JP3056216B1 - 自在調節靴 - Google Patents

自在調節靴

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JP3056216B1
JP3056216B1 JP11155108A JP15510899A JP3056216B1 JP 3056216 B1 JP3056216 B1 JP 3056216B1 JP 11155108 A JP11155108 A JP 11155108A JP 15510899 A JP15510899 A JP 15510899A JP 3056216 B1 JP3056216 B1 JP 3056216B1
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  • Footwear And Its Accessory, Manufacturing Method And Apparatuses (AREA)
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Abstract

【要約】 【課題】 従来の足を締め付けてスムーズに歩行せんと
した靴作りの常識を払拭し、足を締め付けなくても甲と
踵と内底とをぴったりすれば半サイズ乃至2サイズ大き
い靴でもスムーズに気持よく歩行ができるとの知見に基
づき、上記した問題点を解決し、足と靴が過度に圧接す
ることなく整合し、足の血行を阻害することなく、また
苦痛なくスムーズに歩行することが可能な自在調節靴を
提供する。 【解決手段】 靴1の内底2に、緩衝可能な弾力性を有
すると共に足裏面の接触圧により塑性変形する発泡合成
樹脂製のシート状弾性パッド8で形成した靴の内底形シ
ート9からなる中敷3を配設し、且つ靴の履き口4より
前方の甲被5外面に重ねて外装用重ね片6を着脱自在に
設け、甲被の内側に弾性パッド7を外装用重ね片に係止
して設けてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、足に魚の目やタコ
或いは外反母趾などの疾患があっても圧迫によって痛み
が発生しない上に、靴内で足が移動することなく完全に
整合する自在調節靴に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、靴と着用者の足の形状や大きさ
が不整合である場合には、靴擦れや圧迫による足の痛み
が起こるので、これを防止するために靴と足との隙間に
パッド(クッション性を有する当て物)を装入するな
ど、靴と足との間に適当な緩衝性を付与し、靴擦れや圧
接による足の痛みを防止している。
【0003】パッドの具体例としては、実開昭62−8
7505号公報に開示された靴用の高発泡ポリエチレン
フォーム製の中敷があるが、この中敷は弾性と共に所要
の可塑性(クリープ変形による可塑性)を備えており、
靴底に入れて2日程度履くと、体重によって足形に対応
する穏やかな凹凸面が形成され、この凹凸面によって足
裏にかかる体重を足裏全面に分散させることができ、一
体感のある履き心地を使用者に与えるものである。
【0004】また、身障者用の足底装具となる中敷は、
通常は石膏や樹脂で足形をとり、これに合わせて合成樹
脂、ゴム、フェルト、コルクなどの各種材料を複合して
前述の弾性シートを形成する。
【0005】また、図14及び図15に示した靴用中敷
100は、合成樹脂製の板材を成形した靴の内底形状の
ベースシート101の上に、発泡ポリウレタンシート1
02を重ねて接着し、これらを皮革103で被覆して弾
性及び吸湿性をもたせたものである。
【0006】また、着用者の足裏の表皮が角質化して歩
行時に痛みを発生させる部分(いわゆる魚の目やタコな
ど)や外反母趾等による変形であって除圧やクッション
性が必要な部分については、ベースシート101及び発
泡ポリウレタンシート102を貫通する孔104を形成
し、この孔104を皮革103で覆うようにして所定位
置に凹部105を形成し、靴擦れや足裏の圧迫刺激を防
止するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、第14図中に
点線で示した丸形の部分は、実際にこの中敷を着用した
者が痛みを感じる部分106であって、靴を装着した時
に除圧が必要であると見なされた部分(実線で示した凹
部105)と、実際に歩行した際に除圧が必要な部分1
