JP3064079B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

車両用空調装置

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JP3064079B2
JP3064079B2 JP4001068A JP106892A JP3064079B2 JP 3064079 B2 JP3064079 B2 JP 3064079B2 JP 4001068 A JP4001068 A JP 4001068A JP 106892 A JP106892 A JP 106892A JP 3064079 B2 JP3064079 B2 JP 3064079B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、容量可変型のコンプレ
ッサを有し冷媒の圧縮と膨脹とを伴って熱交換する車両
用空調装置のコンプレッサ容量制御装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、熱負荷の変動が多い車両用空調装
置を目標の出力性能に安定して制御するために、目標値
と検出値との偏差の比例値に対する動作分と該偏差の微
分値に対する動作分とに基づいてその駆動部をフィ−ド
バック制御するPD制御方式が採用され、或いはまた各
検出の前状態における偏差の集積値をも同様にして用い
たPID制御方式が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら車両用空
調装置においては、蒸発器流入空気温度の微少変化や、
バッテリの負荷状態の変化によって生ずる熱交換器送風
機の回転速度が変化するというような通常頻繁に起こり
得る微細な熱負過変動と、蒸発器送風機の回転速度を切
り替えた場合や、室内空気循環と室外空気取り入れを切
り替えた場合等のような、大きな熱負荷変動とに大別で
きるが、この様な外乱に対し偏差の変化量の微分値に対
する動作分が一様な係数でフィドバックされると、微細
な熱負過変動に対して頻繁に過剰制御されて安定した制
御が得られない場合や、逆に大きな熱負荷変動に対して
素早い応答性を示さない場合がある。
【0004】本発明の目的は、通常起こり得る熱負荷の
変動に対しては余り敏感に追従しないようにし、熱負荷
の変動が急激なときはこれに素早く追従させて安定した
制御が得られるようにした車両用空調装置を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記問題点を解決するた
めに、請求項1の発明は、容量可変型のコンプレッサを
有し冷媒の圧縮と膨脹とを伴って熱交換する熱交換回路
と、該熱交換回路の室内熱交換器の温度または圧力を検
出する熱交換出力検出器と、少なくとも該温度または圧
力の目標値とその検出値との偏差の比例値に対する動作
分と該偏差の微分値に対する動作分とに基づいた調節量
によってコンプレッサ容量をフィ−ドバック制御する容
量制御装置とを備えた車両用空調装置において、前記容
量制御装置は、前記検出された温度または圧力の時間経
過に対する勾配を演算し所定の設定勾配と比較する勾配
比較手段と、該勾配比較手段による比較結果に基づいて
前記微分値に対する動作分を容量制御に対して作動と不
作動とに切り替え制御する切り替え制御手段とを備え
た。そして請求項2の発明は、容量制御装置は上記の容
量制御装置に代えて、上記の勾配比較手段と、該勾配比
較手段による比較結果に基づいて上記の微分値に対する
動作分のフィ−ドバック係数を制御する制御量調節手段
とを備えた。
【0006】
【作用】請求項1の発明によれば、室内熱交換器の温度
または圧力の目標値とその検出値との偏差の比例値に対
する動作分と該偏差の微分値に対する動作分とに基づい
た調節量によってコンプレッサ容量がフィ−ドバック制
御され、該制御中において、検出された温度または圧力
の時間経過に対する勾配が演算され、該勾配と所定の設
定勾配と比較されてその比較結果に基づいて、微分値に
対する動作分がフィ−ドバック制御に対して作動すべく
或いは不作動に切り替え制御される。そして請求項2の
発明によれば、上記の比較結果に基づいて、微分値に対
する動作分のフィ−ドバック係数が選択制御される。
【0007】
【実施例】図1は本発明の車両用空調装置の第1の実施
例を示すブロック図である。
【0008】同図において、1は車両室内冷却用の熱交
換回路で、冷媒の圧縮と膨脹とを伴って熱交換して車両
室内の空調を行う。2は自動車のエンジン、3は吸入圧
力制御による容量可変型のコンプレッサで、該コンプレ
ッサ3は、電磁クラッチ4によりエンジン2に連結され
て駆動され、冷媒回路の冷媒を加圧して循環させる。こ
のコンプレッサ容量は、後記する容量制御装置11によ
って制御される。5はコンプレッサ3によって加圧され
た冷媒を受けて熱交換する室外熱交換器、6はその熱交
換用の送風機、7は室外熱交換器5を経た冷媒を膨脹さ
せる膨脹弁、8は膨脹弁7を経た冷媒を受けて熱交換す
る室内熱交換器、9はその熱交換用の送風機である。各
送風機6,9は、自動車の各電源をなしたバッテリ10
によって駆動される。尚、室内熱交換器8は、車両室と
