JP3056318B2 - 加熱殺菌機における温度制御方法および装置 - Google Patents
加熱殺菌機における温度制御方法および装置Info
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Description
殺菌する装置において所定温度への加熱後の冷却温度を
制御する方法およびその装置に関する。
すような噴霧式レトルト殺菌機が知られている。タンク
1内に設けたスプレー部4より、トレー2上のレトルト
食品3に対して噴霧され、タンク1底部に溜まった水は
循環ポンプ6により再びスプレー部4へ循環供給される
ようになっている。ポンプ6の出口側の配管経路5には
熱交換器7が設けられており、この熱交換器7の一次側
に、食品加熱時であれば、蒸気バルブ8の開により加熱
蒸気が供給され、一方、加熱後の冷却であれば、冷却水
バルブ9の開により冷却水が供給される。
は、各食品毎に、加熱時間、加熱温度および加熱時の圧
力等が厳格に決められており、そのため、加熱時の温度
を正確に制御できる温度制御装置が提供されている。し
かるに、加熱殺菌した後のレトルト食品に対する冷却に
ついては特に規定はないため、従来では、適当に冷却水
バルブ9を開にして熱交換器7に冷却水を一定流量で通
水するのが一般的である。
水を通水することで加熱終了時の温度130℃から5分
後に115℃まで降下させる場合について検討する。こ
の場合に通水すべき水量Qは、熱交換器入口温度Ta
(=130℃)、目標温度Tb(=115℃)、冷却水温
t、被加熱物を含む循環経路全体の熱容量Vより、熱交
換器7における熱収支を示す式より求めることができ
る。冷却水量Qが求まれば、毎分Q/5の一定流量で冷
却することにより曲線L1で示すような温度降下が得ら
れる。
冷却した場合、冷却開始直後では降下速度が大きく、そ
の後降下速度は次第に小さくなる。このように、温度降
下が指数関数的に変化するのは、循環水温度と冷却水温
度との温度差が冷却開始直後では大きく(それ故、熱交
換器での熱授受量が大きく)、循環水温度が低下するに
従い前記温度差が小さくなるためである。又、ここで示
された温度降下は、あくまで熱収支を理想的とみなした
場合であって、現実には種々の誤差要因、例えば冷却水
も一般には循環させて用いるために、冷却運転に伴い冷
却水温度tも上昇する等の要因が影響して、曲線L2も
しくはL3で示したように5分後に115℃になるとは
限らない。
伴いレトルト食品の種類が増え、それ故、レトルト食品
の容器も種々雑多に増加している。例えばプラスチック
容器にあっては、図2の曲線L1、L2、L3のごとく冷
却開始後に急激に温度を降下させた場合、加熱温度が1
00℃以上ともなれば容器自体が軟化しているために、
容器内の圧力が急激に低下することにより容器にへこみ
もしくは破損が生じたりすることがある。このような容
器変形の恐れがない場合でも、各食品に対しては、各々
に適した一定の降下速度を決めておき、その速度に従っ
て温度を降下させることが、均一な品質の食品を提供す
る上で重要となる。本発明は、上述した課題を解決する
ためになされたものであり、簡単な制御でもって随意の
温度降下を達成することのできる温度制御方法および装
置を提供することを目的とする。
おける温度制御方法は、レトルト食品等を加熱殺菌する
装置にて冷却時の温度降下を制御する方法であって、検
出した熱交換器入口温度もしくは設定した温度Taか
ら、所望の時間A後に目標温度Tbへ直線的に降下させ
るとき、時間Aをn個の時間帯に分割するとともに、分
割した時間帯の終了時刻(A1、A2、…An-1)おける各
温度(T1、T2、…Tn-1)を比例式により求め、冷却水
温t、被加熱食品等を含む循環経路全体の熱容量Vの条
件で熱交換器における熱収支式に基づき、始点温度Ta
から終点温度T1に下降するのに要する冷却水量Q1、こ
の終点温度T1を始点温度として次の終点温度T2へ下降
するのに要する冷却水量Q2、以下順次各時間帯毎に求
め、各時間帯で求めた冷却水量Q1、Q2、…を供給する
ことを特徴とする。
法は、請求項1記載の加熱殺菌機における温度制御方法
において、計算により求めた始点温度T1、T2、…に替
えて時刻A1、A2、…で検出した熱交換器入口温度
T1'、T2'、…を用いて温度補正するとを特徴とする。
法は、請求項2記載の加熱殺菌機における温度制御方法
において、各時間帯において、実際の降下温度差ΔTp
