JP3052246B2 - 壁面作業用落下防止装置 - Google Patents

壁面作業用落下防止装置

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JP3052246B2
JP3052246B2 JP7210195A JP21019595A JP3052246B2 JP 3052246 B2 JP3052246 B2 JP 3052246B2 JP 7210195 A JP7210195 A JP 7210195A JP 21019595 A JP21019595 A JP 21019595A JP 3052246 B2 JP3052246 B2 JP 3052246B2
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二郎 利根川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ロープでぶら下がって
建築物などの壁面で清掃、塗装などの作業を行なう場合
の壁面作業用落下防止装置に関するものである。さらに
詳しくは、屋上などから降ろしたロープで吊り下がった
作業者の直下に設置し、誤って作業用の道具を落してし
まったり、また、作業者自身が落下したときにこれを受
けとめて大きな事故に発展することを防止する装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】最近の10階以上もあるような高層建築
物には、ビル建築時に予め清掃などのために外壁作業用
ゴンドラ昇降装置が設けられているが、5階程度の低層
の建築物にはこのような装置が設けられることは少な
い。ゴンドラ昇降装置が設けられていない建築物で外壁
作業を行うとき、作業が長期に亘る場合や作業に多くの
資材を必要とする場合にはゴンドラ昇降装置を仮に設置
するが、このゴンドラ昇降装置を設置する場所が無い場
合や、壁面や窓の清掃程度であって短時間で作業を終了
するような場合には、図5に示すように、登山時のよう
なロープ45を屋上から垂らして作業者42の身体に巻
きつけるか、ブランコのような椅子43に座り、停止金
具で少しずつずり降ろしながら作業を行う。また、建築
物壁面4の近くに樹木36や電線などの障害物があって
ゴンドラを使用できない場合にもロープ45だけで作業
を行うことがある。従来、このような建築物の外壁で作
業を行なうとき、ロープ45による清掃作業程度では、
特に落下防止手段を取らない。作業が大掛かりな場合に
は図5に示すように、建築物の下方に落下物を受け止め
るネット44を設置することがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】図5に示すようなネッ
ト44を設置するためには、人や車の通行の妨げになら
ない高さが必要であるため、設置したり解体する作業が
本来の作業よりも面倒な作業になるばかりか、建物によ
っては、壁面にネット44を取り付ける手がかりがない
場合もあるという問題点があった。また、このネット4
4は、落下した作業用の道具を受けとめ、通行中の歩行
者などに当たることを防止したり、ネット44をビニー
ルシートに変えて清掃作業などによる汚濁水の真下への
飛散を防止する程度のものであるため、万一作業者が落
下した場合には、確実に作業者を保護することができな
いという問題点があった。
【0004】本発明は、常に作業者の直下に位置し、誤
って道具や作業者が落下した場合にこれを確実に受け止
めることのできる装置であって、また、建築物壁面近く
に障害物があった場合、これを一時的に回避することが
でき、さらに、現場への搬入と設置が極めて簡単で人手
による持ち運びに適した落下防止装置を得ることを目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は以上のような課
題を解決するためになされたもので、壁面での作業者4
2の直下に位置するようにロープ2により吊り下げられ
た落下防止用ケージ1と、この落下防止用ケージ1を所
定位置で停止させるために前記ロープ2に制動をかける
ための制動装置からなり、制動装置はリモコンにより作
