JP3059335B2 - 水密性熱収縮チューブ - Google Patents

水密性熱収縮チューブ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はゴム系熱収縮チューブに
関し、詳しくは、ゴム系熱収縮チューブ内面に付加反応
または縮合反応架橋シリコーンゲルをコートして装着後
にチューブと内容物の間隙に水が浸入するのを防ぎ、さ
らに、最内面に熱可塑性樹脂の層を設けることにより作
業性が大幅に改善され、また、長いチューブの装着を容
易にした、より高い絶縁信頼性を付与する水密性熱収縮
チューブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱収縮チューブとしては塩化ビニル、ポ
リエステル等の樹脂系熱収縮チューブをはじめ、フッ素
ゴム、シリコーンゴム、EPDMほかのゴム系熱収縮チ
ューブが市販され、多方面において使用されている。特
にゴム系熱収縮チューブは可撓性があるため、電線と機
器類のジョイント部等に広範囲にわたって使用されてい
る。例えば重電関係では発電機のブスバーとライザー
に、コイルのジョイントに、弱電関係ではコネクターや
ターミナルの端末処理に、家電関係ではTVトランス、
電気毛布、電子レンジ、照明器具の電線保護、絶縁被覆
に、車両関係では自動車点火プラグ、ディストリビュー
タ、床下配線、ハーネス等に、また、塗装時のマスキン
グ用に、ボイラー回りの配線に、さらには医療、理化学
機器やレジャー用品のグリップ等に使用されている。
【0003】ゴム系熱収縮チューブは数本の電線を束ね
たり、高圧コイル等の被覆などの場合、収縮により内容
物表面の一部に密着はしているものの、チューブと内容
物の間隙、電線同士の間隙、コイルの端面等は水に対し
て無防備となっており、電気絶縁等の信頼性に不安を生
じることになる。特に高圧ケーブル等を水中に埋設する
形になる時には、収縮チューブが傷つくと電線周囲に水
が浸入して放電するおそれがあり非常に危険である。こ
のような場合、水密性を向上させるためにチューブ内面
にホットメルトタイプの樹脂層を形成したり、各種の粘
着剤を塗布したりする対策がとられているが、ホットメ
ルトタイプの場合、樹脂層が冷却後硬くなるため、電線
のたわみや曲げによって樹脂層にひびが入り水が進入す
ることがあり、また粘着剤の場合は、追従性に乏しいた
め、電線の折り曲げ等により剥離が生じ水が進入するこ
とがあるなど、信頼性において充分ではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記のような状況か
ら、本発明者らは水密性が向上し充分な信頼性を有する
ゴム系熱収縮チューブを得ようとして本発明に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の課題
を解決するため鋭意検討の結果、付加反応または縮合反
応架橋シリコーンゲルの層をゴム系熱収縮チューブ内面
に設けておくと、装着時と内容物の間隙及び内容物間の
間隙がゲルにより充填され、このシリコーンゲルが水
密性を著しく高め、充分な絶縁信頼性が得られること、
さらに、ゲルに加え、最内面に熱可塑性樹脂の層を設
けておくと作業性が大幅に改善され、また、長いチュー
ブの装着を容易にすると共に、同様により高い絶縁信頼
性が得られることを見出した。すなわち、本発明の要旨
は、ゴム系熱収縮チューブ内面に付加反応または縮合反
応架橋シリコーンゲルをコートしてなる水密性熱収縮チ
ューブ、また、ゴム系熱収縮チューブ内面に付加反応ま