06とのズレを示しており、通常のベースシートや発泡
ポリウレタンシートでは、使用者が実際に使用した時に
満足できるように圧迫刺激を防止することは容易ではな
かった。
【0008】また、従来の履物用中敷は、足の甲を靴に
密着させて係止するため、足の甲と靴の内側が過度に圧
接していわゆる靴擦れが起こる弊害もある。
【0009】そして、足の甲が靴に密着するだけでは靴
の内部で足が前後方向にずれ動くことを完全に防止する
ことは困難であり、特に、足指の欠損その他の障害のあ
る障害者にとっては、靴の内部で前後の滑り動きが大き
い中敷では安定した歩行運動が困難であった。
【0010】また、現在における医療用の最高のもの
は、石膏で足形を取ってそれを元にして中敷を作ってい
るが、靴の外で取った形は靴に入れても足形との形ズレ
があり、それによって得られた中敷は完全に整合するも
のではなく、着用者にとって装着感が良く、歩行時の痛
さを完全に解消できる靴作りは不可能であった。
【0011】魚の目の薬は、国内外共相当な種類のもの
があり、このことは魚の目を患っている人が相当数いる
ことを示している。魚の目は、足の裏、指の横、指の間
等の様々な箇所にあらわれ、従来のスポンジ等の内底の
靴でも痛くなるが、特に女性の靴では内底が硬く、しか
も足を締めるので、相当痛いことは容易に想像できる。
【0012】一方、靴の構造についても根本的に問題が
ある。つまり、上記した従来の靴のパッドは、足袋の中
敷に関するものであって足の甲の部分に適応できる形態
ではなく、このようなパッドを使用者が必要に応じて所
要の厚さに成形して靴と足の甲の間に挿入すると、歩行
中、靴からパッドが剥がれるなどの問題があった。また
最初に指回りが窮屈になるなどして歩行に大切な甲の部
分全体での、ぴったりフィット感が得られないなどの問
題点もあった。また、靴の甲の高さと足の甲の高さが整
合していない場合には、足がうっ血したり、靴内で足が
滑ったり、踵が脱げそうになるなどの不具合があってス
ムーズな歩行動作が妨げられる。
【0013】すなわち、靴の甲の部分は、歩行状態で足
の甲の圧接力が絶えず変化する箇所であり、また歩行者
の足の動きは個人差が大きい。そのため、足の甲に当て
るパッドは、その厚みや大きさを個人が各自に調節する
ことが好ましいが、紐靴以外の靴では甲高さを着用者が
自ら調節することは難しいという問題点があった。ま
た、紐靴における靴作りの現実は、特に甲の高い足また
特に甲の低い足の中間作りのため高い甲には靴を履いた
時点で窮屈で低い甲には紐のみでぴったり締めきれず全
ての甲にぴったり調整ができないなどの問題点がある。
また、足の甲と共に足裏全体や足指を靴の内側や靴の内
底に整合させる条件を全て満足する靴は知られていな
い。
【0014】また、従来は外反母趾による痛みを和らげ
るために、親指に挟み厚みある外反母趾保護用パッドが
あるが、それを着用しても従来の足を締め付ける靴では
痛さは解消できず、靴合わせもぴったりせずスムーズに
歩行もできない。しかも、外反母趾保護用パッドは、足
の痛い部分と靴内部との当たりを防ぐが、パッドの高い
部分に体重が余分にかかるため、また歩行中に位置ズレ
が増して痛くなる。
【0015】そこで、本発明の課題は、従来の足を締め
付けてスムーズに歩行せんとした靴作りの常識を払拭
し、足を締め付けなくても甲と踵と内底とをぴったりす
れば半サイズ乃至2サイズ大きい靴でもスムーズに気持
よく歩行ができるとの知見に基づき、上記した問題点を
解決し、足と靴が過度に圧接することなく整合し、足の
血行を阻害することなく、また苦痛なくスムーズに歩行
することが可能な自在調節靴を提供することである。つ
まり、足の甲や踵部分に弾性パッドを取り付け可能であ
ると共に、中敷を着脱可能となした靴において、弾性パ
ッドや中敷の厚みや大きさの調整を着用者が自ら調整で
きる靴を提供することである。
【0016】また、本発明の他の課題は、上記足の甲の
部分に弾性パッドを取付けた靴において、歩行時に踵と
靴が離れ難く、足と靴との一体性をよりいっそう高める
ことである。
【0017】本発明の他の課題としては、足の甲の部分
と靴の甲被との隙間をなくして一体性を高めた際、更に
足裏全体や足指を靴の内側や内底に整合させ、足と靴と
の一体性をいっそう改善することである。従来の限られ
た靴のサイズの中からの靴合わせが、発明は限りないサ
イズの中から靴合わせするも同じこととなる。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明においては、靴の内底に、緩衝可能な弾力性
