JP3057519B2 - 流体制御手段 - Google Patents

流体制御手段

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JP3057519B2
JP3057519B2 JP2414817A JP41481790A JP3057519B2 JP 3057519 B2 JP3057519 B2 JP 3057519B2 JP 2414817 A JP2414817 A JP 2414817A JP 41481790 A JP41481790 A JP 41481790A JP 3057519 B2 JP3057519 B2 JP 3057519B2
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完和 香取
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は漂砂による河口の閉塞や
港湾、航路の埋没を防止させるための海岸保全装置に係
わり、特に、海底面近傍の流体の場を制御することによ
り、漂砂の動きを制御する流体制御装置に関するもので
ある。更に養浜工等に適用した場合には、砂が離岸堤の
間から外洋に流出することを防止することができる。
【0002】
【従来の技術】砂浜海岸では、波が打ち寄せる時に、海
底の砂が巻き上げられて海中に浮遊している。更に海底
面では、波や流れが発生すると、底質である砂や小礫、
シルト等が移動する。これらの漂砂により港湾や河口が
埋没することが知られている。
【0003】底質の移動の原因は、殆ど波の力であると
言われている。例えば沖浜帯では、波動運動に伴う水粒
子の往復運動が主であり、砕波帯では砕波による洗堀力
や掃流力、そして沿岸流の様な水深全体に渡る流れ等が
主力となる。
【0004】砕波の起こらない沖浜帯では、波が水面を
通過する度に底質は前後に往復運動を開始する。そして
底質は飛び跳ねながら往来し、巻き上げられていく。こ
の状態が続くと海底面は波形に変形していき、形成され
た砂連の頂点を中心に巻き上げられた浮遊砂の塊も往復
運動を開始し、砂連上を砂礫が転動する様になる。これ
らの運動を繰り返すことにより、底質は遠方に運ばれ
る。
【0005】従って上記漂砂は、河口閉塞や港湾の埋没
の原因となり、これらの漂砂の動きを抑制する必要があ
った。
【0006】漂砂の動きを抑制するためには、潜堤を形
成することが考えられる。潜堤とは、堤端高が平均水面
より低い離岸堤であり、養浜砂の沖側への移動の抑制に
効果的と言われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記潜堤
による漂砂の抑制は、工期も長く、多額の工事費を必要
とする問題点があった。
【0008】更に潜堤は一度施工すると、その移動は殆
ど不可能であり、取り外し等は全く考えられないという
問題点がある上、船舶の航行に支障を来すという問題点
があった。
【0009】そこで、工期が短く工事費も安価で、海底
面近傍の流体の運動を直接制御することにより、漂砂の
移動を制御させることのできる流体運動制御装置の出現
が強く望まれていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題に鑑み
案出されたもので、底面部に固定するための第1の固定
手段と第2の固定手段と、周囲の流体の動きに追随させ
るための面部材とからなっており、第1の固定手段は一
対の第1杭部材から形成されており、第2の固定手段は
一対の第2杭部材から構成されており、第1杭部材間に
は張設部材が張設され、この張設部材と前記面部材の上
部とが連結されており、前記面部材の下部両端部は、周
囲の流体の動きに伴う前記面部材の往復運動の振幅を制
限するための移動制限部材を介して第2杭部材に固定さ
れており、前記第1杭部材間の底面部近傍には、洗堀を
防止するための洗堀防止板が形成されていることを特徴
としている。
【0011】また本発明は、底面部に固定するための第
1の固定手段と第2の固定手段と、周囲の流体の動きに
追随させるための面部材とからなっており、第1の固定
手段は一対の第1杭部材から形成されており、第2の固
定手段は一対の第2杭部材から構成されており、第1杭
