球面軸受の製造方法において、ボール部に対してシャンクを溶接した後の状態を示す正面断面図である。
符号の説明
1…ボールシャンク(ボールシャンク)、2…ホルダ(ホルダ)、3…樹脂ライナ、8…電極、10…ボール部、20…ボール受部

Claims (3)

  1. 先端に金属ボール部を有するボールシャンクと、このボールシャンクのボール部を包持するボール受部を有して該ボールシャンクと相対的に揺動あるいは回転運動自在に連結するホルダとを備えた球面軸受の製造方法であって、
    前記ボールシャンクのボール部となる鋼球をコアとして型内にインサートした鋳造により、かかる鋼球を覆うホルダを成形し、
    前記鋼球にシャンクを圧接させると共に、これらシャンク及び鋼球に電極を接続し、鋼球と電極との接触部位を無酸素雰囲気中においた状態で、シャンクと鋼球とをプロジェクション溶接して前記ボールシャンクを形成したことを特徴とする球面軸受の製造方法。
  2. 前記シャンクと鋼球とを溶接した後、前記ボールシャンクに対して外力を加え、前記ボールシャンクのボール部と前記ホルダのボール受部との間に隙間を形成することを特徴とする請求項1記載の球面軸受の製造方法。
  3. 前記ボール部となる鋼球を型内にインサートした状態で合成樹脂の射出成形を行い、かかる鋼球を覆う樹脂ライナを成形した後、鋼球及び樹脂ライナをコアとして金型内にインサートしたダイカスト鋳造により、前記樹脂ライナを介して鋼球を覆うホルダを成形したことを特徴とする請求項1記載の球面軸受の製造方法。
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