JP3052966B2 - 金属材料の熱処理条件決定方法 - Google Patents

金属材料の熱処理条件決定方法

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JP3052966B2 JP63022412A JP2241288A JP3052966B2 JP 3052966 B2 JP3052966 B2 JP 3052966B2 JP 63022412 A JP63022412 A JP 63022412A JP 2241288 A JP2241288 A JP 2241288A JP 3052966 B2 JP3052966 B2 JP 3052966B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は金属材料の熱処理条件決定方法に係り、鋼材
に焼き入れ等の熱処理加工を行う際などに利用できる。
〔従来の技術〕
従来より、金属材料に対する熱処理は、酸化被膜を形
成する等の表面処理に利用されるほか、材料の硬さや靭
性といった特性を変化させる際に多用されており、例え
ば、代表的な金属材料である鋼材においては、硬度を高
めるための焼き入れ、軟化させるための焼きなまし、あ
るいは一端焼き入れしたのち靭性を付与するための焼き
戻しといった熱処理を行うことにより多種多様な性質の
ものが製造されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、このような金属材料の熱処理においては、
加熱から冷却に到る温度や時間経過といった熱処理条件
が処理後の組織、すなわち材料の性質に大きな影響を及
ぼすものであり、所期の特性を得るためには最適な熱処
理条件を的確に把握して熱処理を行うことが要求され
る。
しかし、熱処理条件を規定する要素は多岐にわたって
おり、例えば、加熱温度や時間だけでも多様な設定が可
能なうえ、冷却用の熱処理液の種類や温度、熱処理液の
撹拌状態といった冷却時の要素を加えると実に様々な組
み合わせが可能であり、細かな条件設定ができる反面、
どのような組み合わせが最適であるのか判定することが
容易でない。
また、熱処理条件が同じでも処理する金属材料の形状
が異なると、各部に及ぶ熱処理効果が変化して得られる
性質に相違が生ずることから、任意の形状の処理対象物
に最適な熱処理を行うことは非常に難しいものである。
ところが、従来は最適な熱処理条件を決定するための
有効な手段がなく、いくつかの条件の下で試験的に加工
実験を行い、試行錯誤を繰返しながら最適な条件の範囲
を絞ってゆくという方法に頼らざるを得ず、加工実験の
評価にあっては処理対象物の内部についても検査する場
合、全体としての作業ロスは莫大なものとなり、実加工
を開始するまてに時間がかかるという問題があった。
本発明の目的は、任意の処理対象物に対して最適な熱
処理条件を簡単に決定できる金属材料の熱処理条件決定
方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、処理対象物と同一の金属材料に固有の冷却
曲線のなかから処理対象物に要求される特性を与える目
標冷却曲線を選択する第1の工程と、設定が異なる複数
の熱処理条件について、標準試料を用いてそれぞれの前
記熱処理条件の標準冷却曲線を任意の冷却性能試験方法
により求め、前記標準試料と前記処理対象物との相違か
ら前記標準冷却曲線を補正し、複数の予測冷却曲線を得
る第2の工程と、前記目標冷却曲線と複数の予測冷却曲
線とを順次比較して所定温度に達するまでの冷却過程の
履歴熱量が略等しい予測冷却曲線を与える最適熱処理条
件を決定する第3の工程とを含む一連の工程によって金
属材料の熱処理条件決定方法を構成するものである。
ここで、本発明の各工程には、以下に示すような具体
的な手段が採用できる。
