JP3051825U - 樹脂製コンベヤベルト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 心体帆布の裏面側の摺動面を一部改善した構
成を採用することにより、ベルト長さ方向の屈曲性を維
持して、しかも著しく摺動音の少ない樹脂製コンベヤベ
ルトを提供する。 【解決手段】 少なくとも一枚の心体帆布１の表面にカ
バー樹脂層２を積層したカットエッジ方式の樹脂製コン
ベヤベルト１０において、該心体帆布１の裏面にゴム又
は樹脂含浸不織布３を貼着した樹脂製コンベヤベルトで
ある。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は樹脂製コンベヤベルトに関し、特にテーブル面との接触面を不織布、 搬送面を樹脂層とした低摺動音搬送用に使用される樹脂製コンベヤベルトに関す る。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、低摺動音搬送用に使用される樹脂製コンベヤベルトとしては、図３ に示すごとく、一対のプーリＰ，Ｐに掛架したコンベヤベルト２０を鉄、アルミ 、ステンレス又は樹脂等からなる平滑なテーブルＴ上にそのまま摺動させるテー ブル支持コンベヤが食品製造、流通、製紙、製本、電子機器などの各産業分野で 広く採用されている。

【０００３】 このテーブル支持コンベヤは、平滑面上を滑り移動するので、ローラ支持コン ベヤに比べ振動が少なく騒音が小さいと言った利点を有する。このテーブル支持 コンベヤに使われる樹脂製コンベヤベルト２０は、図４の断面図に示すように心 体帆布１の表面にのみカバー樹脂層２が貼着され、心体帆布１の裏面側には何も 貼着されていない。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、上記のように裏面側の帆布面が露出している樹脂製コンベヤベルト をテーブル支持コンベヤに用いると、テーブル支持面を摺動するため、シューシ ューという比較的周波数の高い擦過騒音が著しく、特にベルトの強度を付与する ため心体帆布として剛直な織布を使用したものほど上記弊害は顕著となるという 問題がある。

【０００５】 上記の問題点を解決するため鋭意検討した結果、本考案は心体帆布の裏面側の 摺動面を一部改善した構成を採用することにより、ベルト長さ方向の屈曲性を維 持して、しかも著しく摺動音の少ない樹脂製コンベヤベルトを提供することを目 的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

前述の目的を達成するため本考案の特徴とするところは、少なくとも一枚の心 体帆布の表面にカバー樹脂層を積層したカットエッジ方式の樹脂製コンベヤベル トにおいて、該心体帆布の裏面にゴム又は樹脂含浸不織布を貼着した樹脂製コン ベヤベルトである。そして、ゴム又は樹脂含浸不織布の厚さが０．５〜１０ｍｍ の範囲にある。

【０００７】

【考案の実施の形態】

次に本考案に係る樹脂製コンベヤベルトの実施の形態について図面を用いて詳 細に説明する。 この考案のカットエッジ方式を採用してなる樹脂製コンベヤベルト１０の基本 構造は、図１に一例を示すごとく心体帆布１と、心体帆布１の表面に貼着された カバー樹脂層２と、帆布心体１の裏側に貼着されたゴム又は樹脂含浸不織布３で 構成され、ベルトの幅方向両側の耳部４にて心体帆布１の両側縁カット部が露出 している。

【０００８】 この心体帆布１は、ポリエステル繊維、芳香族ポリアミド繊維、ナイロン繊維 等の伸びの少ない繊維で織成された平織、綾織等の織布であり、カバー樹脂層２ は、熱可塑性のポリウレタン、ＰＶＣ、オレフィン系熱可塑性エラストマー（Ｔ ＰＯ）等から形成され、ゴム又は樹脂含浸不織布３は、ポリエステル繊維、芳香 族ポリアミド繊維等で形成されている。

【０００９】 このゴム又は樹脂含浸不織布３は本考案の主要部であって、ポリエステル繊維 、芳香族ポリアミド繊維等の不織布にゴム、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂等 を含浸させたものである。不織布そのものは低摺動音に効果はあるが、不織布に 含浸させるゴム又は樹脂は摺動音の低減には殆ど影響しないが、不織布の耐摩耗 性向上及び不織布と帆布心体との接着性の向上からして必要不可欠であり、その 含浸量は１ｍｍ厚みの不織布の目付量が３００〜１０００ｇ／ｍｍの場合、 含浸 量は１０〜８０％の範囲のものがよい。