部材間には張設部材が張設され、この張設部材と前記面
部材の上部とが連結されており、前記面部材の下部両端
部は、周囲の流体の動きに伴う前記面部材の往復運動の
振幅を制限するための移動制限部材を介して第2杭部材
に固定されており、前記張設部材には、張力を調整する
ための張力調整手段が設けれていることを特徴として
いる。
【0012】更に本発明の面部材を、網部材から構成す
ることもできる。
【0013】そして本発明は、海岸の底質の移動を制御
するための流体制御手段であって、底面部が海底部であ
り、第2の固定手段の方向に底質を移動させる構成にす
ることもできる。
【0014】また本発明は、河口部の閉塞を防止するた
めの流体制御手段であって、底面部が、前記河口部付近
の海底部であり、前記第1の固定手段を河口側に配置
し、前記第2の固定手段を海の沖側に配置することによ
り、河口部付近の底質を海側に移動させる構成にするこ
ともできる。
【0015】そして本発明は、港湾や航路の埋没を防止
するための流体制御手段であって、底面部が、前記港湾
や航路付近の漂砂進入部分の海底部であり、前記第1の
固定手段を港湾又は航路側に配置し、前記第2の固定手
段を港湾又は航路の外側に配置することにより、港湾や
航路付近の底質を外側方向に移動させる構成にすること
もできる。
【0016】また本発明は、離岸堤等を併用した養浜工
から砂の流出を防止するための流体制御手段であって、
底面部が、前記離岸堤の間付近の海底部であり、前記第
1の固定手段を離岸堤等側に配置し、前記第2の固定手
段を養浜工側に配置することにより、砂が離岸堤の間か
ら外洋に流出することを防止する構成にすることもでき
る。
【0017】そして本発明は、波峰線と適宜の角度で交
わる方向に、面部材を配置し、底質を所望の方向に移動
させる構成にすることもできる。
【0018】
【0019】
【0020】
【発明の実施の形態】以上の様に構成された本発明は、
第1の固定手段と第2の固定手段とで、底面部に固定
し、面部材が、周囲の流体の動きに追随させ、第1の固
定手段を一対の第1杭部材から形成し、第2の固定手段
を一対の第2杭部材から構成し、張設部材を第1杭部材
間に張設し、この張設部材と面部材の上部とを連結し、
面部材の下部両端部には、周囲の流体の動きに伴う前記
面部材の往復運動の振幅を制限するための移動制限部材
を介して第2杭部材を固定し、第1杭部材間の底面部近
傍には、洗堀を防止するための洗堀防止板を形成してい
る。
【0021】また本発明は、張設部材には、張力を調整
するための張力調整手段を設けることもできる。
【0022】そして本発明は、面部材を網部材にするこ
ともできる。
【0023】また本発明は、海岸の底質の移動を制御す
るための流体制御手段であって、底面部が海底部であ
り、第2の固定手段の方向に底質を移動させることもで
きる。
【0024】そして本発明は、河口部の閉塞を防止する
ための流体制御手段であって、底面部が、河口部付近の
海底部であり、第1の固定手段を河口側に配置し、第2
の固定手段を海の沖側に配置することにより、河口部付
近の底質を海側に移動させることもできる。
【0025】そして本発明は、港湾や航路の埋没を防止
するための流体制御手段であって、底面部が、港湾や航
路付近の漂砂進入部分の海底部であり、第1の固定手段
を港湾又は航路側に配置し、第2の固定手段を港湾又は
航路の外側に配置することにより、港湾や航路付近の底
質を外側方向に移動させることもできる。
【0026】また本発明は、離岸堤等を併用した養浜工
から砂の流出を防止するための流体制御手段であって、
底面部が、離岸堤の間付近の海底部であり、第1の固定
手段を離岸堤等側に配置し、第2の固定手段を養浜工側
に配置することにより、砂が離岸堤の間から外洋に流出
することもできる。
【0027】そして本発明は、波峰線と適宜の角度で交
わる方向に、面部材を配置し、底質を所望の方向に移動
させることもできる。
【0028】
【0029】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図に示す様に、本実施例の流体制御装置1は、第1
の固定手段2と、第2の固定手段3と、網部材4と、紐
部材5、5とからなっている。
【0030】第1の固定手段2は、海底等に固定するた
