JP3049943B2 - 粒状多孔質キトサンの製法 - Google Patents

粒状多孔質キトサンの製法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は粒状多孔質キトサンの製
法に係り、特に、キトサンの酸性水溶液を疎水性分散媒
中に分散させ、撹拌下に水分を蒸発させる方法(以下
「懸濁蒸発法」と称す。)により多孔質キトサン粒子を
高い収量で製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、多孔質キトサン粒子の製造方法と
して、キトサンの酸性水溶液を疎水性分散媒中に分散さ
せ、撹拌下に水分を蒸発させることにより多孔質キトサ
ン粒子を製造する懸濁蒸発法(特開平1−30170
1)が知られている。懸濁蒸発法は、原料キトサンを低
分子化する必要がなく、大きな孔を有しかつ機械的強度
に優れる粒子を製造できるため、クロマトグラフィー充
填材、固定化酵素担体等としての粒子の製造に有利であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
懸濁蒸発法では、粒子の収量が少なく、製造効率が悪い
という欠点があった。粒子の収量を増やすために分散さ
せるキトサンの酸性水溶液の量を増やすと、孔ができに
くく、良好な多孔質粒子にならないという問題点もあっ
た。
【0004】本発明は上記従来の問題点を解決し、懸濁
蒸発法により、良好な粒状多孔質キトサンを高収量で安
定に得ることができる粒状多孔質キトサンの製法を提供
することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の粒状多孔質キ
トサンの製法は、キトサンの酸性水溶液を疎水性分散媒
中に分散させ、撹拌下に水分を蒸発させて粒状多孔質キ
トサンを製造する方法において、該酸性水溶液が下記
[I] 式で表される二塩基性酸の水溶液であることを特
徴とする。 HOOC(CH2n COOH … [I] (ただし、nは1以上の整数) 請求項2の粒状多孔質キトサンの製法は、請求項1の方
法において、該キトサンの酸性水溶液を、水分の蒸発温
度よりも高い曇点を有するノニオン性界面活性剤を用い
て疎水性分散媒中に分散させることを特徴とする。
【0006】請求項3の粒状多孔質キトサンの製法は、
キトサンの酸性水溶液を疎水性分散媒中に分散させ、撹
拌下に水分を蒸発させて粒状多孔質キトサンを製造する
方法において、該水溶液を油中水中油型エマルションの
形で疎水性分散媒中に分散させることを特徴とする。
【0007】以下に本発明を詳細に説明する。
【0008】まず、本発明の方法において原料として用
いられるキトサンについて説明する。キトサンは、カ
ニ、エビなどの甲殻類の外殻皮などに含有されているキ
チンを濃アルカリと共に加熱することにより、脱アセチ
ル化して得られる。このようにして得られるキトサン
は、通常、分子量5,000〜1,000,000、固
有粘度(30℃、0.2Μ酢酸+0.1Μ酢酸ソーダ)
[η]=0.25〜25dl/g−キトサン、コロイド
当量1.0〜6.2meq/g−キトサンのものであ
る。脱アセチル化の程度は特に制限はないが、酸を用い
て溶解可能な程度にまで脱アセチル化されていればよ
く、一般には脱アセチル化度50〜100mol%程度
のものが好ましい。また、キトサンの平均粒径は9〜3
00メッシュ程度の粒状であることが好ましい。
【0009】本発明においては、このようなキトサンの
酸性水溶液を疎水性分散媒に分散させ、撹拌下に水分を
蒸発させて粒状多孔質キトサンを製造するが、その際、
キトサンの酸性水溶液を油中水中油型(以下「O/W/
O型」と称す。)エマルションの形で疎水性分散媒中に
分散させる。
【0010】キトサンの酸性水溶液をO/W/O型エマ
ルションの形で疎水性分散媒中に分散させるには、キト
サンを溶解させる酸性水溶液の酸として、下記 [I] 式
で示される二塩基酸を用いるのが有利である。 HOOC(CH2n COOH … [I] (ただし、nは1以上、好ましくは1〜8の整数) また、キトサンを溶解させる酸性水溶液の酸として上記
[I] 式で示される二塩基酸を用いると共に、キトサン
の酸性水溶液を、水分の蒸発温度よりも高い曇点を有す
