JP2008223446A - 航路埋没防止方法及び埋没を防止した港湾設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】航路に土砂が堆積しないようにすると共に、砂とシルトを分離して堆積させ、港湾の維持浚渫の効率化を図り、航路の浚渫を効率よくおこなえるようにする。
【解決手段】航路1の底部に適宜の間隔で掘り込み4が設けてある。更に、航路1の脇に沿って潜堤2が設けてある。潜堤2の天端21は干潮時であっても小型船が余裕をもって通過できる深さとし、潜堤2の近傍に掘り込み3を造成する。掘り込みの3の中央部もしくは潜堤2側に寄せて仕切り31が設けてあり、この仕切りが砂とシルトが堆積する場所を区画する。
【選択図】図1

Description

本発明は、航路にシルトや砂が堆積して航行を妨げるのを防止すると共に、波浪によって舞い上がったシルトを所定の場所に集積するようにして浚渫を容易にした航路の埋没防止方法及び方法及び港湾施設に関する。
泥土分が多い海域にある港湾においては、シルトや粘土等の浮泥が波や海水流によって巻き上げられて移動するシルテーションに港湾施設の埋没によって、大型船舶の航行に支障を生じる。このため、図2に示すように、断面逆T型の潜堤を航路の両側に設置することによって航路にシルトが堆積するのを防止する埋没対策が実施されている。
潜堤による港湾施設の埋没阻止に対する効果は、潜堤高が高くすると、潜堤を越流する浮泥量自体が少なくなり、また、潜堤直上の流速が速くなることにより潜堤の航路側の渦の規模が大きくなって浮泥を攪拌する効果が更に高まり、航路への埋没阻止能力はますます高まる。
しかしながら、潜堤は没水構造物であり、水面からは見えず、大型船の航路を横断して航行する小型船舶に対して干潮時には障害となって事故に繋がる可能性があることから、できる限り潜堤の天端高は低くして小型船舶の航行の円滑化を図ることが必要である。
港湾設備の埋没阻止効果を低下させずに潜堤の天端を低く抑えることが望ましいので、潜堤の高さを低くして並列に並べる複列化により航路内の浮泥の濃度を半分程度に抑えられることが確認された。また、
複列潜堤の潜堤の断面形状を変えることによっても埋没阻止効果が異なることが報告されており、浮泥が堆積している側では浮泥を乱さない断面が逆ν型潜堤を、航路側では越流浮泥を攪拌し濃度低下を促す逆T型潜堤を設置する逆T型とν型を並列に設置する復列潜堤が有効な組合せといわれている。
http://www.mlit.go.jp/chosahokoku/h16giken/pdf/0226.pdf「シルテーションによる港湾施設の埋没の技術的対策について」九州地方整備局下関港湾空港技術調査事務所技 黒田祐一
波浪により航路内に土砂が流入し、その土砂によって航路水深が確保できなくなるため、堆積した土砂の浚渫をおこなう必要がある。前述のように、潜堤を設置することによって航路内に堆積する土砂を少なくすることができるが、潜堤の周辺には土砂が堆積するので、潜堤の効果が徐々に小さくなっていくので潜堤のシルテーション防止効果を維持するためには浚渫が必要である。
土砂に含まれる粒径の大きな砂は沈降速度が大きく、波浪で巻き上げられた砂はシルトに比較すると元の場所の近くに沈降して堆積し、一方、シルトは沈降速度が小さく浮遊し続け、静穏度の高い領域、例えば潜堤や防波堤の背面側に堆積する傾向がある。
砂は、建設地の埋戻し材やコンクリートの細骨材等に利用可能であるが、シルトは、微粒子で粒径が小さく、脱水後の再利用も困難であり大部分が廃棄されている。
したがって、浚渫時に砂とシルトが混在した状態の堆積土砂であると、浚渫した土砂の利用方法がシルトの含有率によって大幅に制限されることがあるため、砂とシルトを分離して堆積させ、港湾の維持浚渫を効率よくおこなうことが、資源の有効利用の観点からも好ましい。
