JP2848662B2 - 動物脂肪のコレステロール含有量および遊離脂肪酸含有量を減少させる方法 - Google Patents

動物脂肪のコレステロール含有量および遊離脂肪酸含有量を減少させる方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、動物脂肪中に含まれるコレステロールと遊
離脂肪酸とを減少させるための方法と、その方法を実施
することによって得られた脂肪原料に関する。
[従来の技術] 動物脂肪、例えば乳脂肪(バター、クリームなど)、
スエット脂肪およびラードは、ステロール、特に遊離脂
肪酸と同様にコレステロールを含むことが知られてい
る。
このコレステロールはスレロイドホルモンや胆汁酸の
前駆体として、あるいは細胞膜構成成分としての生理的
重要性にもかかわらず、血中コレステロールの増加は心
臓病や動脈硬化などの疾患の原因として考えられてい
る。
そこで従来から食用として利用される動物脂肪中に含
まれるコレステロールの量を減少させる試みがなされて
きた。
例えば、240℃ないし280℃の温度で高真空によるエバ
ポレーションを行なうことによってコレステロールを抽
出することができる。しかし、この方法ではコレステロ
ールの含有量を減少させることはできても、芳香属化合
物の揮発性部分がコレステロールとともに蒸発してしま
うという欠点がある。
また、活性炭を用いて70℃ないし90℃の温度条件下で
濾過装置を用いて脂肪の濾過を行なうことによって、脂
肪のコレステロール含有量を減少させることはできる。
しかし、活性炭にコレステロール以外の物質、例えば芳
香属化合物、抗酸化物が吸着され、また活性炭によって
脱色もされてしまうという欠点がある。
さらに、二酸化炭素によるコレステロールの抽出にお
いては、抽出条件を、例えば圧力100バール以上という
ように厳密に設定する必要があり、この方法を工業化し
て利用するのは大変困難である。また、この方法ではコ
レステロールの抽出は非選択的に行なわれるので、例え
ば乳脂肪をこの方法で処理するとトリグリセリド短鎖の
重要な部分も抽出されてしまうという欠点がある。
上記問題点を解決するために、特許出願EP−A−O256
911号はシクロデキストリンに液状化した動物由来の脂
肪を接触させてこの脂肪のコレステロール含有量を減少
させる方法を開示した。この方法では非酸化環境でシク
ロデキストリンと液状化された脂肪とを含む接触反応液
を撹拌することによって、両者の接触時間を延長させる
ことができ、さらに温度条件を脂肪の融解温度と80℃と
の間に設定することによって30分から10時間にわたって
接触処理を行なうことができる。このようにして接触反
応を一定時間行なった後、反応溶液に水を加えて水相を
形成させ、脂肪相からコレステロールとシクロデキスト
リンとからなる混成物を水相とともに分離することがで
きる。
[発明が解決しようとする課題] しかし、特許出願EP−A−O256911号に開示された方
法では、一回の分離操作で成し遂げられるコレステロー
ル含有量の減少は限られており、処理前のコレステロー
ル含有量の約18%ないし33%にすぎない。コレステロー
ル含有量を大幅に減少させようとすれば、前記方法を数
回行い、かつ必要に応じて各回ごとに脂肪相の洗浄操作
を行う。また、理論的にはコレステロール含有量を処理
前のコレステロール含有量に対して80%まで減少させる
ことが可能ではあるが、例えば3回の操作で減少される
コレステロール含有量は処理前のコレステロール含有量
に対して41%にすぎない。さらに、特記すべきことは前
記特許出願は遊離脂肪酸含有量の減少に関して何ら言及
されていないということである。
そこで本発明は上記事情に鑑みて、一回の操作で動物
脂肪中のコレステロール含有量と遊離脂肪酸含有量とを
効率よく、しかも短時間で減少させることが可能な方法
とその方法によって得られた脂肪原料とを提供すること
を目的とした。
[課題を解決するための手段] 上記課題を解決するために、本発明は水存在下におい
てシクロデキストランと脂肪とを接触させた後、シクロ
デキストランと、コレステロールと、遊離脂肪酸との間
に形成された混合物を分離することからなる動物脂肪の
コレステロール含有量および遊離脂肪酸含有量を減少さ
せる方法において、水/脂肪の量比が0.4/1ないし1.9/1
の間、好ましくは0.7/1から1.5/1の範囲内、より好まし
くは1/1に近似した値になるようにした。
混合物の形成において水の存在はたいへん重要な条件
であり、前記範囲にもとづいた水/脂肪の量比の選択に
よってコレステロールの抽出および遊離脂肪酸の抽出を
素早く、かつ効率的に行うことが可能となる。
水はシクロデキストリンと別々に、あるいは同時に添
加した。それらを別々に添加する場合は、水の添加は脂
肪へシクロデキストリンを添加する前でも後でも良い。
シクロデキストリンを添加した後に水を添加する場合、
混合物の形成は水の添加前でも開始されてはいるが、水
添加後に比べてその形成速度は遅い。水を添加すること
によって、混合物の形成は急速に行われ、しかも完全に
行われる。
このように、水添加によって混合物の形成が加速され
ることから、シクロデキストリンを溶解させるときに水
を添加しておくことが好適であり、前以て、この水にシ
クロデキストリンを溶解しておくことがより好ましい。
