JP3064186B2 - 塔状構造物用制振装置 - Google Patents

塔状構造物用制振装置

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JP3064186B2
JP3064186B2 JP6176038A JP17603894A JP3064186B2 JP 3064186 B2 JP3064186 B2 JP 3064186B2 JP 6176038 A JP6176038 A JP 6176038A JP 17603894 A JP17603894 A JP 17603894A JP 3064186 B2 JP3064186 B2 JP 3064186B2
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善続 猫本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塔状構造物用制振装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】ビル,タワー煙突などの塔状構造物は可
撓性で振動しやすい構造となっているので、風力を受け
ると、図5平面図に示すように、下流に発生する渦1
0によって左右方向の振動が励起される。もし、励起さ
れる振動方向20で示されるような振動が大きい場合に
は、塔状構造物は破壊などに至り、大きな問題となるこ
とがある。ところで、この種の塔状構造物の制振対策と
しては、図6の側面図に示すように、塔状構造物1の周
りにスタビライザー12と呼ばれる板を取り付け、渦1
0の剥離点11を分散し、塔状構造物1の空力特性を改
善して振動方向20で示されるような振動を起こしにく
くする手段が講じられている。また、図7側面図及び
図8のVIII−VIII横断面図に示すように、塔状構造物の
頂部において突設された支持ブラケット13により吊下
材14を介して吊下さ れた重錘15,ばね16,オイル
ダンパー17から構成され、振動数を構造物の振動数に
同調させた振動系(動吸振器と呼ばれる)を取り付けて
振動を抑制する手段も講じられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図6に
示した前者の対策では構造物まわり全体にスタビライザ
ーを取り付ける必要があるのでコストが高く、美観上も
好ましくない。また、単独の1本塔では効果があるもの
の、複数の塔状構造物が林立している場合は、風下側の
塔状構造物に作用する風外力は既に乱れているため振動
抑制効果がない。図7〜図8に示した後者の対策として
は、所定の振動抑制効果を得るためには巨大な重錘で構
成される制振装置が必要となり、コスト面あるいは設置
方法などにおいても問題が多い。
【0004】本発明はこのような事情に鑑みて提案され
たもので、低コストで外観を損なうことなく、塔状構造
物が林立しても制振作用が失われることがない制振効果
の大きい塔状構造物用制振装置を提供することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】そのために本発明の塔状
構造物用制振装置は、塔状構造物の上端部に付設された
加速度センサーと、同塔状構造物の上記上端部寄りの外
周面に沿って同塔状構造物の周方向に相互に間隔を置い
て水平方向外方へ向けて突設された回転軸の周りにそれ
ぞれ回動可能に支持された複数枚のフラップと、同各フ
ラップの傾き角度がそれぞれ所要の傾き角度となるよう
に同各フラップを上記回転軸の周りに回動するサーボモ
ーターと、上記加速度センサーにより検出された検出デ
ータに基づいて上記塔状構造物の起振力と逆位相の同塔
状構造物に対する制振力が上記フラップに作用する風力
により得られるように、同フラップの上記回転軸の周り
の傾き角度を制御する制御装置とを備えたことを特徴と
する
【0006】
【作用】このような構成によれば、図1〜図2に示すよ
うに、塔状構造物1に作用する風をフラップ2が受け、
塔状構造物には風外力が作用する。この風による外力
は、駆動用モーター3が回転軸4の周りにフラップ2を
起倒するように回動することにより変化し、塔状構造物
の振動を低減する制振力として作用する。その際、駆動
用モーター3は、塔状構造物1に取り付けられた加速度
センサー18の信号に基づいてコントローラー9で制御
され、塔状構造物1の振動を抑制するようにフラップ2
