JP3057842B2 - 静電搬送転写装置 - Google Patents

静電搬送転写装置

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JP3057842B2
JP3057842B2 JP3260232A JP26023291A JP3057842B2 JP 3057842 B2 JP3057842 B2 JP 3057842B2 JP 3260232 A JP3260232 A JP 3260232A JP 26023291 A JP26023291 A JP 26023291A JP 3057842 B2 JP3057842 B2 JP 3057842B2
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聡 臼井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真複写機等の画
像形成装置において使用される静電搬送転写装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】例えばゼログラフィの原理を応用した電
子写真複写機等の画像形成装置においては、一様帯電さ
れた像保持体(以下、像保持体を代表して感光体で表
す。)を露光して静電潜像を帯電トナーにより現像して
トナー像とし、更にトナー像を転写材(以下、転写材を
代表して用紙で表す。)に転写、定着して複写物を得て
いる。これら一連の工程のうち、潜像形成、現像及び転
写を色成分毎に同一の用紙に対して行うことによってフ
ルカラーの複写が可能になる。静電搬送転写装置は、上
述のように多重転写を必要とするフルカラー複写機等の
装置において、用紙を感光体に同期させて所定のタイミ
ングで所定の転写位置に搬送し転写を行うために使用さ
れる。
【0003】図17は従来の静電搬送転写装置の一例を
示す図であり、図18はこの従来の静電搬送転写装置に
用いられている半導電性の樹脂膜を示す図である。図1
7に示すように、従来の静電搬送転写装置は、転写ドラ
ム6、転写用ブラシ給電装置10及び用紙吸着用ブラシ
給電装置12を備えている。転写ドラム6は、剛体ドラ
ム6a上に半導電性の樹脂膜4が支持されて構成されて
いる。図18に示すように、この半導電性樹脂膜4は、
一面(図17において内側面)に一定間隔で並設された
複数の電極2を有している。そして、この転写ドラム6
はその転写位置にてこれと同径の感光体8に当接させら
れるようになっている。
【0004】また、転写用ブラシ給電装置10は転写位
置に配設されており、半導電性樹脂膜4における複数の
電極2がこの転写用ブラシ給電装置10に対して摺動す
るようになっている。その場合、転写用ブラシ給電装置
10は複数の電極2のうちで転写位置に移動した電極2
にトナーの極性と逆極性の電圧を供給するようになって
いる。
【0005】更に、用紙吸着用ブラシ給電装置12は用
紙搬送位置に配設されており、複数の電極2がこの用紙
吸着用ブラシ給電装置12に対して摺動するようになっ
ている。その場合、用紙吸着用ブラシ給電装置12は複
数の電極2のうちで用紙搬送位置に移動した電極2に交
互に高電圧(例えばプラス電位)及び低電圧(例えば接
地電位)を供給するようになっている。
【0006】潜像形成及び現像は感光体8が1回転する
度に色成分毎に行われる。すなわち、矢印A方向に搬入
されてきた用紙は用紙吸着用ブラシ給電装置12の作動
等により転写ドラム6上に吸着されるが、この転写ドラ
ム6上の用紙に対して、転写位置を通過する度に同一の
原画像について異なる色のトナー像の転写がなされる。
【0007】して、3乃至4色のトナー像が多重転写さ
れた用紙は、用紙吸着用ブラシ給電装置12の作動解除
等によって樹脂膜4から分離されて矢印B方向に排出さ
れるようになっている。
【0008】図19は従来の静電搬送転写装置の他の例
を示す図である。この従来例では、樹脂膜4を無端ベル
ト状に形成して少なくとも2つのローラ14、16に装
架し、色成分毎に潜像形成及び現像がなされる複数の感
光体8を樹脂膜4にその平坦部にて当接させ、樹脂膜4
および感光体8の配置構成に対応して転写用給電手段1
0及び用紙吸着用給電手段12を設けている。そして、
矢印A方向に搬入されて樹脂膜4の平坦部に吸着した用
紙は、用紙の移動に同期して動作する各感光体8からそ
れぞれの色のトナー像を多重転写された後、出口側のロ
ーラ16の曲率部で用紙の腰を利用して剥離され、B方
向に排出されるようになっている。
【0009】図20は前述の従来の静電搬送転写装置に
おける転写位置近傍の具体的な構成の一例を示す図であ
る。図20に示すように従来の静電搬送転写装置の転写
位置近傍には、転写用ブラシ給電装置10が配設されて
おり、この転写用ブラシ給電装置10は転写用ブラシ1
6とこの転写用ブラシ16の前後に配設された転写用補
助ブラシ17とを備えている。樹脂膜4が矢印方向(右
方向)へ移動する際、各電極2が転写用ブラシ16及び
転写用補助ブラシ17に対して摺動するようになってい
る。
【0010】転写ブラシ16には転写用電源18が接続
されており、感光体8上のトナーの極性が例えばマイナ
ス極性である場合には、この転写用電源18により転写
用ブラシ16の電位はプラスの極性に設定される(な
お、トナーの極性がプラスの極性である場合は、転写用
ブラシ16の電位はマイナスの極性に設定される)。ま
た、各転写用補助ブラシ17はそれぞれ接地されてい
る。したがって、転写用ブラシ16上を摺接する電極2
群と感光体8との間には破線で示すように電界が形成さ
れるようになり、これにより転写位置にて感光体8上の
トナーがこの電界に沿って用紙Pに転写される。
【0011】図21は前述の従来の静電搬送転写装置に
おける用紙搬送位置近傍の具体的な構成の一例を示す図
である。図21に示すように、従来の静電搬送転写装置
の用紙搬送位置近傍には、用紙吸着用ブラシ給電装置1
2が配設されており、この用紙吸着用ブラシ給電装置1
2は複数個の吸着用ブラシ20を備えている。これらの
吸着用ブラシ20は、樹脂膜4の移動方向(右方向)に
沿って配置されている。そして、樹脂膜4の移動にとも
ない、各電極2がこれらの吸着用ブラシ20に対して摺
動するようになっている。
【0012】これらの吸着用ブラシ20は、交互に吸着
用電源22のプラス側及びマイナス側にそれぞれ接続さ
れており、各吸着用ブラシ20上を摺接する電極2群間
に形成された破線で示す電界により、用紙Pが樹脂膜4