本願発明者らは、水中油(oil−in−water)型エマル
ジョンの形成によってコレステロールの抽出および遊離
脂肪酸の抽出を効率よく、かつ素早く行うことが本願目
的を達成するために重要であることを発見した。
シクロデキストリン−コレステロールおよびシクロデ
キストリン−遊離脂肪酸からなる混合物は脂肪−水溶液
の脂質相と水相との境界面に形成され、この混合過程は
水中油型エマルジョンの形成によって急激に行われる。
このために、エマルジョンの形成条件に合った水量、
温度および撹拌の諸条件を検討して設定する必要があ
り、これによってシクロデキストリンと、コレステロー
ルと、遊離脂肪酸との接触が最も効果的に行われるよう
にする。
シクロデキストリンと、コレステロールと、遊離脂肪
酸との混合はエマルジョンの中で行われ、水を添加しな
い場合のシクロデキストリンと脂肪との接触では、脂肪
からコレステロールも遊離脂肪酸も抽出することはでき
ずそれらの含有量を減少させることはむずかしい。しか
し、特許出願EP−0−0 256 911号においては通常30分
の接触がなされ、かつその特許出願の実施例においては
3時間の接触が行われている。
しかし、前記特許出願に開示された方法には水中油型
エマルジョンの形成が行われておらず、さらに水添加後
においても、このエマルジョンの形成は行われない。な
ぜなら、前記特許出願に開示された方法では水の添加量
が多すぎるからである。それゆえ、必要以上の水が添加
されていることから、混合物は不安定なものとなってい
る。
よって、水の添加量と脂肪の量との比を決定すること
は、水中油型エマルジョン形成にとってたいへん重要な
ことである。また、水の添加量が脂肪の量に比して少な
い場合は、エマルジョンの粘性が高くなり、混合物の分
離が困難となる。
本発明においては、水非存在下でシクロデキストリン
を脂肪に添加すると、水非存在下における両者の接触は
20分間まで維持、好ましくは10分間まで維持される。
また、本発明においては、シクロデキストリンを脂肪
と混合する前に水に添加しておくことが可能である。
コレスレロールおよび(または)遊離脂肪酸を抽出す
るための脂肪試料、特にクリームが、水に含まれるエマ
ルジョンのかたちとして存在している場合、シクロデキ
ストリンを粉末化してエマルジョンに添加するとよい。
もし、必要とあればシクロデキストリンを水相に溶けや
すくするために、それなりの温度条件を与えるとよい。
さらに、本発明においては、シクロデキストリンの添
加量に応じて、シクロデキストリンの溶解温度に近い温
度に合わせて脂肪−水−シクロデキストリン溶液の温度
を設定する。
本発明に用いられるシクロデキストリンの添加量は、
脂肪の重量に対して1%ないし10%で、好ましくは3%
ないし8%で、かつ一般的には5%以上であることが好
ましい。
本発明にもとづいてシクロデキストリンの異なるタイ
プのものもしくは修飾されたシクロデキストリンを用い
ることが可能である。例えば、αシクロデキストリン、
βシクロデキストリン、γシクロデキストリン、ヒドロ
キシアルキルシクロデキストリン、マルトシルシクロデ
キストリン、グルコシルシクロデキストリン、アルキル
シクロデキストリン、α−1−4結合に結合した6、7
および8のグルコピラノース単位をもつシクロデキスト
リンなどがある。好ましくはβシクロデキストリンを用
いるとよい。
本発明にもとづく方法においては、脂肪の重量に対し
て5%以上となるようにしてβシクロデキストリンを用
いた。これによって、脂肪に含まれるコレステロールの
96%以上、場合によっては100%除去することが可能で
ある。
また、脂肪、水およびシクロデキストリンからなる溶
液の撹拌は、シクロデキストリンと脂肪とが十分に接触
し合うようにして、かつ水中油型エマルジョンの形成が
可能となるようにしておこなう。上質のエマルジョンを
得るためには、水相に拡散される脂肪の粒子の大きさ
を、40μm以下にすることが望ましい。もちろん、ほと
んどの粒子がこの大きさ以下であればよく、そのなかに
100μmぐらいの大きさの粒子が含まれていてもさほど
問題とならない。
これによって、水相と脂肪相との境界面にシクロデキ
ストリンとコレステロールとからなる混合物およびシク
ロデキストリンと遊離脂肪酸とからなる混合物が形成さ
れる。この境界面において、接触に好適な撹拌条件下で
撹拌をおこなうことによってそれらの混合物は急激に形
成される。形成された混合物は不溶化した状態で水相中
に濃縮されて存在する。ここで注意すべきことは、撹拌
が必要以上に強力におこなわれるとエマルジョンの粘性
を上げてしまうということである。それによって撹拌処
理後の水相と脂肪相とを分離する段階に移行するのが困
難となる。
好ましい撹拌方法としては、例えば螺旋状のスターラ
ーで高速撹拌するような装置を用いるのがよい。その場
合、スターラーの回転速度は800rpm以上が好ましく、実
際使用される回転速度は2000rpmである。もし、撹拌が
適切に行われば、脂肪、水およびシクロデキストリンか
らなる溶液の状態変化が視覚的に確認できる。すなわ
ち、溶液の色が白い縞の交じった淡黄色から均一な乳色
かかった黄色に変化する。
脂肪の重量に対してシクロヘキサンが5%台となるよ
うにし、前記した範囲内の水/脂肪重量比を選択するこ
とによって、また適切な撹拌を行うことによって、水中
脂肪エマルジョンの形成が可能となる。その結果、1回
