JP3049468B2 - 腫瘍検出方法及び診断薬 - Google Patents

腫瘍検出方法及び診断薬

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、腫瘍の産生する血管透
過性因子を指標(マーカー)とすることによって生体内
にある腫瘍細胞の診断を行う方法に関するものである。
従ってこの発明は腫瘍の診断、疾病の進行や治療効果の
モニタリング、術後の経過及び再発や転移の監視、発生
した腫瘍の悪性度や予後の予測などに幅広く使用される
ものである。
【0002】
【従来の技術】何年もの間研究者は、腫瘍の診断目安と
して使用するための、腫瘍細胞に特異的な物質を同定す
ることを追求してきた。果たして癌特異的な物質という
ものが存在するのかという課題は未解決であるが、すく
なくとも癌の存在を検知するための指標となる物質が幾
つか見いだされてきた。これらの物質の多くは腫瘍特異
的とは言い難いものの、本来正常な細胞が発現し得ない
ような場所(組織)や時期(分化の段階)において発現
するということによって異常な細胞群を検出することが
できる指標となるものである。これらの知見は以下のよ
うな作業仮説によって説明が行われている。すなわち、
ある種のタンパク質は未分化、あるいは分化の中間過程
状態の細胞において発現されるが、細胞が最終的に分化
した場合には、それらのタンパク質の発現は抑制されて
いる。しかしながら、これらの正常細胞が悪性化の過程
で脱分化するとこの抑制から逃れることによって再びこ
れらの物質の発現が誘導されるために前述のような現象
が起こるとされている。また、ある種のタンパク質は最
終的に分化した細胞で、その組織の特異的形質を担うべ
く発現が組織特異的に起こるようになっている。ところ
が細胞が悪性化してゆく過程で脱分化し、分化のコース
から外れることによりその細胞が極めて未成熟な細胞形
質となることにより通常の分化系列からはかけ離れた物
質を発現するためであるともされている。
【0003】そして過去20年の間に多くの腫瘍抗原が
見いだされ解析されてきている。さらにこれらの内の幾
つかが既に診断試薬として開発され、臨床の現場で実用
化されている。これらの中で最も広く用いられており注
目すべき物としては、癌胎児性抗原(CEA) 及びalpha-フ
ェトプロテイン(AFP) を挙げることができる。
【0004】癌胎児性抗原(CEA) は、最初Gold及びFrie
dmanにより結腸癌及び胎児胃腸管組織中で検出されたも
のである [J.Exp.Med. 121;439(1965)] 。CEA は高分子
物質(180-200kd) であり、45-57%の炭水化物と30-46%の
タンパク質からなる。CEA または CEA様物質は正常な結
腸をはじめ種々のムチン産生正常上皮細胞により産生さ
れる。また種々の非悪性疾患、例えば消化性潰瘍(10
%)、膵臓炎(27%)、炎症性腸疾患(15-40%)、肝疾患(20-
80%)などが CEAの血清レベルの上昇と関連する。さらに
は、CEAレベルは種々の悪性疾患、例えば胃癌(72%)、膵
臓癌(88%)、乳癌(24%)、肺及び呼吸器腫瘍(30%)、及び
婦人科腫瘍(10%)とも関連しているとして研究された。
このCEA レベルは転移疾患、及び末期癌の患者において
は高いレベルを有するが、腫瘍のタイプ及び大きさとの
関係ははっきりしていない。しかしながら臨床の場にお
いては乳癌及び直腸癌の追跡研究において有用なもので
ある。
【0005】フェトプロテイン(AFP) は血清アルブミン
のアミノ酸組成と類似したアミノ酸組成を有する分子量
約 70kd のタンパク質であり、胎児肝により産生され羊
水及び母体の血清中にも検出されるものである。AFP
は、肝癌の 80%、奇形癌のほぼ全部、胃癌の 15%、結腸
・直腸癌の 3% 、胆道癌の 25%のそれぞれの患者の血清
においてその検出が認められることが報告されている[R
uddon,Semin.Oncol.,9:416(1982),McIntire et al.,Can
cer Res.,35:991(1975)] 。
【0006】これらが現市場での癌マーカーを代表する