たは縮合反応架橋シリコーンゲルをコートし、さらに最
内面に軟化点が40〜180 ℃の熱可塑性樹脂の層を設けて
なる水密性熱収縮チューブにある。以下に本発明につい
て詳しく説明する。
【0006】本発明のゴム系熱収縮チューブの構成は、
図1のチューブの径方向の断面図及び図2のチューブの
長さ方向の断面図に示されるようにゴム系熱収縮チュー
ブ1の内面に付加反応または縮合反応架橋シリコーン
ル2がコートされたもの、また、同様に図6及び図7に
示されるように、ゴム系熱収縮チューブ1の内面に付加
反応または縮合反応架橋シリコーンゲル2がコートさ
れ、さらに最内面に軟化点が40〜180 ℃の熱可塑性樹脂
の層4(この場合は後述するように熱可塑性樹脂の粉体
を用いた例)が設けられたものである。ゴム系熱収縮チ
ューブの材質としては、熱収縮性に加工できる限り特に
限定はされないが、これらには例えばEPDM、フッ素
ゴム、シリコーンゴムなどが例示される。ゴム系熱収縮
チューブを得るには、熱可塑性樹脂を例えばゴム材料に
混合してチューブに成形した後、加熱延伸により径を大
きくし、延伸したままの状態で冷却することで固定化す
ればよく、これは当業界では公知である。
【0007】ゴム系熱収縮チューブの内面にコートされ
るゲルとしては、コートする際には流動性を示すが、そ
の後架橋等により常態時に流動性を示さなくなる種々の
ものを挙げることができる。しかし、電気絶縁性、水密
性、耐熱・耐寒性、耐候性の点からシリコーンゲルとさ
れる。また、シリコーンゲルの未架橋物は無溶剤であっ
ても粘度が低くコーティングに適しており、ゴム系熱収
縮チューブの収縮変形する温度より低い温度で架橋させ
シリコーンゲルにすることができる点からも有利であ
る。コート剤が溶剤を含む場合、ゴム系熱収縮チューブ
内の形状を記憶している樹脂成分を溶解してしまい、チ
ューブが収縮する恐れがあるため無溶剤タイプが好まし
い。このシリコーンゲルはゴム系熱収縮チューブの両末
端部のみにコートされていてもよいが、水密性の信頼性
を向上させるためにはゴム系熱収縮チューブの内面全体
にコートされていることが望ましい。
【0008】上記のようにシリコーンゲルには有利な点
が多く信頼性も高いが、未架橋物が無溶剤かつ低粘度で
得られ、ゴム系熱収縮チューブの収縮変形する温度より
低い温度で架橋するものとしては、付加反応あるいは縮
合反応により架橋するタイプがある。中でも付加タイプ
のシリコーンゲルはより好ましいものであり、経時変化
は少なく長期間ゲル状物で水密性を保つことができる。
付加タイプのシリコーンゲルは当業界で公知のものであ
り、アルケニル基含有シリコーンオイルとハイドロジェ
ンポリシロキサンとを白金系触媒で架橋するのが基本的
な構造である。しかし、耐久性を向上し経時変化を少な
くするためにはSi-H基/アルケニル基のモル比を 0.5〜
2.0 とするのが好ましく、さらに 0.8〜1.2 とするのが
より好ましい。
【0009】未架橋シリコーンゲルはゴム系熱収縮チュ
ーブの装着直前に被覆される材料の周囲に塗布してもよ
いが、この方法は現場作業には向いていない。このた
め、あらかじめゴム系熱収縮チューブの内面にコートさ
れていることが望ましい。さらに、コート層はゴム系熱
収縮チューブの装着前にすでに架橋されてシリコーン
ルとなっていることが望ましい。これは架橋していない
と被覆される材料の挿入時に未架橋ゲルが移動して目的
の水密性が得られなくなる恐れがあるためである。
【0010】上述の付加反応または縮合反応架橋シリコ
ーンゲルが内面にコートされたゴム系熱収縮チューブを
