JP3055726B2 - スクロール式流体機械 - Google Patents

スクロール式流体機械

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JP3055726B2
JP3055726B2 JP3331227A JP33122791A JP3055726B2 JP 3055726 B2 JP3055726 B2 JP 3055726B2 JP 3331227 A JP3331227 A JP 3331227A JP 33122791 A JP33122791 A JP 33122791A JP 3055726 B2 JP3055726 B2 JP 3055726B2
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晋 坂本
正夫 牧島
博 三橋
学 真土
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トキコ株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば空気を圧縮する
空気圧縮機等に用いて好適なスクロール式流体機械に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に、スクロール式流体機械は、筒状
のケーシングと、該ケーシングの筒部の一端側に回転可
能に軸支され、先端側が該ケーシング内に伸長してクラ
ンクとなった駆動軸と、前記ケーシング内に位置して該
駆動軸のクランクに旋回可能に設けられ、鏡板にうず巻
き状のラップ部が立設された旋回スクロールと、該旋回
スクロールと対向するように前記ケーシングの筒部の他
端側に配設され、鏡板に該旋回スクロールのラップ部と
重なりあって複数の圧縮室を形成するうず巻き状のラッ
プ部が立設された固定スクロールとから構成されてい
る。また、前記ケーシングまたは固定スクロールには、
前記旋回スクロールのスラスト方向の荷重を受承するス
ラスト受部が形成されている。
【0003】そして、この種の従来技術によるスクロー
ル式流体機械は、駆動軸を電動モ−タ等の駆動源によっ
て回転駆動すると、この回転はクランクを介して旋回ス
クロールに伝えられ、該旋回スクロールは駆動軸の軸線
を中心とし、所定の寸法の旋回半径をもって旋回運動す
る。そして、この旋回運動によって圧縮室は連続的に縮
小し、吸込口から吸込んだ空気等の流体を該各圧縮室内
で順次圧縮しつつ、この圧縮空気を吐出口から吐出し
て、圧縮作用を行うようになっている。また、前記圧縮
作用時には、各圧縮室内の圧力が上昇して旋回スクロー
ルにスラスト方向の力が作用するため、前記スラスト受
部によってこのスラスト方向の荷重を受承している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術によるスクロール式流体機械では、ケーシングま
たは固定スクロールにスラスト受部を形成し、該スラス
ト受部によって圧縮作用時に生じる旋回スクロールのス
ラスト方向の荷重を受承している。しかし、該スラスト
受部は、旋回スクロールと摺接することによりスラスト
方向の荷重を受承するものであるから、両者の摺接面に
働く摩擦力の分だけ動力損失が生じて、性能が低下する
ばかりか、次第に摺接面が摩耗して摩耗粉が生じ、耐久
性や寿命が低いという問題がある。特に、無給油式のス
クロール式流体機械においては、スラスト受部に潤滑油
が供給されないから、摩擦による動力損失やスラスト受
部の摩耗が大きくなり易く、スラスト方向ギャップが増
大して圧力洩れが生じたり、圧縮性能、耐久性、寿命等
が大幅に低下するという問題がある。また、スラスト受
部で発生した摩耗粉が吐出空気中に混入するおそれもあ
り、信頼性が低いという問題がある。
【0005】さらに、無給油式のスクロール式流体機械
