JP3063567B2 - 常圧蒸留塔の腐食モニタリング方法 - Google Patents
常圧蒸留塔の腐食モニタリング方法Info
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Description
タリング方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、石
油精製および石油化学プロセスにおいて、サイドリフラ
ックス油から得られる少量の遊離水のpH、電気伝導率、
イオン濃度、酸濃度などを分析することにより、常圧蒸
留塔の塔内およびサイドリフラックス系の腐食の状態を
モニタリングする方法に関する。
は、何らかの形で腐食が関与したものであると言われ、
化学装置においては腐食の防止が重要な課題となってい
る。石油精製プロセスや石油化学プロセスにおいても、
石油中に含まれる腐食性成分による装置の腐食が大きな
問題であり、装置の腐食の状態を適確にモニタリング
し、腐食抑制剤を添加するなどの処置を講ずるととも
に、その効果を把握する必要がある。従来は、石油精製
プロセスなどにおいては、常圧蒸留塔のナフサなどの油
を採取し、油の1/10程度の水で油中の溶存物を抽出
し、抽出水の水質分析を行い、その結果から腐食原因を
判断していた(例えば、配管技術、1986年8月号8
2頁)。しかし、油中に存在する腐食性物質が極めて微
量なため、腐食性成分の測定は濃度が分析下限レベルで
あって定量性が不足し、このため明確な判断ができず、
モニタリング法として十分役立ってはいなかった。特に
原油常圧蒸留塔のサイドリフラックス系では、油中に微
量の溶解水分が存在し、サイドリフラックス熱交換器で
冷却されたとき、伝熱面で微量の遊離水が発生し、この
中に酸性物質や塩類が溶け込み腐食を起こす。さらに、
油中に塩類が存在するとその吸湿性により、遊離水が発
生しなくても吸湿した塩が付着し、腐食トラブルを生じ
る。常圧蒸留塔の塔内やサイドリフラックス系の腐食
は、実際に腐食により穴が開いたり、腐食汚れにより差
圧が発生したり、熱交換器の総括伝熱係数が低下したり
してはじめて問題が発見されていた。このようなトラブ
ルを生じないよう、あらかじめモニタリングする手法が
これまでには提案されていなかった。このため、油中の
酸性物質や塩などの腐食性物質を明確に測定し、装置の
腐食の状態を容易に適確に把握し得る方法が求められて
いる。
のサイドリフラックス油の遊離水を分析することによ
り、装置の腐食の状態を容易に、かつ明確にモニタリン
グする方法を提供することを目的としてなされたもので
ある。
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、常圧蒸溜塔のサ
イドリフラックス油を採取し、これを冷却して生じる少
量の遊離水を分析することにより、塔内およびサイドリ
フラックス系の腐食の状態を明確に把握し得ることを見
いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明は、常圧蒸留塔のサイドリフラッ
クス油を採取し、これを冷却して生じる遊離水を分析す
ることにより、常圧蒸留塔の塔内およびサイドリフラッ
クス系の腐食性をモニタリングすることを特徴とする常
圧蒸留塔の腐食モニタリング方法、を提供するものであ
る。
イドリフラックス油を採取し、これを冷却することによ
り遊離水を得る。常圧蒸留塔のサイドリフラックス油に
は、塔内の水蒸気分圧に応じた水分が溶解している。サ
イドリフラックス系より抜き出した油を常温まで冷却す
ることにより、サイドリフラックス油の飽和溶解水分量
が低下し、この飽和溶解水分量を超えた過剰水分が油よ
り遊離し、少量の遊離水として得られる。遊離水の発生
量は、塔内における水蒸気分圧、サイドリフラックス油
の抜出温度、冷却温度、サイドリフラックス油の比重、
分子量、水の飽和水蒸気圧および油への水の溶解度を用
い求めることができる。通常の常圧蒸留塔の運転条件で
は、サイドリフラックス油から得られる遊離水の量は
0.03容量%程度になる。すなわち、分析上必要な遊
離水の量を10〜20mlとすれば、採取すべきサイドリ
フラックス油の量は約30〜60リットルとなる。
図であり、図2は、本発明方法に使用する遊離水の採取
方法の説明図である。常圧蒸溜塔1の上部にサイドリフ
ラックス系2が設けられている。サイドリフラックス系
は、蒸留塔上部の塔内流体をポンプ3により抜き出し、
熱交換器4により冷却し、流体を再び塔内の抜き出し段
より1ないし2段上部に戻すことにより、抜き出し段よ
り上部の塔内蒸気負荷を軽減するものである。本発明方
法においては、サイドリフラックス油をクーラー5を介
し、サンプリング容器6に30〜60リットル採取し、
常温で静置しておくことにより、容器の底に遊離水が沈
降するので、デカンテーションなどにより油を捨て、遊
離水を油とともに分液ロートなどに採取し、遊離水を分
取する。常圧蒸溜塔において、腐食は通常は蒸溜塔の上
部7およびリフラックス系に多く発生する。なお、サイ
ドリフラックス油の採取場所は、図1に示された位置に
限定されるものではなく、例えば、ポンプ3と熱交換器
4の中間であっても、熱交換器4の出口であってもよ
い。
に必要な遊離水10〜20mlを採取し、pH、電気伝導率
を測定し、塩化物イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオンな
どのイオン類、ギ酸、酢酸などの酸性物質、アミン、ア
ンモニウムなどのアルカリ性物質および鉄の分析を行
う。これらの水質分析値により、常圧蒸留塔内およびサ
イドリフラックス系の腐食傾向をモニタリングし把握す
ることができる。すなわち、遊離水のpHを調べることに
より系の酸腐食性が明らかになり、腐食防止のために使
用する中和剤の必要量やその過不足を知ることができ
る。また、酸性物質濃度、特に塩化物イオンや硫酸イオ
ン、亜硫酸イオンなどのイオウ酸化物、ギ酸、酢酸など
の有機酸の濃度を測定することにより、腐食防止に適し
た中和剤とその添加量を選定することができる。さら
に、塩化アンモニウム、アミン塩酸塩などの塩類濃度を
測定することにより、塔内およびサイドリフラックス系
での塩の発生とデポジットがわかり、塩腐食を予測する
ことができる。中和剤濃度は、中和剤添加量増減の指標
となる。加えて鉄分析値より、系内の腐食状態の程度を
推定することができる。