を有すると共に足裏面の接触圧により塑性変形する発泡
合成樹脂製のシート状弾性パッドで形成した靴の内底形
シートからなる中敷を配設し、且つ靴の履き口より前方
の甲被外面に重ねて外装用重ね片を着脱自在に設け、前
記甲被の内側に弾性パッドを前記外装用重ね片に係止し
て設けてなる自在調節としたのである。
【0019】上記構成の自在調節靴では、外装用重ね片
と共に弾性パッドを着脱することができ、その際に適当
なパッドを装着できるので、パッドの厚みや大きさを着
用者が自ら調整できる。
【0020】また、上記した自在調節靴において、歩行
時に踵と靴が離れやすいという課題を解決するため、履
きロの踵部内側に滑り止め性のある弾性パッドを固定し
て設けたのである。滑り止め性のある弾性パッドは、着
用者の踵に摩擦係合し、歩行時に踵と靴が離れる不具合
を確実に防止する。つまり、従来の靴の踵はよく滑る作
りのため靴で足を締めていなければ脱げそうになり歩き
づらく健康的な歩行ができず靴ズレなども起こすもので
あったが、本発明ではその問題を解決したのである。
【0021】また、本発明は、足裏全体や足指について
靴の内側や靴の内底に整合させるという課題を解決する
ため、甲被の内側に、緩衝性弾性パッドを着用者の足指
に接するように配置して設け、この緩衝性弾性パッド
を、緩衝可能な弾力性を有すると共に足指の接触圧によ
り塑性変形する発泡合成樹脂で形成し、更に靴の内底
に、緩衝可能な弾力性を有すると共に足裏面の接触圧に
より塑性変形する発泡合成樹脂製のシート状弾性パッド
で形成した靴の内底形シートからなる中敷を配設した自
在調節靴としたのである。この緩衝性弾性パッドは、取
り付け、取り外し、位置選び等症状に合わせて自身が自
在に調整もできる。
【0022】このように甲被の内側で塑性変形する緩衝
性弾性バッドを足指に接するように配置すると共に、靴
の内底に塑性変形する中敷を配設すると、靴を使用する
際に、緩衝性弾性パッド及びシート状弾性パッドが繰り
返し足指に圧接し、前記発泡合成樹脂の力学的強度(ク
リープ、応力緩和及び疲労で評価される耐久性)が変化
して、装着者の足指の形状に馴染むように緩衝性弾性パ
ッド及びシート状弾性パッドが可塑変形する。そのた
め、足指は靴内部で必要以上に圧迫されなくなり、例え
ば外反母趾のような足指の変形症状のある者にも適用で
きる靴になる。
【0023】このように中敷を発泡合成樹脂製のシート
状弾性パッドで形成した靴は、シート状弾性パッドが繰
り返し足裏に圧接した際、足裏の形状に馴染むように可
塑変形するため、偏平足や魚の目や蛸などの足裏の痛み
のある症状の装着者の足裏の形状に沿って中敷が変形
し、弾性パッドを介して足裏全体に体重が分散するよう
になり、装着者の足裏に圧痛を伴うような刺激が起こり
難くなる。また、歩く時に外部からの痛い箇所への直接
の響きも防げるので、痛くなく気持ち良く歩行ができ
る。
【0024】また、中敷の耐久性を向上させるという課
題を解決するために、靴の内底形シートを、緩衝可能な
弾力性を有すると共に足裏面の接触圧により塑性変形す
る発泡合成樹脂製のシート状弾性パッドで形成し、この
シート状弾性パッドに重ねて網状補強部材を一体に設け
た自在調節靴としたのである。
【0025】上記した網状補強部材は、シート状弾性パ
ッドに重ねて一体であることにより引裂強度が向上し、
シー上状弾性パッドは破れ難くなって、使用状態での耐
久性が向上する。歩く外部からの痛い箇所の直接のひび
きも妨げ痛くなく気持よく歩行ができる。なお材料板は
網状のもの又は両面テープ等繊維其の他適当な補強部材
をはさみ設ける。尚、表面はニット生地又は合成革等伸
び縮みする適当なものを貼り付けることも可能であり、
足裏面の接触圧により合成樹脂と共に塑性変形するもの
であれば全て採用可能である。
【0026】また本発明は、前記中敷が、靴の内底の土
踏まず対応部位に、前記シート状弾性パッドと同一素材
からなる小型シートを着用者の土踏まずの深さに応じて
所要枚数を重ねると共に、靴の内底の略全面に、前記靴
の内底形シートを単又は複数枚配設し、着用者が痛みを
感じる部分であって、靴を装着した時に除圧が必要であ
ると見なされた部分に対応する最上部の靴の内底形シー
トに孔を形成したものである自在調節靴としたのであ
る。
【0027】つまり、自在調節靴の中敷は、シート状素
材からなる靴の内底形シートの土踏まず対応部分に前記