上に吸着されるようになっている。
【0013】しかしながら、図17及び図19に示す従
来の静電搬送転写装置においては、用紙が一旦樹脂膜4
に吸着した場合、その吸着した用紙の吸着力は十分大き
なものとなっているが、搬入された用紙が初めて樹脂膜
4に吸着する用紙吸着位置にきたときの用紙の吸着力は
必ずしも十分な大きさとはなっていない。このため、搬
入された用紙は樹脂膜4に良好に吸着されないことがあ
り、紙詰まり等を生ずる場合があった。
【0014】そこで、用紙を良好に樹脂膜に吸着するこ
とができるようにして、前述の問題を解決した静電搬送
転写装置が特開平2ー156276号公報により提案さ
れている。この静電搬送転写装置において、用紙を良好
に樹脂膜に吸着するための第1の手段は、感光体のトナ
ー像が転写される用紙を少なくとも転写位置において外
表面に密着させながら移動する半導電性の樹脂膜と、こ
の樹脂膜の内側に一定間隔で並設された複数の電極と、
これらの電極のうちで転写位置に移動した電極に接触
し、トナーの極性と逆極性の電圧を供給する転写用給電
手段と、上記電極のうちで用紙搬送位置に移動した電極
に接触し、交互に高電圧及び低電圧を供給する用紙吸着
用給電手段とを備えてなる静電搬送転写装置において、
導電性ロールを用紙吸着位置にて上記樹脂膜にその用紙
吸着側から回転自由に当接させ、上記導電性ロールの電
位が上記導電性ロールと上記樹脂膜の当接位置に対応す
る電極の電位と異なるようにしたものである。
【0015】ここで、高電圧及び低電圧というのは、相
対的に+(プラス)側の電圧及び相対的に−(マイナ
ス)側の電圧を意味する(以下同様)。したがって、高
電圧及び低電圧の具体的な組み合わせとしては、+20
00Vと+500V、+1500Vと0V、+1000
Vと−500V、0Vと−1500V、−500Vと−
2000V等がある。
【0016】また、用紙を良好に樹脂膜に吸着するため
の第2の手段は、感光体のトナー像が転写される用紙を
少なくとも転写位置において外表面に密着させながら移
動する、無端ベルト状に形成された半導電性の樹脂膜
と、この樹脂膜の内側に一定間隔で並設された複数の電
極と、上記樹脂膜が装架される少なくとも2つのローラ
と、上記電極のうちで転写位置に移動した電極に接触
し、トナーの極性と逆極性の電圧を供給する転写用給電
手段と、上記電極のうちで用紙搬送位置に移動した電極
に接触し、交互に高電圧及び低電圧を供給する用紙吸着
用給電手段とを備えてなる静電搬送転写装置において、
上記ローラのうちで用紙吸着位置に相当するローラの上
記電極に接触する部分の全部又は一部を導電体から形成
し、上記導電体の電位が上記導電体に最も接近する位置
にて上記用紙吸着用給電手段が接触する上記電極の電位
と異なるようにしたものである。
【0017】第1の手段によれば、用紙吸着位置におい
て電極の電位と異なる電位の導電性ロールを樹脂膜に当
接させているので、用紙吸着位置に搬入された用紙は、
導電性ロールと樹脂膜間を通過する際に導電性ロールか
らの電荷の注入を受けることになり、用紙吸着力が増大
するようになる。すなわち、搬入された用紙が最初に樹
脂膜に吸着する位置における用紙と樹脂膜との吸着力
は、形成されている電界の強さ及び該電界中におかれた
用紙の電荷の量に応じて決まるが、第1の手段のように
安定な電界を付与することにより、その電界の電位差に
よって導電性ロールから用紙に十分な電荷が供給され、
用紙吸着力が増大するものである。又、導電性ロールを
回転自由に樹脂膜に当接させているので、用紙は機械的
に樹脂膜に沿うようにされ、これによっても用紙吸着力
が増大するようになる。
【0018】第2の手段によれば、電極に接触する部分
の全部又は一部が導電体から形成されたローラの電位
を、該導電体に最も接近する位置にて用紙吸着用給電手
段が接触する電極の電位と異なるようにしているので、
導電体と当該接近電極との間に電界が形成され、すなわ
ち導電体が用紙吸着用給電手段の一部として作用するよ
うになり、ローラ上の樹脂膜への用紙の吸着力が増大す
る。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この公報に
開示されている静電搬送転写装置では、用紙吸着位置に
おいて樹脂膜と用紙との吸着力が充分大きくなるが、そ
の際、樹脂膜内のピンホール、使用中に現像剤のキャリ
ヤ、砂ぼこり、チリあるいはゴミ等によって樹脂膜に生
じる傷、導電性物質(例えば金属片、現像剤のキャリヤ
などのゴミ等)の樹脂膜への埋込み等の欠陥があると、
この欠陥により導電性ロールと樹脂膜の内側の電極との
実質的な距離が小さくなる、換言すれば導電性ロールと
電極間の抵抗が小さくなることが考えられる。
【0020】しかしながら、このように導電性ロールと
電極間の抵抗が小さくなると、樹脂膜内側の電極とロー
ルとの間で放電が発生し、この放電により樹脂膜が例え
ば穴のように部分的に破壊されてしまうことがある。こ
のように放電が発生したり、樹脂膜が部分的に破壊され
たりした場合、以後のプロセスの転写において画質欠陥
が発生するばかりでなく、放電時に大きなノイズが発生
するという問題が生じるおそれがある。また、装置内の
制御機器が誤動作したり、電波障害を引き起こしたりす
るという問題も生じるおそれがある。このような問題
は、コロナ放電器を使って用紙を樹脂膜に吸着させるよ
うな構成の静電搬送転写装置においても同様に生じるこ
とが考えられる。
【0021】前記問題点を解決するために、印加電圧を
低くして放電を起こさないようにすることが考えられ
る。しかし、前記各静電搬送転写装置においては、一定
以上の吸着力を得るために、高電圧(前記第1、第2の
手段のタイプでは少なくとも1kV以上、コロナ放電器を
使ったタイプの静電搬送転写装置では4.5kV以上)が
必要であるため、印加電圧を低くして放電を起こさない
ようにすることは難しく、したがって前述の各静電搬送
転写装置では前記問題点を解決することはできない。ま
た、前記第1の手段の静電搬送転写装置では、搬送用の
電源と同じものを用いた方がコスト的に有利であること
から、吸着用の電源を別に配備して異なる電圧にするこ
とのメリットがない。
【0022】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、その目的は樹脂膜のピンホール、使用
中に付く樹脂膜の傷、導電性物質の樹脂膜への埋込み等
の欠陥が発生しても、その程度が大きくない場合には樹
脂膜の放電破壊を起こすことがなく、しかも用紙の吸着