外気とに通ずる図示しないダクト中に設置されていて、
ダンパを用いて室内空気の循環と室外空気の取り入れと
の比を適宜に切り替え可能にしている。
【0009】11は容量制御装置で、室内熱交換器8の
温度を参照してコンプレッサ3の容量を制御する。12
は熱交換出力検出器としての温度検出器で、室内熱交換
器8の下流側の空気温度を検出してその検出デ−タVD
を出力する。
【0010】13は目標温度設定回路で、車両室内の温
度指定に基づいて、制御目標デ−タVS を出力する。1
4は制御目標デ−タVS から検出デ−タVD を減算する
減算器である。尚、制御目標デ−タVS と検出デ−タV
D とは互いに同一の単位量を用いて表されている。
【0011】15は比例演算器で、制御目標デ−タVS
と今回の検出デ−タVDnとの偏差、ΔVn =VS −VDn
に対する動作分、ΔVn を演算する。
【0012】16は積分演算器で、偏差ΔVn の集積値
に比例する動作分、{Σ(i=0〜n)ΔVi ΔT}/
TI を演算する。尚、TI は積分時間と呼ばれる該動作
にかかる係数、ΔTは制御演算を行う間隔である。
【0013】17は微分演算器で、今回の偏差ΔVn と
前回の偏差ΔVn -1の変化速度に比例する動作分、TD
(Vn −Vn-1 )/ΔTを演算する。尚、TD は微分時
間と呼ばれる該動作にかかる係数である。
【0014】18,19は比例演算器15の演算結果
に、積分演算器16の演算結果と微分演算器17の演算
結果とをそれぞれ加算する加算器である。
【0015】20はゲインAの増幅器で、これら加算デ
−タを増幅してコンプレッサ3に与える。この増幅デ−
タMn は、次式のように表すことができる。
【0016】 Mn =A[ΔVn +{Σ(i=0〜n)ΔVi ΔT}/TI +TD (Vn −V n-1 )/ΔT]…(1) コンプレッサ3は、デ−タMn によってその吸入圧力が
制御される。
【0017】21は勾配演算器で、検出デ−タVD の時
間経過に対する勾配αn を式、 αn =|(VDn−VDn-2)/(2Δt)|…(2) によって演算する。尚、(2)式において演算区間とし
て2Δtを用いたのは、高周波の外乱を相殺するためで
ある。22は勾配比較器で、所定の勾配デ−タを記憶し
ている勾配記憶部23から、設定勾配デ−タαs を読み
出して、勾配αnが勾配αs より大のときタイマ24を
作動させて、その計時による所定の時間に亘って、偏差
微分演算器17に関わるスイッチ要素25をオンにし、
小のとき、これをオフにする。該設定勾配デ−タαs
は、通常起こり得る熱負荷の変動による勾配よりも若干
大に設定されている。上記の勾配演算器21と勾配比較
器22と勾配記憶部23とは勾配比較手段をなし、タイ
マ24とスイッチ要素25とは切り替え制御手段をな
す。
【0018】次に図1の車両用空調装置の動作を説明す
る。図2はその制御動作を示すフロ−チャ−ト、図3は
各部の動作波形図である。
【0019】運転指定があると、各送風機6,9が運転
され、そしてコンプレッサ3がエンジン2に連結されて
運転される(S1,S2)。冷媒はコンプレッサ3か
ら、室外熱交換器5、膨脹弁7、室内熱交換器8と循環
され、冷房が開始される。勾配演算器21においては、
温度検出器12のデータが取り込まれ(S3)、後記の
タイマ24が作動していないならば(S4)、(2)式
を用いて勾配αn が演算される(S5)。そして勾配比
較器22において、勾配αn が設定勾配αs と比較さ
れ、勾配αn が設定勾配αs より小のときは(S6)、
スイッチ要素25がオフになり、微分演算器17を除く
各要素13〜20によるPI制御が行われる(S7)。
該PI制御は、フロ−チャ−トにはその詳細を示してい
ないが、(1)式のTD に関わる項を除いた式により実
行される。該制御によりコンプレッサ3は、制御出力デ
−タMn によってその吐き出し容量或いは吸入圧力が制
御される。図3には、送風機6,9の回転速度ωと温度
検出器12の検出デ−タVD と制御出力デ−タMn とが
表されており、区間a,bは、装置が起動後、送風機
6,9の回転速度ωがほぼ安定した運転状態にあって、
その間、S3,S7が繰り返されて、上記のPI制御が
行われる。
【0020】区間cの当初、送風機6,9の回転速度ω
が急変し、或いは冷房条件が切り変えられたことなどに
より、(S6)により勾配αn が設定勾配αs より大に
なると、タイマ24が作動し(S8)、スイッチ要素2
5がオンになって微分演算器17を含む各要素13〜2
0によるPID制御が行われる(S9)。該PID制御
は、(1)式により実行される。このPID制御はタイ
マ24の作動中の区間cに亘って継続され(S10)、
タイムオーバになると(S10)、タイマ24が作動停
止されて(S11)、S5に戻る。
【0021】図3には、区間a,bにおいてPID制御
が行われたと仮定した場合の波形図を破線で併記してお
り、PID制御によると、この様な微細な熱負荷変動に
対しても過敏に反応してしまい、出力特性の変動が大き
くなるが、本実施例においては、この様な区間をPI制
御させたことにより、円滑な出力特性が得られると共
に、大きな熱負荷変動が与えられた区間cでは素早い反
応性が得られる。
【0022】図4は本発明の車両用空調装置の第2の実