動させる。落下防止用ケージ1は、長手方向の長桟7と
短手方向の横桟8とからなる枠部10に収納部9を吊り
下げてなり、前記横桟8を折り畳み自在に形成して障害
物36があったときにこの横桟8を折り畳むことにより
奥行を狭めるようにし、さらに、収納部9の長手方向と
短手方向の上縁部に袋状部5,6を形成し、それぞれの
袋状部5,6に伸縮自在な長桟7と横桟8を着脱自在に
挿通するようにしてなる。
【0006】
【作用】落下防止ケージ1は、少なくとも、収納部9の
袋状部5から長桟7を引き抜いて収納部9と長桟7を折
り畳んで搬送し、作業現場で制動装置を屋上35などに
設置し、落下防止ケージ1は袋状部5に長桟を挿通して
ロープ2,2で屋上35に設置した制動装置に結合して
吊り下げる。作業者がリモコンで制動装置を操作して落
下防止ケージ1を適正な位置に下降させながら作業を行
う。一時的に障害物36が接近した所では、横桟8を折
り畳んで落下防止ケージ1の奥行を減少させて回避す
る。
【0007】
【実施例】つぎに本発明の第1実施例を図1ないし図4
に基づいて説明する。図1において、1は、幅240c
m、奥行120cm、深さ60cm程度の略箱状の落下
防止用ケージであり、建築物の壁面4に対峙するように
2本のロープ2,2で屋上から吊り下げられている。こ
の落下防止用ケージ1は、図2に示すように、長桟7と
横桟8からなる枠部10に、収納部9を上部開口状態で
取り付けたものである。前記収納部9は、開口した上縁
部の長手方向と短手方向にそれぞれ袋状部5,6が設け
られて前記枠部10を構成する長桟7と横桟8が挿通さ
れる。前記収納部9は、風によりあまり揺れないよう
に、ネット18で構成するが、液体や小物の落下物を受
けとめるためには、底部を防水シート20などで構成す
る。
【0008】前記長桟7は、図3(a)に示すように、例
えば2個のコ字型部材16,16が軸17で結合され、
持ち運ぶときには略1/2の長さに折り畳めるようにな
っているが、使用時には、これらの部材間を伸ばすと中
央辺23の端部同士が当接して水平を保つようになって
いる。この長桟7は、収納部9の袋状部5に挿通され
る。前記横桟8は、図3(b)に示すように、2個のコ字
型部材25,25が中央の軸26で結合され、持ち運ぶ
ときには略1/2の長さに折り畳めるようになっている
が、使用時には、これらの部材間を伸ばすと中央辺27
の端部同士が当接して水平を保つようになっている。こ
の横桟8は、収納部9の袋状部6に挿通される。
【0009】落下防止用ケージト1の横桟8の軸26は
支持ロープ11が結合され、この支持ロープ11の上端
は環12に結合されている。横桟8の両端部は前記環1
2を通した引上ロープ14に結合されている。引上ロー
プ14の長さは、伸ばした状態で折畳み側が略水平にな
るように設定されている。以上の落下防止用ケージ1
は、環12を前記2本のロープ2の先端に固着された外
れ止め付きのフックなどに掛けて吊り下げられ、ロープ
2の上端は、建築物の屋上35に設置され、屋上35の
手摺りやフックにより支持された昇降装置3に結合され
ている。
【0010】昇降装置3は、図1(a)に示すように、屋
上35の縁から突出してロープ2,2と建築物の壁面4
との間を所定距離に保つ2本のアーム28,28と、ロ
ープ2,2を巻き上げる電動式のウインチ29が設けら
れている。ウインチ29は、減速機付きモータ30の回
転軸にロープ2を巻き取るドラム31が固着されてい
る。前記モータ30は、停止時に外部からトルクがかか
っても回転しないように制動装置が設けられている。左
右のアーム28,28の先端には滑車32が設けられ、
この滑車32を介して前記ドラム31から導出されたロ
ープ2,2が垂下している。
【0011】また、図示していないが、いずれか一方の
アーム28には、受信機が設けられ、作業者42が操作
するリモコンからの信号を受信してウインチ29を作動
させるようになっている。送受信の形式は、赤外線やF
M電波を用いたワイヤレス式でもよいし、受信機とリモ
コンを電線で結合したワイヤード式でもよい。リモコン
には、少なくとも「上昇」と「下降」の2個の操作釦が
設けられるが、これに加えて速度を制御するための操作
