JP3054190B2 - 良性前立腺肥大処置のための組成物および方法 - Google Patents

良性前立腺肥大処置のための組成物および方法

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は、ほ乳類における良性前立腺肥大に伴なう閉
塞的徴候を軽減すべく前立腺内注射により投与される、
前立腺肥大の処置で使用される加水分解酵素の組成物、
特にコラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ、非イオン性界面
活性剤および抗生物質から成る混合物を含む組成物の使
用に関するものである。
発明の背景 良性前立腺肥大(BPH)は、中高年の男性が経験する
最大も一般的な医学問題の一つである。前立腺拡大によ
る尿管閉塞は、医学のごく初期の時代から認められてい
る。前立腺の肥大性拡大により尿道が圧迫された結果、
尿管が閉塞し、続いて頻尿、夜尿(nocturia)、とう
痛、不快および機能障害を含む徴候が発現することも多
い。BPHと加齢の関連については、年齢が50歳を越える
男性では50%を越え、80歳を越える男性では発病率は75
%より大に増加することが示されている。尿管閉塞症状
は65〜70歳で最も多く発現し、この場合この年齢群の男
性の約65%は前立腺拡大を伴っている。平均余命は連続
的に増加しているため、合衆国の全住民の平均年齢は増
加している。従って、BPHの臨床的徴候を発現すると予
想される人数もまた増加し続けると予測される。
現状ではBPHの有効な非外科的処置方法は存在しな
い。この病気の閉塞的症状に苦しむ患者には、一般的
に、この症状とうまく対処し続けるか、外科的介入を受
けるという2つの選択の自由しか与えられない。外科的
介入を必要とするBPHの発生率は、80歳を越える男性100
0人当たり最大11人まで漸増することが見出された。合
衆国では、毎年350000人を越える患者が前立腺組織の除
去手術を受けている。40歳の男性の場合、彼が80歳まで
生きるとして、良性患者に対して前立腺切除を必要とす
る可能性は約10%であることが計算される。
BPH患者は高齢者であることが多いため、外科的方法
の危険を増加させる追加的な健康上の問題を抱えている
場合が多い。前立腺組織を除去するための外科的方法
は、麻酔に関連した病的状態、出血、肺塞栓、ぼうこう
穿孔、失禁、感染症、尿道またはぼうこう頚部狭窄、前
立腺細片の停留、逆行性射精およびインポテンツを含む
若干の危険を伴う。従って、外科的介入が充分に正当化
されるほど重い症状を示すかなりの数は患者は、手術が
危険である気の毒な者であり、前立腺除去手術が受けら
れない。手術が危険なそれらの気の毒な人々にとって、
これに代わる非外科的処置方法は疑い無く必要で、重要
かつ貴重であると考えられる。
代替的な非外科的治療方法は、多くの分野、例えば、
手術費用、術後入院期間、輸血、抗生物質、外来患者の
通院、合併症に対する再入院、並びに回復および病気休
暇に関連した他の社会的経済的代価の点で助けとなるこ
とが予想され得る。ぼうこうの制御機能が失われるた
め、高齢者におけるBPHの心理学的合併症は重大であ
る。疾患である。代替的な非外科的治療形態は、尿の頻
度、不都合さ、機能障害および個人的尊厳の喪失に関し
て多くの高齢者の生活の質を改善する。BPHは、社会に
とって主要な代価を伴う疾患である。BPHに関する代替
的非外科的治療の開発および完成は、主要な医学的、経
済的および心理社会的利益を提供する。
従って、前立腺肥大の安全で有効な非外科的処置に対
する明らかな要望が存在する。患者をあまり危険にさら
さず、比較的安価であり、全身麻酔を使用しない外来患
者方法として遂行され得る処置に対するさらに別の要望
が存在する。
発明の要旨 本発明は、前立腺肥大の処置を目的とする酵素組成物
および酵素組成物の使用方法に関するものである。酵素
組成物は、前立腺組織を酵素的に溶解することにより、
前立腺肥大の閉塞的徴候を軽減させる。
この方法は、医薬的に許容し得る水性担体中、加水分
解酵素、好ましくはコラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ、
エラスターゼ、トリプシン、キモトリプシン、プロナー
ゼ、デオキシリボヌクリアーゼI、ブロメライン、クロ
ストリパイン、テルモリシン、ノイラミニダーゼ、ホス
ホリパーゼ、コレステロールエステラーゼ、ディスパー
ゼ、スブチリシン、パパイン、キモパパイン、プラスミ
ノゲン活性化因子、プラスミン、ストレプトキナーゼ、
ウロキナーゼ、フィブリノリシン、セラチオペプチダー
ゼ、パンクレアチン、アミラーゼ、リソチーム、カテプ
シン−GおよびPMN(多形性核)白血球セリンプロテア
ーゼから成る群から選択される2種またはそれ以上の加
水分解酵素の有効量を含む組成物の治療有効量を直接的
前立腺内注射により投与することを含む。さらに好まし
くは、加水分解酵素は、コラゲナーゼ並びにヒアルロニ
ダーゼ、トリプシン、キモトリプシン、プロナーゼ、エ
ラスターゼ、デオキシロボヌクレアーゼI、ディスパー
ゼおよびプラスミンから成る群から選択された少なくと
も1種の酵素を含む。最も好ましくは、加水分解酵素
は、コラゲナーゼおよびヒアルロニダーゼを含む。
本発明方法は好ましくは組成物の治療有効単位用量の
直接的前立腺内注射を含み、前記組成物は好ましくは医
薬的に許容し得る水性担体中にコラゲナーゼおよびヒア
ルロニダーゼを含み、また好ましくは界面活性剤および
抗生物質を含む。水性担体は、好ましくは無菌状態およ
び発熱物質不含有であり、緩衝状態で等張性である。
上記組成の化合物は、単独、連続的、または好ましく
は注射に適した液体医薬単位用量形態のさらに別の化合
物と組み合わせて投与され得る。組成物の投与用量は、
臨床医により容易に決定され得る通り広い範囲にわたっ
て変化し得る。所望の治療目的を達成するための好まし
い用量は、患者の年齢、病気の性質および重症度、組成
物の効力および投与経路により変化し得る。
好ましい投与経路は、経尿道前立腺内(病変部内)注
射による方法である。別法として、前立腺注射の経会陰
または経直腸経路も使用され得る。本発明に包含される
処置体制は、好ましい組成物の安全かつ有効量の前立腺
内注射を使用することにより、閉塞性前立腺組織の可溶
性および緩解を誘発する。注射は、治療上望ましい結果
が得られるまで日毎、週毎または月毎の注射プロトコル
で投与され得る。
また、この発明は、本発明の加水分解酵素、最も好ま
しくはコラゲナーゼおよびヒアルロニダーゼの有効量を
含む医薬組成物の少なくとも1種の個別注射可能単位用
量を含むキットに関するものである。
本発明成分の濃度の記載に使用されている「有効量」
または「有効濃度」という語は、他の成分と組み合わせ
た場合に、所定の患者に関して所望の成長阻害、形態の
改変および前立腺の大きさの縮小が達成される成分の量
として定義される。閉塞性前立腺組織の大きさの縮小、
およびそれに続く尿管閉塞徴候の軽減は、有効な治療の
指標である。治療効果の客観的評価は、閉塞性徴候評価
カルテと共に尿動態流動分析、経尿道試験または経直腸
超音波検査法を含む標準的方法により測定される。
発明の詳細な記載 BPH−問題への導入 BPHの発現は老化現象である。前立腺は、出生時は数
グラムの重さであり、思春期になるとアンドロゲン誘発
による成長が行なわれ、20代までに20gの成熟サイズに
達する。前立腺は、一般的には約25年間重量および組織
学的特徴の点で安定した状態である。50代では、大部分
の男性において成長の第2スパートが始まる。この第2
成長相は、細胞の局在的増殖として前立腺の尿道周囲領
域から始まる。成長および拡大が進行して残りの正常な
前立腺が圧迫される結果、前立腺の大きさが主に増加
し、尿管および/または直腸閉塞が誘発され得る。
BPHは、尿道壁内またはその近接部分に存する前立腺
の導管および腺の内部セットから生じると考えられてい
る。最初の病変は、通常、腺成分を欠く散開した結合組
織ストロマの小さな塊により構成される。しかしなが
ら、小節が発生し、成長すると、腺組織は優勢となる。
一旦過形成プロセスが始まると、正常な前立腺の全要素
(ストロマ、筋肉および腺)は、漸進的成長に様々な程
度関与する。BPH患者におけるこれらの組織の相対量を
測定すると、腺維筋肉組織の量は腺または上皮組織の量
をはるかに凌ぐことが示された。腺維筋肉ストロマは、
過形成腺の場合における約60%に対して正常な前立腺の
体積の約5%を構成する。
ストロマおよび腺(上皮)成分の肥大は単独または一
緒になって行なわれ得る。可変的応答は、小節の節質お
よびそれらの発生相により証明される。過形成小節にお
ける腺は、新たな導管および腺房の発芽および形成能力
を有すると思われる。ストロマ小節が大きなサイズに達
することは稀であるが、臨床的に重大な成長は普通大き
な腺成分を有する。前立腺拡大は、腺器官の拡大に関し
て記載されていることが多い。しかしながら、平滑筋も
また重要な成分である。前立腺嚢は、さらに高い比率で
筋肉組織を有する。
前立腺の良性拡大の一次兆候は泌尿器閉塞である。尿
道閉塞は、尿道の圧迫または伸長の結果として生じる。
良性小節性増殖は、単独で物理的に尿道を閉塞させる
か、または泌尿器括約筋を補充する筋肉もしくは神経を
妨害することにより泌尿器閉塞を誘発し得る。小節増殖
の正確な位置関係は、閉塞徴候の速度および強度を決定
する。小さく有利な位置の小節の方が、前立腺嚢内に残
るより大きなさらに側面の肥大部分よりも閉塞を誘発し
得る。前立腺肥大は尿道表面に拡張した静脈を伴う血管
増大であるため、血管はBPHの一般的徴候である。他の
刺激的徴候には、排尿頻度の増加および最小の兆候と共
に尿を無理に通過させる過酷な切迫症状がある。前立腺
肥大の最な深刻な合併症は、閉塞が上部尿管に及ぼす影
響である。閉塞は、腎水腫、激しい腎臓損傷および致命
的になり得る尿毒症を誘導し得る。
BPH処置方法 外科的前立腺切除法の出現前において、BPH治療の主
形態は、断続的または継続的にカテーテルの殺菌在潅注
を伴うカテーテルによる尿迂回を必要とした。内存形カ
テーテルに関する適応例は、50歳を越える男性、病的腎
臓、無緊張性ぼうこう、あらゆる大きさの前立腺、合併
症の困難を伴わない実行可能なカテーテル挿入、4オン
スを越える残留尿、弱い心臓、血管疾患、並びに排尿頻
発、とう痛、テネスムス、ほてり、精巣上体炎および血
尿の徴候を含む。閉塞による最小の徴候を伴う多くの患
者は、彼等の制限された廃疾を我慢するように助言され
た。
前立腺切除は、BPHによるぼうこう頚部閉塞を軽減す
るための現在許容されている方法である。外科的処置の
目標は、泌尿器閉塞の影響、例えば腎臓機能不全、石形
成および感染症を除去および削除することである。さら
に、患者に良好な制御により正常間隔で排尿させ、正常
な性的機能を可能にすることにより、患者の生活の質を
改善させることが望ましい。外科的前立腺除去に関する
適応例は、70歳未満の男性、正常な腎臓、かなり健康な
ぼうこう、直腸検査における前立腺の著しい拡大、決定
された尿道閉塞、4オンスを越える残留尿、並びに排尿
頻発、とう痛、テネスムス、ほてり、尿道熱の発作、精
巣上体炎および血尿の徴候を含む。患者が激しい徴候を
生ずるのに充分なぼうこう頚部閉塞を患い、手術の危険
性が良好な場合、閉塞性前立腺組織の除去は、普通恥骨
上部、恥骨後部、会陰部または経尿道経路により慎重に
行なわれる。
前立腺切除の通常の手術において、肥大性小節は、圧
迫された外科前立腺、いわゆる「外科被膜」を後に残し
ながら一片ずつ剥がされる。過形成前立腺組織の除去に
使用される一般的手術方法の2つは上陰部切開を必要と
する。上陰部前立腺切除術は、ぼうこうを通した小節過
形成の除去を含む。後方陰部前立腺切除術は、前立腺嚢
の腹側に切り込みを入れ、続いて不快感を与える小節を
除去する。別法であり、会陰部前立腺切除術は、会陰切
開を用い、前立腺嚢の背面における切り込みから小節を
除去することにより行なわれる。現在使用されている最
も一般的な手術方法では、尿道を通した内視鏡器具を使
用することにより、漸次方式(経尿道切除またはTUR)
で過形成または閉塞性組織を除去する。リターン−フロ
ー切除鏡を使用する現行技術では、前立腺組織が連続的
に切除され得る。様々な他の手術方法も散発的に使用さ
れており、BPHによるぼうこう頚部閉塞も見かけ上軽減
されている。
切開手術による前立腺切除における死亡率は、様々な
技術の場合と本質的に同等であり、死亡する危険は1%
前後で変動している。死亡の危険は、TURが行なわれた
患者の方が低い。腎不全が認められた患者は、前立腺切
除に関して危険が高い者とみなされる。80歳を越える男
性は危険性が高くなり、TURの場合の死亡率は3.5%に増
加する。さらに、患者がかかり易い感染の危険には、標
準的手術創傷感染、尿管感染および菌血症がある。非常
に大きい腺腫前立腺を有する患者は、前立腺が経尿道的
または切開手術のどちらの方法で除去されようと、輸血
を必要とする危険が最も高い。病気の感染を含む輸血の
様々な危険は充分知られている。
根本的な後方陰部前立腺切除を受けた患者が直面する
悪化要因としては、長い手術時間(1〜6時間範囲)、
血液喪失(50〜7000ml範囲)、輸血(0〜20単位)、結
腸フィステル形成を必要とする直腸創傷、骨盤膿よう、
深部静脈血栓症、肺塞栓症および重度〜完全尿失禁があ
る。軽い合併症には、ぼうこう頚部けい縮、一時的尿停
留、尿道狭窄、ぼうこうまたは尿道破裂、精巣上体炎、
前立腺/尿道狭窄、尿道フィステルおよび性機能低下が
ある。
TURの詳細に記録された危険には、失禁、尿道狭窄、
ぼうこう頚部けい縮および性的機能不全がある。このタ
イプの前立腺組織外科的切除を受ける患者は、術後スト
レス性失禁および潅注流体の吸収を含むある種の危険に
直面する。追加的危険性としては、ぼうこう穿孔、感染
症および輸血を必要とする出血がある。前立腺の経尿道
切除中における平均的血液喪失は、除去された組織1g当
たり10mlにほぼ等しい。経尿道切除に付随する合併症に
は、ぼうこうけいれん、出血、ぼうこうまたは前立腺膿
の穿孔、泌尿器括約筋に対する損傷および器械類の不適
切な接地による火傷がある。TURに伴う術後合併症に
は、出血、TUR症候群、カテーテル機能不全、尿道狭
窄、ぼうこう頚部けい縮、尿管感染症、ショック、深部
静脈血栓症、肺塞栓症並びに心臓血管、胃腸および中枢
神経系の疾患がある。ぼうこう頚部における不適当な治
癒または尿道に沿った創傷の結果、狭窄または癒着の形
成により尿道管腔が狭くなり得る。患者にほとんど不快
感を与えず容易に制御される狭窄もあるが、外科的介入
を繰り返し必要とする場合もあり得る。
前立腺の外科的除去方法は、手術には1−3時間、次
いで1週間の入院を要することが多い。合併症は入院期
間ないし2週間またはそれ以上に及び得る。前立腺切除
を受けた患者の約10−15%は、さらに、長期の財政問題
を考慮しながらも狭窄を処置するための外科的介入を必
要とする。外科的除去を繰り返し必要とする前立腺切除
後のBPHの再発率は、会陰部前立腺切除による0.3%から
TUR後の7%の範囲で変化する。TURの場合の高い発病率
は、この方法において不完全に除去された過形成組織に
関する重要な役割を示している。術後合併症には、完全
失禁、または社会的容認を確実にするために装置の使用
を必要とする程度までかなり切迫したまたはストレス性
失禁がある。排尿制御を達成するために装置またはプロ
テーゼの使用を必要とすることは、外科的前立腺切除の
望ましくない副作用である。外科的介入を受けないこと
を選んだ患者は、苦痛および不快感と共に生き続けなけ
ればならず、ほとんどの場合、将来前立腺閉塞のさらに
深刻な徴候を発現することになる。
BPHにより臨床的徴候の軽減に対する現行の治療的試
みは、手術による閉塞性組織の除去に集中している。最
近では、レーザー光凝固および吸入技術をヘマトポルフ
ィリン光感作技術と組み合わせたものが、TUR外科技術
に対する補助技術として記載されている。レーザー治療
の使用に伴う問題としては、前立腺への接近の難しさお
よびレーザー透過の深さの可変性がある。前立腺へは、
内視鏡器具により部分的にのみ接近可能であるが、後葉
部は特に処置が困難である。
局在的急速マイクロ波高体温法は、危険度の高いBPH
患者における手術に対する代替的治療形態であり得る。
マイクロ波誘発性高体温は、経直腸的または経尿道的ア
プリケーター手段により前立腺塊に適用され得る。この
治療形態に伴う問題は、前立腺塊を均一かつ安全に加熱
できないことである。前立腺組織へ接近するためには高
い電界エネルギーが要求されるため、正常組織の加熱は
回避できない。
BPHは高齢の男性に発生し、ホルモンのレベルおよび
相互作用に関連して変化する細胞環境の結果であると考
えられている。最新情報は、BPHがホルモン誘発性およ
び制御性の腺腫増大であることを示唆している。最近、
BPHの病原の根底にあるホルモン機構が解明されたた
め、この病気の治療技術に関して内分泌関連方法が推進
されている。これらのホルモン機構において、テストス
テロンはプロホルモンであると思われ、ジヒドロテスト
ステロンは前立腺増大に関する活性ホルモンであると思
われる。前立腺ストロマは、複雑なホルモン−ストロマ
−上皮相互作用に依存する、前立腺過形成プロセスを開
始させる誘導機構を含むと思われる。
精巣除去がBPHを効果的に阻止することはよく知られ
ている。肥大または正常のいずれであろうと、前立腺
は、こう丸摘出後には萎縮し、腺の細管および導管の残
存物しか存在しない小さな堅い繊維状の塊に変化する。
この方法は今世紀初頭には使用されていたが、閉塞性組
織の摘出にとって代わられた。前立腺拡大の制御におけ
る大部分の試みは、ホルモンのステロイド類の投与に集
中しており、精巣除去の結果、アンドロゲン刺激の主要
源の除去により徴候は改善され、前立腺の大きさは縮小
するという概念に基づいている。具体的な抗アンドロゲ
ン療法は、閉塞性泌尿器徴候の開始を防ぐか、または前
立腺の退行および退縮を誘導して前立腺増大を阻止する
ことにより、閉塞徴候を軽減することを指向したもので
ある。
前立腺からのアンドロゲン刺激の排除を目指す努力と
して、エストロゲン療法、黄体形成ホルモン(LH)の抑
制および抗アンドロゲン療法を含む様々な方法がとられ
てきた。BPHに対するエストロゲン療法は、適当な用量
でのエストロゲンは、循環性テストステロイドのレベル
を低下させるという事実に基づく。BPH制御を目指した
医学治療形態は、前立腺増大を阻止するが心身に有害な
副作用は生じない抗アンドロゲン剤の使用を含む。抗ア
ンドロゲン剤は、細胞レセプターへのジヒドロテストス
テロンの結合をきっ抗的に阻害し、男性におけるテスト
ステロン濃度を精巣除去レベルまで低下させることが示
された。しかしながら、一旦抗アンドロゲン剤を中断す
ると、過形成が再発する。従って、このタイプの治療を
受けている患者は、抗アンドロゲン療法に付随する望ま
しくない副作用と共に治療の有効期間に期待することに
なる。一般に報告されているこの療法の副作用には、胸
部増大、乳首に触れた場合の痛み、性的衝撃の喪失、イ
ンポテンツおよびアクネがある。
テストステロンは、5−&−レダクターゼの作用によ
り前立腺においてジヒドロテストステロンに変換される
プロホルモンである。結果として、酵素5−&−レダク
ターゼは、ジヒドロテストステロンのレベルを低下させ
るスイサイド阻害剤の作用に関する標的として提案され
ている。これは、良性前立腺肥大を仲介することが示さ
れている。ステロイド・ジアゾケトン類は、酵素5−&
−レダクターゼに対する天然基質の特有の類縁体であ
り、ジアゾニウム・アルキル化を通して酵素の活性部位
またはその付近に共有結合を形成することにより酵素の
触媒活性を阻止することが示された。
ケトコナゾールは、生殖腺および副腎テストステロン
産生の強力な阻害剤であることが示されたイミダゾール
誘導体である。ケトコナゾールは、LHの分泌において下
垂体に作用するとは思われない。しかしながら、それは
コレステロール合成を実際に阻止し、結果的に副腎およ
び生殖腺アンドロゲン・レベルを臨床的に低下させ、低
毒性である。ケトコナゾールの投与により生じるホルモ
ンの変化は、用量依存性であり、充分に可逆性である。
この薬剤は、生殖腺または副腎ステロイド産生の阻止か
ら恩恵を受け得る臨床状態に有用であることが示され
た。ケトコナゾールは、テストステロン合成の強力な阻
害剤であることが示されており、BPHの治療技術におい
て治療効果を示すものであり得る。ケトコナゾール療法
により生じ得る副作用には、性欲低下、インポテンツ、
女性化乳房および生殖腺減退がある。
オルニチン・デカルボキシラーゼは、ポリアミン類プ
トレッシン、スペルミジンおよびスペルミンの生合成に
関与する酵素である。これらのポリアミン類は、高めら
れた細胞生長および複製に関与すると考えられている。
高レベルのこれらのポリアミン類は、前立腺および急速
な増殖が行なわれる他の腺から見出される。オルニチン
・デカルボキシラーゼの強力なスイサイド阻害剤、例え
ばDL−&−ジフルオロメチル−オルニチン(DFMO)が合
成されると、オルニチン・デカルボキシラーゼの前立腺
レベルは著しく低減化され、続いてプトレッシンおよび
スペルミジンも枯渇することが示された。動物におい
て、オルニチン・デカルボキシラーゼのスイサイド阻害
剤、DFMOを投与した結果、前立腺の生長が阻止された。
さらに、組織培養において、DFMOは、DNA合成を阻止
し、ヒト前立腺腫細胞の増殖を緩慢にする。この化合物
は、前立腺腫の処置に適用され得る。
外科的技術に代わる治療方法としてのBPHの治療技術
におけるさらに別の試みには、ゴナドトロピンの下垂体
放出を阻止することによりテストステロンの精巣産生を
ブロックする強力なLHRH(黄体形成ホルモン放出ホルモ
ン)アグニストの使用が含まれた。LHRHアゴニストの一
次効果は、血清テストステロン・レベルの低減化であ
る。ロイプロリドおよびナファレリン・アセテートは、
3週間以内に男性におけるアンドロゲンおよびエストロ
ゲンの循環レベルを精巣除去レベルまで低減化すること
が示された。これらの化合物は、連続および治療用量
で、下垂体を脱感作し、性ステロイド・ホルモンの放出
をブロックする。強力なLHRHアゴニストにより達成され
たテストステロン抑制程度は、閉塞性良性前立腺肥大の
処置に有効であることが示された。この治療形態に対す
る障害には、アンドロゲン抑制が可逆性であり、続いて
過形成組織の再生長を伴うため、薬物療法を無期限的に
維持する必要性が含まれる。さらに、副作用としては、
インポテンツ、性欲減退、一過性熱感があり、閉塞性徴
候における最初の増加を含み得る。
非外科的手段によるBPHの予防または処置に対する他
の努力としては、神経薬剤、例えばα−1−アドレナリ
ン作用遮断薬の使用がある。プラゾシン、ヒトリン、フ
ェントラミンおよびケタンセリンは、泌尿器括約筋機構
の弛緩を目指した抗アドレナリン薬剤である。&−アド
レナリン作用遮断薬によるBPHの薬物治療は、外科的介
入が必要とは思われないか、またはこれを延期しなけれ
ばならない多数の前立腺肥大患者を助ける手段を提供す
る。様々な&−アドレナリン作用遮断薬がBPHの処置に
使用されており、フェノキシベンザミン(潜在的突然変
異原)、プラゾシン(ミニプレス)、フェントラミン
(レジチン)、ニセルゴリン(セルミオン)、テラゾシ
ン(ヒトリン)およびチモキサミンといった化合物が含
まれる。副作用は、BPHに関してフェノキシベンザミン
で処置された患者の約30%に存在し、低血圧、めまい、
卒倒、頻脈、虚弱および射精の退化または欠如を含む。
処置された全ケースのうちの約10%については、副作用
は耐え難いものであり、治療を中止しなければならな
い。プラジシンおよびヒトリンにより生じる副作用は少
ないと思われる。脳低血圧または虚血の可能性は、これ
らの薬剤にとって禁忌であると思われる。急速に作用す
る静脈内遮断薬、例えばフェントラミンは、特に高齢群
では慎重に使用しなければならない。しかしながら、ニ
セルゴリンは、脳循環に対して有益な作用を有すると考
えられる。
薬理学的証拠は、動物における前立腺の大きさが血清
コレステロールの低下の結果として低減化され得ること
