JP3051078B2 - 超電導導体の接続方法 - Google Patents

超電導導体の接続方法

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JP3051078B2 JP9048997A JP9048997A JP3051078B2 JP 3051078 B2 JP3051078 B2 JP 3051078B2 JP 9048997 A JP9048997 A JP 9048997A JP 9048997 A JP9048997 A JP 9048997A JP 3051078 B2 JP3051078 B2 JP 3051078B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高磁場発生機器
用の超電導コイルで用いる超電導導体の接続方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、超電導応用技術の進歩を背景とし
て、核融合装置などの各種の高磁場発生機器用の超電導
コイルに関しても研究開発等が活発に行われている。こ
の中でも強制冷却方式の超電導コイルは、導体を直接絶
縁できることから、構造上、強度が極めて高く、また性
能面では絶縁特性に優れる等の特徴をもち、例えば大型
コイル等に適するものとして注目されている。
【0003】このような超電導コイルで使用される超電
導導体としては、例えばNb3 Sn化合物等の多数のフ
ィラメントを銅等の安定化材で覆う構造のおよそ直径1
mm程度の数十本〜数百本の超電導線をより合わせ、そ
の外周部をステンレス鋼等の合金製のコンジットで覆っ
て超電導線間に冷却通路を形成したもの(「ケーブル・
イン・コンジット型」とも呼ぶ)が提案されている。
【0004】ところで一方、上記のような超電導コイル
の製作法としては、特に近年の大型化ニーズを背景とし
て、最近では超電導導体を直列状に接続して長尺化する
方法も使用される傾向にある。
【0005】このように超電導導体を接続する場合に
は、その接続部を介して超電導導体の特性が著しく低下
するといった事態を避ける接続プロセスが要求される。
最も普通に考えられる接続方法としては、例えば、超電
導導体同士を束ねた後で半田付けで接続する場合があ
る。しかし、この場合には、一般に半田付けは接続抵抗
が大きいために接続長さを0.5m〜数mと比較的長く
する必要があり、また、各素線間に半田が十分に侵入せ
ずに冷却率低下や接続抵抗の高抵抗化などを招きやす
い。
【0006】また、上述の強制冷却方式の超電導コイル
用の超電導導体を半田付けで接続する場合を考えれば、
コンジットを除去して露出させた多数の超電導素線を半
田付けで束ね、その後で双方の束ねた超電導素線同士を
同じく半田付けで接続しなければならず、その接続特性
は半田の固有抵抗値を示す電気特性に依存してしまう。
したがって、この場合には、接続部の抵抗値を小さくす
るために半田付けの長さを長くしなければならず、その
結果、接続部が大きなってしまうといった問題も想定さ
れる。
【0007】そこで、超電導導体の接続部による特性劣
化などを改善する方法としては、以下のものが最近提案
されている。 1):超電導導体のコンジットを除去後に超電導素線か
ら一定長さのフィラメントを酸等を用いて露出させ、同
様の処理を他方の超電導導体に対しても行い、このよう
に露出させた双方のフィラメントを適当数の束にまとめ
て重ね合わせし、このフィラメントを接続ピースで覆
い、フィラメント同士を所定の温度及び圧力を加えて固
相接合する(特開平6−163140号公報)。 2):超電導線の接続しようとする箇所の安定化材を取
り除き、超電導線のフィラメントのみとした後に、互い
に重ねあわせて加圧しながら熱処理を施して接続する
(特開昭63−55875号公報)。 3):化合物系超電導素線の端部の安定化材を除去し、
その後でチューブ状のフィラメント同士を重ね合わせて
接続部に圧力と温度を加え、チューブ状のフィラメント
間を固相拡散接合する(特開平2−197017号公
報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
1)〜3)の超電導導体の接続方法によれば、いずれも
超電導素線の安定化材を硝酸溶液などを用いて除去する
ことによってフィラメントを露出させ、そのフィラメン
