JP3058326B2 - 舗装補強兼防水シート及びそれを用いた舗装方法 - Google Patents

舗装補強兼防水シート及びそれを用いた舗装方法

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JP3058326B2
JP3058326B2 JP10134708A JP13470898A JP3058326B2 JP 3058326 B2 JP3058326 B2 JP 3058326B2 JP 10134708 A JP10134708 A JP 10134708A JP 13470898 A JP13470898 A JP 13470898A JP 3058326 B2 JP3058326 B2 JP 3058326B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、コンクリ
ートスラブや鋼床版等を用いて構築される橋梁の舗装防
水処理、建物の屋上駐車場の舗装防水処理、更にはアス
ファルトコンクリート舗装に発生したクラック、破損等
の損傷を補修する際に用いられる舗装補強兼防水シート
に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】一般に、コンクリート
スラブを用いて構築される橋梁の床版上には、アスファ
ルトコンクリートからなる、厚さが5〜10cm程度の
保護層(以下、舗装体と言う)が形成される。つまり、
地面に形成される路面と同様、舗装処理が施される。
【0003】しかし、こうした舗装体を設けても、この
舗装体端部に設置された地腹部からの雨水の浸透、舗装
体自身が有する空隙からの浸水、更には供用後に発生す
るクラックからの浸透水等により、橋梁の床版が雨水等
に侵されるのを避けることはできない。実際、供用後1
0〜20年程度経過した橋梁の床版には、クラックや部
分的な剥離の発生が認められ、これによっても、雨水等
の浸透により床版が侵食されている事実が裏付けられ
る。このため、現在では、床版上に舗装体を設けるに先
立ち、防水処理を施すのが当然のこととなっている。
【0004】さて、防水処理方法としては、シート材を
用いる工法と塗膜による工法の2種類がある。このうち
前者は、ポリエステル不織布等からなる芯材にアスファ
ルト等を含浸させて得たシート材を用いることを特徴と
する。施工に際しては、アスファルトを200℃以上に
加熱し溶融させてなる貼着剤をシート材と床版との間に
流し込む。防水機能は、こうして床版に貼着されたシー
ト材によって発揮される。
【0005】一方、後者すなわち塗膜による防水処理方
法は、200℃以上に加熱し溶融させたゴム系アスファ
ルトを、ローラー刷毛を用いて橋梁の床版表面に塗布す
るものである。この場合、防水機能は、こうして形成さ
れたゴム系アスファルトの塗膜によって発揮される。と
ころが、こうした防水処理方法にも、さまざまな問題点
がある。
【0006】まず、シート材を用いる防水処理方法につ
いては、安全性や施工性が良くないことが挙げられる。
すなわち、この方法では、溶融させたアスファルトを取
り扱わねばならないので、火傷や火災の危険がある。ま
た、作業工程数が多く、作業内容も複雑であるため、一
日に施工可能な面積が小さく、したがって短期間で防水
処理を完了させようとすれば、多くの作業人員が必要と
なる。更に、このシート材を用いる防水処理方法では、
シート材と床版表面との間、特に路面切削によって形成
される床版表面の凹凸部分に空気が残るのを防止するた
め、細心の注意を払って作業を行わねばならない。そし
て、これが一層作業効率を悪化させる原因となってい
る。
【0007】これに対して、塗膜による防水処理方法で
も、やはり溶融させたゴム系アスファルトを取り扱わね
ばならないので、火傷や火災の危険がある。また、路面
切削によってできる床版表面の凹凸が激しい場合、ある