能力が不足しない範囲で押付けロール又はローラ等の電
荷注入部材の表面の電位を制限して、放電現像による画
質欠陥及びノイズの発生を抑制することのできる静電搬
送転写装置を提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、請求項1の発明は、内側に複数の電極が並設され
た半導電性樹脂膜に用紙吸着位置において用紙吸着側か
ら回転自在に当接する押付けロールを配設している。そ
の場合、押付けロールの電位を、前記押付けロールと前
記樹脂膜との当接位置に対応する前記電極の電位と異な
るように設定している。更に、前記押付けロールを、抵
抗を介して接地させるかあるいは前記押付けロール自体
に一定の抵抗を持たせて接地させている。
【0024】また請求項2の発明は、内側に複数の電極
が並設された半導電性樹脂膜を無端ベルト状に形成する
と共に、この無端ベルト状の樹脂膜を少なくとも2つの
ローラに装架している。そして、これらのローラのうち
の用紙吸着位置側ローラの電位を、その用紙吸着位置側
ローラと最も接近する位置において用紙吸着用給電手段
が接触する前記電極の電位と異なるように設定してい
る。更に、前記用紙吸着位置側ローラを、抵抗を介して
接地させるかあるいはその用紙吸着位置側ローラ自体に
一定の抵抗を持たせて接地させている。
【0025】更に請求項3の発明は、絶縁性樹脂膜を無
端ベルト状に形成すると共に、この無端ベルト状の樹脂
膜の内側で用紙吸着位置に高電圧印加手段を配設してい
る。また、前記樹脂膜に用紙吸着位置において用紙吸着
側から回転自在に当接する押付けロールを高電圧印加手
段と対向するようにして配設していると共に、この押付
けロールの電位を、前記押付けロールと前記樹脂膜との
当接位置に対応する樹脂膜の裏側の電位と異なるように
設定している。更に、前記押付けロールを、前記樹脂膜
の放電破壊を防止するための抵抗を介して接地させるか
あるいは前記押付けロール自体に前記樹脂膜の放電破壊
を防止するための一定の抵抗を持たせて接地させてい
る。
【0026】更に請求項4の発明は、前記接地される押
付けロール又はローラを抵抗体で形成していると共に、
その抵抗体の体積抵抗率を105〜1010Ω・cmに設定
している。更に請求項5の発明は、用紙吸着のための押
付けロール又はローラに導電性を持たせていると共に、
これらの押付けロール又はローラを、抵抗を介して接地
している。その場合、前記抵抗を106〜1012Ωに設
定している。
【0027】
【作用】このような構成をした請求項1の発明の静電搬
送転写装置においては、電極の電位と異なる電位の押付
けロールを樹脂膜に当接させているので、用紙吸着位置
に搬送された用紙は、押付けロールと樹脂膜との間を通
過する際に押付けロールから電荷の注入を受けるように
なり、その結果用紙吸着力が増大する。また、押付けロ
ールを回転自由に樹脂膜に当接させているので、用紙は
機械的に樹脂膜に沿うようにされ、これによっても用紙
吸着力が増大する。
【0028】更に、押付けロールが抵抗を介して接地さ
れているか、あるいはこの押付けロールがそれ自体一定
の抵抗を有しかつ接地されるかしているので、樹脂膜の
ピンホール、使用中に付く樹脂膜の傷、導電性物質の樹
脂膜への埋込み等の欠陥により、押付けロールと電極間
の抵抗が小さくなったとしても、樹脂膜の放電破壊を起
こすことはなくなる。
【0029】また請求項2の発明においては、電極の電
位と異なる電位の用紙吸着位置側ローラに無端ベルト状
の樹脂膜を装架させているので、用紙吸着位置に搬送さ
れた用紙は、用紙吸着位置側ローラから電荷の注入を受
けるようになり、その結果用紙吸着力が増大する。
【0030】更に、用紙吸着位置側ローラが抵抗を介し
て接地されているか、あるいはこの用紙吸着位置側ロー
ラがそれ自体一定の抵抗を有しかつ接地されるかしてい
るので、樹脂膜のピンホール、使用中に付く樹脂膜の
傷、導電性物質の樹脂膜への埋込み等の欠陥により、押
付けロールと電極間の抵抗が小さくなったとしても、樹
脂膜の放電破壊を起こすことはなくなる。
【0031】更に請求項3の発明においては、無端ベル
ト状の絶縁性樹脂膜の裏側の電位と異なる電位の押付け
ロールを樹脂膜に高電圧印加手段と対向するように当接
させているので、用紙吸着位置に搬送された用紙は、押
付けロールと樹脂膜との間を通過する際に、高電圧印加
手段と押付けロールとの間に形成される電界によって電
荷の注入を受けるようになり、その結果用紙吸着力が増
大する。また、押付けロールを回転自由に樹脂膜に当接
させているので、用紙は機械的に樹脂膜に沿うようにさ
れ、これによっても用紙吸着力が増大する。
【0032】更に、押付けロールが樹脂膜の放電破壊を
防止するための抵抗を介して接地されているか、あるい
はこの押付けロールがそれ自体、樹脂膜の放電破壊を防
止するための一定の抵抗を有しかつ接地されるかしてい
るので、樹脂膜のピンホール、使用中に付く樹脂膜の
傷、導電性物質の樹脂膜への埋込み等の欠陥により、押
付けロールと電極間の抵抗が小さくなったとしても、樹
脂膜の放電破壊を起こすことはなくなる。
【0033】特に、接地される押付けロール又はローラ
を抵抗体で形成した場合には、その抵抗体の体積抵抗率
を105〜1010Ω・cmに設定することにより、樹脂膜
の放電破壊を効果的に防止することができる。同様に、
用紙吸着のための押付けロール又はローラに導電性を持
たせ、かつこれらの押付けロール又はローラを、抵抗を
介して接地した場合には、その抵抗を106〜1012Ω
に設定することにより、樹脂膜の放電破壊を効果的に防
止することができる。
【0034】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は本発明にかかる静電搬送転写装置の一実施
例を部分的に破断して示す概略全体構成図、図2は図1
におけるIIーII線に沿った断面図、図3は図1に示す転
写ドラムの部分斜視図、図5は図1に示すブラシ給電装
置の電源接続図である。
【0035】図1において、30はその表面に形成され
た静電潜像が図示しない現像装置によって白黒又はカラ
ー現像される感光体、32は転写位置において感光体3
0の表面に当接するように配設された転写ドラム、34
は転写ドラム32の電極に給電するためのブラシ給電装
置、36は給紙トレイ38上に載置された用紙40を転
写ドラム32の方向に送り出すフィードローラ、42は
剥離位置においてその先端が転写ドラム32に対して接
離自在に設けられた剥離爪、44は剥離爪42により剥
離された用紙を図示しない定着装置の方向に送る搬送ベ