めのもので、一対の第1杭部材21、22とからなって
いる。第2の固定手段3は、海底等に固定するためのも
ので、一対の第2杭部材31、32とからなっている。
第1杭部材21、22には、網部材4を張設するための
係止部211、221が形成されている。第2杭部材3
1、32には、紐部材5を取り付けるための係止部31
1、321が形成されている。
【0031】網部材4は面部材に該当するもので、周囲
の流体である例えば海水の動きに追随するためのもので
ある。本実施例の網部材4は合成樹脂、金属等から構成
されており、上部両端部から網部材4の一部が延出して
おり、第1杭部材21、22の係止部211、221に
張設されている。なお適宜のワイヤー等を使用して網部
材4と第1杭部材21、22の係止部211、221と
を連結し、網部材4を張設してもよい。そして網部材4
の下部両端部は、紐部材5、5を介して第2杭部材3
1、32の係止部311、321に連結している。
【0032】紐部材5、5は移動制限部材に該当するも
ので、網部材4の往復運動を制限するものである。即ち
本実施例では、海水の往復運動に伴い、網部材4も往復
運動を行うが、その振幅を紐部材5、5により制限し、
網部材4の下部が第1の固定手段2を越えない様にする
ものである。
【0033】次に本実施例の作用を第2図に基づいて説
明する。第2図は本実施例の断面方向から見た図であ
る。
【0034】まず第2図(a)に示す様に、海の波が第
2の固定手段3の方から第1の固定手段2の方向に向か
って流れた場合を説明する。この場合には、網部材4が
第1の固定手段2の方向に振られるが、紐部材5、5に
より網部材4の振幅は第1の固定手段2付近で規制され
る。この結果、海底で波の運動に伴って移動している底
質が網部材4により移動が阻止されて堆積する。ここで
底質とは、砂や小礫、シルト等からなる漂砂である。そ
して海水は、網部材4を乗り越える様に流れるため、網
部材4の背部で比較的大きな渦が発生し、海底部の底質
を巻き上げる。この結果、洗掘部が生じ、この渦の流れ
に従って、洗掘された底質が堆積する堆積部が発生す
る。
【0035】次に第2図(b)に示す様に、海水の流れ
が逆転し、第1の固定手段2から第2の固定手段3の方
向に流れれば、網部材4は大きく振れて上昇し、紐部材
5、5の限界まで網部材4は上昇する。この結果、底質
は海水の流れる方向に掃流される。 そして再び、海水
の流れる方向が逆転すれば、第2図(a)の状態とな
り、再び底質の移動阻止、洗掘、堆積が行われる。これ
らの運動を繰り返せば、第2図(c)に示す様に、第1
の固定手段2側にある底質が、第2の固定手段3方向に
移動することになる。
【0036】なお本実施例は、必ずしも海浜での使用に
限定されるものではなく、湖水や河川の下流等、往復流
の発生する場所で使用することができる。
【0037】次に本実施例の応用例を説明する。第3図
は本実施例を河口付近に設置した場合を示したものであ
る。第3図(a)に示す様に、沖側から波浪が入射する
と、漂砂は河口付近に移動して堆積し、河口が閉塞され
る。この結果、船の航行にも支障を来すことになる。そ
こで第3図(b)に示す様に、流体制御手段1を河口部
付近に設置し、漂砂の流入を防止する。即ち、第1の固
定手段2を河口側に配置し、第2の固定手段3を海の沖
側に配置する。この結果漂砂は、河口側から沖側に移動
することは可能でも、沖側から河口側に移動することが
阻止されるので、漂砂の河口進入を防止することができ
る。
【0038】更に第3図(c)に示す様に、河口内の底
質は川の上流に向かって移動する。そこで、流体制御手
段1を、河口内から沖側に向かって、複数並べることに
より、底質を海側に移動させることができる。即ち全て
の流体制御手段1の、第1の固定手段2を河口側に配置
し、第2の固定手段3を海の沖側に配置する。この結果
河口内の底質は、流体制御手段ごとに沖側へ移動し、河
口の閉塞を防止することができる。
【0039】次に第4図に基づいて、洗掘防止板6が形
成された変形例を説明する。本変形例は第1の固定手段
2の第1杭部材21、22に、洗掘防止板6を取り付け
るための係止部212、222、213、223が形成
されている。本変形例の洗掘防止板6は網部材から形成