の操作で、しかも脂肪とシクロデキストリンとの接触が
短時間であるにもかかわらず、脂肪からコレステロール
および遊離脂肪酸を抽出することが可能である。
エマルジョンを形成させるための温度は、前記したよ
うに、シクロデキストリンの添加量に依存し、そのシク
ロデキストリンを水に溶解するための溶解温度に近い温
度にする。
もし、温度が高すぎれば、好適なエマルジョンは形成
されず、そのエマルジョンから形成されるべき混合物の
形成も影響を受ける。また温度が低すぎる場合は、混合
物を形成させる前の段階で、水相中においてβシクロデ
キストリンが再結晶してしまう。
多くの実験を行った結果、脂肪−水−シクロデキスト
リン溶液の最適温度は、シクロデキストリンの水に対す
る溶解曲線によって決定され、超冷却現象を考慮して、
好ましくはシクロデキストリンの溶解温度よりもやや低
めの温度を選択することが望ましい。それによって、シ
クロデキストリンとコレステロールとからなる混合物お
よびシクロデキストリンと遊離脂肪酸とからなる混合物
の沈澱または結晶化を促進することができる。
シクロデキストリンの添加量に合わせた水の添加量お
よび温度条件の設定しかたによって、コレステロールの
抽出量が大きく変わる。また、形成された混合物は水相
に不溶化されて存在しなければならないようである。
温度条件に依存した水に対するβシクロデキストリン
の溶解性は、J.Szejti著「Cyclodextrins and their in
clusion complexes」(Academiai Kiado,Budapest 198
2)に記載されており、それを第1表に示す。また、そ
れに一致する溶解曲線を第3図に示す。
実際においては、シクロデキストリンの溶解温度をT
とすると、脂肪−水−シクロデキストリン溶液の温度
は、T−15℃からT+15℃までの範囲内、好ましくはT
−15℃からT+10℃までの範囲内で設定するのがよい。
一般に溶解温度よりも5℃以上高くならないようにす
る。
前記した範囲内の水/脂肪重量比になるようにし、か
つシクロデキストリンの溶解曲線にもとづいて決定した
温度範囲内のエマルジョンの温度条件および適切な撹拌
条件によって、好適な水中油型エマルジョンの形成を容
易に行うことが可能となる。その結果、混合物の形成を
素早く行うことが可能となる。すなわち、1分ないし20
分、好ましくは5分ないし10分の短時間の撹拌にもかか
わらず、混合物の形成がほぼ完全に達成される。
以上説明したように、本発明にもとづく方法によれ
ば、シクロデキストリン、水および脂肪の接触時間を非
常に短くすることが可能であり、このことは従来技術に
おいては為されないことであった。従来技術に比して本
発明にもとづく方法が大変優れているという点は、二酸
化炭素ガス等を特に使用する事なく普通の大気条件下で
実施できるということである。
混合物形成後、水相と脂肪相との分離は遠心分離法等
の従来から行われている分離方法によって行うことが可
能である。
遠心分離は脂肪の融解温度よりも高い温度条件下でお
こない、好ましくは混合物の形成に用いられた温度付
近、より好ましくはその温度よりもやや低くいほうがよ
い。
好ましくは、脂肪−水−シクロデキストリンからなる
溶液の冷却処理を混合物の形成段階とその分離段階との
間におこなうとよい。それによって、形成された混合物
の安定性をより一層高め、かつ完全なものにすることが
可能となるからであろう。例えば、形成された混合物の
不溶化を完全に行うために前記溶液を25℃ないし35℃ま
で(好ましくは30℃)冷却した後、約40℃ないし45℃ま
で温度を上げる。
脂肪相から水相に不溶化した混合物が移動したら、そ
れを遠心分離によって分離する。なお、混合物はコレス
テロールおよび遊離脂肪酸を包み込んだシクロデキスト
リンからなるものである。
分離後、水相にはわずかながらシクロデキストリンが
混入している。
コレステロールおよび遊離脂肪酸を除去された脂肪
は、水を僅かながら含んでおり、その含有量は約5%ぐ
らいである。そこで、脂肪を過熱して水を真空蒸発させ
る。その結果、99.9%まで脂肪を精製することができ
る。
脂肪相と水相とを分離した後、脂肪を水洗浄ととも
に、遠心を繰り返すとよい。
混合物形成後の脂肪相と水相との分離は、冷エマルジ
ョンの撹拌(churning)によって行うことが可能であ
る。また、この撹拌は必要に応じて脂肪の融解および遠
心分離に引き続いて行うことも可能である。
この方法によれば、まず始めに本発明に基づいて脂
肪、シクロデキストリンおよび水によって形成されるエ
マルジョンの冷却が行われ、つづいて約10℃の温度下で
数時間のエマルジョン熟成処理を行い、熟成後にエマル
ジョンを撹拌する。
エマルジョンの冷却および物理的熟成は引き続いて行
われる撹拌にとって必要とされる脂肪の結晶化(少なく
とも部分的結晶化)を目的としている。この段階におい
ては、低温条件が不溶化による混合物の安定性をより完
全なものにする。
前記撹拌は日常的に使用される手段を用いたものであ
る(batch−wise churn)。しかし、連続バター製造器
(continuous butter maker)を用いてもよい。
エマルジョンの撹拌は低温で行う。好ましくは10℃以
下でおこなうとよい。そして、この撹拌によって得られ
た脂肪を水洗いして冷所保存するとよい。
