JP3059283B2 - 抗炎症剤 - Google Patents

抗炎症剤

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JP3059283B2 JP3359537A JP35953791A JP3059283B2 JP 3059283 B2 JP3059283 B2 JP 3059283B2 JP 3359537 A JP3359537 A JP 3359537A JP 35953791 A JP35953791 A JP 35953791A JP 3059283 B2 JP3059283 B2 JP 3059283B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はヒトインターロイキン−
1結合能を有するペプチドまたはその塩を有効成分とし
て含有する抗炎症剤に関する。本発明により提供される
抗炎症剤は、その有効成分であるペプチドまたはその塩
がヒトインターロイキン−1(以下、これをヒトIL−
1と略称する)と結合することによりIL−1の活性発
現を阻害することから、リウマチ性関節炎、歯周囲炎、
腎炎、皮膚炎、潰瘍性大腸炎、動脈硬化症、硅肺症など
のIL−1が関与する炎症性疾患の治療に有用である。
【0002】
【従来の技術】IL−1はマクロファージの培養上清中
に、マウス胸腺細胞のレクチン応答性増殖を増強する因
子として見出された。IL−1は分子量17.5KDの
ポリペプチドであり、等電点の異なる2種のIL−1α
とIL−1βとが存在するが、そのいずれもが細胞上の
同一のレセプターと結合する。IL−1が示す生物活性
はきわめて多様で、免疫担当細胞の活性化や分化誘導の
みならず、神経系、内分泌系、さらには滑膜細胞、骨・
軟骨細胞、血管内皮細胞などの関節を構成する細胞群に
対しても多彩な作用を有している。IL−1は、各種の
炎症性疾患において重要な役割を果たしている。例え
ば、リウマチ性関節炎[P.Miossecら、アルスライティ
ス・アンド・リュ−マチズム(Arthritis Rheum.)、2
9巻第4号、461−470頁、(1986年)参
照]、歯周囲炎の際の歯槽骨破壊機構[J.Hoenigら、ジ
ャ−ナル・オブ・ペリオドンタル・リサ−チ(J.Period
ont Res.)、24巻、362−367頁、(1989
年)参照]、腎炎[J.H.Veisら、プロスィ−ディングズ
・オブ・ザ・ソサイアティ−・フォア・イクスペリメン
タル・バイオロジ−・アンド・メディスン(Proc.Soc.E
xp.Biol.Med.)、195巻第2号、160−167頁、
(1990年)参照]、皮膚炎[C.N.Ellisら、ジャ−
ナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシ−エ
−ション(JAMA.)、256巻、3110−3116
頁、(1986年)参照]などにおいてIL−1が関与
することが示唆されている(インターロイキン 1、蛋
白質 核酸 酵素、33巻第10号、1728−174
1頁、1988年参照)。IL−1は炎症の初期過程に
おいて重要な役割を果たす好中球を活性化し、その血管
内皮細胞への付着を亢進させる。さらにIL−1はマク
ロファージや線維芽細胞、内皮細胞を刺激してIL−8
の分泌を促進させ、結果的に炎症局所への好中球やリン
パ球の浸潤を引き起こす。また、IL−1は視床下部の
発熱中枢に作用し、PGE(プロスタグランディンE)
産生を介して発熱を誘導する。IL−1は脳下垂体にも
作用しACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を始めとする
種々の下垂体ホルモンの産生分泌を調節して、間接的、
直接的に炎症時のさまざまな生体反応に関与している
[赤星透他、炎症、11巻第2号、117−126頁、
(1991年)参照]。また、IL−1の受容体も種々
の細胞上に発現していることが知られており、最近T細
胞上[ J.E.Simsら、プロスィ−ディングズ・オブ・ザ
・ナチュラル・アカデミ−・オブ・サイエンシ−ズ・オ
ブ・ザ・ユ−ナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ
(Proc.Natl.Acad.Sci.USA. )、86巻、8946−8
950頁、(1989年)参照]及びB細胞上[C.J.Mc