を示した。ポリエン・マクロライドは、有効かつ強力な
コレステロール低下剤であることが示された。一基とし
てのポリエン・マクロライド類は、ステロール類および
ステロール含有細胞膜に対して特異的な物理化学親和力
を有する。前立腺の高いコレステロール含有量は、脂質
可溶性または分散性試薬、例えばポリエン・マクロライ
ドによる薬理学的攻撃の標的として使用され得る。BPH
は、コレステロール含有量の増加および腺房の管腔にお
けるコレステロール・プラークの堆積を伴い、前立腺組
織において見出される比較的高濃度のポリエン・マクロ
ライド(脂質可溶性)の原因であり得る。動物における
毒性試験に基づくと、ポリエン・マクロライド類は、血
清テストステロン・レベルを低下させ、精巣機能を阻害
し、前立腺組織構造の改変を誘導することが示された。
ポリエン・マクロライド抗生物質、例えばカンシンジン
およびアンフォテリシンBは、前立腺の体積を著しく縮
小させることが示された。しかしながら、ヒト臨床試験
では、BPHによる閉塞性徴候に対する外科的介入を必要
とする患者の数の減少を示されなかった。プロブコール
およびニスタチンは、血中コレステロール・レベルを低
下させるが、前立腺の縮小を誘発し得なかった。
フェノール注射を含む、BPHの閉塞性徴候の非外科的
処置に対する様々な試みが為されてきた。フェノール注
射療法は、前立腺組織の化学的壊死および後続の閉塞性
組織の縮小という概念に基づいている。この療法では、
2%液体フェノール、2%氷酢酸および4%グリセリン
の溶液の前立腺内注射を行う。この注射は、会陰部より
挿入され、ディジタル式直腸触診手段により前立腺へ導
かれた腰椎穿刺針手段により行なわれる。良い結果が記
録されても、出血、インポテンツ、徴候の増悪および数
時間から数日続く注射痛または不快感を含む合併症に悩
まされる。フェノールを用いる注射療法は、前立腺の大
きさまたは泌尿器流動性に対して重大な影響を及ぼし得
ないため、BPHの不適当な処置形態であると思われる。
要約すると、手術は、泌尿器閉塞を軽減するための唯
一知られた現実的かつ有効的処置である。過去40年間に
わたって、この病気の医学治療技術に関して多くの試み
が為されてきた。これらの試みの結果の解釈は、BPHに
起因し得る徴候を示す患者が、単独での診断的器械操作
後に泌尿徴候の一時的改善または軽減を経験することが
多いという事実により複雑化されていた。エストロゲ
ン、抗アンドロゲンおよびアドレナリン作用遮断薬を用
いる様々な代替的非外科的療法は、それらの効果の揺る
がぬ証拠が存在しないため、臨床的成果を制限してきた
と思われる。これらの治療効果は、評価方法、治療方式
および持続時間並びに直面したBPHのタイプにより変動
する。現在利用可能な医学治療技術形態の中で、BPH患
者において手術にとって代わる長期治療として使用され
得る方法は無い。
本発明は、ほ乳類におけるBPHによる下部尿管塞徴候
を処置および軽減するための代替的、非外科的、非急進
的方法を提供する。本発明を実際に行うと、組織の増
大、改変が阻止され、望ましくない程度に肥大した前立
腺の大きさが縮小される。この発明は、病的状態を減
じ、同じ目標を達成すべく設計された現行の外科的技術
よりも生活の質を改善する。前立腺の直接注射は、一般
に、本発明組成物を肥大した前立腺本体へ直接導入する
安全で簡単で有効な手段である。本発明組成物は安全で
あり、前立腺組織のストロマ、上皮および線維筋肉成分
の溶解、退行および退縮を効果的に誘発する。
ヒト前立腺−解剖および組織構造 ヒト前立腺は、尿道を包囲するぼうこうの基部に位置
する小型の筋−腺器官である。成人の前立腺は、栗の実
程度の大きさで、約20gの重量であり、太短い円錐形と
似ている。前立腺は基部の幅約4.5cm、長さ3.5cmであ
り、円錐の前部では幅2.5cmに狭まっている。尿道は、
基部から頂点へと前立腺のほぼ中央を通り、前立腺の様
々な領域を描写するための主要な解剖基準点を提供す
る。
ヒト前立腺は、一貫して堅く、嚢として知られてい
る、結合組織および平滑筋線維の突起した線維性弾性組
織構造に包囲されている。定期的に、別個の隔壁が嚢鞘
から発出し、腺を小葉に分離しながら腺の内部へ貫通す
る。嚢の周縁部は、主として線維芽細胞、コラーゲンお
よび弾性線維により構成される。隔壁は平滑筋細胞に多
く存在する。
前立腺は、別々の導管により尿道へ開き、コラーゲン
および平滑筋線維状結合組織の混合物であるストロマに
埋封された多数の腺により構成される。前立腺は、前立
腺を通過する射出導管により3〜5個の葉に不完全に分
割されている。各葉は、さらに不完全に小さく小葉に分
割されている。前立腺は、15〜30本の導管により前立腺
尿道へ直接開く30〜50個の小葉により構成される。尿道
および射出導管間の腺領域は、小粘膜および中程度の大
きさの粘膜下腺により構成され、前立腺の残りの領域
は、さらに大きく高度に枝分かれした腺を含む。
ヒト前立腺は、上皮、平滑筋、弾性組織およびコラー
ゲン性ストロマが、必要時に分泌物を貯蔵および前立腺
導管を通って尿道へ放出させるパターンで配された管状
腺房腺である。ヒト前立腺は腺房および細管により構成
され、これらは両方とも高円柱状または立方体様上皮細
胞と並んでいる。腺上皮は、単純な円柱または偽層状か
ら立方体様の範囲で高い可変性を示す。上皮細胞は、毛
管、コラーゲンおよび弾性線維に富んだ結合組織の層上
に存在する。腺排せつ導管には、導管が尿道に入るに応
じて、移行性上皮と合流している単純または偽層状円柱
状上皮が並んでいる。さらに大きな導管および尿道の周
囲には弾性線維の密な網状組織が存在する。
腺房および導管は、線維筋肉結合組織のストロマ内に
埋封されている。ストロマは、コラーゲンおよび弾性組
織により構成され、多くの平滑筋線維が導管および腺房
の周囲および腺小葉間に配されている。高度に脈管化さ
れたストロマは、尿道括約筋として知られている、尿道
から四方に広がり、その周囲に筋肉組織の密な環を形成
するかなり明確に画定された隔壁を形成する。腺の周縁
部では、ストロマは凝縮されて、コラーゲン、弾性組織
および平滑筋から成る環状線維の嚢を形成する。
嚢およびストロマからは、血管、リンパ腺、神経およ
び神経節が見出される。腹側下腹部動脈の支脈である下
位ぼうこう動脈は、前立腺への主たる動脈血補給源を提
供する。内部腸骨動脈の腹側部分は、一般的には中部直
腸および内部外陰部動脈の支脈を介して前立腺に付属脈
管を供給する。前立腺は、骨盤(自律神経系)そうによ
り刺激され、自律神経系の交感神経および副交感神経部
分の両方から助力を受ける。
ヒト前立腺は、解剖学的には不均一であり、4つの形
態学的に明確な領域により構成され、それらのうちの一
領域のみがBPHにかかり易いと信じられている。これら
の領域は外部診査からは同定され得ず、それらは肉眼的
解剖によって容易にまたは確実には分離されない。前立
腺内の4つのゾーンは、形態学的、機能的および病理学
的重要性により、腹側線維筋肉ストロマ、周辺ゾーン、
中央ゾーンおよび尿道周囲ゾーンと同定された。
BPHは、前立腺尿道および前−前立腺括約筋を隣接包
囲する前立腺の小部分からほとんど排他的に生じる。BP
Hは、腺およびストロマ組織の不規則な混合物による小
節性局所的生長である。過形成組織は、通常肥大した腺
の尿道周囲部分の中央に位置する。この解剖学的位置
は、BPHに伴う尿閉塞徴候に関与し、中程度の前立腺肥
大の場合にのみ多く見られる重い徴候を説明する。大部
分のヒト前立腺過形成を肉眼的に解剖すると、異常組織
から正常組織が比較的明確に分離される過巻状小節生長
として現れる。顕微鏡で調べると、正常前立腺の腺およ
びストロマ成分は全て様々な程度過形成に関与してい
る。
BPHの病因は、腺組織が括約筋のストロマに近接して
いるためであり得ると考えられている。これら2つの組
織タイプ間の胚芽様誘導性相互作用は、小節形成に関与
し得る。BPH小節形成の最初の段階は、完全に腺成分を
欠く、ゆるい胚芽様ストロマの小さな塊として描かれて
いた。後に、間充織小節に近接する腺は、ストロマ塊へ
貫通し、上皮成分を加える枝腺を形成する。このタイプ
の小節は、尿道周囲ゾーンから最も頻繁に見出される。
しかしながら、中央ゾーンでは、小節の大多数は、始め
は優勢的に腺であると思われる。さらに、腺は、量が増
加しておらず、間充織的特徴をもたない正常と思われる
ストロマ内に存する。
BPHの生長は、尿道周囲領域内に多数の起点部位を有
し、無制限に生長する小節形態で現れる病変を伴う新生
物的特徴を有する。小節は、様々な比率の2つの相異な
る組織タイプにより構成されており、先に存在する前立
腺の拡散した過形成または肥大ではない。初期病変は、
恐らく尿道周囲腺および導管を包囲する平滑筋および結
合組織の増殖として生じると思われる線維筋腫である。
これらの初期小節では、上皮成分をほとんどまたは全く
伴わない純粋な線維筋肉組織から、上皮成分が豊富でも
との周囲の線維筋肉ストロマが幾分突起している腺腫へ
と組成が変化し得る。
ヒト前立腺は、加齢とともに、良性前立腺肥大および
侵襲性癌腫という2つの臨床的に重要な変化を被る。ヒ
トBPHは、周囲の正常前立腺組織を圧迫する多数の線維
腺腫性小節の生長から成る。小節は前立腺の内部領域で
生じ、尿道を包囲し、歪曲させ、腺が偽性または外科的
嚢を形成する形で腺の外部分を圧迫する。良性前立腺肥
大は、内部(尿道周囲)腺群で生じると思われる。過形
成が腺内部群で発達している間、腺の外部群は萎縮し始
める。前立腺癌は、外部萎縮性腺で発生することが多
く、良性過形成腺から生じることは稀である。腫ようが
内部腺に存在すると思われる場合、多数の部分は、通
常、これらの増大物が外部腺にあるより大きい腫ようか
らの伸展物であることを示す。前立腺の腺腫は、老人性
萎縮と緊密に関連しており、恐らく先に萎縮していた上
皮細胞から生じると思われる。肥大症の伸長している小
節の外側の圧迫された萎縮性腺は、前立腺癌腫の最も一
般的な開始部位である。
高齢男性の前立腺は、BPHおよび癌腫の両方に襲われ
ることが多い。多くの非転移性前立腺癌は比較的無症状
であるため、年齢により異なるが、良性前立腺肥大に対
してTURを受けている患者の2%〜60%は、一部切除し
た組織について組織検査すると、存在すら知られていな
い前立腺癌腫を有していることが見出される。
ヒト前立腺生化学 前立腺は、その複雑で特有な産物が受精プロセスに関
与する分泌腺である。また、分泌物は、尿管細菌感染症
に対する防御を行う。前立腺の分泌物は、両アポクリン
およびメロクリンとして報告された分泌プロセスによる
腺上皮の産物である。
年齢とともに、ヒト前立腺は大きさが増大し、構造お
よび分泌活性を変えるが、循環しているアンドロゲンの
レベル低下にも拘わらずホルモンの支えは奪われていな
いと思われる。精巣および副腎アンドロゲンは、両方と
も前立腺の生長を支えると思われる。下垂体ホルモンお
よび環状AMPは、前立腺組織の悪性変形を伴う構造的ま
たは機能的変化の発生においてある役割を演じ得る。
前立腺の良性肥大は、老化疾患である。BPHの最初の
病変は、前立腺のストロマ成分で生じ、上皮成分全体を
占める。前立腺の線維筋肉ストロマは、コラーゲンおよ
びプロテオグリカンに富む。前立腺の大きさは、コラー
ゲン産生および上皮細胞が分泌するコラーゲン分解酵素
によるコラーゲン崩壊間に均衡をもたらすフィードバッ
ク・システムにより調節され得る。前立腺コラーゲンの
合成はアンドロゲン刺激に依存しており、アンドロゲン
により刺激されたストロマの線維芽細胞が新たなコラー
ゲンを生成すると考えられている。これらの新たに生成
されたコラーゲン線維は、新たな固定依存性上皮生長お
よび増殖に関する網状組織を提供する。コラーゲンの増
加は、上皮細胞により分泌された前立腺内コラーゲン分
解酵素の作用によるコラーゲンの崩壊により逆襲され
る。アンドロゲン刺激によるストロマ生長量がコラーゲ
ンのコラゲナーゼ仲介による崩壊を凌ぐ場合、前立腺肥
大が生じ、その結果前立腺の大きさが増す。
コラーゲンは、前立腺細胞外結合組織の主たる線維性
成分である。コラーゲン線維は、前立腺に対して結合組
織を支える化学的および物理的に安定した網状組織また
はマトリックスを提供し、様々な機能を担う。コラーゲ
ンは、細胞外マトリックスの構造的および支持成分とし
て、および細胞付着における基質として生物学的に機能
する。コラーゲンは、細胞増殖および分化に影響を及ぼ
す。また、コラーゲンは、細胞基低膜および細胞骨格の
構成における必須部分を形成する。この分子のトリプル
ヘリックス構造は、コラーゲンに蛋白質加水分解に対す
る高い抵抗性を与える。
コラーゲンは、集合したトロポコラーゲン分子の原線
維により構成される。各トロポコラーゲン分子は、トリ
プルヘリックスに包まれた3つの鎖を含む。トロポコラ
ーゲン分子は架橋を形成する集合体で結合し、これらが
時間をかけて発達し続ける結果、年齢とともにコラーゲ
ンは不溶性が高く、溶解に対する抵抗性も強くなる。コ
ラーゲンのヒドロキシプロリン含有量が増加すると、加
齢とともにコラーゲン構造の漸進的硬直が機構に付与さ
れる。
前立腺の結合組織は、主としてコラーゲンIおよびII
I型により構成され、それらの線維が細胞間コラーゲン
のバルクを構成する。コラーゲンIVおよびV型は、主と
して細胞の基底膜に見出される。相異なる型のコラーゲ
ンはプロテイナーゼに対して相異なる感受性を呈し、こ
れらは、トロポコラーゲン一次アミノ酸配列における変
化、共有結合した炭水化物の性質並びに分子間架橋の性
質および程度によるものと思われる。蛋白質加水分解に
対するコラーゲンの抵抗性は、その堅く巻いたトリプル
ヘリックス構造によるものと考えられる。ヘリックス
は、隣接アミノ酸を結合するペプチド結合が分子内部に
深く埋もれる形で巻いている。結果として、トリプルヘ
リックス領域は、強い一般的プロテイナーゼ、例えばペ
プシンによる攻撃に対して高い抵抗性を示す。
コラーゲンに対するコラゲナーゼの最初の蛋白質加水
分解作用は、3つの鎖全部を開裂する分子のトリプルヘ
リックス部分の加水分解であると思われる。次いで、こ
れらの鎖の第2開裂は、多くのさらに小さな断片を生じ
ながら行なわれる。コラーゲンの架橋状態が高いと、コ
ラゲナーゼの作用に対するコラーゲンの抵抗性は強くな
る。高度架橋コラーゲンの酵素的崩壊は、幾つかの酵
素、すなわちトリルヘリックス構造を変性させる酵素、
変性したコラーゲンのポリペプチド鎖を消化する酵素、
および分子間架橋部位であるコラーゲン分子の末端領域
を開裂する酵素の協働を要求し得る。
コラーゲンの蛋白質加水分解的可溶化は、大量のコラ
ーゲン関連プロテオグリカンにより阻止され得る。コラ
ーゲンの型、組織年齢、水和度および関与したプロテオ
グリカンの性質は、様々なプリテイナーゼによるコラー
ゲンの蛋白質加水分解の性質を決定する全因子である。
コラーゲン線維を包囲する非コラーゲン性マトリックス
の蛋白質加水分解的除去は、コラーゲンの実際の消化が
行なわれ得る前に必要であり得る。前立腺小節のコラー
ゲン線維は、コラゲナーゼがコラーゲンを崩壊するのを
阻止するプロテオグリカンに埋封されている。本発明の
組成物におけるヒアルロニダーゼの使用により、この阻
止が克服されることが見出された。
ヒト前立腺の結合組織ストロマまたは細胞外マトリッ
クスは、コラーゲン、エラスチンおよび基底膜蛋白質、
フィブロネクチンおよびラミニンにより構成される。こ
れらの成分が埋封されている細胞間質は、プロテオグリ
カン、複合多糖類および糖脂質により構成される。前立
腺の細胞外マトリックスは、細胞の生長、分化、移動お
よび形状の制御に密接に関与している。前記マトリック
スは、上皮細胞下に存在し、結合組織細胞を包囲し、細
胞が存する支持性網状組織を提供する安定した物質であ
る。コラーゲンはこの組織に強さを提供し、エラスチン
は弾性を提供し、プロテオグリカンは組織マトリックス
の結合性因子を提供する。
プロテオグリカンは、グリコサミノグリカン(GAG)
の少なくとも1鎖に共有結合したコア蛋白質を含む。プ
ロテオグリカンは、グリコサミノグリカンの種類、数お
よび長さが異なる広い範囲のコア蛋白質を呈する。プロ
テオグリカンの塊の大部分は、コンドロイチン硫酸塩、
ケラチン硫酸塩およびヘパリン硫酸塩から成るGAG鎖に
より構成される。コア蛋白質およびGAG鎖は、ヒアルロ
ン酸と相互作用し、その鎖に結合する。これら3分子間
の会合により、酵素ヒアルロニダーゼに接近可能な、隣
接するプロテオグリカン間にはさまれたヒアルロン酸か
ら成る安定した構造が得られる。
前立腺の結合組織ストロマ細胞は、平滑筋細胞、線維
芽細胞および原始間充織または内皮細胞を含む。細胞−
コラーゲン結合には、細胞の接着、生長、分化および形
質転換において重要な特異的糖蛋白質が介在する。前立
腺の細胞外マトリックスは、フィブロネクチンおよびラ
ミニンを含む若干の高分子量糖蛋白質を含む。フィブロ
ネクチンは、主として線維芽細胞、間充織細胞および平
滑筋細胞により生成され、コラーゲン、ヘパリンおよび
DNAに強く接着する。フィブロネクチンは、コラーゲン
IおよびIII型への平滑筋細胞の結合性を高めると思わ
れる。平滑筋細胞は、V型コラーゲンに優先的に結合
し、見たところ追加の接着性糖蛋白質を必要とせずにV
型コラーゲンに直接結合すると思われる。ラミニンは、
コラーゲンIV型に優先的に結合する上皮細胞により合成
される。ラミニンは、コラーゲンへのこれらの細胞の結
合を仲介する基底膜の糖蛋白質である。この基底膜は、
コラーゲンIV型、グリコサミノグリカン、複合多糖類お
よび糖脂質を含む複雑な構造である。細胞の基底膜は、
ストロマとの界面を形成する。
結合組織を形成する多数のコラーゲン、糖蛋白質およ
びプロテオグリカンが存在する。プロテオグリカンおよ
びコラーゲンの相互作用の結果、前立腺結合組織の細胞
間マトリックスが形成される。前立腺細胞外マトリック
スのストロマおよび結合組織内には、デルマタン硫酸塩
(40%)、グリコサミノグリカン、ヘパリン(20%)、
コンドロイチン(16%)およびヒアルロン酸(20%)を
含むグリコサミノグリカンおよび複合多糖類の複雑な網
状組織がある。可溶性ヒアルロン酸の漸進的喪失および
コンドロイチン−6−スルフェートへのコンドロイチン
−4−スルフェートの変換が年齢とともに生じる。
本発明組成物の酵素 本発明は、前立腺組織の消化または溶解および前立腺
肥大の閉塞性徴候の軽減に使用され得る加水分解酵素の
混合物を含む組成物を提供する。好ましい態様は、ヒア
ルロニダーゼ、トリプシン、キモトリプシン、プロナー
ゼ、エラスターゼ、デオキシリボヌクレアーゼI、ディ
スパーゼおよびプラスミンから成る群から選ばれる少な
くとも1種の酵素と組み合わせて有効量のコラゲナーゼ
を含むことが見出された。ヒアルロニダーゼと組み合わ
せたコラゲナーゼの使用が特に好ましい。
A.コラゲナーゼ 細菌性コラゲナーゼ(例、クロストリジウム・ヒスト
リチクムEC3.4.24.3)は、トリプルヘリックスに沿った
幾つかの部位での加水分解によりコラーゲンを小ペプチ
ドに分解すると考えられている。クロストリジウム・ヒ
ストリチクムから誘導されたコラゲナーゼは市販されて
おり、細菌、胞子、真菌、酵母、マイコプラズマおよび
ウイルスを含まない精製品が利用可能である。細菌性コ
ラゲナーゼは、クロストリジウム・ヒストリチクムを適
当な条件下で培養したときに分泌される細胞外酵素であ
り、好ましい。
コラゲナーゼは、その活性部位にZn2+を含む金属酵
素である。クロストリジウム・ヒストリチクムから誘導
されたコラゲナーゼは、約105000の分子量を有する。コ
ラゲナーゼは、遊離水硫(SH)基またはジスルフィド結
合を含まない。コラゲナーゼは8.6の等電点を呈する。C
a2+イオンは、酵素とコラーゲン基質との結合および充
分な触媒活性に必要な立体配座を有する酵素の提供に必
要とされる。Ca2+以外の他の金属も全てコラゲナーゼ
を阻害する。しかしながら、Zn2+は限られた濃度では
不可欠である。
コラゲナーゼは、システインにより不可逆的に阻害さ
れ、EDTAにより可逆的に阻害され、必須Ca2+を結合す
る。システインは、酵素の活性中心に位置する金属イオ
ンである亜鉛に対するキレート化剤として作用すると思
われる。ヒスチジンは、コラゲナーゼ活性を阻害するこ
とが示された。また、コラゲナーゼは、様々な金属キレ
ート化剤、例えばo−フェナントロリンおよび8−ヒド
ロキシキノリンにより阻害されることが示された。特定
の抗血清がコラゲナーゼを阻害するとは思われず、正常
抗血清によるコラゲナーゼ活性の阻害はほとんどまたは
全く存在しない。一般に、細菌性コラゲナーゼは、組織
特異的コラゲナーゼの天然阻害剤、例えばα−1−抗ト
リプシンおよびα−2−マクログロブリンにより阻害さ
れない。コラゲナーゼ活性に対する最適pHは、6〜8の
範囲である。低いpH値は酵素を不可逆的に不活化し、酢
酸はコラゲナーゼの作用の即停止に使用され得る。さら
に、コルチゾン製剤は、コラゲナーゼ活性を高めること
が見出され、試験された大部分の抗生物質はコラゲナー
ゼと匹敵し得ることが示された。
コラゲナーゼは結合組織に見出されるトリプルヘリッ
クスのコラーゲン線維を消化し、典型的には重さ約600
〜700ダルトンのフラグメントを生じる。コラゲナーゼ
は、アミノ酸配列−Pro−X−Gly−Pro−Yに対する特
異性を呈し、開裂はXおよびGly間で行なわれる。ヒド
ロキシプロリンはProと置き換えられ得、Xは中性であ
ることが最も多く、Yは非特異的である。酵素の特異性
は、コラーゲンにおいて上記配列が反復的に発生するこ
と、および他の蛋白質においてこれらの配列が事実上存
在しないことによる。
コラゲナーゼがコラーゲンに対して示す高度の特異性
に加えて、この酵素は、Ca2+の存在下で非常に安定し
ており、凍結乾燥および完全乾燥状態で活性の喪失を全
く伴わずに4℃で5年間貯蔵され得る。製造され、アリ
コートに分けられ、−20℃で貯蔵された酵素溶液は、そ
れらが最小限の回数で解凍および冷凍された場合、6箇
月間安定している。コラゲナーゼは4℃および22℃で優
れた安定性を呈し、56℃より高い温度は酵素を完全に不
活化する。
市販されているコラゲナーゼは、バッチ間で酵素活性
および純度の差異を呈する。従って、ロットによって
は、前立腺組織の可溶化について他のロットより有効な
場合もある。細菌性コラゲナーゼの市販製品は、少量の
汚染性プロテアーゼ、ペプチダーゼ、ムコポリサッカリ
ダーゼおよびグリコシダーゼ、例えばクロストリパイ
ン、トリプシンおよびカゼイナーゼ様アミノペプチダー
ゼを伴うことが多い。クロストリパインは、粗コラゲナ
ーゼ製品中に最も多く存在する汚染性酵素であり、必須
SH基を含み、システインにより活性化され、水硫結合剤
により阻害される。クロストリパインはトリプシン様特
異性を有する。少量の汚染性酵素、例えばトリプシンお
よびクロストリパインを伴う粗コラゲナーゼ製品は、コ
ラゲナーゼの高度精製品よりも有効であることが多く、
多数の酵素またはプロテアーゼの可能な組み合わされた
作用が前立腺組織の可溶化を助けることが示唆されてい
る。
粗コラゲナーゼ製品は、他の酵素、例えばヒアルロニ
ダーゼ、エラスターゼおよびトリプシンと組み合わされ
ると、前立腺組織解離目的に特に有用である。コラゲナ
ーゼのみが結合組織ストロマのコラーゲン成分を分解
し、他の分解性酵素、例えばトリプシンによるさらに別
の加水分解的攻撃を可能にする。細胞を一緒に抱える細
胞外マトリックスは、蛋白質、糖蛋白質、脂質、糖脂質
およびムコ多糖類から成る複雑な混合物である。ヒアル
ロニダーゼと組み合わせた粗細菌性コラゲナーゼの溶液
により前他腺組織を処置すると、前記混合物に存在する
多様な蛋白質加水分解活性により前立腺細胞外マトリッ
クスは充分に消化される。
前立腺組織の分散または溶解におけるコラゲナーゼの
使用で得られる利点は、一部その高い特異性に起因する
と信じられている。コラゲナーゼは、長い時間、高い温
度でインキュベーションされ得、他の蛋白質加水分解酵
素よりもコラーゲンに富む組織および器官のさらに充分
に溶解する。コラゲナーゼは、例えば一般的蛋白質加水
分解酵素トリプシンの場合のように、消化の濃度および
時間の厳密な制御を必要としない。細菌性コラゲナーゼ
は、細胞分散作用が強力であるため、コラーゲンに富む
