JP3053965B2 - 加工卵黄の製造方法 - Google Patents

加工卵黄の製造方法

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JP3053965B2
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田 明 弘 半
健 小笠原
林 康 子 小
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キユーピー株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加工卵黄の新規な製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、コレステロールの含有量を減
らした加工卵黄を製造する方法の一つとして、油脂をコ
レステロールの抽出溶媒として用いる方法が知られてい
る。具体的には、例えば、卵黄液中に油脂を添加して充
分混合し、水中油型に乳化したのち、油相と水相(卵黄
相)とに分離し、次いで分離した油相を除去して卵黄中
のコレステロールの含有量を減らすという方法が知られ
ている(特開昭50−116662号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが一旦水中油型
に乳化した油脂を分離するのは必ずしも容易ではなく、
分離のために乳化状態を破壊する必要があり、そのため
に、例えば油脂の凝固点以下に(使用した油脂にも依る
が通常−10〜−25℃で10〜50時間)保持するな
ど、手間がかかるという問題があった。よって、本発明
は、油脂を用いて卵黄からコレステロールを抽出してそ
の含有量を減少させる際に乳化後の油脂の分離を一段と
し易くさせた加工卵黄の製造方法を提供することを目的
とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成しようと種々研究を重ね、本発明を完成するに
至った。すなわち、本発明は、卵黄液を油脂と混合して
油中水型に乳化し、次いで油相を分離除去することを特
徴とする加工卵黄の製造方法を提供するものである。
【0005】以下、本発明を詳しく説明する。本発明に
おいて卵黄液とは液状をした卵黄をいい、代表的には割
卵して卵白を分離除去して得られる卵黄液(通常水分含
量約50%)が挙げられる。
【0006】本発明において油脂とは、常温で液状の食
用油脂の他、加温により液状としうる固状の食用油脂を
も包含する。混合操作の容易性の観点から液状油が好ま
しい。
【0007】本発明の方法によれば、まず、卵黄液を油
脂と混合して油中水型に乳化する。卵黄液と油脂との配
合割合は、両者の混合により油中水型に乳化させうる限
り特に限定されるものではないが、通常卵黄液対油脂が
1対0.2〜1.5程度でよい。油中水型の乳化は、具
体的には例えば、油脂を収容したホモゲナイザーあるい
はホモミキサーを8,000〜15,000rpm程度
で撹拌しながらその中に卵黄液を徐々に添加し、次いで
更に3〜15分間程度撹拌を継続すれば好ましく実施し
うる。なお、卵黄液の添加をあまり急激に行なうと油中
水型であった乳化が水中油型に転相し易くなるので注意
を要する。また、乳化に際して卵黄液および油脂を50
〜60℃程度に加温すると、卵黄中のコレステロールが
油脂中に移行し易くなることから好ましい。
【0008】本発明の方法によれば、卵黄液と油脂とを
油中水型に乳化して得られた乳化物は次いで、コレステ
ロールを抽出した油相を該乳化物から分離除去する。本
発明者らは、上記のように油中水型に乳化して得られた
乳化物は、意外にも、このものを単に静置するだけで2
0〜40分経過後にはこのものは油相と水相とに分離す
ることを見出した。よって、このようにして分離された
油相は傾斜により水相から除去できるが、例えば遠心分
離機などを用いれば例えば2,000rpm×15分程
度で一層容易に水相から除去し得る。また、前記したよ
うな本発明の方法により得られた油中水型乳化物は、乳
化状態のまま直接連続的な遠心分離に付すことにより、
意外にも極めて容易に(例えば2000rpm×15分
程度)油相の分離除去が直接的に行ないうる。分離除去
した油相には卵黄中に存在していたコレステロールの大
半が抽出されており、よって該油相の除去により卵黄中
のコレステロールの含有量を低減させることができる。
【0009】
【作用】本発明の方法によれば、油脂をコレステロール
の抽出溶媒として用い、冷凍手段で乳化破壊を行なって
いた従来の方法に比べて乳化後の油脂の分離を一段と容
易になし得るが、これは多分、本発明において卵黄液と
油脂との乳化を油中水型の乳化とすることに基因すると
考えられる。すなわち、油中水型の乳化状態にあると比
重が軽い油脂は浮上し易くなり、よって乳化物を単に静
置するだけで油相と水相とに分離させることができるよ
うになるのではないかと推定される。
【0010】
【実施例】以下、本発明を実施例および試験例でもって
更に詳しく説明する。なお、本発明において部および%
はいずれも重量基準である。実施例1 50℃に加温した大豆サラダ油(100部)を収容した
ホモゲナイザーを10,000rpmで撹拌しながらそ
の中に卵黄液(割卵して卵白を分離除去して得られた天
然の生卵黄100部:品温50℃)を10分かけて徐々
に添加し、次いで更に5分間撹拌を継続して油中水型に
乳化した。撹拌を中止して得られた乳化物をそのまま静
置し、30分経過後浮上した油相(約150部)を傾斜
により水相から除去し、本発明の加工卵黄を得た。
【0011】実施例2 上記実施例1において、卵黄液100部に対して大豆サ
ラダ油120部を用いたこと、並びに油中水型に乳化し
て得られた乳化物を30分経過後遠心分離(2,000
rpm×15分)に付して油相を水相から除去した他は
すべて実施例1に準じて本発明の加工卵黄を製造した。
【0012】実施例3 上記実施例1において、卵黄液100部に対して大豆サ
ラダ油150部を用いた他はすべて実施例1に準じて本
発明の加工卵黄を製造した。
【0013】試験例 上記実施例1における本発明の加工卵黄の製造方法並び
に該方法による卵黄中のコレステロールの除去率に関し
て、下記の従来の加工卵黄の製造方法(対照方法)並び
に該対照方法による卵黄中のコレステロールの除去率を
それぞれ比較し、その結果を下記の表に示した。対照方
:実施例1での乳化に際して、50℃に加温した卵黄
液を収容したホモゲナイザーを撹拌しながらその中に大
豆サラダ油を添加混合して水中油型に乳化した他はすべ
て上記実施例1と同様にして加工卵黄の製造を試みたと
ころ、この方法では乳化後に2時間静置しても油相の分
離は見られず、また遠心分離機にかけても油相と水相と
がなかなか分離しにくく加工卵黄は得られなかった。よ
って、水中油型に乳化して得られた乳化物を−20℃で
24時間保持することにより乳化状態を破壊し、浮上し
た油相を上記実施例1におけるのと同様に遠心分離に付
して対照の加工卵黄を得た。 項 目 本発明方法 対照方法 乳化の型 油中水型 水中油型 30分静置後の油相分離状況 ○ × 遠心分離後の油相分離状況 ○ × 卵黄中のコレステロール除去率 52% 18% 註:表中の記号は以下の意味を有する。 ○ …… ほぼ分離している × …… ほとんど分離なし
【0014】
【発明の効果】本発明の方法によれば、油脂を用いて卵
黄からコレステロールを抽出してその含有量を減らした
加工卵黄が極めて高いコレステロール除去率でもって得
られ、しかもその製造に際して乳化後の油脂の分離を一
段と容易になし得た加工卵黄の製造方法が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/32

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】卵黄液を油脂と混合して油中水型に乳化
    し、次いで油相を分離除去することを特徴とする加工卵
    黄の製造方法。
  2. 【請求項2】油中水型に乳化した乳化物を静置すること
    により油相と水相とに分離させる、請求項1に記載の加
    工卵黄の製造方法。
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