の傾き角をコントロールする。
【0007】
【実施例】本発明を火力発電プラントの長大煙突に適用
した一実施例を図面について説明すると、図1はその側
面図、図2は図1のII−II矢視横断面図、図3は図1〜
図2のフラップの制御系統図、図4は図1〜図2におけ
るフラップの制振作用を示す線図である。
【0008】まず、図1〜図2において、2は煙突1の
上端部の外周に等間隔で放射状にそれぞれ突設された外
向き半径方向の回転軸4に横方向中心孔が嵌着された鉛
直長方形の4枚のフラップ、3はそれぞれ煙突の上端部
の外周に等間隔で配設され、それぞれフラップ2を水平
回転軸4の周りに起倒するように回動するフラップ駆動
用モーター、18はそれぞれ煙突1の上端に突設され、
その前後左右方向の加速度を検出する加速度センサーで
ある。
【0009】次に、図3において、5は各加速度センサ
ー18の出力をそれぞれ増幅してA/D変換器6に入力
するアンプ、7はA/D変換器6からの入力に基づいて
D/A変換器8及びコントローラー9を経て各駆動モー
ター3を駆動するコンピューターである。
【0010】このような構造において、図3に示すよう
に、煙突1の左右方向の振動は加速度センサー18で検
出され、アンプ5,A/D変換器6を経てコンピュータ
ー7に取り込まれる。コンピューター7からの出力はD
/A変換機8,コントローラー9を経て駆動用モーター
3に伝えられる。これにより煙突に取り付けられた左右
のフラップ2はそれぞれ中心回転軸4の周りに駆動用モ
ーター3で傾き角がコントロールされ、風外力を利用し
て発生する反力が制御される。その結果、風力による煙
突1への起振力が低減するように各フラップ2の傾きが
矢印方向に変動するようにコントロールされるので、そ
の風外力が各フラップ2の作用により制振力として塔状
構造物に作用することとなる。ここで、フラップ2は煙
突1の外周にほぼ等間隔設置されており、塔状構造物
1への任意の方向からの風に対応することができる。
【0011】本発明におけるフラップの制振作用につい
て説明すると、図4において、同図(A)は風力が塔状
構造物に及ぼす外力の変化を示す線図である。このよう
に時間的に変動する風外力受けて、図3に示した制御
系統の作用により、フラップ2の傾き角は、図4(B)
に示すように、矩形波状に変化するので、左右のフラッ
プ2は同図(C)に示すような矩形波状の制振力を塔状
構造物1の上端に及ぼす。その結果、煙突1には風力に
より下流に発生するカルマン渦による左右方向の起振力
及び風力を利用してフラップにより発生する制振力の両
者が作用する。ここで、制振力は起振力とは逆位相を有
するように制御されるので、煙突1の振動振幅はフラッ
プによる制振作用の結果、同図(D)に示すように減少
する。ちなみに、従来は、図3に示した制振システムは
えていないので、煙突は風力に基づく起振力により同
図(E)に示すように、大きな振幅で左右方向へ振動し
たのである。
【0012】本発明装置によれば、同図(C)に示すよ
うに、フラップの傾き角に応じて制振力が得られ、フラ
ップ2を鉛直姿勢に立てると風の最大反力が得られ、水
平姿勢にすると反力はゼロとなり、鉛直姿勢と水平姿勢
との中間姿勢では風に対して前傾するか後傾するかに
よって揚力の鉛直上方向き成分,鉛直下方向き成分がそ
れぞれ発生し、この両揚力成分が横鉛直平面内で煙突に
曲げモーメントを及ぼす。 このように、傾き角により
変化する風力を煙突の応答に対し減衰力となるように位
相を制御して煙突に作用させることにより、同図(D)
に示すように、制振力が無い場合(同図(E))に比べて
大きくその振動を低減することができるのである。
【0013】
【発明の効果】このような装置によれば、下記の効果が
奏せられる。 (1)本塔状構造物制振装置により、風外力を制振力と
して利用することにより、煙突等塔状構造物の左右方向
の振動が低減する。ここで、フラップは竪長長方形であ
るから、横方向に大きなスペースをとることなく大きな
揚力を生じて、塔状構造物の左右方向の振動を制振する
ことができる。 (2)塔状構造物に作用する風外力を制振力として利用
するのであるから、比較的簡易な小規模のシステムでこ
れを制振できる。 (3)フラップで風を受け、それを制振力として利用す
るのであるから、風の特性、つまり乱れについては全く
影響を受けることなく制振効果がある。 (4)フラップ数枚を構造物頂部に取り付けるだけであ
