JP3980088B2 - 傷治癒を改善するプラスミノーゲン活性化因子からなる製剤の使用 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプラスミノーゲン活性化因子からなる製剤および治癒が遅いまたは治癒しない傷(slow- or non-healing wounds)の治療における該製剤の使用に関する。さらに詳しくは傷治癒、たとえば創傷治癒、とくに持続性(persistent)または治療抵抗性(therapy resistent)下腿潰瘍、褥瘡、開放性の熱傷(open burns)およびそのほかの治癒が遅いまたは治癒しない傷の治療における傷治癒の改善に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
治癒が遅いまたは治癒しない傷は当業者に周知である。これらの傷は多くのタイプの外傷、微生物の感染、ガンおよびそのほかの多くの皮膚および組織の損傷の結果としてしばしばおこる。これらの傷に関係する問題は新しいものではなく、当業者に周知であり、文献での記載は二千年以上さかのぼる(たとえば、アー・シュオルツ(A.Scholz)著、「下腿潰瘍の診断および治療(Leg Ulcers Diagnosis and Treatment)」、ヴェー・ヴエスターホフ(W.Westerhof)編、1993年、エルゼビール(Elsevier)、アムステルダム(Amsterdam)、5〜18頁参照)。
【0003】
長い間、これらのタイプの傷の治療においてかなりの進歩が達成されたが、治癒が遅いまたは治癒しない傷の基本的な問題は今日なお存在する。以下に示すような多くの治療法(therapy)が提案され、開発されてきている。
【0004】
1.壊死組織を除去するための外科的および酵素的壊死組織切除法(debridemen t)。
【0005】
2.通常、血液供給の改善を目的とした薬理学的治療。
【0006】
3.治癒のための適度な湿った状態を維持することを補助する、現在広く使用されている閉鎖包帯。
【0007】
4.様々な方式の移植。
【0008】
5.最近より発展し、しばしば実験的である増殖因子にもとづく治療法。
【0009】
これらの治療法およびその組み合せにもかかわらず、遅い傷治癒は、重大な医学的、経済的および社会的問題を残している。この点に関して概観するためには、「下腿潰瘍の診断および治療(Leg Ulcers Diagnosis and Treatment)」、ヴェー・ヴエスターホフ編、1993年、エルゼビール、アムステルダムおよび「タンパク質分解酵素と傷治癒(Proteolytic Enzymes and Wound Healing)」、ヴェー・ヴエスターホフおよびヴェー・ファン・シェイド(W.Van Scheidt)編、1994年、シュプリンガー ファーラッグ(Springer Verlag)、ベルリン(Berlin)が参照される。
【0010】
前述した現存の治療法のいくつかは、本発明に関係して特別な注意を必要としている。
【0011】
酵素的壊死組織切除法において、酵素は傷を清浄(clean)し、壊死組織を除去するために使用される。通常、これらの酵素は非特異的タンパク質分解の性質を有する。なぜなら壊死組織における多種の成分が除去されなければならないからである。臨床的に使用される酵素製剤の例としては、
タンパク質を除去する酵素であるストレプトキナーゼおよびDNAを除去する酵素であるストレプトドルナーゼ(たとえば、フォルスリング・イー(Forsling E.)著、「下腿潰瘍の治療における生理的食塩水およびストレプトキナーゼ−ストレプトドルナーゼの比較(Comparison of saline and streptokinase-streptodornase in the treatment of leg ulcers)」、Eur.J.Clin.Pharmacol.、第33巻、637〜638頁、1988年およびシュチュヴェ・ウー(Stuewe U.)著、「酵素的傷清浄(Enzymatische Wundreinigung)」、Fortschr.Med.、第101巻、1883〜1888頁、1983年参照)、
フィブリノリジン(動物起源の純粋でないプラスミン)およびデオキシリボヌクレアーゼ(通常ウシ起源のもの)(たとえば、フィッシャー・エイチ(Fischer H.)ら著 、「脚の静脈性潰瘍における酵素的壊死組織切除(Enzymatic debridement in venous ulcers cruris)」、Fortschr.Med.、第102巻、281〜283頁、1984年およびヴエスターホフ・ヴェー(Westerhof W.)ら著、「自家皮膚移植前に治療される慢性の下腿潰瘍患者におけるフィブリノリジン−デオキシリボヌクレアーゼ(エラーゼ)溶液の制御された二重盲検試験(Controlled double-blind trial of fibrinolysin-desoxyribonuclease(Elase) solution in patients with chronic leg ulcers who are treated before antologous skin grafting)」、J.Am.Acad.Dermatol.、第17巻、32〜39頁、1987年参照)、ウシトリプシン(ヘルグレン・エル(Hellgren L.)著、「壊死性の下腿潰瘍における安定化したトリプシンおよびストレプトキナーゼ−ストレプトドルナーゼの清浄特性(Cleansing properties of stabilized trypsin and streptokinase-streptodornase in necrotic leg ulcers)」、Eur.J.Clin.Pharmacol.、第24巻、623〜628頁、1983年)、