では、固定スクロール、ケーシング等を介して圧縮室内
に生じた圧縮熱を外部に排熱するようになっているか
ら、冷却効率が低く、温度上昇が著しい。このため、従
来技術によるものでは、各ラップ部等が温度上昇により
熱膨張してカジリ現象を生じたり、鏡板が熱変形し易い
という問題がある。
【0006】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、旋回スクロールに作用するスラスト方向
の荷重を相殺して均衡させることにより、旋回スクロー
ルを安定して旋回させることができるようにしたスクロ
ール式流体機械を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、請求項1の発明が採用する構成は、内部にスク
ロール収容空間が形成されたケーシングと、該ケーシン
グに回転可能に軸支され、先端側に軸線に対して偏心し
たクランクが形成された駆動軸と、前記ケーシングのス
クロール収容空間内に位置して該ケーシングに設けら
れ、前記駆動軸の軸線方向に伸びた一側固定スクロール
ラップ部と、前記ケーシングの開口部に設けられ、前記
駆動軸の軸線方向に伸び該一側固定スクロールラップ部
と対向する他側固定スクロールラップ部が立設された固
定スクロールと、前記ケーシングのスクロール収容空間
内に前記駆動軸によって旋回可能に設けられ、前記ケー
シングの一側固定スクロールラップ部と重なりあって一
側圧縮室を画成する一側旋回スクロールラップ部が形成
されると共に、前記固定スクロールの他側固定スクロー
ルラップ部と重なりあって他側圧縮室を画成する他側旋
回スクロールラップ部が形成された旋回スクロールとか
構成してなり、前記一側圧縮室と他側圧縮室のうちい
ずれか一方で圧縮された圧縮流体を他方の圧縮室に供給
するスクロール式流体機械において、前記旋回スクロー
ルは前記一方の圧縮室に対する受圧面積を前記他方の圧
縮室に対する受圧面積よりも大きくする構成としたこと
を特徴としている。
【0008】また、請求項2の発明が採用する構成は、
前記一方の圧縮室を形成する固定スクロールラップ部と
旋回スクロールラップ部は、前記他方の圧縮室を形成す
る固定スクロールラップ部と旋回スクロールラップ部よ
りも大なるラップ高さを有する構成としている。
【0009】
【作用】請求項1の発明の構成により、駆動軸回転駆
動すると、この回転力はクランクを介して旋回スクロー
ルに伝達され、該旋回スクロールはケーシングのスクロ
ール収容空間内で旋回運動を行う。そして、一側圧縮室
と他側圧縮室とでそれぞれ圧縮作用が行われると、一側
圧縮室内と他側圧縮室内とにそれぞれ圧縮流体による圧
力が発生するので、このときの圧力により旋回スクロー
ルは両側から押圧され、旋回スクロールに加わるスラス
ト方向の荷重相殺される。
【0010】また、一側圧縮室と他側圧縮室のうちいず
れか一方で圧縮された圧縮流体を他方の圧縮室に供給す
ることにより、一方の圧縮室と他方の圧縮室とで2段階
の圧縮を行うことができる。そして、旋回スクロール
は、低圧側となる一方の圧縮室に対する受圧面積を大き
くし、高圧側となる他方の圧縮室に対する受圧面積を小
さくすることによって、一方の圧縮室と他方の圧縮室と
から加えられるスラスト方向の荷重相殺できる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1ないし図5に基
づき、スクロール式空気圧縮機に用いた場合を例に挙げ
て説明する。
【0012】まず、図1および図2は第1の発明の実施
例を示す。
【0013】図において、1は段付筒状のケーシングを
示し、該ケーシング1は、軸方向一端側に位置する軸受
部1Aと、軸方向他端側に位置する大径筒部1Bと、該
大径筒部1B内に形成され、後述の旋回スクロール5を
収容するスクロール収容空間1Cと、軸受部1Aと大径