Mahan ら、ジ・エンボ・ジャ−ナル(EMBO J.)、10
巻第10号、2821−2832頁、(1991年)参
照]のIL−1受容体が相次いでクローニングされた。
これらの細胞上のIL−1受容体がIL−1と結合する
ことにより細胞内に種々のシグナルが伝達されることが
明らかになった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】炎症性疾患の治療には
ステロイド剤および非ステロイド系抗炎症剤が使用され
ている。ステロイド剤は各種の炎症性疾患における諸症
状を顕著に改善するが、投与するにつれて次第にその効
果が減少すること、副作用として冠動脈不全、消化性潰
瘍、白内症、肺血症、易感染症などを誘発する危険があ
ることなどの問題点を有している。また、非ステロイド
系抗炎症剤は一時的には炎症症状を抑制するが、炎症性
疾患を根本から治療するものではない。したがって、効
力が強く、その治療効果が持続的でかつ安全性の高い炎
症性疾患治療剤の開発が望まれているのが現状である。
しかして、本発明の目的は、各種炎症性疾患の主要な原
因物質であるIL−1の阻害活性を有するペプチドを有
効成分として含有する抗炎症剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記の
目的は、下記の一般式 H−X1−Cys− 1 −B 1 −A 2 −B 2 −A 3 −Ser−X2
Y (式中、 1 、A 2 およびA 3 はそれぞれVal、Leu、Ileお
よびNleよりなる群から選ばれるアミノ酸残基を表し、
1 およびB 2 はそれぞれArg、Lys、Gln、HisおよびSer
よりなる群から選ばれるアミノ酸残基を表し、X1およ
びX2はそれぞれ単結合またはGly、Ala、Val、Arg、As
n、Ser、Phe、Pro、Leu、Glu、Asp、Lys、Thr、His、Ty
r、NleおよびIleよりなる群から選ばれる1〜10個の
アミノ酸残基よりなるペプチド断片を表し、Yは水酸基
またはアミノ基を表す)で示され、かつヒトIL−1結
合能を有するペプチドまたはその塩を含有する抗炎症剤
を提供することによって達成される。
【0005】上記のペプチドの代表例を次に示す。 (a):Val Val Arg Asn Ser Ser Tyr Cys Leu Arg Il
e Lys Ile Ser Ala Lys(配列番号:1)、 (b):Lys Asn Ser Ser Tyr Cys Leu Arg Ile Lys Il
e Ser Ala Lys Phe ValGlu(配列番号:2)、 (c):Lys Tyr Cys Leu Arg Ile Lys Ile Ser Ala Ly
s Phe Val Glu Asn GluPro(配列番号:3)、 (d):Tyr Cys Leu Arg Ile Lys Ile Ser Ala Lys
(配列番号:4)、 (e):Tyr Cys Leu Arg Ile Lys Ile Ser(配列番
号:5)、 (f):Cys Leu Arg Ile Lys Ile Ser(配列番号:
6)、 (g):Lys Cys Leu Arg Ile Lys Ile Ser(配列番
号:7)、 (h):Cys Leu Gln Ile Lys Ile Ser(配列番号:
8)、 (i):Lys Cys Leu Gln Ile Gln Ile Ser(配列番
号:9)、 (j):Lys Ile Cys Ile Arg Ile Gln Ile Ser(配列
番号:10)、 (k):Lys Xaa Cys Xaa Arg Xaa Gln Xaa Ser(配列
番号:11) (ただし、XaaはいずれもNleを表す)、 (l):Lys Ile Cys Ile His Ile Gln Ile Ser(配列
番号:12)、 (m):Lys Ile Cys Leu Arg Ile Gln Ile Ser(配列
番号:13)、 (n):Lys Cys Val Gln Val Gln Val Ser(配列番
号:14)、 (o):Lys Ile Cys Ile Arg Ile Gln Ile Xaa(配列
番号:15) (ただし、XaaはSerの−COOH基を−CONH 2 基で
置換したものを表す) および (p):Lys Ile Cys Ile His Ile His Ile Ser(配列
番号:16)。
【0006】上記のペプチドの塩は生理学的に許容され