用いれば目的とする水密性を得られるが、これに加え
て、さらに最内面に軟化点が40〜180 ℃の熱可塑性樹脂
の層を設けておくと、作業性が良く、より長いゴム系熱
収縮チューブであっても装着が容易になり、もちろん充
分な水密性も得られることが見出された。すなわちこの
チューブを用いると、使用前において付加反応または縮
合反応架橋シリコーンゲルの粘着性を抑えることがで
き、電線等の挿入時に挿入口の反対側からゲルが押し
出されたり、電線等の末端露出部にゲルが付着したり
せず、さらに、ゴム系熱収縮チューブを加熱装着させる
ときには樹脂層は溶融してゲル内に混入(圧入)され
一体化するため、長いゴム系熱収縮チューブであっても
作業性と水密性の両方が著しく高められることが見出さ
れた。
【0011】ゴム系熱収縮チューブの最内面に用いられ
る熱可塑性樹脂としては、シリコーン樹脂、ポリシラン
樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メチルセルロ
ース樹脂などを挙げることができるが、シリコーンゲル
との組み合わせの場合、加熱時のゲル状物中への均一分
散性を考慮するとシリコーン樹脂が最も好適である。
【0012】使用できるシリコーン樹脂は軟化点が40〜
180 ℃の範囲にある限りシロキサン単位の組成に特に制
限はなく、シロキサン骨格を主成分として有するならば
すべて用いることができる。例えば(CH3)3SiO1/2単位と
SiO4/2単位から構成された熱可塑性シリコーン樹脂を使
用することもできるが、一般的には、フェニルシロキサ
ン単位(C6H5SiO3/2)を主成分とし、ジフェニルシロキサ
ン単位[(C6H5)2SiO2/2] 、ジメチルシロキサン単位[(CH
3)2SiO2/2]、メチルシロキサン単位(CH3SiO3/2) 、メチ
ルビニルシロキサン単位[(CH3)(CH2=CH)SiO2/2] を含む
熱可塑性シリコーン樹脂が好ましく、特に軟化点の関係
から、C6H5SiO3/2単位とCH3SiO3/2単位を合計で20〜80
モル%、(C6H5)2SiO2/2単位、(CH3)2SiO2/2単位及び(CH
3)(CH2=CH)SiO2/2単位を合計で80〜20モル%とした熱可
塑性シリコーン樹脂が好適である。
【0013】また、熱可塑性樹脂の層は付加反応または
縮合反応架橋シリコーンゲルの内側表面に連続したチュ
ーブ状に設けられていてもよいが、ゴム系熱収縮チュー
ブの収縮特性をより良く発揮させるには、熱可塑性樹脂
が粉末の状態でゲルの表面に付着している方が好まし
いことが分かった。このような粉末の付着でも付加反
または縮合反応架橋シリコーンゲルの粘着性を消失させ
ることができ、挿入時にゲルが押し出されたり、挿入
物にゲルが付着したりしない。熱可塑性樹脂の層の例
としての熱可塑性樹脂の粉末の層を設けたゴム系熱収縮
チューブの構成の例は図6及び図7に示されるものであ
る。
【0014】
【実施例】次に、実施例と比較例を挙げて本発明をより
具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるもの
ではない。 (実施例1) シリコーンゴム熱収縮チューブST−55DG[信越化
学工業(株)製、商品名、未収縮時内径11.0mm、収縮時
内径5.5mm ]を長さ30cmに切り取り、その内面に付加反
応架橋シリコーンゲル材料KE1052A/B[信越化
学工業(株)製、商品名、AとBの二成分付加反応タイ
プ、架橋後針入度65]のAとBの両成分を等量混合して
2時間置いたものを塗布した。塗布量は5.1gで厚さ約0.
