JP3062980B2 - 原子間力顕微鏡及びそれを用いた情報処理装置 - Google Patents
原子間力顕微鏡及びそれを用いた情報処理装置Info
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Description
を用いて記録媒体に対して情報の記録再生等を行う情報
処理装置に関する。
観測できる走査型トンネル顕微鏡(以後、STMと略
す)が開発され[G.Binnig et al.,P
hys.Rev.Lett.,49,57(198
2)]、単結晶、非晶質を問わず実空間像を高い分解能
で観察できるようになった。
えずに低電力で観察を行なえる利点を有しており、更に
大気中で動作させることができ、種々の材料に対して用
いることができるため広範な応用が期待されている。最
近では導体表面に吸着した有機分子の分子像観察すら可
能であることが報告されている。
微鏡(以後、AFMと略す)が開発され[G.Binn
ig et al.,Phys.Rev.Lett.,
56,930(1985)]、STM同様、表面の凹凸
情報を得ることができるようになった。かかるAFMは
導電体に限らず、絶縁性の試料に対しても原子オーダー
での観察が可能である。
ィップを持つカンチレバーと、このカンチレバーの曲が
りを測定する変位測定部から構成される。一般にマイク
ロティップと物質表面との間において、比較的遠距離で
は分散力による微弱な引力が働き、近距離では斥力が働
く。カンチレバーの曲がりは作用する力に比例するの
で、この曲がりを測定することによってマイクロティッ
プ先端とこれに数nm以内に近接する試料表面との間に
働く微弱で局所的な力を検出することが可能となる。更
に試料を走査することで試料表面の力の2次元的情報が
得られる。また、カンチレバーの曲がりを一定にするよ
うにフィードバックをかけながら走査することにより、
試料表面の微小な凹凸形状を観察できる。
マイクロティップと試料表面との間に働く力は通常10
-8N程度で、この力を検出するためにカンチレバーのば
ね定数は1N/m程度に選ばれる。さらに微弱な力を検
出する必要がある場合には、さらにばね定数の値の小さ
いものを選択する。例えば有機分子を観察する場合、か
かる力は10-9〜10-10 N程度に設定されるため、カ
ンチレバーのばね定数は0.1N/m程度に選ばれる。
面との間に実際に働く力は、前述した分散力による引力
ないし斥力ばかりではない。特に、大気中で観察を行な
う際には試料表面は水で覆われている可能性が高く、マ
イクロティップが試料表面に接近した時、水の表面張力
による強い引力が働くことが多い。この強い引力によっ
てカンチレバーは大きく曲がり、マイクロティップは急
激に試料表面に接触して大きな力を表面に作用させるこ
とになる。試料が有機分子のような場合には、この力に
よって試料が損傷し、観察が不可能になることが多かっ
た。この解決のためカンチレバーおよび試料を水中に入
れ、表面張力を相殺する方法が通常とられている。
電気測定を同時に行なう場合など、水中で動作させる訳
にはゆかず、他の手段で表面張力の影響を除く必要があ
った。また、強い引力によるカンチレバーの曲がりは、
ばね定数の大きなカンチレバーの選択によって避けられ
るが、AFM観察時のマイクロティップと試料表面との
間に働く力を小さく設定することが困難となり、有機分
子の観察などが困難になる場合が多かった。
であり、本発明の目的は、大気中においても水の表面張
力の影響を抑えた原子間力顕微鏡、更には、この原子間
力顕微鏡を用いて各種記録媒体に対して情報の記録再生
等を行う情報処理装置を提供することにある。
ば、カンチレバー(片持梁)等からなる弾性部材の試料
表面側への変位量を制限することにより、大気中におけ
る水の表面張力の影響を低減したものである。
する力によって変位可能な弾性部材を有する原子間力顕
微鏡において、上記弾性部材が試料表面へ接近する向き
に変形したときにのみ接触し、該弾性部材の変形を抑制
する構造部材を具備することを特徴とする原子間力顕微
鏡である。
る。
ものである。
マイクロティップ13は試料表面との間で斥力が作用す
る状態におかれるため、支持体14に支持された弾性部
材であるところの片持梁12は力の働いていない状態
(図1(b)参照)を基準に、試料表面から遠ざかる向
きに曲がる時(図1(a)参照)には、特に有機分子等
を観察する際には微小な力に対して敏感に応答する必要
がある。一方、試料表面に近づく向きに対しては、大気
中における水の表面張力による強い引力が作用する場
合、片持梁12が敏感に応答すると、マイクロティップ
13が試料表面に衝突し、試料を損傷させるため、片持
梁12の変位を制限する方が好ましい。そこで、試料に
近づく時には構造部材11によって片持梁12の変位を
制限する(図1(c)参照)。すなわち、構造部材11
によって片持梁12は試料表面に近づく向きに変形する
際、片持梁の長さがLからL’に変化し、実効的にばね
定数が大きくなる。これによって表面張力による片持梁
