JP3050572B2 - 酸化物超電導導体の製造方法 - Google Patents

酸化物超電導導体の製造方法

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JP3050572B2
JP3050572B2 JP02192474A JP19247490A JP3050572B2 JP 3050572 B2 JP3050572 B2 JP 3050572B2 JP 02192474 A JP02192474 A JP 02192474A JP 19247490 A JP19247490 A JP 19247490A JP 3050572 B2 JP3050572 B2 JP 3050572B2
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直樹 宇野
祐行 菊地
章二 志賀
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、マグネットワイヤ、電力ケーブル、電力貯
蔵リンク、磁気シールド、マイスナー効果応用機器等に
用いられる酸化物超電導導体の製造方法に関する。
〔従来の技術及びその課題〕
最近周知のようにY−Ba−Cu−O系、Bi−Sr−Ca−Cu
−O系、Tl−Ba−Ca−Cu−O系等の酸化物超電導体が見
出された。この酸化物超電導体は、液体窒素等の安価な
冷却媒体で超電導となる臨界温度(Tc)の高い物質であ
る為各分野で実用化研究が進められている。
上記酸化物超電導体は層状ペロブスカイト型結晶構造
の為結晶異方性が強く、電流はCu−O原子を含むab面に
流れ易く、従って通電方向に対し垂直な方向にC軸を配
向させるのが高い臨界電流密度(Jc)を得るのに必要な
要件であり、又結晶粒界は通電障害となる為、通電方向
に対して結晶粒界を低減させることが肝要である。
ところで、これらの酸化物超電導体は脆い為に金属の
ような加工を施すことができず、これを所定形状の酸化
物超電導導体となすには、例えば酸化物超電導体となし
得る原料物質をAg製パイプ等に充填して所定形状に伸延
加工し、しかるのちこれに所定の加熱処理を施して酸化
物超電導体に固相反応せしめる方法が適用されている。
しかしながらこのようにして得られた酸化物超電導体
は、結晶配向がランダムな多結晶組織からなる上、結晶
粒界が弱結合状態の為に結晶粒界での通電抵抗が大き
く、従って高いJc値が得られないという問題があった。
又PVD法やCVD法等の気相成長法により配向性の高い酸
化物超電導体を基体上に形成する方法が提案されたが、
基体に結晶構造が酸化物超電導体に類似した単結晶体を
用い、この上にエピタキシャル成長させて製造する為に
条件を厳密に制御する必要があり、又成膜後長時間の加
熱処理を要するなど生産性に劣るものであった。
〔課題を解決するための手段及び作用〕
本発明はかかる状況に鑑み鋭意研究を行った結果なさ
れたものでその目的とするところは、超電導特性に優れ
た酸化物超電導導体を効率よく製造する方法を提供する
ことにある。
即ち本発明は、酸化物超電導体の原料粉末を酸素分圧
10-5〜200Torrの雰囲気中で仮焼成したのち、これを粉
砕分級して調整した仮焼成粉体を金属管に充填し、次い
でこれを伸延加工して内部の仮焼成粉体層が0.001〜1.0
mm厚さの伸延加工材となし、しかるのち、この伸延加工
材に、上記仮焼成粉体層が部分的に溶融する温度以上の
温度T1にて加熱したのち0.01〜100℃/minの速度で冷却
する第1熱処理工程、及び酸素含有雰囲気中にて上記温
度T1より20〜150℃低い温度T2にて加熱する第2熱処理
工程を順次施すことを特徴とするものである。
本発明方法において用いられる仮焼成粉体とは、例え
ばアルカリ土金属、希土類元素及び銅の酸化物、炭酸
塩、硫酸塩、硝酸塩、硫化物、ハロゲン化物、アルコキ