シート状素材からなる小型シートを1枚以上積み重ねて
一体化したので、前記良好な足裏との整合性、密接性を
有すると共に、内底形シートの土踏まず対応部分に土踏
まずを支持できる突出部分を有し、この突出部分は踏圧
によって塑性変形して土踏まずの部分に極めて良く整合
する形状になるから、足の甲と靴の内側が過度に圧接さ
せることなく快適な着用感があり、しかも歩行時に足裏
が靴に対して密接し靴内で前後方向により滑り動き難く
なる。
【0028】また、自在調節靴の中敷として、所定の可
塑性及び弾性を有する発泡合成樹脂製のシート状素材を
採用したことにより、靴に装着された中敷が踏圧によっ
て徐々に塑性変形し、足指その他の足の形状に整合する
凹型がシート状素材の上面に形成され、足と靴が過度に
圧接することなく整合し、シート状素材はその弾力性に
よって足裏に密接するから、歩行時に足裏が靴に対して
前後方向に滑り動かなくなる。
【0029】また、このような足裏との密接状態におい
ても、シート状素材に吸水性不織布を重ねて一体化して
いるので、中敷の吸湿性が高く、中敷に接する足が蒸れ
ないのである。
【0030】
【発明の実施の形態】この発明の靴の中敷に用いる踏圧
で変形可能な可塑性及び弾力性を有する発泡合成樹脂製
のシート状素材は、体重と足裏の面積によって個人別に
想定される踏圧(幼児から大人までの体重15〜90k
g程度に対応する踏圧)が繰り返し負荷されて圧縮変形
した際に、合成樹脂のクリープ性、応力緩和性(応力の
減少)、もしくは疲労現象またはこれらの複合作用によ
って装着者の足指の形状に馴染むように塑性変形する。
【0031】塑性変形可能な軟質弾性の発泡合成樹脂の
具体例としては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ
ウレタンその他の周知の軟質合成樹脂を発泡成形したも
のが挙げられる。特に高発泡の電子線架橋ポリエチレン
フォームは、適度の柔らかい弾性を有しており、着用感
が好ましいものである。
【0032】ポリエチレンフォームの架橋方法として
は、電子線照射法ばかりでなく、有機過酸化物による化
学架橋法であってもよい。尚、部分的に架橋されたポリ
エチレンを用いて発泡させると、発泡倍率の非常に大き
なフオームが得られ、このものは低温での可撓性、反発
弾性にも優れたものとなる。市販の高発泡ポリエチレン
フォームの例としては、積水化学工業社製の電子線架橋
ポリエチレンフォーム:登録商標:ソフトロンS(10
0%独立気泡、発泡倍率5〜50倍、平均気泡径0.2
6〜0.32mm、見掛け密度0.025〜0.20g
/cm3)、特にソフトロンS#30(平均気泡径0.
3mm、見掛け密度0.033g/cm3、厚さ3〜5
mm)などが挙げられる。
【0033】このような発泡合成樹脂製シートは、踏圧
によって塑性変形した状態では若干の弾性余効はある
が、外力(踏圧)が繰り返し弾性限界近くまたは弾性限
界を越えて負荷されることによって歪みが残り、外力を
取り去っても変形が完全に消えない塑性変形の状態にな
る。体重を足裏全体に分散平均化する中敷は、外部から
の足裏にかかる衝撃の吸収性に優れ、また塑性変形によ
り指形が入るため、蹴り出しが良く歩行が楽で膝腰にも
良い結果が生まれる。
【0034】本発明における外装用重ね片に係止して設
ける弾性パッドは、その弾性力や形状(厚さや大きさ)
でもって履き心地を改善できるように、周知の弾性材料
を適宜に選択できるものである。例えば、ウレタンゴム
などのゴムその他のエラストマーをシート状に成形した
もの、またはその両面または片面に編織布を貼着したも
のなどを採用することができる。
【0035】また、この発明における緩衝性弾性パッド
は、接触圧で変形可能な可塑性及び弾力性を有するもの
であり、前述の中敷の発泡合成樹脂製のシート状素材と
同じ素材を用いる
【0036】緩衝性弾性パッドを形成する発泡合成樹脂
は、外力(踏圧)が繰り返し弾性限界近くまたは弾性限
界を越えて負荷されることによって歪みが残り、外力を
取り去っても変形が完全に消えない塑性変形の状態にな
るが、踏圧などの足の接触圧によって塑性変形した状態
でも若干の弾性余効があり、歩行時に衝撃吸収性を発揮
する。
【0037】また、この発明に用いる中敷用のシート状
弾性パッド、或いは弾性パッドまたは緩衝性弾性パッド
は、吸水性不織布やニットなどの編織布を重ねて、汗な
どを吸収する吸湿性を持たせたものであってもよい。吸