筒部1Bとの間に形成された大径な環状の段部1Dと、
該段部1Dの他端面側に一体形成された鏡板面1Eとか
ら大略構成され、該鏡板面1Eには、高さ寸法H1 を有
するうず巻き状の一側固定スクロールラップ部1Fがス
クロール収容空間1C内に位置して、後述する駆動軸3
の軸線O−O方向に伸びるように立設されている。
【0014】2はケーシング1の大径筒部1B他端側に
設けられ、図示しない取付ボルトにより該ケーシング1
の開口部を施蓋して取付けられた固定スクロールを示
し、該固定スクロール2は、その中心が駆動軸3の軸線
O−O上に位置して配設された円盤状の鏡板2Aと、該
鏡板2Aに中心側が巻始め端となり、外周側が巻終り端
となって立設された高さ寸法H2 (H2 <H1 )を有す
るうず巻き状の他側固定スクロールラップ部2Bと、鏡
板2Aの外周側を取囲んで一体的に設けられた大径筒状
の筒部2Cとから構成されている。
【0015】3はケーシング1の軸受部1Bに軸受4,
4を介して回転可能に軸支された駆動軸を示し、該駆動
軸3の先端側はケーシング1のスクロール収容空間1C
へと伸長してクランク3Aとなり、該クランク3Aの軸
線O′−O′は駆動軸3の軸線O−Oに対して所定寸法
dだけ偏心している。また、該駆動軸3の基端側はケー
シング1の外部で電動モ−タ(図示せず)に連結され、
この電動モ−タによって回転駆動されるものである。
【0016】5はケーシング1のスクロール収容空間1
C内に位置して、駆動軸3のクランク3Aに旋回可能に
設けられた旋回スクロールを示し、該旋回スクロール5
は、円盤状に形成された鏡板5Aと、該鏡板5Aの一端
面側に突出形成されたボス部5Bと、該ボス部5Bの外
周側に位置して鏡板5Aの一端面側に一体形成された環
状の一側鏡板面5Cと、該一側鏡板面5Cにうず巻き状
に立設され、ケーシング1の一側固定スクロールラップ
部1Fと同様に高さ寸法H1 をもって形成された一側旋
回スクロールラップ部5Dと、鏡板5Aの他端面側に一
体形成された他側鏡板面5Eと、該他側鏡板面5Eにう
ず巻き状に立設され、固定スクロール2の他側固定スク
ロールラップ部2Bと同様に高さ寸法H2 をもって形成
された他側旋回スクロールラップ部5Fとから構成され
ている。また、該旋回スクロール5のボス部5Bには、
クランク3Aが旋回軸受6を介して取付けられている。
そして、該旋回スクロール5は、駆動軸3の回転力がク
ランク3Aを介して伝達されると、後述の補助クランク
9により自転運動が防止され、駆動軸3の軸線O−Oを
中心として旋回するようになっている。
【0017】ここで、前記旋回スクロール5の一側旋回
スクロールラップ部5Dとケーシング1の鏡板面1Eと
の間と、他側旋回スクロールラップ部5Fと固定スクロ
ール2の鏡板2Aとの間と、一側鏡板面5Cとケーシン
グ1の一側固定スクロールラップ部1Fとの間と、他側
鏡板面5Eと固定スクロール2の他側固定スクロールラ
ップ部2Bとの間とには、それぞれ微小なスラスト方向
ギャップが形成されている。
【0018】7,7,…はケーシング1のスクロール収
容空間1C内に位置して、旋回スクロール5の一側旋回
スクロールラップ部5Dとケーシング1の一側固定スク
ロールラップ部1Fとの間に画成された複数の一側圧縮
室、8,8,…はスクロール収容空間1C内に位置し
て、旋回スクロール5の他側旋回スクロールラップ部5
Fと固定スクロール2の他側固定スクロールラップ部2
Bとの間に画成された複数の他側圧縮室をそれぞれ示
し、該各圧縮室7,8は、旋回スクロール5が旋回運動
をする間に順次縮小する三日月状に形成されている。そ
して、該各一側圧縮室7は、後述の吸込口10から吸込
んだ外気を中間圧力Pmまで圧縮し、各他側圧縮室8
は、この中間圧力Pmの圧縮空気をさらに吐出圧力Pd
まで圧縮し、後述の吐出口11から外部の空気タンク
(図示せず)等に吐出するようになっている。