る塩であり、その塩としては、例えば、塩酸、硫酸、燐
酸、乳酸、酒石酸、マレイン酸、フマ−ル酸、シュウ
酸、リンゴ酸、クエン酸、オレイン酸、パルミチン酸な
どの酸との塩;ナトリウム、カリウム、カルシウム、ア
ルミニウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属
の水酸化物または炭酸塩との塩;トリエチルアミン、ベ
ンジルアミン、ジエタノ−ルアミン、t−ブチルアミ
ン、ジシクロヘキシルアミン、アルギニンなどとの塩な
どが挙げられる。
【0007】本発明におけるペプチドは新規なペプチド
である。これらのペプチドは、ペプチドの合成において
通常用いられる方法、例えば固相合成法または液相合成
法によって調製されるが、固相合成法が操作上簡便であ
る〔例えば、日本生化学会編「続生化学実験講座2 タ
ンパク質の化学(下)」(昭和62年5月20日 株式
会社東京化学同人発行)、第641−694頁参照〕。
また、ペプチドの塩は、通常の塩生成反応を利用するこ
とにより調製される。
【0008】本発明におけるペプチドおよびその塩(以
下、これらをペプチド類と略称する)は、ヒトIL−1
と結合する能力を有しているので、IL−1とIL−1
受容体の結合を阻害し、その結果IL−1が引き起こす
種々の免疫学的、生理的活性を抑制することができる。
【0009】以下に本発明におけるペプチドについての
抗炎症作用試験の結果を示す。
【0010】試験例1 IL−1浮腫抑制試験 7週令のC3H/HeN雌性マウスを各群それぞれ5匹
用い、IL−1βによって誘導される足蹠浮腫に対する
下記ペプチドの抑制試験を実施した。 ペプチド−1:Lys Ile Cys Ile Arg Ile Gln Ile Ser
(配列番号:10) ペプチド−2:Lys Ile Cys Ile His Ile His Ile Ser
(配列番号:16)
【0011】50UのヒトIL−1βを含有する生食溶
液10μlを各マウスの片方の足蹠に注入し、6時間後
の各マウスのヒトIL−1β注入足蹠と他方の足蹠との
重量差を測定し浮腫重量とした。ヒトIL−1β注入の
30分前に上記ペプチドの5%ブドウ糖溶液を各マウス
の腹腔内に投与した。対照として5%ブドウ糖液のみを
投与したマウスの浮腫重量を基準として、次式にしたが
って浮腫抑制率を算出した。 浮腫抑制率(%)=100×(対照マウスの浮腫重量−
ペプチド投与マウスの浮腫重量)/対照マウスの浮腫重
量 結果を第1表に示す。
【0012】
【表1】
【0013】第1表から明らかなように、ペプチド−1
およびペプチド−2は有意にIL−1浮腫を抑制した。
【0014】試験例2 カラゲニン浮腫抑制試験 7週令のWistar雌性ラットを各群それぞれ5匹用
いて、下記ペプチドの浮腫抑制試験を実施した。 ペプチド−1:Lys Ile Cys Ile Arg Ile Gln Ile Ser
(配列番号:10) ペプチド−2:Lys Ile Cys Ile His Ile His Ile Ser
(配列番号:16)
【0015】各ラットの足蹠に1%カラゲニン生食溶液
0.2mlを注入した。3時間後の足蹠容積を測定し、
カラゲニン注入前の足蹠容積に対する増加率を浮腫率と
した。上記ペプチドの5%ブドウ糖溶液をカラゲニン注
入30分−1時間前に各ラットの腹腔内、あるいは足蹠
に投与した。5%ブドウ糖液のみを同量投与した対照ラ
ットの浮腫率を基準として、次式にしたがって浮腫抑制
率を算出した。 浮腫抑制率(%)=100×(対照ラットの浮腫率−ペ
プチド投与ラットの浮腫率)/対照ラットの浮腫率 結果を第2表に示す。
【0016】
【表2】
【0017】第2表から明らかなように、ペプチド−1
およびペプチド−2は、腹腔内投与、局所投与のいずれ
においてもカラゲニン浮腫を有意に抑制した。
【0018】試験例3 アジュバント関節炎発症抑制試験 6週令のLewis系雌性ラット各群それぞれ6匹を用
いて下記ペプチドのアジュバント関節炎に対する発症抑
制試験を実施した。 ペプチド−1:Lys Ile Cys Ile Arg Ile Gln Ile Ser
(配列番号:10) ペプチド−2:Lys Ile Cys Ile His Ile His Ile Ser
(配列番号:16)
【0019】マイコバクテリウム・ブチリカム(M.buty
ricum )の死菌0.05mgを含むミネラルオイル0.