例えば、第1の工程における目標冷却曲線の選択に
は、鋼材の焼き入れ加工に適用する場合、JISG−0561に
規定されるようなジョミニー式一端焼入による焼入性試
験方法が利用できる。すなわち、前記ジョミニー式試験
により処理対象物の材料として用いる鋼材のジョミニー
曲線およびジョミニー冷却曲線を測定し、焼き入れ温度
に対応したジョミニー曲線から処理対象物に要求される
焼き入れ硬度を与えるジョミニー距離を求め、このジョ
ミニー距離に対応するジョミニー冷却曲線を目標冷却曲
線として選択すればよい。
一方、第2の工程における冷却性能試験方法には、冷
却に熱処理液を用いる場合、JISK−2242の5.2に示され
る熱処理油の冷却性能試験方法が利用でき、この冷却性
能試験方法に示すように標準試料となる銀棒を用いて当
該熱処理液を用いた場合の標準冷却曲線を測定し、この
標準冷却曲線に前記銀棒と処理対象物との材料の物性値
(比熱、密度、熱伝導率など)の相違を補正し、かつ処
理対象物の形状の影響等を等価直径あるいは等価冷却速
度を用いて補正することにより、処理対象部の予測冷却
曲線を算出する。なお、前記銀棒に替えてステンレス鋼
等の変態温度をもたない金属材料を標準試料として用い
て標準冷却曲線を測定してもよい。
より具体的には、前記測定によって得られる標準冷却
曲線から冷却時に処理対象物から熱処理液等に奪われる
熱の熱伝達率を算出するとともに、前記処理対象部の物
性や形状要素に応じた冷却時の伝熱特性を考慮して処理
対象物における温度分布を算出し、処理対象物の内部深
さ等に応じた任意位置での予測冷却曲線を算出する。こ
の場合、熱伝達率は蒸気膜、沸騰、対流の各段階毎に、
しかも処理対象物の表面温度の関数として算出する方が
好ましい。
例えば、熱伝達率α(kcal/m2.hr.℃)、処理対象物
の表面温度Θ(℃)、熱処理液の温度TC(℃)、熱処理
対象物内部の温度勾配dθ/dx(℃/m)、処理対象物に
用いる鋼材の熱伝導率λ(kcal/m.hr.℃)、処理対象物
に用いる鋼材中の単位面積を単位時間に通過する熱量q
(kcal/m2.hr)、処理対象物から熱処理液へ単位面積を
単位時間に通過する熱量Q(kcal/m2.hr)とした場合、 Q=α・(Θ−TC) …(2) と表される熱伝導および伝達の基礎式を用い、処理対象
物の熱の流れを基に各部の温度分布を算出する。なお、
微分方程式の解は計算機を用い、差分法による非定常数
値解析を利用した2次元解析などが好ましい。
また、第3の工程において、予測冷却曲線および目標
冷却曲線の履歴熱量が略等しいと判定する所定温度とし
ては、鋼材の焼き入れの場合には鋼材のマルテンサイト
変態開始温度が該当するものであり、その判定にあたっ
ては、前記温度に到る冷却時間の比較、あるいは前記温
度に到る冷却曲線の経過時間に沿った温度の積分値の比
較の何れかを利用すればよい。
〔作用〕
このように構成された本発明においては、第1の工程
で処理対象物に最適な目標冷却曲線を決定し、材料側の
要求条件をまとめておくとともに、第2の工程で各設定
の熱処理条件が処理対象物に作用した際に予測される予
測冷却曲線を計算して処理対象物の形状要因等を含む環
境側の要求条件をまとめておき、これらの予備測定に基
づいて、第3の工程において目標冷却曲線に近い予測冷
却曲線を選択することにより、膨大な繰返しを含む煩雑
な加工実験を行うことなしに最適な熱処理条件を予測す
る。
ここで、第1の工程における目標冷却曲線の選択や第
2の工程における熱処理条件毎の冷却曲線の算出にあた
っては、JISに規定されるようなジョミニー式焼入試験
方法や熱処理液の冷却性能試験方法等の既成の試験方法
を利用して、確実かつ客観的な評価を可能とする。
さらに、第3の工程における目標冷却曲線と予測冷却
曲線との比較にあたっては、各々が鋼材のマルテンサイ
ト変態開始温度といった熱処理効果を左右する所定温度