されており、洗掘防止板4の4隅を第1杭部材21、2
2の係止部212、222、213、223に固定して
いる。なお、洗掘防止板4の固定は、ワイヤー等に網部
材を固定し、ワイヤーを第1杭部材21、22の係止部
212、222、213、223に固定してもよい。そ
して洗掘防止板6は網部材に限ることなく、一般の板部
材であってもよく、更に、第1杭部材21、22に固定
することなく、第1固定手段2の近傍に別個固定しても
よい。なお、洗掘防止板6以外の構成は前記実施例と同
様であるから説明を省略する。
【0040】本変形例の作用を第5図に基づいて説明す
る。第5図(a)は、洗掘防止板6がない場合の状況を
説明する図であり、海水の流れが網部材4を越流する
と、網部材4の背後で比較的大きな渦が発生する。この
渦による底質の巻き上げにより洗掘部が発生し、この洗
掘部が発達すると上流側まで進行する。更に上流からの
海水の流れにより、流体制御装置1の下部を洗掘してし
まうという現象が生じる。この結果、底質の移動阻止す
る能力が低下するという問題点があった。
【0041】そこで第5図(b)に示す様に、第1の固
定手段2の海底面近傍に洗掘を防止するための洗掘防止
板6を設置すれば、網部材4の背後で発生する渦により
底質が巻き上げられるが、洗掘が上流側に進行すること
なく堆積部が形成され、流体制御装置1の下部が洗掘さ
れることがないという効果がある。
【0042】次に第6図に示す流体制御装置1を波峰線
と適宜の角度で交わる方向に設置した応用例を説明す
る。本実施例では、網部材4を波峰線に対して角度αだ
け傾けている。ここで、波浪の進行方向に有する力をF
とすれば、網部材4と平行な分力がf2となり、網部材
4と垂直な分力がf1となる。この結果、網部材4と平
行な分力であるf2により、底質を網部材4と平行な方
向に移動させることができる。
【0043】従って第7図に示す様に、河口付近に流体
制御装置1を斜めに配置すれば、漂砂を流体制御装置1
に沿って移動させ、漂砂の河口進入を防止することがで
きる。なお、第1の固定手段2を河口側に配置し、第2
の固定手段3を海の沖側に配置することは前述の実施例
と同様である。
【0044】次に第8図に基づいて、網部材4を複数連
設した応用例を説明する。本実施例の第1の固定手段
2、2・・・は杭100からなっており、網部材4の続
く限り、複数設置される。同様に第2の固定手段3、3
・・・も、杭100からなっており複数設置される。第
1の固定手段2の杭100と第2の固定手段3の杭10
0は同一な部材から構成されている。
【0045】第9図に基づいて杭100を詳細に説明す
ると、杭100には、網部材4の上部両端部を張設する
ためのワイヤー9や紐部材5を取り付けるための半リン
グ状の掛部110、110・・・が複数形成されてい
る。杭100には、複数の掛部110、110が形成さ
れているので、網部材4の高さを自由に決定することが
できるという効果がある。 第10図に示す様に、網部
材4の上部両端部からは、ワイヤー9が延出しており、
同様に網部材4の下部両端部からもワイヤーが延出して
おり、このワイヤーの部分は、紐部材5(移動制限部
材)に該当している。8は張力調整手段であって、2個
の棒部材を互いに螺合して形成されており、棒部材の距
離を変化させることにより、ワイヤー9の長さを調整し
て張力を調整するものである。なお、ワイヤー9は張設
部材に該当するものである。
【0046】従って第10図(a)に示す様に、網部材
4の上部右端からのワイヤー9を第1の固定手段2であ
る杭100の掛部110に挿通して係止し、張力調整手
段8の一端に接続する。同様に網部材4の上部左端から
ワイヤー9を他方の第1の固定手段2の掛部110に挿
通した後、張力調整手段8の他端に接続する。
【0047】次に第10図(b)に示す様に、張力調整
手段8を調整して、網部材4を第1の固定手段2に張設
する。
【0048】更に第10図(c)に示す様に、網部材4
の下部両端部の形成された、紐部材5に該当するワイヤ
ーを第2の固定手段3である杭100の掛部110に取
り付ける。なお、紐部材5に該当するワイヤー部分は、
連設する網部材の他の紐部材5に該当するワイヤーと縛
り付けることが望ましい。 次に、若干の応用例を第1
1図から第13図により説明する。
