JP3059347B2 - 電磁連結装置のアーマチュア組立体 - Google Patents

電磁連結装置のアーマチュア組立体

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JP3059347B2
JP3059347B2 JP6301564A JP30156494A JP3059347B2 JP 3059347 B2 JP3059347 B2 JP 3059347B2 JP 6301564 A JP6301564 A JP 6301564A JP 30156494 A JP30156494 A JP 30156494A JP 3059347 B2 JP3059347 B2 JP 3059347B2
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隆 石丸
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばカーエアコン用
電磁クラッチ等に使用されるダンパーゴム方式の電磁連
結装置のアーマチュア組立体に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の電磁連結装置のアーマチュア組
立体としては、本出願人が特開平4−262127号公
報で提案したものがある。この公報で提案されたアーマ
チュア組立体は、アーマチュア支持部材を強化プラスチ
ックによって形成するだけではなく、剛性を高め機械的
強度の信頼性を高めるために、アーマチュア支持部材に
補強用リブを一体形成したものである。また、強化プラ
スチック製のアーマチュア支持部材に円筒状ボス部を
設け、この円筒状ボス部により、カーエアコン用圧縮機
の回転軸にセレーション嵌合される円筒状の金属材
ーマチュアハブの外周面全体を被覆するようにして、
ンサート成形によりアーマチュア支持部材をアーマチュ
アハブに一体に固定したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらカーエア
コン用電磁クラッチ等では、設計上問題のない万一の不
祥事まで想定して設計を要求される場合がある。万一の
不祥事としては、動作の繰り返しにより生じる摩擦熱や
エンジンから出る熱により、リベットに焼き付け固着さ
れ、かつダンパーゴム収納部内に圧入固着されたダンパ
ーゴムが脱落してしまう事が想定される。本発明はこの
ような問題に鑑みてなされたものであり、ダンパーゴム
の脱落により想定される事故を防止した電磁連結装置の
アーマチュア組立体を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明に係る電磁連結装置のアーマチュア組立体
は、回転軸に装着されるアーマチュアハブと、このアー
マチュアハブに半径方向内側がインサート成形により一
体に固定された強化プラスチック材製のアーマチュア支
持部材と、このアーマチュア支持部材の半径方向外側に
一体に形成された複数個の凹陥状のダンパーゴム収納部
と、これらダンパーゴム収納部に個々に収納されるとと
もに前記ダンパーゴム収納部の底部に穿設された貫通孔
から先端が突出する締結部材が個々に固着されたダンパ
ーゴムと、前記締結部材の各先端が固定され前記ダンパ
ーゴムにより前記アーマチュア支持部材に移動自在に支
持されたアーマチュアとを備え、前記ダンパーゴム収納
部の周壁部を前記締結部材より高くしたことを特徴とす
る。
【0005】
【作用】本発明のアーマチュア組立体を備えた電磁連結
装置のうち、カーエアコン用電磁クラッチ等において
は、電磁コイルの磁束の磁気吸引力により、アーマチュ
アはダンパーゴムの弾性力に抗してロータに磁気吸着さ
れる。また、電磁コイルへの通電を断てば、磁束は消滅
するので、アーマチュアはダンパーゴムの弾性力により
アーマチュア支持部材側に引き寄せられロータから離間
する。動作の繰り返しにより生じる摩擦熱やエンジンか
ら出る熱により、締結部材に焼き付け固着され、かつダ
ンパーゴム収納部内に圧入固着されたダンパーゴムが
ンパーゴム収納部内から外部に脱落してしまった場合、
高熱となった締結部材によりダンパーゴム収納部の周壁
部は溶解されるが、締結部材の頭部よりも突出した周壁
部の突出部が非溶解部となるので、強化プラスチック材
製のアーマチュア支持部材が分離されることはない。
【0006】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図に基づいて説明
する。図1は本発明に係るアーマチュア組立体を備えた
電磁クラッチの正面図、図2は図1のII−II線断面図、
図3は図2のIII−III線断面図、図4は図2のアーマチ
ュア組立体の要部拡大図、図5は動作中の傾斜歪みの影
響を説明する要部断面図、図6はダンパーゴムの脱落後
の動作を説明する正面図である。これらの図において、
全体を符号1で示す電磁クラッチは、カーエアコン用圧
縮機2に装着され、自動車エンジンの回転を圧縮機2に
伝達したり遮断する動力伝達装置として使用されている
ものである。3は圧縮機2の円筒部2aに軸受2bを介
して回転自在に支持されたロータであって、このロータ
3の外周面には、プラスチック材製のポリV溝プーリ4
が一体に固定されている。3a,3bはプレス加工にて
打ち抜き形成されている磁束迂回用のスリットで、それ
