JP3058432U - 電磁誘導加熱式炊飯器の内鍋 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】内鍋の取り外しおよび取り付けの繰り返しによ
って、電磁誘導加熱式炊飯器の内鍋収容部が傷つけられ
ることを防止し、また、米研ぎ作業の際に内鍋によって
調理台表面が傷つけられることを防止する。 【解決手段】アルミニウムまたはアルミニウム合金から
なる内鍋本体１を備える。内鍋本体の外面は、少なくと
も底面領域にプラズマ溶射によって形成された金属発熱
層３を有しているとともに少なくとも電磁誘導加熱式炊
飯器の内鍋収容部と接触する領域を研磨されており、か
つ少なくとも金属発熱層の領域を耐熱保護層４によって
被覆されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、電磁誘導加熱式炊飯器の内鍋の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

電磁誘導加熱式炊飯器は、炊飯器の内鍋収容部に収容された電磁誘導加熱対応の 内鍋を備えている。この電磁誘導加熱対応の内鍋は、非磁性金属材料からなる内 鍋本体と、内鍋本体の外面に設けられた磁性金属材料との複合構造を有している 。そして、炊飯器の内鍋収容部内に配置された誘導加熱コイルによって内鍋の磁 性金属材料中に渦電流を発生させ、内鍋をこの渦電流により自己発熱させ、それ によって加熱、炊飯が行われるようになっている。

【０００３】 電磁誘導加熱対応の内鍋としては、例えば、熱伝導性にすぐれ、加工が容易なア ルミニウムまたはアルミニウム合金から内鍋本体を成形し、内鍋本体の外側底面 領域に、鉄やステンレス等の磁性金属材料を溶射することによって形成したもの が存在する。

【０００４】 この従来の電磁誘導加熱対応の内鍋においては、磁性金属材料が溶射された外側 底面領域は、表面が粗く、凹凸が形成されているが、この溶射領域はそのままの 状態で、内鍋外面に塗装がなされ最終製品が製造されている。 したがって、電磁誘導加熱式炊飯器が実際に使用され、内鍋の炊飯器からの取り 出しおよび炊飯器への取り付けが繰り返されると、内鍋の溶射領域と炊飯器の内 鍋収容部との接触面が擦れ合い、内鍋の溶射領域の凹凸によって炊飯器の内鍋収 容部が傷つけられて磨耗し、炊飯器の耐用年数が低下するという問題、さらには 、内鍋を炊飯器から取り出して調理台の上に置いて米研ぎ作業を行う場合、内鍋 底面の溶射領域の凹凸によって調理台の表面が容易に傷つけられるという問題を 生じていた。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

したがって、本考案の課題は、内鍋の取り外しおよび取り付けの繰り返しによっ て、電磁誘導加熱式炊飯器の内鍋収容部が傷つけられることを防止し、また、米 研ぎ作業の際に内鍋によって調理台表面が傷つけられることを防止することにあ る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するため、本考案は、電磁誘導加熱式炊飯器の内鍋であって、ア ルミニウムまたはアルミニウム合金からなる内鍋本体を有し、内鍋本体の外面は 、少なくとも底面領域にプラズマ溶射によって形成された金属発熱層を有してい るとともに少なくとも電磁誘導加熱式炊飯器の内鍋収容部と接触する領域を研磨 されており、かつ少なくとも金属発熱層の領域を耐熱保護層によって被覆されて いるものであることを特徴とする内鍋を構成したものである。

【０００７】 この構成において、内鍋本体の外面は金属発熱層の領域を研磨されていることが 好ましく、さらに好ましくは、内鍋本体の外面は金属発熱層を含む全領域を研磨 されている。 さらに好ましくは、耐熱保護層は、無機材料または耐熱性塗料またはそれらの組 み合わせからなっており、また、内鍋本体は内面にフッ素樹脂被覆層を有してい る。