冷所保存された脂肪は必要に応じて再び加熱されて融
解される。この加熱は約45℃で行う。また、遠心分離に
よって脂肪に含まれているシクロデキストリン等のコン
タミを除去する前に行う。
また、前記したように、遠心分離による精製の前に、
脂肪を水で洗う。
なお、脂肪が無水乳脂肪(以下、ADFと略す)または
乳クリーム(以下、クリームと呼ぶ)からなる場合、コ
レステロールおよび遊離脂肪酸含有量を減少させたADF
を調整するための抽出および蒸発処理後の撹拌段階で、
すでに市場に供給することが可能なぐらいコレステロー
ルおよび遊離脂肪酸含有量を減少したバターを得ること
が可能である。
以下、本発明を実施例にもとづいて詳細に説明する。
「実施例」 第1図は本発明の脂肪処理方法を連続方式で行うため
の装置を一例を示すものである。以下、この装置を用い
た脂肪処理方法について説明する。
まず、図中符号1にて示されるβ−シクロデキストリ
ンを定量装置にて、β−シクロデキストリンを定量する
と共に、図中符号2にて示される水定量装置にて水を定
量する。このように定量されたβ−シクロデキストリン
および水は、タンク3内にて混合され、β−シクロデキ
ストリン溶液となる。次いで、このβ−シクロデキスト
リン溶液はエマルジョンタンク4に導入される。脂肪
も、脂肪定量装置5により定量、加熱された後、エマル
ジョンタンク4に導入される。このようにして導入され
たβ−デキストリン溶液および脂肪は、エマルジョンタ
ンク4内にて脂肪相および水相とされた後、遠心分離器
6により分離される。遠心分離器6にて分離された水相
は配管7に導かれ、また脂肪相および水相の混合液は配
管8に導かれ、脂肪相は配管9に導かれる。配管9に導
かれた脂肪相は、加熱装置10にて再加熱された後、減圧
脱水装置11内にて、脱水される。
本発明の脂肪処理方法は、部分的もしくはその全部を
回分方式にて行うことも可能である。
第2図は、本発明の脂肪処理方法を回分方式で行うた
めの装置の一例を示すものである。この処理装置は、内
部にシクロデキストリン溶液が満たされた溶液タンク12
と、二重壁構造を有し、その壁の間を熱水が循環できる
ようになっている反応槽13と、反応槽13内に取り付けら
れた螺旋形の撹拌翼と、反応槽13の底面に設けられた排
出口15と、遠心分離器6とから構成されるものである。
次に、実施例および比較例を用いて本発明をより具体
的に説明する。なお、以下の実施例および比較例におい
て用いた分析方法について以下に示す。
コレステロールの定量方法 コレステロールは、ジギトニンによるステロールの沈
殿法にて定量した。(ADF中のステロール分の内、98%
のコレステロールが検出される。) 遊離脂肪酸の定量方法 遊離脂肪酸は、イソプロパノールと石油エーテルとの
中性混合液中にADFを溶解させたサンプルの酸性度を滴
定にて測定した。(滴定は、指示薬としてチモールブル
ーを用いて、n−テトラブチルヒドロキシアンモニウム
にて行った。) 実施例1 45℃に加熱されたADF1kgを、二重壁構造を有する5lの
反応槽内に投入した。この反応槽には、回転速度を調節
できる螺旋状の撹拌翼と、排出口とを有するものであ
る。この二重壁構造の壁の間には、45℃の温水が循環さ
れており、これにより反応槽の温度を45℃に維持してい
る。
次いで、この反応槽内に、50gのβ−シクロデキスト
リンを投入した(すなわち、脂肪に対して5重量%に相
当する量を投入した。)。このβ−シクロデキストリン
は、撹拌によって脂肪に均一に分散させるものである。
β−シクロデキストリン投入後、1分間撹拌することに
より、ADF内にβ−シクロデキストリンが分散する。
1分間の撹拌の後、この分散液に、55℃、1の水が
添加される。ここでの撹拌速度は、β−シクロデキスト
リンをADFに溶解する工程より速められる。これは、水
相と脂肪相を十分に撹拌し、そして遊離脂肪酸と同様に
コレステロールにおいてもシクロデキストリンとの混成
物を形成するのに十分な程度の水相と脂肪相との界面が
得られ、そしてこれらが水相側に移動するようにするた
めである。
この撹拌時の温度は50℃以下が好ましく、また水の存
在下における撹拌時間は10分間である。
各相の混合物は、連続的に遠心分離器により相間を分
離する処理がなされる(ここで、各相とは脂肪相、水相
およびココレステロールと遊離脂肪酸とをカプセル化し
たβ−シクロデキストリン相を指すものである。)。水
に水溶の混合物は遠心分離機の内側に沈殿し、その後再
生される。この遠心分離器による分離操作は、約8分間
行なわれる。遠心分離器により分離された脂肪相には、
約0.2%の水分が含有されているが、減圧下において脱
水することにより、水分量を0.1%以下とすることがで
きる。ADFは、水洗工程を行わずに再生することができ
る。実験例14以降の例より明らかなように、純度に関し
ては水洗工程は必ずしも必要ない。
実施例2ないし6 試験条件は、ADFとβ−シクロデキストリンとの混合
時間を除いて実験例1とほぼ同様にして行った。上記混
合時間を、実験例2では5分、実験例3では10分、実験
例4では20分、実験例5では40分、実験例6では120分
とした。
コレステロールと遊離脂肪酸の処理前および処理後の
濃度を第1表に示す。
第1表より、水と脂肪の重量比率が1/1であり、水の
存在下における撹拌がわずか10分であっても、コレステ
ロールの減少率は70%にも及ぶことがわかる。また、遊