ぞれ同一円周上に間隔をおいて設けられている。これら
ロータ3とプーリ4は、射出成形機の金型内にロータ3
をインサート物として取り付け、ゲートからその金型内
にプラスチック材料を注入することによりインサート成
形して形成したものである。なお、この成形方法は、特
開平4−290618号公報に開示されている。ロータ
3の環状溝内には、電磁コイル5を内設したフィールド
コア6が嵌装され、フィールドコア6は取付板7を介し
て、圧縮機2のハウジングにねじ止め固定されている。
【0007】圧縮機2の回転軸8には、アーマチュア組
立体9が一体回転可能に軸装されている。アーマチュア
組立体9は、回転軸8にセレーション嵌合された金属材
製のアーマチュアハブ10と、回転軸8の先端が当接す
る当て板11とをインサート物として、これら部材と強
化プラスチックで形成されたアーマチュア支持部材とし
ての円板状のプレート12とをインサート成形により一
体に固定した構造を有している。アーマチュアハブ10
は、回転軸8に嵌合するセレーション溝が内周面に形成
されたボス部10aと、このボス部10aの端面から半
径方向外側に延在する円板状のフランジ部10bとから
なる。フランジ部10bには、同一円周上の等配位置に
穿設された複数個(本実施例では6個)の係合孔10c
と、外周縁に半円弧状に切欠きされた後述するリベット
(締結部材)14に対する複数個(本実施例では3個)
の逃げ部10dが形成されている。
【0008】プレート12の半径方向外側には、同一円
周上の等配位置に複数個(本実施例では3個)の凹陥状
に形成されたダンパーゴム収納部13が、円筒状の周壁
部12aにより囲繞されており、また半径方向内側の円
板部12bには、前記アーマチュアハブ10の係合孔1
0cと係合する回り止め部12cが一体に形成されてい
る。ダンパーゴム収納部13の周壁部12aには、図4
に示されているように、後述するリベット14の高さL
1よりも高い高さL 2からなる突出部12hが設けられ
ている。回り止め部12cの先端には、アーマチュアハ
ブ10のフランジ部10bのロータ3側で偏平状に形成
された抜け止め部12dが一体に形成され、プレート1
2は、円板部12bと抜け止め部12dとでフランジ部
10bを挟持して、アーマチュアハブ10に一体に固定
されている。また、プレート12の内周端縁には、当て
板11の抜け止めとして機能する円筒部12eが、外周
端縁には、円筒状のカバー12fが、それぞれ一体に形
成されている。
【0009】14は、ダンパーゴム収納部13の開口側
の端部を円弧状に面取りされた締結部材としてのリベッ
ト、15は、リベット14が中心に固着されたダンパー
ゴムであって、プレート12のダンパーゴム収納部13
に圧入固着されて収納されている。リベット14の先端
は、ダンパーゴム収納部13の底面に穿設された貫通孔
12gからロータ3側に突出されアーマチュア16にか
しめ固定されている。なお、リベット14とアーマチュ
ア16のかしめ固定構造は、実開平4−32327号公
報に開示されている。16aは磁束迂回用のスリット
で、同一円周上に間隔をおいて設けられている。
【0010】アーマチュア16の内径寸法は、アーマチ
ュアハブ10のフランジ部10bの最外径寸法より小さ
く形成されており、ダンパーゴム15の弾性力によりア
ーマチュア16は、アーマチュアハブ10のフランジ部
10bのうちストッパー部として構成されたプレート1
2の非被覆部とした側面10eに当接している。即ち、
アーマチュア16へ当接するフランジ部10bのストッ
パー部が、アーマチュア16の外周端縁に対向するプレ
ート12の半径方向外側の対向面よりもわずかに面高に
形成されて、アーマチュア16とプレート12の半径方
向外側の対向面間に半径方向外側に開口する環状の空隙
Gが形成されている。
【0011】次に、このように構成された電磁クラッチ
の動作を説明する。電磁コイル5に通電することにより
発生する磁束Φは、スリット3a,3b,16aによ
り、ロータ3からエアギャップを介してアーマチュア1
6に迂回されロータ3に戻るダブルフラックス形の磁束
路を流れる。この磁束Φの磁気吸引力により、アーマチ
ュア16はダンパーゴム15の弾性力に抗してロータ3
に磁気吸着され、自動車エンジンの回転がカーエアコン
用圧縮機2に伝達される。また、電磁コイル5への通電
を断てば、磁束Φは消滅するので、ダンパーゴム15の
弾性力によりプレート12側に引き寄せられるアーマチ
ュア16は、ロータ3から後退して離間する。そしてア
ーマチュア16は、アーマチュアハブ10のフランジ部
10bのストッパー部とした側面10eまで後退する。
【0012】次に、動作の繰り返しによりプレート12
の外周端側が傾斜歪みを生じた場合を図5に基づいて説
明する。アーマチュア16へ当接するフランジ部10b
の側面10eが、アーマチュア16の外周端縁に対向す
るプレート12の対向面よりもわずかに面高に形成され
て、アーマチュア16とプレート12との間に空隙Gが
設けられており、この空隙Gを、プレート12の外周端
側の傾斜歪みより大きく設けていれば、プレート12の
外周端側がαの傾斜歪みを生じても、空隙G 1が依然と
して形成されている。このため、電磁コイル5への通電
を断った無励磁状態においても、アーマチュア16とロ
ータ3とのエアギャップが保たれ、外部振動によりアー