水性不織布の材料として好ましいものは、天然パルプで
ある。天然パルプは、繊維が強靱で繰り返し足裏で摩擦
された場合にも耐久性があって履き心地が長期間良好で
あり、しかも充分な吸湿性があるので、油分の分泌が多
い症状の人でも長期間快適に使用できるものになる。
【0038】また、前記中敷には粒状磁石を組み込んで
も良い。この粒状磁石は、フェライト磁石などの周知の
粒形状(球、楕円球、円柱、多角柱、多面体など)の磁
性体からなり、磁束密度は、特に限定されるものではな
いが、例えば100〜3000ガウス程度のものを用い
て健康的で好ましいものが得られる。このような粒状磁
石は、中敷の表面に接着固定するか、または1〜3mm
程度の高さで表面に突出するようにその一部を埋め込ん
で固定すれば使用耐久性が高くなって好ましい。
【0039】本発明の実施形態を添付図面に基づいて説
明する。
【0040】図1に示すように、第1実施形態の自在調
節靴は、紳士用革靴1の内底2に中敷3を配設し、且つ
靴1の履き口4より前方の甲被5外面に重ねて外装用重
ね片6を着脱自在に設け、前記甲被5の内側に弾性パッ
ド7を前記外装用重ね片6に係止して設けてなるもので
ある。
【0041】ここで、前記中敷3は、図2乃至図4に示
すように、緩衝可能な弾力性を有すると共に足裏面の接
触圧により塑性変形する発泡合成樹脂製のシート状弾性
パッド8で形成した靴の内底形シート9からなるもので
あり、適宜足の土踏まず部位に小型シート10を積層し
たものである。
【0042】また、図1、図8及び図9に示すように、
靴1の履き口4より前方の甲被5の外面に重ねて甲被5
と同様の素材からなる外装用重ね片6を設け、この外装
用重ね片6は、履き口4の前縁に一端から差し込んで係
止可能な舌片状の支持片11と一体に形成されたもので
ある。そして、支持片11は発泡ウレタンゴムシートで
形成したものを採用し、かつ同様の素材で形成した舌片
状の弾性パッド7を支持片11の裏面に接着により固定
している。
【0043】上記した自在調節靴の履き口4の踵部内側
には、滑り止め性のある柔らかい発泡ウレタンゴムから
なる細長板状の弾性パッド12をバイアステープ13で
挟んでこれらを履き口4の縁に接着剤で固定している。
【0044】外装用重ね片6は、靴内に小石や雨水など
が進入し難いように前方に向かって反りのある舌片形状
で形成されており、甲被5に似合う形状や色を選択採用
できるものである。外装用重ね片6が装飾の目的で設け
られている場合は、特にその形態を限定せずに採用でき
るのは勿論である。
【0045】また、外装用重ね片6の履き口4への取付
け手段は、上記したように支持片11の差し込みによる
係止ばかりでなく、両面粘着テープによる接着または粘
着、面状ファスナを介した係止、またはボタンやフック
による係止など周知の着脱自在の係止方法を採用するこ
とができる。
【0046】なお、外装用重ね片6に取り付ける弾性パ
ッド7の係止手段も上記同様に接着などの周知の手法で
あってよく、弾性パッド7は2枚以上を重ねて係止して
もよい。
【0047】図1に示すように、踵部内側に取り付ける
弾性パッド12は、これを包むバイアステープ13の下
から一側部を露出する状態に取り付け、踵と弾性パッド
12が直に接するようにしている。このようにすると、
踵との摩擦係合力が高まるので好ましく、特に一側縁を
階段状に厚みを増すように形成すれば比較的小さな面積
で充分に摩擦係合させることができる。
【0048】また、中敷3は、図2乃図5に示すよう
に、踏圧によって塑変形可能な軟質弾性の発泡合成樹脂
製シート14(積水化学工業社製:ソフトロン、厚さ約
1.5mm)の表面(上面)に天然パルプからなる吸水
性の不織布15(王子製紙社製、厚さ約lmm)を重ね
て接着一体化し、この積層シートを裁断してシート状弾
性パッド8を形成して靴の内底形シート9となし、この
靴の内底形シート9の土踏まずに対応する部分(図1の
鎖線で区分された小区域部分)をほぼ覆う大きさで前記
積層シートと同じ素材からなる正方形状の小型シート1
0(一辺約5cm)を複数枚積み重ねて足裏の土踏まず
部に対応する部分中敷とし、これらを接着一体化して構
成したものである。
【0049】図3に示すように、シート状弾性パッド8
の裏面(図中下面)には、アクリル系感圧性接着剤(粘
着剤)からなる接着層16を設け、これに重ねて離型紙
17を被覆してもよい。このようにすると、複数枚のシ
ート状弾性パッド8を一体化して所望厚さの靴の内底形