05ml(アジュバント)を各ラットの右足蹠皮内に注
入した。その後、両足の足蹠体積の変化をアジュバント
注入前の足蹠体積を基準として3週間目まで測定した。
試験期間中、上記ペプチドの5%ブドウ糖溶液を週3回
の割合で局所または腹腔内に投与した。5%ブドウ糖液
のみを同量投与した対照ラットを基準として、次式にし
たがって発症抑制率を算出した。 抑制率(%)=100×(対照ラットの足蹠体積増加−
ペプチド投与ラットの足蹠体積増加)/対照ラットの足
蹠体積増加 結果を第3表に示す。
【0020】
【表3】
【0021】第3表より明らかなように、ペプチド−1
およびペプチド−2は、腹腔内投与、局所投与のいずれ
においても有意にアジュバント関節炎に対して発症抑制
効果を示した。
【0022】さらにペプチド投与群のラットは対照群と
比較して有意に体重の増加が認められた以外に、耳の赤
斑の減少、尾骨関節の変型の抑制など全身的な炎症像の
改善が顕著であった。
【0023】また、本発明におけるペプチド類は、毒性
試験においても低毒性であることが確認されている。
【0024】本発明の抗炎症剤は、その有効成分である
ペプチドまたはその塩が体液中のIL−1と結合し、こ
れを中和することができるので、リウマチ性関節炎、歯
周囲炎、腎炎、皮膚炎、潰瘍性大腸炎、動脈硬化症、硅
肺症などのIL−1が関与する炎症性疾患の罹患者に投
与することにより、該患者の炎症性症状を軽減すること
ができる。
【0025】本発明の抗炎症剤の有効成分であるペプチ
ドの有効な活性発現のための投与量は、通常2g/kg
〜0.1μg/kg(成人)であり、好ましくは200
mg/kg〜1μg/kg(成人)である。
【0026】本発明の抗炎症剤の投与方法としては、静
脈投与、皮下投与、筋肉内投与、関節投与、経口投与、
経鼻投与、経腸投与などが挙げられる。
【0027】本発明の抗炎症剤の調製は、各種製剤の調
製に慣用されている方法を適宜に選択して行うことがで
きる。
【0028】経口投与剤としては、例えば錠剤、顆粒
剤、粉末剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、経口用液体
製剤等が挙げられる。経口投与剤は結合剤としてシロッ
プ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、トラガカン
ト、ポリビニルピロリドンなど;賦形剤として、乳糖、
砂糖、澱粉、リン酸カルシウム、ソルビット、グリシン
など;潤滑剤として、ステアリン酸マグネシウム、タル
ク、ポリエチレングリコール、シリカなど;崩壊剤とし
て、澱粉、カルボキシメチルセルロースカルシウムなど
を含有していてもよい。
【0029】注射剤としては、アンプルまたはバイアル
入りの水溶液、生食溶液、5%ブドウ糖溶液などの生理
学的に許容しうる溶液、あるいはこれらの凍結乾燥粉末
形態が挙げられる。これらは薬理学的に許容しうる防腐
剤、溶解補助剤、分散剤などの添加剤を含有していても
よい。さらに徐放性を与えるために、ポリ乳酸やコラー
ゲン等の生体分解性化合物で包含されていてもよい。
【0030】経鼻剤としては鼻腔内に一定量を滴下ある
いはスプレーできる水溶製剤が挙げられる。水溶製剤に
は薬理学的に許容しうる安定化剤、増粘剤、溶解補助
剤、界面活性剤、保存剤、増量剤、等張化剤などを必要
に応じて含んでいてもよい。
【0031】点眼剤としては水溶液剤または懸濁液剤が
用いられ、安定剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、緩
衝剤、粘ちょう剤、保存剤等を必要に応じて含んでいて
もよい。