釦を設けてもよい。また、各釦は、プッシュオン型のス
イッチが用いられ、リモコンから手を離しているときに
はウインチ29が作動しないようになっている。また、
ウインチ29にも同様の操作釦が設けられている。
【0012】つぎに以上の構成の落下防止装置の作用を
説明する。作業現場に搬送するとき、落下防止装置は、
収納部9、2本の横桟8,8、2本の長桟7,7、2本
のアーム28と、昇降装置3など、ばらばらに分解す
る。収納部9は、横桟8を挿し込んだままで中央から2
つ折りにした上で折り畳んでもよい。長桟7は1/2に
折り畳む。横桟8を、収納部9から抜く場合には、横桟
8をV字状に折り畳み、相隣る袋状部6の間の隙間から
抜きとる。
【0013】作業現場での組立てを説明すると、まず、
昇降装置3を建築物の屋上35に設置する。目的の位置
に合わせて屋上35の縁に、約240cmの幅にアーム
28,28を設置し、これらの略中央にウインチ29を
設置する。2本のロープ2,2をウインチ29から引き
出してそれぞれ左右のアーム28,28の滑車32を介
して垂下させる。このとき、ロープ2の先端の高さが略
一致するようにウインチ29の位置を調節する。そし
て、リモコンの「下降命令」を操作してロープ2を地上
に降ろし、地上50cm〜1m位のところに停止させ
る。つぎに、地上で落下防止用ケージ1を組み立てる。
収納部9を広げ、長桟7を伸ばして上述の通り収納部9
の所定の袋状部5に所定の向きで挿通し、長桟7と横桟
8を金具等で連結する。環12を屋上から垂下している
前記ロープ2の先端に確実に固着する。なお、昇降装置
3が、制動装置だけの場合には、屋上35で落下防止用
ケージ1を組立てて、制動をかけつつ少しずつ降ろす。
【0014】作業時には、壁面で作業中の作業者42が
リモコンを操作して、作業の障害とならない程度であっ
てできるだけ自分に近い距離に落下防止用ケージ1を止
めて作業を行う。ロープ45で吊り下がった作業者42
が一所で作業できる範囲には個人差があるが、概ね図1
(b)に示すように、横方向が240cm、縦方向が約1
60cm程度である。その場所での作業が終わったらリ
モコンで落下防止用ケージ1を作業間隔分だけ降ろし、
作業者42も対応した位置に降りて作業をする。作業中
に、樹木36や電線などの障害物があって落下防止用ケ
ージ1が昇降できない場合には、1本の引上ロープ14
を下方または上方に引っ張ると、図4(b)に示すよう
に、落下防止用ケージ1の横桟8が軸26を中心にして
回転しつつ持ち上がって、落下防止用ケージ1の引っ張
った側の奥行を狭めることができ、障害物36を通過し
て引上ロープ14を離せばもとに戻る。また、引上ロー
プ14を2本とも引っ張れば、図4(c)に示すように、
横桟8の両端が持ち上がってさらに全体の奥行を狭める
ことができる。
【0015】以上の実施例では、落下防止用ケージ1を
略箱状としたが、本発明はこれに限られるものではな
く、半円弧状の収納部9が自然に垂下するようにしても
よい。以上の実施例では、落下防止用ケージ1の両方を
折り畳み可能としたが、片側だけを折り畳み可能として
もよい。以上の実施例では、長桟7は2個のコ字型部材
16で構成して2つに折り畳めるようにしたが、本発明
はこれに限られるものではなく、3個以上のコ字型部材
16で構成してより小さく折り畳めるようにしてもよ
く、また、折り畳み式でなくとも、太さの異なる筒を重
ねて伸縮自在としたものでもよい。さらに、両端部のそ
れぞれに雄ねじと雌ねじを形成した螺子込み式でもよ
い。
【0016】以上の実施例では、作業者42は落下防止
用ケージ1とべっこに下降するようにしたが、昇降装置
3によって落下防止用ケージ1とともに作業者42を自
動的に昇降させるようにしてもよい。但しこの場合に
は、ウインチ29にそれだけ出力の大きなものが必要に
なり、搬送の容易さが低下する。
【0017】以上の実施例では、電動モータを使ったウ
インチ29で落下防止用ケージ1を昇降させるようにし
たが、本発明はこれに限られるものではなく、自在鉤な
どを使って、作業者自身の力で昇降させるようにしても
よい。この場合、最も重量物となるウインチ29が不要
となるため、装置全体として非常に軽量なものとなり、