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。 実施例1 遊離水の発生量の推算、遊離水の採取および遊離水の分
析結果と評価について述べる。 (1)遊離水の発生量の推算 遊離水の発生量は、常圧蒸留塔内での水蒸気分圧、サイ
ドリフラックス油の抜出温度、冷却温度、比重、分子量
から推算する。塔内の油モル%、水蒸気モル%、圧力よ
り、塔内での水蒸気分圧は218.7mmHgと求められ
た。サイドリフラックス油の抜出温度は112.8℃で
あり、この温度における水の飽和蒸気圧は1182.9m
mHg、油中溶解飽和水分量は1.7モル%である。また、
冷却温度15℃における油中溶解飽和水分量は0.05
モル%である。実測によれば、サイドリフラックス油の
比重は0.7427、平均分子量は104であったの
で、抜出油中の水分はヘンリーの法則により以下のよう
に求められる。 抜出油中の水分=1.7(モル%)×(217.8mmHg/1182.9mmHg) =0.313(モル%) 抜出油を15℃に冷却すると、発生する遊離水分量は以
下のようになる。 遊離水分量=0.313(モル%)−0.05(モル%) =0.263(モル%) =339(ppm、容量比) すなわち、サイドリフラックス油を60リットル採取
し、冷却すると、20.3mlの遊離水が得られる計算に
なる。 (2)遊離水の採取 常圧蒸留塔Aより、サイドリフラックス油をコイルクー
ラーを介し60リットル採取し、常温(15℃)で2日
静置したところ、底部に少量の遊離水が沈降した。デカ
ンテーションにより大半の油を捨てたのち、遊離水を油
とともに分液ロートに移し、遊離水のみを採取した。遊
離水採取量は16.3mlであった。他の3基の常圧蒸留
塔、B、CおよびDについて、常圧蒸溜塔Aと同様にし
て、サイドリフラックス油より遊離水を採取した。 (3)遊離水の分析 常圧蒸溜塔A、B、CおよびDより採取したサイドリフ
ラックス油の遊離水について、pH、電気伝導率、塩素イ
オン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、ギ酸、酢酸、アンモ
ニア性窒素、アミンAおよび鉄の分析を行った。結果を
第1表に示す。
は、pHがそれぞれ5.7および6.7と中性に近く、ま
た、塩素イオン濃度も低く、系が激しい腐食性条件下に
ないことが分かる。また、実際に鉄分濃度が低く、少し
しか腐食していないことが分かる。これに対して、常圧
蒸溜塔Cより得られた遊離水はpHが3.2と低く、中和
剤のアンモニアおよびアミンAが不足している状態であ
る。常圧蒸溜塔Dより得られた遊離水は、pHが2.2と
低く、塩素イオン濃度が11,500mg/リットルと極
めて高く、アンモニア性窒素およびアミンA濃度も高い
ので、塩化アンモニウムおよびアミン塩酸塩が生じてい
ることが分かる。また、鉄の濃度が1,600mg/リッ
トルと高く、常圧蒸溜塔Dにおいては激しい腐食が進行
していることを示している。
より生じる少量の遊離水を分析することにより、常圧蒸
留塔の塔内およびサイドリフラックス系の腐食要因と腐
食の程度を容易かつ明確に判定することができる。この
結果、腐食の要因である塩化アンモニウム、アミン塩酸
塩の生成量の低減や、中和剤の適用による中和など、腐
食要因に対応した対策を講じることができる。さらに、
その効果を遊離水の分析により確認することができる。
ある。
法の説明図である。
Claims (1)
- 【請求項1】常圧蒸留塔のサイドリフラックス油を採取
し、これを冷却して生じる遊離水を分析することによ
り、常圧蒸留塔の塔内およびサイドリフラックス系の腐
食性をモニタリングすることを特徴とする常圧蒸留塔の
腐食モニタリング方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7088837A JP3063567B2 (ja) | 1995-03-22 | 1995-03-22 | 常圧蒸留塔の腐食モニタリング方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7088837A JP3063567B2 (ja) | 1995-03-22 | 1995-03-22 | 常圧蒸留塔の腐食モニタリング方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08261914A JPH08261914A (ja) | 1996-10-11 |
JP3063567B2 true JP3063567B2 (ja) | 2000-07-12 |
Family
ID=13954073
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7088837A Expired - Lifetime JP3063567B2 (ja) | 1995-03-22 | 1995-03-22 | 常圧蒸留塔の腐食モニタリング方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3063567B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1048168A (ja) * | 1996-07-31 | 1998-02-20 | Noritz Corp | 燃焼装置 |
US8519179B2 (en) | 2009-06-24 | 2013-08-27 | Basf Se | Method of measuring entry of water into phosgene-conducting plants |
CN114660159B (zh) * | 2022-03-21 | 2024-04-05 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种减缓醋酸乙烯装置精馏系统腐蚀的方法 |
-
1995
- 1995-03-22 JP JP7088837A patent/JP3063567B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
「常圧蒸留塔系腐食改善とモニタリング」第23回装置研究討論会、平成4年11月18日発行、75−79頁 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08261914A (ja) | 1996-10-11 |
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