12の急激な動きを制限でき、マイクロティップ13を
試料表面に衝突することなく接触させることが可能にな
り、試料の損傷が避けられ、同時に片持梁12が試料表
面から遠ざかる向きに変形する時には片持梁12自体の
ばね定数に戻るため(図1(a)参照)、片持梁12の
ばね定数は表面張力の影響に制限されることなく所望の
値のものを選択できる。
を構造部材として設けることによっても達成される。す
なわち、試料に近づく時には弾性体21と一体で変形す
ることによって片持梁12のばね定数を実効的に大きく
できる(図2(c)参照)。
片持梁構造に限定されるものではなく、両持梁構造であ
ってもよい。
の変形を抑制する構造部材としては、上述のように弾性
部材のばね定数を変化させるものが好ましく、この構造
部材も片持梁構造或いは両持梁構造とすることができ
る。
特に限定されるものではないが、例えばSiO2 ,Si
3 N4 等を用いることができる。
マイクロティップを記録媒体表面に接近させ、該記録媒
体に対して情報の記録再生等を行う情報処理装置では、
動作時に記録媒体を損傷させることのない装置となる。
顕微鏡を作製した。
ものであり、マイクロメカニクスにおいて良く知られた
犠牲層エッチングの方法を用いた。まず、後に支持体1
4となるところのシリコン基板31の(100)面上に
SiO2 膜32を形成し(図3(a)参照)、片持梁1
2の形状にパターニングする(図3(b)参照)。片持
梁12のばね定数はSiO2 膜32の膜厚、片持梁12
の幅および長さを決めることによって種々の値を設定す
ることができる。次に片持梁12上にこれを覆うように
ポリシリコン犠牲層33を形成し(図3(c)参照)、
さらに犠牲層33上にSiO2 膜により構造部材11を
形成する(図3(d)参照)。次にKOHをもちいてポ
リシリコン犠牲層33を除去し、片持梁12と構造部材
11を独立な構造物とした後(図3(e)参照)、片持
梁12の自由端側にマイクロティップ13を形成し(図
3(f)参照)、最後に片持梁12背面のSi基板31
をKOHによって異方性エッチングし、片持梁構造を得
た(図3(g)参照)。本実施例の構造部材11は両持
梁構造であるが、そのばね定数もSiO2 膜の膜厚、両
持梁の幅および長さを決めることによって決まる。構造
部材11が片持梁12に対して、例えば剛性部材とみな
せるように形成する場合には、構造部材11のばね定数
は片持梁12のばね定数に比べ充分大きくなるよう膜
厚、幅、長さを設定する。片持梁12が構造部材11に
制限されず試料表面側へ変位する変位量はポリシリコン
犠牲層33の膜厚によって制御することができる。
によって、AFM動作のためマイクロティップ13を試
料表面に接近させる際の片持梁12の大きな変形を抑え
ることができた。
ばSiO2 からなる片持梁12上にSiをフォーカスト
・イオンビームで打ち込み、Si上に選択的にSiを結
晶させて行なうことができる。
2上に引き出し電極を形成し、かかる原子間力顕微鏡を
用いて記録媒体に対して情報の記録再生を行った。
あり、SiO2 からなる片持梁12上に引き出し電極4
1を形成しておき(図4(b)参照)、マイクロティッ
プ13を形成後金属コートするか、或いは金属の蒸着に
よりマイクロティップ13を形成する(図4(f)参
照)。かかる片持梁12を用い、AFM動作によりマイ
クロティップ13を記録媒体表面に接近させ、一定の斥
力が作用する状態に保持しながら、記録媒体とマイクロ
ティップの間に電圧を印加して記録を行ない、更に流れ
る電流を検出することによって再生を行なった結果、良
好な記録再生特性が得られた。記録媒体としては、例え
ばSOAZ(スクアリリウム−ビス−6−オクチルアズ
レン)をLB法をもちいて金電極基板上に8層累積した
ものを用いた。
顕微鏡を作製した。
ものである。まず、後に支持体14となるところのシリ
コン基板31の(100)面上にSiO2 膜32を形成
し(図5(a)参照)、片持梁12の形状にパターニン
グする(図5(b)参照)。片持梁12のばね定数はS
iO2 膜32の膜厚、片持梁12の幅および長さを決め
ることによって種々の値を設定することができる。次に
片持梁12上にこれを覆うようにポリシリコン犠牲層3
3を形成し(図5(c)参照)、さらに犠牲層33上に
SiO2 膜により中空の片持梁構造を有する弾性体21
を形成する(図5(d)参照)。次にKOHをもちいて
ポリシリコン犠牲層33を除去し、片持梁12と弾性体
21を独立な構造物とした後(図5(e)参照)、片持
梁12の自由端側にマイクロティップ13を形成し(図
5(f)参照)、最後に片持梁12背面のSi基板31
をKOHによって異方性エッチングし、片持梁構造を得
た(図5(g)参照)。本実施例の構造部材であるとこ
ろの弾性体21は片持梁構造であって、そのばね定数は
SiO2 膜の膜厚、片持梁の幅および長さを決めること
によって決まる。弾性体21が片持梁12と一体になっ
て変形した時、変形量が所望の値まで小さくなる様に弾
性体21の膜厚、幅、長さを設定する。片持梁12が弾
