JP3050533B2 - 殺菌方法および殺菌装置 - Google Patents

殺菌方法および殺菌装置

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JP3050533B2 JP9169575A JP16957597A JP3050533B2 JP 3050533 B2 JP3050533 B2 JP 3050533B2 JP 9169575 A JP9169575 A JP 9169575A JP 16957597 A JP16957597 A JP 16957597A JP 3050533 B2 JP3050533 B2 JP 3050533B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、細菌類や黴など
の各種微生物を死滅させる殺菌方法、特に、高圧を利用
した簡易な殺菌方法、ならびに、その方法の実施に使用
される殺菌装置に関する。
【0002】
【従来の技術】各種微生物の物理的殺菌法として、加
熱、冷凍、紫外線照射などといった一般に広く行われて
いる方法のほか、微生物を高圧雰囲気中に置いて死滅さ
せる方法があり、この高圧処理による殺菌法は、被殺菌
物の劣化や変性を伴わずに殺菌することができるため、
近年、主に食品の殺菌法として検討され一部で用いられ
てきた。また、殺菌効果を高めるために、低温下で高圧
処理する殺菌法も検討されている。
【0003】上記した高圧殺菌では、微生物を有効に死
滅させるために、例えば100MPa前後以上といった
高圧を必要とし、従来は、油圧ポンプなどを用いて高圧
を発生させていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
高圧殺菌法では、高圧を発生させるために大掛りな高圧
発生装置を必要とし、従来から行われている他の殺菌法
に比べて多大な装置コストを要する、といった問題点が
ある。そして、より殺菌効果を高めようとすると、さら
に高い圧力で微生物を処理する必要があり、殺菌性の向
上には装置コストの増大を伴うこととなる。
【0005】この発明は、以上のような事情に鑑みてな
されたものであり、大掛りな高圧発生装置を必要とする
ことなく簡便に高圧を発生させて、食品や医療用具等の
食品以外の物品、酵素液、血清等の生体液や液状の医薬
品などの殺菌処理を行うことができる殺菌方法、ならび
に、その方法を好適に実施することができる殺菌装置を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
液体状態の凍結媒体と不凍液体とを、変形可能な隔離部
材によって互いに隔て、かつ、第1の耐圧容器内に充満
させて気体を排除した状態で、第1の耐圧容器内に凍結
媒体と不凍液体とを密封したものを、冷却させて、内部
の凍結媒体の全部または一部を凍結させ、その時に発生
する圧力を、第2の耐圧容器内に密封された被殺菌物お
よびその周囲を満たす充填液体または被殺菌液に対し、
前記不凍液体を介して作用させることにより殺菌するこ
とを特徴とする。
【0007】請求項2に係る発明は、請求項1記載の殺
菌方法において、凍結媒体を変形可能なプラスチック製
容器または袋内に充満させて気体を排除した状態で、容
器または袋内に凍結媒体を密封したものを、第1の耐圧
容器内に収容した後、その第1の耐圧容器内に不凍液体
を充満させて気体を排除した状態で、第1の耐圧容器内
に凍結媒体と不凍液体とを密封したものを使用すること
を特徴とする。
【0008】請求項3に係る発明は、密閉された内部
に、凍結媒体を充満させて密封した変形可能なプラスチ
ック製容器もしくは袋が収容され、その容器もしくは袋
の周囲が不凍液体で満たされた圧力発生側耐圧容器、ま