離脂肪酸の減少率は約30〜40%程度であった。
このシリーズのテストは、水が無い状態で、シクロデ
キストリンと脂肪との混合時間を変化させたものである
が、この混合時間が1分もしくは5分ですでにコレステ
ロールの除去率がすでに65〜71%に達しているため、こ
の混合時間の変化は、コレステロールの除去率に対し、
大きな影響を与えない。むしろ、長い時間混合すること
は、コレステロールや遊離脂肪酸の抽出量の点からみる
と有害であることがわかる。
なお、比較例(EP0256911特許明細書)においては、
重量比率を水/ADF=10/1とし、水の無い状態で3時間撹
拌し、さらに水を加えて3時間撹拌したにもかかわら
ず、コレステロールの除去率が26%にすぎなかった。
実施例7ないし12 これらの実施例では水/ADFの重量比の影響について明
らかにすることを目的としている。
実施例1ないし6は、水/ADFの重量比を1/1に設定し
ておこなわれた。ここでは、水/ADFの重量比があまりに
も大きな値をとると、なんら水/ADFの効果が認められな
くなることを示している。
実験条件は実施例3と同じで、すなわち、水非存在下
におけるβシクロデキストリンとADFとの接触時間を10
分間とし、βシクロデキストリンの脂肪に対する添加量
は5重量%とした。水存在下における撹拌による接触は
10分間行い、温度は約50℃とした。実施例によって、5
重量%のβシクロデキストリンを含むADFおよび水の量
を以下のようにした。
実施例: 実施例7:50gのシクロデキストリンを含む1kgのADFに対
して水を2kg。
実施例8:50gのβシクロデキストリンを含む1kgのADFに
対して水を1kg。
実施例9:25gのβシクロデキストリンを含む0.5kgのADF
に対して水を2kg。
実施例10:25gのβシクロデキストリンを含む0.5kgのADF
に対して水を2.5g。
実施例11:25gのβシクロデキストリンを含む0.5kgのADF
に対して水を3g。
実施例12:15gのβシクロデキストリンを含む0.3gのADF
に対して水を3kg。
以上のような量比によって実施例7ないし12の実験を
行い、その結果を第2表に記載した。この表から明らか
なように、他の条件が同一であるにもかかわらず、水/A
DFの重量比の値によって、抽出によって得られる産物の
状態に大きな変化があることがわかった。実際、実施例
3(水/ADF重量比は1/1)ではコレステロール含有量の
減少が67%であったのに、実施例7(水/ADF重量比は2/
1)では26%であった。また、コレステロール含有量の
減少は水/脂肪の比を高くすることによって抑えられ
た。
しかし、遊離脂肪酸含有量の減少に対してはコレステ
ロール含有量の減少量ほど影響を与えなかった。しか
し、もっとも効果的な水/脂肪の重量比は約1/1であっ
た。
実施例13 実験条件は実施例2と同じであるが、本実施例におい
ては水相と脂肪相との分離をデカンテーションによって
行った。このデカンテーションは55℃の温度条件下で、
1kgの水を用いて3回洗浄した後に行った。ここでの洗
浄操作はβシクロデキストリンの混合物を出来るだけ多
く除去することを目的として行うものである。デカンテ
ーションによって得られた脂肪は、実施例3に示した遠
心分離による方法よりも多かった(デカンテーション10
分間において15%、遠心分離では0.2%の脂肪相を分離
した)。
前記3回の洗浄操作の最後の段階は、真空蒸発によっ
て水を取り除いた。
このようにして得られたコレステロール含有量の減少
および遊離脂肪酸含有量の減少に関する結果は第2表に
示した。
実施例14 実験条件は、35℃に保温されたADFと1900cm3の水とを
ADF−シクロデキストリンからなる混合物に添加するこ
と以外は実施例1と同じである。
混合物の温度は最大35℃に維持し、水存在下における
撹拌による接触は10分間行った。遠心による分離は実施
例1と同様の条件下で行い、これによってコレステロー
ルが45%減少した。この実施例は以下のことを示すもの
である。すなわち、脂肪−水−シクロデキストリンの混
合において、温度を最適なものに設定することにより、
水/脂肪の量比が高い場合でも好ましい結果を得ること
ができる。また、水/脂肪の重量比の値を1.9、あるい
は2以上にした場合、混合物の温度をその混合物に含ま
れる物質の固化温度よりも低くすることができる。
実施例16ないし34 実施例16ないし34は第2図に示した装置によってなさ
れた。
タンク12においてβシクロデキストリンの一定量を水
1.5kgに溶解する。
ADFが液化されていない場合は、タンク13の二重壁の
間に熱湯を入れ、そしてADFおよび水のそれぞれ一定量
をタンク13に加えてADFを液化する。
βシクロデキストリンの溶液を液化ADFに混合し、タ
ンク13上に設けられた水平撹拌装置14によって2、000r
pmの回転数をもって強く撹拌する。タンク13内部に形成
されたエマルジョンは、タンク13の二重相に流れ込む熱
湯によって一定温度に維持されている。
10分間の混合後、混合物はタンク13内部からドレイン
コック15によって排出され、遠心分離装置6によって水
相と脂肪相とに分離される。研究室レベルで実施するこ
とを考えるならば、遠心分離装置はALFA−LAVAL100AE型
クリーム分離器を用いることが可能である。工業的規模