ルトである。
【0036】フィードローラ36により送り込まれた用
紙の先端が最初に吸着する転写ドラム32上の位置(以
下、用紙吸着位置という)には、用紙吸着部材である押
付けロール46が回転自由に当接しており、この押付け
ロール46は、例えば図6(a)に示すように導電性材
料のシャフト50に設けられている。また、シャフト5
0は装置本体の所定位置に回転可能に支持されていると
共に、接地抵抗51を介して接地されている。
【0037】なお、押付けロール46はこれに限定され
なく、他の種々の構成が考えられる。例えば押付けロー
ル46の他の例としては、同図(b)に示すように押付
けロール46が半導電性材料から形成されると共に、こ
の押付けロール46が同図(a)に示すシャフトと同様
のシャフト50に設けられている。更に、シャフト50
は直接接地されている。また、押付けロール46の更に
他の例としては、図7に示すように押付けロール46
は、中心部46bが金属であり、外周部46aが半導電
性材料である二層構造に形成されている。この場合のシ
ャフト50も直接接地されている。
【0038】48は押付けロール46と転写ドラム32
との当接を解除することができるように押付けロール4
6を支持しているソレノイドである。このように押付け
ロール46と転写ドラム32との当接状態を解除可能に
構成しているのは、一旦転写ドラム32上に吸着した用
紙が転写を受けた後に再び押付けロール46と転写ドラ
ム32間を通過する際にトナー像が乱れることを防止す
るためである。
【0039】図3に示すように、転写ドラム32は、金
属等からなる剛体ドラム52と、剛体ドラム52の外周
に設けられた絶縁性の支持体54と、支持体54上に一
定間隔で複数設けられた帯状の電極56と、電極56の
端部近傍が表出するように支持体54及び電極56に密
着させられた半導電性の樹脂膜58とから構成されてい
る。半導電性の樹脂膜58は、アクリル、塩化ビニル
(塩ビ)、ポリエステル、ポリプロピレン、PVDF
(Poly Vinyliden Flooride)等の樹脂又は各種ゴムに
カーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させて、
その体積抵抗率が108〜1012Ω・cmとなるように形成
されていると共に、その厚みは例えば0.25mmに設定
されている。
【0040】また電極56は、通常のエッチング、スク
リーン印刷等の導電パターン形成技術により支持体54
上に形成することができ、その幅は約0.5mmに設定さ
れている。具体的には図4に示すように、例えばポリエ
ステルからなる厚み50μmの支持体54上にエッチン
グにより厚み35μmのCu電極56aを形成し、Cu
電極56aの表面に酸化防止及び耐摩耗性向上を目的と
してNi電極56bを厚み2〜3μmで形成することに
より、長期にわたる使用に充分耐え得る転写ドラムを形
成することができる。
【0041】各電極56間の間隔は、1mm以上であると
電極模様(電極56のピッチで転写像に濃度の高い部分
と低い部分とが生じる現象)が生じやすくなるので、そ
れ以下で小さいほどよい。しかし、あまり小さすぎる
と、短絡等の二次障害が生じるようになるので、約0.
5mmが最適である。
【0042】支持体54は、硬度(JIS K630
1)が50°以下の弾性体で形成するか、あるいは支持
体54と剛体ドラム52との間に図示しない同質の弾性
体層を介在させることによって、転写ドラム32と感光
体30の当接力を安定にすることができ、転写効率の安
定化等が可能になる。なお、図3において電極56の端
部近傍Aを表出させているのは、転写ドラム32の片側
部分において、以下に説明するブラシ給電装置34によ
って給電を行うためである。
【0043】図2に示すように、ブラシ給電装置34は
転写ドラム32の電極56の露出部分Aを覆う形で設け
られており、その内側には各種機能をなすための給電用
ブラシ68が円周方向に2列で交互に配置されている。
ブラシ給電装置34は、その円周方向の位置によって機
能が異なり、図1に示すように、転写位置に相当する転
写部34aと、用紙搬送位置に相当する第1搬送部34
bと、第1搬送部における用紙剥離位置上流側に挿入さ
れた第2搬送部34cとから構成されている。ブラシ給
電装置の各部の電源接続を図5に基づいて説明する。な
お、図5は、ブラシ給電装置34を第1搬送部34b及
び第2搬送部34c間(図1におけるC部)で破断した
展開平面図に相当している。
【0044】図5に示すように、転写部34aにおいて
は転写用ブラシ60がスイッチ62を介して転写用電源
64の正極側に断接可能に接続されており、転写用電源
64の負極側は接地されている。この構成によれば、転
写ドラム32の回転に伴い、用紙先端近傍が転写位置を
通過した後は、図示しない適宜の手段によってスイッチ
62が閉成されて、転写用ブラシ60と転写用電源64
とが接続し、電極56に常に一定の電圧を供給すること
ができるようになっている。
【0045】また、転写用ブラシ60の両側には転写用
補助ブラシ66が設けられており、この転写用補助ブラ
シ66は接地されている。このように転写用補助ブラシ
66を接地することにより、転写部34aにおける電界
を安定にすることができ、良好な転写品質を得ることが
できるようになる。すなわち、一般に転写は感光体30
上の荷電トナー粒子が転写電界を形成する電気力線に沿
って移動することにより行われるから、転写用補助ブラ
シ66を設けて転写電界を狭い空間に閉じ込めることに
より、荷電トナー粒子が転写位置に移動するより先に転
写されるのを防止し、転写画像が滲む等の不良を生じ難
くしている。
【0046】第1搬送部34bにおいては、第1吸着用
ブラシ68が交互にスイッチ70を介して第1吸着用電
源72の正極側に断接可能に接続されており、第1吸着
用電源72の負極側は接地されている。また、交互に配
設された残りの第1吸着用ブラシ68は接地されてい
る。更に第2搬送部34cにおいては、第2吸着用ブラ
シ74が交互に切換スイッチ76を介して第2吸着用電
極78の正極側または負極側に選択的に接続されてお
り、第2吸着用電源78の負極側は接地されている。交
互に配設された残りの第2吸着用ブラシ74は接地され
ている。
【0047】従来は、ブラシ給電を転写ドラムの内側か
ら行っているため、前記配線接続が極めて複雑になって
いるが、このように転写ドラムの外側からブラシ給電を
行うようにすることにより、保守性が向上すると共に、