ト同士を接続する工程を必須としてあるため、直径数十
ミクロンといった極細線のフィラメントを常に意識して
慎重に作業を行わなければならず、その取扱いは煩雑と
なり、必ずしも作業性がよいものではなかった。例え
ば、フィラメントは洗浄しにくく、あるいは摩擦により
発火が生じるといった不都合があった。
【0009】加えて、フィラメント除去に必要な硝酸溶
液等の取扱いも煩雑であった。しかも、硝酸溶液等によ
るフィラメント除去時には反応ガスが発生するため、そ
の反応ガスの中和設備や排気ガス対策も必要となる。し
たがって、従来技術のフィラメント接続にあっては、硝
酸溶液等の薬品使用を許容する作業環境を新たに構築し
なければならないといった制約もあった。
【0010】また、上述の強制冷却方式の超電導コイル
の適用が望まれている大型コイルに関しては、一般に現
場や現地で製作する場合が多く、このような環境下での
フィラメント接続に必要な真空装置、排気装置、加熱・
加圧装置等の段取りには煩雑な物があり、必ずしも作業
性がよいものではない。
【0011】この発明は、このような従来の問題を考慮
してなされたもので、超電導導体の接続部の低抵抗化及
びコンパクト化を図るだけでなく、接続作業の煩雑さを
解消して作業性をよくし、加えて作業環境を改善するこ
とを、目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明に係る超電導導体の接続方法では、コンジ
ット内に複数の超電導線を有する2本の超電導導体を直
列状に接続する方法であって、前記2本の超電導導体の
接続しようとする各端部で前記コンジットを除去して前
記複数の超電導線を露出させ、この露出させた複数の超
電導線に高導電性、高熱伝導性、および高強度性を有す
る材料で構成されるパイプを被せ、このパイプ内で前記
複数の超電導線が密に集合するように前記パイプを縮小
させ、この縮小させたパイプとその内部の各超電導線と
で接続用端面を形成し、このように接続用端面が形成さ
れた前記2本の超電導導体を真空中またはアルゴン雰囲
気下でそれぞれの接続用端面同士を突き合わせ、前記パ
イプ内に密に集合した複数の超電導導体に応じた突き出
し条件でその軸方向に前記パイプから加圧する共に前記
パイプを局部的に加熱して固相接合することを特徴とす
る。
【0013】したがって、この発明では、従来のフィラ
メント接続に代えて、超電導線同士さらには超電導導体
を互いに突き合わせて直接、接続する方法を構築したた
め、フィラメント接続に関する作業性の悪さが殆ど解消
され、硝酸溶液等の薬品を使わないで済むために作業環
境なども改善できると共に、接合部の抵抗発熱が殆ど起
こらない良好な接続部を得ることができ、接続特性およ
び接続強度に優れた超電導コイルが得られる。
【0014】前記局部的に加熱する条件として、好まし
くは高周波加熱コイルを使用し、また前記加圧条件とし
て、好ましくは前記パイプを把持可能な治具を用いる。
この治具としては、前記パイプのエッジ部を介して当該
パイプを軸方向に加圧可能な構造を有するものが望まし
い。
【0015】前記パイプ縮小工程として好ましくは、こ
のパイプ内のボイド率に基づいて当該パイプを縮小させ
る工程を用いる。ここで、ボイド率としては0%から1
0%までの範囲とすることが望ましい。
【0016】前記パイプとして好ましくは、少なくとも
高導電性および高熱伝導性を有する材料、例えばアルミ
ナ分散銅、クロム銅、銀入り銅などで構成したパイプを
用いる。特に好ましくは、高導電性および高熱伝導性だ
けでなく、高強度性をも有する材料で構成したパイプ、
望ましくはクラッド材を使用する。
【0017】この発明で好ましい態様の一つとして、接
続しようとする双方の超電導導体の1つのコンジット内
に収納された多数の超電導線を束ね、その接続面を仕上
げ加工し、これらを容器内に収めて真空中またはガス雰
囲気中で双方の接続面を所定の温度、圧力の条件で加
熱、加圧して固相状態で接合し、その後、接続部の周囲
を超電導状態が保たれるように極低温かつ気密空間が可
能な容器で覆う工程を適用する。
【0018】特に、強制冷却方式等の超電導導体の場合
には、数十から数百本の超電導線を突き合わせて加圧す
る際に座屈または歪みが生じれば、超電導特性が著しく
低下してしまう恐れがあるため、このような事態をより
効果的に防止する態様として、以下の工程を用いること