るノニオン性界面活性剤を用いて疎水性分散媒中に分散
させるのがより好適である。
【0011】上記 [I] 式で示される二塩基酸として
は、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピ
メリン酸、スベリン酸などを挙げることができる。本発
明の二塩基酸を用いるとキトサンの親水性と疎水性のバ
ランスが変化し、疎水性分散媒のキトサン酸性水溶液中
への乳化安定化に寄与するものと考えられる。使用する
二塩基酸の量は、キトサンを溶解するのに必要な量でよ
く、通常、キトサンに対し0.2〜5倍(重量)であ
る。
【0012】また、キトサン酸性水溶液におけるキトサ
ン濃度は、キトサンの分子量と脱アセチル化度により適
切な溶解濃度が決定される。ただし、濃度を高くするこ
とにより粒子が形成される時間を短くすることができ、
本発明の目的に有効である。通常の場合、キトサン濃度
は0.1〜20重量%、特に0.5〜5.0重量%とす
るのが好ましい。なお、キトサン酸性水溶液中に不溶解
物がある場合は、ガラスフィルタ又はステンレス、銅な
どの金網で濾過した後使用するのが好ましい。
【0013】一方、疎水性分散媒としては、キトサン酸
性水溶液を分散できるものであればよく、特に制限され
ないが、沸点が100℃以上でかつ安定な分散媒が良
い。このようなものとしては、デカリン、テトラリン、
トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼ
ン、アニソール、ヘキサノール、オクタノール、ジブチ
ルエーテル等が挙げられる。また、水と共沸しかつキト
サン酸性水溶液を分散できるものも単独で或いは上述の
分散媒と混合して使用でき、このようなものとしてはベ
ンゼン、シクロヘキサン、トルエン、クロロホルム等が
挙げられる。
【0014】このような分散媒の使用量は特に制限され
ないが、通常の場合、キトサン酸性水溶液に対して2〜
40倍(容量)とされる。
【0015】また、O/W/O型エマルションを形成す
るための界面活性剤は、粒子を作るために水を蒸発させ
る温度で安定なO/W/O型エマルションを形成し、粒
子ができてから溶媒で洗い流す等の手段で簡単に分離で
きるものであれば特に制限されない。特に、水分の蒸発
温度よりも高い曇点を有する、ポリオキシエチレンアル
キルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキル
エーテル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類等の
ノニオン性界面活性剤は、HLBの適切なものを選ぶこ
とにより容易にO/W/O型エマルションが得られる。
例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの
HLBが13.8のものを溶解したデカリンを反応容器
に入れ撹拌しておき、キトサン酸性水溶液を添加する
と、一部のデカリンが乳化して白濁したキトサン酸性水
溶液の液滴がデカリンに分散した状態となる(O/W/
O型エマルション)。エマルションの生成は白濁したキ
トサン酸性水溶液部分を光学顕微鏡で観察することによ
り容易に確認できる。界面活性剤の添加量は、通常、キ
トサン酸性水溶液に対して50重量%以下、好ましくは
10〜40重量%とされる。
【0016】均一な多孔性粒子を得るためには、キトサ
ン酸性水溶液の液滴中に乳化する疎水性分散媒の量が十
分であり、均一な乳化状態が、水が蒸発する間保持され
る必要がある。この目的に前記二塩基酸が極めて有効で
ある。キトサンの酸性水溶液の量が多い場合やキトサン
の溶解濃度が高いときには、一般に水分が蒸発するまで
の時間が長かったり、分散媒が乳化しにくかったりする
ので、上記二塩基酸による乳化状態維持効果が特に有効
に作用する。
【0017】なお、界面活性剤はキトサン酸性水溶液に
溶かしておいてもよい。界面活性剤の添加量は、安定な
O/W/O型エマルションが形成され、好ましい孔と粒
子径が得られるように調整するが、通常、キトサンの酸
性水溶液に対して50重量%以下とされる。また、一種
類の界面活性剤で安定なO/W/O型エマルションが得
られない場合には、他の界面活性剤や疎水性分散媒に可