まで冷却されるまでの経過時間または温度の積分値を判
定することにより、実際の熱処理加工に即した処理対象
物に最適の熱処理条件の選択を可能とする。
従って、以上に示した第1ないし第3の工程によれ
ば、処理対象物に最適な熱処理条件の決定を簡単かつ確
実に決定でき、これにより前記目的が達成される。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例として本発明に基づく鋼材の
焼き入れ加工において図面を用いて説明する。
第1図に示すように、本実施例は、直径40mm、高さ50
mmの円筒形状に形成された鋼材(SUJ2)からなる処理対
象物1を用い、規定の焼き入れ条件として、処理対象物
1を850℃に加熱した状態で30分間保持した後、熱処理
液2中に投入して冷却を行うものとし、熱処理液2の種
類、温度等の設定条件を適宜選択することにより適当な
熱処理条件を定め、焼き入れ後に要求される特性は処理
対象物1の表面から深さ4mmの位置での硬度HRC=46とす
ることである。
ここで、処理対象物1に焼き入れ加工を行う際に用い
る焼き入れ加工装置10は、上方に処理対象物1を包囲し
て加熱可能な略ドーナツ状の赤外線加熱炉11を備えると
ともに、下方には任意の冷却性能を有する熱処理液2が
満たされた油槽12が配置されている。この油槽12内に
は、赤外線加熱炉11と同軸配置されて垂直に下降した処
理対象物1を収容可能な中心筒体13が設けられ、この中
心筒体13によって油槽12の内部は油面から所定深さ以下
を内側部分と外側部分とに仕切られている。また、油槽
12内の各部分は各々底部近傍に接続された配管ループ14
によって連通され、この配管ループ14中に直列配置され
た流量計15およびポンプ16により熱処理液2を任意の流
速で流動させ、その際の撹拌効果によって熱処理液2の
処理対象物1に対する冷却性能を調整可能である。
従って、本実施例においては、熱処理液2の種類、温
度等のほか熱処理液2の撹拌速度が異なる複数の熱処理
条件が設定可能であるが、前記硬度がHRC=46とするの
に最適な熱処理条件を決定するにあたっては、従来のよ
うな加工実験を行うのではなく、本発明に基づいて簡単
な予備測定により最適熱処理条件を予測し、直接実際の
焼き入れ加工を行った。
まず、第1の工程として、JISG−0561に定められた鋼
の焼入性試験方法を応用してSUJ2のジョミニー曲線およ
びジョミニー冷却曲線を同時に測定し、目標冷却曲線を
決定した。
すなわち、第2図に示すように、JISG−0561に定めら
れたジョミニー試片21をSUJ2を用いて作成し、このジョ
ミニー試片21の水冷端22から1.5mm、7.5mm、12.5mm、2
2.5mm、32.5mmおよび42.5mmの位置に各々直径1.6mmで深
さ3mmの孔23を設け、各孔23にCAシース熱電対24を差し
込み、赤外線加熱炉25を用いて窒素:水素=10:1の雰囲
気中で所定加熱温度まで加熱し、JISG−0561に準拠して
噴水口26から水を噴射して水冷端22を水冷し、第3図に
示すようなジョミニー曲線3と、第4図に示すようなジ
ョミニー冷却曲線4とを測定した。
続いて、第3図のジョミニー曲線3のうち加熱温度85
0℃に対応するジョミニー曲線31を選択し、第5図に示
すように、選択したジョミニー曲線31から硬度HRC=46
を与えるジョミニー距離(水冷端22からの距離)=6.6m
mを求め、第4図のジョミニー冷却曲線4からジョミニ
ー距離=6.6mmに対応するジョミニー冷却曲線を算出
し、このジョミニー冷却曲線を目標冷却曲線41として決
定した。
一方、処理対象物1を冷却するにあたっては、熱処理
液2の種類、温度および撹拌速度の組み合わせの異なる
5種類の熱処理条件とした。ここで各条件#1〜5の設
定は第1表に示すような内容とした。
ここで、第2の工程として、各条件#1〜5の熱処理