【0019】ここで、前記各圧縮室7,8は、旋回スク
ロール5の各鏡板面5C,5Eに圧力を作用させる平均
受圧面積をS1 ,S2 とすると、
【0020】
【数1】P1 ・S1 =P2 ・S2 但し、P1 :一側圧縮室7内の平均圧力 P2 :他側圧縮室8内の平均圧力 の関係を満たすように形成されている。
【0021】9は旋回スクロール5と固定スクロール2
の筒部2Cとの間に、周方向に所定角度離間して設けら
れた自転防止機構としての複数個の補助クランク(1個
のみ図示)を示し、該補助クランク9の小径軸部9Aと
大径軸部9Bとは、前記所定寸法dと等しい寸法だけ偏
心している。
【0022】10はケーシング1の大径筒部1Bに穿設
された吸込口、11は固定スクロール2の鏡板2Aに穿
設された吐出口をそれぞれ示し、該吸込口10はスクロ
ール収容空間1Cを介して最外周側(最低圧側)の一側
圧縮室7と連通し、吐出口11は最中央側(最高圧側)
の他側圧縮室8と連通している。また、12は旋回スク
ロール5の鏡板5Aに穿設された連通孔を示し、該連通
孔12は、最中央側の一側圧縮室7と最外周側の他側圧
縮室8との間を連通している。
【0023】13は駆動軸3に固着されたカウンタウェ
イトを示し、該カウンタウェイト13は駆動軸3の回転
バランスをとるものである。14は固定スクロール2の
筒部2Cと旋回スクロール5との間に位置して、固定ス
クロール2に設けられた環状のシール部材を示し、該シ
ール部材14は、スクロール収容空間1Cと他側圧縮室
8との間を気密にシールしている。
【0024】本実施例によるスクロール空気圧縮機は上
述の如き構成を有するもので、次に、その作動について
説明する。
【0025】まず、電動モータ等により駆動軸3が回転
駆動し、この回転力がクランク3Aを介して旋回スクロ
ール5に伝達されると、該旋回スクロール5は、補助ク
ランク9により自転運動が阻止され、軸線O−Oを中心
として所定寸法dの旋回運動を始める。これにより、一
側圧縮室7は、吸込口10を介して吸込んだ外気を順次
圧縮し、中間圧力Pmの圧縮空気として連通孔12から
最外周側の他側圧縮室8に吐出する。そして、他側圧縮
室8は、この圧縮空気を吸込んで吐出圧力Pdまでさら
に圧縮し、吐出口11から外部の空気タンク等に吐出す
る。
【0026】一方、圧縮作用時に旋回スクロール5は、
各一側圧縮室7内の圧力によって固定スクロール2側に
向けて押圧されると共に、各他側圧縮室8内の圧力によ
ってケーシング1の段部1D側に向けて逆向きに押圧さ
れる。ここで、該各圧縮室7,8は、前記数1の関係を
もって形成されているから、各圧縮室7,8内の圧力に
より旋回スクロール5に両側から逆向きに作用する力
(スラスト方向の荷重)は相殺され、旋回スクロール5
全体として均衡する。
【0027】かくして、本実施例によれば、旋回スクロ
ール5の軸方向一端側,他端側に各圧縮室7,8を設
け、該各圧縮室7,8は、それぞれの圧力により旋回ス
クロール5に作用する軸方向の力がほぼ等しくなるよう
に前記数1の関係をもって形成する構成としたから、旋
回スクロール5に作用するスラスト方向の荷重を相殺し
て効果的に均衡させることができる。この結果、旋回ス
クロール5に生じる摩擦力を大幅に低減し、安定して旋
回させることが可能となるから、従来技術で述べたスラ
スト受部を廃止でき、摩擦力による動力損失を大幅に低
減し、スラスト方向ギャップが摩耗により増大するのを
防止して、圧縮性能、耐久性、信頼性、寿命等を大幅に
向上することができる。また、摩耗粉が生じるのを効果
的に防止できるから、圧縮空気の清浄度を高めることが
できる上に、軸受4や補助クランク9に加わるスラスト
方向の荷重も大幅に低減できるから、これらの信頼性、
寿命等をも大幅に向上することができる。
【0028】さらに、一側圧縮室7によって中間圧力P
mまで圧縮した段階で、このときに生じる圧縮熱を一旦