たは、内部がダイヤフラムによって2つの室に仕切ら
れ、一方の室が密閉されてその内部に凍結媒体が充満さ
せられるとともに、他方の室が密閉されてその内部に不
凍液体が充満させられた圧力発生側耐圧容器と、内部に
不凍液体を収容可能で、開口部が形設された殺菌側耐圧
容器本体、または、内部がダイヤフラムによって2つの
室に仕切られ、一方の室が密閉されてその内部に不凍液
体が充満させられるとともに、他方の室の内部に液体を
収納可能でその他方の室側に液体注入口が形設された殺
菌側耐圧容器本体と、前記殺菌側耐圧容器本体の開口部
または前記殺菌側耐圧容器本体の液体 注入口を、殺菌側
耐圧容器本体の内部圧力の上昇時にも液密に閉塞する密
栓と、前記圧力発生側耐圧容器の内部または前記圧力発
生側耐圧容器の他方の室の内部と、前記殺菌側耐圧容器
本体の内部または前記殺菌側耐圧容器本体の一方の室の
内部とを連通させ、内部に不凍液体が充満させられた耐
圧配管とから殺菌装置を構成したことを特徴とする。
【0009】請求項1に係る発明の殺菌方法では、第1
の耐圧容器内に充満させられて密封され変形可能な隔離
部材によって互いに隔てられた凍結媒体と不凍液体との
うち、凍結媒体、例えば水が、氷点以下の温度に冷却さ
れて凍結することにより体積膨張するが、凍結媒体およ
び不凍液体ならびに充填液体または酵素液は、第1およ
び第2の各耐圧容器内に封じ込められていて、第1およ
び第2の各耐圧容器の内壁面により内容物全体としての
体積膨張が抑えられ、それに伴って耐圧容器内部に高圧
が発生し、その高圧が、第2の耐圧容器内に密封された
充填液体または被殺菌液にかかる。この高圧による殺菌
作用により、充填液体中の被殺菌物に付着しまたは被殺
菌液中に存在する細菌類や黴などの微生物が死滅する。
【0010】請求項2に係る発明の殺菌方法では、プラ
スチック製容器または袋内に充満させられて密封された
凍結媒体が、凝固点以下の温度に冷却されて凍結するこ
とにより体積膨張するが、第1および第2の各耐圧容器
の内壁面により内容物全体としての体積膨張が抑えら
れ、それに伴って耐圧容器内部に発生した高圧が、第2
の耐圧容器内の充填液体または被殺菌液にかかり、充填
液体中の被殺菌物または被殺菌液の殺菌が行われる。
【0011】請求項3に係る発明の殺菌装置を使用する
には、殺菌側耐圧容器本体の他方の室内に被殺菌物を収
容し、その他方の室内に液体注入口を通して不凍液体を
注入し、他方の室内に不凍液体を充満させて気体を排除
した状態で、液体注入口を密栓によって液密に閉塞し、
他方の室内に被殺菌物と不凍液体とを密封し、または、
殺菌側耐圧容器本体の他方の室内に液体注入口を通して
被殺菌液、例えば酵素液を注入し、他方の室内に酵素液
を充満させて気体を排除した状態で、液体注入 口を密栓
によって液密に閉塞し、他方の室内に酵素液を密封す
る。そして、圧力発生側耐圧容器を冷却して、圧力発生
側耐圧容器内部に収容されたプラスチック製容器もしく
は袋内の凍結媒体、例えば水を氷点以下の温度で凍結さ
せることにより、または、圧力発生側耐圧容器の一方の
室内に密封された凍結媒体、例えば水を氷点以下の温度
で凍結させる。これにより、上記したように、圧力発生
側耐圧容器の内部に高圧が発生する。発生した高圧は、
圧力発生側耐圧容器内の容器もしくは袋の周囲を満たす
不凍液体、または、圧力発生側耐圧容器の他方の室内に
充満した不凍液体、および、耐圧配管内に充満した不凍
液体を介し、殺菌側耐圧容器本体内の被殺菌物およびそ
の周囲を満たす不凍液体に作用し、または、さらに殺菌
側耐圧容器本体の一方の室内の不凍液体を介して他方の
室内の酵素液に作用する。この高圧による殺菌作用によ
り、被殺菌物に付着しまたは酵素液中に存在する細菌類