性体21と一体にならず、それ自体のばね定数で試料表
面側へ変位する変位量はポリシリコン犠牲層33の膜厚
によって制御することができる。
よって、AFM動作のためマイクロティップ13を試料
表面に接近させる際の片持梁12の大きな変形を抑える
ことができた。
12上に引き出し電極を形成し、かかる原子間力顕微鏡
を用いて記録媒体に対して情報の記録再生を行なった。
あり、SiO2 からなる片持梁12上に引き出し電極4
1を形成しておき(図6(b)参照)、マイクロティッ
プ13を形成後金属コートするか、或いは金属の蒸着に
よりマイクロティップ13を形成する。かかる片持梁1
2を用い、AFM動作によりマイクロティップ13を記
録媒体表面に接近させ、一定の斥力が作用する状態に保
持しながら、記録媒体とマイクロティップの間に電圧を
印加して記録を行ない、更に流れる電流を検出すること
によって再生を行なった結果、良好な記録再生特性が得
られた。記録媒体としては、例えばSOAZ(スクアリ
リウム−ビス−6−オクチルアズレン)をLB法をもち
いて金電極基板上に8層累積したものを用いた。
のような効果が得られる。 (1)原子間力顕微鏡を大気中で動作させる際、試料表
面を覆う水の表面張力による弾性部材の急激な動きを制
限することが可能となり、これによってマイクロティッ
プを試料表面に衝突させることなく接触させることが可
能となり、試料の損傷が避けられる。 (2)水の表面張力の影響に制限されることなく、弾性
部材のばね定数は所望の値のものを選択できる。 (3)情報の記録再生等の動作時に媒体を損傷させるこ
とのない情報処理装置を提供できる。
である。
す図である。
の作製方法の一例を示す図である。
す図である。
の作製方法の一例を示す図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 試料表面との間に作用する力によって変
位可能な弾性部材を有する原子間力顕微鏡において、上
記弾性部材が試料表面へ接近する向きに変形したときに
のみ接触し、該弾性部材の変形を抑制する構造部材を具
備することを特徴とする原子間力顕微鏡。 - 【請求項2】 前記構造部材が、前記弾性部材の試料表
面へ接近する向きへの変形に対する該弾性部材のばね定
数を変化させるものであることを特徴とする請求項1記
載の原子間力顕微鏡。 - 【請求項3】 前記構造部材が、片持梁構造であること
を特徴とする請求項1又は2記載の原子間力顕微鏡。 - 【請求項4】 前記構造部材が、両持梁構造であること
を特徴とする請求項1又は2記載の原子間力顕微鏡。 - 【請求項5】 前記弾性部材が、片持梁構造であること
を特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の原子間力顕
微鏡。 - 【請求項6】 請求項1〜5いずれかに記載の原子間力
顕微鏡を用いたことを特徴とする情報処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4306269A JP3062980B2 (ja) | 1992-10-20 | 1992-10-20 | 原子間力顕微鏡及びそれを用いた情報処理装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4306269A JP3062980B2 (ja) | 1992-10-20 | 1992-10-20 | 原子間力顕微鏡及びそれを用いた情報処理装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06129848A JPH06129848A (ja) | 1994-05-13 |
JP3062980B2 true JP3062980B2 (ja) | 2000-07-12 |
Family
ID=17955054
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4306269A Expired - Fee Related JP3062980B2 (ja) | 1992-10-20 | 1992-10-20 | 原子間力顕微鏡及びそれを用いた情報処理装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3062980B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0835261A (ja) * | 1994-07-22 | 1996-02-06 | Daiichi Shoten:Kk | 建物の木構造用金具及びこれを用いた建物の組み立て方法 |
-
1992
- 1992-10-20 JP JP4306269A patent/JP3062980B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06129848A (ja) | 1994-05-13 |
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