シド類又はそれぞれの元素単体や合金などの酸化物超電
導体の原料粉末を所定量混合し、10-5〜200Torrの酸素
分圧の雰囲気中で500〜1000℃に加熱して得られる物質
を粉砕分級したものであって、これを酸素含有雰囲気中
で加熱処理することにより酸化物超電導体に反応するも
のである。
本発明方法において、上記仮焼成粉体を充填する金属
管及び上記金属管内に配置する芯材としては、酸化物超
電導体と非反応性で且つ導電性並びに熱伝導性に優れた
金属製のものが用いられ、例えばAg、Ag−Pd、Ag−Au、
Ag−Cu、Ag−Mg、Ag−Pt、Ag−Ir、Au、Au−Ni、Au−C
u、Au−Ag−Cu、Au−Pd−Ag、Au−Ir、Pt、Pt−Ir、Pt
−Pd、Pd、Pd−Ni、Pd−Co、Ni−Cr、Ni−Cr−Co、Ni−
Fe、Ni−Fe−Co、Fe−Cr、Fe−Ni−Cr(SUS)等の材料
製のものが好適である。
而して仮焼成粉体を充填した金属管を伸延加工する方
法には、圧延、押出、プレス、溝ロール圧延、スエージ
ング、引抜き等の任意の伸延加工方法が適用される。
本発明方法において、上記の伸延加工材の内層の仮焼
成粉体層は、前記の第1の熱処理工程によってC軸配向
して結晶化するものであって、その加熱温度T1は、例え
ばBi系酸化物超電導体の場合で、凡そ880〜920℃又はこ
れ以上の温度で、上記仮焼成粉体層の少なくとも一部が
融解する温度である。
而して加熱温度T1は組成等の条件毎に熱分析を行って
融解温度を実測して決めることが望ましい。
本発明方法において、温度T1からの冷却速度は100℃/
minを越えると結晶化が損なわれ、又0.01℃/min未満の
低速では、相分離と結晶粒の粗大化が起きるので0.01〜
100℃/minとする必要がある。
本発明方法において、上記の結晶化した酸化物超電導
体層に第2の加熱処理工程を施すことにより、結晶構造
の調整並びに酸素の補給がなされ、Jc等の特性が更に向
上する。
上記の第2の熱処理工程での加熱温度T2を第1の熱処
理工程の加熱温度T1より20〜150℃低い温度に限定した
理由は、温度T2が温度T1より20℃未満低い温度では、結
晶構造の調整がなされず、又150℃を超える低い温度で
は酸素の補給が十分になされない為である。上記温度T2
は温度T1より20〜100℃低い温度が特に好ましいもので
ある。
本発明方法において、伸延加工材の仮焼成粉体層の厚
さを0.001〜1.0mmに限定した理由は、0.001mm未満では
電流容量を大きくとれないことの他、仮焼成粉体層の密
度分布の僅かな変動によって伸延加工中に断線を生じた
り或いは性能が劣化したりする為であり、又1.0mmを超
えると、第1の加熱処理工程において結晶のC軸配向並
びに長手方向への結晶成長が十分になされなくなる為で
ある。
本発明方法において、金属管に充填する原料物質を低
酸素雰囲気中にて仮焼成し粉砕分級した仮焼成粉体と限
定した理由は、かかる方法で調製した仮焼成粉体が酸素
欠損状態となって活性化し、その結果超電導体への反応
が迅速になされること、又仮焼成粉体は融点が低下して
金属管にAg等の融点の比較的低い金属を適用できるこ
と、又Bi系酸化物超電導体にあっては、酸素欠損状態に
おいてTcの高い相が単一に生成すること等の利点が得ら
れる為である。
本発明方法においては、被覆用金属管の材料を選択す
ることによって用途を種々広げることが可能であって、
例えば材料に高強度材を用いれば、強度を要する用途
に、又Ag等の熱的、電気的伝導性の高い材料を用いた場
合はクエンチ現象に対する安定化材としても作用し得る
ものであり、更に金属管は外部のH2OやCO2等の有害ガス
や外部磁場から酸化物超電導体層を保護する作用も有す
るものである。
又靱性に富む材料を薄く加工して用いれば可撓性が得
られるので、コイル、マグネット等の曲げ加工を要する
分野に適用することができる。
又酸化物超電導体は熱処理によって脆化するので、予