ものであるが、これらの他にも種々の疾患部位と密接な
関係を持った腫瘍特異的マーカー分子が数多く調べら
れ、腫瘍診断試薬として実用化されている。しかしなが
らこれら疾患特異的なマーカーは疾患部位を特定できる
という利点を持つ反面、一つの検査によって広範な腫瘍
診断を行うことができないという欠点をも併せ持ってい
る。そこで病変部位の特定はできないながら、広く体全
体の中から悪性疾患の発生を検査できるタイプの診断試
薬の存在価値が認められることとなる。
【0007】一方、ほとんどの腫瘍発生に伴い、その細
胞群に血管が遊走してゆくことが観察されており、癌細
胞は血管の到達により栄養と酸素との供給を確保し爆発
的に増殖を開始することも知られている。また、これら
の血管は癌細胞が侵入、透過し、転移する経路ともな
り、血管新生は腫瘍の進行と切っても切れない関係にあ
ると言われている。さらに近年、Folkman らにより血管
新生活性は発癌過程の極初期の段階においても誘導され
ていることが示唆され [Folkman et al.,Nature,339:58
(1989)] 、いよいよ発癌と血管新生は不可分と考えられ
るようになってきた。しかしながらどうやって血管が癌
細胞に遊走してゆくのか、完全には分かっていない。Fo
lkman らはふるくから癌細胞由来の血管新生因子の存在
を予言し精製を試みてきたがクリアーな結果は得られて
いない。その一方で血管を形成する細胞の一つであり、
血管内皮細胞に増殖促進活性を示す物質として、acidic
fibroblast growth factor (aFGF), basic fibroblast
growth factor (bFGF), platelet derived growth fact
or (PDGF), platelet derived endothelial cell growt
h factor (PD-ECGF), vascular permeability factor/v
ascular endothelial growth factor(VPF/VEGF)[Bick n
ell and Harris,Eur.J.Cancer,27:781(1991)] や、それ
自体は血管内皮細胞に対する増殖促進活性は無いが間接
的作用で血管新生に寄与していると考えられている物質
として、transforming growth factor - beta (TGF-b)
[Ribatti et al.,Haematologica,76:311(1991)]など多
数見いだされている。これらの物質が癌による血管の誘
導と直接の関係があるのかどうかは明らかではない。し
かし新生血管の遊走という現象が殆ど全ての固形癌に共
通して見られる事より、癌における血管の誘導シグナル
を検出することができれば広範な癌の検査技法となり得
ると考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上の様な状況下にお
いて、本発明者等は、従来の腫瘍マーカーによる癌診断
に加えて、さらに適用範囲の広い診断マーカーを用いて
新規かつ有用な癌の診断方法を開発すべく研究を行った
のである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、血管新生
因子の一つである vascular permeability factor /vas
cular endothelial growth factor (VPF/VEGF, 以下 VP
F) を検出するために抗 VPF抗体を作製し、その抗体を
使って癌と VPF発現との関係を検討することによって、
VPF が癌の診断マーカーとして有用であることを見いだ
し本発明を完成したのである。
【0010】すなわち、本発明は血管内皮細胞に対する
特異的細胞増殖促進活性と血管透過性促進活性を有し、
清中に存在する分子量約 20000の血管透過性因子(VP
F) の2量体を検出することを特徴とする腫瘍検出方法
及び該活性因子の抗体からなる腫瘍診断薬に関するもの
である。なお、本発明において行われる血管透過性因子
(VPF) の2量体の検出は、2量体そのものの検出だけを