施例を示すブロック図である。同図において、図1と同
等の部分には同一の符号を付して示し、以下に異なる部
分を説明する。
【0023】26は微分演算器で、微分演算器17によ
る微分時間TD より十分に小さい値TD'用いて微分演算
器17におけると同様な微分演算、TD'(Vn −Vn-1
)/ΔTを行う。27はスイッチ要素で、勾配αn が
設定勾配αs より大のとき勾配比較器22によりタイマ
24が作動されて、その計時による所定の時間に亘っ
て、微分演算器17を加算器19に接続させ、小のと
き、微分演算器26を同様に接続させるべく切り替え
る。上記のスイッチ要素27は、微分演算器17,26
と共に、微分値に対する動作分のフィ−ドバック係数を
制御する制御量選択手段をなす。
【0024】図4の車両用空調装置は図1の車両用空調
装置の制御動作と同様にして、図5に示すフロ−チャ−
トにしたがって制御される。即ち、勾配αn が設定勾配
αsより小のときは(S6)、図2のS7に代えて、微
分演算器26が有効に切り替えられ、微分演算器17を
除く各要素13〜20,27によるPID制御が行われ
る(S12)。大のときは(S6)、S9に代えて、微
分演算器17が有効に切り替えられ、微分演算器26を
除く各要素13〜20によるPID制御が行われる(S
13)。この場合の制御出力Mn は図3による特性に準
ずる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によ
れば、熱交換出力を示す温度などの検出データの時間経
過に対する勾配が演算され、該勾配と所定の設定勾配と
比較されてその比較結果に基づいて、微分値に対する動
作分がフィ−ドバック制御に対して作動と不作動とに切
り替え制御されるようにしたので、該設定勾配を、通常
起こり得る熱負荷の変動による勾配よりも若干大に設定
しておき、演算された勾配が該設定勾配より大のときは
上記作動に、小のときは不作動にさせることにより、円
滑なフィ−ドバック制御が可能になる。そして請求項2
の発明によれば、上記の比較結果に基づいて、微分値に
対する動作分のフィ−ドバック係数が選択制御されるよ
うにしたので、該各選択制御によるフィ−ドバック係数
を適性に設定しておくことにより、同様にして、円滑な
フィ−ドバック制御が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用空調装置の第1の実施例を示す
ブロック図
【図2】図1の車両用空調装置の制御動作を示すフロ−
チャ−ト
【図3】図1の車両用空調装置の各部の動作波形図
【図4】本発明の車両用空調装置の第2の実施例を示す
ブロック図
【図5】図4の車両用空調装置の制御動作を示すフロ−
チャ−ト
【符号の説明】
1…熱交換回路、2…エンジン、3…コンプレッサ、5
…室外熱交換器、6,9…送風機、7…膨脹弁、8…室
内熱交換器、10…バッテリ、11…容量制御装置、1
2…温度検出器、13…目標温度設定回路、14…減算
器、15…比例演算器、16…積分演算器、17,26
…微分演算器、18,19…加算器、21…勾配演算
器、22…勾配比較器、23…勾配記憶部、24…タイ
マ、25,27…スイッチ要素。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容量可変型のコンプレッサを有し冷媒の
    圧縮と膨脹とを伴って熱交換する熱交換回路と、該熱交
    換回路の室内熱交換器の温度または圧力を検出する熱交
    換出力検出器と、少なくとも該温度または圧力の目標値
    とその検出値との偏差の比例値に対する動作分と該偏差
    の微分値に対する動作分とに基づいた調節量によってコ
    ンプレッサ容量をフィ−ドバック制御する容量制御装置
    とを備えた車両用空調装置において、 前記容量制御装置は、前記検出された温度または圧力の
    時間経過に対する勾配を演算し所定の設定勾配と比較す
    る勾配比較手段と、該勾配比較手段による比較結果に基
    づいて前記微分値に対する動作分をフィ−ドバック制御
    に対して作動と不作動とに切り替え制御する切り替え制
    御手段とを備えた、 ことを特徴とする車両用空調装置。
  2. 【請求項2】 容量可変型のコンプレッサを有し冷媒の
    圧縮と膨脹とを伴って熱交換する熱交換回路と、該熱交
    換回路の室内熱交換器の温度または圧力を検出する熱交
    換出力検出器と、少なくとも該温度または圧力の目標値
    とその検出値との偏差の比例値に対する動作分と該偏差
    の微分値に対する動作分とに基づいた調節量によってコ
    ンプレッサ容量をフィ−ドバック制御する容量制御装置
    とを備えた車両用空調装置において、 前記容量制御装置は、前記検出された温度または圧力の
    時間経過に対する勾配を演算し所定の設定勾配と比較す
    る勾配比較手段と、該勾配比較手段による比較結果に基
    づいて前記微分値に対する動作分のフィ−ドバック係数
    を制御する制御量調節手段とを備えた、 ことを特徴とする車両用空調装置。
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