ケーシング1を介して外部に排出することができるか
ら、他側圧縮室8に比較的温度の低い圧縮空気を供給し
て、該他側圧縮室8側の温度上昇を大幅に低減すること
ができる。これにより、固定スクロール2の他側固定ス
クロールラップ部2Bと旋回スクロール5の他側旋回ス
クロールラップ部5Fとに、温度上昇による熱膨張によ
ってカジリ現象が生じるのを防止でき、旋回スクロール
5の鏡板5A等が熱変形するのを防止し、スラスト方向
ギャップの管理を容易にでき、信頼性等を大幅に向上す
ることができる。
【0029】なお、前記実施例では、旋回スクロール5
の鏡板5Aに連通孔12を穿設し、一側圧縮室7によっ
て中間圧力Pmまで圧縮した後、他側圧縮室8によって
吐出圧力Pdまで圧縮するという、いわゆる2段圧縮型
の構成をとるものとして説明したが、本発明はこれに限
るものではなく、例えば図2に示す変形例の如く、連通
孔12を廃止し、ケーシング1に最中央側の一側圧縮室
7に連通する吐出口21を形成し、固定スクロール2に
最外周側の他側圧縮室8に連通する吸込口22を形成
し、それぞれ独立して圧縮する構成としてもよい。この
場合でも、前記数1を満たすように各圧縮室7,8を形
成すれば、旋回スクロール5に作用するスラスト方向の
荷重を相殺して均衡させることができ、圧縮空気の吐出
量をほぼ2倍にすることができる。
【0030】また、前記実施例では、ケーシング1の一
側固定スクロールラップ部1Fと旋回スクロール5の一
側旋回スクロールラップ部5Dとは寸法H1 をもって形
成し、固定スクロール2の他側固定スクロールラップ部
2Bと旋回スクロール5の他側旋回スクロールラップ部
5Fとは寸法H1 よりも低い寸法H2 (H1 >H2 )を
もって形成するものとして述べたが、これに替えて、例
えば各寸法H1 ,H2を等しくして形成してもよい(H1
=H2 )。
【0031】さらに、前記実施例では、スクロール式流
体機械として無給油式の空気圧縮機を例に挙げて説明し
たが、本発明はこれに限らず、例えば真空ポンプとして
用いてもよく、給油式の空気圧縮機,真空ポンプとして
用いてもよい。また、圧縮気体としてフロンガス等の冷
媒、窒素ガス等の工業用ガスの圧縮にも広く適用でき
る。
【0032】次に、図3ないし図5は第2の発明の実施
例を示し、本実施例の特徴は、旋回スクロールの内部で
スラスト方向の力を相殺して均衡させる構成としたこと
にある。
【0033】図中、31は段付筒状のケーシングを示
し、該ケーシング31は環状の底部31Aと、該底部3
1Aの内周側から軸方向一端側に向けて突出形成された
軸受部31Bと、底部31Aの外周側から軸方向他端側
に向けて突出形成された筒部31Cと、該筒部31C内
に形成され、後述の固定スクロール32等を収容するス
クロール収容空間31Dとから構成されている。
【0034】32はケーシング31のスクロール収容空
間31D内に位置して、筒部31Cの他端側に同軸に設
けられた段付筒状の固定スクロールを示し、該固定スク
ロール32は、図4にも示す如く、ケーシング31の筒
部31Cに図示しない取付ボルト等により強固に固定さ
れた大径筒部32Aと、該大径筒部32Aの軸方向中間
部から径方向内側に突出形成された環状突出部32B
と、外周側の巻始め端が該環状突出部32Bの内周面に
固着され、中心側の巻終り端が後述する駆動軸33の軸
線O−O方向に伸びるように、大径筒部32Aの中心部
に向けてうず巻き状に延設され、その軸方向両端側が開
放されたラップ部32Cとから構成されている。即ち、
本実施例による固定スクロール32には、前記第1の発
明による実施例で述べた固定スクロール2と異なり、鏡
板が設けられていない。
【0035】33はケーシング31の軸受部31Bに軸
受34,34を介して回転可能に軸支された駆動軸を示
し、該駆動軸33の先端側はスクロール収容空間31D