や黴などの微生物が死滅する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施形態
について図1および図2を参照しながら説明する。
【0013】図1は、この発明に係る殺菌方法を実施す
るために使用される殺菌装置の構成の1例を示す概略縦
断面図である。この殺菌装置は、圧力発生側耐圧容器1
0と殺菌側耐圧容器12と耐圧配管14とから構成され
ている。圧力発生側耐圧容器10は、例えば100〜2
00MPa以上の高圧に耐える構造を有しており、例え
ばステンレス鋼材などで厚肉に形成されており、内部
に、凍結媒体が密封されたプラスチック製袋16(また
は容器)が収容されている。凍結媒体としては、水ある
いは硫酸マグネシウムや硫酸カリウム等の塩類の水溶液
などが使用される。この凍結媒体の条件は、常温で液状
であって取扱いが容易であり、適当な温度、例えば0〜
−20℃程度の温度で凝固し、凝固時に体積膨張するこ
とであり、凝固時の体積膨張が大きいものほど好まし
い。袋16の周囲は不凍液体、例えばエタノール18で
満たされている。また、殺菌側耐圧容器12は、ステン
レス鋼材などで厚肉に形成されて耐圧構造を有し、液体
注入口22が形設された耐圧容 器本体20と、耐圧容器
本体20の内部圧力の上昇時にも液体注入口22を液密
に閉塞する密栓24とから構成されている。さらに、耐
圧配管14も耐圧構造を有しており、耐圧配管14によ
って圧力発生側耐圧容器10の内部と殺菌側耐圧容器1
2の耐圧容器本体20の内部とが連通されている。そし
て、耐圧配管14の内部にエタノールが充填されてい
る。
【0014】図1に示した殺菌装置を使用して、被殺菌
物、例えば医療用具の殺菌処理を行おうとするときは、
まず、医療用具を変形可能なプラスチック製容器26
(または袋)内に収容し、その容器26内に充填液体、
例えば水、エタノールなどを充満させて空気を排除し、
容器26内に医療用具と充填液体とを密封する。また、
被殺菌液、例えば酵素液の殺菌処理を行おうとするとき
は、酵素液をプラスチック製容器26(または袋)内に
充満させて空気を排除し、容器26内に酵素液を密封す
る。次に、容器26を殺菌側耐圧容器12の耐圧容器本
体20内に収容した後、耐圧容器本体20内にエタノー
ル18を充満させて空気を排除し、その状態で密栓24
により液体注入口22を閉塞して、殺菌側耐圧容器12
内に、医療用具および充填液体または酵素液が入った容
器26ならびにその周囲を満たすエタノール18を密封
する。そして、圧力発生側耐圧容器10を冷凍庫内へ入
れて、その耐圧容器10を冷却する。耐圧容器10が冷
却されて、その内部の袋16内に密封された凍結媒体の
温度が凝固点以下(凍結媒体が水であるときは氷点以
下)となることにより、凍結媒体が凝固し始め、温度低
下に従って凍結媒体の凍結が進み、凍結に伴って凍結媒
体が膨張しようとする。ところが、圧力発生側耐圧容器
10は、袋16に入った凍結媒体とエタノール18とに
よって満たされ、耐圧配管14内にはエタノールが充填
され、殺菌側耐圧容器12内は、容器26に入った充填
液体または酵素液とエタノール18とによって満たされ
ているため、圧力発生側耐圧容器10および殺菌側耐圧
容器12の各内壁面により内容物全体としての体積膨張
が抑えられ、それに伴って圧力発生側耐圧容器10の内
部ならびにそれと連通した殺菌側耐圧容器12の内部に
高圧が発生する。この発生した高圧が、プラスチック製
容器26内に密封された充填液体または酵素液にかか
り、その高圧による殺菌作用により、医療用具に付着し
た(または酵素液中に存 在する)細菌類などの微生物が
死滅する。
【0015】また、図2は、殺菌装置の別の構成例を示
す概略縦断面図である。この殺菌装置は、圧力発生側耐