BPHの小節の消化に好ましい。
コラゲナーゼは、加水分解を通してストロマのコラー
ゲンI、II、III、基底膜IV型およびV型コラーゲンを
消化する。ストロマ・コラーゲンに加えて、基底ラミナ
は、前立腺組織をコラゲナーゼに暴露した場合のコラゲ
ナーゼ活性部位の一つである。結果として、上皮細胞
は、基礎をなすストロマ成分から分離される。コラゲナ
ーゼに暴露されると、ストロマ細胞(線維芽細胞)は上
皮から分離されているのが判る。細胞は部分的に消化さ
れ、変性しており、これは可変性の喪失を示す。未消化
上皮細胞はきれいな外部表面を有する。コラゲナーゼ活
性故に、基底膜および残りのストロマのコラーゲンは消
化される。コラゲナーゼは、単一細胞への前立腺のスト
ロマおよび腺成分の分散において非常に有効である。腺
組織は本質的に全支持体ストロマから剥がされ、コラー
ゲン性線維束の間質可溶化を伴う腺構造自体の崩壊が生
じる。コラゲナーゼは、線維芽細胞の生長を阻害し、線
維芽細胞に対するある程度の細胞毒性を示す。
クロストリジウム・ヒストリチクムから誘導された細
菌性コラゲナーゼは容易に入手され得、様々な研究室に
おける広い適用性および臨床的適用性が見出された。コ
ラゲナーゼの初期の適用性は、組織培養に関する細胞分
散技術を含み、組織崩壊目的に対して他の酵素を凌ぐ利
点を示した。医学的実践におけるコラゲナーゼの使用は
よく知られているが、これまでは、火傷または潰ようの
創面切除、椎間ディスコリシス(discolysis)および眼
科手術における局所適用に制限されてきた。コラゲナー
ゼの臨床適用性は、火傷処置センターで広く許容されて
いる。コラゲナーゼを抗生物質と組み合わせると、火傷
の創面切除および創傷治癒の促進に有効であり、多くの
場合ケロイド形成を伴わないことことが示された。コラ
ゲナーゼはケロイドの予防または治癒に有用であり得
る。コラゲナーゼは、皮膚潰ようを処置するための局所
用軟膏に混入されていた。コラゲナーゼによる酵素創面
切除は、頚部の熱式および冷式焼灼により生じる壊死状
態において臨床適用されている。コラゲナーゼの直接注
射は、椎間ディスコリシス、ペイロニー病の処置および
保持された冷凍腐肉の除去を目的とする冷凍前立腺切除
に対する補助的手段として使用されている。
コラゲナーゼは抗原性である。しかしながら、局所適
用が、コラゲナーゼ基剤の軟膏により長期間処置された
患者において免疫応答を誘導することは見出されなかっ
た。クロストリジウム・ヒストリチクムが非常に有毒な
エンドトキシンを生じることは知られているが、細菌性
コラゲナーゼは非毒性であることが示された。クロスト
リディウム属起源のコラゲナーゼは、ヒトにおける注射
前にエンドトキシンの精製および除去を必要とし得る。
コラゲナーゼの静脈内注射は、実験動物に対して非常
に危険度が低いことを示した。マウスでは、粗コラゲナ
ーゼの静脈内LD−50は体重1kg当たり300mgであることが
示された。水中コラゲナーゼの経口溶液は、体重1kg当
たり8000mgという高用量でも非毒性であることが判明し
た。ラットにおける急性静脈内LD−50は、コラゲナーゼ
の場合1272U/kgであることが示された。
B.ヒアルロニダーゼ ヒアルロニダーゼ(ヒアルロネート・4−グリカンヒ
ドロラーゼ)は、ヒアルロン酸を消化する酵素であり、
微生物およびほ乳類精巣から単離された。ヒツジ精巣か
ら誘導されたヒアルロニダーゼ、EC2.1.1.35が好まし
い。精巣ヒアルロニダーゼに類似した特性を有する酵素
は、ヘビおよびミツバチの毒液並びにヒト組織および血
清から見出される。ヒアルロニダーゼは、ヒアルロン酸
(酸性ムコ多糖類)からジサッカリド、テトラサッカリ
ドまたはこれら両方の混合物への分解を触媒する。この
酵素は、コンドロイチン硫酸塩AおよびCを加水分解
し、主としてテトラサッカリドを放出させる糖蛋白質で
ある。単糖類は一般的には放出されない。
ヒアルロニダーゼ活性は、多様な微生物およびほ乳類
組織および流体において立証されている。ヒアルロニダ
ーゼ活性は時間と一次関係を示し、異なる組織供給源か
らの酵素は異なるpH最適値を呈し得る。ヘパリン、重金
属および強いポリアニオンはヒアルロニダーゼを阻害す
るが、ポリカチオンはヒアルロニダーゼ活性化の傾向を
示す。
精巣ヒアルロニダーゼは、ヒアルロン酸における2−
アセトアミド−2−デオキシ−b−D−グルコースおよ
びD−グルクロネート残基間の1,4結合のランダムな加
水分解を誘発する。ヒアルロニダーゼ活性の阻害剤に
は、ヘパリン、コンドロイチン・スルフェートB、ヘパ
リン・スルフェート、ポリスチレン・スルホネート(競
争的阻害剤)、胆汁酸塩類、色素、硫酸化デタージェン
ト、Fe2+、Fe3+、Mn2+、Cu2+、Zn2+、Mg2+および
特異抗体がある。精巣ヒアルロニダーゼは、55000ダル
トンの分子量およびカチオンに関する絶対必要条件を有
する。K+およびNa+カチオンは、Ca2+イオンよりも
大きな作用を有する。ヒアルロニダーゼの1%溶液は、
280nmで測定された場合8の消衰係数を呈する。ヒアル
ロニダーゼは、4.5ないし6の範囲の最適pHを有し、NaC
lの存在により安定化されている。
ヒツジ精巣から誘導されたヒアルロニダーゼは、4℃
で凍結乾燥状態で貯蔵された場合1〜2年間安定してお
り、4℃で数日間0.02モル燐酸緩衝液中で安定してい
る。ヒアルロニダーゼ製品は、蛋白質1mg当たり1000単
位より大きい活性を呈するべきである。42℃で60分間酵
素を加熱しても活性の喪失は全く観察されない。48℃で
30分間加熱した後は活性の50%喪失が見出される。そし
て、100℃で5分間酵素を加熱した後は、活性の80%喪
失が観察される。EDTAは安定剤であると思われる。
ヒアルロニダーゼは、直接的酵素液化により結合組織
細胞間質の透過性を高めると思われる。ヒアルロニダー
ゼは、結合組織におけるヒアルロン酸およびコンドロイ
チン硫酸塩の消化に適している。ヒアルロニダーゼは薬
理学的毒性を示さず、浸透を高め、ステロイドにより阻
害される。
ヒアルロニダーゼは、ほ乳類精巣から誘導される酵素
である。この酵素は、以前から人体医学において局所麻
酔効果を高めるために使用されていた。ヒアルロニダー
ゼは、グリコサミノグリカンを形成する、結合組織のヒ
アルロン酸部分を加水分解する。この酵素は、注射され
た液体の吸収およびしん出物の再吸収を容易にする。ヒ
アルロニダーゼは、皮下または筋肉内経路により投与さ
れた比較的大きな注射容量の吸収を促進するのに使用さ
れてきた。ヒアルロニダーゼの局所適用を手術で用いる
ことにより、線維状結合組織を弱めることにより異常付
着構造の分離を助ける。ヒアルロニダーゼは、48時間6
時間毎に体重1kg当たり500NF単位のヒアルロニダーゼの
ボーラス静脈内注射によりヒトにおける攻撃開始の8時
間以内に投与された場合、心筋梗塞の程度を低減化する
ことが示された。
動物において、75000国際単位のヒアルロニダーゼを
静脈内注射しても、血圧、呼吸、体温または腎機能に顕
著な変化は生じない。ヒアルロニダーゼは、既知感染領
域に注射されるべきではない。ヒアルロニダーゼに対し
て感受性を示すケースが報告されている。ヒアルロニダ
ーゼを反復注射すると、免疫応答が誘導され、酵素を不
活化するか、または精巣で局在し、精巣の変性を誘発し
得る特異抗体が形成され得る。
ヒアルロニダーゼおよびコラゲナーゼの組み合わせ
は、本発明の好ましい酵素組成物である。クロストリジ
ウム・ヒストリチクムから誘導されたコラゲナーゼが好
ましく、ヒツジ精巣から誘導されたヒアルロニダーゼが
好ましい。
C.他の酵素 トリプシン、例えばEC3.4.21.4は、すい臓から誘導さ
れ、不活性形態または酵素前駆体で生成される。トリプ
シンの不活性前駆体はトリプシノゲンと呼ばれ、少量の
他の蛋白質加水分解酵素により活性化される。トリプシ
ンは、天然および合成基質における主にリジルおよびア
ルギニル・アミノ酸残基間のペプチド結合を加水分解す
るセリン・プロテアーゼである。トリプシンは、細胞膜
の蛋白質を分解し、膜損傷により細胞分散を開始させ、
多様なプロテイナーゼ阻害剤により阻害される。
トリプシンは、細胞間の細胞間質に対してほとんどま
たは全く活性を示さない酵素であるため、器官のコラー
ゲン性結合組織の解離を緩慢に進める。トリプシンは、
コラーゲン分子の末端領域の限定消化を促進し得るが、
コラーゲン分子の95%を越える部分を構成するトリプル
・ヘリックス領域を消化することはできない。結果とし
て、高度架橋コラーゲンに富む組織は、トリプシン単独
では分散しにくい。
トリプシンは、創傷、壊死性潰よう、膿よう、ろうお
よびフィステルの創面切除用の治療剤として使用されて
きた。血清中にはトリプシン阻害因子が存在するため、
低濃度の酵素が一般的に生きている組織を攻撃すること
はない。酵素は軟膏および湿潤または乾燥ドレッシング
として使用されてきた。粉末化トリプシンは、創傷全体
に振り掛けられるか、または小ゼラチン・カプセル手段
により腔またはフィステルへ挿入され得る。トリプシン
溶液は、気管支疾患におけるかくたんの液化用エーロゾ
ルとして使用されてきた。トリプシンの油状懸濁液は、
抗炎症剤として、および気管支ぜん息、気管支炎および
血栓静脈炎の処置において筋肉内注射されている。
キモトリプシン、例えばEC3.4.21.1は、すい臓から誘
導され、キモトリプシノゲンと呼ばれる不活性前駆体酵
素前駆体形態として生成される。キモトリプシノゲンの
活性化は、自己分解的またはトリプシンおよび他のプロ
テアーゼの作用により行なわれ得る。活性化機構は複雑
である。キモトリプシンは、α−1−アントリプシンお
よびα−2−マクログロブリンにより阻害される。広い
範囲の分子が、合成エステルおよびアミドを含めキモト
リプシンに対する基質として作用し得る。キモトリプシ
ン加水分解の天然基質は、芳香族アミノ酸L−トリプト
ファン、L−チロシンおよびL−フェニルアラニンのカ
ルボニル基のb位におけるペプチド結合の優先的開裂を
含む。
キモトリプシンは、局所的および全身的炎症の予防ま
たは処置、遊出血液およびしん出物の分散において経口
および非経口の両経路で使用されている。この蛋白質加
水分解酵素による治療は、骨折、手術による外傷、運動
に関連した負傷、不慮の軟組織外傷、椎間板病変および
白内障手術を含む様々な原因による炎症の低減化に有効
であることが報告されている。
加熱変性したキモトリプシンは、天然酵素よりも毒性
が低い。キモトリプシンは、迅速に注射された場合低い
毒性を示す。キモトリプシンに対する時折のアナフィラ
キシー反応が報告されており、アレルギー歴を有する患
者については、皮膚内またはスクラッチ試験が勧められ
る。
プロナーゼ、例えばEC3.4.24.4は、カルビオケム/ベ
ーリング(ラ・ジョラ、カリフォルニア)の登録商標名
である。プロナーゼは、中性およびアルカリ性プロテア
ーゼ、アミノペプチダーゼおよびカルボキシペプチダー
ゼを含む、ストレプトマイシス・グリセウスK−1から
誘導された幾つかの加水分解酵素の非特異的混合物であ
る。中性プロテイナーゼは、ロイシン、フェニルアラニ
ンおよびチロシンのアミノ基を含むペプチド結合を加水
分解する。アルカリ性プロテアーゼは、活性および特異
性がすい臓トリプシンと類似している。アミノペプチダ
ーゼおよびカルボキシペプチダーゼは、EDTAにより阻害
される金属酵素である。プロナーゼは、糖蛋白質を消化
し、約7.5の最適pHでグリコペプチドを放出する。プロ
ナーゼは、大部分の蛋白質を遊離アミノ酸に消化する広
スペクトルのプロテアーゼである。
すい臓エラスターゼ、例えばEC3.4.21.36は、天然エ
ラスチン、結合組織における弾性線維状蛋白質を消化す
るが、天然コラーゲンまたはケラチンは消化しないエン
ドペプチダーゼである。エラスターゼは、NaClおよびKC
lおよびプロテイナーゼ阻害剤エラスタティナル、α−
1−抗トリプシンおよびα−2−マクログロブリンによ
り阻害される。
エラスターゼは、蛋白質加水分解開裂によりエラスチ
ンを可溶化し得るエンドペプチダーゼ(プロテイナー
ゼ)である。エラスターゼは、すい臓、好中球、血小
板、マクロファージ、ひ臓、大動脈、皮膚、蛇毒液およ
び幾つかの微生物から見出される。マクロファージおよ
び微生物から誘導されたエラスターゼは、金属酵素であ
る。全ての他のエラスターゼはセリン・プロテアーゼで
ある。プロエラスターゼは、トリプシンまたはエンテロ
キナーゼにより活性化される不活性エラスターゼ前駆体
酵素前駆体である。
エラスターゼは、広い特異性を示し、エラスチンに加
えて多くの他の蛋白質を消化し得る。この広い特異性
は、他のプロテアーゼ、例えばトリプシンおよびキモト
リプシンの活性を補足する。また、広い基質特異性は、
高速架橋線維状蛋白質であるエラスチンの酵素消化能力
を助ける。トリプシンおよびキモトリプシンは狭い特異
性を有するため、それらはペプチド結合を充分に開裂し
て、それら自体によりエラスチンの網様構造を溶解する
ことができない。
エラスターゼは、様々なアミドおよびエステルに対す
るその非特異的加水分解活性に加えてエラスチンに対す
る特異的加水分解活性を有するセリン・プロテアーゼで
ある。エラスターゼは、エラスチン、変性コラーゲン、
フィブリン、アルブミン、ヘモグロビンおよびカゼイン
を含むペプチド(特に中性アミノ酸残基に隣接した結合
において)の加水分解を触媒する。エラスターゼは、プ
ロテオグリカン、フィブロネクチンおよびIII型コラー
ゲンを含む若干の結合組織成分を消化することができ
る。また、エラスターゼは、フィブリノゲンおよびヒス
トンを消化することができる。エラスターゼの広い基質
特異性を生理学的pHでのその活性と合わせると、細胞外
損傷誘発の大きな可能性を伴う酵素が得られる。
ディスパーゼ、例えばEC3.4.24.4は、細胞培養目的に
おける組織崩壊に好適であり得る。ディスパーゼは穏や
かであり(1時間のインキュベーション中に細胞膜を損
傷しない)、温度、pHおよび血清成分からの干渉に対し
て安定している。ディスパーゼは、特性および基質特異
性がテルモリシンと類似している。ディスパーゼは、甲
状腺、すい臓および血管の内皮細胞を含む多くの型の組
織の解離に使用されてきた。
デオキシリボヌクレアーゼ、DNアーゼI、EC3.1.21.1
は、ウシのすい臓から誘導されたエンドヌクレアーゼで
ある。デオキシリボヌクレアーゼは、天然の高度ポリマ
ー化DNAおよび変性DNAを加水分解する。デオキシリボヌ
クレアーゼIは、隣接プリンおよびピリミジン・ヌクレ
オチド間の結合を優先的に攻撃する。デオキシリボヌク
レアーゼIは、ピリミジン・ヌクレオチドに隣接するホ
スホジエステル結合を開裂し、1本鎖DNA、2本鎖DNAお
よびクロマチンに対して作用する。ヒストンは時間をか
けてデオキシリボヌクレアーゼの活性を阻害する傾向を
示すが、全クロマチンDNAが消化され得る。デオキシリ
ボヌクレアーゼは、アクチノマイシンD、臭化エチジウ
ムおよびEDTAにより阻害される。ふっ素、クエン酸、ひ
酸、ほう酸および亜セレン酸イオンは、必須Mg2+を除
去し得るため、デオキシリボヌクレアーゼ活性を阻害す
る。
プラスミン、例えばEC3.4.21.7は、フィブリンを溶解
する蛋白質加水分解酵素であり、ストレプトキナーゼに
より活性化されたときプラスミノゲンから誘導される。
プラスミンは、線維素溶解活性を有し、血栓疾患の処
置、抗凝血療法に対する補助的手段として、およびデオ
キシリボヌクレアーゼと共に使用された場合は傷の創面
切除に使用されている。プラスミノゲン活性化因子は、
炎症応答中に単核食細胞により分泌される中性プロテア
ーゼである。プラスミノゲン活性化因子は、プラスミノ
ゲンの存在下におけるマクロファージによる細胞外蛋白
質分解を仲介すると考えられている。
界面活性剤 また、本発明酵素組成物は、好ましくは、前立腺組織
の可溶化および溶解を助ける非イオン性界面活性剤を含
む。非イオン性界面活性剤、例えばアルキル−フェニル
−ポリオキシエチレン界面活性剤は、特に有用であるこ
とが見出された。ペンシルバニア、フィラデルフィアの
ローム・アンド・ハスから市販されているトリトン(商
標)X−100、オクチル−フェノキシ−ポリエトキシエ
タノール、オクチルフェニル・ポリオキシエチレンオキ
シドは、好ましい界面活性剤の一例である。
脂質は、前立腺流体および細胞の主成分である。燐脂
質、コレステロールおよびセファリンは、前立腺分泌物
に存在する脂質の大部分の源泉である。前立腺または上
皮細胞は、前立腺分泌物から見出される大きな比率のコ
レステロールおよび燐脂質の合成に関与する。前立腺流
体コレステロール・レベルは、BPHの場合に高まる。穏
やかなデタージェントによる前立腺組織の処置により、
細胞膜の燐脂質が可溶化され、前立腺流体のコレステロ
ールが乳化される。非イオン性アルキル−フェニル−ポ
リオキシエチレン界面活性剤は、酵素加水分解および前
立腺組織の可溶化を助けるのに特に有効であることが見
出された。
非イオン性界面活性剤は、部分的に疎水性および部分
的に親水性の分子である結果、膜脂質の可溶化に有効な
薬剤である。膜の可溶化は一般に段階的に進む。デター
ジェントが膜に結合する。膜が溶解される。そして膜
は、脂質−デタージェント−蛋白質ミセル、脂質−デタ
ージェント・ミセルおよび蛋白質−デタージェント・ミ
セルの形態で可溶化される。膜蛋白質の可溶化は、これ
らの上記段階のいずれかで行なわれ得る。膜が粉砕され
る前に選択的に抽出される蛋白質もあり、これらは主と
して蛋白質−デタージェント複合体であることが判る。
膜が粉砕されて主に脂質−蛋白質−デタージェント複合
体を生じるとき膜蛋白質の大部分が可溶化される。pH、
温度、イオン強度およびデタージェント濃度を含む幾つ
かの因子が、デタージェントの性能に影響を及ぼし得
る。
トリトン(商標)X−100(オクチルフェノキシ・ポ
リエトキシエタノール)は、8〜10モルのエチレンオキ
シドと縮合したオクチルフェノールから成る非イオン性
界面活性剤であり、C14H22O(C2H4O)n(式中、n=8
−10)の化学式を有することが報告されている。この化
合物は、僅かに不透明な粘ちょう性液体で、水と混和し
得、1.07の比重を有する。トリトン(商標)X−100
は、蛋白質の疎水性領域に堅く結合する高度疎水性分子
(短いポリオキシエチレン鎖を有する分子)により構成
される。トリトン(商標)X−100は、260〜280nm範囲
でのUV光を強く吸収するフェニル基を有する。トリトン
(商標)X−100は、過酸化物汚染を減らすべく精製さ
れた本質的に純粋なデタージェントの粘ちょう性液体と
して供給される。温度が下がると粘ちょう性は増し、20
℃未満では操作はしにくくなる。
トリトン(商標)X−100、ポリオキシエチレン誘導
体は、膜蛋白質から脂質を分離する細胞膜の脂質二重層
を粉砕する。非イオン性デタージェント、例えばトリト
ン(商標)X−100は、普通は膜の疎水性蛋白質と会合
している脂質を追い出す。可溶性は穏やかに行なわれる
ため、膜蛋白質のサブユニット構造は維持され、酵素活
性または機能は保持される。デタージェントは一般的に
は蛋白質−蛋白質相互作用を粉砕しない。
非イオン性界面活性剤は若干の生物学的状況で使用さ
れており、制限された期間機能的状態で潅流した臓器を
維持するのに有用であることが示された。さらに、これ
らの化合物は、組織培養において細胞の生長を高め、静
脈内投与用脂肪エマルジョンを安定させ、血液に関する
安定な貯蔵期間を延ばし、体外循環中の脂肪塞栓および
溶血を予防することが見出された。
トリトン(商標)X−100およびNP−40は、脂質を含
む核および細胞膜の可溶化および抽出に有効であること
が示された穏やかな非イオン性デタージェントである。
レシチン二重層の完全な可溶化は、約2:1(デタージェ
ント:燐脂質)の仕事率でトリトン(商標)X−100に
より立証された。膜蛋白質の可溶化(脂質不含有デター
ジェント−蛋白質ミセルの生成)は、膜脂質1mg当たり1
0mgを越えるトリトン(商標)X−100を必要とし得る。
高活性組織コラゲナーゼおよびPMN白血球コラゲナー
ゼは、各々0.25%トリトン(商標)X−100(0.01モルC
aCl2中)および0.05%トリトン(商標)X−100(0.05
モルのトリス中、pH7.5、0.15モルNaClおよび0.01モルC
aCl2含有)中組織のホモジネート化を含む組織解離技術
により製造された。デタージェントのブリージ35(ポリ
オキシエチレンラウリルエーテル)を精製手順全体に組
み入れると、組織からのコラゲナーゼの回収は著しく高
められる。
トリトン(商標)X−100毒性データは、消化後に悪
心およびおう吐を誘発し得る軽度〜中程度の危険が存在
することを示す。デタージェントは、敏感な皮膚に対し
て軽い炎症を誘発し得、炎症、催涙および急な接触時に
生じ得る角膜損傷の徴候を伴う激しい目の炎症を誘発し
得る。ラットに経口投与されたトリトン(商標)X−10
0のLD50は、1800mg/kgである。ウサギ皮膚LD50は3000mg
/kgを越える。
トリトン(商標)X−100は、若干の他のアルキルフ
ェニルポリオキシエチレン・デタージェント、例えばト
リトン(商標)X−114と類似した特性を有する。非イ
オン性デタージェントの多くは、ポリオキシエチレンま
たはポリオキシプロピレン誘導体であり、様々な分子量
および相異なる物理特性において利用可能である。
脂質含有核および細胞膜の可溶化および抽出に有効で
あることが示された適当で穏やかな非イオン性界面活性
剤には、ソルビトールおよびソルビトール無水物の部分
的脂肪酸エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物が
含まれる。これらの界面活性剤は、トウィーン(商標)
シリーズ(アトラス・ケミカル)として市販されてい
る。この場合、エチレンオキシド対アルコールのモル比
は約15:1〜25:1の範囲内であり、脂肪酸成分はラウレー
ト、ステアレートまたはオレエート(C10−C20)により
構成される。
本発明組成物で使用され得る他の非イオン性界面活性
剤には、C6−C12アルキルフェノール類のエチレンオキ
シドエステル、例えばノニルフェノキシポリオキシエチ
レンエーテルがある。特に有用なのは、8〜12モルのエ
チレンオキシドとノニルフェノールを縮合することによ
り製造されたエステル類である。この型の市販されてい
るデタージェントには、イゲパルCOシリーズ(GAFコー
ポレイテッド)がある。
追加的な有用な非イオン性界面活性剤は、エチレンオ
キシドと疎水性ポリオキシアルキレン基剤との縮合生成
物、例えばプロピレングリコールと縮合させたプロピレ
ンオキシドを含み得る。この型の化合物は、市販されて
いる界面活性剤プルロニックF−127、プルロニックPX
およびプルロニックL−62(ワイアンドッテ・コーポレ
イテッド)を含む。
さらに別の有用な非イオン性界面活性剤には、アルコ
ール1モル当たり2〜50モルのエチレンオキシドを含む
C8−C22アルキルアルコールの縮合生成物がある。この
型のデタージェントには、アルコール1モル当たり3〜
45モルのエチレンオキシドを含むC10−C20脂肪族アルキ
ルアルコールの縮合生成物がある。これらの化合物は、
ポリ−タージェントSLFシリーズ(オリン・ケミカル
ズ)またはタージトール・シリーズ(ユニオン・カーバ
イド)として市販されている。
トリトン(商標)X−100は、非イオン性界面活性剤
であり、乳化剤、湿潤剤およびデタージェントとして有
効である。他の市販されているポリオキシアルキレン基
剤の非イオン性界面活性剤の例には、トリトン(商標)
X−114(ローム・アンド・ハス)、トウィーン(商
標)20/80(アトラス・ケミカル)、ゲナポールX−080
/100/150、C−100(ヘキストAG)、テシット(デスチ
ン−ベルクGMBH)、ブリージ35、ルブロールPX(ICIア
メリカス)、プルロニックF−127(ワイアンドッテ・
ケミカルズ・コーポレイテッド)、ノニデットP−20/4
0(シェル・オイル・コーポレーション)、イゲパルCO
−630/710(GAF)、スルフォニックN−95(ジェファー
ソン)、タージトールNP−27(ユニオン・カーバイド)
がある。
界面活性剤は、好ましくは組成物の容量に対して約0.