【０００８】

【考案の実施の形態】

以下、添付図面を参照しながら本考案の好ましい実施例について説明する。 図１は、本考案による電磁誘導加熱式炊飯器の内鍋の１実施例の縦断面図である 。図１において、本考案による電磁誘導加熱式炊飯器の内鍋は、アルミニウムま たはアルミニウム合金のいずれかからなる内鍋本体１を有している。そして、内 鍋本体１の内面には、フッ素樹脂加工によってフッ素樹脂被覆層２が形成されて いる。

【０００９】 内鍋本体１の外面の底面領域には、鉄、アルミニウム等の金属溶射によって金属 発熱層３が形成されている。金属発熱層３は、単一層として形成されてもよいし 、異なる種類の複数の金属発熱層の積層構造として形成されていてもよい。 この実施例では、内鍋本体１外面に直接、金属発熱層が形成されるが、内鍋本体 １外面と金属発熱層の間に電解被膜または化学処理被膜を有する構成とすること もできる。後者の場合には、内鍋本体１と金属発熱層３の密着性がより増大する と同時に、耐腐食性がより向上する。 この場合、金属発熱層３は金属溶射によって形成されるので、その表面は粗く凹 凸を有している。

【００１０】 内鍋本体１の外面は、少なくとも電磁誘導加熱式炊飯器の内鍋収容部と接触する 領域を研磨されており、より好ましくは、内鍋本体１の外面は金属発熱層３の領 域を研磨されており、さらに好ましくは、内鍋本体１の外面は金属発熱層３を含 む全領域を研磨されている。

【００１１】 金属発熱層３は耐熱保護層４によって被覆されている。耐熱保護層４は、無機材 料または耐熱性塗料またはそれらの組合せから形成されている。この耐熱保護層 によって、溶射形成された金属発熱層３の表面が保護され、表面の硬度が増大す る。

【００１２】 本考案による内鍋は、電磁誘導加熱式炊飯器の内鍋収容部にセットされて使用さ れる。そして、炊飯器本体のスイッチが入れられると、炊飯器の内鍋収容部内に 配置された誘導加熱コイルから発生する磁力線によって内鍋の金属発熱層３中に 渦電流が生じて金属発熱層３が自己発熱する。発生した熱は、アルミニウムの高 い熱伝導性によって内鍋全体に伝導する。耐熱保護層４によって内鍋外部への放 熱が抑制され、発生した熱は内鍋内部に効率よく吸収され、蓄熱される。このた め、米の炊きあがりが非常に良くなる。また、内鍋本体内面に形成されたフッ素 樹脂被覆層の離型性によって調理材料のこびり付きが防止され、また内鍋の洗浄 が容易になる。

【００１３】 また、内鍋本体１の外面は、少なくとも電磁誘導加熱式炊飯器の内鍋収容部と接 触する領域を研磨され、滑らかな表面を形成しているので、炊飯器の使用に際し 、内鍋の炊飯器からの取り出しおよび炊飯器への取り付けが繰り返されても、内 鍋と炊飯器の内鍋収容部とが繰り返し接触しても、内鍋によって炊飯器の内鍋収 容部は傷つけられにくい。また、内鍋本体１外面の金属発熱層３の領域が研磨さ れている場合には、内鍋を炊飯器から取り出して調理台の上に置いて米研ぎ作業 を行っても、調理台の表面は容易に傷つけられない。 さらに、内鍋本体１外面の金属発熱層３の領域が研磨されると、金属発熱層３の 表面の凹凸がなくなることによって、内鍋の自己発熱量がより増大し、熱効率が 向上する。 加えて、このように表面を研磨することで、研磨された表面に離型性が付与され 、不純物が付着しにくいという効果が得られる。