【0032】座剤としては、カカオ脂、マクロゴールな
どを基剤として、界面活性剤、保存剤、芳香剤、安定剤
などを含んでいてもよい。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお、本発明はこれらの実施例により限定されるも
のではない。
【0034】参考例1 式(1):Lys Ile Cys Ile Arg Ile Gln Ile Ser(配
列番号:10)で示されるペプチドをペプチド自動合成
装置を用いて固相合成法により合成した。すなわち、4
−[N−(t−ブトキシカルボニル)−O−ベンジル−
L−セリルオキシメチル]−フェニルアセトアミドメチ
ル基を0.72ミリモル/g(樹脂)の割合で有するス
チレン−ジビニルベンゼン共重合体[スチレンとジビニ
ルベンゼンの構成モル比:99対1]からなる粒状樹脂
[米国アプライド・バイオシステムズ社製のPAMセリ
ン、t−Boc−L−Ser(Bzl)]0.1ミリモ
ルを用い、ペプチドのN端に向かって順次アミノ酸を結
合させた。結合反応において、米国アプライド・バイオ
システムズ社製の α −(t−ブトキシカルボニル)−
ε −(p−クロロベンジルオキシ)−L−リジン[t
−Bocリジン]、 α −(t−ブトキシカルボニル)
G −(メシチレン−2−スルホニル)−L−アルギ
ニン[t−Bocアルギニン]、N−(t−ブトキシカ
ルボニル)−L−イソロイシン[t−Bocイソロイシ
ン]、N−(t−ブトキシカルボニル)−S−(p−メ
トキシベンジル)−L−システイン[t−Bocシステ
イン]、N−(t−ブトキシカルボニル)−L−グルタ
ミン[t−Bocグルタミン]をそれぞれ1ミリモルず
つ用いた。
【0035】得られたペプチドについて株式会社ペプチ
ド研究所製のHF反応装置I型を用いて脱保護と固相か
らの脱離を行った。粗生成物をミリポア・ウオーターズ
社製分取用高速液体クロマトグラフ[カラム:デルタパ
ックC18 47×300mm プレップパック100
0加圧モジュール付]で精製した。得られた精製ペプチ
ドを島津製作所株式会社製LC6A分析用高速液体クロ
マトグラフ[カラム:東ソー株式会社製TSKgel
ODS−80TM CTR、移動相:トリフルオロ酢酸
を0.05容量%含有するアセトニトリルと水の混合溶
媒(アセトニトリル濃度を30分間に5容量%から50
容量%に変化させた)]に付したところ、19.5mi
nに単一のピークが示された。FAB法マススペクトル
により求められた精製ペプチドの分子量は1073であ
った(理論値:1073.35)。
【0036】参考例2 式:(2)Lys Ile Cys Ile His Ile His Ile Ser(配
列番号:16)で示されるペプチドを参考例1と同様の
方法で合成した。アミノ酸は参考例1で用いたものに加
えて米国アプライド・バイオシステムズ社製のN−(t
−ブトキシカルボニル)− Im −ジニトロフェニル−L
−ヒスチジン[t−Bocヒスチジン]を用いた。
【0037】得られたペプチドについて参考例1におけ
ると同様にして脱保護と固相からの脱離を行い、粗生成
物を精製した。精製ペプチドについて、分析用高速液体
クロマトグラフにおける溶出時間は17.7min、お
よびFAB法マススペクトルによる分子量測定結果は1
063(理論値:1063.32)であった。
【0038】参考例3 ヒトIL−1との結合性試験 金属ナトリウムの存在下で蒸留することによって得られ
たジオキサン5ml中にセルロース粒子(生化学工業株
式会社販売、CM−セルロファインCH)1gを懸濁さ
せ、得られた懸濁液にN−ヒドロキシコハク酸イミド
0.05gおよびジシクロヘキシルカルボジイミド0.