配線の自由度が増大する。また、ブラシ給電装置を転写
ドラムの一方の側に設けているので、装置を小型に構成
することができる。更に、ブラシ給電装置を転写ドラム
の両側に分割した場合と比較して、ブラシ間ピッチの調
整に手間取ることがなくなる。
【0048】以下、このように構成された本実施例の静
電搬送転写装置の作用について説明する。転写ドラム3
2を回転させた状態でスイッチ70をオンにすると、転
写ドラム32の回転に伴って第1搬送部34bに対応す
る電極56は、プラス、フローティング、アース、フロ
ーティング、プラス、…と繰り返して電位が変化するか
ら、プラス部分とアース部分に接続された電極56群間
に電界が形成され、用紙40の吸着が可能になる。ここ
で、電極56がフローティングになる期間を設けている
のは、第1吸着用ブラシ68のプラス部分とアース部分
とが同一の電極56を介して短絡することを防止するた
めである。
【0049】この状態でフィードローラ36により用紙
40を送り出すと、この用紙40は、押付けロール46
と転写ドラム32との間にその先端から順次挟持され、
かつ転写ドラム32の半導電性樹脂膜58上に吸着され
る。このとき、押付けロール46は接地されていると共
に、押付けロール46が転写ドラム32に当接している
位置に対応する電極56に、第1吸着用ブラシ68によ
って第1吸着電源72の正電圧が供給されているので、
当該電極56の電位と押付けロール46の電位とが異な
るものとなっている。
【0050】したがって、吸着に寄与するのに充分な電
荷が押付けロール46から用紙40に注入されるように
なり、用紙吸着位置における吸着力が増大する。転写ド
ラム32上に吸着された用紙40は、転写ドラム32の
回転に伴って転写位置に送られ、この転写位置で第1色
目のトナー像が用紙40に転写される。第1色目のトナ
ー像が転写された用紙40は、そのまま転写ドラム32
に吸着された状態で更に2周乃至3周し、1周毎に2色
目以降のトナー像の転写が転写位置にきた用紙40に対
して行われる。2色目以降のトナー像の転写に際して
は、第2搬送部34cも第1搬送部34bと同様に用紙
吸着状態にされていると共に、押付けロール46が、未
定着のトナー像を乱すことがないようにソレノイド48
によって転写ドラム32から離間させられている。
【0051】そして、全てのトナー像の転写が完了する
と、用紙先端が剥離位置に到達するよりも所定時間早い
タイミングでスイッチ76が接地側(図5の図示位置)
に切り換わり、第2搬送部34cにおける吸着力が漸次
除去される。したがって、用紙40は剥離爪42により
転写ドラム32から剥離され、搬送ベルト44により定
着装置等の次工程に送られる。ここで、上記タイミング
で第2搬送部34cを接地しているのは、樹脂膜58の
除電が適当な時定数をもって完了するよりも先に用紙4
0を剥離爪42により強制的に剥離する場合に生じるエ
クスプロージョン(トナーが飛散する現像)を防止する
ためである。
【0052】従来、特に低温低湿下では用紙が良好に吸
着されないことがあったが、本実施例によれば、温度/
相対湿度がそれぞれ28℃/85%、22℃/55%、
10℃/30%の環境条件下において種々の厚みの用紙
及びOHPシートについて試験をした結果、高温高湿下
から低温低湿下までの広範囲にわたって、用紙が良好に
吸着されるという結果を得ることができた。しかも、そ
のとき樹脂膜のピンホールや、1000Kコピー相当の
回転により発生した樹脂膜の傷、汚れに対しても放電破
壊現象を生じることがなく、画質欠陥や放電ノイズが発
生することはなかった。
【0053】本実施例では、用紙搬送位置に移動した電
極56に供給する高電圧及び低電圧がそれぞれプラス電
位及び抵抗を介した接地電位であるので、用紙吸着位置
における電極56の電位と押付けロール46の電位の組
合わせとして、高いプラス電位と低いプラス電位の組合
わせを採用しているが、電位差が生じるような組合わせ
であればどのようなものでも良い。例えば、電極56の
電位と押付けロール46の電位との他の組合わせとして
は、プラス電位とマイナス電位、接地電位とマイナス電
位、マイナス電位とそれとは異なるマイナス電位があ
る。
【0054】ところで、本実施例においては、図6
(a)に示すように導電性の押付けロール46を、接地
抵抗51を介して接地させているか、あるいは同図
(b)に示すように半導電性の押付けロール46を直接
接地させているか、更に図7に示すように半導電性の押
付けロール46aと金属からなる押付けロール46bと
からなる2層構造の押付けロール46を直接接地させて
いるかしているが、このように構成することにより、樹
脂膜内のピンホール、使用中に樹脂膜に生じる傷、導電
性物質の樹脂膜への埋込み等の欠陥があっても、放電現
象を効果的に防止することができる。
【0055】すなわち、例えば図6(a)に示す導電性
の押付けロール46を、接地抵抗51を介して接地させ
た場合について説明すると、図8に示すようにこの場合
には押付けロール46とブラシ電極68とが半導電性樹
脂膜58を介して接続される。従来のように接地抵抗
(R1)51がない状態では、押付けロール46とブラ
シ電極68との間に、印加電圧V0(V)がすべて印加さ
れる。前述の樹脂膜58の欠陥が生じることにより樹脂
膜58の抵抗Rbがある値以下に低下すると、放電が開
始するようになる。特に、抵抗Rbが0となると、押付
けロール46とブラシ電極68とはショートすることに
なる。
【0056】本実施例の場合には接地抵抗51が介設さ
れているので、例えばRbが109Ωであり、R1が106
Ωであるとすると、 (1) 樹脂膜58に欠陥がないとき {109/(109+106)}・V0≒ V0 (V) の電圧が押付けロール46とブラシ電極68との間に印
加され、この結果十分な吸着力が得られることになる。
【0057】(2) 樹脂膜58に欠陥があって、Rbが低
下したとき (a) Rb=102 Ωの場合 {102/(102+106)}・V0≒ 0 (V) となり、押付けロール46とブラシ電極68との間に
は、電圧がほとんど印加されなく、この結果この部分で
は放電が生じることはない。
【0058】(b) Rb=106 Ωの場合 {106/(106+106)}・V0≒ V0/2 (V) となり、欠陥部では電圧が下がり、放電が防止される。
【0059】このように、本実施例によれば樹脂膜に欠
陥があっても、放電現象を効果的に防止することができ
る。またこれらのことから、接地抵抗51の抵抗値R1
は、樹脂膜58の抵抗値Rb及び印加電圧V0に依存した