液2で処理対象物1を冷却した場合に予測される予測冷
却曲線を求めた。
この予測冷却曲線の算出にあたっては、JISK−2242の
5.2に定める熱処理油の冷却性能試験を利用した各条件
#1〜5の熱処理液2の標準冷却曲線を求め、得られた
標準冷却曲線から冷却時に処理対象物1から熱処理液2
に奪われる熱の熱伝達率を算出するとともに、物性や形
状要素に応じた処理対象物1自体の熱伝達特性を考慮し
て処理対象物1の形状、材質および指定位置(表面から
4mm)等に応じた補正を行い、処理対象物1における温
度分布を算出した。
なお、補正にあたっては、英国BS規格(BS5046:197
4)に基づき、処理対象物1の高さ50mmを考慮して実直
径40mmに対して等価直径を35mmとして計算した。また、
温度分布の算出にあたっては、熱伝達率α(kcal/m2.h
r.℃)、処理対象物1の加熱温度Θ(℃)、熱処理液2
の温度Tc(℃)、処理対象物1内部の温度勾配dθ/dx
(℃/m)、SUJ2の熱伝導率λ(kcal/m.hr.℃)、処理対
象物に用いる鋼材中の単位面積を単位時間に通過する熱
量q(kcal/m2.hr)、処理対象物1から熱処理液2へ単
位面積を単位時間に通過する熱量Q(kcal/m2.hr)とし
た際の熱伝導および伝達の基礎式 Q=α・(Θ−Tc) …(2) を用いて計算機で解析し、処理対象物1の温度分布を算
出し、以上により、第6図に示すように、熱処理条件#
1〜5毎に予測冷却曲線61〜65を決定した。
さらに、第3の工程として、第7図に示すような積分
値の順次比較により、第2の工程で得られた予測冷却曲
線61〜65の中から、第1の工程で決定された目標冷却曲
線41と近似のものを選択した。
まず、第4図の目標冷却曲線41に基づいてSUJ2のマル
テンサイト変態開始温度(T=250℃)までの冷却過程
の温度θの積分値 を求めると、積分値I1=10440℃・secであった。
一方、第6図の各予測冷却曲線61〜65について、同様
にT=250℃までの冷却過程の温度θの積分値I2を求
めると第2表に示すような値となった。
ここで、第2表の積分値I2のなかから、積分値I1=10
440℃・secに最も近いものを選択すると、条件#4すな
わち熱処理液2としてC種を用い、その温度を80℃にし
ておくとともに、流速0.2m/sで撹拌するという熱処理条
件が極めて近いと判定でき、従って、最適熱処理条件と
して条件#4を選択した。
ここで、第3の工程で選択された最適熱処理条件に従
って熱処理液2の種類、温度および撹拌速度を設定し、
前述の規定の焼き入れ条件と併せて得られる条件の下
で、実際に処理対象物1を加熱したのち熱処理液2によ
り冷却して焼き入れ加工を行った。その結果、得られた
処理対象物1は、表面から4mmの位置での硬度がHRC=47
であった。
このような本実施例によれば、予備した最適熱処理条
件に従って実際の熱処理加工を行うことにより、処理対
象物1に要求される硬度を満足する正確な焼き入れ加工
が実現できる。
また、最適な熱処理条件を簡単な予測測定と計算とに
よって確定することができ、従来、最適な熱処理条件を
決定するにあたって不可欠とされていた多岐にわたる煩
雑な加工実験を省略して作業ロスを大幅に低減できる。
さらに、第1の工程における目標冷却曲線41の選択や
第2の工程における条件#1〜5の予測冷却曲線61〜65
の算出にあたっては、JISに規定されるジョミニー式焼
入試験方法や熱処理液の冷却性能試験方法等の既成の試
験方法を利用したため、予備測定および評価を確実かつ
客観的にできる。
また、第3の工程における目標冷却曲線41と予測冷却
曲線61〜65との比較にあたっては、各々が鋼材のマルテ
ンサイト変態開始温度Tまで冷却されるまでの温度θ1,
θの積分値I1,I2を比較するため、実際の熱処理加工
に即した熱処理条件が選択でき、実加工時の条件設定を