では遠心分離機による精製手段を利用するとよい。βシ
クロデキストリンの量やエマルジョンの温度が異なって
も行うことができる。
βシクロデキストリンの量や温度条件についても、コ
レステロールおよび遊離脂肪酸の抽出実験結果とともに
第2表に載せた。
実施例16に関して温度条件やβシクロデキストリンの
量を変えておこなって得られた結果を第3図に示した。
以上の実施例から明らかなように、ある一定量のβシ
クロデキストリンの添加によって得られるコレステロー
ルの減少および遊離脂肪酸の減少は、温度が溶解曲線に
近似したときに満足する減少量となる。また、βシクロ
デキストリンが脂肪に対して5%以上である場合におい
ても同様である。
実施例18および19においては、好適な水中油型エマル
ジョンは形成されず、満足する結果は得られなかった。
実施例16、19ないし22および26において、温度条件は
βシクロデキストリンの溶解温度に近似した温度を用い
た。その結果、コレステロールはほとんど残らず抽出さ
れた。
実施例20および23に示すように、温度条件をシクロデ
キストリンの溶解温度よりもわずかに高い温度に設定し
ても、好ましい実験結果を得ることができる。しかし、
シクロデキストリンの溶解温度よりもほんのわずかに低
い温度に設定したほうが好ましい。
実施例32ないし35 実施例16ないし31と同様の装置を用いて行い。試料
は、ADFの変わりに精製牛脂肪および精製ラードを用い
て実験を行った。
操作条件および抽出結果は牛脂肪に関しては第4表
に、ラードに関しては第5表に示した。
これらの表に示されたコレステロールおよび遊離脂肪
酸の抽出に関する結果は最終的に確定されたものであ
る。
実施例36ないし38 ここでは、試料としてクリームを用いた。このクリー
ムの組成は、 水・・・・・・・54.8% 脂肪・・・・・・40.0% ラクトース・・・2.8% タンパク質・・・2.0% 灰分・・・・・・0.4% である。
実施例36は、ALFA−LAVAL 100AE型クリーム分離器を
用いて1時間、55℃の条件下で前記クリームの脂肪含有
量を50%にまで濃縮させた。
55℃の温度条件下で、50%の脂肪分を含むクリームに
3.5%のβシクロデキストリンを添加した(すなわち、
脂肪が7%、水相に含まれるβシクロデキストリンが6.
54%となる)。βシクロデキストリン添加後、クリーム
を反応タンクに移して50℃になるまで冷やし、撹拌装置
によっで2000rpmで撹拌した。
10分間の撹拌による混合後、クリームは研究室のクリ
ーム分離器によって70%の脂肪に濃縮した。βシクロデ
キストリン混合物の残滓はクリーム分離器の内壁に付着
した。
最後に、70%の脂肪分を含むクリームを冷蔵庫内に一
晩置いて熟成後、撹拌した。この撹拌によって得られた
バターの脂肪は遊離脂肪酸およびステロールの解析に供
した。これらの化合物の抽出結果は大変満足できるもの
で、第6表および第7表にその結果を示した。
実施例37では、38%脂肪分を含むクリーム3kgに直
接、79.8gのβシクロデキストリンを55℃の温度条件下
で添加した(すなわち、7%は脂肪で、4.11%はβシク
ロデキストリンを含む水相である)。
その後、クリームを50℃の反応タンクに移し、そこで
撹拌装置(2、000rpmの回転数)によって撹拌した。
50℃で10分間の撹拌後、クリームを管状の熱交換器に
よって10℃以下にまで冷やした。
このように処理されたクリームを冷蔵庫に一晩置いて
熟成した後、撹拌した。バターの脂肪に含まれるステロ
ール(コレステロール)および遊離脂肪酸に関する分析
結果、ならびにこの実験条件は第6表および第7表に示
した。
実施例38においては、42.4%の脂肪分を含む乳脂肪3k
gに63.5%のβシクロデキストリンを直接添加した(す
なわち、5%は脂肪また3.54%のβシクロデキストリン
を含む水相である)。なお、この添加は55℃でなされ
た。
その後、クリームを45℃の反応タンクに移し、そこで
クリームを撹拌(2、000rpm)した。
45℃で10分間の撹拌後、クリームを管状の熱交換器に
よって10℃以下にまで冷やした。クリームを冷蔵庫に一
晩置いて熟成した後、撹拌することによって得られたバ
ターの脂肪分に関する結果(コレステロールおよび遊離
脂肪酸の抽出結果)は第7表に示した。実験条件は第6
表を参照せよ。
実施例39 この実施例ではADFからコレステロールおよび遊離脂
肪酸を抽出した。実験装置および手順は第1図を参照せ
よ。
この実施例において、脂肪相と水相との分離は遠心分
離装置によって行った。
99%以上の脂肪を含むADFをタンク5(循環温水で40
℃に保温)に移し、1時間当たり1、500kgの流速で流
出させた。
これと平行して、βシクロデキストリン溶液を調製
し、溶解タンク3で撹拌した。このタンクに1、500kg/
時間の流速で水を連続的に加えた。なお、水の添加は流
速メーターによって常に調節されたサーボ駆動ポンプに
よって行われた。粉末分配装置によってβシクロデキス
トリン粉末をタンク3に連続的に添加した(105kg/時
間)。これによって、βシクロデキストリンは65℃で6
分間後に溶液化された。
40℃、流速15、00kg/時間の条件下において、ADFを連
続してエマルジョンタンク4に添加した。また、ADFの
添加に合わせて、65℃、流速1、605kg/時間でβシクロ