【0049】第11図(a)は、港湾を示した図であ
り、外洋の漂砂が湾内に進入状況を示している。そこで
第11図(b)に示す様に、波向線方向に2重に流体制
御装置1を並べると共に、横方向にも複数流体制御装置
1を連設する。そして第1の固定手段2を港湾側に配置
し、第2の固定手段3を海の沖側に配置する。この結
果、漂砂は流体制御装置1に沿って側方に移動され、更
に別の流体制御装置1で側方に移動され、港湾の外方向
に漂砂を移動させることができ、港湾の埋没を防止する
ことができる。
【0050】第12図(a)に示す様に、離岸堤20
0、200を併用した養浜工300では、離岸堤200
の間から砂が外洋に流出するという問題点があった。そ
こで、第12図(b)の様に、離岸堤200、200・
・の間付近に流体制御装置1を並べれば、養浜砂の外洋
への流出を防止することができる。本実施例では、第1
の固定手段2を離岸堤側に配置し、第2の固定手段3を
養浜工300側に配置している。
【0051】第13図(a)に示す様に、船の航路も漂
砂により埋没する。しかし第13図(b)に示す様に、
航路に平行に流体制御装置1を連設すれば、航路内への
漂砂の進入を防止することができる。本実施例では、第
1の固定手段2を航路側に配置し、第2の固定手段3を
航路の外側に配置している。
【0052】
【効果】以上の様に構成された本発明は、底面部に固定
するための第1の固定手段と第2の固定手段と、周囲の
流体の動きに追随させるための面部材とからなってお
り、第1の固定手段は一対の第1杭部材から形成されて
おり、第2の固定手段は一対の第2杭部材から構成され
ており、第1杭部材間には張設部材が張設され、この張
設部材と前記面部材の上部とが連結されており、前記面
部材の下部両端部は、周囲の流体の動きに伴う前記面部
材の往復運動の振幅を制限するための移動制限部材を介
して第2杭部材に固定されており、前記第1杭部材間の
底面部近傍には、洗堀を防止するための洗堀防止板が形
成されているので、底質の動きに対して弁の働きを行
い、底質の移動を一方向にすることができる上、面部材
の背後で発生する渦による洗掘を防止することができ
る。更に面部材を網部材から構成すれば、軽量で丈夫で
長持ちするという効果がある。
【0053】また本発明は、張設部材には、張力を調整
するための張力調整手段を設けることもできるので、簡
便に張設部材の張力を調整することができ、施工が極め
て容易となるという効果がある。
【0054】更に本発明は、海岸の底質の移動を制御す
るための流体制御手段であって、底面部が海底部であ
り、第2の固定手段の方向に底質を移動させることがで
きるので、海底部付近の流体の場を制御することがで
き、第2の固定手段の方向に底質を移動させることがで
きる。
【0055】また本発明は、河口部の閉塞を防止するた
めの流体制御手段であって、底面部が、前記河口部付近
の海底部であり、前記第1の固定手段を河口側に配置
し、前記第2の固定手段を海の沖側に配置することによ
り、河口部付近の底質を海側に移動させる構成を有する
ので、河口部付近の底質を海側に移動させることがで
き、河口部の閉塞を防止することができる。このため浚
渫等の費用を節約することができ、工期が短く、工費も
安い上、離岸堤の様に浜の美感を損なうことがないとい
う効果がある。そして出水時においては、底質の沖側へ
の移動を妨げることがないという効果がある。
【0056】そして本発明は、波峰線と適宜の角度で交
わる方向に、面部材を配置しているので、底質を所望の
方向に移動させることができるという効果がある。
【0057】そして本発明は、港湾や航路に応用すれ
ば、港湾、航路の埋没を防止することができるという卓
越した効果がある。
【0058】更に本発明は、離岸堤の間付近の海底部に
設置すれば、養浜工から砂の流出を防止することができ
る。
【0059】以上の様に本発明は、海底の底質の移動を
制御することができるが、流体の場を制御しているた
め、シルト等の対策にも最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の構成を示す斜視図である。
【図2】本実施例の作用を説明する図である。
【図3】河口部に応用した例を示す図である。