圧容器28と殺菌側耐圧容器12と耐圧配管14とから
構成されている。圧力発生側耐圧容器28は、ステンレ
ス鋼材などで厚肉に形成されて耐圧構造を有しており、
内部が変形可能なダイヤフラム30によって2つの室、
すなわち凍結室32と不凍室34とに仕切られている。
凍結室32は、密閉されてその内部に凍結媒体36が常
に充満させられている。不凍室34内は、不凍液体、例
えばエタノール18で満たされている。殺菌側耐圧容器
12および耐圧配管14は、図1に示した殺菌装置と同
じであり、耐圧配管14によって圧力発生側耐圧容器2
8の不凍室34の内部と殺菌側耐圧容器12の耐圧容器
本体20の内部とが連通されている。
【0016】図2に示した殺菌装置を使用して、例えば
食肉の殺菌処理を行うには、食肉を真空包装し、その真
空包装物38をそのまま殺菌側耐圧容器12の耐圧容器
本体20内に収容し、耐圧容器本体20内にエタノール
18を充満させて空気を排除した状態で密栓24により
液体注入口22を閉塞し、殺菌側耐圧容器12内に真空
包装物38およびエタノール18を密封する。そして、
圧力発生側耐圧容器28を冷凍庫内へ入れて、その耐圧
容器28を冷却する。耐圧容器28が冷却されて凍結室
32内の凍結媒体36の温度が凝固点以下に下降する
と、凍結媒体36が凝固し始め、温度低下に従って凍結
媒体36の凍結が進み、凍結に伴って凍結媒体36が膨
張しようとする。ところが、圧力発生側耐圧容器28の
凍結室32および不凍室34は、凍結媒体36およびエ
タノール18によってそれぞれ満たされ、耐圧配管14
内にはエタノールが充填され、殺菌側耐圧容器12内
は、エタノール18によって満たされているため、圧力
発生側耐圧容器28および殺菌側耐圧容器12の各内壁
面により内容物全体としての体積膨張が抑えられ、それ
に伴って圧力発生側耐圧容器28の内部ならびにそれと
連通した殺菌側耐圧容器12の内部に高圧が発生する。
この発生した高圧が真空包装物38にかかり、その高圧
による殺菌作用により、真空包装された食肉に付着した
細菌類などの微生 物が死滅する。
【0017】また、図3は、殺菌側耐圧容器の別の構成
例を示す概略縦断面図である。この殺菌側耐圧容器40
は、ステンレス鋼材などで厚肉に形成され耐圧構造を有
する耐圧容器本体42の内部が、変形可能なダイヤフラ
ム(仕切り板もしくは膜)44によって2つの室、すな
わち圧力伝達室46と殺菌室48とに仕切られている。
圧力伝達室46の内部は、不凍液体、例えばエタノール
18で満たされている。殺菌室48側には液体注入口5
0が形設されており、液体注入口50は密栓52によっ
て液密に閉塞され、内部圧力の上昇時にも内部に密封さ
れた液体が漏出しない構造となっている。そして、この
ような構成の殺菌側耐圧容器40の圧力伝達室46の内
部と、図1に示した殺菌装置の圧力発生側耐圧容器10
の内部または図2に示した殺菌装置の圧力発生側耐圧容
器28の不凍室34の内部とを、耐圧構造の耐圧配管1
4によって連通させ、耐圧配管14の内部にエタノール
を充填する。
【0018】図3に示した殺菌側耐圧容器40を備えた
殺菌装置を使用して被殺菌液、例えば酵素液の殺菌処理
を行おうとするときは、酵素液54を殺菌室48内に注
入して充満させ、空気を排除した状態で密栓52により
液体注入口50を閉塞して、殺菌室48内に酵素液54
を密封する。そして、圧力発生側耐圧容器を冷凍庫内へ
入れて、その耐圧容器を冷却する。これにより、圧力発
生側耐圧容器の内部ならびにそれと連通した殺菌側耐圧
容器40の圧力伝達室46の内部に高圧が発生する。こ
の発生した高圧が、殺菌室48内に密封された酵素液5
4にかかり、その高圧による殺菌作用により、酵素液5