デキストリンを連続して同一タンクに添加した。さら
に、両者を添加しながらエマルジョンタンク4において
撹拌(55℃で)を行うことにより、ADFとβシクロデキ
ストリン水溶液との間に水中油型エマルションを生じさ
せた。なお、タンク4における滞留時間は約3分間であ
った。
タンク4からのエマルジョンの排出は、ADFおよびβ
シクロデキストリンの供給速度に合わせ、ポンプによっ
て行った。排出されたエマルジョンを、板状の第一熱交
換器によって55℃から30℃にまで冷却した。この冷却に
よって、エマルジョン中におけるADFおよびβシクロデ
キストリンの不溶解性を、より一相完全なものにして、
混合物の安定性を確保した。冷却後、エマルジョンを板
状の第二熱交換器に移し、再び過熱して42℃にした。す
なわち、この温度は脂肪の融解温度とエマルジョンの形
勢温度との間に位置する温度である。
50%の脂肪分を含有するエマルジョンを、脂肪相を約
80%に濃縮することが可能な第一遠心濃縮装置によって
不安定化させた。なお、この遠心濃縮装置では、脂肪を
含まない水相は再循環されない。不溶解性相、すなわち
形成された混合物は、沈澱物として定期的に前記装置内
から除去した。得られた脂肪相は約80%の脂肪を含むも
ので、さらにこの脂肪相は第一遠心精製装置に送られ
て、約99.2%まで濃縮された。また、この遠心精製装置
においても、不溶解性の沈澱物が少々生じた。そこで、
この沈澱物も定期的に除去した。収集された水相には約
30%の脂肪が含まれており、この水相は第一遠心濃縮装
置の再循環可能な上流にある第二遠心濃縮装置中によっ
て約75%の脂肪に濃縮された。
脂肪相は真空エバポレーター11によって最終的に99.9
%の脂肪分として濃縮される。この濃縮過程は75℃、20
torrsの真空条件下で行った。そしてこの濃縮によっ
て、ADFのコレステロールおよび遊離脂肪酸含有量が減
少した。すなわち、コレステロールの減少は85%以上で
あった。
実施例40 この実施例は前記実施例と同様に行われたが、遠心後
に撹拌により、脂肪相と水相とを分離した。タンク4か
らエマルジョンを排出した後、このエマルジョンを熱交
換器に送り、そこでエマルジョンを冷却する。その後、
冷却されたエマルジョンを物理的熟成タンクに送り、そ
こで、2時間、10℃以下で熟成(maturation)した。
脂肪を結晶化させ、混合物を安定化させるための物理
的熟成の後に、冷されたエマルジョンは簡易撹乳器(bu
tch−wise churn)に送られて撹拌された。エマルジョ
ンを10℃で撹拌し、バターの粒子を得た。このバター粒
子を洗浄し、かつこねた。そして、つぎの処理過程に移
すまで冷却保存した。前記撹拌過程において生ずる水相
は脂肪含有量が少ないものであった。
80%の脂肪を含有するバターを、グリッド溶解器内で
再加熱して溶解した。そして、溶けたバターの温度を45
℃に保持した。
溶けたバターは、70%ないし80%の脂肪を含むもの
で、このバターを第一遠心精製装置に送り、そこで脂肪
相を約99.2%の脂肪に濃縮した。不溶解物が装置の底に
沈澱したので、それを定期的に除去した。収集された脂
肪相は約30%の脂肪を含むもので、第一遠心機の再循環
可能な上流にあたる第二遠心濃縮装置中において約75%
の脂肪に濃縮された。
脂肪相を真空エバポレーターによって、蒸発処理し
た。そして、コレステロールおよび遊離脂肪酸が減少し
た脂肪を99.9%含むADFが得られた。このような条件下
でのコレステロールの減少量は85%以上であった。
実験例41 この例は、処理方法として連続方式を用い、試料とし
て40%の脂肪を含むデイリークリームを、分離法として
遠心分離器を用いたものである。
原料のクリームは、熱交換器にて65℃に加熱された
後、バッファータンクより、処理工程に導入される。
加熱されたクリームの水相中のβ−シクロデキストリ
ン溶液は、タンク3に連続的に導入され、撹拌される。
クリームは、連続的にこのタンクに導入されるが、そ
の流量は、3000kg/時間であり、これは、重量調製流量
計と連動したサーボポンプにて定量される。粉末のβ−
シクロデキストリンは、同じタンクに粉末供給装置にて
連続的に添加されるが、その添加量は、84kg/時間に調
整される。β−シクロデキストリン溶液は、65℃にて約
3分間保たれる。
このβ−シクロデキストリンを含有するクリームは、
熱交換機にて55℃に冷却された後、重量調節流量計と連
動したサーボポンプにて連続的に、乳化タンク4に導入
され、約3分間撹拌される。これらの温度条件および撹
拌時間は、β−シクロデキストリン混成物を形成するこ
とが可能なものである。
乳化れたクリームは、乳化タンクに供給された流量
分、流出するように調整されたポンプにより乳化タンク
4から送り出される。送り出された乳化されたクリーム
は、第1の熱交換器により30〜55℃に冷却された後、第
2の熱交換器により55℃に加熱される。ミルクの約40%
の脂肪分を有する乳化されたクリームは、最初の遠心分
離器により、その水相の約80%が分離される。水相、も
しくはバターミルクは、分離器の水相側出口に集められ
る。これらには、極めてわずかの脂肪しか含まれていな
い。この水相は、この処理工程においては、再処理され
ない。混合相と称される水に不要の成分は、分離器のボ
ウルに沈殿物を形成する。この沈殿物は、定期的な運転