が望ましい。
【0019】まず、強制冷却方式の超電導導体の接続の
ための準備工程として、ステンレス鋼やインコネル等の
合金製のコンジットを金属鋸などで切断除去し、双方の
超電導導体の超電導素線のそれぞれに銅および銅合金等
のパイプを挿入し、このパイプを機械的にボイドが存在
しなくなるようにかしめる。そして、パイプと超電導素
線とで形成される接続端面が接続可能な表面状態、好ま
しくは表面粗さがRmax値で50μm以下になるよう
に仕上げ加工を施す。
【0020】その後、双方の超電導導体を所定の接続装
置にセットし、互いの接続端面を介して突き合わせて加
熱・加圧し、固相接合する。接続装置としては、好まし
くは接続部の加熱による酸化防止のために接続部周囲を
真空または不活性ガス雰囲気下に維持可能なチャンバー
で囲ったものを準備する。加えて、接続部の加熱・加圧
に必要な接続治具も用意する。ここで、固相接合に際し
ては、雰囲気、温度、および加圧力の条件を適宜に設定
する。超電導特性に影響を与えない上限を見極め、これ
よりも上昇させないことが望ましい。
【0021】最後に、得られた接続部の回りを気密空間
とする容器で覆う。この容器で形成される空間は、超電
導線の超電導状態を維持するための冷却媒体を流すもの
である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、この発明に係る超電導導体
の接続方法の実施形態を具体的に図面を参照して説明す
る。
【0023】(第1実施形態)図1(a)に示すケーブ
ル・イン・コンジット型の強制冷却方式超電導導体1
は、冷却通路としてステンレス鋼やインコネル等の高強
度非磁性材料でなるコンジット2を備え、その内部に金
属テープ3で覆われた直径約1mm前後の数百本の超電
導素線4…4(図1(b)および(c)参照)を収納し
た構成で、コンジット2内の素線4…4間に冷却媒体を
流すことにより、超電導状態を保つようになっている。
【0024】超電導素線4…4は、図1(b)に示すよ
うに、銅とスズの合金であるブロンズのマトリックス5
中に直径数10μm程度の数十〜数千本のニオブのフィ
ラメント6…6を配置したものである。この超電導素線
4に熱処理を施すことによって、図1(c)に示すよう
に、銅を含むマトリックス(安定化材)5a…5a中に
超電導特性を示すニオブ・3・スズを含むフィラメント
6a…6aを配置した構成に変化する。
【0025】ここで、超電導導体1の接続工程を図2〜
図7に基づいて説明する。
【0026】まず、図2に示すように、熱処理前の超電
導素線4…4を含む超電導導体1の接続側の端部で数1
0mmの長さ分(図中の符号R1参照)のコンジット2
を金属鋸などで除去して金属テープ3をむき出し、さら
にそのテープ3を所望の長さ分(図中の符号R2参照)
除去し、そこから超電導素線4…4をむき出す。
【0027】その後で、図3(a)に示すように、むき
出した素線4…4にパイプ9を被せ、図3(b)に示す
ように、素線4…4間のボイドをなくすようにパイプ9
を径方向にかしめる。この処理を接続しようとする双方
の超電導導体について行う。
【0028】次いで、双方の超電導導体を図示しない真
空炉を用いた真空中で長時間、熱処理を施す。この条件
は、例えば温度650℃で250時間とする。この熱処
理により、上述の超電導特性を示すニオブ・3・スズの
フィラメント6aと、銅の安定化材5aとで構成された
超電導素線4…4が得られる。
【0029】その後、図4に示すように、双方の超電導
導体について、超電導素線4…4とパイプ9との接続側
の端面10をパイプ9と共に機械的に研磨し、表面粗度
がRmax値で50μm以下となるように加工する。そ
して、この端面10を所定形状に仕上げ、洗浄する。
【0030】そこで、図5に示すように、双方の超電導
導体1、1の接続すべき端部周辺を接続装置用のチャン
バー11で覆い、そこで互いの端面10、10を突き合
わせ、その後でチャンバー11内を真空ポンプ12で排
気して真空雰囲気とし、あるいは、その排気後に導入バ
ルブ13から不活性ガスを入れることで不活性ガス雰囲
気とする。このような環境下で、双方の超電導導体1、
1の接続部を高周波加熱コイル14を用いた装置で局部
的に加熱し、所定の加圧装置で突き合わせ方向に加圧す
る(図中の符号15はOリングを示す)。
【0031】加熱装置は、図6に示すように、突き合わ