1%〜10%の濃度で本発明組成物に加えられる。さらに
好ましくは、界面活性剤は、容量にして約0.5%〜5%
の濃度で組成物中に存在する。
抗生物質 前立腺の直接注射は、一般的に、肥大した前立腺本体
へ本発明組成物を直接導入することにより閉塞性前立腺
組織の可溶化および退行を誘発する安全で簡単で有効な
手段である。直接前立腺内注射を用いると、組成物の酵
素成分の代謝不活化という潜在的問題が回避され、組成
物を所望の作用部位に直接送達させることができる。し
かしながら、前立腺内注射技術は、合併症、例えば注射
後発熱、細菌尿および菌血症を生じ得る細菌感染にかか
る危険を伴い得る。
前立腺感染症は、一般的に普通のグラム陰性尿管病原
体の一つに起因し、治療は感染している細菌株の抗生物
質感受性パターンにより誘導される。細菌性前立腺炎の
原因となる微生物には、エシェリヒア・コリ、プロテウ
ス種、クレブシエラ、エンテロバクター、シュードモナ
ス、セラチアおよび他のあまり一般的ではないグラム陰
性微生物がある。大部分の前立腺感染症は単一病原体に
より誘発される。しかしながら、2種またはそれ以上の
細菌株による感染症も時折発生する。グラム陰性大腸菌
は、細菌性前立腺炎の最も頻度の高い病原体である。
本発明酵素組成物は、上記の注射方法に伴い得る細菌
感染症の発生を予防または低減化するための適当な抗微
生物剤を含むのが好ましい。使用される抗生物質は、一
般的に遭遇するエシェリヒア・コリ、ストレプトコッカ
ス・ファエカリス、プロテウス/シュードモナス類およ
びコアグラーゼ陽性スタフィロコッカスを含む泌尿器病
原菌株に対する充分な防御性を提供すべきである。選択
された抗生物質は、組成物の酵素活性を阻害すべきでは
ない。
シェリング・コーポレイション(ケニルワース、ニュ
ージャージー)により市販されているゲンタマイシン・
スルフェート(ガラマイシン、商標)およびブラフス・
ウェルカム(リサーチ・トライアングル・パーク、ノー
スカロライナ)から市販されているトリメトプリム/ス
ルファメトキサゾール(セプトラ、商標)は、尿管感染
症を誘発する細菌に対して適当な活性スペクトルを呈す
るが、コラゲナーゼおよびヒアルロニダーゼを干渉また
は阻害することはないため、好ましい。ガラマイシン
(商標)は、エシェリヒア・コリ、プロテウス種(イン
ドール陽性およびインドール陰性)、シュードモナス・
アエルギノサ、クレブシエラ−エンテロバクター・セラ
チア群の種類、シトロバクター種およびスタフィロコッ
カス種(ペニシリンおよびメチシリン耐性株を含む)を
含む広い範囲の病原性グラム陰性およびグラム陽性菌に
対して活性を呈する水溶性アミノグリコシドである。セ
プトラ(商標)は、エシェリヒア・コリ、クレブシエラ
−エンテロバクター、プロテウス・ミラブリス、プロテ
ウス・ブルガリスおよびプロテウス・モルガニイといっ
た微生物の感受性株に起因する尿管感染症の処置に適し
ている。
ゲンタマイシンは、前立腺切除を受けている患者にお
ける細菌感染症の予防に有益であることが立証された。
単一用量のゲンタマイシン(3−5mg/kg)を手術の2時
間前に筋肉内投与すると、術後細菌尿症の発生の低減化
に最も有効であった。単一用量療法は、費用が低く、重
感染、耐性株および毒性の問題も生じにくい。さらに、
短期予防は、長期治療体制とは反対に正常な糞便叢を修
飾しないことが立証された。単一手術前予防用量で与え
られた他の抗生物質も同等に有効であることが判明し得
る。
トリメトプリムは、血しょう蛋白質への結合が制限さ
れた脂溶性塩基であり、典型的には2:1〜3:1の前立腺組
織:血清レベルを示す。トリメトプリム/スルファメト
キサゾール(TMP/SMX)は、適当な抗菌活性スペクトル
を有する尿および前立腺分泌物における治療レベルを生
じる。TMP/SMXを用いた勧められる療法では、160mgのTM
Pおよび800mgのSMXの用量を30日間1日2回経口投与す
る。TMP/SMXが耐容されない(アレルギー)場合、ゲン
タマイシン療法が勧められる。
一般的に、抗生物質は、約0.15〜150μg/mlの濃度で
組成物中に存在する。好ましい抗生物質のゲンタマイシ
ン・スルフェートは、1.5〜150μg/ml、好ましくは10〜
25lg/mlの濃度で組成物中に存在する。別法として、ア
ミノグリコシド類全体、特にゲンタマイシンにアレルギ
ーを呈し得る患者の場合、トリメトプリム/スルファメ
トキサゾールの組み合わせ剤が、本発明組成物の好まし
い抗生物質としてゲンタマイシンと置き換えられ得る。
トリメトプリムは、好ましくは1〜10μg/ml、さらに好
ましくは5〜10μg/mlの濃度で存在する。スルファメト
キサゾールは、好ましくは30〜105μg/ml、さらに好ま
しくは50〜105μg/mlの濃度で存在する。
抗生物質は、通常急性前立腺感染症を迅速に軽減す
る。しかしながら、全ての病原性尿管微生物に対して有
効な抗微生物剤は無い。各々、それ自体の一種または様
々な種類に対する活性スペクトルを有する。細菌性前立
腺炎治癒におけるに最善の治療剤は、高脂溶性であり、
塩基性pKaを有し、血しょう蛋白質に対する最少の結合
性を示し、一般的なグラム陰性泌尿器病原体に対して殺
菌性を示す。
多くの抗生物質は、前立腺の慢性感染症の処置におけ
る価値が限られている。比較的有効ではない理由は、一
部には、前立腺において普通の低いpHが大部分の抗生物
質の溶解性を阻止するため、これらの薬剤が前立腺へあ
まり浸透しないためであり得る。しかしながら、細菌性
前立腺炎治癒における著しい成功の報告は、前立腺への
抗微生物剤の直接注射を含む。注射を定期的に反復すれ
ば、慢性細胞性前立腺炎のほとんど全ての症例は直接注
射方法により治療され得る。
尿管感染症に関与する一般的な病原体に対して有効で
あることが示された様々な抗生物質には、ゲンタマイシ
ン、トリメトプリム/スルファメトキサゾール、ニトロ
フラントイン、ナリジキシン酸、トブラマイシン、アミ
カシンおよびネチルマイシン・スルフェートがある。現
在、トリメトプリム/スルファメトキサゾールの組み合
わせは、細菌性前立腺炎の処置において第一に選択され
る薬剤である。最近の研究は、単一用量のゲンタマイシ
ン、トリメトプリム/スルファメトキサゾールまたはネ
チルマイシン・スルフェートが、術後細菌性尿管感染症
の予防において長期処置と同様に有効であることを示し
ている。
本発明組成物の好ましい抗生物質、ゲンタマイシンま
たはトリメトプリム/スルファメトキサゾールは、一般
的に遭遇する泌尿器病原菌株に対して適当な活性スペク
トルを呈する抗生物質群から選択され、ペニシリン類
(ペニシリンG、ペニシリンV、ベンザチン・ペニシリ
ン)、アミノペニシリン類(アンピシリン、アモキシリ
ン)、カルボキシペニシリン類(カルベニシリン、ピペ
ラシリン、メズロシリン)、ペニシリナーゼ耐性ペニシ
リン類(メチシリン、オキサシリン、ナフシリン)、セ
ファロスポリン類(セファレキシン、セファロチン、セ
フォタキシム、セファゾリン)、アミノグリコシド類
(ストレプトマイシン、ネオマイシン、カナマイシン、
トブラマイシン、アミカシン、ネチルマイシン、シソマ
イシン)、テトラサイクリン類(ドキシサイクリン、ミ
ノサイクリン、テトラサイクリン)、ポリミキシン類
(ポリミキシンBおよびE)、スルホンアミド類(スル
フィソキサゾール、スルファスクシジン)、フルオロキ
ノロン類(シプロフロキサシン、ノルフロキサリン)、
塩基性マクロライド類(エリスロマイシン、オレアンド
マイシン)、リンコマイシン、クリンダマイシン、クロ
ラムフェニコール、ニトロフラントイウおよびナリジキ
シン酸を含み得る。
デリバリー方法 本発明は、好ましい一態様では、治療有効量の酵素コ
ラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ、デタージェントのトリ
トン(商標)X−100および抗生物質ゲンタマイシンを
含む水性非経口組成物を開示している。本発明はまた、
開示された組成物の治療有効量の直接前立腺内注射によ
り、BPHに伴う閉塞性徴候が軽減される形のデリバリー
方法を提供する。前立腺内注射は、ディジタル直腸制御
および/または超音波誘導下で前立腺へ挿入された細長
い針手段により遂行される。この注射は、通常局所麻酔
下で行なわれる。注射溶液はリドカインにより希釈され
得る。注射中、組成物の最善の可能な分布を達成するた
め、針は頻繁に再配置され得る。開示された組成物を前
立腺へ導入するための幾つかの注射経路が利用可能であ
る。
好ましい投与経路は、経尿道前立腺内(病変部内)注
射による経路である。経尿道技術はカテーテル挿入の直
後に行なわれる。注射される組成物の容量は、一般的に
1〜20cc/葉の範囲で変化する。注射組成物の可溶化作
用を最適化するため、膨張性バルーンにより前立腺尿道
を拡張するのが望ましい方法であり得る。ぼうこう鏡に
より挿入されたバルーンは、注射された酵素溶液が尿道
へ排出する多孔質導管系を通って即座に出ていくのを阻
止する。また、バルーンの膨張により、前立腺蚕食を軽
減する物理的手段が提供され、軟化し可溶化している前
立腺組織の改造が促進され得る。この注射経路の利点
は、病変した小節領域を直接ぼうこう鏡により視覚化で
きること、および代謝不活化の危険を伴わずに所望の位
置に高濃度の組成物を送達できることである。前立腺の
直接注射中に患者が経験する苦痛および不快感は、一般
的に最少限であり、筋肉内注射と同等である。
別法として、前立腺注射の経会陰部または経直腸経路
も使用され得る。経会陰部経路の注射の場合、超音波お
よび/またはディジタル触診により誘導された22g×20c
mの吸引生検針を会陰部から尿道へ通す。再び、開示さ
れた組成物1〜20ccを、典型的には前立腺の各側葉へ注
射する。注射は、一般的には局所麻酔下で行なわれる。
注射中、針を頻繁に移動させることにより、組成物の最
善の可能な分布を達成する。針の位置は、ディジタル直
腸制御下に保ちながら、超音波により誘導され得る。経
会陰部経路の注射は、注射後細菌感染症により生じ得る
合併症が低減化される点で経尿道または経直腸経路より
も良い代替法であり得る。
経会陰部前立腺内注射に伴い得る細菌感染症の発生を
低減化するために、感染予防注射技術が推奨されてお
り、当業界の熟練者にはよく知られている。広い範囲の
標準的殺菌製剤のいずれか一つ、例えばフィソ−ヘック
ス(商標)、ベタジン(商標)、ポビドン−ヨウ素また
はクロルヘキシジンを会陰部の皮膚に適用すると、充分
な注射前抗菌防御性が得られる。無菌の尿、適切な皮膚
製剤および滅菌技術により、この方法全体における感染
合併症の比率を低くすべきである。
経直腸経路の場合、ディジタル直腸触診をしながら、
直腸壁を通して針を導入し、前立腺の注射を行ない得
る。直腸経路による注射は、僅かに湾曲した22g×20cm
の可撓性吸引生検針により遂行される。フランゼン針ガ
イド(プレシション・ダイナミクス・サンフェルナン
ド、カリフォルニア)の使用により、超音波および/ま
たは触覚ガイダンス技術の下、針は被疑病変部へ安全に
誘導され得る。滅菌した前立腺針ガイドを、手袋をはめ
た人差し指上に置く。指サックを針ガイド全体にはめ
る。人差し指および針ガイドを直腸へ挿入し、前立腺の
被疑病変部を触診する。針はガイドを通って挿入され、
組織中へ進められる。約1〜20ccの溶液が、前立腺の側
葉へ注射され得る。充分な物質を注射するために、針は
前後に3〜5回動かされ得る。注射前に麻酔ゼリーを適
用することにより、針穿刺中の苦痛が低減され得る。
注射時、前立腺葉は膨張し、大きさが増し、不透明に
なる。注射部位の静脈から引き出された注射液は、微少
梗塞部に伴う広範に広がった静脈けいれんを誘発し得
る。注射期間の直後に急性尿停留が生じ得る。前立腺へ
注射された流体は、注射部位における腺の腺房を満た
し、腺房導管により前立腺尿道へ入る隣接腺房の壁を通
って破裂し得る。注射された流体の1/3〜1/2程度が最終
的に前立腺尿道へ到達し得る。
正常部位前立腺本体へ5ccを越える組成物のボーラス
注射を行うと、反射性平滑筋収縮が生じ、治療用酵素溶
液が標的組織から離れた多孔質導管を通り尿道へ急速に
排出され得る。注射の力は、注射部位での前立腺組織を
破裂を誘発し得る。注射液は腺房系の導管へ接近し、完
全に腺を満たし得る。一旦腺が満たされると、液体は抵
抗の最も少ない経路をとり、尿道へ流出する。
注射液は、前立腺循環に接近し、散在している微細梗
塞領域に関与し得る。静脈の酵素誘発性血栓静脈炎は、
広まった出血性梗塞の出現に関与し得る。腎臓によるメ
チレンブルーの排出を含む試験により立証されている通
り、前立腺注射液の約1/5は全身循環へ入り得る。前立
腺の被膜下および尿道周囲ゾーンは、本質的に管が多
く、血流中への流体の流出を促進し得る。前立腺へ墨汁
炭素粒子を注射すると、骨盤のリンパ腺に肉眼または顕
微鏡で検出可能な粒子は存在しなかった。また、前立腺
注射液は、針の穿刺点を通って前立腺および前立腺周囲
組織表面に到達し得る。硫酸バリウムの放射線不透過性
ミクロエマルジョンの前立腺内注射直後にとられたラジ
オグラフは、前立腺被膜下での流体漏出およびぼうこう
への排出を示した。時折、流体は同じく被膜外へ漏出す
るのが見られた。
注射された組成物の酵素作用および一部は圧力下注射
された流体のせん断力により、前立腺の注射された小葉
には壊死が生じる。針穿刺点を通って逆戻りして漏出す
る流体の一部は、表面血管の血栓を誘発し、隣接する内
臓との癒着に関与し得る。逆戻りする漏出流体の量は局
所圧力により異なり、注射する力により増加すると思わ
れる。尿道周囲静脈を通過する注射液はそれらの炎症お
よび血栓を誘発し得、今度は尿道上皮の壊死および腐肉
化を誘発し得る。
尿道および尿道周囲の可溶化は、前立腺尿道の全円周
付近で行なわれ、尿道上皮の削剥が誘導されることが予
測される。組織可溶化酵素の注射に伴う組織病理変化
は、腺の導管に沿った流体排出の結果導管および周囲の
腺房に損傷が加えられることによる変化を含む。針穿刺
点を通って逆漏出する流体は、そこに位置する被膜導管
および平滑筋線維筋肉ストロマに影響を及ぼし得る。
前立腺の直接局所注射は、代謝不活化の危険を伴わな
ずに問題のフォーカスそのものに高濃度の治療用酵素を
送達する。しかしながら、感染および生じ得る敗血症が
全身に転移する危険があるため、感染の急な増悪中にお
ける前立腺内注射は勧められない。注射後数週間、血尿
および血精液が存在し得る。
処置されている患者により異なるが、投与される組成
物の治療有効量は、160〜160000U/mlのヒアルロニダー
ゼ、250〜250000U/mlのコラゲナーゼ、0.1〜10%のトリ
トン(商標)X−100および1.5〜150μg/mlのゲンタマ
イシンを含む1cc〜20ccの範囲であり得る。これらの用
量範囲は、良性前立腺肥大症に伴う閉塞性徴候を軽減さ
せるのに治療上有効であることが評価されている組成物
の様々な成分の量を表す。しかしながら、組成物の用量
は、患者の年令、病気の性質および重症度、組成物の効
力および投与経路により変動し得る。本発明の好ましい
態様が包含する処置様式は、閉塞性前立腺組織の可溶化
および退行を誘発するために好ましい組成物の安全有効
量の前立腺内注射を使用する。注射は、治療上望ましい
結果が得られるまで毎日、毎週または毎月の注射プロト
コルにより投与され得る。
他の送達方法 本発明組成物の治療効果を制限または阻止する問題に
直面した場合、代替的送達手段が使用され得る。例え
ば、酵素療法の有効性は、外来的に投与された酵素の短
い循環半減期、外来蛋白質に対する免疫応答の発生、抗
プロテイナーゼ・エフェクター(α−1−抗トリプシ
ン、α−2−マクログロブリン)からの阻止、または酵
素が小節の病変領域を特異的に目標とし得ないことによ
り制限され得る。
若干の相異なる担体系を用いることにより、酵素組成
物を前立腺における所望の部位に送達させ得る。一般
に、適当な担体は、特異性または反応性を喪失すること
無く治療剤をその標的へ導くべきである。担体は、好ま
しくは治療酵素と結合し、送達が完了するまで複合体と
して残存し得る。担体は、好ましくは、本発明組成物の
生物分解または不活化をもたらす免疫防御機構の誘発を
回避する。
組成物は、持続放出を可能にし、全身循環への接近を
阻止し、組成物の前立腺特異的局在化を高めるデポー製
剤として投与され得る。上記製剤は、遅延放出インプラ
ントとして提供されるか、マイクロカプセルに封入され
るか、または生物分解性ポリマーもしくは前立腺特異的
免疫グロブリンに結合され得る。
酵素組成物担体系としての抗体の使用は望ましいもの
であり得る。治療剤を特異組織へ送達させる担体系とし
ての抗体の使用により、標的抗原を認識し、それに結合
するという抗体特有の能力が発揮される。また、治療試
薬を担う抗体は、本質的に非常に導管が多いか、または
新血管新生が行なわれている組織において有効に局在化
し得る。さらに、異なる特異性をもつ細胞型を認識する
免疫酵素コンジュゲートのカクテルは有用であり得る。
局在化される抗原性細胞標的を明確に特定する組織特
異的モノクローナル抗体が製造され得る。F(ab)また
はF(ab′)フラグメントの使用により、局在特性は
改善され得る。F(c)フラグメントを含む抗体は、加
速されたクリアランス機構を呈するF(ab)またはF
(ab′)フラグメントよりも長い期間にわたって特異
的に局在しやすい。ヒト−マウス(キメラ)モノクロー
ナル抗体の最近の開発は、治療適用性をもたらし、ネズ
ミ派生体の慣用的モノクローナル抗体を凌ぐ利点を提供
し得る。ヒト−マウス抗体は、広範囲かつ高度の特異性
を呈する。キメラ抗体は、ヒトに注射されたとき慣用的
マウスモノクローナル抗体ほど免疫応答を誘導しないと
思われる。担体としてのヒトモノクローナル抗体の製造
および使用は、外来蛋白質の導入に対する受容者におけ
る免疫応答度合をさらに低減化し得る。また、抗グロブ
リン応答は、抗体製造方法、用量および注射経路といっ
た因子により制御され得る。
免疫標的酵素療法の目的は、有効濃度の酵素を活性の
組織特異的部位に送達し、付近の正常組織に対する毒性
を減らし、それによって治療指数を高めることである。
酵素は、酵素と共有結合するが、酵素の触媒活性には影
響しないモノクローナル抗体に結合され得る。組織特異
的モノクローナル抗体に結合している酵素は、それらの
蛋白質分解活性を維持しながらも、天然酵素よりも標的
組織における高度の特異的局在化を達成し得る。
他の特異的局在化の概念には、酵素前駆体−抗体コン
ジュゲート(トリプシノーゲン)または酵素および抗体
の両活性を保持する酵素−抗体コンジュゲート(コラゲ
ナーゼ、ヒアルロニダーゼ、エラスターゼ、デオキシリ
ボヌクレアーゼ)がある。酵素は、リポ蛋白質、赤血球
(RBC)ゴースト、ポリ酪酸、および前立腺組織におけ
る可溶性プロテアーゼの特異的標的化、局在化および活
性を増加および維持するために前立腺特異抗体を含む他
の生物分解性膜または合成マイクロカプセルに封入され
得る。
反復注射を行うと、抗体力価が生じ、アナフィラキシ
ーまたは他のあまり深刻ではない過敏反応の危険が伴い
得るため、コラゲナーゼおよびヒアルロニダーゼの投与
は免疫学的重大性を有し得る。さらに、コラゲナーゼま
たはヒアルロニダーゼに対する特異抗体の存在は、酵素
活性を阻害し得る。活性酵素が受容者の免疫系により外
来物質として認識される場合、潜在的な免疫学的問題が
生じ得る。抗体は、酵素に対して産生され、酵素を不活
化または沈澱させ得る。ヒト起源の酵素または組換え技
術により製造された酵素を用いることにより、これらの
免疫学的合併症は最少限にされ得る。
免疫監視系を回避するストラテジーは、酵素活性を保
護するが、特異的送達を容易にする生物分解性小胞中に
酵素製剤を包括させる方法を含む。細胞病変部の特定部
位を標的に定めるのは、組織特異的蛋白質(モノクロー
ナル抗体)をこれらの小胞に結合させることにより遂行
され得る。また、酵素は、リポソームまたは他の生物分
解性マイクロカプセルに封入され、続いて特異的局在化
を目的とする組織特異的モノクローナル抗体に結合され
得る。
リポソームは、水相を含む同心状燐脂質二重層の小球
体であり、担体系として有用であることが示された。現
行のリポソーム製剤技術により、様々な薬剤、ホルモン
または酵素がいずれかの相へ組み込まれ得る。モノクロ
ーナル抗体は、リポソームの外層へ組み込まれ、リポソ
ームに含まれる治療剤に関する送達の特異性を向上させ
得る。
合成マイクロカプセルまたは生物分解性小胞に酵素を
取り込ませると、生理学的不活化からの酵素の保護およ
び免疫合併症の防止に加えて貴重な特異的送達方法が提
供され得る。酵素の取り込みに関して膜封入技術の様々
な形態、例えば赤血球ゴースト、合成ポリマー性マイク
ロカプセル、並びにコレステロール、レシチンおよびホ
スファチジル酸から成る脂質小胞(リポソーム)が利用
可能である。受容者自身の赤血球を用いて活性酵素を送
達させると、合成担体(リポソーム、マイクロカプセ
ル)に閉じ込めた酵素の投与により生じ得る免疫学的お
よび生理学的問題は回避され得る。
酵素にポリエチレングリコール(PEG)を共有結合さ
せると、これらの蛋白質は非免疫原性になり、それらの
循環半減期は延び、天然酵素阻害剤による阻害からの逃
避手段が提供され得、結果的に、自己消化の減少を伴わ
ずに酵素活性が高められ得る。蛋白質へのPEGの結合は
単純であり、限外ろ過により精製され得る均一反応生成
物が得られる。
組成物の製造および試験 本発明は、好ましい態様として、良性前立腺肥大の場
合に形成される過形成小節へ直接注射するための安全治
療有効濃度の加水分解酵素コラゲナーゼおよびヒアルロ
ニダーゼ、デタージェントのトリトン(商標)X−100
および抗生物質ゲンタマイシンを含む水性組成物を開示
している。開示された組成物は、比較的小量での加水分
解酵素の比較的濃縮された溶液として製造されるのが好
ましい。小量の安全有効濃度の加水分解酵素は、大量の
比較的薄い溶液の場合よりも容易に命中し、時間をかけ
てBPHの異常病変部を効果的に消化する。
本発明組成物は前立腺内注射に適した単位用量形態と
して製剤化されるのが好ましい。組成物は、生理学的に
許容し得る液体希釈剤、例えば発熱物質不含有食塩水に
溶かした化合物の溶液または懸濁液の注射可能用量とし
て患者に投与され得る。例えば、組成物の凍結乾燥物を
含むガラス瓶は、組成物の滅菌アリコートを再構成し、
生きているほ乳類へ注射するための医薬的に許容し得る
水溶液として回収し得る形で製造され得る。組成物をBP
H患者において治療有効にするための必要量は、1cc〜20
ccの範囲であり得る。好ましい単位用量は、250〜25000
0U/mlのコラゲナーゼ、160〜160000U/mlのヒアルロニダ
ーゼ(U=単位)、0.1%〜10%の非イオン性界面活性
剤および0.15〜150μg/mlの抗生物質を含み、最も好ま
しくは、一単位用量は、2500〜25000U/mlのコラゲナー
ゼおよび1600〜16000U/mlのヒアルロニダーゼ、0.5〜5
%の非イオン性界面活性剤および15〜150μg/mlの抗生
物質を含む。
本発明組成物を製造した。コラゲナーゼ(シグマ・ケ
ミカル・カンパニー、セントルイス、ミズーリ)および
ヒアルロニダーゼ(ベーリンガー/マンハイム・コーポ
レイション、インジアナポリス、インジアナ)を凍結乾
燥物として入手し、20ミリモルのCaCl2(CBSCa)を含む
くえん酸緩衝食塩水により所望の濃度に再構成した。ク
ロストリジウム・ヒストリチクムから得られたコラゲナ
ーゼをクロマトグラフィーにより精製すると、少量の汚
染物質として酵素クロストリパイン、トリプシンおよび
カゼイナーゼを含んでいた。また、ヒツジ精巣から得ら
れたヒアルロニダーゼもクロマトグラフィーにより精製
した。全酵素活性を1mg当たりの国際単位として表し
た。
酵素は、4℃で凍結乾燥物として貯蔵されると安定し
ている。しかしながら、凍結乾燥酵素への水分の接近は
避けるべきである。例えば、凍結乾燥酵素の冷たいガラ
ス瓶を開く前にまず室温に暖めるべきである。酵素の希
釈再構成溶液は、4℃で貯蔵され、光から防御され、仕
事台での作業時は氷浴中に置かれるべきである。
蒸留したばかりの、脱イオンした滅菌水は、酵素の再
構成および注射可能溶液に使用される緩衝液の製造に好
ましい。好ましい態様において、使用される緩衝溶液
は、コラゲナーゼを活性化するために適量(好ましくは
0.01モル〜0.05モル、さらに好ましくは0.02モル〜0.05
モル)のカルシウムイオンを含む0.05モルのくえん酸緩
衝食塩水(CBS、pH6.7)である。適当な緩衝溶液、例え
ばリンゲルス食塩水またはトリス緩衝食塩水が使用され
得ることが認められている。しかしながら、緩衝液は、
コラゲナーゼを活性化するための充分なカルシウムイオ
ンを含むべきであり、カルシウムキレート剤、例えばED
TAまたは他の酵素活性阻害剤、例えばシステインを含む
べきではない。
好ましい緩衝液は、約6.5〜7.5の範囲であり得る生理
学的pHを呈するべきであり、pH6.7〜7.0が好ましい。食
塩水、例えば塩化ナトリウムの濃度は、好ましくは約0.