意味するのでなく、単量体の存在、分解産物の存在を検
出することにより、間接的に2量体を検出することをも
含むものである。
【0011】血管透過性因子(VPF) を指標(マーカー)
とする本発明方法は、腫瘍の診断、疾病の進行や治療効
果のモニタリング、術後の経過及び再発や転移の監視、
発生した腫瘍の悪性度や予後の予測などに幅広く使用さ
れるものである。
【0012】
【作用】本発明においては、腫瘍血管の誘導作用に関係
すると思われる新規な腫瘍関連分子VPF をマーカーとし
たことにより、固形癌の種類に制限を受けることなく幅
広くそれら腫瘍の診断が行えるという優れた作用が示さ
れるのである。
【0013】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
する。尚、以下の実施例において、 VPFの検出を、固相
に抗 VPFポリクローナル抗体、検出(標識)に抗 VPFポ
リクローナル抗体を用いた場合と固相に抗 VPFモノクロ
ーナル抗体、検出(標識)に抗 VPFポリクローナル抗体
を場合とが例示されているが、抗原である VPFを検体か
ら特異的に検出することができる方法であればいかなる
方法でもよく、例えば、固相に抗 VPFポリクローナル抗
体、検出(標識)に抗 VPFポリクローナル抗体、検出
(標識)に抗 VPFモノクローナル抗体を用いる方法、固
相に抗 VPFモノクローナル抗体、検出(標識)にエピト
ープの異なる抗 VPFモノクローナル抗体を用いる方法等
が採用される。 (a) 抗 VPFポリクローナル抗体の作成 単離したVPF のcDNAを大腸菌の中でグルタチオンsトラ
ンスフェラーゼとの融合蛋白として発現させ、得られた
蛋白を抗原として常法に従い、うさぎを免疫した。抗体
価の上昇した血清からDEAEのクロマトグラフィーでIgG
を分画した。IgG 分画の一部をペプシンで消化しF(ab)2
フラグメントを得た。また別の一部を過ヨウ素酸法にて
ペルオキシダーゼとコンジュゲートさせ、酵素標識抗体
を得た。
【0014】得られた抗体が活性型VPF と反応すること
を確認するために、本発明者等がクローン化し微生物工
業技術研究所に寄託した、人VPF を産生する細胞HeLa/v
5(微生物工業技術研究所寄託番号「微工研菌寄第131
85号」) の調整培地から硫安塩析により蛋白を取り出
し、それを12%SDS-PAGE で展開し、免疫して得られた抗
体を反応させWestern blotを行ったところ、VPF の分子
量に相当する位置に、特異的な交差反応が観察され、作
成した抗体はVPF 分子を認識することが示された。
【0015】(b) 活性型VPF の調製 生理活性を有するVPF を産生するヒト上皮癌細胞株A431
で調製培地を作成した。10Lの調製培地を硫安塩析にか
け粗蛋白画分を得、それをヘパリンカラムにかけてVPF
を部分精製した。この粗VPF を用いてヒト臍帯由来の血
管内皮細胞HUVECに対する増殖促進効果を求めた。試験
は12穴のプレートにHUVECを104個まき、アッセイ培地:
RPMI164045%, DMEM 45%, FBS 10%, bivine insulin 10
mg/l, human transferrin 5 mg/l, 2-mercaptoethanol
0.01 mM, 2-aminoethanol 0.01 mM, sodium selenite 1
0nM, 1 mlに様々な量の粗VPF を加え、37℃ 5%CO2で5
日間培養し細胞数を比較した。コントロールに対して2
倍の増殖能を与えるVPF 量を 1 unit と定義した。
【0016】表1はHeLa/v5 とHeLa/c両形質転換細胞株
の試験管内での細胞数が2倍になるために必要な時間を
測定したものである。それぞれの細胞104 個を12穴
プレートにまき、ダルベッコ改変最小培地(DMEM)、10
%ウシ胎児血清中で培養を行い経時的に細胞数の増加を
調べ、一定速度で細胞が増殖する場合の細胞数が2倍に
なるために必要な時間を求めた。
【0017】
【表1】
【0018】(c)ELISA測定系の設定 VPF の測定系を以下のように設定した。調製した抗VPF
IgG を96穴のプラスチックプレートに吸着させ2 % bovi