より正確にすることができる。
なお、本発明は前記実施例の態様に限定されるもので
はなく、各工程で採用する具体的手段等は実施にあたっ
て適宜変更可能である。
すなわち、第1の工程において目標冷却曲線41を求め
るにあたっては、その都度JISG−0651相当のジョミニー
式試験を行うのではなく、ジョミニー曲線3等は鋼材の
製造業者が製品に付属させるデータ等を利用してもよ
く、あるいは過去の実験に基づく好適なデータ等があれ
ば適宜利用可能であり、要するに第1の工程は処理対象
物1と同一の材料で所望の特性が得られる目標冷却曲線
41が決定できればよく、ジョミニー式試験以外の手段を
採用してもよい。
また、第2の工程において予測冷却曲線61〜65を求め
るにあたっては、JISK−2242の5.2相当の冷却性能試験
方法以外の手段によって各熱処理条件毎の標準冷却曲線
を求めてもよく、例えば処理対象物1の冷却に熱処理液
2以外の冷却手段を用いる場合その都度、当該冷却手段
に好適かつなるべく客観的な標準冷却曲線が得られる冷
却性能試験方法を採用することが望ましい。
さらに、予測冷却曲線61〜65を求める際の処理対象物
1に対応した補正にあたっては、熱伝導および熱伝達の
基礎式(1),(2)の解を計算機を用て精密な値とし
て求めるのではなく、適当な近似によってより高速化し
たり、あるいは可能な範囲内で手計算等によって概算を
行ってもよい。
また、第3の工程において、各予測冷却曲線61〜65お
よび目標冷却曲線41の履歴熱量が略等しいと判定する温
度Tとしては、SUJ2等の鋼材ではマルテンサイト変態開
始温度が該当するが、処理対象物1に他の金属材料を用
いる場合、熱処理によって得られる特性に寄与する金属
組織を形成する条件の温度を用いればよい。
さらに、判定にあたっては、第7図のような前記温度
Tまでの各温度θ1の積分値I1,I2の比較に替え
て、第8図のように、各冷却曲線41、61〜65が前記温度
Tに到る冷却時間t0を比較してもよく、準備作業をより
簡単かつ迅速にできるが、前記実施例にように積分値の
比較を利用したほうが正確である。
また、各々の比較にあたっては、各冷却曲線41、61〜
65を実際に図示して比較したり、あるいは図示せずとも
計算機上などで数値データによって比較してもよい。
さらに、本発明を適用する熱処理加工としては鋼材等
の焼き入れ加工に限らず、加工に用いる装置も前記実施
例に限定されるものではない、また、熱処理条件の設定
も前記実施例に示したような項目のみならず、必要に応
じて適当な項目等を加減し、当該項目の設定が異なる複
数の条件を第2の工程で試験することにより当該項目を
含めた最適熱処理条件をも簡単かつ正確に決定すること
ができ、本発明は金属材料に対する種々の熱処理等に広
く適用可能である。
〔発明の効果〕
以上に述べたように、本発明の金属材料の熱処理条件
決定方法によれば、任意の処理対象物に対して最適な熱
処理条件を簡単に決定できる、加工実験等の作業ロスを
解消できるとともに、確実かつ迅速な準備ないし実加工
を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の装置構成を示す概略図、第
2図は前記実施例における予備測定を示す概略図、第3
図は前記実施例で用いるジョミニー曲線を示すグラフ、
第4図は前記実施例で用いるジョミニー冷却曲線を示す
グラフ、第5図は前記第3図のジョミニー曲線の1つを
示すグラフ、第6図は前記実施例で算出する条件毎の予
想冷却曲線を示すモデル、第7図は前記実施例における
目標冷却曲線と予測冷却曲線との比較を示すグラフ、第
8図は本発明の変形例の目標冷却曲線と予測冷却曲線と
の比較を示すグラフである。 1……処理対象物、2……熱処理液、3,31……ジョミニ
ー曲線、4……ジョミニー冷却曲線、41……目標冷却曲
線、61〜65……予測冷却曲線.