いは路面勾配が大きい場合には、一定厚みの塗膜を形成
するのが難しく、所期の防水効果が得られないことがあ
る。更に、この塗膜による防水処理方法では、ゴム系ア
スファルト加熱時に臭気や有害な煙の発生が避けられ
ず、作業環境が劣悪となる。
【0008】ところで、舗装に関しては、上述した防水
に係る点以外にも、早急に解決を迫られている課題が存
在する。すなわち、交通量の多い道路、特に貨物トラッ
ク等の大型車両が頻繁に往来する場所では、浸透水によ
る床版の劣化と共に、舗装体そのものに、わだち掘れや
クラックといった損傷が早期に発生する。このため、舗
装体の耐用年数は極めて短く、頻繁な改修工事が必要で
あった。
【0009】したがって、本発明が解決しようとする課
題は、雨水などが床版へ浸透するのを効果的に抑止で
き、しかも舗装工事の際の安全性や作業効率の向上が図
れる舗装補強兼防水シート及びそれを用いた舗装方法を
提供することである。また、舗装体が早期に損傷しない
よう、その強度を増大させることができる舗装補強兼防
水シートを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
鋭意研究を推し進めた結果、本発明者は、芯材としてポ
リエステル不織布のようなシート状のものの代わりに、
メッシュ状のものを使用し、それをアスファルト系材料
からなる不透水層に埋設状態で配置した構造の舗装補強
兼防水シートを用いればよいであろうとの結論に到達し
た。特に、不透水層を形成するアスファルト系材料とし
て、加熱された舗装材に接することによって、半溶融状
態となるものを用いればよいことを見出すに至った。
【0011】すなわち、こうした構造の舗装補強兼防水
シートは、ある温度に加熱された舗装材をその上に載せ
ることにより、一時的に半溶融状態となって床版に固着
するので、従来工法のごとく、一枚ずつ床版に対して貼
着するといった手間の係る工程を必要としない。言い換
えれば、床版上に、一度に必要な枚数を配列した後、そ
の上に加熱された舗装材を載せ、転圧することで、舗装
補強兼防水シートは、床版に対して確実に固定される。
このため作業工程数は少なく、一日に施工可能な面積が
飛躍的に増大し、少ない人員でも短期間で施工を完了さ
せることができる。
【0012】そして、舗装補強兼防水シート敷設時に、
それと床版との間に空気が逃げ残ったとしても、舗装補
強兼防水シートの芯材はメッシュ状であるから、半溶融
した不透水層を破って外に逃げようとする空気の流れを
拒まない。したがって、敷設の際、空気が残らないよう
細心の注意を払う必要はなく、作業効率が大幅に向上す
る。なお、空気が逃げた際に半溶融した不透水層にでき
る孔は、それが固化する前に自己閉塞するので、防水性
が低下することはない。
【0013】更に、本発明の舗装補強兼防水シートは、
上述したように、その敷設に当たり貼着剤、すなわち加
熱し溶融させたアスファルト等を必要とせず、そのまま
床版上に載置するだけでよい。ゆえに、火傷や火災の恐
れはなく、安全性に優れる。また、当然ながら、臭気や
有害な煙の発生を伴わないので、作業環境を悪化させる
こともない。
【0014】加えて、本発明の舗装補強兼防水シート
は、埋設配置されたメッシュ状の芯材が、その上に設け
られる舗装体と強固に結合し、その強度を著しく増大さ
せる。よって、クラック等の損傷の発生が効果的に抑え
られる。そして、特に、このメッシュ状の芯材は、舗装
体に作用する曲げ応力や引張り応力、剪断応力に抵抗し
その変形を拘束する役割を果たす。ゆえに、舗装体の流
動、つまり、わだち掘れが抑制され、この結果、耐久性
が著しく向上する。
【0015】本発明は、こうした知見に基づいてなされ
たもので、上記の課題は、舗装される床版上に敷設され
る舗装補強兼防水シートであって、縦方向に配列した、
2本の繊維をより合わせてなる線材と、 横方向に配列し
た、2本の繊維をより合わせてなる線材とを、互いに交