適正範囲が存在することがわかる。なお、図6(b)及
び図7に示す押付けロールを構成する半導電性材料の抵
抗値においても、同様に適正範囲が存在する。
【0060】前述の用紙吸着部材である押付けロール4
6及びその押付けロール46の接地方法に対して実際に
試験した結果について、以下に説明する。例えば図6
(a)に示す押付けロール46及びその押付けロール4
6の接地方法についての試験では、押付けロール46を
直径φ8のステンレス(以後、SUSと記す)の丸棒か
ら形成すると共に、接地抵抗を100MΩに設定し、更
に発生電位差を1.5kVに設定した。また、図7に示す
押付けロール46及びその押付けロール46の接地方法
として、押付けロール46の中心部46bを直径φ6の
SUS丸棒から形成し、外周部46aを体積抵抗率が1
9Ω・cmであり、ゴム硬度が50°である肉厚1mmのE
PDM(Ethylene-Propylene-Diene MethyleneLinkag
e)から形成した押付けロール46を使用した。
【0061】この結果、いずれの場合も前述のように充
分な用紙吸着力が得られると共に、樹脂膜のピンホール
や、1000Kコピー相当の回転により発生した樹脂膜
の傷や汚れに対しても放電破壊現象を生じることがな
く、画質欠陥や放電ノイズが発生しなかった。
【0062】更に、図6(a)及び(b)に示す押付け
ロール46及びその押付けロール46の接地方法の他の
条件についても試験を実施し、その結果を確認した。 (1) 図6(a)に示す押付けロール46及びその押付け
ロール46の接地方法における試験における押付けロー
ル及び接地抵抗 押付けロール46: φ8のSUSからなる金属ロール 接地抵抗51: 106、108、1010、及び10
12Ω (2) 図6(b)に示す押付けロール46及びその押付け
ロール46の接地方法における試験におけるシャフト、
押付けロール、及び接地抵抗 (i) シャフト50: 外周に1mmのEPDM被膜が形成
された金属丸棒からなるφ8の丸棒 EPDMの抵抗率: 105、107、及び1010Ω・cm (ii) シャフト50: 外周に1mmのシリコンゴム被膜が
形成された金属丸棒からなるφ8の丸棒 シリコンゴムの抵抗率: 106Ω・cm (iii)押付けロール46:体積抵抗率が108Ω・cmのプ
ラスチックロール (3) 上記(1),(2)に対する共通条件 (i) 樹脂膜:ポリエステルベースの半導電材から形成
し、1000Kコピー相当の回転をして傷等の多いも
の、抵抗値1010Ω・cm (ii) 試験条件:電圧条件 印加電圧 1.5kV 環境条件 温度10℃〜28℃、 相対湿度30%〜85% 本試験では、(1)においては、接地抵抗51が106
Ωの場合微小放電が発生し、また接地抵抗51が1012
Ωの場合用紙吸着力がやや小さく、また(2)において
は、(ii)のシリコンゴム被膜のシャフト51の場合、汚
れやすく少しずつ吸着力が低下するという現象が見られ
たが、いずれの場合も、一定以上の用紙吸着力が得ら
れ、しかも放電破壊が起こらなく、良好な画質の転写が
得られた。
【0063】更に、接地抵抗51の抵抗値R1及び押付
けロール46,46aを構成する半導電材の抵抗値RT
のそれぞれの使用可能な適正範囲についての試験を行っ
た結果を図9に示し、この結果について説明する。まず
抵抗値R1について説明する。抵抗値R1と印加電圧V0
との関係において、吸着力が小さい領域と放電する領域
とが、図9に示すように設定される。同図から明らかな
ように、接地抵抗51の抵抗値R1は106〜1012Ωの
範囲内で吸着力が大きく、しかも放電しないラチチュー
ドが存在する。しかし、その場合印加電圧V0を適正に
設定する必要がある。また、抵抗値R1の使用可能な範
囲は樹脂膜58の抵抗値Rbによって変化する(厳密に
は、押付けロールの表面と樹脂膜表面との間の電位差で
あるが、この電位差は抵抗値Rbに大きく依存してい
る)が、Rbの値が実用上108〜1012Ω・cmであるこ
とから、耐久性及び搬送吸着力から決まる用紙搬送上の
必要な電圧範囲VTを考慮すると、接地抵抗51の抵抗
値R1の範囲は、106〜1010Ωの間のみが使用可能な
適正範囲であることがわかった。
【0064】次に、押付けロール46,46aを構成す
る半導電材の抵抗値RTについて説明する。押付けロー
ル46,46aで構成する場合も、基本的には前述の接
地抵抗51の場合と同様の原理で抵抗値が求められる
が、この場合には次の点で異なる。 (a) 樹脂膜58の幅方向において、欠陥がある部分での
み、半導電材の抵抗値RTのみが作用する。 (b) 半導電材の抵抗は、抵抗率×厚みで作用する。
【0065】すなわち、図10(a)に示すように樹脂
膜58にピンホールp等の欠陥がある場合、半導電材の
抵抗とシャフト50のEPDM皮膜の抵抗との合抵抗を
Tとし、また樹脂膜58の抵抗をRbとすると、ブラシ
電極68は、欠陥のないところでは Rb1+RT1 の抵抗
を介して接地し、欠陥部では Rb2+RT2 の抵抗を介し
て接地することになる。そこで、RT1=RT2=RT、R
b2≒0であることを考えると、欠陥部では、実際にはブ
ラシ電極68は半導電材とEPDM皮膜との合抵抗RT
を介して接地することになる。ところで、実際にRT
を規定する場合に部分的な抵抗を直接測定することはで
きなく、また半導電性押付けロールの抵抗体を作成する
場合の特性値としては、この抵抗体の利用方法からみて
体積抵抗率が一般的に使用されている。また、もう一つ
のパラメータである厚みはリニアに作用(1mm、5mmと
いうレベル)するのに対して、体積抵抗率は106、1
8というように指数的に変化することから、体積抵抗
率は、特定の厚み(例えば1.5mm)の抵抗体で測定し
た結果から、妥当な値が求められている。
【0066】次に、RTの使用可能な適正範囲について
実際に試験を行った結果を説明する。この試験を行うに
あたって、外周に1mmのEPDM被膜が形成されたφ8
の金属丸棒を用いてEPDM被膜の抵抗RTが105〜1
13Ω・cmの範囲について試験を行った。抵抗値RT
印加電圧V0との関係において、吸着力が小さい領域と
放電する領域とが、図11に示すように設定される。同
図から明らかなように、抵抗値RTは106〜1010Ω・
cmの範囲で使用可能であり、実用的な抵抗体の厚みの範
囲1〜10mm(105Ω・cm,1mmを10mmにすると、
抵抗は1桁アップする)及び印加電圧の制御を考慮する
と、使用可能な体積抵抗率は105〜1010Ω・cmの範