パイナップルジュースから調製したブロメライン、
数種の細菌性コラゲナーゼまたはほかの細菌性プロテアーゼおよび
オキアミから分離したプロテアーゼ混合物からなるものがあげられる。
【0012】
治癒が遅いまたは治癒しない傷から壊死性デブリ(necrotic debris)を除去することは、感染の可能性を減少させ、傷治癒を促進させ、移植片の取り込み(graft take)に影響を及ぼすであろう。この分野の研究は既に長い間続いてきているが、大きな進歩はない。
【0013】
薬理学的治療は、傷の周囲の組織への血液供給を改善する目的をもって提案されてきている。この試みに関係して、チクロピジン(ticlopidine)のような抗血小板剤(antiplatelet drugs)、ヘパリンのような抗凝固薬、血管拡張薬および、ごく最近では血栓溶解剤(thrombolytic agent)たとえばストレプトキナーゼ、ウロキナーゼおよび組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)の血管内投与が適用されてきている。このタイプの治療の概観のためには、チェスター・ジェイ(Chester J.)およびダルマンディ・ジェイ・エイ(Darmandy J.A.)著、「下腿潰瘍の診断および治療(Leg ulcers diagnosis and treatment)」、ヴエスターホフ・ヴェー(Westerhof W.)編、1993年、エルゼビール、アムステルダム、313〜324頁が参照される。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明にしたがい、非細菌性プラスミノーゲン活性化因子型の局所投与された化合物が、治癒が遅いまたは治癒しない傷に関する限り傷治癒の過程を改善することが見出された。好ましくは、哺乳動物起源のプラスミノーゲン活性化因子型の化合物が本発明にしたがい使用される。
【0015】
とくに好ましくは、本発明は治癒が遅いまたは治癒しない傷の治療のための局所に用いる医薬製剤の製造における、t−PAを含むプラスミノーゲン活性化因子の使用に関する。さらに、本発明は生理学的に許容しうる担体およびt−PAを除くプラスミノーゲン活性化因子の有効量からなる局所適用のための組成物を提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】
欧州特許出願公開第0227400号明細書には局所に投与された組織プラスミノーゲン活性化因子が外科手術後の癒着の形成(post-surgical adhesion formation)を阻害することが記載されていることを追記している。癒着の形成は主要な外科手術後の合併症(post-surgical complication)である。好ましくは、t−PAは傷治癒が始まる前に外科手術による外傷(surgical trauma)部位へ適用される。該先行文献には、t−PAの使用そのものは傷治癒に関係ないことが記載されている。実際、癒着の形成は体の内部、主に腔(cavity)においておこる過程であり、それ自体は傷治癒とは関係していない。
【0017】
さらに、欧州特許出願公開第0261599号明細書においては、局所適用のための種々の組成物群が記載されている。これらの組成物は生物学的に活性のある物質(biologically active material)および局所適用に適した生理学的に許容しうる担体からなる。t−PAからなる局所に用いる製剤は、心臓発作患者(heart attack victims)の治療に対して記載されている。
【0018】
驚いたことには、本発明にしたがい、局所に投与されたプラスミノーゲン活性化因子が傷治癒を改善することが見出された。この改善された傷治癒の実際の機構は不明である。しかしながら、該機構はフィブリン溶解活性または壊死組織の除去とはまったく関係がない。なぜなら、フィブリン溶解剤であるストレプトキナーゼは、本発明にしたがう組成物およびその使用によってえられる傷治癒効果を与えないからである。
【0019】
本発明にしたがい治療される治癒が遅いまたは治癒しない傷は当業者に周知であるが、とくに体表面における傷たとえば創傷、さらに持続性または治療抵抗性下腿潰瘍、褥瘡、開放性の熱傷などがあげられる。
【0020】
本発明において使用される非細菌性プラスミノーゲン活性化因子は既知の物質であり、たとえば以下に示す文献に記載されている。またいくつかの該プラスミノーゲン活性化因子の薬理学的適用も当業者に知られている。
【0021】