溶で親水基を有する高分子を併用してもよい。このよう
なものとしては、ポリオキシエチレンソルビタンモノア
ルキレート、ソルビタンモノアルキレートなどの界面活
性剤、セルロースアセテートブチレート、ポリアクリル
酸アルキレートなどの高分子が挙げられる。
【0018】分散液の撹拌条件は特に制限されないが、
均一な粒子をつくるには高速で撹拌する。例えば、1リ
ットルの混合液を撹拌するには回転数300〜5000
rpm、特に400〜3000rpm、周速1〜20m
/secが好ましい。
【0019】水分を蒸発させるには、通常、該分散液を
50〜100℃に加熱するが、減圧方式や、ガス吹き込
み(例えば窒素ガス)およびこれらを組み合わせること
もできる。このとき、O/W/O型エマルションの状態
で水分が蒸発し粒子が形成されると、均一な多孔性粒子
が得られる。これに対し、キトサン酸性水溶液の液滴中
に乳化した疎水性分散媒のエマルションが合一すると、
表面に孔の少ない粒子になってしまう。特に、ノニオン
界面活性剤は曇点と呼ばれる温度以上では親水性が低下
し、O/W/O構造が壊れる傾向がある(転相と呼ばれ
る)。従って、キトサン酸性水溶液の仕込量が多いため
に水が蒸発するまでに反応混合物の温度が曇点を超えて
しまうような場合には、好ましい多孔性粒子が得られな
い。このような場合には、反応混合物の到達温度(水を
蒸発させるための温度)よりも高い曇点を持つノニオン
性界面活性剤を用いることで、安定して均一な多孔性粒
子が得られる。
【0020】なお、本発明を実施する際に使用する反応
容器は特に制限はないが、キトサン液滴が付着しにくい
壁面を持つもの、例えばテフロンコーティングをした容
器が好ましい。また、水分とともに蒸発する疎水性分散
媒蒸気を冷却して回収再利用することは好ましい態様で
ある。
【0021】水分の蒸発除去の終点は、用いたキトサン
酸性水溶液の水分の80重量%以上が蒸発除去された時
点を一応の目安とすることができる。
【0022】このようにして製造された粒状多孔質キト
サンは、通常、水分の蒸発除去により濃縮された系を濾
過することにより回収することができる。
【0023】回収された粒状多孔質キトサンは、キトサ
ンそれ自体は溶解しないが、分散媒や共沸化合物などを
溶解する溶媒、好ましくは水をも溶解する溶媒、例え
ば、エタノール、アセトンなどで洗浄し、その後、アル
カリ洗浄を行なう。
【0024】即ち、上記方法に従って製造されたキトサ
ンは、キトサンの酸塩となっているため、アルカリ洗浄
を行なって非解離型のアミノ基を有するキトサンとす
る。このアルカリ洗浄は、NaOH、KOH、NH3
どの水溶液又はこれらと有機溶媒との混合液で行なうこ
とができる。アルカリ洗浄後は、水洗により残留アルカ
リを除去する。
【0025】このようにして製造された多孔質キトサン
粒子は必要に応じて架橋処理を行なう。架橋処理は、キ
トサンを、必要に応じて適当な溶媒中にて、エピクロル
ヒドリン、グルタルアルデヒド、有機ジイソシアネート
類等の架橋剤を加えて処理することにより行なうことが
できる。
【0026】なお、架橋処理に用いる溶媒としては、メ
タノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のア
ルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン
類、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセト
アミド等のアミド類やジメチルスルホキシドが使用でき
る。これら極性溶媒は1種のみを使用しても、また、2
種以上を混合して使用してもよい。また、有機ジイソシ
アネート類としては、例えば、4,4’−ジフェニルメ
タンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシア
ネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレ
ンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタ
ンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イ
ソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシ
アネート等が挙げられる。
【0027】架橋剤の使用量は特に制限はないが、キト
サンのアミノ基1当量に対して0.2〜0.8当量程度
とするのが好ましい。また、溶媒を使用する場合、その
使用量はキトサン粒状体の体積に対して1〜5倍量とす
るのが好ましい。
【0028】架橋処理条件は用いる架橋剤、溶媒の種類
によって異なるが、通常の場合、0〜60℃で0.05
〜5時間行なわれる。
【0029】
【作用】本発明者らは、懸濁蒸発法による多孔質キトサ
ン粒子の製造法について鋭意検討した結果、キトサン酸
性水溶液を疎水性分散媒に分散する際に適切な界面活性
剤を使用すると、界面活性剤が疎水性分散媒とともにキ
トサンの酸性水溶液中に乳化しO/W/O型エマルショ
ンが形成されること、即ち、キトサン酸性水溶液の液滴
中に疎水性分散媒が乳化した分散質が形成されること、
O/W/O型エマルションの状態で水が蒸発することが
多孔質粒子を得るために極めて重要であることを見出し
た。
【0030】また、キトサン酸性水溶液の量を増やすと
水が蒸発して粒子が形成されるまでの時間が長くなるた
めに、キトサン酸性水溶液中に乳化した界面活性剤と疎
水性分散媒のエマルションが壊れてしまい、孔ができに
くくなること、従って良好な多孔質粒子を得るために
は、水の蒸発期間中に、キトサン酸性水溶液の液滴中に
疎水性分散媒が乳化した状態が安定に維持される必要が
あることを知見した。
【0031】これに対し、本発明に係る二塩基酸をキト
サンの溶解に用いることにより、疎水性分散媒中のキト
サン酸性水溶液中への乳化安定化を図ることができる。
【0032】このため、キトサン酸性水溶液の液滴中に
十分な量の疎水性分散媒が均一に乳化し、この均一乳化
状態が水の蒸発期間中安定に保持されるようになる。従
って、キトサン酸性水溶液のキトサン濃度、及び、キト
サン酸性水溶液の仕込量を増やして、均一な粒状多孔質
キトサンを高収量で安定に製造することが可能とされ
る。
【0033】また、曇点が水の蒸発温度よりも高いノニ
オン性界面活性剤を用いることにより、水の蒸発期間
中、当該界面活性剤の親水性を良好に維持することによ
り、安定なO/W/O型エマルション相を保ち、均一か
つ良好な粒状多孔質キトサンを安定に得ることが可能と
される。
【0034】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以
下の実施例及び比較例で用いた原料、薬品の仕様は次の
通りである。
【0035】キトサン:固有粘度が22.9dl/g、
コロイド当量値が5.0meq/g 酸:酢酸、アジピン酸、スベリン酸(いずれもキシダ化
学(株)製特級) 界面活性剤: ノニポール130(三洋化成工業(株)製、ポリオキシ
エチレンノニルフェニルエーテル、HLB14.5、曇
点83〜89℃) ノニポール110(三洋化成工業(株)製、ポリオキシ
エチレンノニルフェニルエーテル、HLB13.8、曇
点70〜76℃) 実施例1〜5,比較例1〜3 20gのキトサンを表1に示す酸を所定量含む水溶液1
000mlに溶解し、2%のキトサン酸性水溶液を調製
した。別に、表1に示す量の界面活性剤(ノニポール1
30)を800mlのデカリンに溶解し、80℃の恒温
槽に設置した2リットル容の反応容器(内壁をテフロン
コーティングしたもの)に入れた。この分散媒を十字形
撹拌羽根で2000rpmで撹拌し、上記のキトサン酸
性水溶液を表1に示す仕込量加えた。反応容器には四つ
口の蓋をし、その一つから46℃に加熱した窒素ガスを
10リットル/minで気相部に吹き込んだ。もう一方
の口からガスを出し、冷却管に通した。冷却管はポンプ
につなぎ、系内がやや負圧になるようにした。
【0036】このようにして蒸発する水分とデカリンを
回収しながら加熱撹拌を行ない、水分が回収されなくな
った時点で加熱撹拌を止めた。反応混合物を濾過し、ア
セトンで洗浄することにより粒子を回収し、走査型電子
顕微鏡で粒子の形状、粒子径、孔を観察した。得られた
粒子の収量、粒子径、孔径、孔の状態(多孔性の均一