せた双方のパイプ9、9の外側周囲を互いの突き合わせ
部分を残して覆う構造の円筒状のパイプ把持用接続治具
16、16と、この2つの接続治具16、16間に配置
され、図示しない支持部材を介して支持される高周波加
熱コイル14とを備えたもので、予め設定された固相接
合条件で高周波加熱コイル14から接続治具16、16
を介して接続部を局部的に加熱するようになっている。
【0032】加圧装置は、図6に示すように、4本の加
圧棒17a…17d、2つの加圧板18a、18b、油
圧シリンダ19、その支持体20を備えた構成で、予め
設定された固相接合条件で油圧シリンダ19の動力を加
圧棒17および加圧板18を介して上記の接続治具16
に伝達し、そこから双方のパイプ9、9を介して接続面
10、10を自在に加圧するようになっている。
【0033】ここで、上記の固相接合条件としては、超
電導素線4の集合体の酸化を防止するために接合雰囲気
を「真空中、好ましくは10-2Torr以下または高純度の
アルゴン雰囲気」とし、超電導特性が劣化しない上限の
加熱温度を保つために温度を「600℃〜800℃」と
し、超電導特性に影響を与えない範囲で超電導素線同士
を金属的に接続するために圧力を「1〜5kg/m
2 」とし、時間を「30分〜120分」とする条件を
用いる。
【0034】以上の工程により、超電導素線4、4同士
の接続が完了し、その後、一定の冷却時間を待ってか
ら、接続装置であるチャンバー11および加熱および加
圧装置を解体する。
【0035】その後、図7に示すように、超電導線4と
パイプ9とで形成された上述の接続部25の周囲を容器
26で囲う。この容器26は、少なくとも接続部25の
超電導導体1の冷却通路の一部として使用するもので、
コンジット2との連結部に冷媒漏れ防止用のシール溶接
を施して溶接部27を形成し、その内部を気密に形成す
る。この容器26に冷媒用導出管28、29を連結す
る。ここで、接続部25の周辺には図示しない固定治具
を取り付けてある。
【0036】この実施形態によれば、超電導素線を直
接、接続する方法としてあるため、従来の半田付けによ
る方法と比べ、超電導素線の安定化銅の介在がなく、超
電導素線の超電導材に電流が流れ発熱をほとんど生じさ
せない。いずれかの原因で超電導状態がくずれた場合に
は電流が安定化材に流れて熱が発生するが、超電導導体
と容器とを一体化してあるため、熱が周囲の冷媒で冷や
され、超電導状態が復活する。このため、発熱を微量に
抑制できる。また、接続部での抵抗はゼロに近いので接
続面積を大きく取る必要がなく、その接続部の大きさを
コンパクト化できる。
【0037】加えて、従来のフィラメント接続工程が不
要となるために、フィラメントの取扱に関する作業性の
悪さが殆ど解消されると共に、安定化材の除去等に必要
な硝酸溶液等の薬品も使わないで済むために、作業環境
も大幅に改善できる。
【0038】なお、この実施形態では円筒状の接続治具
を用いてあるが、この発明はこれに限定されるものでは
ない。
【0039】(第2実施形態)図8に示す接続治具16
aは、上述と同様の構造を一部変更したもので、非接続
側の開口端部をパイプ端部のエッジ端面に当接可能な円
環状凸部に形成し、その底部を介してパイプ9を軸方向
に加圧できる構造となっている。
【0040】このような構造の接続治具を使用すること
により、加圧時にパイプ9と接続治具16aとの間で滑
りが生じるといった事態も殆ど回避できることから、ロ
スがなく管理された圧力条件で接続面同士の密着度を一
層高め、加熱および加圧による拡散接合をより効果的に
行うことが可能となる。また、パイプを拘束するのに必
要な加圧力も小さくて済むため、超電導材の歪みの発生
をより一層抑制できる。
【0041】なお、接続治具はパイプのエッジ部に加圧
可能な構造を有するものであればよく、必ずしも円筒状
のものに限定されるものではない。
【0042】(第3実施形態)この実施形態では、超電
導素線のボイドをなくすためのパイプ縮小工程として、
鍛造加工の1つであるスウェージング加工を用いる。こ
のスウェージング加工により、パイプ内に集合させられ
た超電導素線同士の密着度をより一層高め、集合体の密
度を0%から5%程度までの範囲内の空隙率となるまで
高める。ここで、空隙率は、スウェージング加工される
パイプ内の空隙率をいう。参考として、図9(a)は空