5mm に塗布された。ついで、50℃で1時間加温して熱収
縮チューブ1の内面に付加反応架橋シリコーンゲル2が
コートされたゴム系熱収縮チューブ(I)を得た。(図
1〜2参照)これに塩ビ被覆電線3(外径2.2mm 、芯線
束径1.8mm )を3本通した後、ドライヤーにて加熱して
ゴム系熱収縮チューブを収縮させ、図3に示される径方
向の断面構成を有する被覆電線束を得た。この被覆され
た電線束を水槽に沈め1日放置後5cm間隔に切断したが
内部に水は入っておらず、電線間及び電線と収縮チュー
ブの間隙にはゲルが充填されていた。
【0015】(比較例1) 実施例1で使用したST−55DGと電線を使用して、
ゲルを使用しないで実施例1と同様にドライヤーにてゴ
ム系熱収縮チューブを収縮させた。この被覆された電線
束を水槽に沈めた後、実施例1と同様に切断したところ
全て内部に水が浸入していた。これは外力が加わって傷
がついた時、漏電の危険性があることを示すものであ
る。
【0016】(比較例2) 実施例1で使用したST−55DGを使用し、付加反応
架橋シリコーンゲルの代わりにホットメルト型シリコー
ン粘着剤KR116A[信越化学工業(株)製、商品
名]をチューブ内面に約1mm厚にコートし、溶剤を揮散
させて約0.5mm 厚の被膜を形成させた。 実施例1と
同様に塩ビ被覆電線を3本通した後、ドライヤーにて加
熱して熱収縮チューブを収縮させた。この被覆された電
線束を実施例1と同様に水槽に沈め1日放置後5cm間隔
に切断したところ、片方の端部から10cmの所まで水の進
入があり被膜にクラックが確認された。これは電線の折
り曲げ等により漏電の危険性があることを示すものであ
る。
【0017】(実施例2) 実施例1と同様に長さ30cmのST−55DGを用い、シ
リコーンゲル材料として実施例1で用いたKE1052
A/B 100重量部にシリカ粉のクリスタライトVX−S
2(龍森社製、商品名)80重量部を均一に混合して増粘
させたものを用いた。塗布量は12.4gで厚さ約1mmに塗
布された。ついで、50℃で1時間加温して内面に付加反
応架橋シリコーンゲルがコートされたゴム系熱収縮チュ
ーブ(II)を得た。ガラススリーブ被覆電線3(外径2.
5mm 、芯線束径2.0mm )を途中で2cmストリップして芯
線をむき出しにして、このような電線を2本、図4のよ
うに裸線の部分が互いに接触しないように位置を5cmず
らしてゴム系熱収縮チューブ(II)内に通した。つい
で、ドライヤーにてゴム系熱収縮チューブ(II)を収縮
させた。この被覆された電線束をJIS−C−3005
(ゴム、プラスチック絶縁電線試験方法)9.1(1)
の常温水中絶縁抵抗試験に準じて試験したところ(図5
に測定回路図を示す)、水中絶縁抵抗は80MΩkmで漏
電はなかった。試験後、5cm間隔に切断して内部を観察
したが水は入っておらず、電線間及び電線と収縮チュー
ブの間隙にはゲルが充填されていた。
【0018】(比較例3) 実施例2において付加反応架橋シリコーンゲルを用いな
い他は同様にして、長さ30cmのST−55DG内に、途
中で2cmストリップして芯線をむき出しにした2本のガ
ラススリーブ被覆電線を裸線の部分が互いに接触しない
ように位置を5cmずらして通し、ついで、ドライヤーに
てST−55DGを収縮させた。実施例2と同様に常温
水中絶縁抵抗試験を行ったところ漏電現象が認められ
た。試験後、5cm間隔に電線束を切断すると内部に浸水
したことが確認された。
【0019】(実施例3) フッ素ゴム熱収縮チューブST−55FR[信越化学工
業(株)製、商品名、未収縮時内径11.0mm、収縮時内径
5.5mm ]を長さ30cmに切り取り、その内面に実施例2で
使用した付加反応架橋シリコーンゲル材料をコートし
た。塗布量は12.8g で厚さ約1mmに塗布された。つい
で、50℃で1時間加温して内面に付加反応架橋シリコー
ゲルがコートされたゴム系熱収縮チューブ(III) を得
た。ゴム被覆電線(外径6.0mm 、芯線径2.5mm )を途中
で2cmストリップして芯線をむき出しにしたものを実施
例2と同様にしてゴム系熱収縮チューブ(III) 内に通