と、計算により得られる降下温度差ΔTqとの比(ΔTp
/ΔTq)を求め、次の時間帯に対して求めた冷却水量Q
にこの比(ΔTp/ΔTq)を乗じて得た補正水量Q'を供
給することを特徴とする。
の熱交換器入口での温度TaからA時間後に目標温度T
bまで降下させる場合、時間Aをn個の時間帯に分割
(等分割でなくてもよい)し、分割した各時間帯における
終了時刻(A1、A2…An-1)を求めると共に、それらの
各時刻における各温度(T1、T2、…Tn-1)を比例式に
より求める。ここで元の温度をTx、目標温度をTy、
冷却水温をt、冷却水量をQ、被加熱食品等を含む循環
経路全体の熱容量をVとしたとき、熱交換器における熱
収支式により、次の関係式が成り立つ。
ら終点温度T1へ降下するために供給すべき水量Q1は、
時刻0での冷却水温をt0として、 Q1=V(Ta−T1)/(T1−t0) 時刻A1から時刻A2の時間帯で始点温度T1から終点温
度T2へ降下するために供給すべき水量Q2は、時刻A1
での水温をt1として、 Q2=V(T1−T2)/(T2−t1) 同様に、時刻An-1から時刻Aの時間帯で供給すべき水
量Qnは、時刻An-1での冷却水温をtn-1として、 Qn=V(Tn-1−Tb)/(Tb−tn-1) となる。各水量Qを単位時間当たりの流量Qvで示せ
ば、Qv1=Q1/(A/n)、Qv2=Q2/(A/n)、…Qvn
=Qn/(A/n)となり、このような流量が得られるよう
に、冷却水バルブ9の開度を制御すればよい。この制御
では、各時間帯毎に検出した冷却水温tを用いているの
でより正確な水量Qが得られる。
うになるのは熱収支が理想的な場合であって、通常は例
えば直線L5のごとく温度降下し、時刻Aにおいて目標
温度Tbとはならない。しかし、前述したように、冷却
開始直後を一定の割合(直線的に)で温度降下させるのが
肝要であり、到達温度における数℃の誤差は一般には問
題にならない。尚、例えば時刻0から時刻A1の時間帯
においても図2に示したように指数関数的に温度降下し
ているが、時間帯を短く設定したためほぼ直線的に降下
しているとみなせる。
に温度降下させたい場合には請求項2で示したように、
数式1における始点温度Txとして、計算により求めた
温度T1、T2…ではなく、それらの時刻A1、A2…での
実測温度値T1'、T2'…を代入して、各時間帯毎に始点
温度を補正すればよい。
に合致させて品質の均一化を図る場合には、請求項3で
示してように、各時間帯において、実際の降下温度差Δ
Tp(この値は熱交換器7で奪うべき熱量に比例)と、計
算により得られる降下温度差ΔTq(この値は熱交換器7
で実際に奪われた熱量に比例)との比(ΔTp/ΔTq)を
求め、次の時間帯に対して求めた冷却水量Qにこの比
(ΔTp/ΔTq)を乗じて得た補正水量値Q'を供給すれ
ばよい。
御方法に基づく装置の一実施例を示す制御ブロック図で
あり、図1と同一の部分については共通の符号を付して
いる。S1およびS2は、熱交換器7における入口および
出口の流水温度を検出する温度センサであり、S3は冷
却水温を検出する温度センサである。11は、これらの
温度センサSよりの検出信号をアナログからデジタルに
変換するA/D変換器である。12は、キーボードであ
り、図5に示すように、加熱終了時を時刻0として、5
分後に130℃から115℃に冷却し、更に5分後に8
0℃まで冷却する場合、このキーボード12により例え
ば、 (1) 130,115,5,1 (2) 115, 80,5,1 のごとく各温度降下ラインL6、L7毎に、最初の温度T
x、目標降下温度Ty、冷却時間A、該時間Aに対す
る、時間帯を順に入力する。この時間帯は共に1分とし
たが、比較的正確な温度制御が必要な降下ラインL6に
対しては1分とし、それ程正確さが要求されない降下ラ
インL7に対しては2分として冷却水バルブ9の動作頻
度を抑えるようにしてもよい。
り、内部には、温度センサSよりの検出温度およびキー
ボード12よりの設定データに基づき、各時間帯におけ
るめ始点温度(図3におけるT1、T2…)を演算する温度
演算部13aと、前述の数式1に基づき各水量Qを演算
し、又、必要に応じ請求項3で記載した方法により、次
の時間帯での水量Qを補正する水量演算部13bとを備
える。14は、前記温度演算部13aおよび水量演算部
13bで行う制御プログラムを格納するROMであり、
15は、キーボード12により入力したデータ等を一時
的に記憶するRAMである。