差する部分にて接合することにより構成されたメッシュ
状の芯材と、この芯材が埋設されたアスファルト系材料
からなる不透水層とを具備してなることを特徴とする舗
装補強兼防水シートによって解決される。
【0016】特に、上記の課題は、メッシュ状の芯材
と、この芯材が埋設されたアスファルト系材料からなる
不透水層とを具備してなる舗装補強兼防水シートであっ
て、前記不透水層を形成するアスファルト系材料とし
て、加熱された舗装材に接することによって、半溶融状
態となるものを用いたことを特徴とする舗装補強兼防水
シートによって解決される。
【0017】なお、この舗装補強兼防水シートにおいて
は、施工性を特に優れたものとするため、アスファルト
系材料に樹脂材料及び/又はゴム材料を含有させ、前記
アスファルト系材料で構成された不透水層を、軟化温度
が80〜140℃で、かつ、針入度が15〜80(試験
条件:JIS K2207)としてなることが好まし
い。
【0018】また、これと同様の理由から、不透水層の
厚さを、1.5〜3.5mmとしてなることが好まし
い。なお、芯材は、ガラス繊維、カーボン繊維、合成樹
脂繊維(特にポリエステル繊維)からなる群の中から選
ばれた一つ、あるいは二つ以上を組み合わせたものから
構成することができる。
【0019】そして、作業時、その上に載った際に、靴
底やタイヤに不透水層の一部が付着したり、舗装補強兼
防水シートをロール状に巻回した際に、隣接する不透水
層同士が剥離不能となったりしないようにするため、こ
の不透水層の一方側の面には珪砂を付着させ、他方側の
面には剥離紙を貼着させてなることが好ましい。更に、
施工性を高めるため、不透水層を、芯材を挟んで向き合
う上層部と下層部とから構成し、加熱された舗装材が載
る上層部の軟化温度を下層部の軟化温度よりも高くし、
かつ、床版側に位置する下層部の針入度を上層部の針入
度よりも高くしてなることが好ましい。
【0020】なお、本明細書において、メッシュ状と
は、ある径を有する線材を所定の間隔(特に線材自身の
径よりも大きい間隔)で縦横に配列し、格子化した形態
を意味する。また、アスファルト系材料の半溶融状態と
は、容易に流動が起きるほど粘性は低くないが、空気が
透過できない程には固まっていない状態を指す。本発明
の課題は、上記舗装補強兼防水シートと共に、それを用
いた舗装方法であって、舗装される床版の表面にプライ
マーを塗布するプライマー塗布工程と、このプライマー
塗布工程で得られたプライマー層を覆うよう、前記舗装
補強兼防水シートを前記床版上に敷設する舗装補強兼防
水シート敷設工程と、この舗装補強兼防水シート敷設工
程で敷設された舗装補強兼防水シートの上に加熱された
舗装材を所定の厚みに設ける本舗装工程とを具備するこ
とを特徴とする舗装補強兼防水シートを用いた舗装方法
によって解決される。
【0021】
【発明の実施の形態】以下で本発明の一実施形態として
説明する舗装補強兼防水シートは、舗装される床版上に
敷設されるものであって、メッシュ状の芯材と、この芯
材が埋設状態で配置された、アスファルト系材料からな
る不透水層とを具備する。そして、この不透水層を形成
するアスファルト系材料としては、加熱された舗装材に
接することによって、半溶融状態となるものを用いてい
る。特に、本実施形態の舗装補強兼防水シートにおける
不透水層を形成するアスファルト系材料は、合成樹脂材
料(又はゴム材料、あるいは合成樹脂材料及びゴム材料
の両方)を含有し、軟化温度が80〜140℃であり、
かつ、針入度が15〜80(試験条件:JISK220
7)である。一方、不透水層の厚さは、1.5〜3.5
mmである。更に、芯材はガラス繊維から構成してい
る。そして、不透水層の一方側の面には珪砂を付着さ
せ、他方側の面には剥離紙を貼着させている。これに加
えて、本実施形態では、不透水層を、芯材を挟んで向き
合う上層部と下層部とから構成し、前記上層部の軟化温