し、ついで、ドライヤーにてゴム系熱収縮チューブ(II
I) を収縮させた。被覆された電線束について実施例2
と同様に常温水中絶縁抵抗を測定したところ 400MΩk
mで漏電はなかった。試験後、切断してみても内部に水
は入っておらず、ゴム系熱収縮チューブ(III) の水密性
は良好であることが判明した。
【0020】(実施例4) 20モル%の(CH3)2SiO2/2単位、20モル%の(C6H5)2SiO
2/2単位及び60モル%のC6H5SiO3/2単位からなる軟化点9
2℃の熱可塑性シリコーン樹脂の粉末(平均粒径50μ
m)を、実施例1で得られたゴム系熱収縮チューブ
(I)と同様にして作製したゴム系熱収縮チューブの
加反応架橋シリコーンゲル2の表面に0.8g付着させて熱
可塑性樹脂の層4を設けゴム系熱収縮チューブ(IV)を得
た。(図6〜7参照)これに塩ビ被覆電線3(外径2.2m
m 、芯線束径1.8mm )を3本通した後、ドライヤーにて
加熱してゴム系熱収縮チューブを収縮させ、図8に示さ
れる径方向の断面構成を有する被覆電線束を得た。この
被覆された電線束を水槽に沈め1日放置後5cm間隔に切
断したが内部に水は入っておらず、電線間及び電線と収
縮チューブの間隙にはゲルが充填されていた。熱可塑性
樹脂の層4(粉末層)は付加反応架橋シリコーンゲル2
内へ混入(圧入)されていた。
【0021】(実施例5) 55モル%の(CH3)3SiO1/2単位、45モル%のSiO4/2単位か
ら構成された軟化点87℃の熱可塑性シリコーン樹脂の粉
末(平均粒径35μm)を、実施例2で得られたゴム系熱
収縮チューブ(II)と同様にして作製したゴム系熱収縮
チューブのシリコーンゲルの表面に1.7g付着させて熱可
塑性樹脂の層を設けゴム系熱収縮チューブ(V)を得
た。ガラススリーブ被覆電線3(外径2.5mm 、芯線束径
2.0mm )を途中で2cmストリップして芯線をむき出しに
して、このような電線を2本、図9のように裸線の部分
が互いに接触しないように位置を5cmずらしてゴム系熱
収縮チューブ(V)内に通した。ついで、ドライヤーに
てゴム系熱収縮チューブ(V)を収縮させた。この時、
通した電線にシリコーンゲルが付着してチューブから出
てくることはなく、極めて容易に通すことができ、途中
シリコーンゲルを移動させてしまう現象はみられなか
った。この被覆された電線束について実施例2と同様に
して常温水中絶縁抵抗試験を行ったところ実施例2と同
様の結果が得られ、内部にはシリコーンゲルが充填され
ていて水は入っておらず優れた水密性を示した。
【0022】(実施例6) 実施例2においてゴム系熱収縮チューブの長さを60cmと
し、シリコーンゲルの塗布量を24.8g とした他は同様に
してゴム系熱収縮チューブ(VI)を得た。このゴム系熱収
縮チューブ(VI)に実施例2と同様にストリップした2本
の電線を通しドライヤーにて加熱してチューブを収縮さ
せた。ついで、実施例2と同様にして常温水中絶縁抵抗
試験を行ったところ、水中絶縁抵抗は82MΩkmで漏電
はなかった。試験後、5cm間隔に切断して内部を観察し
たが水は入っていなかった。このように水密性は充分で
あったが、しかし電線を通した時にシリコーンゲルがわ
ずかに電線に付着して外に出たのが認められた。さら
に、ゴム系熱収縮チューブ(VI)と同様にして作製したチ
ューブに、実施例5で用いた熱可塑性シリコーン樹脂の
粉末をゲル状物表面に3.4g付着させたものを使用したと
ころ、水中絶縁抵抗の値と漏電のないことは前記と同様
であり、電線を通した時にもゲル状物が電線に付着して
外にでることはなかった。また、熱可塑性シリコーン樹
脂の粉末をシリコーンゲル表面に付着させないものに比
べ電線を通し易かった。
【0023】(実施例7) 実施例3で得られたゴム系熱収縮チューブ(III) と同様
にして作製したゴム系熱収縮チューブに、実施例1と同
様に熱可塑性シリコーン樹脂の粉末を付着させゴム系熱
収縮チューブ(VII) を得た。ゴム被覆電線(外径6.0mm
、芯線径2.5mm )を途中で2cmストリップして芯線を