本発明にしたがい使用されてもよいプラスミノーゲン活性化因子は非細菌起源のものであり、(プロ)ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、たとえば組換えDNA技術によって構築されたタンパク質であるグリコシル化した変異体(glycosylation variants)、ウロキナーゼもしくは組織プラスミノーゲン活性化因子の両方またはいずれか一方から構築されるかまたは、両方またはいずれか一方を含むハイブリッドタンパク質(hybrid-protein)のいずれかの変異体(variant)を含む。本発明にしたがう傷治癒の機構はフィブリン溶解活性とまったく結びついていないので、本明細書において使用される「プラスミノーゲン活性化因子」という用語は、構築物(constructs)、変異体またはもはやフィブリン溶解活性を有しない突然変異体(mutant)由来のプラスミノーゲン活性化因子も含むことができる。さらに、たとえばガーデル(Gardell)ら著、「チスイコウモリの唾液のプラスミノーゲン活性化因子の分離、特徴づけおよびcDNAクローニング(Isolation characterization and cDNA cloning of a vampire bat salivary plasminogen activator)」、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、第264巻、17947〜17952頁、1989年、クラッツシュマー(Kratzschmar)ら著、「チスイコウモリであるデズモダス・ロツンダスの唾液腺由来のプラスミノーゲン活性化因子ファミリーのクローニングおよび発現(The plasminogen activator family from the salivary gland of the vampire bat desmodus -rotundus- cloning and expression)」、ジーン(Gene)、第105巻、229〜237頁、1991年および欧州特許出願公開第0352119号明細書に記載されているチスイコウモリ由来のプラスミノーゲン活性化因子は本発明において適切に使用することができる。
【0022】
組織プラスミノーゲン活性化因子はヒトの組織、培養ヒト細胞から分離することができ、望ましくは当業者に既知の原核生物または真核生物の発現系における組換えDNA技術を使用することにより産生することができる。適切なt−PA型プラスミノーゲン活性化因子は、たとえば欧州特許出願公開第0400545号明細書、欧州特許出願公開第0289508号明細書、欧州特許出願公開第0227400号明細書、欧州特許出願公開第0440709号明細書および欧州特許出願公開第0231624号明細書に記載されている。
【0023】
適切なウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(u−PA)類およびプロウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(プロ−uPA)類については、たとえばフセイン(Hussain)ら著、アチーブス・オブ・バイオケミストリー・アンド・バイオフィジックス(Arch.Biochem.Biophys.)、第220巻、31〜38頁、1983年、スタンプ(Stump)ら著、「ヒト細胞培養由来の1本鎖ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子の精製および特徴づけ(Purification and characterization of single chain urokinase type plasminogen activator from human cell cultures)」、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、第261巻、1274〜1278頁、1986年、ウインクラー(Winkler)ら著、「大腸菌からの組換えウロキナーゼの精製および特徴づけ(Purification and characterization of recombinant urokinase from Escherichia coli)」、バイオ/テクノロジー(Bio/Technology)、第3巻、992〜1000頁、1985年、ウン(Wun)ら、「ヒト血漿由来のウロキナーゼの分離および特徴づけ(Isolation and characterization urokinase from human plasma)」、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、第257巻、1982年、国際公開第81/01417号パンフレット(1981)および欧州特許出願公開第0139447号明細書に記載されている。
【0024】
好ましくは、t−PA、ウロキナーゼおよび/またはプロウロキナーゼ、とくに好ましくはt−PAまたはその突然変異体が生理学的に許容される担体に配合され、本発明にしたがい使用される。
【0025】
本発明の好ましい実施態様は、下腿潰瘍の治療における先に定義したプラスミノーゲン活性化因子の使用である。