4中に存在する細菌類などの微生物が死滅する。
【0019】
【実施例】以下に、耐圧容器内での液体の凍結による高
圧の発生現象、および、その発生した高圧による殺菌作
用に関し、それを確認するために行った実験例およびそ
の結果について説明する。
【0020】[実験方法] 〔1.実験材料の調製〕 耐塩性の味噌用酵母チゴサッカロマイセス・ルキシー
(Zygosaccharomyces rouxi
i) IAM 12880を5%加塩の麦芽汁培地にお
いて30℃の温度で5日間培養し、菌体を滅菌水で洗浄
した後、菌体を滅菌水に懸濁させ、その懸濁液0.3m
lをプラスチック袋内に密封して被加圧試料aとした。
非耐塩性酵母サッカロマイセス・セレビシエ(Sacc
haromyces cerevisiae) IAM
4274を麦芽汁培地において、乳酸菌ラクトバチル
ス・ブレビス(Lactobacillus brev
is)IFO 12005をGYP培地において、大腸
菌エッセリシア・コリー(Escherichia c
oli) IFO 3972をミューラー・ヒントン培
地において、それぞれ30℃の温度で2日間培養し、そ
れぞれ菌体を滅菌水で洗浄した後、それぞれ菌体を滅菌
水に懸濁させ、それぞれ懸濁液0.3mlをプラスチッ
ク袋内に密封して、それぞれ被加圧試料b、c、dとし
た。また、麹黴アスペルギルス・オリゼー(Asper
gillus oryzae) H−3およびアスペル
ギルス・ニガー(Aspergillus nige
r) IFO 9455をそれぞれ、ポテトデキストロ
ース寒天培地において30℃の温度で7日間培養し、そ
れぞれ発生した胞子を滅菌水に懸濁させ、それぞれ懸濁
液0.3mlをプラスチック袋内に密封して、それぞれ
被加圧試料e、fとした。
【0021】〔2.高圧発生の方法〕 耐圧容器として、図4に縦断面図を示すような構造のス
テンレス製耐圧容器(コマ・インターナショナル社製、
耐圧性300気圧、内部充填容量20ml、L1=28
3mm、L2=241mm、L3=174mm、D=3
8.1mm)を用い、この耐圧容器内に被加圧試料a〜
fをそれぞれ収容し、耐圧容器内から蒸留水をオーバー
フローさせながら耐圧容器内に蒸留水を充満させ、耐圧
容器内に被加圧試料および蒸留水を密封した。この耐圧
容器を、各種の温度に設定された冷凍庫内へ入れ、24
時間冷却した。また、比較試験のために外部からの加圧
行う装置として、三菱重工業(株)製の食品用加圧試
験装置(MFP−7000)を使用した。
【0022】〔3.耐圧容器の内部に発生する圧力の測
定方法〕 図5に縦断面図を示すように、圧力計(長野計器(株)
製、ダイヤフラム式、Type KH78型)66が接
続された耐圧容器(光高圧(株)製、内容量167m
l)68内に、水を密封したゴム風船(空気を抜き木綿
糸で封止したもの)70を収容し、その周囲をエタノー
ル(不凍液体、圧力伝達媒体)72で満たし、上部開口
からエタノールをオーバーフローさせながら密栓74で
上部開口を閉塞して、水を密封したゴム風船70および
エタノール72を耐圧容器68内に密封した。この際、
圧力計66に接続したチューブ76内および耐圧容器6
8内の空気を完全に追い出してエタノール72で置換す
るようにした。そして、耐圧容器68を、所定の温度に
設定された恒温槽78内に貯留された冷媒(エタノール
と水)80中に浸漬させて冷却し、耐圧容器68の内部
に発生する圧力を測定した。
【0023】〔4.菌数の測定方法〕 耐塩性味噌用酵母チゴサッカロマイセス・ルキシー I
AM 12880については5%加塩の麦芽寒天培地を
用い、非耐塩性酵母サッカロマイセス・セレビシエ I
AM 4274については麦芽寒天培地を用い、麹黴ア
スペルギルス・オリゼー H−3およびアスペルギルス