データをデジタルからアナログに変換するD/A変換器
である。17は、バルブ開度指示器であり、入力された
水量Qに対して、冷却水バルブ9を開閉するための駆動
部18に対して開度の値を送出する。19は、必要に応
じて外部から接続されるプリンタであり、20は、この
プリンタ19に対するインタフェイスである。
て述べる。まず、図5に示すように、温度演算部13a
により、冷却開始時刻0分より1分の時間帯毎の温度T
1(=127℃)、T2(=124℃)、T3(=121℃)、T4(=118
℃)が、温度降下ラインL6から求められ、その温度に対
して水量演算部13bにより、数式1を用いて水量
Q1、Q2、Q3、Q4が求められる。又、同様に、冷却開
始時刻5分より1分の時間帯毎の温度T11(=108℃)、
T12(=101℃)、T13(=94℃)、T14(=87℃)が、温度
降下ラインL7から求められ、その温度に対して水量演
算部13bにより、数式1を用いて水量Q11、Q12、Q
13、Q14が求められ、各時間帯にて対応する水量Qが供
給されるよう、冷却水バルブ9の開度が制御される。
5のL9に示している。尚、レトルト食品が80℃程度
まで冷却されれば、その後は急冷しても食品の容器に変
形を起こす恐れはないのと、加熱殺菌の工程時間の短縮
のために80℃に至れば、冷却水バルブ9を全開して急
冷している。図5でわかるように、第1発明の制御で
は、直線的に温度が降下するものの誤差も直線的に増加
する。
検出温度を用いる第2発明の制御を述べる。この制御で
は、図5で示したような、1分の各時間帯における始点
温度T1、T2、…T4、T12、T13、…を演算する必要
はなく、温度センサS3で検出した熱交換器7出口の配
管経路5の水温T1'、T2'、…T4、T12'、T13'、…
を始点温度として用い数式1により水量Q1'、Q2'、Q
3'、Q4'及びQ11'、Q12'、Q13'、Q14'が求められ、
これらの水量Qに基づき冷却水バルブ9の開度が制御さ
れる。
6のL9にて示している。この制御では、温度降下ライ
ンL6において、最初の時間帯が終了する時刻1分で温
度誤差(T1−T1')が生じる。この時刻で次の時間帯に
対して、始点温度が計算によるT1ではなく実測温度
T1'が採用されるためこの時点での誤差はなくなるがこ
の時間帯が終了する時刻2分で再び前記の温度誤差と同
程度の誤差が生じる。従って本制御によれば、温度降下
ラインL9で示されるように、指定した温度降下ライン
L6,L7と平行のラインとなる。
差と計算による降下温度差との比により、次の時間帯で
の冷却水量を補正する第3発明の制御について述べる。
図7に示すように、前実施例と同様に、最初の時間帯に
対して水量Q1が供給され、この時間帯が終了する時刻
1分で温度誤差(T1−T1')が生じたとする。この時点
で、次の時間帯に対する水量Q2が前実施例と同様に求
められると同時に、実際の指定した温度降下ラインL6
における降下温度差ΔTq(=130−T1)と、実際の降下
温度差ΔTp(=130−T1')とが求められ、水量演算分1
3bにおいて、 Q2'=Q2×(ΔTp/ΔTq) により補正した水量Q2'が求められる。以下同様に補正
した水量Q3'、Q4'、…が求められ、これらの水量Q'
に基づき冷却水バルブ9の開度が制御される。
示している。この図では、温度降下ラインL6では2回
目の時間帯終了時で誤差が0に収束し、又、温度降下ラ
インL7では3回目の時間帯終了時に誤差が0に収束し
た例を示している。
めと各補正法による制御の差異を明確にするために誤差
を誇張して示した。又、第1ないし第3発明による制御
を示した図5ないし図7では、誤差が出た場合の制御を
示したまてで、誤差が全く生じない場合も当然あり得
る。
度TaからA時間後に温度Tbへ降下させるに際して、
n個の時間帯に分割し、各時間帯毎に冷却水量Qを計算
するようにしたので、温度誤差を少なくでき、かつ一定
の速度で温度を降下させることができる。又、本第2発
明によれば、各時間帯における始点温度として検出温度
を用いて補正するようにしたので、温度誤差を低減でき
る。更に、本第3発明によれば、今回の時間帯における
冷却結果に基づき次回の温度帯における水量Qを補正す
るようにしたので温度誤差をほぼ無くすことができる。
ルブを開にした時の温度降下を示した図
降下ラインを示した図
温度制御装置の一実施例を示した制御ブロック図
制御方法を実施した場合の温度降下ラインを示した図