度を前記下層部の軟化温度よりも高くし、かつ、前記下
層部の針入度を前記上層部の針入度よりも高くしてい
る。
【0022】また、以下で本発明の一実施形態として説
明する舗装方法は、この舗装補強兼防水シートを用いた
もので、舗装される床版の表面にプライマーを塗布する
プライマー塗布工程と、このプライマー塗布工程で得ら
れたプライマー層を覆うよう、前記舗装補強兼防水シー
トを前記床版上に敷設する舗装補強兼防水シート敷設工
程と、この舗装補強兼防水シート敷設工程で敷設された
舗装補強兼防水シートの上に加熱された舗装材を所定の
厚みに設ける本舗装工程とを具備する。
【0023】続いて、図1〜図3を用い、本発明の実施
形態を更に詳しく説明する。なお、図1は本実施形態の
舗装補強兼防水シートの破断面図、図2は芯材の構造を
示す平面図、図3は舗装手順を説明するための工程図で
ある。本実施形態の舗装補強兼防水シートは、保護層す
なわち舗装体が設けられる床版(コンクリートスラブ)
上に敷設されるものであり、図1から判るように、芯材
1と、この芯材1が埋設状態で配置された、アスファル
ト系材料からなる不透水層2とを具備する。そして、本
実施形態では、この舗装補強兼防水シートの厚さ、すな
わち不透水層2の厚さを、1.5〜3.5mm、特に、
1.7mmとしている。ちなみに、本実施形態の舗装補
強兼防水シートの実際の大きさは、長さが約10m、幅
が約1mである。
【0024】上記構成要素のうち、芯材1は、図1にお
いては一部のみしか示されていないが、実際には図2に
示すようなメッシュ状のものを用いている。本実施形態
では、この芯材1をガラス繊維から構成している。すな
わち、芯材1は、ガラス繊維からなる所定径のより線1
a,1bを縦横に配列し、交差する部分を接合して得ら
れたものである。なお、ここで用いた、より線の径は、
0.1〜1.0mmであり、格子寸法すなわち、より線
間隔(図2中、d1 ,d2 で示す)は、3〜10mmで
ある。そして、より線1aとより線1bとの接合には、
合成樹脂系の接着剤を使用した。但し、接着剤を使用せ
ず熱融着によって、より線同士を接合してもよい。
【0025】一方、不透水層2は、上述したようにアス
ファルト系材料からなるが、ここでは、このアスファル
ト系材料として、所定温度に加熱された舗装材に接する
ことによって、半溶融状態となるものを用いている。更
に詳しく言えば、不透水層2を形成するアスファルト系
材料は、合成樹脂材料(又はゴム材料、あるいは合成樹
脂材料及びゴム材料の両方)の配合によって改質された
ものであり、不透水層2の軟化温度は80〜140℃、
針入度が15〜80(試験条件:JIS K2207)
である。
【0026】不透水層2は、芯材1を挟む二つの部分に
分けられる。すなわち、上に舗装体が設けられる上層部
と、床版側に面する下層部とに区分できる。本実施形態
では、この上層部と下層部とを互いに異なる組成のアス
ファルト系材料から構成している。更に具体的に言え
ば、軟化温度については、上層部側を下層部側よりも高
く、一方、針入度については、下層部側を上層部側より
も高くしている。但し、両者の間に厳密な境界面は存在
せず、実質上、一体となっている。
【0027】更に、本実施形態の舗装補強兼防水シート
では、不透水層2の一方側の面(舗装体と接する上層部
の面)には珪砂を付着させ、珪砂層3を形成している。
これに対して、不透水層2の他方側の面(床版側に面す
る下層部の面)には剥離紙4を貼着させている。珪砂層
3を設けたのは、敷設作業時、舗装補強兼防水シートの
上に作業員や車両が載ったとき、不透水層2の一部が靴
底やタイヤに付着しないようにするためである。他方、
剥離紙4を貼着させたのは、舗装補強兼防水シートがロ
ール状に巻回された状態(荷姿)で取り扱われるからで
ある。つまり、剥離紙4は、隣接する不透水層2同士が
剥離不可能な状態に陥るのを防ぐために設けられてい
る。但し、言うまでもないが、床版上への敷設に際し