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉野 千晴 愛知県名古屋市中区栄2丁目1番1号 出光興産株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−266524(JP,A) 特開 昭62−80226(JP,A) 特開 昭59−85818(JP,A) 特開 昭60−190847(JP,A) 特開 昭60−20083(JP,A) 特開 昭61−261433(JP,A) 特公 昭61−27446(JP,B2) 特公 昭58−2246(JP,B2)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】処理対象物と同一の金属材料に固有の冷却
    曲線のなかから処理対象物に要求される特性を与える目
    標冷却曲線を選択する第1の工程と、 設定が異なる複数の熱処理条件について、標準試料を用
    いてそれぞれの熱処理条件の標準冷却曲線を任意の冷却
    性能試験方法により求め、前記標準試料と前記処理対象
    物との相違から前記標準冷却曲線を補正し、複数の予測
    冷却曲線を得る第2工程と、 前記目標冷却曲線と前記複数の予測冷却曲線とを順次比
    較して所定温度に達するまでの冷却仮過程の履歴熱量が
    略等しい予測冷却曲線を与える最適熱処理条件を決定す
    る第3の工程とを含み構成されたことを特徴とする金属
    材料の熱処理条件決定方法。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項において、前記金属
    材料は鋼材であり、前記要求される特性は硬度であり、
    前記所定温度はマルテンサイト変態開始温度であり、前
    記熱処理条件は焼き入れ加工に対するものであることを
    特徴とする金属材料の熱処理条件決定方法。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第2項において、前記第1
    の工程は、ジョミニー式一端焼入による焼入性試験方法
    に基づいて前記鋼材のジョミニー曲線およびジョミニー
    冷却曲線を求め、前記ジョミニー曲線から前記要求され
    る硬度となるジョミニー距離を求め、このジョミニー距
    離に対応するジョミニー冷却曲線を目標冷却曲線として
    選択することを特徴とする金属材料の熱処理条件決定方
    法。
  4. 【請求項4】特許請求の範囲第1項ないし第3項のいず
    れかにおいて、前記冷却性能試験方法は、加熱した金属
    棒材を熱処理液中で冷却して棒材各部の冷却曲線を測定
    する熱処理液の冷却性能試験方法であることを特徴とす
    る金属材料の熱処理条件決定方法。
  5. 【請求項5】特許請求の範囲第1項ないし第4項のいず
    れかにおいて、前記第2の工程は、前記冷却性能試験方
    法で得られた冷却曲線から当該熱処理条件の下での熱伝
    達率を算出し、この熱伝達率と処理対象物の形状および
    金属材料の物性値とに基づいて処理対象物の各部の温度
    分布を算出し、この温度分布に基づいて処理対象物の任
    意位置における予測冷却曲線を算出することを特徴とす
    る金属材料の熱処理条件決定方法。
  6. 【請求項6】特許請求の範囲第1項ないし第5項のいず
    れかにおいて、前記第3の工程は、前記所定温度に到る
    冷却曲線の経過時間に沿った温度の積分値が略等しい場
    合に前記履歴熱量が略等しいと判定することを特徴とす
    る金属材料の熱処理条件決定方法。
  7. 【請求項7】特許請求の範囲第1項ないし第5項のいず
    れかにおいて、前記第3の工程は、前記所定温度に到る
    冷却時間が略等しい場合に前記履歴熱量が略等しいと判
    定することを特徴とする金属材料の熱処理条件決定方
    法。
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