1モル〜0.2モルであり、約0.15モル〜0.2モルが最も好
ましい。同様に、くえん酸の濃度は、好ましくは約0.02
モル〜0.1モルであり、0.05モル〜0.1モルが最も好まし
い。
0.05モルのCBS+20ミリモルのCaCl2(pH6.7)の製剤
は、100mlの無菌の発熱物質不含有脱イオンH2Oに溶かし
た550mgのくえん酸ナトリウム、190mgのNaOHおよび876m
gのNaClにより構成される。この溶液を3mlの1N NaOHに
よりpH6.7に調節し、294mgのCaCl2を加えた。界面活性
剤トリトン(商標)X−100(マリンクロット、パリ
ス、ケンタッキー)および抗生物質ゲンタマイシン(シ
グマ・ケミカル・カンパニー)を加えることにより、適
当な最終濃度を達成した。トリトン(商標)X−100
は、20℃で1.082g/ml(20℃で924μ/g)の密度を呈す
る。ゲンタマイシンについては、1.5mlの10mg/ml(15m
g)抗生物質無菌溶液を100mlの混合物に加えることによ
り、150μg/mlの最終濃度が得られるように含ませる。
生成した溶液を標準技術により精製および滅菌する。
トリトン(商標)X−100(0.1%〜10%)、抗生物質ゲ
ンタマイシン(1.5〜150μg/ml)およびCaCl2(20ミリ
モル)を含むくえん酸緩衝食塩水(pH6.7)に酵素コラ
ゲナーゼおよびヒアルロニダーゼ(0.1%〜10%)を溶
かした溶液(5ml)を、発熱物質不含有水中で製造し、1
mlカラム(デトキシ−ゲル、商標)に通すことにより、
存在し得るエンドトキシンを除去する。医薬的に許容し
得る溶液製造の最終段階では、0.2マイクロメーターの
孔サイズを有する無菌保証された非発熱原性微多孔質ポ
リスルホン・フィルターに組成物を通過させる。ポリス
ルホン類により構成される低蛋白質結合フィルター膜
は、同等の酢酸/硝酸セルロース膜フィルターよりもか
なり低い蛋白質吸収性を示す。0.2mm無菌フィルターに
よりろ過することにより、微生物による汚染に対する防
御性が得られる。さらに、ろ過を行うと、患者が不溶性
粒子または微小集合体に悩まされる危険は最少限とな
る。
ヒトにおいて非経口的に使用される医薬的に許容し得
る溶液の再構成および製造は、標準業務として病院薬局
において常用の手順で遂行される。0.1%〜10%の濃度
範囲である20ミリモルCaCl2を含む0.05モルくえん酸緩
衝食塩水(CBSCa6.7)中コラゲナーゼ/ヒアルロニダー
ゼ/トリトン(商標)X−100/ゲンタマイシン(CHTG)
の溶液は、4℃で貯蔵された場合2週間安定しており、
ヒトおよびイヌ前立腺組織の可溶化に非常に有効な状態
のままである。組成物の毒性は、知られている個々の成
分の毒性より大きいとは考えられない。
クロストリジウム・ヒストリチクムから誘導されたコ
ラゲナーゼ(EC3.4.24.3)は、シグマ・ケミカル・カン
パニー(タイプXI、製品#C−7657、ロット番号:96F−
6801および96F−6838、タイプXI−S、製品#C−478
5、ロット番号:17F−6814)から購入された。コラゲナ
ーゼのU/mgおよび汚染酵素のレベルに関する酵素活性の
ロット間変動が観察され、1910〜2450U/mgコラゲナー
ゼ、0.86〜1.4U/mgクロストリパイン、40〜85U/mgカゼ
イナーゼおよび0.05〜0.52U/mgトリプシンの範囲であっ
た。
コラゲナーゼ活性の1単位は、カルシウムイオンの存
在下pH7.4および37℃、5時間でニンヒドリン着色が1
マイクロモルのL−ロイシンと均等である、天然コラー
ゲンからペプチドを放出するコラゲナーゼの量として定
義される。クロストリパインの1単位は、2.5ミリモル
のジチオトレイトールの存在下25℃、pH7.6で1分間に
1マイクロモルのN−α−ベンゾイル−L−アルギニン
エチルエステル(BAEE)を加水分解する。カゼイナーゼ
(非特異的プロテアーゼ)の1単位は、カゼインを加水
分解して、pH7.5および37℃、5時間で1マイクロモル
(181μg)のL−チロシンと均等な色(フォリン−シ
オカルトー試薬による色)を生じる。トリプシン活性の
1単位は、pH7.6および37℃で1分間に1マイクロモル
のN−α−ベンゾイル−L−アルギニンエチルエステル
(BAEE)を加水分解する。
A.コラーゲナーゼ・アッセイ コラーゲナーゼによるコラーゲン分解の定量に用いる
方法は、一般に、コラーゲンの特定分解物の検出か、ま
たは巨大分子であるコラーゲンの種々の種の消失測定に
基づくものである。アゾコル(カリフォルニア州ライホ
イア、カルビオケム・コーポレイションの登録商標)は
市販されている粒状コラーゲンとアゾ染料の複合体であ
る。この複合体は、安定であるが、蛋白質分解酵素と処
理すると可溶性染料を放出する。未反応のアゾコルは濾
過により除去することができ、濾液中の染料は520nmに
おいて比色測定できる。アゾコルは2種のメッシュサイ
ズで市販されており、細かいメッシュの物質は発色が少
ないので、細かいメッシュのもの(100−250)より大き
なメッシュのもの(50−100)の方が好ましい。アゾコ
ルは、コラーゲナーゼ活性が時間と酵素濃度に比例する
ため活性の測定に好適な基質である。放出された染料
は、ブンシュ基質に必要な紫外線分光光度計と異なり可
視光分光計で測定できる。アゾコル検定法は、1.2−5
μm多孔性膜を用いた濾過による酵素・基質一段濾過に
より酵素反応の早期終結を可能にする。
コラーゲナーゼ溶液の酵素活性を定量的かつ再現的に
測定するためには、アゾコルの10mg/ml溶液を、0.05M
CBSCaを用いて製造する。アッセイは、アゾコルけんだ
く液の1mlアリコートを13×100の試験管に添加すること
を含む。試験管にコラーゲナーゼ含有試験液(100μ
)をかくはん下に加え、室温で15分間インキュベート
する。反応を0.2MEDTA100μ加えることにより終結さ
せる。全反応混合物を1.2ミクロンのアクロディスク
(商標)シリンジフィルター(ミシガン州アンアーバ
ー、ゲルマン)によりプラスチック製分光光度計用キュ
ベット中へ濾過し、溶液の吸光度を、0.2−MEDTA100μ
を含むCBSCa 6.7の1mlをブランクにして520nmで測定
する。この検定法はコラーゲナーゼ濃度に対して比較的
直線性を示すので、0.01%−1%の範囲の溶液に対して
使用するに適する。1%トリトン(商標)X−100を含
むコラーゲナーゼ溶液は520nmにおけるアゾコル(商
標)吸収を妨害せず、コラーゲナーゼ活性を2倍増加す
る。トリトン(商標)X−100はアゾコル(商標)に対
する活性を対照のバックグラウンド以上には示さない。
コラーゲナーゼ活性測定のための別法としてより感度
の高い方法が開発されたが、それは合成色素産生体基質
であるp−フェニルアゾベンジルオキシカルボニル−L
−プロリル−L−ロイシルグリシル−L−プロリル−D
−アルギニン(PZC−PLGPA)を加水分解して320nmで分
光測定できる黄色産生物p−フェニルアゾベンジルオキ
シカルボニル−L−Pro−L−Leuを比色可能に遊離する
方法である。コラーゲナーゼ活性測定の別法としての検
定法は、合成色素産生体基質である(ブンシュ)PZC−P
LGPAを使用する。この試薬は、PZC−PLGPA5mgをメタノ
ール1mlに溶かし、CBSCa 6.7を4ml加えることにより製
造される。この方法は、1%−0.01%のコラーゲナーゼ
濃度範囲の溶液中のコラーゲナーゼ活性の測定に適す
る。
コラーゲナーゼのブンシュ(Wunsch)アッセイは、12
×75の試験管にPZC−PLGPA1mlとコラーゲナーゼ溶液検
体100μを加え、かくはんしながら室温で15分間イン
キュベートすることにより実施される。ついで0.2M−ED
TAの試料100μをかくはん下に加える。(6N−HClをED
TAの代りに用い得る。)500μアリコートを取り、1ml
のCBSCa6.7および5mlの酢酸を含む13×100の試験管に移
す。混合物を15秒間せん回させ、有機層のアリコートを
350mgのNaSO4を含む試験管に移す。ガラスキュベット中
で空気ブランクに対して320nmの吸光度を読む。
コラーゲナーゼはしばしばブンシュ単位およびマンド
ル(Mandl)単位で測定される。マンドル単位は種々の
濃度の挟雑プロテアーゼに帰すべき活性を含むため、両
単位の間に一定の換算係数はない。代表的な換算係数は
ほぼ1ブンシュ単位/mg対1800マンドル単位/mgである。
B.ヒアルロニダーゼ・アッセイ ひつじのこう丸から得られるヒアルロニダーゼ(EC
3.2.1.35)はベーリンガー・マンハイム・コーポレイシ
ョン(製品番号106500、ロット番号10372425−19および
10691020−20)から購入した。酵素活性1単位は、37
℃、pH4で1分間に1マイクロモルのN−アセチル−グ
ルコサミンを遊離する酵素量と定義される。ヒアルロニ
ダーゼ2ミリ単位(mU)(15NF単位)は、37℃、pH4
で、1分間に末端N−アセチル−グルコサミン残基1マ
イクロモルを遊離する。ナショナル・フォームラリー単
位は、600nmで分光光度計により測定したヒアルロン酸
/アルブミン混合物の溶液の濁度低下に基づくものであ
る。ヒアルロニダーゼ活性は、共に0.5mMで強い阻害剤
であるFe2+およびCu2+を含む金属イオン、並びにCN-
より可逆的に阻害されることが判明している。
現在ヒアルロニダーゼ活性の分析に用いられる方法
は、酵素加水分解により生ずる還元糖の分光光度計測定
を含む方法である。ヒアルロニダーゼはヒアルロン酸が
分解してアセチルグルコサミン残基を遊離する反応を触
媒し、後者は比色法で測定できる。この検定法では、N
−アセチルグルコサミン(NAGA)がアルカリ溶液中でア
ンヒドロ糖に変換される。ついでアンヒドロ糖を酸性pH
で4−ジメチルアミノベンズアルデヒドと反応させて着
色したフラン誘導体を生成させる。単位時間あたりのア
セチルグルコサミン遊離量がヒアルロニダーゼ活性の尺
度となる。
基質であるヒアルロン酸は水性緩衝液に易溶ではな
い。ヒアルロン酸溶液は検定の少なくとも1日前に調整
し、4℃で保存し、使用前に充分混合する必要がある。
遊離されるNAGAの量は、溶液の酸性を増してNAGA糖をフ
ラン誘導体に変換し、このフラン誘導体をp−ジメチル
アミノベンズアルデヒド(DMAB)と反応させて、585nm
で分光光度計測定される着色複合体を生成させることに
より測定される。
ヒアルロニダーゼは37℃で検定するのが好ましい。ヒ
アルロン酸およびNAGAの溶液は毎週新製する必要があ
る。p−ジメチルアミノベンズアルデヒド溶液は1カ月
安定である。ヒアルロニダーゼ溶液は4℃で限られた時
間保存することができるが、−20℃で凍結乾燥して保存
すると極めて安定である。ヒアルロニダーゼ活性測定法
の検出限界は蛋白質mgあたり2mU(15NF単位相当)より
低い。緩衝液のイオン強度、pHまたは試料の量の変化に
よりアセチルグルコサミンの最終呈色試験の最終pHが変
わることがあり得るが、この試験はアルカリ性でのみ機
能する。ヒアルロン酸は易溶性でなく、膨潤性であり、
よく混合する必要がある。コンドロイチン−6−硫酸を
基質としてヒアルロン酸の代りに用い得るが、コンドロ
イチン−4−硫酸はそうではない。
ヒアルロニダーゼ・アッセイ用試薬の当初の調製: NAGA:NAGA 10mgを10mlのCBSCa6.7に溶かして1mg/ml溶
液を作る; StdA:NAGA保存液1mlを49mlのCBSCa6.7に加える(20μ
g/ml); StdB:NAGA保存液500μを49.5mlのCBSCa6.7に加える
(10μg/ml); 0.8M−K2B4O7:K2B4O748.88gを200mlの脱塩水に加え、
加温溶解し、5N−KOHまたは6N−HClでpH9.1に調整す
る; DMAB:DMAB 1gを10mlの酢酸/塩酸(8.75ml酢酸+1.25
ml塩酸)に加え、この溶液を使用直前に酢酸で1:10希釈
する; ヒアルロン酸:62.5mgのヒアルロン酸を50mlのCBSCa6.