て、この剥離紙4は取り除かれる。
【0028】なお、ここでは、芯材1をガラス繊維から
構成したが、これ以外にも、合成樹脂繊維(特にポリエ
ステル繊維)あるいはカーボン繊維から芯材1を構成し
てもよい。更には、ガラス繊維、カーボン繊維、合成樹
脂繊維の群の中から選ばれた二つ以上の材料から芯材1
を構成することもできる。続いて、図3に基づき、上記
舗装補強兼防水シートを用いた防水舗装方法(以下、本
舗装方法と言う)について説明する。なお、これは、橋
梁を対象としたものであるが、建物の屋上駐車場や一般
の道路についても同様にして行われる。
【0029】本舗装方法では、まず、路面切削によっ
て、保護層である舗装体が除去された床版5の表面に、
例えば浸透性を有するゴムアスファルト系のプライマー
(常温接着剤)を塗布し、プライマー層6を形成する
〔プライマー塗布工程:図3の(a)参照〕。但し、プ
ライマーを塗布するに際しては、床版5の表面を十分に
清掃し、乾燥させておく。また、プライマーの塗布量
は、0.2リットル/m2 程度とし、塗布後、30分以
上乾燥させる。なお、床版が鋼製の場合には、防蝕効果
に優れたゴムアスファルト系のプライマーを使用する。
【0030】これが済んだならば、このプライマー塗布
工程で得られたプライマー層6を覆うよう、舗装補強兼
防水シート7を床版5の上に、剥離紙を取り除いて敷設
する〔舗装補強兼防水シート敷設工程:図3の(b)参
照〕。但し、この際、隣接する舗装補強兼防水シート7
同士の端部を多少、例えば5〜10cm程度オーバーラ
ップさせておく。なお、床版5が傾斜している場合に
は、上方に位置するものの端部を下方に位置するものの
端部上に載せる。
【0031】こうして床版5の上に舗装補強兼防水シー
ト7を敷設したならば、ローラーを用いて転圧する。こ
の際、ローラーは、敷設した舗装補強兼防水シート7が
めくれない方向に移動させる。次に、舗装補強兼防水シ
ート7の上に所定温度、例えば160℃程度に加熱され
た舗装材を規定の厚みに設ける〔本舗装工程:図3の
(c)参照〕。これによって、床版5の上には、舗装体
8が形成され、防水舗装処理が完了する。
【0032】上述したように本実施形態では、舗装補強
兼防水シートを、メッシュ状の芯材が、加熱された舗装
材と接することによって半溶融状態となるアスファルト
系材料の不透水層に埋設配置された構造としている。し
たがって、舗装工事の際、上に加熱された舗装材が載れ
ば、この舗装補強兼防水シートは、一時的に半溶融状態
となって床版に固着するので、従来工法のごとく、一枚
ずつ床版に対して貼着するといった手間の係る工程を必
要としない。すなわち、床版上に、一度に必要な枚数を
配列した後、その上に加熱された舗装材を載せ、転圧す
ることで、舗装補強兼防水シートは、床版に対して確実
に固定される。このため作業工程数は少なく、一日に施
工可能な面積が飛躍的に増大し、少ない人員でも短期間
で施工を完了させることができる。
【0033】また、舗装補強兼防水シート敷設時に、そ
れと床版との間に空気が逃げ残ったとしても、舗装補強
兼防水シートの芯材はメッシュ状であるから、半溶融し
た不透水層を破って外に逃げようとする空気の流れを拒
まない。したがって、敷設の際、空気が残らないよう細
心の注意を払う必要はなく、作業効率が大幅に向上す
る。しかも、空気が逃げた際に半溶融した不透水層にで
きる孔は、それが固化する前に自己閉塞するので、防水
性が低下することはない。
【0034】更に、本実施形態の舗装補強兼防水シート
は、上述したように、その敷設に当たり貼着剤、すなわ
ち加熱し溶融させたアスファルト等を必要とせず、その
まま床版上に載置するだけでよい。ゆえに、火傷や火災
の恐れはなく、安全性に優れる。また、臭気や有害な煙
の発生を伴わないので、作業環境を悪化させることもな
い。
【0035】これに加えて、本実施形態の舗装補強兼防