【0026】
本明細書における記載において、「局所な(topical)」および「局所適用(topical application)」という用語は、局部的な効果(local effect)のための傷の外表面への活性成分の非全身的投与(non-systemical administration)を表わす。
【0027】
プラスミノーゲン活性化因子は傷領域に軟膏剤(salve)、軟膏クリーム(ointment cream)、乳剤、フォーム(foam)、懸濁剤またはリポソーム製剤(liposome preparation)のような適当な形態で局所適用される。プラスミノーゲン活性化因子の水溶液は局所適用には通常適さない。塗りつける(smearable)ことができる高い粘度を有する製剤が好ましく使用されるだろう。活性物質(active substance)の局所適用に適切な組成物の多くの例はこの技術分野においては既知である。
【0028】
本発明にしたがい使用される組成物は、活性のあるプラスミノーゲン活性化因子の有効量からなる。標準的には、局所に適用する組成物の1グラムあたり0.01〜5mgのプラスミノーゲン活性化因子を含む組成物が使用される。
【0029】
好ましくは、そのような薬理学的組成物は滅菌性(sterile)または無菌性(aseptic)であり、管、びん(bottle)または容易な局所適用に適したほかの容器に封入することができる。
【0030】
局所適用に適したプラスミノーゲン活性化因子を含む薬理学的製剤は、傷領域への該製剤の局所適用により、ヒトの治療において有効かつ有利に用いることができる。
【0031】
この技術分野においては普通のことであるが、傷領域は通常、薬理学的組成物の適用前に清浄され、適当な傷包帯(wound dressing)および帯具(bandage)によって周囲から適当に隔離される。治癒が遅いまたは治癒しない傷の治療は、局所に用いる組成物の適用へ続く清浄過程が治癒の過程に依存して、1日〜4カ月の間、1〜7日の間隔ののち繰り返されるとき、より効果的である。間隔、投与期間およびプラスミノーゲン活性化因子を含む薬理学的組成物の投与量は、使用される剤、患者のタイプおよび創傷のタイプに依存して変化させることができるであろう。薬理学的組成物は、単独での薬物適用(single medication)またはほかの有用な薬物(medication)と組み合せて適用されてもよい。
【0032】
この分野において知られている一般的に使用される治療に対し抵抗性のある下腿潰瘍を患う患者を治療するために使用されたプラスミノーゲン活性化因子を含む局所に用いる組成物は、驚くべきことに少なくとも50%の患者を傷治癒に導いたことが見出されている。傷治癒の著しい改善はみられたけれども、傷治癒に関する問題の原因であると考えられているフィブリンの沈積物(deposition)は分解されなかった。血管外のフィブリン沈積物の分解に関係しないこの予期しない治療効果は解明されていない。
【0033】
以下の実施例に言及しながら、本発明をさらに詳細に述べる。
【0034】
【実施例】
実施例1
商業的に入手しうる組換え組織プラスミノーゲン活性化因子(アクチライス(商標)(ActilyseTM))を終濃度が5mg/mlになるよう滅菌水に溶解した。
【0035】
実施例2
以下に示す組成を有する、組織プラスミノーゲン活性化因子を含む軟膏(ointment)を調製した。
【0036】
4.8ml セトマクロゴル ワックス(cetomacrogol wax)
4.0ml パラフィン サブリク(paraffine subliq.)
7.2ml 白色ワセリン(vaseline white)
2.0ml プロピレングリコール
1.2ml 0.9重量/容量% 塩化ナトリウム水溶液
0.8ml 実施例1において調製したアクチライス(商標)溶液
【0037】
セトマクロゴルワックス、パラフィンおよびワセリンを溶解し、冷却しながら撹拌した。続いて、プロピレングリコール、塩化ナトリウム溶液およびアクチライス(商標)溶液の冷却した混合物(cold mixture)を連続的に撹拌しながら添加した。
【0038】
実施例3
組織プラスミノーゲン活性化因子を含み、以下に示す組成を有する軟膏を調製した。
【0039】
4.8ml セトマクロゴル ワックス
2.0ml パラフィン サブリク
2.2ml 白色ワセリン
1.0ml プロピレングリコール
9.2ml 0.9重量/容量% 塩化ナトリウム水溶液
0.8ml 実施例1において調製したアクチライス(商標)溶液
【0040】
実施例4
組織プラスミノーゲン活性化因子を含み、以下に示す組成を有する軟膏を調製した。
【0041】
4.8ml セトマクロゴル ワックス
4.0ml パラフィン サブリク
4.2ml 白色ワセリン
2.0ml プロピレングリコール
4.2ml 0.9重量/容量% 塩化ナトリウム溶液
0.8ml 実施例1に記載したアクチライス(商標)溶液
【0042】
実施例5