マチュア16がロータ3に当打されるとかアーマチュア
16とロータ3がスリップ回転する等の問題は排除され
る。
【0013】次に、ダンパーゴム15が脱落した場合の
安全対策を図6に基づいて説明する。カーエアコン用電
磁クラッチは、設計上問題のない万一の不祥事まで想定
して設計を要求される場合がある。万一の不祥事として
は、動作の繰り返しにより生じる摩擦熱やエンジンから
出る熱により、リベット14に焼き付け固着され、かつ
ダンパーゴム収納部13内に圧入固着されたダンパーゴ
ム15が脱落してしまう事が想定される。このような場
合、ダンパーゴム15によるリベット14とアーマチュ
ア16の弾性復帰がなされず、電磁クラッチ1がロック
状態となり、この状態でカーエアコン用圧縮機への動力
伝達状態が継続されると、同図に示すように、リベット
14は、収納されている周壁部12aを溶解し、さらに
プレート12を二点鎖線14aで示すように溶解し、最
後に隣接する周壁部12aまで溶解する。したがってこ
の実施例では、周壁部12aにリベット14の頭部より
も突出した突出部12hを設け、この突出部12hが非
溶解部として残ることにより、プレート12が分離され
ないようにしている。
【0014】なお、以上の実施例では、電磁連結装置と
して電磁クラッチの例を説明したが、アーマチュアをフ
ィールドコアに磁気吸着する電磁ブレーキ等にも本発明
は適用できる。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、回
転軸に装着されるアーマチュアハブと、このアーマチュ
アハブに半径方向内側がインサート成形により一体に固
定された強化プラスチック材製のアーマチュア支持部材
と、このアーマチュア支持部材の半径方向外側に一体に
形成された複数個の凹陥状のダンパーゴム収納部と、こ
れらダンパーゴム収納部に個々に収納されるとともに前
記ダンパーゴム収納部の底部に穿設された貫通孔から先
端が突出する締結部材が個々に固着されたダンパーゴム
と、前記締結部材の各先端が固定され前記ダンパーゴム
により前記アーマチュア支持部材に移動自在に支持され
たアーマチュアとを備え、前記ダンパーゴム収納部の周
壁部を前記締結部材より高くしたので、動作の繰り返し
により生じる摩擦熱やエンジン等から出る熱により、締
結部材に焼き付け固着され、かつダンパーゴム収納部内
に圧入固着されたダンパーゴムが脱落してしまった場
合、締結部材は周壁部を溶解するが、締結部材の頭部よ
りも突出した周壁部の突出部が非溶解部となるのでアー
マチュア支持部材は分離されない。よって、アーマチュ
ア支持部材が分離飛散されることにより発生する万一の
事故を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアーマチュア組立体を備えた電磁
クラッチの正面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図2の要部拡大図である。
【図5】本発明に係るアーマチュア組立体における動作
中の傾斜歪みの影響を説明する要部断面図である。
【図6】本発明に係るアーマチュア組立体におけるダン
パーゴムの脱落後の動作を説明する正面図である。
【符号の説明】
1…電磁クラッチ、3…ロータ、9…アーマチュア組立
体、10…アーマチュアハブ、10b…フランジ部、1
2…プレート、12a…周壁部、13…ダンパーゴム収
納部、14…リベット、15…ダンパーゴム、16…ア
ーマチュア。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−262127(JP,A) 特開 平4−290618(JP,A) 特開 昭62−180124(JP,A) 特開 平7−332395(JP,A) 実開 平4−32327(JP,U) 実開 昭64−25536(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16D 27/112 F16D 65/21

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転軸に装着されるアーマチュアハブと、
    このアーマチュアハブに半径方向内側がインサート成形
    により一体に固定された強化プラスチック材製のアーマ
    チュア支持部材と、このアーマチュア支持部材の半径方
    向外側に一体に形成された複数個の凹陥状のダンパーゴ
    ム収納部と、これらダンパーゴム収納部に個々に収納さ
    れるとともに前記ダンパーゴム収納部の底部に穿設され
    た貫通孔から先端が突出する締結部材が個々に固着され
    たダンパーゴムと、前記締結部材の各先端が固定され前
    記ダンパーゴムにより前記アーマチュア支持部材に移動
    自在に支持されたアーマチュアとを備え、前記ダンパー
    ゴム収納部の周壁部を前記締結部材より高くしたことを
    特徴とする電磁連結装置のアーマチュア組立体。
JP6301564A 1994-11-10 1994-11-10 電磁連結装置のアーマチュア組立体 Expired - Lifetime JP3059347B2 (ja)

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