めコイル、マグネット等に成形しておいてから熱処理す
るようにする方法も有用である。
〔実施例〕
以下に本発明を実施例により詳細に説明する。
Bi2O3、SrO、CaO、CuOをBi:Sr:Ca:Cuが原子比で2:2:
1:2になるように配合して混合し、この混合粉末を酸素
分圧1.2×10-1Torrの雰囲気にて850℃3H仮焼成し、この
仮焼成体を粉砕分級して平均粒径8μmのBi2Sr2CaCu2O
xの仮焼成粉を作製した。
而して上記仮焼成粉をAg製管に充填し、これを圧延及
び伸線加工により種々厚さの平角状の伸延加工材とな
し、次いでこれを大気中で上記仮焼成粉体の液相線温度
近傍の温度T1にて30分間保持し、次いで上記温度から所
定速度にて温度T2まで冷却し、上記温度T2にて30時間保
持したのちこれを室温に冷却して酸化物超電導導体とな
した。上記において、温度T1、T2及びT1からT2への冷却
速度は種々に変化させた。
斯くの如くして得られた各々の酸化物超電導導体につ
いて、Tc及びJcを測定した。Jcは液体窒素(77K)中に
て4端子法により、磁場をかけた場合とかけない場合に
ついて測定した。結果は酸化物超電導体層の厚さ、つま
り伸延加工材の内層厚さを併記して第1表に示した。
第1表より明らかなように本発明方法品(1〜7)は
Tc、Jcがともに高い値を示した。特に磁場をかけた状態
においてもJcは高い値が維持され耐磁場特性に優れたも
のであった。
これに対し、比較方法品のNo8,9は伸延加工材の仮焼
成粉体層の厚さが本発明の限定値外にあるもので、前者
は厚すぎた為にC軸配向並びに通電方向への結晶成長が
十分になされずにJcが低い値のものとなった。又後者は
薄くまで強加工した為に仮焼成粉体層の密度が不均一と
なって伸線中断線を生じた。又No10は第1加熱処理工程
の加熱温度T1が低すぎて仮焼成粉体が溶融しなかった
為、又No11,12は第2加熱処理工程の加熱温度T2が本発
明の限定値外であった為、又No13は加熱温度T1からT2
の冷却速度が速すぎた為いずれも結晶のC軸配向又は/
及び通電方向への結晶成長が十分になされずその結果T
c、Jcが低い値のものとなった。
〔効果〕
以上述べたように本発明方法によれば、Jc等の超電導
特性に優れた酸化物超電導導体を効率よく製造すること
ができるので、工業上顕著な効果を奏する。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−45763(JP,A) 特開 昭64−57536(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 13/00 565 H01B 12/04 ZAA JICSTファイル(JOIS)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化物超電導体の原料粉末を酸素分圧10-5
    〜200Torrの雰囲気中で仮焼成したのち、これを粉砕分
    級して調整した仮焼成粉体を金属管に充填し、次いでこ
    れを伸延加工して内部の仮焼成粉体層が0.001〜1.0mm厚
    さの伸延加工材となし、しかるのち、この伸延加工材
    に、上記仮焼成粉体層が部分的に溶融する温度以上の温
    度T1にて加熱したのち0.01〜100℃/minの速度で冷却す
    る第1熱処理工程、及び酸素含有雰囲気中にて上記温度
    T1より20〜150℃低い温度T2にて加熱する第2熱処理工
    程を順次施すことを特徴とする酸化物超電導体の製造方
    法。
JP02192474A 1989-07-21 1990-07-20 酸化物超電導導体の製造方法 Expired - Lifetime JP3050572B2 (ja)

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