隙率が数10%程度の場合、(b)は空隙率が0%程度
の場合を示す。
【0043】この実施形態によれば、接合部の外周部を
パイプで強固に固定できるため、超電導導体の接続に必
要な軸方向の加圧力をより一層スムーズに伝達でき、よ
り健全な接続部を得ることができる。また、加圧時の座
屈をより効果的に防止でき、超電導材の歪みの発生を一
層抑制できる。
【0044】(第4実施形態)この実施形態では、上記
のスウェージング加工されるパイプとして、アルミナ分
散銅、クロム銅、銀入り銅などの高温強度および高導電
性に優れる材料・材質で構成したものを使用する。ここ
で、パイプを純銅で構成した場合を考えると、このパイ
プにスウェージング加工を施した後で上記の接合雰囲気
下で加熱・加圧すれば、パイプの接合温度で軟化あるい
は強度不足が生じ、その結果、接合に必要な加圧が得ら
れず、不具合が生じる場合がある。
【0045】したがって、純銅の代わりに上記材料でパ
イプを構成すれば、パイプの強度不足などの不具合が殆
ど生じることなく、所望の加圧力を加えることができ、
より健全な接合部を得ることができる。加えて、アルミ
ナ分散銅、クロム銅、銀入り銅などの高温強度および高
伝導性に優れる材料は、高周波加熱時に必要な熱伝導に
も優れ、接合部を短時間に加熱できる利点もある。
【0046】(第5実施形態)この実施形態では、上記
のスウェージング加工されるパイプとして、上記第4実
施形態の高温強度および高導電性のほか、耐熱性にも優
れ、高温強度をも併せもつクラッド材を用いる。
【0047】このクラッド材の製造法を説明する。ま
ず、図10(a)に示すように高導電性、高熱伝導性に
優れた高純度の銅24と、耐熱で高強度のNi基合金2
5とを超電導導体の接続温度以上の温度で拡散接合し、
強固なクラッド材を製作する。その後で、図10(b)
に示すようにスウェージング加工が可能なパイプ形状に
加工する。したがって、このクラッド材を用いれば、上
記第4実施形態と同様の効果に加え、パイプにより一層
の高強度を付加させる利点がある。
【0048】(第6実施形態) この実施形態では、図11に示すように、双方の超電導
導体1、1のそれぞれに関して、パイプ9、9内に密に
集合した超電導素線4、4に応じた突き出し条件とし
て、パイプ9、9および超電導素線4、4で形成される
接続用端面10、10の位置の接続治具16a、16a
からの突き出し長L1、L1を所望の範囲内に設定して
いる。
【0049】この突き出し条件としての突き出し長L1
は、接続特性に大きな影響をもたらすもので、例えば上
記の固相接合条件を用いて約1080本の直径約1mm
の超電導素線同士を突き合わせて接続する場合等には、
「2mm以上5mm以下」が好ましい。「2mm」より
も小さい場合には、十分な加圧力が得られず、接合不良
の確率が高くなる一方、「5mm」を超える場合には、
接続部の変形量が大きくなって、その結果、熱処理を施
したNbSn化合物超電導導体の結晶構造が崩れ、超
電導特性が劣化する恐れがあるためである。
【0050】なお、その他の実施例として、熱処理前の
超電導導体同士を接続した後、Nb3 Sn化合物の生成
用の熱処理を行う場合や、超電導導体の材料としてNb
3 Sn化合物に代えてNb3 Al化合物や実績の高いN
bTi合金の線材などを用いる場合等においても、上記
と同様の効果を得ることができる。
【0051】(第7実施形態)この実施形態は、コイル
を成す2本の超電導導体間をU字型(ヘアピン型)の超
電導導体を用いて接続する場合に適用したものである。
【0052】まず、図12に示すようにコイルを成す2
本の超電導導体1a、1aと、U字型の超電導導体1b
とを準備する。ここで、2本の超電導導体1a、1aの
それぞれの接続しようとする端部と、U字型導体1bの
両端部2か所とに上述と同様にコンジット3を除去/切
断して露出させた超電導線4に銅パイプ9を被せて径方
向にかしめる処理を行い、接合面を形成しておく。
【0053】次いで、2本の超電導導体1a、1aを互
いに並列状に揃えて端部を突き出すように固定治具30
を用いて支持する一方、U字型導体1bをその両端部の
みが外部に露出するように固定治具31を用いて支持す
る。
【0054】そこで、図13に示すように接続治具16
bを使用し、真空中で加熱/加圧する条件を用いて2本
の超電導導体1a、1aとU字型導体1bの両端部2か