囲が適当である。なお、測定はJIS K 6911によ
る方法で行った。
【0067】図12は、本発明の他の実施例を示す概略
全体構成図である。この実施例の静電搬送転写装置は、
無端ベルト状に形成した半導電性樹脂膜94と、所定距
離離間して配設され、樹脂膜94を装架する一対のロー
ラ96、98と、樹脂膜94の水平面に配設され、各々
にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各
トナーによって同一原画に対する現像が行われるシアン
色用感光体100、マゼンタ色用感光体102、イエロ
ー色用感光体104と、各感光体100,102,104
と共に樹脂膜94を挟持して回転する弾性体ローラ10
6,108,110と、各感光体100,102,104が
樹脂膜94に当接する転写位置及び樹脂膜平坦部の転写
位置を除く用紙搬送位置において樹脂膜94の内側に設
けられた電極(不図示)に所定の電圧を供給する給電装
置112とを具備して構成されている。なお、給電装置
112の給電ブラシの電気的な接続については、図5に
準じて行うことができるので、その説明を省略する。
【0068】更に図12及び図13に示すように、無端
ベルト状の樹脂膜94の外側に押付けロール46が用紙
吸着位置にて回転自由に当接されて設けられていると共
に、この押付けロール46は図6(a)、同図(b)ま
たは図7に示すように構成され、かつ接地されている。
そして、樹脂膜94の内側に配設された給電装置112
において正電位部に接続される吸着用ブラシ112a及
び接地部に接続される吸着用ブラシ112bのうち吸着
用ブラシ112aに上記押付けロール46を対向配置し
ている。すなわち、押付けロール46の電位が押付けロ
ール46と樹脂膜94との当接位置に対応する樹脂膜9
4の内側つまり裏側の電位と異なるように設定されてい
る。この構成によれば、図1に示される実施例と同様
に、押付けロール46を介して用紙に電荷が注入される
ので、用紙吸着力が増大すると共に放電破壊を起こすこ
とはない。
【0069】このような構成をした本実施例において
は、給紙カセット38からフィードローラ36によって
用紙40が静電搬送転写装置に供給されると、その用紙
40の先端が押付けロール46と樹脂膜94との間に挟
持される。これと同時に、図示しない給紙センサにより
用紙先端が検知され、この検知によって各感光体10
0,102,104への画像書き込みのタイミングが決定
される。更に用紙先端の検知により、用紙搬送位置及び
転写位置に所定の電界が給電装置112によって付与さ
れる。樹脂膜94に吸着した用紙40は、感光体10
0,102,104の直下を順次通過する際にそれぞれシ
アン像、マゼンタ像、イエロー像が順次転写され、結果
として同一画像の多重転写像が形成される。各感光体1
00,102,104への書き込みは、用紙40の搬送時
間分だけ順次遅れて行われ、3色の各々の色が重なるよ
うに制御される。多重転写が完了した用紙40は、前述
の実施例と同様に、さらに図示しない定着装置に送られ
て、定着が行われる。
【0070】図14は、本発明の更に他の実施例を示す
概略全体構成図である。この実施例の静電搬送転写装置
においては、図12に示す実施例における押付けロール
46は設けられていないが、給紙カセット32と静電搬
送転写装置との間にペーパーシュート114が設けられ
ている。また、図15に示すように本実施例では、樹脂
膜94が装架されるローラのうち用紙吸着位置に相当す
るローラ96が、図6(a)または(b)に示す押付け
ロール46の接地方法と同じ方法でブラシ116を介し
て接地されている。すなわち、ローラ96を給電手段と
して用いている。他の構成は、前述の図12及び図13
に示す実施例と同じであるので、同じ構成要素には同じ
符号を付すことにより、その詳細な説明は省略する。
【0071】このような構成をした本実施例によれば、
最端部に位置する吸着用ブラシ112aとローラ96と
の間にも電界が生じるので、ローラ96を給電手段とし
て用いない場合と比較して、樹脂膜94上の広範囲にわ
たって用紙吸着力を得ることができる。この場合、ペー
パーシュート114を導電体から形成すると共に、この
ペーパーシュート114をローラ96と異なる電位に設
定しておくことにより、ペーパーシュート114とロー
ラ96との間にも電界を形成することができるようにな
る。これにより、更に一層吸着力を増大させることがで
きる。なお、本実施例に図12及び図13に示す実施例
における押付けロール46を組み合わせることも可能で
あり、このようにすることにより、用紙の吸着性を更に
一層向上させることができる。
【0072】図16は本発明の更に他の実施例を示す、
図13及び図15と同様の図である。前述の図13及び
図15に示す実施例では給電装置112を設けているの
に対して、本実施例ではこの給電装置112は設けられ
ていなく、高電圧印加手段であるコロナ放電器113が
設けられており、このコロナ放電器113により用紙吸
着部に電位差を与えている。コロナ放電器113は樹脂
膜94を挟んで押付けロール46と対向して配置されて
いる。押付けロール46は、図6(a)、同図(b)、
及び図7に示す押付けロールと同様に形成される。この
実施例についても、実際に試験を行った。その場合、樹
脂膜は体積抵抗率が1014Ω・cm以上の絶縁性を有して
おり、ポリエステルまたはPVDFから形成している。
なお、この樹脂膜はポリエステル、PVDF以外にアク
リル、塩ビ、ポリプロピレン等の絶縁性樹脂が使用可能
である。この試験結果では、一定の用紙吸着力を得ら
れ、かつ画質欠陥やノイズを発生させるような放電破壊
現像は発生することはなく、良好な転写が得られた。
【0073】なお、図12ないし図16に示す実施例に
おいても、同様に接地抵抗51の抵抗値R1の範囲は、
106〜1010Ωが適正範囲であり、また、押付けロー
ル46及び吸着位置側ロール96を構成する半導電材の
使用可能な体積抵抗率の範囲は105〜1010Ω・cmの
範囲が適正範囲である。
【0074】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の静電搬送転写装置によれば、樹脂膜のピンホール、使
用中に付く樹脂膜の傷、導電性物質の樹脂膜への埋込み
等の欠陥により、押付けロールと電極間の抵抗が小さく
なったとしても、樹脂膜の放電破壊の発生を確実に防止
することができる。したがって、画質欠陥やノイズの発
生が抑制することができると共に、用紙を良好に吸着さ
せることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる静電搬送転写装置の一実施例を
示す概略構成図である。
【図2】図1におけるIIーII線に沿う断面図である。
【図3】この実施例における転写ドラムの部分斜視図で
ある。
【図4】この転写ドラムにおける電極の具体的な構成の
一例を示す断面図である。
【図5】この実施例におけるブラシ給電装置の電源接続
図である。
【図6】本発明の各実施例における押付けロールの構成
及びその押付けロールの接地方法の例を示す図である。
【図7】押付けロールの構成及びその押付けロールの接
地方法の他の例を示す図である。
【図8】導電性押付けロールを、接地抵抗を介して接地
した場合の説明図である。
【図9】接地抵抗と印加電圧との関係を説明する図であ
る。
【図10】半導電性押付けロールとピンホールのある樹
脂膜とにおける抵抗を説明する図である。
【図11】接地抵抗と印加電圧との関係を説明する図で
ある。
【図12】本発明の他の実施例を示す概略構成図であ
る。
【図13】この実施例の部分拡大図である。
【図14】本発明の更に他の実施例を示す概略構成図で
ある。
【図15】この実施例の部分拡大図である。
【図16】本発明の更に他の実施例を示す部分拡大図で
ある。
【図17】従来の静電搬送転写装置の一例を示す部分構
成図である。
【図18】この従来の静電搬送転写装置に用いられてい
る、内側に複数の電極を有する樹脂膜である。
【図19】従来の静電搬送転写装置の他の例を示す部分
構成図である。
【図20】従来の静電搬送転写装置における転写位置近
傍の具体的な構成の一例を示す図である。
【図21】従来の静電搬送転写装置における用紙搬送位
置近傍の具体的な構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
30…感光体、32…転写ドラム、34,112…ブラ
シ給電装置、38…給紙トレイ、40…用紙(転写
材)、42…剥離爪、44…搬送ベルト、52…剛体ド
ラム、54…絶縁性の支持体、56…電極、58,94
…半導電性樹脂膜、60…転写用ブラシ、62,70…
スイッチ、64…転写用電源、66…転写用補助ブラ
シ、68…第1吸着用ブラシ、72…第1吸着用電源、
74…第2吸着用ブラシ、76…切換スイッチ、78…
第2吸着用電源、34a…転写部、34b…第1搬送
部、34c…第2搬送部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 15/16 G03G 15/01 114

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 感光体のトナー像が転写される用紙を少
    なくとも転写位置において外表面に密着させながら移動
    する半導電性の樹脂膜と、この樹脂膜の内側に並設され
    た複数の電極と、これらの電極のうちで転写位置に移動
    した電極に接触し、トナーの極性と逆極性の電圧を供給
    する転写用給電手段と、前記電極のうちで用紙搬送位置
    に移動した電極に接触し、交互に高電圧及び低電圧を供
    給する用紙吸着用給電手段とを具備してなる静電搬送転
    写装置において、 前記樹脂膜に用紙吸着位置において用紙吸着側から回転
    自在に当接する押付けロールを配設し、この押付けロー
    ルの電位を、前記押付けロールと前記樹脂膜との当接位
    置に対応する電極の電位と異なるように設定し、更に前
    記押付けロールを、抵抗を介して接地させるかあるいは
    前記押付けロール自体に一定の抵抗を持たせて接地させ
    たことを特徴とする静電搬送転写装置。
  2. 【請求項2】 感光体のトナー像が転写される用紙を少
    なくとも転写位置において外表面に密着させながら移動
    する、無端ベルト状に形成された半導電性の樹脂膜と、
    この樹脂膜の内側に並設された複数の電極と、前記樹脂
    膜が装架される少なくとも2つのローラと、前記電極の
    うちで転写位置に移動した電極に接触し、トナーの極性
    と逆極性の電圧を供給する転写用給電手段と、前記電極
    のうちで用紙搬送位置に移動した電極に接触し、交互に
    高電圧及び低電圧を供給する用紙吸着用給電手段とを具
    備してなる静電搬送転写装置において、 前記ローラのうちの用紙吸着位置側ローラの電位を、そ
    の用紙吸着位置側ローラと最も接近する位置において前
    記用紙吸着用給電手段が接触する前記電極の電位と異な
    るように設定し、更に前記用紙吸着位置側ローラを、抵
    抗を介して接地させるかあるいはその用紙吸着位置側ロ
    ーラ自体に一定の抵抗を持たせて接地させたことを特徴
    とする静電搬送転写装置。
  3. 【請求項3】 感光体のトナー像が転写される用紙を少
    なくとも転写位置において外表面に密着させながら移動
    する、無端ベルト状に形成された絶縁性樹脂膜と、この
    樹脂膜の内側で用紙吸着位置に配設された高電圧印加手
    による用紙吸着手段を具備してなる静電搬送転写装置
    において、 前記樹脂膜に用紙吸着位置において用紙吸着側から回転
    自在に当接する押付けロールを前記高電圧印加手段に対
    向するようにして配設し、この押付けロールの電位を、
    前記押付けロールと前記樹脂膜との当接位置に対応する
    前記樹脂膜の裏側の電位と異なるように設定し、更に前
    記押付けロールを、前記樹脂膜の放電破壊を防止するた
    めの抵抗を介して接地させるかあるいは前記押付けロー
    ル自体に前記樹脂膜の放電破壊を防止するための一定の
    抵抗を持たせて接地させたことを特徴とする静電搬送転
    写装置。
  4. 【請求項4】 接地されるロール又はローラが抵抗体で
    あり、この抵抗体の体積抵抗率が105〜1010Ω・cm
    であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1
    記載の静電搬送転写装置。
  5. 【請求項5】 用紙吸着のためのロール又はローラが導
    電性を有していると共に抵抗を介して接地されており、
    更に前記抵抗が106〜1012Ωであることを特徴とす
    る請求項1ないし3のいずれか1記載の静電搬送転写装
    置。
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