制御方法を実施した場合の温度降下ラインを示した図
制御方法を実施した場合の温度降下ラインを示した図
Claims (6)
- 【請求項1】 レトルト食品等を加熱殺菌する装置にて
冷却時の温度降下を制御する方法であって、 検出した熱交換器入口温度もしくは設定した温度Taか
ら、所望の時間A後に目標温度Tbへ直線的に降下させ
るとき、時間Aをn個の時間帯に分割するとともに、分
割した時間帯の終了時刻(A1、A2、…An-1)おける各
温度(T1、T2、…Tn-1)を比例式により求め、 冷却水温t、被加熱食品等を含む循環経路全体の熱容量
Vの条件で熱交換器における熱収支式に基づき、始点温
度Taから終点温度T1に下降するのに要する冷却水量
Q1、この終点温度T1を始点温度として次の終点温度T
2へ下降するのに要する冷却水量Q2、以下順次各時間帯
毎に求め、各時間帯で求めた冷却水量Q1、Q2、…を供
給することを特徴とする加熱殺菌機における温度制御方
法。 - 【請求項2】 請求項1記載の加熱殺菌機における温度
制御方法において、計算により求めた始点温度T1、
T2、…に替えて時刻A1、A2、…で検出した熱交換器
入口温度T1'、T2'、…を用いて温度補正するとを特徴
とする加熱殺菌機における温度制御方法。 - 【請求項3】 請求項2記載の加熱殺菌機における温度
制御方法において、各時間帯において、実際の降下温度
差ΔTpと、計算により得られる降下温度差ΔTqとの比
(ΔTp/ΔTq)を求め、次の時間帯に対して求めた冷却
水量Qにこの比(ΔTp/ΔTq)を乗じて得た補正水量
Q'を供給することを特徴とする加熱殺菌機における温
度制御方法。 - 【請求項4】 請求項1記載の加熱殺菌機における温度
制御方法に基づく温度制御装置であって、 検出した熱交換器入口温度もしくは設定した温度Taか
ら、所望の時間A後に目標温度Tbへ直線的に降下させ
るとき、時間Aをn個の時間帯に分割するとともに、分
割した時間帯の終了時刻(A1、A2、…An-1)おける各
温度(T1、T2、…Tn-1)を比例式により求める温度演
算部(13a)と、 冷却水温t、被加熱食品等を含む循環経路全体の熱容量
Vの条件で熱交換器における熱収支式に基づき、始点温
度Taから終点温度T1に下降するのに要する冷却水量
Q1、この終点温度T1を始点温度として次の終点温度T
2へ下降するのに要する冷却水量Q2、以下順次各時間帯
毎に求める水量演算部(13b)と、 各時間帯で求めた冷却水量Q1、Q2、…を供給すべく、
冷却水バルブを制御するバルブ開度指示器(17)とを備
えたことを特徴とする加熱殺菌機における温度制御装
置。 - 【請求項5】 請求項4記載の加熱殺菌機における温度
制御装置において、 水量演算部(13b)は、更に、計算により求めた始点温
度T1、T2、…に替えて時刻A1、A2、…で検出した熱
交換器入口温度T1'、T2'、…を用いて温度補正すると
を特徴とする加熱殺菌機における温度制御装置。 - 【請求項6】 請求項5記載の加熱殺菌機における温度
制御装置において、水量演算部(13b)は、更に、各時
間帯において、実際の降下温度差ΔTpと、計算により
得られる降下温度差ΔTqとの比(ΔTp/ΔTq)を求
め、次の時間帯に対して求めた冷却水量Qにこの比(Δ
Tp/ΔTq)を乗じて得た補正水量Q'を供給することを
特徴とする加熱殺菌機における温度制御装置。
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JP4039193A JP3056318B2 (ja) | 1992-02-26 | 1992-02-26 | 加熱殺菌機における温度制御方法および装置 |
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JPH05236916A JPH05236916A (ja) | 1993-09-17 |
JP3056318B2 true JP3056318B2 (ja) | 2000-06-26 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP4039193A Expired - Fee Related JP3056318B2 (ja) | 1992-02-26 | 1992-02-26 | 加熱殺菌機における温度制御方法および装置 |
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