シート9を簡単に形成できる。
【0050】ところで、図2の鎖線に示すように、前述
の中敷3には、永久磁石(フェライト)からなる粒状磁
石18を中敷表面に突出するように埋め込んで設けても
よい。粒状磁石18を構成する磁性体は、フェライト磁
石などの周知の磁性体からなり、磁束密度は、特に限定
されるものではないが、例えば100〜3000ガウス
程度のものを用いて健康的で好ましいものが得られる。
【0051】実施形態の靴用中敷Aを実際に使用し、歩
行時に足が滑り動かず、足と靴が過度に圧接することを
防して使用者の足を靴に整合させるには、以下に示すよ
うにして行うのである。先ず、通常よりlcm(2サイ
ズ)程度大きいサイズの靴を用い、図4に示すように、
小型シート10を着用者の足裏に窪む土踏まずの深さに
応じて所要枚数を重ね(図4では2枚)、これを靴1の
内底2または靴の内底形シート9の表面の土踏まず対応
部分に接着等で固定する。そして、小型シート10に重
ねて靴の内底形シート9を靴内に装着し、靴1を2日間
程度試し履きする。
【0052】そして、シート状素材が踏圧によって塑性
変形し、その厚みが減少して靴内に不適当な空隙が生じ
た場合には、更にシート状弾性パッド8もしくは小型シ
ート4またはそれらの両者をそれぞれ1枚ずつ追加し、
靴の内底形シート9を高くし、更に試し履きを続ける。
このように小型シート10及びシート状弾性パッド8を
追加する試し履きは、歩行時に足の裏が靴の内部で前後
方向に完全に滑り動かなくなるまで繰り返し行なうこと
が好ましい。
【0053】また、試し履きを行なう時に、足裏の部分
に魚の目やタコなどの症状によって痛みが発生する場合
は、図4及び図5(a)に示すように、最上部のシート
状弾性パッド8の要所に鋏などによって孔19を形成す
る。なお、この発明の靴用中敷を使用すると、圧迫によ
って痛みが発生する箇所は、靴の内底形シート9の表面
にその部分の形が付く場合が多く、孔19を開ける位置
は容易に判断できる。
【0054】そして、試し履き後にも未だ痛みが残るよ
うであれば、図5(b)に示すように上から2番目のシ
ート状弾性パッド8にも同様の孔19を開ける。この場
合の孔形成位置は、先に形成した孔形が2番目のシート
状弾性パッド8にも付くので、容易に判断できる。
【0055】このような調整を経ながら着用者の個人差
に応じて調製された中敷は、図5(c)に示すように、
前記孔19によって足裏の痛みが発生する箇所に凹部2
0が形成され、また凹部20の周囲は痛みが発生する患
部形状に馴染んだものになり、患部周囲の圧迫感もなく
なる。また足の土踏まずの部分が中敷の小型シート10
の厚みによって形成された突出部分に係止されるので、
足は靴1の内部で前後に滑り動かないように固定され
て、孔19の除圧効果が有効に作用し、全く痛みを感じ
ることなく快適に中敷を使用できるものになる。
【0056】また、天然パルプからなる吸水性不織布1
5(図2、3参照)は、少なくとも最上部に配置するシ
ート状弾性パッド8の表面もしくは裏面または小型シー
ト10の表面もしくは裏面に接着固定すれば必要な除湿
劾果は得られる。複数枚のシート状弾性パッド8または
小型シート10を積層する場合は、使用する全てのシー
ト状弾性パッド8に固定することもできる。
【0057】また、中敷3、つまり靴の内底形シート9
の他の実施形態として図6に示したものは、緩衝可能な
弾力性を有すると共に足裏面の接触圧により塑性変形す
る発泡合成樹脂製のシート状弾性パッド21(積水化学
工業社製の電子線架橋ポリエチレンフォーム:登録商
標:ソフトロンS#30、厚さ約2mm)の下面に、弾
性復元性を有する弾性シート22(厚さ約lmm)を積
層した積層体23を複数枚で構成したものである。
【0058】また、図7に示す網状補強部材付きシート
状弾性パッドは、靴の内底形シート9の表層を形成する
素材であり、緩衝可能な弾力性を有すると共に足裏面の
接触圧により塑性変形する発泡合成樹脂製のシート状弾
性パッド21(図6)を基材とし、これに重ねて網状補
強部材24を一体に設けたものである。
【0059】このように形成された網状補強部材付きシ
ート状弾性パッドは、中敷3が使用中に破れ難い靴にな
り、内底の耐久性を向上させることができ、しかも前記
同様に足裏と靴との整合性を高めて靴の履き心地を改善
することができる。
【0060】図10乃至図12に示すように、他の実施
形態は、舌片状の外装用重ね片25を折り返して設けた