内へと伸長してクランク33Aとなり、該クランク33
Aの軸線O′−O′は駆動軸33の軸線O−Oに対して
所定寸法dだけ偏心している。また、該駆動軸33の基
端側はケーシング31の外部で電動モ−タ(図示せず)
に連結され、この電動モ−タによって回転駆動されるも
のである。
【0036】35は固定スクロール32の両端側に設け
られた旋回スクロールを示し、該旋回スクロール35
は、後述の一側旋回板36,他側旋回板38,旋回ラッ
プ部39から構成されている。また、該旋回スクロール
35と固定スクロール32との間には、自転防止機構と
しての複数個の補助クランク(図示せず)が設けられ、
該各補助クランクにより旋回スクロール35は自転運動
が防止され、駆動軸33の軸線O−Oを中心として所定
寸法dで旋回するようになっている。
【0037】36は一側旋回板を示し、該一側旋回板3
6は、固定スクロール32の軸方向一端側に位置して円
盤状に形成された鏡板36Aと、該鏡板36Aの一端面
側に突出形成され、駆動軸33のクランク33Aが旋回
軸受37を介して取付けられたボス部36Bとから構成
され、該鏡板36Aの他端面側には旋回ラップ部39が
一体形成されている。また、該一側旋回板36の鏡板3
6Aと固定スクロール32のラップ部32Cとの間に
は、微小なスラスト方向ギャップが形成されている。
【0038】38は一側旋回板36と対向して固定スク
ロール32の軸方向他端側に設けられた他側旋回板を示
し、該他側旋回板38は、前記一側旋回板36とほぼ同
様に円盤状に形成された鏡板38Aと、該鏡板38Aの
他端面側に突出形成されたボス部38Bとから構成され
ているものの、該他側旋回板38の鏡板38A一端面側
には旋回ラップ部39の先端側が嵌合して固着されてい
る。また、該他側旋回板38の鏡板38Aと固定スクロ
ール32のラップ部32Cとの間には、前記一側旋回板
36とほぼ同様に微小なスラスト方向ギャップが形成さ
れている。
【0039】39は一側旋回板36の鏡板36Aから軸
方向他端側に突出して設けられたうず巻き状の旋回ラッ
プ部を示し、該旋回ラップ部39は、固定スクロール3
2のラップ部32Cに所定角度ずらした状態で挿入さ
れ、その先端側が他側旋回板38の鏡板38Aに嵌着さ
れている。40,40,…は固定スクロール32のラッ
プ部32Cと旋回ラップ部39との間に形成された複数
の圧縮室を示し、該各圧縮室40は各旋回板36,38
が旋回運動をする間に順次縮小する三日月状に形成され
ている。
【0040】41は固定スクロール32の軸方向中間部
に穿設された吸込口、42は他側旋回板38に穿設され
た小径な吐出口をそれぞれ示し、該吸込口41は最外周
側(最低圧側)の圧縮室40に連通し、該吐出口42は
最中央側(最高圧側)の圧縮室40にそれぞれ連通して
いる。43は固定スクロール32の他端側を施蓋して設
けられた円板状のカバーを示し、該カバー43のほぼ中
央部には、吐出口42に連通する吐出孔43Aが穿設さ
れている。また、該カバー43と他側旋回板38のボス
部38B他端側との間には微小な隙間が形成され、該カ
バー43の吐出孔43Aは、他側旋回板38の旋回中も
吐出口42に連通すべく、旋回寸法である所定寸法dに
応じて大径に形成されている。
【0041】44は駆動軸33に固着されたカウンタウ
ェイトを示し、該カウンタウェイト44は駆動軸33の
回転バランスをとるものである。また、45,45は固
定スクロール32の環状突出部32Bと各旋回板36,
38との間にそれぞれ設けられた環状のシール部材を示
し、該シール部材45は環状突出部32B内を外部に対
して気密にシールするものである。
【0042】本実施例によるスクロール式空気圧縮機は
上述の如き構成を有するもので、次に、その作動につい
て説明する。
【0043】まず、電動モータ等により駆動軸33が回
転駆動し、この回転力がクランク33Aを介して一側旋