1gを加え、混合物を室温下で1晩振盪攪拌した。得ら
れた混合物を0.02モル/lのリン酸塩緩衝液(p
H:7.4)で洗浄し、吸引ろ過した。得られた粒子
を、参考例1および参考例2で得られたペプチドの1m
gを含有する水溶液1mlと混合し、この混合物を4℃
の温度で1晩攪拌した。得られた混合物を吸引瀘過し
た。瀘液を分析用逆相高速液体クロマトグラフィーに付
したが、残存する未反応のペプチドはいずれも認められ
なかった。(担体上のペプチドの固定化率:約100
%)。このようにして、参考例1および参考例2で得ら
れたペプチドの各1mgが固定化された吸着剤各1gを
得た。
【0039】吸着剤100mgを秤取り、これに5%の
牛血清アルブミンを含むPBS(0.15MのNaCl
を含む10mMリン酸塩緩衝液、pH 7.4)100
μlを加えて4℃で一晩インキュベートし、次いで↑ 12
5I標識ヒトIL−1β(アマシャム・ジャパン社より
購入)約300Bq(16,300cpm)を加え室温
で3時間インキュベートした。得られた混合物を0.2
%のトリトンX−100を含むトリス緩衝液(pH:
7.4)で5回洗浄した後、吸着剤上に残存する放射活
性をγカウンターで測定した。その結果、参考例1で得
られたペプチドを固定化した吸着剤からは1,850c
pm、参考例2で得られたペプチドを固定化した吸着剤
からは2,400cpmのカウントが得られ、グリシン
(H-Gly-OH)(対照例)を固定化した吸着剤の45cp
mと比較して有意に高い放射活性が観測され、参考例1
および2で得られたペプチドがヒトIL−1結合能を有
することが確認された。
【0040】実施例1 注射剤 参考例1で得られたペプチドを4mg/1mlの割合で
溶解した5%ブドウ糖溶液をポアサイズ0.22μmの
フィルターを通じて瀘過滅菌したのち、加熱滅菌したバ
イアル瓶に5mlずつ無菌的に分注して注射剤とした。
【0041】実施例2 徐放性注射剤 参考例2で得られたペプチド10mgを溶解した蒸溜水
をポアサイズ0.22μmのフィルターを通じて瀘過滅
菌し、無菌的にポリD,L乳酸とグリコール酸の共重合
体(組成比、75:25、平均分子量約10,000)
の塩化メチレン溶液と混合してW/Oエマルジョンを作
成した。さらに上記エマルジョンをヘキサンに懸濁した
後、減圧下に溶媒を除去してペプチドを含有したポリ乳
酸マイクロカプセルを得た。
【0042】実施例3 経鼻剤 参考例2で作成したペプチド10mg、パラオキシ安息
香酸メチル1.36mg、パラオキシ安息香酸プロピル
0.16mgおよびブドウ糖50mgを蒸溜水1mlに
溶解した後、ポアサイズ0.22μmのフィルターを通
じて瀘過滅菌して経鼻投与用液を得た。
【0043】実施例4 腸溶性カプセル剤 ポリビニルフタレート65部とゼラチン35部の水溶液
から調製した腸溶性カプセルに、参考例2で得られたペ
プチド50mg、ブドウ糖250mgおよび結晶セルロ
ース1gを混合したものを充填して腸溶性カプセル剤を
得た。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、リウマチ性関節炎、歯
周囲炎、腎炎、皮膚炎、潰瘍性大腸炎、動脈硬化症、硅
肺症などのIL−1が関与する疾患の罹患者の治療に有
効な抗炎症剤が提供される。本発明により提供される抗
炎症剤は、上記の試験例から明らかなように、その有効
成分であるペプチドまたはその塩がヒトIL−1と特異
的に結合する能力を有しており、生体内でIL−1とI
L−1受容体との結合を阻害することから、上記疾患の
罹患者に投与することにより体液中のIL−1を中和し
て該疾患の症状を軽減することができる。
【0045】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:16 配列の型:アミノ酸 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Val Val Arg Asn Ser Ser Tyr Cys Leu Arg Ile Lys Ile Ser Ala Lys 1 5 10 15
【0046】配列番号:2 配列の長さ:17 配列の型:アミノ酸 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Lys Asn Ser Ser Tyr Cys Leu Arg Ile Lys Ile Ser Ala Lys Phe Val 1 5 10 15 Glu
【0047】配列番号:3 配列の長さ:17 配列の型:アミノ酸 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Lys Tyr Cys Leu Arg Ile Lys Ile Ser Ala Lys Phe Val Glu Asn Glu 1 5 10 15 Pro