7に加える:この溶液はアッセイの24時間前に調製し、
4℃で保存すべきである; ヒアルロニダーゼ:0.05M−CBSCa6.7中、1200〜2100U/
mgの範囲の酵素活性を用いて1%、0.1%および0.01%
(w/v)の溶液を調製する。
4℃で保存すると全ての溶液が1週間安定である。
ヒアルロニダーゼ活性のアッセイは、200μのヒア
ルロン酸(1.25mg/ml)と50・llのヒアルロニダーゼ
(1%、0.1%、0.01%)を13x100の試験管を加えるこ
とによって行う。この混合物を37℃で10分間インキュベ
ートし、流出水道水で冷却する。これに50μのホウ酸
塩(pH9.1、0.8M−K2B4O7)を加える。この溶液を沸騰
水浴で3分間加熱し、流出水道水で冷却し、次いで1.5m
lのDMAB(1:10)を加え、37℃で20分間インキュベート
し、もう一度流出水道水で冷却する。この一部をプラス
チック製の分光光度計キュベットに移し、直ちに(10分
以内)585nmでODを測定する。
試薬ブランクは以下からなる: 250μのCBSCa6.7 50μのK2B4O7 3分間の煮沸および冷却 1.5mlのDMAB(1:10) 37℃で20分および冷却 NAGA STD試験管は以下からなる: 250μのSTDS AまたはB 50μのK2B4O7 3分間の煮沸および冷却 1.5mlのDMAB(1:10) 37℃で20分および冷却 試料ブランクは以下からなる: 250μのヒアルロン酸 50μのCBSCa6.7 3分間の煮沸および冷却 1.5mlのDMAB(1:10) 37℃で20分および冷却 NAGA STDブランクは以下からなる: 250μのNAGA STD AまたはB 50μのCBSCa6.7 3分間の煮沸および冷却 1.5mlのDMAB(1:10) 37℃で20分および冷却 NAGAとDMABの複合体の発色の程度はホウ酸塩溶液のア
ルカリ度に依存している。pH9.0以下では、所定量のNAG
Aの発色は急速に低下する。高濃度の正常ヒド血清は有
色NAGA/DMABコンプレックスの発色を妨げることがわか
った。この試験での着色は、アセチルヘキソサミンをア
ルカリと加熱することによる中間体化合物(グルコキサ
ゾリン)の生成と、これに続く酸溶媒中でのこの中間体
とDMABの反応に依存し、これによって赤みがかった紫色
の複合体が生成する結果になる。
コラゲナーゼおよびヒアルロニダーゼについて活性ア
ッセイを行って、酵素活性を有する種々の抗生物質の適
合性を調べた。種々の抗生物質の溶液を、臨床時の投与
処方におけるピークの血清、組織および尿レベルをもた
らす濃度で調製し、1および0.1%のCHT溶液に加えた。
抗生物質ゲンタマイシンおよびトリメトプリム/スルフ
ァメトキサゾール(TMP/SMX)は、試験した全ての濃度
で酵素活性の阻害を示さなかった。ニトロフラントイ
ン、トブラマイシンおよびアミカシンはコラゲナーゼ活
性のわずかな阻害を示し、ナリジクス酸は大きなコラゲ
ナーゼ阻害を示した。アミカシンおよびナリジクス酸は
ヒアルロニダーゼ活性を強く阻害した。さらに、520お
よび585nm(それぞれ、コラゲナーゼおよびヒアルロニ
ダーゼ活性アッセイの波長)で抗生物質の溶液をスキャ
ンすることによって、干渉がごくわずかであるかまたは
全くないことがわかった:TMP/SMXは0.03吸収単位以下で
あり、ゲンタマイシンは0.01吸収単位以下である。
C.エンドトキシン除去 エンドトキシンはグラム陰性菌の発熱原性リポ多糖成
分である。僅かng/mlの濃度で、エンドトキシンは人お
よび動物に強力な生物学的作用をもたらしてきた。イン
ビボ用生化学的製剤ではエンドトキシンを低濃度に維持
することが必須である。
エンドトキシン(発熱性または熱発生)で汚染された
非経口溶液の患者への投与は、リンパ球遊走、補体固
定、ヒスタミン類の遊離および血管透過性変化を含む複
雑な状態を生じる。これらの複雑さは患者の一般的健康
状態および注入したエンドトキシンのレベルにより異な
るが生命を脅かすことがありうる。エンドトキシンは膜
受容体と結合し、リソゾーム活性を活性化し、ミトコン
ドリア機能を低下し、プロスタグランジンを刺激し、マ
イトジェンとして作用し、マクロファージ細胞障害を含
み、免疫応答を刺激し、ホルモン作用を変化し、細胞を
形質転換し、リンホカインの作用を模倣する能力をもつ
ことが示された。
生理学的水溶液中のエンドトキシン汚染を除去するこ
とは困難である。限外濾過技術は低分子だけを含む溶液
には適当であるが、蛋白または他の大きい分子の溶液か
ら発熱原性を除去するには適当でない。デトキシゲル
(DetoxiGel)(商標)(イリノイ、ロックフォード、
ピアス・ケミカル・コーポレイションの登録商標)は蛋
白溶液から発熱性物質を結合および除去する特異性を有
し、2mg/mlのエンドトキシンに結合する能力をもつ固定
リガンド(ヒスタミン)を有する。エンドトキシン汚染
は通常エンドトキシンユニット(EU)で測定する。1EU/
mlはおよそ0.1ng/mlのエンドトキシン濃度を表す。全て
の汚染発熱性物質を完全に除去することは、エンドトキ
シン汚染を安全なレベルまで減少する最善の方法でも実
際上不可能である。代表的な安全または発熱性物質が乏
しい蛋白溶液の医薬上許容される製剤は1.0EU/ml未満を
含む。デトキシゲルを使用して、純発熱性物質7500EU/m
lを1mlデトキシゲルカラム(適用したエンドトキシン溶
液5ml)に1度に通して1.0EU/ml未満に減少し、99%よ
り高いエンドトキシン除去効果をもたらすことができ
た。
デトキシゲルカラムは、短時間放置する場合乾燥から
カラムを保護する2つの多孔性ディスクで保護した予備
封入ゲルベッドとして商業的に入手できる。さらに、デ
ィスクは通常カラムを適用した液体量がカラムから流出
する量と同様になるように保証されており、それにより
定量的方法が容易になる。カラムは室温になるに任され
る。カラムは(ゲルベットに空気泡が入るのを防ぐため
に)頂部キャップを取り除き、ついで底部キャップを除
去することによりクロマトグラフィー用に準備し、垂直
ホルダー中に置き、カラム内の液体を完全に排出する。
その後、カラムを流速5−5ml/時で10カラム用量の20mM
CaCl2を含む0.05Mくえん酸緩衝生理食塩水(pH6.7)で
平衡化する。緩衝溶液またはサンプルがカラムを通るに
つれて連続分画中でより正確に一定容量を得るために既
知容量でカラムを充填することが好ましい。エンドトキ
シン除去用デトキシゲルカラム1mlにCHT1%溶液5mlを通
し、0.22・1mを無菌濾過に付すと、酵素活性の10%減少
をもたらす。
D.エンドトキシン・アッセイ コラーゲン/ヒアルロニダーゼ/トリトン(商標)X
−100/ゲンタマイシン(CHTG)の発熱性物質不含の注射
溶液の調製は、是認されたリムラス・アメボサイト・リ
ゼイト(Limulus Amebocyte Lysate;LAL)アッセイ系で
試験することを必要とする。細菌性のエンドトキシン
は、グラム陰性細菌の細胞壁の熱安定性リポ多糖成分で
ある。エンドトキシンは、熱、低血圧および死を含む多
種多様の生物学的作用をもたらしうる。医薬工業ではこ
のLAL試験を用いて非経口用に意図されている液体中の
エンドトキシン不純物を検出している。このLAL試験は
定量的であり、ヒトにおいて発熱をもたらすには低すぎ
るエンドトキシン濃度をも検出することができる。LAL
試験の結果は、エンドトキシン量が臨床的に意味を持つ
ようになる前に、医薬調製物の欠陥を同定する手段を与
える。
市販品として入手可能なエンドトキシン不純物用の試
験キットは、ホワイテイカ・エム・エイ・バイオプロダ
クツ(メリーランド州ウオーカースブイル)が開発して
おり、これはインビトロのカブトガニアメーバー様細胞
溶解物(LAL)試験法を用いている。このLAL試験は合成
の色素生成基質を用いており、これはLALとエンドトキ
シンの存在下で黄色を生じ、エンドトキシン濃度に直線
的に関係している。405nmでの吸収とエンドトキシン濃
度の間の関係は0.1〜1EU/mlの範囲で直線的である。未
知の試料中のエンドトキシン濃度は、既知量のエンドト
キシン標準を含有する溶液の吸収値から計算する。
LAL試験の結果を、溶解物により沈澱させたタンパク
質の比色測定によって決定することもできる。発色団に
結合させた合成ペプチド基質はエンドトキシンが存在し
ないと無色のままであるが、エンドトキシンが存在する
と黄色に変わる。このアッセイはng/mlレベルの感度を
有する定量的な結果を与え、FDA当局のエンドトキシン
単位(EU)の生物学的エンドトキシン参考標準に規格化
されている。トリプシン様の酵素によって干渉が引き起
こされ、これによって偽ポジティブ値が得られることが
ある。酵素活性の阻害物質またはタンパク質を変性する
ことが知られている物質が偽ネガティブの結果を与える
こともある。全ての調製および試験は、発熱物質を含ま
ない水およびプラスチック製品を用いて行うべきであ
る。
比色LAL試験は定量的であり、グラム陰性細菌内毒素
の濃度測定のための市販試験法である。試験試料をテス
トキット中に備えられたLALと混合し、37℃にて10分間
インキュベートする。ついで、比色基質溶液はLAL−試
料と混合し、さらに、3分間37℃にてインキュベートす
る。反応を0.25%酢酸にて終了させる。もし内毒素が試
料中に存在すれば黄色に着色する。試料の吸光度を405n
mにて分光々度計にて測定する。吸光度は直接的に、存
在する内毒素の量に比例し、濃度は標準曲線から計算す
る。所望の内毒素濃度範囲を含む4個の標準を、ブラン
クとすべてデュプリケートで測定する。当該内毒素濃度
に対する標準品の平均吸光度間の相関係数は0.98より大
である。模擬試料の再現性は、0.4EU/mlで10%より小の
係数変化率である。
最初のインキュベーションを30分間に延長することに
より、0.01−0.1EU/ml間の内毒素の濃度を測定すること
が可能である。この高感度における試験の直線性を定め
ることおよび測定すべき内毒素の適当なより低濃度を含
むように希釈した標準品で行うことが重要である。試料
と接触するすべての材料および試料材料は発熱性物質を
含んでいてはならない。ガラス容器は4時間180℃にて
加熱することにより発熱性物質含有がなくなる。無菌技
術を用いねばならない。試験操作を通じて、インキュベ
ーションの時間および温度に対する厳密性が要求され
る。
E.インビボ操作 BPH処置の目的は尿の排泄閉鎖の緩解である。閉塞性
前立腺組織の大きさの減少およびそれに続く尿の閉塞症
状の緩和は有効な治療の指標である。本発明の組成物お
よび方法の果たす役割にとって重要なものは治療の評価
中に含まれる方法論である。治療効果の客観的評価は閉
塞症状数値グラフと尿力学的流量分析、経尿道試験、ま
たは経直腸超音波を含む標準的方法により測定する。
BPHの閉塞症状に関連する本発明の役目を評価するた
めに、前立腺の大きの定量および排泄ピークを測定する
正確な方法が必須である。BPH処置による応答の評価は
客観的診断基準に基づくべきである。現在の前立腺画像
技術および尿力学的分析はBPHの治療的処置の評価に有
効である。
一般的および特定の患者個人において、BPHの臨床過
程の変化の観点から、治療の前後の広範な基底線評価が
必要である。初期の患者の診断には、病歴、身体、症状
の変化、膀胱鏡検査、完全な血液の検査および生化学的
像;残存尿の測定、および尿の排泄速度を含むべきであ
る。前立腺の大きさは三次元の経直腸超音波検査によっ
て測定する。一連の注射の後、追跡調査を行わねばなら
ない。前立腺肥大治療を受けた患者の治療後追跡診断
は、全身診断、膀胱鏡検査、実験室的検討および画像診
断である。治療により効果があったと思われる患者は最
大尿排泄量および症状の数値に臨床的改善が見られる者
である。
身体検査による前立腺の大きさの推定の従来法は正常
から4+の範囲の等級分けである。正常な腺はトチノキ
の実位であり、およそ10グラムであり、直腸検査上少な
くとも認識し得る痕跡として存在する。1+大の前立腺
はおよそ西洋すももの大きさであり重さ25g、直腸内径
の4分の1以下の小片である。3+大の前立腺はオレン
ジの大きさに達し、約75グラムであり、直腸内径のほぼ
4分の3を占める。4+大の腺は小さなグレープフルー
ツの大きさに達し、100グラム以上であり、直腸をほぼ
占めるので十分な検査は困難である。
超音波画像機器および技術の最近の進歩は、前立腺お
よびぼうこうを含む疾患の診断、段階化および治療に有
効であることが証明されており、経直腸または経尿道的
超音波走査装置を用いる三次元画像技術は正確であり、
処置に対する前立腺の局部的な効果の評価に有効である
ことが示されている。音波は現在採用されている従来の
研究よりも臨床的に有効な情報を与える。さらに、経直
腸超音波の使用は、超音波誘導のもとで、直接に穿刺場
所への針を設定させることにより、前立腺注射の正確性
を改善する。前立腺の経直腸超音波は前立腺の前部分は
指では触診できないものを可視化する。前立腺内の構
造、被膜の健全性、および精嚢も見ることができる。さ
らに、前立腺の超音波画像は指による触診可能な患者に
も有効であり、治療による変化を客観的に観察し、増殖
組織の局部的な再発を確認する方法を提供する。
超音波画像のもとでは、BPHは、正常な腺に見られる
ものよりも、十分判別できるがより濃い前立腺被膜を有
する拡散・拡大したものとして見られる。前立腺の増殖
部分は、前立腺構成要素間の腺維性組織中に存在する小
さな腺腫を表すと思われる多数の細い均一なエコーから
なる。前立腺基質コラーゲンは腺のエコー源性を決定す
る第一の要素である。前立腺基質コラーゲンの酵素的溶
解は、注射部位またはその周辺の壊死した病巣域を産生
し、エコー性のない超音波画像をもたらす。前立腺肥大
の減少は注射前後の検査で観察することができる。注射
後のエコーの変化は、種々の程度の溶解を受けた組織;
すでに圧迫された海綿状の前立腺組織の拡大;血液凝
固;および顆粒組織によるものであり得る。
超音波検査上の前立腺の石灰化像は、集中的な濃さ、
音波影像を生じさせる高いエコー源性領域によって判別
される。慢性前立腺肥大では、超音波画像は、しばしば
尿道から側面に伸びる不規則に分散した不均一な濃さを
示し、前立腺被膜をゆがめ、ぼんやりしたものにするこ
とがある。超音波的に悪性の前立腺は、対称的に拡大し
て見え、増大、減少または混じたエコー源性の領域を示
す。初期の局在的な腫瘍は、被膜のゆがみがない局在す
る濃い領域を示し、容易に前立腺結石と混同され得る。
前立腺容積の測定への経直腸超音波の使用は信頼でき
る方法であり、実際の前立腺重量の5%以内の正確性で
あることが示されている。前立腺の具体的な比重は1.0
に近く、立方センチメートルで示された前立腺の容積は
グラムで示す前立腺の重量に等しいと考えられる。前立
腺の重量は簡単な式を用いて計算することができる: 重量=0.5(D1×D2×D3) 式中、D1、D2およびD3は前立腺の三次元の直径を示
す。今日のこの技術の再現性は約95%であると考えられ
ている。
他に採用し得る影像方法には尿管腎孟像、コンピュー
ター処理断層撮影法および核磁気共鳴画像技術などがあ
る。静脈内腎孟像は前立腺の大きさを評価するには限ら
れている。コンピューター処理断層撮影法は前立腺周囲
の領域を明らかにし、リンパ節の大きさを明らかにす
る。しかし、前立腺内のものはほとんど見えない固まり
でしかない。肥大化した節の検査は高感度であるが、正
常な大きさの節は顕微鏡的腫瘍を含む場合がある。磁気
共鳴画像は経直腸的超音波と同様に前立腺内構造を明ら
かにする。この技術は、骨盤腺腫、前立腺周辺浸潤およ
び精嚢関係を示すことにおいて経直腸超音波またはコン
ピューター処理断層撮影法と同様に正確かつ高感度であ
る。
酵素治療を評価するために開発されたイン−ビボ哺乳
動物モデル系は有効投与量および強力な毒性免疫学的副
作用に関するデータをももたらす。実験動物のうち、ひ
とBPHの研究にもっとも適したモデルは犬であると思わ
れる。犬の大きな前立腺と老犬の一時的BPHの前立腺は
ひとの前立腺と似ている。形態学的および生化学的差異
にもかかわらず、犬の前立腺は酵素注射治療の効果を評
価するために適当な実験モデルを提供する。人体実験の
倫理的および技術的制限が実験室におけるインビトロに
よる研究と人の臨床的実験の間隙を埋めるのに必須な動
物モデル系を発達させている。
ヒトの条件に対する動物実験から得られる推測データ
の限定によって全ての生物学的治療剤の最終評価はヒト
に行なわれるべきである。最近用いられる外科的方法に
よるBPHに対する二次的な尿器官閉塞を安げる結果は良
好である。受け入れられる非外科的方法は等しい有効な
結果を与えるべきであり、又、不利な副作用のないもの
であるべきである。適当に組立てた治療の試みは、本質
的であり、疾病の経過及び長期間の治療に対する応答を
モニターするのに限られることにより老人に行なうのと
は異なる。治療を評価する臨床研究は少くとも過去3年
処理を続けたプラシーボ管理二重盲検測定を含むべきで
ある。処理の効果は間質及び上皮成分の割合又は用量及
び処置の期間により変りうる。
注射の非外科方法による処置に対する候補者をより客
観的に選び又、開示された組成の効果をより正確にモニ
ターするため、酵素注射治療用候補者として適任である
BPHのヒトに対する必要な基準は、15ml/秒以下の最大尿
流速を伴うきびしい症状を緩和することを含むべきであ
る。排除されるべき患者は、既に前立腺切除した、急性
尿停留、感染、神経因性膀胱、尿道狭窄、前立腺癌又は
他の生命をおびやかす疾病の者である。
ヒトの対称を含む臨床研究は、BPHの処置に適した治
療の最善の態様を確立するために以下のパラメーターの
一又はそれ以上を含みうる。BPHによる量で計りうる障
害症状を示す見通しのある患者をスクリーンし、酵素治
療用の適当な候補者を選択する。選ばれた患者を酵素の
製薬的に許容しうる溶液の0.1ccの皮内注射によりアレ
ルギー反応に対する皮膚試験を行なう。種々の濃度の酵
素による病巣内前立腺注射を行ない前立腺組織内で望ま
しい整復が達成されるまで、週又は月間隔で繰り返しう
る。適当且つ有効な量の酵素溶液は、用いた酵素の濃度
又は活性、注射の量、可溶化されるべき組織の位置及び
性質、及び障害症状の緩和に要する注射の数に関して変
る研究から決定できる。実験的治療は、前立腺組織の望
ましい整復が達成されたとき、又は、処置の間にもはや
症状に改善が観察されないとき終了する。望ましい量
(0.1%−10%濃度で1−20cc)の酵素の製薬上許容し
うる溶液を処理当り注射しうる。コラーゲン分解の継続
を制限する傾向のある因子は、24時間後、酵素活性の被
膜下抑制及び消失を含む。
酵素の有効且つ最善の溶液は可溶化される前立腺病巣
の型で変えうる。処置の全数は、前立腺障害の程度によ
って1−10で変えうる。組織回復の順は、出血性梗塞、
炎症、急性及び慢性ひも状肉芽組織の形成を含むと思わ
れ細胞外マトリックスの形成及び再モデル化(remodeli
ng)に続く。
F.インビトロ方法 インビトロ実験はどの酵素が前立腺組織を溶解するの
に最も有効であるかを決定するために生理的pHで活性な
多くの加水分解又は蛋白分解酵素により行なった。初め
に評価された酵素は、コラゲナーゼ、ヒアルロニダー
ゼ、エラスターゼ、プロナーゼ、デオキシリボ核酸分解
酵素、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、キモパ
パイン、サブチリシン及びジスパーゼを含んだ。これら
初めの研究は、モルモット、イヌ、及びヒトから得られ
る前立腺組織片のインビトロ酵素可溶化を含んだ。
別のインビトロ研究は、モルモット及びイヌ前立腺の
商業的に入手可能な、外科的に切除した全期間標本の前
立腺組織の注射及び続く酵素的可溶化を含んだ。BPHを
示す個人からのヒト前立腺組織の標本(これらは剖検、
死体器官移植ドナー又は前立腺切除を行なった患者から
得られうる)は又、加水分解酵素の溶液で注射した。種
々の酵素で得た前立腺組織可溶化の程度は標準明視野外
蛍光(epifluorescent)及び位相差顕微鏡により評価し
た。合成色素産生基質を用いるインビトロアッセーは種
々の緩衝液、界面活性剤、抗生物質、活性化剤及び酵素
活性阻害剤の効果を比較し、評価するために行なった。
ヘマトキシリン及びエオシンで染色した8μm冷凍組
織片の調製方法は加水分解酵素の種々の溶液の前立腺内
注射により起こる前立腺組織内の顕微鏡組織学的変化を
比較し、又、評価するために行なった。組織学的実験用
に、前立腺を約0.5cm横断面に続けて切断した。これら
の横断面は前立腺の中央部を横切り前立腺尿道の部分を
含むことが重要である。全ての部分は尿道粘膜及び前立
腺膜嚢の外縁を含むべきである。組織横断面は−20℃で
冷凍し、予め冷却したクリオスタットチャック上にのせ
て、8μm薄冷凍部分を−40℃でクリオスタットに調製
した。薄部分を顕微鏡スライド上に解凍し乗せ、直ちに
95%エタノールで固定し、ヘマトキシリン及びエオシン
で染色し、パーマウント(フイシャー、ビッツバーグ、
ペンシルバニア)でカバーガラスをした。別法として組
織横断面は直ちに4−10%ホルマリンpH7.2で固定し、
パラフィンで包理し、連続的に薄く切断し、乗せ、ヘマ
トキシリン及びエオシンで染色した。薄い組織部は、全
部で少くとも20薄断面を有する各100μmが得られ、各
前立腺を顕微鏡的に試験する。
前立腺組織を外科用メスで横断面に切り、クリオスタ
ットに薄く切断するために冷凍した。組織横断面は−20
℃で冷凍するか又はドライアイス/アセトン溶液に浸漬
することにより−80℃でポキンと折れるほど冷凍しう
る。薄く切断するのを遅らせる場合は、組織は密閉容器
に数日間−20℃で蓄えうる。薄く切断する前に、冷凍薄
横断面は、それらを少くとも1時間クリオスタットに置
くことによりカッティング温度(−30ないし−40℃)と
する。顕微鏡スライドを70%ないし95%エタノール中に
浸漬することにより清浄にした。H及びE染色に適した
薄冷凍切断(6ないし8μm厚さ)をクリオスタットに
調製した。カティング温度、ナイフ刃角度及び鋭さ、並
びに外界湿度は全て薄い切断の品質に影響する。温度が
低すぎると、組織は折れるか細かく切れる傾向がある。
温度が高すぎると、切断は巻いてナイフ刃にくっつく傾
向がある。湿度が低いとナイフ刃に切断が巻くのを防ぎ
組織形態のひずみを少くするようである。組織切断がナ
イフ刃から取れるので、それらを小さなラクダ毛の画家
のブラシで顕微鏡スライドにのせることができる。清浄
なスライドを室温で保存することも組織切断をナイフ刃
から取り上げるのに、又、切断をスライドに移すのを助
ける。調製したスライドは直ちに95%エタノールで22℃
で固定し、続いて冷凍切断のH及びE染色のためのプロ
トコールに付した。
冷凍切断に対するヘマトキシリン及びエロジン(H及
びE)染色処理を、ハリス・ヘマトキシリン(ジェイム
ス・フイリップス・コンパニー、ミネアポリス、ミネソ
タ)ラーナー・エオシンY(バクスター,マックゴウ・
パーク、イリノイス)1%炭酸リチウム(シグマ)及び
アメリクリアー(バクスター)の溶液を用いて以下のよ
うに実施した。冷凍組織切断(8μm)を1ないし30分
間95%エタノールで固定した。スライドを以下の段階で
処理した。
脱イオンH2Oで30秒間ゆすいだ。
ヘマトキシリンで1分間染めた。
温蛇口(warm tap)H2Oで15秒間洗った。
希Li2CO3に2−4浸、浸漬した(50ml脱イオンH2O中
1%Li2CO350μ)。
脱イオンH2Oで15秒間洗った。
エオシンYに10浸、浸漬した。
70%エタノールに5浸、浸漬した。
95%エタノールに5浸、浸漬した。
100%エタノールに10浸、浸漬した。
100%エタノールに再び10浸、浸漬した。
アメリクリアーに10浸、浸漬した。
アメリクリアーに再び10浸、浸漬し、そして直ちにパ
ーマウントでパーグラスした。
インビボ研究を、記載した組成物および投与方法のイ
ヌ動物モデルにおける前立腺組織の可溶化に対する安全
性と有効性を評価するために設計した。組成のインビボ
前立腺内注射により起こる前立腺組織の分解、退縮、及
び衰退の程度を、前立腺のインビボ及びインビトロ超音
波走査により、又、剖検組織の全体及び顕微鏡試験によ
り評価した。注射した組成の効果の組織病理学的評価
は、前立腺、尿道、膀胱、精巣、腎臓、肝臓、心臓及び
肺の試験を含んだ。加えて、明らかな狭窄、フイステ
ル、癒着及び肉芽腫が注射部位の近くの組織に見られ
た。
以下の組成物のインビボ前立腺内注射のコースでイン
ビボイヌ研究用に認められたGLPプロトコールに従っ
て、動物をペントバルビタールナトリウムの過剰用量で
安楽死させた。前立腺を中央線切開により露出し、取り
出し、過剰の残骸を削除した。取り出して、前立腺を正
常の生理食塩水と共に容器に入れ、次いで超音波で走査
した。前立腺の超音波像をフィルムに記録した。超音波
走査は、超音波及び組織学的知見ができるだけ正確に同
一領域に比較できるように実施した。走査後、全前立腺
を連続的に0.5cmスライスに切断し、写真をとり、顕微
鏡形態学試験用に調製した。超音波記録と比較して正し
い解剖学的指向を保つために注意を払った。前立腺をイ
ンビトロで走査した場合、形質導入(transducer)及び
標的組織間に被覆組織はなく、これにより最善の超音波
像を提供した。インビボ前立腺走査の超音波パターン
は、血液の循環及び被覆組織によるインビトロで得られ
るパターンと同一ではなかった。しかしながら、インビ
ボ及びインビトロ超音波走査間で比較がなされ、良好な
相関が見られた。
[実施例1] 凍結したモルモットの前立腺を20mM CaCl2含有0.05M
CBSCa 6.7に浸漬し、37℃で30分間融解した。臓器を500
mgずつに分割し、コラーゲナーゼ濃度1%、0.1%およ
び0.01%のCBSCa 6.7溶液中、1〜3時間の範囲で、時
間を変えて37℃でインキュベートした。コラーゲナーゼ
1%および0.1%(245000および2450U/ml)溶液で37℃
で2時間処理したモルモット前立腺では、すべての組織
成分が完全に溶解した。0.01%(245U/ml)溶液では、
すべての組織成分の残存物が無傷のまま残っている不完
全な組織溶解を生じた。
モルモットの前立腺組織細片をヒアルロニダーゼの1
%、0.1%および0.01%溶液(16000U/ml、1600U/mlおよ
び160U/ml)とインキュベートすると、血管および導管
が比較的無傷で残っている腺房の可溶化を生じた。筋束
は切り離され、ばらけて見えた。モルモットの前立腺組
織細片をトリトン(商標)X−100の1%、0.1%および
0.01%溶液とインキュベートすると、腺成分の可溶化を
生じ、筋束は切り離され、ばらけて見えた。細胞破片を
含有している液は、腺組織の組織を破壊された外見上可
溶性の凝集塊からなっており、血管、導管、または筋束
が残っている形跡は認められなかった。トリトン(商
標)X−100の1%および0.1%溶液をコラーゲナーゼお
よびヒアルロニダーゼと組み合わせると有用であった。
モルモット前立腺組織に対して、トリトン(商標)X−
100の溶液はヒアルロニダーゼおよびエラスターゼで認
められた効果と同程度の可溶化を提供する。モルモット
前立腺組織に対する酵素活性の相対順位は、コラーゲナ
ーゼ>プロナーゼ>ヒアルロニダーゼ=トリトン(商
標)X−100=エラスターゼの順であった。
[実施例2] コラーゲナーゼ1%、0.1%および0.01%溶液とイン
キュベートした重量約500mgのイヌの前立腺組織細片で
は、37℃で1時間後、それぞれ84%、60%および19%
(重量)が可溶化された。37℃、2時間後では、組織の
97.5%、80%および51%がそれぞれ可溶化された。平滑
筋および横紋筋、および種々の血管壁・導管壁は比較的
無傷のままで残っているようであった。1%溶液では、
すべての組織成分の完全な可溶化を生じたが、0.1%溶
液では、少量の平滑筋および横紋筋、血管および導管が
残っていた。イヌの前立腺組織から調製し、0.1%コラ
ーゲナーゼと37℃でインキュベートした組織細片では、
2時間後でも、膀胱組織、尿道、移行上皮、または平滑
筋および横紋筋の可溶化を生じなかった。
コラーゲナーゼ処理したイヌの前立腺組織細片の組織
学的検査では、多量の間質性組織および腺組織の可溶化
が認められ、筋束は切り離されて、ばらけて見えた。膠
原束は完全に可溶化され、血管および導管は比較的無傷
のまま残っていた。可溶化された組織区域では、腺上皮
は可溶化されて、細胞片および核破片の凝集塊へと細分
され、線維芽細胞核を欠いていた。
凍結したイヌの前立腺を0.05M CBSCa 6.7に浸漬し、3
7℃で30分間融着した。臓器を浄化し、500mgずつの細片
に分割した。ヒアルロニダーゼの新鮮な溶液(1%、0.