靴1であり、紳士用革靴の履き口4より前方の甲被5の
内面及び外装用重ね片25の先端に、対の雄型と雌型か
らなるスナップボタン型の係止部品26を取付けてい
る。この係止部品26に先端を係止された外装用重ね片
25は、その上面と甲被内面の間に弾性パッド27を挟
んだ状態に係止し、その後端部分は甲被5の外面に折り
返した状態で重ね、面状ファスナ28で固定している。
【0061】弾性パッド27は、前記した実施形態の弾
性パッド7、12と同様の素材からなる。外装用重ね片
25は、皮革、合成皮革などの比較的薄くて丈夫なシー
ト状材料を採用することが好ましい。なお、図示は省略
したが、外装用重ね片25における甲被5の外面に重ね
る部分のみを皮革、合成皮革などの甲被と同様の材で形
成し、その他の部分は弾性パッド27と同様の柔らかい
素材で複合的に形成すれば、履き心地がよく見栄えもよ
い靴になる。
【0062】図13に示すように、前述の靴において、
らに甲被5の内側に1〜3cm幅程度のテープ状の緩衝
性弾性パッド29を着用者の足指に接するように内底の
縁に沿って甲被内面に接着等により固定し、この緩衝性
弾性パッド29を、緩衝可能な弾力性を有すると共に足
指の接触圧により塑性変形する発泡合成樹脂(積水化学
工業社製の電子線架橋ポリエチレンフォーム:登録商
標:ソフトロンS)で形成している。
【0063】更に、上記同様のテープ状の発泡合成樹脂
を内底の縁に沿って踵部の内面に緩衝性弾性パッド30
を設けてもよく、更に足の土踏まずに対応する内底の表
面やその他の内底の部分的な表面に緩衝性弾性パッド3
1を設けてもよい。この緩衝性弾性パッド31は、前記
小型シート10と同じものでも良い。このようにすると
靴内面の踵部は、装着者の踵形状に整合すると共に、足
の土踏まずの部分の窪みに良く対応した山型が内底に形
成されて整合性が向上する。また、内底の中央部の表面
に緩衝性弾性パッド31を設けると、その周囲に僅かな
隙間が形成され靴内の通気性が改善される効果もある。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発
明は、靴の内底に配設した中敷は、所定の塑性変形可能
なシート状弾性パッドで形成したので、足袋全体が靴の
内底に整合し、弾性パッドを介して足裏全体に体重が分
散するようになり、装着者の足裏に圧痛を伴うような不
快な刺激が感じられなくなり、更に甲被の内側に弾性パ
ッドを着脱自在の外装用重ね片に係止して設けたので、
外装用重ね片に係止した弾性パッドを着脱することがで
きるから、足の甲の部分に適応できるパッドの適当な厚
みの調整が簡単にでき、パッドの取り替えや厚みの増減
が可能な自在調節靴であるという利点がある。
【0065】また、請求項2によれば、歩行時に踵と靴
が離れる不具合を確実に防止し、足と靴を充分に整合さ
せ一体化できるという利点がある。
【0066】また、請求項3によれば、甲被の内側で、
所定の可塑変形性を有する緩衝性弾性パッドを足指に接
するように配置すると、足指は靴内部で必要以上に圧迫
されなくなり、例えば外反母指のような足指の変形症状
のある者にも適用できる靴になるという利点がある。
【0067】また、請求項4によれば、外部から足裏に
かかる衝撃を確実に和らげることができ、更に靴の甲被
で足を過度に締め付けることがなくなるのである。
【0068】また、請求項5によれば、内底のシート状
弾性パッドに重ねて網状補強部材を一体に設けた自在調
節靴は、シートの引裂強度が向上し耐久性が向上すると
いう利点がある。また、請求項6によれば、吸水性不織
布を重ねて一体化すれば、足裏と中敷とが密接状態にお
いても、シート状素材表面の吸水性不織布の吸湿性が高
いので、中敷に接する足が蒸れないのである。
【0069】そして、請求項7によれば、中敷が踏圧に
よって徐々に塑性変形しその弾性力によって足裏に密接
するから、足と靴が過度に圧接することなく整合し、歩
行時に足裏が靴に対して前後方向に滑り動かず、更に靴
の内底形シートの土踏まず対応部分に小型シートを1枚
以上積み重ねて一体化したので、前記した良好な足裏と
の整合性、密接性を発揮すると共に、突出部分が土踏ま
ずの部分に極めて良く整合する形状に塑性変形して、歩
行時に足裏が靴に対して前後方向により滑り動き難く、
偏平足にも適したものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自在調節靴の一部断面側面図である。