【0048】配列番号:4 配列の長さ:10 配列の型:アミノ酸 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0049】配列番号:5 配列の長さ:8 配列の型:アミノ酸 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0050】配列番号:6 配列の長さ:7 配列の型:アミノ酸 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0051】配列番号:7 配列の長さ:8 配列の型:アミノ酸 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0052】配列番号:8 配列の長さ:7 配列の型:アミノ酸 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0053】配列番号:9 配列の長さ:8 配列の型:アミノ酸 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0054】配列番号:10 配列の長さ:9 配列の型:アミノ酸 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0055】配列番号:11 配列の長さ:9 配列の型:アミノ酸 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列の特徴 特徴を表す記号:modified site 存在位置:2、4、6、8 特徴を決定した方法:E その他の情報:Xaa はいずれもNle を表す。
【0056】配列番号:12 配列の長さ:9 配列の型:アミノ酸 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0057】配列番号:13 配列の長さ:9 配列の型:アミノ酸 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0058】配列番号:14 配列の長さ:8 配列の型:アミノ酸 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0059】 配列番号:15 配列の長さ:9 配列の型:アミノ酸 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列の特徴 特徴を表す記号:modified site 存在位置:9 特徴を決定した方法:E その他の情報:XaaはSerの−COOH基を−CONH 2 基で置換したものを表 す。 配列 Lys Ile Cys Ile Arg Ile Gln Ile Xaa 1 5
【0060】配列番号:16 配列の長さ:9 配列の型:アミノ酸 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:ペプチド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 悦子 東京都品川区旗の台1−5−8 昭和大 学内 (72)発明者 水島 裕 神奈川県川崎市宮前区菅生2−16−1 聖マリアンナ医科大学難病治療研究セン タ− (72)発明者 鈴木 康夫 神奈川県川崎市宮前区菅生2−16−1 聖マリアンナ医科大学難病治療研究セン タ− (72)発明者 安倍 千之 神奈川県川崎市宮前区菅生2−16−1 聖マリアンナ医科大学難病治療研究セン タ− 審査官 大宅 郁治 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 38/00 - 38/58 GenBank/EMBL/DDBJ(G ENETYX)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 H−X1−Cys− 1 −B 1 −A 2 −B 2 −A 3 −Ser−X2
    Y (式中、 1 、A 2 およびA 3 はそれぞれVal、Leu、Ileお
    よびNleよりなる群から選ばれるアミノ酸残基を表し、
    1 およびB 2 はそれぞれArg、Lys、Gln、HisおよびSer
    よりなる群から選ばれるアミノ酸残基を表し、X1およ
    びX2はそれぞれ単結合またはGly、Ala、Val、Arg、As
    n、Ser、Phe、Pro、Leu、Glu、Asp、Lys、Thr、His、Ty
    r、NleおよびIleよりなる群から選ばれる1〜10個の
    アミノ酸残基よりなるペプチド断片を表し、Yは水酸基
    またはアミノ基を表す)で示され、かつヒトインターロ
    イキン−1結合能を有するペプチドまたはその塩を有効
    成分として含有する抗炎症剤。
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