1%および0.01%、それぞれ16000U/ml、1600U/mlおよび
160U/mlに対応する)をCBSCa(pH6.7)で調製した。イ
ヌの前立腺組織細片を秤量し、0.05M CBSCa 6.7中で、3
7℃で混合しながらヒアルロニダーゼ溶液中でインキュ
ベートした。37℃でインキュベーション1時間後および
2時間後に、組織細片を取り出して秤量した。多くのヒ
アルロニダーゼ溶液で、イヌの前立腺のすべての成分の
比較的軽度の組織可溶化が生じた。イヌの前立腺組織
は、モルモット前立腺で観察されたよりもヒアルロニダ
ーゼの可溶化効果に対して遥かに高い抵抗性を示した。
筋束はばらけており、筋束端は渦巻き状を呈していた。
腺上皮細胞は可溶化され、浮遊している像を認めた。血
管および導管は無傷のまま残り、その周りを覆っている
間質はなお組織化を残していた。
コラーゲナーゼおよびヒアルロニダーゼによって示さ
れる基質活性に関して、選択性に極めて差があることか
ら、これらの酵素をさまざまに組み合わせた溶液で、イ
ヌの前立腺組織に対するその可溶化能を検討した。0.05
M CBSCa(pH6.7)溶液中で、コラーゲナーゼおよびヒア
ルロニダーゼは何れも互いに適合性であり、ヒアルロニ
ダーゼをコラーゲナーゼ溶液へ添加すると、コラーゲナ
ーゼ活性の著しい増強が観察された。コラーゲナーゼ/
ヒアルロニダーゼ組み合わせ溶液は可溶化の程度を増大
し、イヌ前立腺組織内での溶液の分散を促進した。コラ
ーゲナーゼおよびヒアルロニダーゼの組み合わせから生
じた前立腺組織可溶化の程度の増大は、基質ムコ多糖類
のヒアルロニダーゼによる解重合を介して、コラーゲン
のコラーゲナーゼに対する受容能が増大するためであろ
う。これら2つの酵素の活性は界面活性剤の存在および
/または低周波音波発振の刺激によりさらに増強され得
る。
トリトン(商標)X−100溶液で処理したイヌの前立
腺組織細片では、37℃で4時間インキュベーション後、
この界面活性剤に対して比較的非感受性であることが判
明した。しかしコラーゲナーゼと組み合わせると、トリ
トン(商標)X−100は、コラーゲナーゼの可溶化効果
を基底膜コラーゲンに与える界面活性剤助剤として、組
織可溶化の程度を効果的に増強した。そのうえトリトン
(商標)X−100は、膜に結合したリン脂質を可溶化す
ることによって前立腺細胞の溶解を助ける。
特異性の高い加水分解酵素のうちで、コラーゲナーゼ
およびヒアルロニダーゼは、エラスターゼよりイヌの前
立腺組織の可溶化に一層有効であった。非特異的なプロ
テアーゼのうちで、プロナーゼはディスパーゼより一層
有効であった。種々の酵素溶液のイヌ前立腺組織細片を
可溶化する相対的有効度は、コラーゲナーゼ>ヒアルロ
ニダーゼ=トリトン(商標)X−100=エラスターゼ>
プロナーゼ>ディスパーゼの反応性の順であった。
[実施例3] 凍結したイヌの前立腺を0.05M CBSCa 6.7に浸漬し、3
7℃で30分間融解した。コラーゲナーゼ10mgをCBSCa 6.7
10mlに溶解して、新鮮な0.1%コラーゲナーゼ溶液(24
50U/ml)を調製した。融解した前立腺をCBSCa 6.7 50ml
に浮遊させ、22ゲージの注射針で溶液1ccずつを1cc/5分
の速度で異なった3ヵ所の部位へ注射した。注射した前
立腺を37℃で1時間インキュベートした。臓器を水槽か
ら取り出し、検査し、解剖した。注射部位の肉眼的検査
で、退縮した非対称性の区域は、注射しなかった組織と
は対照的に柔らかく、スポンジ状に触れることが分かっ
た。解剖すると、注射区域は、細胞破片が高度に充満し
ている直径約1cmの巣状壊死性の小空洞として認められ
た。臓器は比較的軽度の腺房および支持間質を伴い、高
度に筋肉状であった。組織可溶化区域は肉眼的に明瞭で
あった。顕微鏡的および組織学的検査のため、8μmの
連続凍結組織切片を作成し、ヘマトキシリンおよびエオ
ジンで染色した。コラーゲナーゼを注射したイヌの前立
腺の組織学的検査で、消化されていない平滑筋および横
紋筋、導管および血管の区域が認められた。
[実施例4] コラーゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ、およびトリトン
(商標)X−100を含有する組成物について、モルモッ
トおよびイヌの前立腺組織を破壊し、分解し、可溶化す
る作用を評価した。個々の成分の安定性および活性の維
持に関する酵素の組み合わせの適合性を、鋭敏な色素原
性酵素活性の検定により定量化した。
凍結したイヌおよびモルモットの前立腺を0.05M CBSC
a 6.7に浸漬し、組織を37℃で30分間融解した。コラー
ゲナーゼ26mg(24500U/mg)、ヒアルロニダーゼ20mg(1
600U/mg)、およびトリトン(商標)X−100 20μをC
BSCa 6.7 2mlに溶解することにより、コラーゲナーゼ/
ヒアルロニダーゼ/トリトン(商標)X−100(CHT)の
1%溶液を調製した。イヌの前立腺には22ゲージの注射
針で2ccを注射した。モルモットの前立腺には25ゲージ
の注射針で0.5ccを注射した。注射した前立腺をジッパ
ー付き袋に入れて37℃で3時間インキュベートした。イ
ンキュベーションから取り出すと、イヌの前立腺の注射
した区域は、僅かに退縮し、非常に柔らかくスポンジ状
であり、多量の壊死性液体を含有していた。注射したモ
ルモット前立腺のインキュベーション後の肉眼的検査で
は、解剖学的な境界標は全体的に消滅し、認め得る外観
的形態変化を示さなかった。
ついで組織をジッパー付きポリプロピレン袋に封入
し、ドライアイス/アセトン溶液(−80℃)に4分間浸
漬し、20℃で貯蔵した。凍結し、酵素処理した組織をミ
クロトーム刃で切削し、−40℃のクリオスタットで8μ
mの連続凍結切片を作成した。凍結した8μmの組織切
片を温い顕微鏡スライドへ融解し、95%エタノールで固
定し、ヘマトキシリンおよびエオジン染色プロトコール
にしたがって染色した。また正常なイヌおよびモルモッ
トの前立腺組織からも染色した切片を作成した。
CHTの1%溶液1ccを注射したイヌの前立腺では、間質
コラーゲンおよび腺房の可溶化を生じ、平滑筋および横
紋筋の筋束は切り離され、またはばらけて組織が破壊さ
れていた。線維芽細胞核は消失していた。血管および導
管は比較的無傷で残っていた。CHTの1%溶液を注射し
たモルモットの前立腺では、膠原束および腺房の退縮と
やや完全な可溶化が生じた。平滑筋および横紋筋の筋束
は切り離され、ばらけている像を示した。導管内皮は可
溶化されていることが分かった。酵素処理した区域で
は、膠原束および平滑筋束が極度に組織破壊され、核を
欠いている可溶化像を示した。腺房上皮の核は著しく断
片化され、または消失し、多量の壊死性液体および細胞
性破片を生じた。
[実施例5] TURによる手術を受けようとしている生検陽性患者か
ら肥大したヒト前立腺組織細片を入手した。細片を密封
した標本カップに入れ、実験室へ運搬するため、4℃で
貯蔵した。試験組織は直ちに使用するか、または後日の
使用のため−20℃で貯蔵した。凍結組織は20mM Ca2+
含有する0.05Mクエン酸塩類緩衝塩(pH6.7)に浸漬しな
がら37℃で融解した。
前立腺摘出術中に入手したBPHの組織標本を大型の立
方体断片(200〜500mg)に刻み、種々のコラーゲナーゼ
製剤と37℃でインキュベートした。断片を1〜5時間掛
けて緩やかに混合した。1時間毎に断片を取り出し、こ
れを秤量して、再び酵素液へ戻した。CHTの0.1%および
1%溶液のヒト前立腺組織に対する効果を評価し、これ
らが間質および上皮成分の破壊、分解、溶解に極めて有
効であることが判明した。細片は完全に破壊され、間質
および腺細胞は単一の細胞浮遊液として分散していた。
消化により、分散した上皮細胞は、位相差顕微鏡下の観
察により、細胞の1端に円形の核を保有する、多数の細
胞質顆粒を含んだ棒状の形をした細胞として認められ
た。
TURによって入手したヒト前立腺組織細片を気密な標
本カップに入れ、4℃で貯蔵して実験室へ運搬し、−20
℃で凍結した。前立腺組織は、生検によってBPHおよび
腺ガンと診断された70才の男性(CAM)から得た。肉眼
検査から試料は腺性、線維筋性、および小結節性の異な
った3種の組織型から成っているようであった。凍結し
た各種の型の前立腺細片(腺性、腺維筋性、および小結
節性)を0.05M CBSCa 6.7に浸漬して、37℃で30分間融
解した。コラーゲナーゼ38mg、ヒアルロニダーゼ30mg、
およびトリトン(商標)X−100 30μを緩衝液3mlに
溶解することにより、1%および0.1%CHTの新鮮な溶液
を0.05M CBSCa 6.7で調製した。コラーゲナーゼ24500U/
ml、ヒアルロニダーゼ16000U/mlおよび1%トリトン
(商標)X−100を含遊する標品溶液を得た。原液の1
%溶液(1%CH 300μをCBSCa 6.7 2.7mlへ加える)
の1:10倍希釈により0.1%CHT溶液を調製した。CHTの0.1
%溶液は、コラーゲナーゼ2450U/ml、ヒアルロニダーゼ
1600U/ml、および0.1%トリトン(商標)X−100を含有
していた。組織細片を秤量し、37℃で混合しながら、CH
Tの1%および0.1%溶液でインキュベートした(1細片
当たり500μ)。処理した酵素を除去し、組織細片を
インキュベーション1時間後および2時間後に秤量し
た。
組織型に基づく前立腺細片の溶解度の差をCHT溶液で
処理した細片で観察した。腺性組織およびそれに付随す
る膠原性間質は2時間後に完全に可溶性であった。線維
筋性組織は2時間後、可溶性は不十分であったが、組織
はやや柔らかくスポンジ状で、無定形であり、不完全な
がら明確な組織溶解を示していた。ただし線維筋性の筋
束は比較的無傷のまま残る傾向を示した。1時間および
2時間消化物から、スライド上で空気乾燥し、ヘマトキ
シリンおよびエオジンで染色した液を顕微鏡で検査する
と、完全に可溶化した腺組織、可溶化した腺房の自在に
浮遊するする凝集塊、種々の血管および導管残留物、お
よびその他の細胞性破片を認めた。2時間消化物から作
成したスライドでは、すべての腺成分の完全可溶化を生
じ、血管および導管の少量の残留物が見られた。弾性線
維が存在した。1%のCHT溶液では一層完全な細胞性お
よび間質性の破壊を生じたが、0.1%CHT溶液では血液凝
塊および結石が不溶性で残存している種々組織成分の不
十分な可溶化を生じた。
BPT組織のコラーゲナーゼ処理後に得られた上皮性凝
集塊の光学顕微鏡検査では、高度に断片化された細葉腺
が見られた。細胞破片の上皮性凝集塊では間質成分は認
められなかった。間質の検査では、以前上皮性腺によっ
て占められていたマトリックスに明瞭な空間を有する充
実した線維筋性の束が認められた。何れにしても上皮性
細胞はほとんど残っておらず、明らかに線維芽細胞およ
び平滑筋細胞がかなり損傷されていた。ただし無傷の核
をもった線維芽細胞が僅かながら観察された。1%CHT
で37℃で、2時間後に溶解せずに残存していた線維筋性
組織は多数の弾性繊維を含んでいた。筋束はばらけ、も
つれて可溶化が始まっていた。筋組織は組織が破壊さ
れ、血管および導管の残留物が観察された。
コラーゲナーゼ/ヒアルロニダーゼ/トリトン(商
標)X−100の濃度0.1%〜1%の溶液は、TURによって
得られた肥大したヒト前立腺組織細片を可溶化するのに
極めて有効であった。CHT溶液に接触させると、小結節
性の線維筋性の区域は、腺または上皮組織と比べて溶解
に一層強く抵抗性を示す。しかし時間が経過すると、間
質性および上皮性組織成分はすべて溶解性であった。注
射した小結節は軟化し、退縮した。永久ヘマトキシリン
・エオジン染色した8 lm組織切片を作成し、腺ガンおよ
びBPHを有するヒト前立腺組織細片に対する0.1%および
1%CHT溶液による組織破壊、分解、および溶解効果を
証明した。
[実施例6] ヒト前立腺組織細片をTURによって入手し、500mgずつ
に分割し、クエン酸緩衝塩類液に30分間浸漬した。肉眼
的に肥厚した小結節区域フトリトン(商標)X−100お
よびゲンタマイシンを含有するコラーゲナーゼおよびヒ
アルロニダーゼ酵素の0.1%および1%溶液(CHTG)
(クエン酸緩衝塩類液はすべてカルシウムを含有(pH6.
7)をそれぞれ0.1cc〜1ccずつ注射した。注射した組織
をガラス皿で37℃で1〜5時間インキュベートした。組
織試料を、酵素消化によって得られた前立腺細胞浮遊液
の試料と一緒に凍結し、低温槽で8μmインクレメンツ
に切片を作り、95%エタノールで固定し、ヘマトキシリ
ンおよびエオジンで染色した。
線維筋性小結節を含んでいるヒト前立腺組織細片にCH
TGの1%溶液および0.1%溶液をそれぞれ0.3ccずつ25ゲ
ージ注射針で注射し、37℃で3時間インキュベートし
た。注射した最初の0.1ccで小結節の膨化を生じ、残り
の0.2ccは結節の切断面から漏出する傾向を伴った。処
理した細片を−20℃で凍結し、切片を作り、ヘマトキシ
リンおよびエオジンで組織学的に染色するため貯蔵し
た。37℃で3時間後、注射した線維筋性小結節は肉眼的
な検査で柔らかく、無定形で、注射した部位の周囲が退
縮した外観を呈した。これらの検討から、CHTGの1%溶
液は0.1%溶液より、ヒト前立腺組織の可溶化に一層有
効であることが判明した。腺腫様(腺の)組織は、タン
パク分解酵素混合物の可溶化効果に対して純粋な線維筋
性組織より一層感受性であった。
注射した小結節の組織学的検査から、直径約1cmの巣
状壊死の空洞が認められた。注射部位を直接取り囲む巣
状壊死の固有の区域を、組織可溶化および組織破壊の一
般的な瀰慢性区域と区別するのは困難であった。完全に
可溶化した区域は、組織解離がそれより不十分な区域か
ら徐々に移行する傾向を有していた。
注射した小結節で、注射部位の半径0.5〜1.5cm以内で
限局したコラーゲン分解が起こった。処理した組織では
膠原線維束が消失し、溶解したコラーゲンは微かに染色
され、空胞であることを示していた。コラーゲンが完全
に溶解した区域でも弾性線維は保存されていた。CHTGの
1%溶液は、腺性、膠原性間質、およびヒト前立腺組織
の基質の完全可溶化に極めて有効であった。この溶液は
平滑筋成分に対しては効果が低かった。しかし筋肉の組
織破壊および筋束の可溶化の形跡は観察された。
注射した前立腺小結節は、全体的に大きさおよび重量
がかなり減少していた。処理された小結節は、顕微鏡検
査で未処理の組織で見られる濃く充実したコラーゲンに
比べて、膠原束の広範なばらけ、および分散を示した。
コラーゲナーゼとヒアルロニダーゼの混合物は、インビ
トロで、前立腺組織の上皮成分および間質成分の広範な
溶解を起こした。酵素によって誘導される組織可溶化の
程度および量は使用した投与量に比例していた。ヒトの
前立腺はスポンジ状で、やや多孔性で、多数の血管およ
び導管から構成されており、尿道を介する注射した酵素
溶液のかなり急速な排出を促進する傾向がある。前立腺
組織の可溶化の程度は投与できる投与量の規模によって
規定される。最初の酵素投与部位からの混合物の分散お
よび拡散の増大は、ヒアルロニダーゼの投与量を増大す
ることによって達成される。分散の増大は、コラーゲン
を結合織に埋めているが、コラーゲナーゼの作用を受け
ないムコ多糖類基質の消化と関係している。TURによっ
て入手した良性肥大の過形成性小結節および悪性腺ガン
様組織を含んでいるヒト前立腺組織細片に、種々の濃度
の加水分解酵素を注射した。ヒアルロニダーゼおよびコ
ラーゲナーゼの有効濃度によって注射部位を中心にとり
囲む肉眼で見える前立腺組織の可溶化区域を生じた。可
溶化即ち壊死の直径は注射時に生じる水泡より大きくは
なかった。それより少量の酵素の投与では、最初の注射
の水泡の大きさにほぼ近い大きさでどまっている微小巣
状の壊死区域で、顕微鏡によって認められる可溶化の形
跡を生じた。
コラーゲナーゼおよびヒアルロニダーゼ酵素は、イン
ビトロで、前立腺内注射で有効量を投与すると、前立腺
組織の溶解に有用であることが判明した。可溶化の区域
は注射した葉およびそれにごく近い範囲の被膜下組織に
限定される。散在する壊死区域は腺組織全般にわたって
出現する。ヒアルロニダーゼの投与量の増加とともに溶
解半径の増大を来すことから、可溶化する組織の割合は
明らかに投与量に正比例していた。
[実施例7] この発明の組成物の安全性および有効性を評価するた
め、承認されたGLPプロトコールによるイヌ動物モデル
で、組成物のインビボ注射を実施した。前立腺組織の壊
死の程度を、インピボおよびインビトロの超音波スキャ
ン、および剖検組織の肉眼的および顕微鏡的検査によっ
て評価した。試験組成物の効果を組織病理学的な検査
は、前立腺、尿道、膀胱、睾丸、腎臓、肝臓、心臓、お
よび肺の検査を含む。また注射部位に隣接する組織で狭
窄、瘻孔、癒着、肉芽腫の形跡を探索した。
保存した記録は下記の通りである。動物歴および身体
的データ(およその年齢、体重、品種)、実験開始日
付、臨床的経過および有害反応のチャート、実験室試験
結果、投与した薬物(日付、投与量、投与経過)、超音
波スキャン像、前立腺重量、剖検および組織病理学的報
告およびスライド。動物の臨床経過を記録したチャート
では、特に血尿、血精液、尿賂感染症、尿閉の有無、程
度および期間、およびプロトコール期間を通じて投与さ
れた薬物を記録して保存した。尿閉の証拠は、摂取液体
の収支の監視記録、およびBUN、クレアチニン、および
電解質濃度の分析によって決定した。
報告した非経口投与に好適な組成物溶液を調製するた
め、新しく蒸留し、脱イオン化し、滅菌し、発熱性物質
フリーの水(ギブコ、グランドアイランド、NY)で、20
mM CaCl2を含有する0.05Mクエン酸塩類緩衝液(pH6.7、
CBSCA)100mlを調製した。最終濃度がトリトン(商標)
X−100 1%(v/v)およびゲンタマイシン150μg/ml(C
BSCA−TG)となるように、トリトン(商標)X−100 1m
lおよび硫酸ゲンタマイシン(シグマ)の滅菌溶液(10m
g/ml)1.5mlを、加えた。
コラーゲナーゼ(XI−S型、シグマ)およびヒアルロ
ニダーゼ(106−500、ベーリンガー・マンハイム)の凍
結乾燥品を、約0.1%(コラーゲナーゼ2450U/mlおよび
ヒアルロニダーゼ1600U/ml)の最終酵素濃度となるよう
に、CBSCA−TGに溶解した。コラーゲナーゼ(50mg、ロ
ット#17f−6814、1970U/mg)およびヒアルロニダーゼ
(40mg、ロット#10372425−19、1600U/mg)をCBSCA−T
G4ml加えてコラーゲナーゼ2450U/mlおよびヒアルロニダ
ーゼ1600U/mlの約1%の原液(CHTG)を得た。1%CHTG
原液を1:10に希釈することによって、CHTGの0.1%処理
溶液を調製した。1%CHTG(700 ll)のアリコートをCB
SCA−TG 6.3mlで希釈し、混合した。得られた0.1%CHTG
溶液は、およそコラーゲナーゼ2450U/ml、ヒアルロニダ
ーゼ1600U/ml、1%トリトン(商標)X−100(v/v)お
よび硫酸ゲンタマイシン150lg/mlの最終濃度を含有し
た。
エンドトキシン除去のため、約10ml/時間の流速で10
×カラム容量の緩衝液をカラムへ通導することによっ
て、1mlテトキシ・ゲル(商標、ピアス)カラムを室温
でCBSCA−TGで平衡化した。0.1%CHTG溶液7mlをカラム
へ適用し、無菌条件下に、約6〜8ml/時間の流速で、無
菌、発熱性物質フリーのプラスチック試験管へ溶出し
た。発熱性物質フリーの溶出液6ml(0.1%CHTG)を採取
し、溶液を保証された無菌、発熱性物質フリーの0.2 lm
ポリスルホン、ディスポシリンジ・フィルターを通すこ
とによって、無菌、発熱性物質フリーのプラスチック試
験管へ無菌濾過した。無菌濾過した発熱性物質フリーの
0.1%のCHTG溶液の1mlアリコートをエンドトキシンおよ
び酵素活性試験のため無菌的に取り出した。1.0EU/ml
(LALクロモジェニック・パイロジェン試験、ウィタッ
カー)およびコラーゲナーゼOD1.0以上(520nm)(アゾ
コール(商標)検定)およびヒアルロニダーゼOD0.2以
上(585nm)(NAGA検定)の酵素活性を有する0.1%CHTG
の標品をインビボ非経口注射用として日常的に承認し
た。
任意の入手源による成犬(33kg)、一定条件で飼育、
心糸状虫陰性。実験動物を、身体検査、完全血算、血清
化学、尿分析、および定量的尿培養によって健常である
ことを確かめた。動物は実験的注射の24時間前から食事
を与えなかった。組成物の前立腺内注射の2時間前に、
動物に予防的にゲンタマイシン(1〜3mg/kg)を筋注
し、微温湯浣腸を行った。
硫酸アトロピン(0.04mg/kg)およびマレイン酸アセ
チルプロマジン(0.1mg/kg)を筋注投与して実験用犬
(8HC55)を前麻酔した。オキシモルフィン4.8ml(1.5m
g/ml)の静脈内投与によって麻酔を誘導した。試験組成
物の注射直前に、前立腺の基線経腹腔超音波スキャンを
とり、これをフィルムに記録した。5−7フレンチ・エ
ンドホール型バルーンカテーテル(スワン・ガンツ・カ
テーテル、エドワーズ、ラボラトリーズ、サンタアナ、
CA)で前立腺尿道にカテーテルを装着した。超音波誘導
下に、カテーテルのバルーン先端を前立腺尿道内中央に
配置し、注射した試験組成物が尿導から直ちに排泄され
るのを防止するため、塩類液を充満させた。
僅かに曲がった22ゲージ×20cmの可撓性吸引バイオプ
シー用針をフランツェン・ニードルガイド(プレシッシ
ョン・ダイナミックス、サンフェルナンド、CA)と結合
させて、試験組成物の経直腸的前立腺内注射を超音波誘
導下に実施した。手袋をはめた人差し指とニードルガイ
ドを直腸へ挿入した。前立腺は指に触れるが、ガイドを
通して針を挿入し、前立腺へ進めた。組成物(0.1%のC
HTG)の約2.5mlを前立腺右葉へ注射した。左葉は対照と
して使用した。
注射の際に、毒性、アレルギー、またはその他の有害
反応症状に関してバイタルサインを監視した。注射2時
間後にスワン・ガンツ・カテーテルを除いたが、その
際、血液で汚れた少量の液が観察された。動物は良好に
経過し、何らの有害反応の徴候または症状を認めなかっ
た。動物の臨床経過は、8日間のプロトコール期間を通
じて合併症は起こらず、何ら問題もなかった。注射後第
1日目、血液および尿標本の採取時に、前立腺の経腹腔
超音波スキャンを行った。プロトコールの最終日に、さ
らに試験、分析、培養のための血液および尿標本の採取
とともに、追加的にインビボの経腹腔超音波スキャンを
行った。
注射8日後、ペントバルビタールナトリウムの過剰量
を静脈注射して動物を安楽死させ、死後、直ちに剖検を
行った。中線切開によって前立腺を露出し、切除し、過
剰の残滓を除いて、秤量した。切り出した前立腺を塩類
液の容器へ入れ、インビトロ超音波でスキャンした。ス
キャンののち、前立腺全体を約0.5cmの横断切片に切削
し、写真撮影して、顕微鏡による組織病理学的検査を準
備した。前立腺の横断切片には、尿道粘膜および前立腺
の外縁を含んでいた。組織切片を直ちに10%中性リン酸
塩緩衝化したホルマリンで固定し、パラフィンに包埋し
て、6μmの薄さに切削し、顕微鏡スライドに載せて、
ヘマトキシリンおよびエオジンで染色した。固定し、染
色した組織切片を、ついで明視野顕微鏡下に、梗塞、出
血、壊死、コラーゲン分解、および形態学的な変化につ
いて検査した。超音波図と比較して、正しい解剖学的な
方向を保持するように注意した。
剖検の際、実験犬(8HC55)は最終体重27kgを示し
た。膀胱、尿道、睾丸、腎臓、肝臓、心臓、および肺の
代表的な試料を取り、10%中性緩衝化ホルマリンで固定
した。組織をパラフィンに包埋し、6μmの薄さに切削
し、ヘマトキシリンおよびエオジンで染色し、顕微鏡で
検査した。生体臓器(心臓、肺、肝臓、腎臓)および隣
接組織(膀胱、尿道、睾丸)への損傷、注射部位および