【図4】洗掘防止板を備えた変形例を説明する図であ
る。
【図5】変形例の作用を説明する図である。
【図6】波峰線に対して傾けた例を説明する図である。
【図7】河口部に応用した例を説明する図である。
【図8】流体制御手段を複数連設した例を説明する図で
ある。
【図9】杭を説明する図である。
【図10】張力調整手段を備えた場合の網部材の設置方
法を説明した図である。
【図11】港湾に応用した例を示す図である。
【図12】養浜工に応用した例を示す図である。
【図13】航路に応用した例を示す図である。
【符号の説明】
1 流体制御手段 2 第1の固定手段 3 第2の固定手段 4 網部材 5 紐部材 6 洗掘防止板 7 掛部 8 張力調整手段 9 ワイヤー 100 杭 200 離岸堤 300 養浜工

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 底面部に固定するための第1の固定手段
    と第2の固定手段と、周囲の流体の動きに追随させるた
    めの面部材とからなっており、第1の固定手段は一対の
    第1杭部材から形成されており、第2の固定手段は一対
    の第2杭部材から構成されており、第1杭部材間には張
    設部材が張設され、この張設部材と前記面部材の上部と
    が連結されており、前記面部材の下部両端部は、周囲の
    流体の動きに伴う前記面部材の往復運動の振幅を制限す
    るための移動制限部材を介して第2杭部材に固定されて
    おり、前記第1杭部材間の底面部近傍には、洗堀を防止
    するための洗堀防止板が形成されていることを特徴とす
    る流体制御手段。
  2. 【請求項2】 底面部に固定するための第1の固定手段
    と第2の固定手段と、周囲の流体の動きに追随させるた
    めの面部材とからなっており、第1の固定手段は一対の
    第1杭部材から形成されており、第2の固定手段は一対
    の第2杭部材から構成されており、第1杭部材間には張
    設部材が張設され、この張設部材と前記面部材の上部と
    が連結されており、前記面部材の下部両端部は、周囲の
    流体の動きに伴う前記面部材の往復運動の振幅を制限す
    るための移動制限部材を介して第2杭部材に固定されて
    おり、前記張設部材には、張力を調整するための張力調
    整手段が設けれていることを特徴とする流体制御手
    段。
  3. 【請求項3】 面部材が、網部材から構成されている請
    求項1又は請求項2記載の流体制御手段。
  4. 【請求項4】 海岸の底質の移動を制御するための流体
    制御手段であって、底面部が海底部であり、第2の固定
    手段の方向に底質を移動させる請求項1〜3の何れか1
    項記載の流体制御手段。
  5. 【請求項5】 河口部の閉塞を防止するための流体制御
    手段であって、底面部が、前記河口部付近の海底部であ
    り、前記第1の固定手段を河口側に配置し、前記第2の
    固定手段を海の沖側に配置することにより、河口部付近
    の底質を海側に移動させる請求項4記載の流体制御手
    段。
  6. 【請求項6】 港湾や航路の埋没を防止するための流体
    制御手段であって、底面部が、前記港湾や航路付近の漂
    砂進入部分の海底部であり、前記第1の固定手段を港湾
    又は航路側に配置し、前記第2の固定手段を港湾又は航
    路の外側に配置することにより、港湾や航路付近の底質
    を外側方向に移動させる請求項4記載の流体制御手段。
  7. 【請求項7】 離岸堤等を併用した養浜工から砂の流出
    を防止するための流体制御手段であって、底面部が、前
    記離岸堤の間付近の海底部であり、前記第1の固定手段
    を離岸堤等側に配置し、前記第2の固定手段を養浜工側
    に配置することにより、砂が離岸堤の間から外洋に流出
    することを防止する請求項4記載の流体制御手段。
  8. 【請求項8】 波峰線と適宜の角度で交わる方向に、面
    部材を配置し、底質を所望の方向に移動させる請求項4
    〜7の何れか1項記載の流体制御手段。
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