【図2】靴の中敷の分解斜視図である。
【図3】中敷用のシート素材の拡大断面図である。
【図4】中敷の使用状態を示す縦断側面図である。
【図5】シート状弾性パッドに孔を形成したものの使用
状態を示す拡大断面図である。
【図6】中敷の他の実施形態における使用状態を説明す
る靴の縦断面図である。
【図7】同じく綱状補強部材付きシート状弾性パッドの
平面図である。
【図8】靴の履き口回りに装着する部品を分解して示す
斜視図である。
【図9】同じく部品を装着した状態の斜視図である。
【図10】他の実施形態の部品を分解して示す斜視図で
ある。
【図11】同じく部品を装着した状態の一部断面側面図
である。
【図12】同じく要部の拡大断面図である。
【図13】更に他の実施形態の使用状態を説明する靴の
横断面図である。
【図14】従来の靴用中敷の平面図である。
【図15】図14のX−X線拡大断面図である。
【符号の説明】 1 靴 2 内底 3 中敷 4 履き口 5 甲被 5 発泡倍率 6 外装用重ね片 7 弾性パッド 8 シート状弾性パッド 9 内底形シート 10小型シート 11支持片 12弾性パッド 13バイアステープ 14発泡合成樹脂製シート 15吸水性不織布 15不織布 16接着層 17離型紙 18粒状磁石 19孔 20凹部 21シート状弾性パッド 22弾性シート 23積層体 24網状補強部材 25外装用重ね片 26係止部品 27弾性パッド 28面状ファスナ 29緩衝性弾性パッド 30緩衝性弾性パッド 31緩衝性弾性パッド
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−31002(JP,A) 特開 平1−272449(JP,A) 特開 平6−54702(JP,A) 実開 昭62−87505(JP,U) 実開 平5−13204(JP,U) 実開 平6−11504(JP,U) 実開 昭62−85205(JP,U) 実公 昭46−8422(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A43B 1/00 - 23/30 A61F 5/14

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 靴の内底に、緩衝可能な弾力性を有する
    と共に足裏面の接触圧により塑性変形する発泡合成樹脂
    製のシート状弾性パッドで形成した靴の内底形シートか
    らなる中敷を配設し、且つ靴の履き口より前方の甲被外
    面に重ねて外装用重ね片を着脱自在に設け、前記甲被の
    内側に弾性パッドを前記外装用重ね片に係止して設けて
    なることを特徴とする自在調節靴。
  2. 【請求項2】 前記履き口の踵部内側に、滑り止め性の
    ある弾性パッドを固定して設けてなる請求項1記載の自
    在調節靴。
  3. 【請求項3】 前記甲被の内側に緩衝性弾性パッドを着
    用者の足指に接するように配置して設け、この緩衝性弾
    性パッドを、緩衝可能な弾力性を有すると共に足指の接
    触圧により塑性変形する発泡合成樹脂で形成してなる請
    求項1記載の自在調節靴。
  4. 【請求項4】 前記中敷が、前記シート状弾性パッドの
    下面に、弾性復元性を有する弾性シートを一体積層した
    靴の内底形シートからなる請求項1記載の自在調節靴。
  5. 【請求項5】 前記中敷が、前記シート状弾性パッドの
    上面に、網状補強部材を重ねて一体に設けた靴の内底形
    シートからなる請求項1又は4記載の自在調節靴。
  6. 【請求項6】 前記中敷が、前記シート状弾性パッドの
    上面に、吸水性不織布を重ねて一体に設けた靴の内底形
    シートからなる請求項1又は4記載の自在調節靴。
  7. 【請求項7】 前記中敷が、靴の内底の土踏まず対応部
    位に、前記シート状弾性パッドと同一素材からなる小型
    シートを着用者の土踏まずの深さに応じて所要枚数を重
    ねると共に、靴の内底の略全面に、前記靴の内底形シー
    トを単又は複数枚配設し、着用者が痛みを感じる部分で
    あって、靴を装着した時に除圧が必要であると見なされ
    た部分に対応する最上部の靴の内底形シートに孔を形成
    したものである請求項1〜6何れかに記載の自在調節
    靴。
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