その近辺の前立腺尿道上皮の露出、狭窄、瘻孔、癒着、
肉芽腫の形跡を探索した。
腹腔の肉眼病理検査では、前立腺右葉に限局された楕
円形の出血損傷を認めた。前立腺右葉の腹側表面は暗赤
色を呈し、前立腺のおよそ中央から尾部末端にかけて肥
厚していた。前立腺は3.0×3.4×2.2cmと計測され、重
量は17.4gであった。臓器/体重比は0.65g/kgであっ
た。骨盤尿道、膀胱、睾丸、腎臓、尿管、肝臓、心臓、
肺は肉眼的に正常であった。骨盤リンパ節に注射/酵素
で誘発された損傷の形跡はなかった。尿道周囲に出血が
見られた。
前立腺の横断切片では、右葉中央から尾部末端へ掛け
て腺の右下方4分の1に直径1cmの暗赤色の出血区域を
認た。出血損傷は試料組成物の実験的注射に起因したも
のと思われる。顕微鏡検査では、壊死区域は、酵素注射
部位で、主として前立腺の中央横断切片に局在し、右葉
の腹側内側の数葉の隣接小葉を含んでいた。これらは胞
壁の壊死およびフィブリンおよび赤血球の多量の沈着を
伴う小葉構造の破壊であった。炎症性細胞は壊死区域に
顕著に存在しなかった。急性壊死区域に近接した前立腺
間質では巣状の出血、コラーゲンの破壊および断片化、
平滑筋の変性・壊死、線維芽細胞の増殖が認められた。
注射部位に接している前立腺小葉では、上皮および間
質の双方に変化が見られた。立方上皮細胞の横に並ぶ胞
は、しばしば絮状または均質な分泌物質を含んでいた。
小葉間の間質組織および血柱は薄く染まり、赤血球およ
び透明な空間によって分けられていた。壊死性前立腺小
葉の先端と接している前立腺の内側部分は、間質性の出
血および破壊された尿道周囲腺を有していた。尿道腔は
炎症性経過によって偏位を示していたが、前立腺尿道上
皮は無傷であった。
また変性的な変化は前立腺横紋筋筋束内でも認めれ、
それらは壊死、骨髄症、細胞質空胞化、線維萎縮、筋鞘
細胞核の増殖などであった。出血および線維素性動脈炎
(1血管)が横紋筋筋束間の間質組織で認められた。あ
る種の被膜動脈壁は類線維素性変化によって部分的に置
き換えられていた。また静脈周囲の線維素沈着も認めら
れた。注射部位の前方で採った横断切片は不規則な輪郭
を伴う酵素消化された空間を示していた。注射部位から
直ぐ尾部の横断切片は尿道周囲間質組織に出血巣を示し
たが、その他の実質組織の変化はなかった。
尿道を取り巻く脂肪組織で、前立腺から起こり始めた
出血およびフィブリン沈着が見られた。横紋尿道筋の外
壁は前述の変化と同様な変性的な変化を示した。筋層周
囲の筋線維および尿道周囲の脂肪組織を除いて、大部分
の尿道は正常であった。尿道周囲の脂肪に局在して、出
血、フィブリン沈着、類線維素性動脈炎(1動脈)のよ
うな変化があった。隣接する横紋筋線維は変性してい
た。
実験的酵素組成物の注射と一致した組織病理学的な異
常所見は、膀胱、睾丸、細精管、腎臓、肝臓、心臓、肺
で観察されなかった。酵素組成物の実験的注射に起因し
た前立腺の変化は、主として本体および右葉の中央3分
の1の腹側部分に局在していた。前立腺の内側部分の破
壊が認められるが、前立腺尿道では認められなかった。
注射部位またはその近辺で狭窄、瘻孔、癒着、肉芽腫の
形跡はなかった。顕微鏡学的な変化が前立腺で観察さ
れ、主として葉構造の破壊、コラーゲンの破壊および断
片化、平滑筋の変性および壊死を伴う間質細胞および上
皮細胞を含んだ出血性壊死であった。
[実施例8] この発明の組成物の安全性および有効性をさらに評価
するため、承認されたGLPプロトコールにしたがって、
長期的(60日間)研究をイヌの動物モデルで実施した。
組成物のインビボ前立腺内注射の効果を、血液および尿
検体の実験室的分析、インビボおよびインビトロの超音
波スキャン、および剖検組織の肉眼的および顕微鏡学的
検査により評価した。
任意の入手源の、一定条件で飼育した成犬(28kg)を
身体検査した。実験動物は完全血算、血清化学、尿分
析、および定量的尿培養によって健常であることを確か
めた。注射組成物は前述のように調製し、これはコラー
ゲナーゼ2400U/ml、ヒアルロニダーゼ1600U/ml、1%
(v/v)トリトン(商標)X−100、ゲンタマイシン150
μg/ml、20mM CaCl2を0.05Mクエン酸緩衝化塩類液(pH
6.7)に含有していた。発熱性物質を除去し、無菌濾過
することによって、LALクロモジェニック・パイロジエ
ン試験で0.29EU/mlのエンドトキシン濃度を示す標品
(注射組成物「G」)を得た。実験動物は、報告した酵
素組成物の外科的補助による直接前立腺内注射の24時間
前から食事を与えなかった。
プロトコールの第1日目、組成物の前立腺内注射の2
時間前に動物へ予防的にゲンタマイシン筋注(1〜3mg/
kg)を投与し、微温湯浣腸を行った。尿路カテーテルは
設置しなかった。動物を麻酔し、前立腺の腹側外被を露
出する外科的開腹術を施し、前立腺の右葉へ注射組成物
「G」約3.5ccを直接注射(22ゲージ×1.5″針)した
(「Z」形をした針道を設置)。左葉は対照とした。
注射の際に、毒性、アレルギー、またはその他の有害
反応症状に関してバイタルサインを監視した。動物は正
常に回復し、何らの有害反応の微候または症状を認めな
かった。臨床経過は60日のプロトコール期間を通じて、
動物は臨床的に正常で、合併症は起こらなかった。注射
後第1日目に、血液および尿標本の採取時に、前立腺の
経腹腔超音波スキャンを行った。プロトコールの2日目
の尿分析で、血尿が見られた。7日目、15日目、29日
目、58日目に行った完全血算、尿分析、尿培養、血清化
学的検査を含む実験室評価では、すべて正常の範囲内で
あった。58日目の尿分析でわずかの精虫が見られた。さ
らにプロトコールの7日目、15日目、29日目、58日目
に、非侵襲的なインビボの前立腺の経腹腔超音波スキャ
ンを追加的に行い、フィルムに記録した。
評価期間を通じて、前立腺右葉は非対称的に空洞化
(退縮)し、前立腺全体の容積の後退が見られた。それ
に対応して、時間が経過すると、酵素によって誘発され
た壊死性損傷の容積もまた後退した。酵素組成物の前立
腺内直接注射は全般的な大きさの後退と注射部位および
その近辺の前立腺右葉の非対称的退縮を起こした。酵素
によって誘発された前立腺右葉の損傷、後退、および退
縮は、音波診断学的に空洞として示され、肉眼的には凹
み、即ち陥没区域として現れた。
イヌ8IC76のプロトコール期間を通じて得られたイン
ビボの経腹腔音波診断図(低エコー領域は組織壊死、出
血、および浮腫の区域を示す)の「ブラインド」考察に
よって、以下の事実が明らかになった。
第7日目、前立腺の大きさは3×3cm、対称的な葉を
示した。右葉の腹側前方部から葉の中背部の範囲で2.5
×1.5cmの明瞭な低エコー領域が観察された。
第15日目、前立腺の大きさは3×3cm、対称的な葉を
示し、右葉の腹側前方部に1.5×1.5cmの不調和な低エコ
ー巣区域がある。
第29日目、前立腺の大きさは3×2.5cm、対称的な葉
を示し、右葉の腹側前方部に1.5×1.5cmの合併した低エ
コー巣区域がある。
第43日目、前立腺の大きさは3×2.5cm、右前葉は微
かな空洞および一層均一な合体した低エコー巣を示す。
低エコー損傷の大きさは1.25×1.25cm。
58日目、前立腺の大きさは3×2.5cm、右前葉は僅か
に非対称的(丸さが少ない)で空洞化している。壊死性
損傷、出血または浮腫を示す低エコー領域は認められな
い。
プロトコールの最終日、注射後58日目に、ペントバル
ビタールナトリウムの過剰量を静脈注射して動物を安楽
死させ、死後、直ちに剖検を行った。前立腺外植片を塩
類液の容器へ入れ、インビトロ超音波でスキャンした。
注射した前立腺のインビトロ・スキャンにより、前立腺
の大きさは3×2.75cmであり、低エコー領域は前立腺右
葉の腹側および中央部分で1.5×1.25cmであった。右葉
の右腹側表面は僅かに空洞化(退縮)しているようであ
った。プロトコール期間を通じて、前立腺右葉は全般的
な大きさが僅かに後退しているようであった。
超音波スキャンののち、前立腺全体を約0.5cmの横断
切片に切削し、写真撮影し、顕微鏡による組織病理学的
検査を準備した。超音波図と比較して、正しい解剖学的
な方向を保持するように注意した。前立腺の横断切片に
は、尿道粘膜および前立腺の外縁を含んでいる。組織切
片をホルマリンで固定し、パラフィンに包理して、薄く
切削し、顕微鏡スライドに載せて、ヘマトキシリンおよ
びエオジンで染色した。固定し、染色した組織切片を、
ついで明視野顕微鏡下に検査した。
剖検の際、実験犬(8IC76)は最終体重27kgを示し
た。手術した鼠径部領域は良好に治癒していた。前立
腺、膀胱、尿道、睾膜、腎臓、肝臓、心臓、肺の代表的
な試料を採り、組織病理学的検査のため準備した。さら
に注射部位およびその近辺の組織で狭窄、瘻孔、癒着、
肉芽腫の形跡を追加的に探索した。
腹腔の肉眼病理検査では、前立腺は縮小し、外被およ
び直腸性器空間背部の間で癒着せずに認められた。前立
腺右葉の前方外側表面には直径約1.3cmの退縮または陥
没した区域(空洞化)があった。この損傷は前立腺の約
1cm遠位〜上位極であった。前立腺重量は18.74gで、大
きさは3.5×3.2×2.4cmであった。臓器/体重比は0.70g
/kgであった。前立腺の横断切片では尿道周囲前立腺の
方向に先端を有する三角形の形をした1.2cmの深さのタ
ン区域が認められた。この区域は、右葉の背部および腹
部表面中間の前立腺の第2の0.5cmの交差切片に見られ
た。その他の前立腺の切片は、色および構造ともほぼ正
常であった。性尿器系でその他の異常は認められなかっ
た。実験的注射に起因すると思われる有意な異常は胸腔
では認められなかった。前立腺右葉の陥没区域(空洞
化)は組成物の実験的注射に由来するものと思われる。
前立腺の組織病理学的外観は葉と葉との間で異なり、
また右葉と左葉でも異なり、注射の効果の解釈を正確に
指摘するのを一層難しくしている。注射の推定部位で、
1つの前立腺葉でほぼ全体的な萎縮を起こしていた。こ
れは葉内の線維筋性間質で対応する増加を伴った前立腺
胞および導管の萎縮によって特徴付けられる。萎縮した
葉および隣接している数個の葉を包んでいる前立腺外被
は肥厚し、線維性であった。外被および萎縮した葉は、
マクロファージ(多数の色素を含んでいる)、血漿細
胞、およびリンパ球からなる適度な集団によって浸潤さ
れていた。幾つかの腺腔では、間質性のコアを有し、ま
たは有しない少数の過形成上皮細胞芽が見られた。萎縮
した前立腺葉の近くで、尿道周囲の前立腺性の腺および
導管が間質によって著しく置き換わられていた。また萎
縮した葉に近接する前立腺小葉では、局所的に間質性線
維を形成し、ただし腺の萎縮の程度は比較的軽い広範な
区域を有していた。即ち、前立腺右葉の注射部位は数種
の近接した前立腺葉を含んでいるようであった。しかし
また前立腺左葉は、間質性線維形成の巣区域およびリン
パ球および血漿細胞の巣状間質性浸潤を伴う葉を有して
いた。前立腺周囲の尿道組織には有意な変化はなかっ
た。酵素組成物の注射に起因すると信じられる前立腺の
損傷は右葉の前立腺組織の1または2葉に局在してい
た。胞の萎縮、間質性線維形成、僅かな慢性の炎症性細
胞はこれらの損傷を特徴付けていた。また外套性線維形
成はこの区域で明瞭であった。
検査したその他の組織における著しい組織病理学的な
知見で、骨盤尿道の移行上皮の下部に存在する(ごく軽
度の)リンパ球および血漿細胞の単一の巣を認めた。膀
胱の漿膜下組織の数本の静脈は、リンパ球、血漿細胞、
および小数の好酸球の浸潤によって侵されていた。睾膜
には損傷を認めなかった。
この発明について、多くの特殊な好ましい態様および
技術を引用して報告した。ただしこの発明の精神および
範囲内で、なお多くの変更および修飾を加え得ることは
容易に理解し得よう。
この発明の実施態様を例示すれば次の通りである: (1)直接前立腺内注射により投与して肥大した前立腺
組織の溶解および退行を誘発するのに適した治療有効濃
度のコラゲナーゼおよび治療有効濃度のヒアルロニダー
ゼを含む、生体ほ乳類における前立腺肥大の処置用組成
物。
(2)コラゲナーゼが、約250〜250000U/mlの濃度およ
びヒアルロニダーゼが約160〜160000U/mlの濃度で存在
する、請求項1記載の組成物。
(3)コラゲナーゼが約2500〜25000U/mlの濃度および
ヒアルロニダーゼが約1600〜16000U/mlの濃度で存在す
る、請求項2記載の組成物。
(4)さらに、非イオン性界面活性剤を含む、請求項1
記載の組成物。
(5)界面活性剤が、C10−C20脂肪酸のエチレンオキシ
ドエステルおよびC8−C22アルキルアルコールのエチレ
ンオキシドエステルから成る群から選ばれる、請求項4
記載の組成物。
(6)非イオン性界面活性剤がオクチルフェニルポリオ
キシエチレンオキシドまたはオクチルフェノキシポリエ
トキシエタノールである、請求項5記載の組成物。
(7)非イオン性界面活性剤が約0.1容量%〜10容量%
の濃度で存在する、請求項4記載の組成物。
(8)非イオン性界面活性剤が約0.5容量%〜5容量%
の濃度で存在する、請求項7記載の組成物。
(9)さらに、アミノグリコシド、スルホンアミド、ペ
ニシリン、セファロスポリン、塩基性マクロリド、テト
ラサイクリン、ポリミキシン、フルオロキノロン、リン
コマイシン、クリンダマイシン、クロラムフェニコー
ル、ニトロフラントインおよびナリジキシン酸から成る
群から選ばれる抗生物質を含む、請求項1記載の組成
物。
(10)抗生物質がゲンタマイシスルフェートである、請
求項9記載の組成物。
(11)抗生物質が約1.5〜150lg/mlの濃度で存在する、
請求項9記載の組成物。
(12)さらに生理学的pHを有する医薬的に許容し得る水
性担体溶液を含む、請求項1記載の組成物。
(13)水性担体が、無菌で発熱物質不含有で緩衝状態で
あり、等張性の水性担体である、請求項12記載の組成
物。
(14)水性担体が、くえん酸緩衝食塩水、トリス緩衝食
塩水およびリンゲルス食塩水から成る群から選ばれる、
請求項13記載の組成物。
(15)水性担体がカルシウムイオン含有くえん酸緩衝食
塩水を含む、請求項14記載の方法。
(16)水性担体が、0.02モル〜0.1モルのくえん酸ナト
リウム、0.1モル〜0.2モルの塩化ナトリウム、0.01モル
〜0.05モルの塩化カルシウムを含み、約6.5〜7.5のpHを
有する、請求項12記載の組成物。
(17)水性担体が、0.05モル〜0.1モルのくえん酸ナト
リウム、0.15モル〜0.2モルの塩化ナトリウム、0.02モ
ル〜0.05モルの塩化カルシウムを含み、約6.7〜7.0のpH
を有する、請求項16記載の組成物。
(18)組成物が、約2500〜25000U/mlのコラゲナーゼ、1
600〜16000U/mlのヒアルロニダーゼ、0.5容量%〜5容
量%の非イオン性界面活性剤および1.5〜150lg/mlの抗
生物質から成る無菌の発熱物質不含有溶液を含み、約6.
7〜7.0のpHを有し、約0.05モル〜0.1モルのくえん酸ナ
トリウム、約0.15モル〜0.2モルの塩化ナトリウム、約
0.02モル〜0.05モルの塩化カルシウムを含む緩衝状態の
等張性水性担体中で製剤化された、請求項12記載の組成
物。
(19)治療有効濃度のコラゲナーゼ並びにヒアルロニダ
ーゼ、エラスターゼ、トリプシン、キモトリプシン、プ
ロナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼI、ブロメライ
ン、クロストリパイン、テルモリシン、ノイラミニダー
ゼ、ホスホリパーゼ、コレステロールエラスターゼ、デ
ィスパーゼ、スブチリシン、パパイン、キモパパイン、
プラスミノーゲン活性化因子、プラスミン、ストレプト
キナーゼ、ウロキナーゼ、フィブリノリシン、セラチオ
ペプチダーゼ、パンクレアチン、アミラーゼ、リソチー
ム、カテプシン−GおよびPMN白血球セリンプロテアー
ゼから成る群から選択される少なくとも1種の酵素を含
む組成物の直接前立腺内注射を含む生体ほ乳類における
前立腺肥大の処置方法であって、前記組成物が肥大した
前立腺組織の溶解および退行を誘発することにより良性
前立腺肥大に伴う閉塞性微候を軽減させる方法。
(20)組成物が、生理学的pHを有する水性担体中に加水
分解酵素を含む無菌発熱物質不含有溶液である、請求項
19記載の方法。
(21)組成物がさらに有効濃度の非イオン性界面活性剤
を含む、請求項19記載の方法。
(22)非イオン性界面活性剤が、C10-20脂肪酸のエチレ
ンオキシドエステルおよびC8-22アルキルアルコールの
エチレンオキシドエステルから成る群から選ばれる、請
求項21記載の方法。
(23)組成物がさらに有効濃度の抗生物質を含む、請求
項19記載の方法。
(24)酵素が、ヒアルロニダーゼ、トリプシン、キモト
リプシン、プロナーゼ、エラスターゼ、ディスパーゼ、
デオキシリボヌクレアーゼIおよびプラシミンから成る
群から選ばれる、請求項19記載の方法。
(25)酵素がヒアルロニダーゼである、請求項24記載の
方法。
(26)コラゲナーゼが約250〜250000U/mlの濃度および
ヒアルロニダーゼが約160〜160000U/mlの濃度で存在す
る、請求項25記載の方法。
(27)コラゲナーゼが約2500〜25000U/mlの濃度および
ヒアルロニダーゼが約1600〜16000U/mlの濃度で存在す
る、請求項26記載の方法。
(28)前立腺内注射が病変部内で行なわれる、請求項19
記載の方法。
(29)前立腺内注射の経路が、尿道、直腸および会陰部
を経る注射経路から成る群から選ばれる、請求項28記載
の方法。
(30)前立腺内注射が尿道を経る注射経路により行なわ
れる、請求項29記載の方法。
(31)組成物が約1〜20mlの用量での単一注射として投
与される、請求項26記載の方法。
(32)組成物が約1〜5mlの用量での単一注射として投
与される、請求項31記載の方法。
(33)組成物が、治療上望ましい結果が得られるまで約
1〜20mlの用量で毎日、毎週または毎月の一連の注射で
投与される、請求項19記載の方法。
(34)用量が約1〜5mlである、請求項33記載の方法。
(35)組成物が、持続放出を可能にするか、全身循環系
への接近を阻止するか、または前記組成物の前立腺特異
的局在性を高めるデポー製剤として投与される、請求項
19記載の方法。
(36)デポー製剤を、遅延放出インプラントとして製剤
化、マイクロカプセルに封入、または生物分解性ポリマ
ーまたは前立腺特異的免疫グロブリンへ結合させる、請
求項35記載の方法。
(37)組成物が、約2500〜25000U/mlのコラゲナーゼ、1
600〜16000U/mlのヒアルロニダーゼおよび有効濃度の非
イオン性界面活性剤および有効濃度の抗生物質から成る
無菌の発熱物質不含有溶液であり、生理学的pHを有し、
前立腺内注射の尿道を経る経路により約1〜20mlの用量
での生体ほ乳類への投与に適した医薬的に許容し得る水
性担体中で製剤化されている、前立腺内注射を含む請求
項19記載の方法。
(38)治療有効濃度のコラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ
および非イオン性界面活性剤を含む組成物の少なくとも
1つの個別注射可能単位用量を含む無菌の密閉ガラス瓶
を含むキットであって、全てが生体ほ乳類への注射に適
した医薬的に許容し得る水性担体中で製剤化されてい
る、キット。
(39)少なくとも1つの個別注射可能単位用量が、約25
0〜250000U/mlの濃度のコラゲナーゼ、約160〜160000U/
mlの濃度のヒアルロニダーゼを含む、請求項38記載のキ
ット。
(40)少なくとも1つの個別注射可能単位用量が約1〜
20mlである、請求項39記載のキット。
(41)無菌の密閉ガラス瓶が組成物の凍結乾燥物を含
み、無菌の発熱物質不含有水により再構成すると、生体
ほ乳類への前立腺内注射に用いられる医薬的に許容し得
る溶液として回収され得る組成物、約1〜20mlの少なく
とも1つの個別注射可能単位用量が得られる、請求項38
記載のキット。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61K 31/47 A61K 31/47 31/505 31/505 31/545 31/545 31/635 31/635 31/65 31/65 38/48 39/395 E 39/395 47/14 47/14 47/34 47/34 A61P 13/08 A61P 13/08 A61K 37/547 (72)発明者 ガイ、テリー・ジェイ アメリカ合衆国55318 ミネソタ、チャ スカ、イースト・レイク・ドライブ 1466番 (56)参考文献 米国特許4524065(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 38/46 CA(STN)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】治療有効濃度のコラゲナーゼおよび治療有
    効濃度のヒアルロニダーゼを含む、直接前立腺内注射に
    より投与して肥大した前立腺組織の溶解および退行を誘
    発するのに適した、生体ほ乳類における前立腺肥大の処
    置用組成物。
  2. 【請求項2】さらに、非イオン性界面活性剤を含む、請
    求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】さらにアミノグリコシド、スルホンアミ
    ド、ペニシリン、セファロスポリン、塩基性マクロリ
    ド、テトラサイクリン、ポリミキシン、フルオロキノロ
    ン、リンコマイシン、クリンダマイシン、クロラムフェ
    ニコール、ニトロフラントインおよびナリジクス酸から
    成る群から選択される抗生物質を含む、請求項1記載の
    組成物。
  4. 【請求項4】治療有効濃度のコラゲナーゼ並びにヒアル
    ロニダーゼ、エラスターゼ、トリプシン、キモトリプシ
    ン、プロナーゼ、ブロメライン、クロストリパイン、テ
    ルモリシン、ノイラミニダーゼ、ディスパーゼ、スブチ
    リシン、パパイン、キモパパイン、プラスミノーゲン活
    性化因子、プラスミン、ウロキナーゼ、フィブリノリシ
    ン、セラチオペプチダーゼ、パンクレアチン、アミラー
    ゼ、リソチーム、カテプシン−GおよびPMN白血球セリ
    ンプロテアーゼから成る群から選択される少なくとも1
    種の酵素を含む、直接前立腺内注射により肥大した前立
    腺組織の溶解および退行を誘発することにより前立腺肥
    大に伴う閉塞性徴候を軽減させるための前立腺肥大処置
    用組成物。
  5. 【請求項5】組成物が治療有効濃度のコラゲナーゼおよ
    びヒアルロニダーゼを含む、請求項4記載の組成物。
  6. 【請求項6】前立腺内注射が病変部内注射である、請求
    項4または5記載の組成物。
  7. 【請求項7】治療有効濃度のコラゲナーゼ、ヒアルロニ
    ダーゼおよび非イオン性界面活性剤を必須成分とする組
    成物から成る、生体ほ乳類における前立腺肥大処置剤で
    あって、当該組成物の少なくとも1回の個別注射可能単
    位用量が無菌の密閉ガラス瓶に収納されており、当該必
    須成分のすべてが生体ほ乳類に対する注射に適した水性
    担体中で製剤化されている、キット。
  8. 【請求項8】無菌の密閉ガラス瓶が必須成分を含む組成
    物の凍結乾燥物を含んでおり、無菌の発熱物質不含有水
    により再構成したとき、生体ほ乳類における前立腺内注
    射に用いることが出来る溶液の個別注射可能単位用量1
    〜20mlの少なくとも1回分を提供出来る、請求項7記載
    のキット。
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