所とを同時に固相接合する。その後、接続部を保護用の
容器で囲い、その内部に冷媒流路を確保した接続導体サ
ンプルを作製した。
【0055】得られたサンプルの特性を評価する目的
で、通電試験および引張試験等の各種試験を行って、接
続部の抵抗値、交流損失値、引張強度等を測定したとこ
ろ、得られた接続部は、加工歪みや加熱による超電導線
の特性劣化を抑えつつ、低抵抗、低交流損失、および機
械強度に優れた特性を有していることが確認された。
【0056】なお、上記各実施形態では加熱条件として
高周波加熱コイルを用いてあるが、この発明はこれに限
定されるものではなく、少なくとも接続部周囲を局部的
に加熱する条件であれば、その他の加熱装置を用いても
よい。例えば、図14に示す通電加熱用の電気回路40
を用いた装置でもよい。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、超電導線同士を直接、固相接合するる工程を必須と
してあるため、半田付けに代わる方法としてわざわざフ
ィラメントを露出させなくても、超電導導体の接続部で
の発熱を効果的に抑制でき、しかも接続部での抵抗は零
に近くなり、接続部の大きさを必要最小限にコンパクト
化できる。加えて、このようにフィラメント接続が不要
となるために、フィラメントの取扱いに関する作業性の
悪さもほとんど解消でき、硝酸溶液等の薬品も使わない
で済むために作業環境も大幅に改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る超電導導体の構造を説明する図
で、(a)は概略断面図、(b)は熱処理前の超電導素
線の概略断面図、(c)は熱処理後の超電導素線の概略
断面図。
【図2】超電導素線を露出させる工程の説明図。
【図3】(a)はパイプを被せる工程の説明図、(b)
はパイプを縮小させる工程の説明図。
【図4】接続部の端面を仕上げ加工する工程の説明図。
【図5】固相接合工程の説明図。
【図6】加熱および加圧装置の要部を説明する概略図。
【図7】接続部を容器で覆う工程の説明図。
【図8】第2実施形態の接続治具を説明する概略図。
【図9】第3実施形態のパイプ内の空隙率を説明する概
略図で、(a)は数十%程度の場合の説明図、(b)は
0%程度の場合の説明図。
【図10】(a)および(b)は第5実施形態のクラッ
ド材を説明する概略図。
【図11】第6実施形態の接続部の突き出し長を説明す
る概略図。
【図12】U字型超電導導体を用いた場合の接続方法を
説明する概略図。
【図13】U字型超電導導体を用いた場合の接続導体を
説明する概略図。
【図14】通電加熱法を用いた場合を説明する概略図。
【符号の説明】
1、1a、1b 超電導導体 2 コンジット 3 金属テープ 4 超電導素線 5、5a マトリックス 6、6a フィラメント 9 パイプ 10 接続用端面 11 チャンバー 12 真空ポンプ 13 導入バルブ 14 高周波加熱コイル 15 Oリング 16、16a、16a 接続治具 17a、17b、17c、17d 加圧棒 18a、18b 加圧板 19 油圧シリンダ 20 支持部 25 接続部 26、26a 容器 27、28 導出管 29 溶接部 30、31 固定治具
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安藤 俊就 茨城県那珂郡那珂町大字向山801番地の 1 日本原子力研究所 那珂研究所内 (72)発明者 辻 博史 茨城県那珂郡那珂町大字向山801番地の 1 日本原子力研究所 那珂研究所内 (72)発明者 澁谷 純市 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番 地 株式会社東芝 京浜事業所内 (72)発明者 佐々木 知之 東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会 社東芝 本社事務所内 (72)発明者 小方 大成 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番 地 株式会社東芝 京浜事業所内 (56)参考文献 特開 昭62−222591(JP,A) 特開 平6−163140(JP,A) 特開 平3−40382(JP,A) 特開 平7−312237(JP,A) 特開 平10−21976(JP,A) 特開 平10−27707(JP,A) 特開 平10−247533(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01R 4/68 H01R 43/00 - 43/28 H01F 6/06