回板36に伝達されると、該一側旋回板36と他側旋回
板38とは、旋回ラップ部39と共に、補助クランクに
より自転運動が阻止され、軸線O−Oを中心として所定
寸法dの旋回運動を行う。これにより、空気は吸込口4
1から最外周側の圧縮室40内に吸込まれ、該圧縮室4
0により順次圧縮されて吐出口42から吐出され、カバ
ー43の吐出孔43Aを介して外部の空気タンク(図示
せず)に送り込まれる。
【0044】一方、圧縮作用時に各圧縮室40内に発生
する圧力は、図中に示す如く旋回スクロール35にスラ
スト方向の力F,F′として作用するが、一側旋回板3
6をケーシング31側に向けて押圧する一側方向の力F
と、他側旋回板38をカバー43側に向けて押圧する他
側方向の力F′とは、その大きさがほぼ等しく、作用す
る方向が逆向きであるから、旋回スクロール35の内部
で相殺されてしまい、該旋回スクロール35に加わるス
ラスト方向の荷重はほぼ均衡する。
【0045】かくして、このように構成される本実施例
でも、上述した第1の発明による実施例とほぼ同様に、
スラスト荷重を相殺して旋回スクロール35を安定して
旋回させることができるから、スラスト受部を廃止で
き、摩擦力による動力損失を大幅に低減でき、スラスト
方向ギャップが摩耗により増大するのを防止して、圧縮
性能、耐久性、信頼性、寿命等を大幅に向上することが
できる。また、摩耗粉が生じるのを効果的に防止して圧
縮空気の清浄度を高めることができ、軸受34等に加わ
るスラスト方向の荷重も大幅に低減することができ、こ
れらの信頼性、寿命等も向上することができる。
【0046】なお、前記実施例では、旋回ラップ部39
は一側旋回板36の鏡板36Aから立設し、その先端側
を他側旋回板38の鏡板38Aに嵌着するものとして述
べたが、本発明はこれに限らず、例えば図5に示す変形
例の如く、一側旋回板36と他側旋回板38の各鏡板3
6A,38Aに、一側旋回ラップ部51A,他側旋回ラ
ップ部51Bを形成し、該各ラップ部51A,51Bを
先端側で衝合させ、両者を突合せ溶接等の手段によって
一体化することにより、旋回ラップ部51を形成する構
成としてもよい。
【0047】また、前記実施例では、スクロール式流体
機械として、無給油式の空気圧縮機を例に挙げて説明し
たが、本発明はこれに限らず、例えば真空ポンプとして
も用いることができ、さらに、油冷式の空気圧縮機や真
空ポンプとしても用いることができる。また、圧縮気体
としてフロンガス等の冷媒、窒素ガス等の工業用ガスの
圧縮にも広く適用することができる。
【0048】
【発明の効果】以上詳述した通り、請求項1の発明に
れば、旋回スクロールが旋回運動を行うと、旋回スクロ
ールの両側に位置する一側圧縮室と他側圧縮室とでそれ
ぞれ圧縮作用が行われるので、各圧縮室内に生じる圧力
により、旋回スクロールに加わるスラスト方向の荷重を
相殺してほぼ均衡させることができる。特に、一側圧縮
室と他側圧縮室のうちいずれか一方で圧縮された圧縮流
体を他方の圧縮室に供給することにより、一方の圧縮室
と他方の圧縮室とで2段階の圧縮を行うことができる。
そして、旋回スクロールは、低圧側となる一方の圧縮室
に対する受圧面積を大きくし、高圧側となる他方の圧縮
室に対する受圧面積を小さくすることによって、一方の
圧縮室と他方の圧縮室とから加えられるスラスト方向の
荷重を相殺できる。 の結果、旋回スクロール等に生じ
る摩擦力を低減でき、安定し旋回運動を行わせること
ができるから、摩擦力による動力損失を低減することが
でき、スラスト方向ギャップが摩耗により増大するのを
防止して、圧縮性能、耐久性、信頼性、寿命等を向上す
ることができる。
【0049】また、請求項2の発明にあっても一方の
圧縮室を形成する固定スクロールラップ部と旋回スクロ
ールラップ部は、他方の圧縮室を形成する固定スクロー
ルラップ部と旋回スクロールラップ部よりも大なるラッ