以上の問題を解決するため、本発明は、自然現象として避けることができない堆積土砂を一定の場所に堆積させて浚渫を容易とするものである。
更に本発明は、混在すると利用価値が激減する砂とシルトを分離して堆積させ、浚渫の効率化を図ると共に資源を有効利用できるようにするものである。
航路内に航路の軸に沿って適宜の間隔で航路底部の複数箇所に掘り込みを形成する航路埋没防止方法であり、航路底部に設けた掘り込みの静穏性を利用して浮遊性のシルトをこの掘り込みないに沈積させるのである。
更に、航路脇に沿って適宜の間隔で掘り込みを形成し、掘り込みの縁の航路側に潜堤を設けることによって波浪によって浮遊した土砂を掘り込み中に堆積させ、航路に土砂が堆積するのを防止し、掘り込みに堆積した土砂を適宜の間隔で浚渫するようにした。更に、掘り込みに設けた仕切りによって砂とシルトが別々の箇所に沈降堆積するようにしたものである。
航路内に設けた掘り込みは波浪の影響が小さく、他の場所をより静穏であるので、波浪によって浮遊したシルトが沈積するので、浚渫間隔を従来より長くすることができ、船舶の航行への影響を少なくすることができる。
更に、航路脇に潜堤と掘り込みを設けることによって航路への土砂の堆積が防止されると共に、航路脇の掘り込み部分に堆積した土砂の浚渫は、航路を塞ぐことなく浚渫作業がおこなえ、船舶の航行に影響を与えない。
また、砂とシルトが区画されて堆積するので砂とシルトを別々に浚渫することができ、利用価値の高い土砂が得られるので、資源の有効利用ができる。
図1は本発明の港湾施設の概念図であり、港湾内に浚渫等によって形成された航路1の底部には掘り込み4が適宜の手段で形成してある。更に、航路からから50〜100m離れた位置に直立壁を有する潜堤2が航路1に沿って設けてある。潜堤2の天端21は干潮時であっても小型船が余裕をもって通過できる深さとする。
この潜堤2の近傍に掘り込み3を造成する。掘り込み3の深さ及び長さは、浚渫の間隔に応じて予想される堆積土砂を想定して定める。
更に、掘り込みの3の中央部もしくは潜堤2側に寄せて頭部が海底に位置する程度の高さの仕切り31を設ける。この仕切り31を設けることによって、砂とシルトが堆積する場所を区画する。
航路1に流入する土砂の砂成分とシルト成分との分離は、潜堤2により行なわれるが、この潜堤2の設置による評価は次のようにしておこなう。
砂は、波高あるいは底面流速を増大させ、底面摩擦力を大きくしていくと、底質(砂)が掃流状態で移動する掃流移動、底質が浮遊状態で移動する浮遊移動、砂が層状態で移動するシートフローが生じ、シートフロー状態では、底面摩擦応力が大きい状態で砂は層状態で数層にわたって下流方向へ移動することが知られているので、現地の波浪状況に応じて潜堤2の位置を定める。
本発明の港湾設備の概念図。 シルティングを潜堤によって防止した航路の概念図。
符号の説明
1 航路
2 潜堤
3、4 掘り込み
21 天端
31 仕切り

Claims (4)

  1. 航路内に航路の軸に沿って適宜の間隔で航路底部の複数箇所に掘り込みを形成する航路埋没防止方法。
  2. 請求項1において、更に、航路脇に沿って適宜の間隔で掘り込みを形成し、掘り込みの底部に仕切りを設けると共に、航路側に潜堤を設ける航路埋没防止方法。
  3. 航路内に航路の軸に沿って適宜の間隔で複数箇所に掘り込みを形成した航路埋没を防止した港湾設備。
  4. 請求項3において、航路脇に沿って適宜の間隔で掘り込みが形成してあり、航路脇の掘り込みの底部には仕切りが設けてあり、航路側に潜堤が設けてある航路埋没を防止した港湾設備。
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