【００１０】 また、ゴム又は樹脂含浸不織布３は耐摩耗性及び接着性の点から不織布全体を 含浸させるのが一般的であるが、当然のことながら不織布の摺動面である下面側 のみを含浸させてもよい。尚、不織布と心体帆布との接着性をより向上すべく両 者間に同系統の接着材を塗布してもよい。

【００１１】 ここで、ゴム又は樹脂含浸不織布の厚みは０．５〜１０ｍｍの範囲のものが望 ましい。尚、不織布の厚さが０．５ｍｍ未満では、含浸不織布による吸音効果が 少なく低摺動音化できない。反面、ゴム又は樹脂含浸不織布の厚さが１０ｍｍを 超えると吸音効果はよいが反面ベルト走行時の屈曲性が悪くなる等の問題がある 。

【００１２】

【実施例】

次に本考案の効果を示す実験例を具体例に説明する。 ポリエステル繊維からなる心体帆布１の表面にカバー樹脂層２としてポリウレ タンを、裏面にポリアミド繊維の不織布にポリウレタンを含浸した樹脂含浸不織 布３をそれぞれ貼着した図１に示す本考案の樹脂製コンベヤベルト１０と、上記 ベルト構造のうち裏面に樹脂含浸不織布を貼着しない図４に示す従来の樹脂製コ ンベヤベルト２０とを用いて、べルト巾１００ｍｍで長さが５００ｍｍの試験ベ ルトをそれぞれ作成した。

【００１３】 次に、上記で得られた試験ベルト片を、図２に示す摺動音試験装置にかけて騒 音測定試験を行った。この試験装置は、試験ベルト片の一端を固定治具Ｋに固定 し他端に２ｋｇの荷重Ｗを掛けて、プーリと固定治具との間隔が略３００ｍｍと なるようにプーリ径１００ｍｍのアルミ製プーリＰに９０°の角度で巻き付け、 プーリを所定速度で回転させながらプーリ側面から１５０ｍｍ離れた位置にて摺 動音を測定した。その結果は下記の表１に示す通りであった。

【００１４】

【表１】

【００１５】 表１から明らかな如く、本考案に係る樹脂製コンベヤベルトは、従来のベルト に比較し摺動音が同一速度における全騒音で８〜９デシベル、３．１５ＫＨｚで １１デシベル、８．０ＫＨｚで１２デシベル、１６．０ＫＨｚで１２デシベル以 上の騒音低下が達成されていることが判明した。

【００１６】

【考案の効果】

以上の如く請求項１による本考案の樹脂製コンベヤベルトは、心体帆布の裏面 側にゴム又は樹脂含浸不織布を貼着することにより、ゴムまたは樹脂含浸不織布 による吸音効果と共にテーブルとの接触面を柔らかくすることが出来ることによ って、ベルトがテーブル支持面を摺動する際の摺動音を著しく低減することが出 来る。

【００１７】 又、請求項２による本考案の樹脂製コンベヤベルトは、ゴムまたは樹脂含浸不 織布の厚みを所定範囲とすることにより請求項１の効果の他にベルト長さ方向の 屈曲性も従来の水準を維持することが出来る等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る樹脂製コンベヤベルトの断面図で
ある。

【図２】樹脂製コンベヤベルトの摺動音測定試験機の概
略斜視図である。

【図３】テーブル支持コンベヤの走行状態を示す概略斜
視図である。

【図４】従来の樹脂製コンベヤベルトの断面図である。

【符号の説明】

１ 心体帆布 ２ カバー樹脂層 ３ ゴム又は樹脂含浸不織布 ４ ベルト耳部 １０ 樹脂製コンベヤベルト

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも一枚の心体帆布の表面にカバ
   ー樹脂層を積層したカットエッジ方式の樹脂製コンベヤ
   ベルトにおいて、該心体帆布の裏面にゴム又は樹脂含浸
   不織布を貼着したことを特徴とする樹脂製コンベヤベル
   ト。
2. 【請求項２】 ゴム又は樹脂含浸不織布の厚さが０．５
   〜１０ｍｍである請求項１記載の樹脂製コンベヤベル
   ト。