プ高さを有する構成とすることにより、前記請求項1の
発明とほぼ同様に、動力損失を低減し、スラスト方向ギ
ャップが増大するのを防止することができ、信頼性、耐
久性、寿命等を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明の実施例によるスクロール式空気圧
縮機を示す縦断面図である。
【図2】第1の発明の変形例によるスクロール式空気圧
縮機を示す縦断面図である。
【図3】第2の発明の実施例によるスクロール式空気圧
縮機を示す縦断面図である。
【図4】図2中の固定スクロールを他側旋回板等を取除
いた状態で矢示IV−IV方向からみた平面図である。
【図5】第2の発明の変形例によるスクロール式空気圧
縮機を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1,31 ケーシング 1C,31D スクロール収容空間 1F 一側固定スクロールラップ部 2 固定スクロール 2B 他側固定スクロールラップ部 3,33 駆動軸 3A,33A クランク 5,35 旋回スクロール 5D 一側旋回スクロールラップ部 5F 他側旋回スクロールラップ部 7 一側圧縮室 8 他側圧縮室 32 固定スクロール 32C ラップ部 36 一側旋回板 38 他側旋回板 39 旋回ラップ部 40 圧縮室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 真土 学 神奈川県綾瀬市小園1116番地 トキコ株 式会社相模工場内 (56)参考文献 特開 昭57−203801(JP,A) 特開 平3−233102(JP,A) 特開 平2−211394(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04C 18/02 F04C 18/02 311

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部にスクロール収容空間が形成された
    ケーシングと、該ケーシングに回転可能に軸支され、先
    端側に軸線に対して偏心したクランクが形成された駆動
    軸と、前記ケーシングのスクロール収容空間内に位置し
    て該ケーシングに設けられ、前記駆動軸の軸線方向に伸
    びた一側固定スクロールラップ部と、前記ケーシングの
    開口部に設けられ、前記駆動軸の軸線方向に伸び該一側
    固定スクロールラップ部と対向する他側固定スクロール
    ラップ部が立設された固定スクロールと、前記ケーシン
    グのスクロール収容空間内に前記駆動軸によって旋回可
    能に設けられ、前記ケーシングの一側固定スクロールラ
    ップ部と重なりあって一側圧縮室を画成する一側旋回ス
    クロールラップ部が形成されると共に、前記固定スクロ
    ールの他側固定スクロールラップ部と重なりあって他側
    圧縮室を画成する他側旋回スクロールラップ部が形成さ
    れた旋回スクロールとから構成してなり、前記一側圧縮
    室と他側圧縮室のうちいずれか一方で圧縮された圧縮流
    体を他方の圧縮室に供給するスクロール式流体機械にお
    いて、前記旋回スクロールは前記一方の圧縮室に対する
    受圧面積を前記他方の圧縮室に対する受圧面積よりも大
    きくする構成としたことを特徴とするスクロール式流体
    機械。
  2. 【請求項2】 前記一方の圧縮室を形成する固定スクロ
    ールラップ部と旋回スクロールラップ部は、前記他方の
    圧縮室を形成する固定スクロールラップ部と旋回スクロ
    ールラップ部よりも大なるラップ高さを有する構成とし
    てなる請求項1に記載のスクロール式流体機械。
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