・ニガー IFO 9455についてはそれぞれポテト
デキストロース寒天培地を用い、乳酸菌ラクトバチルス
・ブレビス IFO 12005についてはBCPプレ
ートカウントアガールを用い、大腸菌エッセリシア・コ
リー IFO 3972についてはミューラー・ヒント
ン寒天培地を用いて、それぞれ希釈平板培養法により菌
数を測定する。
【0024】[実験結果] 〔1.耐圧容器の内部での高圧の発生〕 図5に示した装置を使用し、ゴム風船70内に140m
lの水を密封(耐圧容 器68内のエタノール量27m
l)した耐圧容器68を、−22℃の温度に設定された
恒温槽78内の冷媒80中に浸漬させたとき、耐圧容器
68の冷却による耐圧容器68内部の圧力上昇は、図6
に示すような曲線となった。すなわち、耐圧容器68内
部の圧力上昇は、耐圧容器68を恒温槽78内の−22
℃の冷媒80中に浸漬させてから15分後に始まり、時
間の経過に従って圧力が上昇していき、1時間後に14
1MPaの圧力に達して、平衡状態となった。
【0025】また、恒温槽78の設定温度を−5℃、−
10℃、−15℃、−20℃および−22℃とし、その
各温度の冷媒80中に耐圧容器68を30分以上浸漬さ
せた後に、耐圧容器68の内部の圧力を測定した結果、
−5℃のときに60MPa、−10℃のときに103M
Pa、−15℃〜−22℃のときに141MPaとなっ
た。この結果を図7に、ブリッジマン(Bridgem
an)の水・氷の平衡曲線Aと共に示す。
【0026】図7に示すように、実験の結果は−15℃
近辺まで水・氷の平衡曲線Aに重なるが、その後は、温
度降下させても耐圧容器68内部の圧力上昇はみられな
い。この実験結果は、以下のことを示していると考えら
れる。すなわち、耐圧容器68を冷却すると、ゴム風船
70内において0℃以下の温度で氷が生成し、ゴム風船
70の体積が膨張するが、耐圧容器68の内壁面によっ
て内容物全体としての体積膨張が抑えられるため、それ
に伴って耐圧容器68内部の圧力が上昇するとともに、
耐圧容器68内のエタノール72およびゴム風船70内
の水と氷がそれぞれ圧縮される。そして、耐圧容器68
内部に発生した圧力は、ブリッジマンの平衡曲線Aに従
ってゴム風船70内の水の氷点を降下させる。一方、耐
圧容器68は継続的に温度降下し続けているため、ゴム
風船70内での新たな氷の生成、耐圧容器68内部の圧
力上昇、耐圧容器68内のエタノール72およびゴム風
船70内の水と氷の圧縮、ならびに、ゴム風船70内の
水の氷点降下が同時的に進行すると考えられる。そし
て、ゴム風船70内に未凍結水が存在する間は、温度・
圧力は、平衡曲線A上を低温・高圧側へと変化し、未凍
結水が無くなると、水の凍結に伴う新たな圧力の発生は
無くなるので、温度・圧力は、平衡曲線Aから 下方側へ
離脱し、温度のみが低下する。この実験例のように、耐
圧容器68内にゴム風船70内の水140mlとエタノ
ール27mlとを収容した比率では、−15℃近辺の温
度でゴム風船70内の水の凍結がほぼ終了したものと考
えられる。
【0027】〔2.高圧による殺菌〕 図4に示した耐圧容器内に被加圧試料aおよびbをそれ
ぞれ各別に収容し、その耐圧容器内へ水を充満させて、
耐圧容器内にそれぞれの被加圧試料a、bと水とを密封
した後、各種の温度に設定した冷凍庫内に耐圧容器を入
れて冷却し、それぞれ24時間保持したときの生菌数の
変化を調べた。この結果を図8に示す。図中、折線a
が、被加圧試料a(耐塩性味噌用酵母チゴサッカロマイ
セス・ルキシー IAM 12880)を耐圧容器内に
密封して耐圧容器を冷却したときの結果を、折線bが、
被加圧試料b(非耐塩性酵母サッカロマイセス・セレビ
シエIAM 4274)を耐圧容器内に密封して耐圧容