むき出しにしたものを実施例2と同様にしてゴム系熱収
縮チューブ(VII) 内に通し、ついで、ドライヤーにて加
熱してゴム系熱収縮チューブ(VII) を収縮させた。被覆
された電線束について実施例2と同様に常温水中絶縁抵
抗を測定したところ 400MΩkmで漏電はなかった。試
験後、切断してみても内部に水は入っておらず、ゴム系
熱収縮チューブ(VII) の水密性は良好であることが判明
した。
【0024】
【発明の効果】本発明により水密性及び装着時の作業性
が改良されたゴム系熱収縮チューブが提供された。この
ゴム系熱収縮チューブで被覆すると裸線の部分も水中で
漏電現象を示さない。すなわち、本発明のゴム系熱収縮
チューブは屋外の施工などの水のかかる用途に好適であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】内面に付加反応または縮合反応架橋シリコーン
ゲルをコートしてなる本発明のゴム系熱収縮チューブの
構成を示すチューブの径方向の断面説明図である。
【図2】内面に付加反応または縮合反応架橋シリコーン
ゲルをコートしてなる本発明のゴム系熱収縮チューブの
構成を示すチューブの長さ方向の断面説明図である。
【図3】実施例1で得られた被覆電線束の構成を示す径
方向の断面説明図である。
【図4】実施例2における熱収縮前の電線挿入時の状態
を示す長さ方向の断面説明図である。
【図5】JIS−C−3005の絶縁抵抗測定回路図で
ある。
【図6】内面に付加反応または縮合反応架橋シリコーン
ゲルをコートし、さらに最内面に熱可塑性樹脂の粉末の
層を設けてなる本発明のゴム系熱収縮チューブの構成の
例を示すチューブの径方向の断面説明図である。
【図7】内面に付加反応または縮合反応架橋シリコーン
ゲルをコートし、さらに最内面に熱可塑性樹脂の粉末の
層を設けてなる本発明のゴム系熱収縮チューブの構成の
例を示すチューブの長さ方向の断面説明図である。
【図8】実施例4で得られた被覆電線束の構成を示す径
方向の断面説明図である。
【図9】実施例5における熱収縮前の電線挿入時の状態
を示す長さ方向の断面説明図である。
【符号の説明】
1 ゴム系熱収縮チューブ 2 付加反応または縮合反応架橋シリコーンゲル 3 被覆電線 4 熱可塑性樹脂の層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮下 政澄 東京都千代田区大手町二丁目6番1号 信越化学工業株式会社 本社内 (56)参考文献 特開 昭57−174249(JP,A) 実開 平5−53161(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 H01R 4/58 - 4/72 H01B 17/56 - 19/04 H02G 15/00 - 15/19

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム系熱収縮チューブ内面に付加反応ま
    たは縮合反応架橋シリコーンゲルをコートしてなる水密
    性熱収縮チューブ。
  2. 【請求項2】 ゴム系熱収縮チューブ内面に付加反応ま
    たは縮合反応架橋シリコーンゲルをコートし、さらに最
    内面に軟化点が40〜180 ℃の熱可塑性樹脂の層を設けて
    なる水密性熱収縮チューブ。
  3. 【請求項3】 シリコーンゲルが付加反応架橋シリコー
    ゲルよりなるものである請求項1または2に記載の水密
    性熱収縮チューブ。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂の層が粉体の熱可塑性樹脂
    付加反応または縮合反応架橋シリコーンゲルの表面に
    付着させてなるものである請求項2に記載の水密性熱収
    縮チューブ。
JP6067266A 1993-04-09 1994-04-05 水密性熱収縮チューブ Expired - Fee Related JP3059335B2 (ja)

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