水シートは、埋設配置されたメッシュ状の芯材が、その
上に設けられる舗装体と強固に結合し、その強度を著し
く増大させる。よって、クラック等の損傷の発生が効果
的に抑えられる。そして、特に、このメッシュ状の芯材
は、舗装体に作用する曲げ応力や引張り応力、剪断応力
に抵抗し、その変形を拘束する役割を果たす。ゆえに、
舗装体の流動、つまりわだち掘れが抑制され、この結
果、舗装体の耐久性が格段に向上する。
【0036】
〔表1〕
引張り強さ(縦方向):10〜100kgf/cm 引張り強さ(横方向):10〜100kgf/cm また、不透水層を形成するアスファルト系材料、特に、
その上層部側を形成するアスファルト系材料としては、
組成及び物理的特性が、それぞれ表2、表3に示される
ものを、一方、下層部側を形成するアスファルト系材料
としては、組成および物理的特性が、それぞれ表4、表
5に示されるものを使用した。 〔表2〕 ストレートアスファルト:80重量部 スチレン−ブタジエンブロックコポリマー:15重量部 オイル石油樹脂: 5重量部 〔表3〕 軟化温度:128℃ 針入度: 21 低温折曲性:−20℃で合格 〔表4〕 ストレートアスファルト:65重量部 スチレン−ブタジエンブロックコポリマー:15重量部 オイル石油樹脂:20重量部 〔表5〕 軟化温度:110℃ 針入度: 67 低温折曲性:−20℃で合格 上記の条件にて作製された舗装補強兼防水シートについ
て、さまざまな特性を調べたので、その結果を表6に示
す。 〔表6〕 厚さ:1.7mm 引張り強さ(長手方向):32.8kgf/cm 引張り強さ(幅方向):36.9kgf/cm 最大荷重時の伸び率(長手方向):11.4% 最大荷重時の伸び率(幅方向):12.5% 低温可撓性(長手方向):良好(−10℃) 低温可撓性(幅方向):良好(条件同じ) 吸水膨張性(長手方向):−0.08%(50℃ 72
hr) 吸水膨張性(幅方向):0.06%(条件同じ) 加熱収縮率(長手方向):−0.11%(180℃ 3
0min) 加熱収縮率(幅方向):−0.08%(条件同じ) 耐アルカリ性:良好 耐塩水性:良好 但し、耐アルカリ性及び耐塩水性を除く、その他の特性
の試験方法については(社)日本道路協会刊行「道路橋
鉄筋コンクリート床版防水層設計施工資料」の試験方法
に準拠した。このうち特に低温可撓性については、直径
5mmの鉄棒表面に沿って180度折り曲げたときの結
果である。耐アルカリ性及び耐塩水性を調べる試験方法
については、JIS K5400の規定に基づいた。
【0037】また、本舗装方法の実施例として、表7に
示す組成のプライマーを用いた方法を挙げる。なお、こ
れは床版がコンクリートからなる場合である。床版が鋼
製の場合に用いられるプライマーの組成については、表
8に示すとおりである。 〔表7〕 ストレート(又はブローン)アスファルト:30重量部 合成ゴム・石油樹脂: 5重量部 ミネラルスピリット:65重量部 〔表8〕 ストレート(又はブローン)アスファルト:45重量部 合成ゴム・石油樹脂:10重量部 ミネラルスピリット:45重量部 但し、ミネラルスピリットとしては、床版がコンクリー
ト製、鋼製いずれの場合についても、JIS K220
1−4に規定する溶剤を用いた。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、雨水などが床版へ浸透
するのを効果的に抑止でき、しかも舗装工事の際の安全
性や作業効率の向上が図れる。また、舗装体の強度が増
大するので、損傷が起きにくく、その結果、舗装体の厚
みを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の舗装補強兼防水シートの破断面図
【図2】芯材の構造を示す平面図
【図3】(a),(b),(c)は舗装手順を説明する
ための工程図
【符号の説明】