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンジット内に複数の超電導線を有する
    2本の超電導導体を直列状に接続する方法であって、 前記2本の超電導導体の接続しようとする各端部で前記
    コンジットを除去して前記複数の超電導線を露出させ、
    この露出させた複数の超電導線に高導電性、高熱伝導
    性、および高強度性を有する材料で構成されるパイプを
    被せ、このパイプ内で前記複数の超電導線が密に集合す
    るように前記パイプを縮小させ、この縮小させたパイプ
    とその内部の各超電導線とで接続用端面を形成し、この
    ように接続用端面が形成された前記2本の超電導導体を
    真空中またはアルゴン雰囲気下でそれぞれの接続用端面
    同士を突き合わせ、前記パイプ内に密に集合した複数の
    超電導導体に応じた突き出し条件でその軸方向に前記パ
    イプから加圧する共に前記パイプを局部的に加熱して固
    相接合することを特徴とする超電導導体の接続方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の発明において、前記パイ
    プを局部的に加熱する工程は、高周波加熱コイルを用い
    て前記パイプを局部的に加熱するものであることを特徴
    とする超電導導体の接続方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の発明において、
    前記パイプから加圧する工程は、前記パイプを把持可能
    な接続治具を用いて前記パイプから加圧するものである
    ことを特徴とする超電導導体の接続方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の発明において、前記接続
    治具は、前記パイプからその後端側のエッジ部を介して
    軸方向に加圧するものであることを特徴とする超電導導
    体の接続方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の発明において、前記パイ
    プを縮小する工程は、前記パイプ内のボイド率に基づい
    てそのパイプを縮小させるものであることを特徴とする
    超電導導体の接続方法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の発明において、前記パイ
    プはクラッド材で構成され、このクラッド材の内側が少
    なくとも高導電性を有する材料、そのクラッド材の外側
    が少なくとも高強度性を有する材料でそれぞれ構成され
    るものであることを特徴とする超電導導体の接続方法。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の発明において、前記突き
    出し条件は、前記接続用端面同士の固相接合に必要な加
    圧力とこの加圧力による変形量の許容値とに基づく範囲
    内に設定される突き出し長を含むものであることを特徴
    とする超電導導体の接続方法。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の発明において、前記突き
    出し長は2mm以上5mm以下の範囲内にあることを特
    徴とする超電導導体の接続方法。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の発明において、前記2本
    の超電導導体の一方はヘアピン状超電導導体であり、前
    記2本の超電導導体の他方は直線状超電導導体であり、
    前記2本の超電導導体を固相接合する工程は、前記ヘア
    ピン状超電導導体の両端部のそれぞれに前記直線状超電
    導導体を同時に固相接合するものであることを特徴とす
    る超電導導体の接続方法。
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