【００１４】 図２は、本考案による電磁誘導加熱式炊飯器の内鍋の別の実施例の縦断面図であ り、図３は、本考案による電磁誘導加熱式炊飯器の内鍋のさらに別の実施例の縦 断面図である。図２および図３に示した実施例は、金属発熱層３および耐熱保護 層４の形成される領域が図１に示した実施例と相違している。したがって、図２ および図３の実施例において図１の実施例と同一の構成要素には同一の番号を付 し、説明の重複を避けることにする。

【００１５】 図２の実施例では、金属発熱層３は、内鍋本体１の外面における底面から側面の 全領域にわたって形成されており、耐熱保護層４が金属発熱層３を被覆している 。図３の実施例では、金属発熱層３は、内鍋本体１の外面の底面領域から側面下 部領域（底面から高さ約３０mmまでの側面領域) にわたって形成されており、耐 熱保護層４は金属発熱層３を含む内鍋本体外面の全領域を被覆している。 図２および図３の実施例においても図１の実施例と同様の効果が得られるが、図 ２の実施例では、発熱量および蓄熱量が増大するとともに、容器内部の熱対流が より効果的になされ、より熱効率が良く、より調理に適した容器が提供される。 さらに図３の実施例では、容器全体の強度がより増大するという効果も得られる 。

【００１６】

【考案の効果】

以上のように、本考案によれば、内鍋本体の外面は、少なくとも電磁誘導加熱式 炊飯器の内鍋収容部と接触する領域を研磨され、滑らかな表面を形成しているの で、炊飯器の使用に際し、内鍋の炊飯器からの取り出しおよび炊飯器への取り付 けが繰り返されても、炊飯器の内鍋収容部は傷つけられにくい。また、内鍋本体 外面の金属発熱層の領域が研磨されている場合には、内鍋を炊飯器から取り出し て調理台の上に置いて米研ぎ作業を行っても、調理台の表面は容易に傷つけられ ない。

【００１７】 さらに、内鍋本体外面の金属発熱層の領域が研磨されると、金属発熱層の表面の 凹凸がなくなることによって、内鍋の自己発熱量がより増大し、熱効率が向上す る。さらに、表面を研磨することで、研磨された表面に離型性が付与され、不純 物が付着しにくいという効果が得られる。 加えて、本考案によれば、熱効率が良くて米の炊きあがりが非常に良くなる実用 的な電磁誘導加熱式炊飯器の内鍋を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による電磁誘導加熱式炊飯器の内鍋の１
実施例の縦断面図である。

【図２】本考案による電磁誘導加熱式炊飯器の内鍋の別
の実施例の縦断面図である。

【図３】本考案による電磁誘導加熱式炊飯器の内鍋のさ
らに別の実施例の縦断面図である。

【符号の説明】

１ 内鍋本体 ２ フッ素樹脂被覆層 ３ 金属発熱層 ４ 耐熱保護層

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 電磁誘導加熱式炊飯器の内鍋であって、
   アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる内鍋本体
   を有し、前記内鍋本体の外面は、少なくとも底面領域に
   プラズマ溶射によって形成された金属発熱層を有してい
   るとともに少なくとも前記電磁誘導加熱式炊飯器の内鍋
   収容部と接触する領域を研磨されており、かつ少なくと
   も前記金属発熱層の領域を耐熱保護層によって被覆され
   ているものであることを特徴とする内鍋。
2. 【請求項２】 前記内鍋本体の外面は前記金属発熱層の
   領域を研磨されていることを特徴とする請求項１に記載
   の内鍋。
3. 【請求項３】 前記内鍋本体の外面は前記金属発熱層を
   含む全領域を研磨されていることを特徴とする請求項１
   または請求項２に記載の内鍋。
4. 【請求項４】 前記耐熱保護層は、無機材料または耐熱
   性塗料またはそれらの組み合わせからなっていることを
   特徴とする請求項１〜請求項３のいずれかに記載の内
   鍋。
5. 【請求項５】 前記内鍋本体は内面にフッ素樹脂被覆層
   を有していることを特徴とする請求項１〜請求項４のい
   ずれかに記載の内鍋。