1 芯材 1a,1b ガラス繊維のより線 2 不透水層 3 珪砂層 4 剥離紙 5 床版 6 プライマー層 7 舗装補強兼防水シート 8 舗装体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−331778(JP,A) 特開 平9−32214(JP,A) 特開 昭63−93906(JP,A) 特開 平3−27182(JP,A) 特公 昭60−11164(JP,B2) 実公 昭61−45196(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E01C 7/18 E01C 11/16 - 11/20

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 舗装される床版上に敷設される舗装補強
    兼防水シートであって、縦方向に配列した、2本の繊維をより合わせてなる線材
    と、 横方向に配列した、2本の繊維をより合わせてなる線材
    とを、互いに交差する部分にて接合することにより構成
    された メッシュ状の芯材と、 この芯材が埋設されたアスファルト系材料からなる不透
    水層とを具備してなることを特徴とする舗装補強兼防水
    シート。
  2. 【請求項2】 不透水層を形成するアスファルト系材料
    として、加熱された舗装材に接することによって、半溶
    融状態となるものを用いたことを特徴とする請求項1に
    記載の舗装補強兼防水シート。
  3. 【請求項3】 アスファルト系材料は樹脂材料及び/又
    はゴム材料を含有し、前記アスファルト系材料で構成さ
    れた不透水層は、軟化温度が80〜140℃で、かつ、
    針入度が15〜80(試験条件:JIS K2207)
    であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の
    舗装補強兼防水シート。
  4. 【請求項4】 不透水層の厚さを、1.5〜3.5mm
    としたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか
    に記載の舗装補強兼防水シート。
  5. 【請求項5】 芯材は、ガラス繊維、カーボン繊維、合
    成樹脂繊維からなる群の中から選ばれた一つ、あるいは
    二つ以上を組み合わせたものからなることを特徴とする
    請求項1〜請求項4のいずれかに記載の舗装補強兼防水
    シート。
  6. 【請求項6】 不透水層の一方側の面には珪砂を付着さ
    せ、他方側の面には剥離紙を貼着させてなることを特徴
    とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の舗装補強
    兼防水シート。
  7. 【請求項7】 不透水層が、芯材を挟んで向き合う上層
    部と下層部とからなり、前記上層部の軟化温度を前記下
    層部の軟化温度よりも高くし、かつ、前記下層部の針入
    度を前記上層部の針入度よりも高くしたことを特徴とす
    る請求項1〜請求項6のいずれかに記載の舗装補強兼防
    水シート。
  8. 【請求項8】 上記請求項1〜請求項7のいずれかに記
    載の舗装補強兼防水シートを用いた舗装方法であって、 舗装される床版の表面にプライマーを塗布するプライマ
    ー塗布工程と、 このプライマー塗布工程で得られたプライマー層を覆う
    よう、前記舗装補強兼防水シートを前記床版上に敷設す
    る舗装補強兼防水シート敷設工程と、 この舗装補強兼防水シート敷設工程で敷設された舗装補
    強兼防水シートの上に加熱された舗装材を所定の厚みに
    設ける本舗装工程とを具備することを特徴とする舗装補
    強兼防水シートを用いた舗装方法。
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