実施例2、3および4に記載した局所適用する製剤からの組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)の放出速度(release rate)を試験するために、規定した少量の軟膏(2〜30mg)を1cm2の濾紙片に適用した。続いて、該濾紙片を、0.1mol/l トリス−塩酸(Tris-HCl)、pH7.5および0.1重量/容量% トウィーン−80(商標)(Tween-80TM)を含む緩衝液1ml中、室温で24時間インキュベートした。緩衝液中の活性のあるt−PAの濃度を適当な活性分析により測定し、液相中のt−PA量を測定した量の軟膏にはじめに存在した量の百分率として表わした。
【0043】
あるいは、特異的免疫分析を用いて定量したt−PA抗原量を溶液中で測定し、軟膏中のはじめの量と比較した。
【0044】
実施例2の組成を有する軟膏について、24時間でt−PA活性において0.9±0.3%およびt−PA抗原において1.0±0.4%の放出がみられた。実施例3および4の軟膏では、24時間でそれぞれ8.9±2.4%および6.7±3.4%の放出がみられた。活性および抗原にもとづく放出が良好に一致したことは、t−PAの活性が軟膏中において保たれていることを示している。
【0045】
実施例6
4℃で貯蔵している間の実施例2〜4の様々な軟膏剤(ointment preparations)中のt−PAの安定性を、実施例5に記載の濾紙を用いた方法にしたがい、貯蔵前と1年後に、酵素活性を測定することにより測定した。1年間貯蔵後の製剤において60%以上のt−PA活性が残っていることがわかった。
【0046】
実施例7
治療抵抗性下腿潰瘍を患う6人の患者を、以下に示す手順にしたがい実施例3に記載した軟膏を用いて治療した。軟膏のシングルバッチ(single batch)を調製し、小さな管に分割し、使用するまで4℃で保存した。全治療期間は12週間であった。治療の間、新しい圧力勾配帯具(pressure gradient bandage)を1週間に2回適用した。この機会に、潰瘍の大きさに依存して0.1〜0.3mlのt−PA軟膏を潰瘍に平らに(evenly)適用した。傷は親水コロイド包帯(hydrocolloid dressing)および標準圧力勾配帯具(standard pressure gradient bandage)で覆った。
【0047】
試験における患者の包括基準は、フォトプレチスモグラフィ(photoplethysmography)により確認した脚の慢性的でクリーンな静脈性潰瘍(chronic clean venous ulceration of the leg)であった。糖尿病、うっ血性心不全または悪性疾患(malignancy)歴のある患者は含まれていなかった。なお、動脈疾患およびアンクル/ブランチ インデックス(ankle/branch index)が0.75未満である患者も除外した。治療する潰瘍の大きさは1.8〜5.1cm2と様々であった。
【0048】
全ての患者は試験の許可前に6〜24カ月(平均16カ月)間、正規の治療を続けていた慢性潰瘍を患っていた。
【0049】
0、4、8および12週間後に、評価を行なった。治療開始時、12週間後または12週間以内に治癒したときは治癒後に、評価のほかに生検材料を採り、フィブリン特異性モノクローナル抗体(モノクローナル抗体Y22、ワッシャー(Wasser)ら著、「血栓のイムノシンチグラフィ検出に有用な抗フィブリンモノクローナル抗体(An antifibrin monoclonal antibody useful in immunoscintigraphic detection of thrombi.)」、ブラッド(Blood)、第74巻、708〜714頁、1989年に記載)および確立された手法を使用し、フィブリンカフ(fibrin cuffs)に対して、免疫組織化学的に分析した。
【0050】
全ての患者が試験を終了した。悪化など(adverse events)は認められなかった。
【0051】
6人の患者中3人において、潰瘍は12週間以内(1人は4週間以内、2人は8週間以内)に完全に治癒した。ほかの3人の患者は期間内に治療法に反応しなかった。非常に注目すべきことに、傷が完全に治癒した群および治癒が不完全であった群ともに、フィブリンカフの減少はまったくみられないか、ごくわずかな減少がみられたのみであった。
【0052】
【発明の効果】
本発明により、治癒が遅いまたは治癒しない傷の治療のための非細菌性プラスミノーゲン活性化因子からなる局所に用いる医薬製剤が提供される。
Claims (4)
- 下腿潰瘍の治療のための局所に用いる医薬製剤の製造における、t−PAを含む非細菌性プラスミノーゲン活性化因子の使用。
- t−PA、ウロキナーゼおよびプロウロキナーゼを生理学的に許容しうる担体に配合する請求項1記載の非細菌性プラスミノーゲン活性化因子の使用。
- t−PAまたはt−PAのグリコシル化変異体もしくはハイブリッドタンパク質から選択されるt−PA突然変異体を生理学的に許容しうる担体に配合する請求項1または2記載の非細菌性プラスミノーゲン活性化因子の使用。
- 適量のt−PAを含む非細菌性プラスミノーゲン活性化因子を含む下腿潰瘍治療用の局所薬。
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