器を冷却したときの結果を、折線a’が、被加圧試料a
を開放容器に入れて開放容器を冷却したときの結果を、
折線b’が、被加圧試料bを開放容器に入れて開放容器
を冷却したときの結果をそれぞれ示す。
【0028】図8に示した結果から明らかなように、両
酵母共に、温度の低下に伴って生存率が低下し、−10
℃以下の温度では完全に死滅した。これに対し、常圧で
低温にしたものは、酵母の生存率が全く変化しなかっ
た。
【0029】比較のために、食品用加圧試験装置を使用
し、室温でそれぞれの被加圧試料a、bを加圧したとき
の生菌数の変化を調べた。この結果を図9に示す。図
中、折線a”が、被加圧試料aを常温で加圧した結果
を、折線b”が、被加圧試料bを常温で加圧した結果を
それぞれ示す。図9から、常温下で酵母を死滅させるた
めには、200MPaの圧力が必要であることが分かっ
た。
【0030】他の被加圧試料c〜fについても、それぞ
れを耐圧容器内に密封して、−20 ℃の温度に設定され
た冷凍庫内に耐圧容器を入れて冷却し、24時間保持し
たときの生菌数の変化を調べた。この結果を表1に、被
加圧試料a、bについての結果も併せて示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1に示した結果より、乳酸菌、大腸菌お
よび両麹黴のいずれも、完全に死滅した。これに対し、
開放容器内で試料を冷却したものは、生存率の変化がそ
れ程無かった。
【0033】この発明に係る殺菌方法による微生物の致
死要因としては、氷点以下での低温による殺菌効果と高
圧による殺菌効果とが考えられるが、開放容器内で微生
物を低温処理しても、表1に示したように高い生存率が
得られることから、低温による殺菌効果は主要な致死要
因ではないと考えられる。したがって、耐圧容器での密
封冷却による微生物の死滅は、氷点以下の冷却に伴う耐
圧容器の内部の圧力上昇によるものと考えられ、このと
き発生する圧力は、図7に示すように少なくとも140
MPaに達する。
【0034】以上のような実験により、耐圧容器内で液
体を凍結させることにより高圧が発生すること、ならび
に、それで発生した高圧により殺菌を行えることが確認
され た。したがって、本発明に係る方法は、殺菌処理に
利用し得るものである。
【0035】
【発明の効果】請求項1および請求項2に係る各発明の
殺菌方法によると、大掛りな高圧発生装置を必要とする
ことなく簡便に高圧を発生させて、食品や医療用具等の
物品、酵素液、血清等の生体液や液状の医薬品などを効
果的に殺菌処理することができる。また、請求項3に係
る発明の殺菌装置を使用すると、上記した効果を奏する
殺菌方法を好適に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る殺菌方法を実施するために使用
される殺菌装置の構成の1例を示す概略縦断面図であ
る。
【図2】殺菌装置の別の構成例を示す概略縦断面図であ
る。
【図3】図1および図2に示した殺菌装置の殺菌側耐圧
容器とは異なる殺菌側耐圧容器の構成例を示す概略縦断
面図である。
【図4】高圧発生の実験に使用した耐圧容器の構造を示
す縦断面図である。
【図5】耐圧容器の内部に発生する圧力を測定するため
に使用した装置の全体構成を示す縦断面図である。
【図6】耐圧容器の内部での高圧発生の実験結果を示
し、冷却時間−発生圧力曲線を示す図である。
【図7】同じく、冷却温度と発生圧力との関係を示す図
である。
【図8】高圧による殺菌効果を調べるための実験の結果
を示し、冷却温度と生菌数との 関係を示す図である。
【図9】室温で被加圧試料を加圧したときの生菌数の変
化を調べた実験結果を示し、圧力と生菌数との関係を示
す図である。
【符号の説明】