性)を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】表1より次のことが明らかである。
【0039】酸として本発明に係る二塩基酸を用いた実
施例1〜5では、いずれも、キトサン酸性水溶液中に十
分な量のデカリンが乳化して安定なO/W/O型エマル
ションが形成され、また、ノニポール130の曇点が蒸
発温度(80℃)より高いために、O/W/O型エマル
ションが安定であったため、直径約1μmの孔が均一に
開いたキトサン粒子が得られた。また、キトサン酸性水
溶液仕込量を増やすことで、多孔性を劣化させることな
く粒子の収量を挙げることができ、実施例4では31m
lの粒子が得られた。
【0040】一方、酸として酢酸を用いた比較例1〜3
では、いずれの場合も、均一な孔が開いたキトサン粒子
が得られたが、収量は実施例1〜5に比べて著しく少な
かった。また、粒子の孔は実施例1〜5では、1μm以
上のものが大半を占めたのに対して、比較例1〜3では
所々に1μmのものがある程度で大半は1μm未満であ
った。なお、比較例、実施例ともキトサンの回収率はほ
ぼ100%である。比較例のゲルの収量が少ないのは、
二塩基酸で溶解した場合に比べて、キトサン酸性水溶液
の液滴へのデカリンの乳化量が少なく、生成した粒子の
密度が高いためである。なお、比較例3における酢酸使
用量は、実施例1〜4におけるアジピン酸使用量と等モ
ル量である。
【0041】比較例4〜6 界面活性剤として表2に示す量のノニポール110を使
用し、表2に示すキトサン酸性水溶液を用いたこと以外
は実施例1と同様にして行ない、結果を表2に示した。
【0042】比較例4では反応混合物の温度が75℃に
達する時点で水分の蒸発が終了し、実施例1〜5と同様
な均一な孔を有するキトサン粒子が得られたが、その収
量は少なかった。比較例5では、反応混合物の温度が8
0℃に達した時点でも水分の蒸発が終了しておらず、表
面には孔径1μm未満の孔があき、内部に大きな孔のあ
る不均一なキトサン粒子が得られた。これは、反応混合
物の温度が界面活性剤の曇点を超えてしまったために、
キトサン酸性水溶液の液滴中のデカリンエマルションが
合一してしまったためと考えられる。比較例6では表面
にも孔が認められたが、実施例1〜5や比較例4のもの
に比べて孔が少なくやや不均一で密度の高い粒子であっ
た。この結果から、水分の蒸発温度より曇点の低い界面
活性剤を使用する方法では、均一な孔を有する粒子の収
量は2ml程度が限界であることが確認された。
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の粒状多孔質
キトサンの製法によれば、従来の懸濁蒸発法に比べて、
均一な粒状多孔性キトサンを高収量で安定して製造する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 正憲 東京都新宿区西新宿3丁目4番7号 栗 田工業株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08B 37/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キトサンの酸性水溶液を疎水性分散媒中
    に分散させ、撹拌下に水分を蒸発させて粒状多孔質キト
    サンを製造する方法において、該酸性水溶液が下記
    [I] 式で表される二塩基性酸の水溶液であることを特
    徴とする粒状多孔質キトサンの製法。 HOOC(CH2n COOH … [I] (ただし、nは1以上の整数)
  2. 【請求項2】 請求項1の方法において、該キトサンの
    酸性水溶液を、水分の蒸発温度よりも高い曇点を有する
    ノニオン性界面活性剤を用いて疎水性分散媒中に分散さ
    せることを特徴とする粒状多孔質キトサンの製法。
  3. 【請求項3】 キトサンの酸性水溶液を疎水性分散媒中
    に分散させ、撹拌下に水分を蒸発させて粒状多孔質キト
    サンを製造する方法において、該水溶液を油中水中油型
    エマルションの形で疎水性分散媒中に分散させることを
    特徴とする粒状多孔質キトサンの製法。
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