自転車などでも楽に運べるものとなる。
【0018】
【発明の効果】本発明は、以上のように、ロープで吊り
下がった作業者の届く範囲の大きさの落下防止用ケージ
を常に作業者の直下に配置できるように構成したので、
誤って道具を落してしまったときにこれを受けとめ、ま
た、万一作業者が落下した場合であっても、落下の勢い
がつく前にこれを受けとめて作業者を確実に保護するこ
とができるという効果を有するものである。また、長桟
と横桟を着脱自在として収納部を折り畳めるようにし、
長桟と横桟を折り畳めるようにしたので、可搬性に優
れ、さらに、前述のように作業者の直下に落下防止用ケ
ージを配置して落下の勢いがつく前にこれを受けとめる
ようにしたので、それだけ耐衝撃性を抑えることがで
き、それだけ軽量化が可能であり、自転車などでも楽に
運べる程度のものを作成できる。
【0019】さらに、本発明の落下防止用ケージは、吊
り下げて使用しているときにでも、簡単に奥行を狭める
ことができ、落下防止用ケージの最大奥行が通過できな
いような障害物があっても、これを避けてながら昇降す
ることができるという効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の落下防止装置の一実施例を示すもの
で、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図2】図1の装置の落下防止用ケージを示す分解斜視
図である。
【図3】図2のケージの枠部の部品を示すもので、(a)
は長桟の部分拡大断面図、(b)は横桟の部分拡大断面図
である。
【図4】図2のケージの奥行の減少状態を示す略図であ
る。
【図5】従来の落下防止装置を示す側面図である。
【符号の説明】
1…落下防止用ケージ、2…ロープ、3…昇降装置、4
…建築物の壁面、5,6…袋状部、7…長桟、8…横
桟、9…収納部、10…枠部、11…支持ロープ、12
…環、14…引上ロープ、15…フック、16…コ字型
部材、17…軸、18…ネット、20…防水シート、2
3…中央辺、25…コ字型部材、25L,25R…コ字
型部材の端部、26…軸、27…中央辺、28…アー
ム、29…ウインチ、30…減速機付きモータ、31…
ドラム、32…滑車、35…屋上、36…樹木。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 壁面での作業者42の直下に位置するよ
    うにロープ2により吊り下げられた落下防止用ケージ1
    と、この落下防止用ケージ1を所定位置で停止させるた
    めに前記ロープ2に制動をかけるための制動装置からな
    り、前記落下防止用ケージ1は、長手方向の長桟7と短
    手方向の横桟8とからなる枠部10に収納部9を吊り下
    げてなり、前記横桟8を折り畳み自在に形成して障害物
    36があったときにこの横桟8を折り畳むことにより奥
    行を狭めるようにしたことを特徴とする壁面作業用落下
    防止装置。
  2. 【請求項2】 左右の横桟8の折り畳み用軸26,26
    に、それぞれ支持ロープ11,11の一端を結合し、こ
    れらの支持ロープ11,11の他端に、それぞれ環12,
    12を介してそれぞれ吊り下げ用のロープ2,2の下端
    を結合し、前記左右の横桟8,8の一端部間同士と他端
    部間同士を前記2個の環12,12を通して引上げロー
    プ14,14で連結してなることを特徴とする請求項1
    記載の壁面作業用落下防止装置。
  3. 【請求項3】 落下防止用ケージ1は、収納部9の長手
    方向と短手方向の上端部に袋状部5,6を形成し、それ
    ぞれの袋状部5,6に伸縮自在な長桟7と横桟8を着脱
    自在に挿通するようにしてしてなることを特徴とする請
    求項1又は2記載の壁面作業用落下防止装置。
  4. 【請求項4】 桟8は、太さの異なる筒を重ねて伸縮
    自在にしたことを特徴とする請求項1,2又は3記載の
    壁面作業用落下防止装置。
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