10、28 圧力発生側耐圧容器 12、40 殺菌側耐圧容器 14 耐圧配管 16 プラスチック製袋 18 不凍液体(エタノール) 20、42 殺菌側耐圧容器の耐圧容器本体 22、50 殺菌側耐圧容器の液体注入口 24、52 殺菌側耐圧容器の密栓 26 プラスチック製容器 30 圧力発生側耐圧容器のダイヤフラム 32 圧力発生側耐圧容器の凍結室 34 圧力発生側耐圧容器の不凍室 36 凍結媒体 38 真空包装物 44 殺菌側耐圧容器40のダイヤフラム 46 圧力伝達室 48 殺菌室 54 酵素液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−209748(JP,A) 特開 昭63−90398(JP,A) 特開 平3−15369(JP,A) 特開 平5−252880(JP,A) 特開 平6−170107(JP,A) 特開 平5−328950(JP,A) 特開 平8−168515(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61L 2/00 - 2/26

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体状態の凍結媒体と不凍液体とを、変
    形可能な隔離部材によって互いに隔て、かつ、第1の耐
    圧容器内に充満させて気体を排除した状態で、第1の耐
    圧容器内に凍結媒体と不凍液体とを密封したものを、冷
    却させて、内部の凍結媒体の全部または一部を凍結さ
    せ、その時に発生する圧力を、第2の耐圧容器内に密封
    された被殺菌物およびその周囲を満たす充填液体または
    被殺菌液に対し、前記不凍液体を介して作用させること
    を特徴とする殺菌方法。
  2. 【請求項2】 凍結媒体を変形可能なプラスチック製容
    器または袋内に充満させて気体を排除した状態で、容器
    または袋内に凍結媒体を密封したものを、第1の耐圧容
    器内に収容した後、その第1の耐圧容器内に不凍液体を
    充満させて気体を排除した状態で、第1の耐圧容器内に
    凍結媒体と不凍液体とを密封したものを使用する請求項
    1記載の殺菌方法。
  3. 【請求項3】 密閉された内部に、凍結媒体を充満させ
    て密封した変形可能なプラスチック製容器もしくは袋が
    収容され、その容器もしくは袋の周囲が不凍液体で満た
    された圧力発生側耐圧容器、または、内部がダイヤフラ
    ムによって2つの室に仕切られ、一方の室が密閉されて
    その内部に凍結媒体が充満させられるとともに、他方の
    室が密閉されてその内部に不凍液体が充満させられた圧
    力発生側耐圧容器と、 内部に不凍液体を収容可能で、開口部が形設された殺菌
    側耐圧容器本体、または、内部がダイヤフラムによって
    2つの室に仕切られ、一方の室が密閉されてその内部に
    不凍液体が充満させられるとともに、他方の室の内部に
    液体を収納可能でその他方の室側に液体注入口が形設さ
    れた殺菌側耐圧容器本体と、 前記殺菌側耐圧容器本体の開口部または前記殺菌側耐圧
    容器本体の液体注入口を、殺菌側耐圧容器本体の内部圧
    力の上昇時にも液密に閉塞する密栓と、 前記圧力発生側耐圧容器の内部または前記圧力発生側耐
    圧容器の他方の室の内部と、前記殺菌側耐圧容器本体の
    内部または前記殺菌側耐圧容器本体の一方の室の内部と
    を連通させ、内部に不凍液体が充満させられた耐圧配管
    とから構成され たことを特徴とする殺菌装置。
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