停止時に取り出される。ミルクからの脂肪分の約80%を
含有するクリームの脂肪相は、最初の遠心分離器におい
て、クリームタイプのエマルジョンとして存在する。相
の転化はその後行なわれる。そして分離および転化され
たエマルジョンは、さらに遠心により精製され、約99.2
%まで精製される。より小さな水に不要な相の沈殿物
は、ボウルのなかで再度形成され、、そしてこれらは次
の運転開始時までの通常の運転休止時に取り出される。
集められた水の相、もしくは約30%の脂肪が含まれるバ
ターミルクは、二回目の遠心分離により脂肪の75%が取
り出され、さらに最初の遠心分離器に送られる。
ついで、脂肪相は吸引脱水器により処理されて、脂肪
の99.9%までが分離される。これらの操作は、上述した
実験例と同様の条件下にて行なわれる。このようにし
て、コレステロールや遊離脂肪酸の濃度が極めて小さい
ADFが得られる。コレステロールの減少率は、この場合8
5%を越えるものであった。
「発明の効果」 以上のように、本発明にもとづく動物脂肪のコレステ
ロール含有量および遊離脂肪酸含有量を減少させるため
の方法は、水/脂肪の量比を限定してシクロデキストリ
ンと、脂肪と、水とを混合して水中油型エマルジョンを
形成させ、脂肪からコレステロールと遊離脂肪酸を抽出
して、それらを脂肪から分離するものなので、動物脂肪
からコレステロールのみならず遊離脂肪酸の含有量を短
時間に減少させることが可能となる。また、本発明にも
とづく方法によって得られた脂肪原料はコレステロール
のみならず遊離脂肪酸の含有量が少ないので、バターや
クリームなどの乳製品に使用しても、該乳製品の需要者
の血中コレステロール値を上昇させるような危険性を、
従来のもに比べて低くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明にもとづく方法を連続方式で実施する
ための装置の説明図である。 第2図は、本発明にもとづく方法を回分方式で実施する
ための装置の説明図である。 第3図は、BCD溶液の濃度と温度との関係を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C11B 7/00 C11B 7/00 (56)参考文献 特開 昭63−41595(JP,A) 特開 平1−252259(JP,A) 米国特許3491132(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C11B 3/02 C11B 11/00 C11B 7/00 A23D 7/02 A23D 9/02 A23C 15/02

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】動物脂肪のコレステロール含有量及び遊離
    脂肪酸含有量を減少させる方法であって、 脂肪とシクロデキストリンとを、0.4/1から1.9/1の範囲
    内の水/脂肪の量比となる量の水の存在下で、800rpmよ
    り高速で回転する攪拌手段により攪拌して水中油型微小
    エマルションを形成させながら接触させ、 次いで、シクロデキストリンと、コレステロール及び脂
    肪酸との間に形成された混合物を分離することからなる
    方法。
  2. 【請求項2】前記水/脂肪比率が0.7/1から1.5/1の範囲
    内である請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】前記水/脂肪比率が1/1である請求の範囲
    第2項記載の方法。
  4. 【請求項4】前記攪拌手段が、2000rpmで回転する請求
    の範囲第1項記載の方法。
  5. 【請求項5】前記シクロデキストリンが、前記脂肪の量
    に対して1から10重量%の量で添加される請求の範囲第
    1項記載の方法。
  6. 【請求項6】前記シクロデキストリンが、前記脂肪の量
    に対して3から8重量%の量で添加される請求の範囲第
    5項記載の方法。
  7. 【請求項7】脂肪−水−シクロデキストリン溶液の温度
    が、与えられたシクロデキストリン濃度に対して、この
    濃度の水に対するシクロデキストリンの溶解温度±15℃
    に調節される請求の範囲第1項記載の方法。
  8. 【請求項8】前記脂肪、シクロデキストリン、及び水の
    接触が、混合物を形成させるのに十分な時間維持される
    請求の範囲第1項記載の方法。
  9. 【請求項9】前記脂肪、シクロデキストリン、及び水の
    接触が、1から20分間維持される請求の範囲第8項記載
    の方法。
  10. 【請求項10】前記分離工程が、遠心分離装置を用いて
    行われる請求の範囲第1項記載の方法。
  11. 【請求項11】前記分離工程が、混合物形成の間に用い
    た温度より低温で行われる請求の範囲第1項記載の方
    法。
  12. 【請求項12】前記混合物形成後の水相と脂肪相との分
    離が、水−シクロデキストリン−脂肪エマルションの冷
    却攪拌によって行われる請求の範囲第1項記載の方法。
  13. 【請求項13】前記シクロデキストリンが、β−シクロ
    デキストリンである請求の範囲第1項記載の方法。
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