るから、既存の構造物にも容易に設置できる。 (5)フラップ数枚の付設で済むので、システムとして
も小規模であり、コストも低くて済む。 (6)強風が吹く方向は年間を通じてかなり変動し、特
に台風の襲来時には強風の風向は大きく変化して塔状構
造物は大きく振動するから、本発明装置はこのような場
合にこそ安全対策上その制振効果の面で役立つことが期
待される。それ故、大きな制振力を得るためにフラップ
は5枚以上設けることが望ましい。
【0014】要するに本発明の塔状構造物用制振装置
よれば、塔状構造物の上端部に付設された加速度センサ
ーと、同塔状構造物の上記上端部寄りの外周面に沿って
同塔状構造物の周方向に相互に間隔を置いて水平方向外
方へ向けて突設された回転軸の周りにそれぞれ回動可能
に支持された複数枚のフラップと、同各フラップの傾き
角度がそれぞれ所要の傾き角度となるように同各フラッ
プを上記回転軸の周りに回動するサーボモーターと、上
記加速度センサーにより検出された検出データ に基づい
て上記塔状構造物の起振力と逆位相の同塔状構造物に対
する制振力が上記フラップに作用する風力により得られ
るように、同フラップの上記回転軸の周りの傾き角度を
制御する制御装置とを備えたことにより、横方向に大き
なスペースを占有することなく大きな揚力を生じて塔状
構造物の左右方向の振動を効果的に制振することがで
き、小規模のシステムであっても塔状構造物の振動を効
果的に制振することができ、風の乱れに影響を受けるこ
となく塔状構造物の振動を効果的に制振することがで
き、既存の構造物に対しても容易に設置することがで
き、煙突のように上端が開口した形状の塔状構造物にも
適用することができ、強風が吹く方向が年間を通じて大
きく変動したり台風の襲来時におけるように強風の風向
が短時間内で大きく変動したりしても塔状構造物の振動
を効果的に制振することができ、低コストで外観を損な
うことなく、塔状構造物が林立しても制振作用が失われ
ることがなく、産業上極めて有益な塔状構造物用制振装
置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を備えた塔状構造物を示す側
面図である。
【図2】図1のII−II矢視横断面図である。
【図3】図1〜図2における塔状構造物制振装置のシス
テム構成図である。
【図4】図1〜図2における制振効果を示す線図であ
る。
【図5】渦による塔状構造物の振動を示す説明図であ
る。
【図6】従来の塔状構造物のスタビライザーによる制振
装置を示す側面図である。
【図7】図6とは異なる従来の塔状構造物の重錘及びば
ね等からなる制振装置を示す側面図である。
【図8】図7のVIII−VIII矢視平面図である。
【符号の説明】
1 塔状構造物(煙突) 2 フラップ 3 駆動用モーター 4 回転軸 5 アンプ 6 A/D変換器 7 コンピューター 8 D/A変換器 9 コントローラー 18 加速度センサー

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塔状構造物の上端部に付設された加速度
    センサーと、同塔状構造物の上記上端部寄りの外周面に
    沿って同塔状構造物の周方向に相互に間隔を置いて水平
    方向外方へ向けて突設された回転軸の周りにそれぞれ回
    動可能に支持された複数枚のフラップと、同各フラップ
    の傾き角度がそれぞれ所要の傾き角度となるように同各
    フラップを上記回転軸の周りに回動するサーボモーター
    と、上記加速度センサーにより検出された検出データに
    基づいて上記塔状構造物の起振力と逆位相の同塔状構造
    物に対する制振力が上記フラップに作用する風力により
    得られるように、同フラップの上記回転軸の周りの傾き
    角度を制御する制御装置とを備えたことを特徴とする、
    塔状構造物用制振装置。
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WO2008049426A1 (en) 2006-10-24 2008-05-02 Vestas Wind Systems A/S A method for damping tower oscillations, an active stall controlled wind turbine and use hereof

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