ne serum alubumin (BSA) でコートし、これを測定プレ
ートとした。各穴に測定サンプルを入れ、室温で2時間
置いた後、穴をphosphate buffered saline (PBS) で6
回洗浄する。これにペルオキシダーゼで標識した抗VPF
抗体を加え、室温で1時間置いた後、穴をPBSで9回洗
浄する。この後各穴に酵素基質を加え反応させ発色を測
定することによってサンプル中のVPF を測定した。上に
述べた方法でunit数を求めた粗VPF を段階希釈して、そ
れぞれのELISAでの測定値をグラフにプロットして求め
た標準線を図1に示す。検討の結果最低 10 munit/mlま
で定量的に測定できることが示された。
【0019】 (d)VPFが生体内で腫瘍の増殖に与える影響 HeLa/v5とベクターだけでHeLa細胞を形質転換したコン
トロール細胞HeLa/cとをヌードマウスに移植して生体中
で、その増殖を観察した。それぞれ5匹の平均をグラフ
にプロットしたのが図2である。試験管内での増殖速度
は変わらないにもかかわらず(表1)、同一の親株から
作成した形質転換体であるが、生体内ではVPF を過剰に
生産しているHeLa/v5 の方がコントロールのHeLa/cより
も顕著に活発に増殖することが示された。このことはVP
F が腫瘍の生体内での活発性(悪性度)に影響を与えて
いることを示唆していると考えられる。
【0020】(e) 癌細胞からのVPF の分泌 癌細胞がVPF を産生しているのかどうかを調べるため
に、各種の癌細胞を培養し、培養皿ほぼいっぱいに生育
した時点で新鮮な培地に交換して24時間培養を継続
し、その培養上静を回収した。その培養上静を上記VPF
のELISA で調べた結果を表2に示した。テストしたヒト
ならびにマウスの様々な癌細胞全てにおいて、VPF は分
泌産生されていることが示され、一方正常細胞であるヒ
トならびにウシの内皮細胞では、VPF 産生は観察され
ず、VPF の発現が癌細胞において顕著であることが明瞭
に示された。
【0021】
【表2】
【0022】(f) 生体を用いた実験 実際に癌細胞に由来するVPF が血中に検出されるかどう
かをマウスを使った動物実験で調べた。上に述べたVPF
産生細胞株HeLa/v5 をヌードマウス(BALB/C nu/nu)の皮
下に移植し可移植性のHeLa/v5 を得た。このHeLa/v5(2x
2 mm) を新たなヌードマウスに移植し癌を生育させた。
癌移植前と、癌が十分に生育した後との血液を採取し血
清を調製し、その中のVPF を上記イムノアッセイで測定
した。表3に移植前、癌生育後の血中VPF 濃度と生育し
た癌の大きさをまとめた。またHeLa/v5のコントロール
細胞株HeLa/cを移植した場合の結果も併せて示した。He
La/v5 を移植した後ではいずれも血中VPF は陰性から陽
性に転じており、癌細胞由来のVPFが分泌され血流に検
出されることが示された。
【0023】
【表3】
【0024】また各種マウスの腫瘍を移植し、生体内で
癌が十分生育した時点で採血しその血清中のVPF をELIS
A で測定した、マウスでの血清中におけるVPF の検出結
果を表4に示したが、いずれの担癌マウスにおいてもVP
F が検出され、正常なマウスではVPF は検出されず、VP
F は生体が腫瘍を持っているときに検出されるいわゆる
腫瘍マーカーとしてのすぐれた特性を持っていることが
示された。
【0025】
【表4】
【0026】(g) 臨床検体を使った試験 実際の癌の患者の血中にもVPF が検出されるかどうかを
調べ、種々の癌の患者血清による試験の結果、及び健常
者の血清による試験の結果を図3にまとめた。健常者で
はいづれも低い値であるのに対して、様々な癌患者の血
清で高いVPF 測定値が示され、VPF が広範な癌症例で上
昇していることが示された。
【0027】(h) モノクロナール抗体を用いた測定 ポリクロナール抗体−ポリクロナール抗体で行ったVPF
を検出することによる腫瘍診断を抗VPF モノクロナール
抗体を用いて以下の様にして行った。
【0028】(i) 抗VPF モノクロナール抗体の作製 前述のVPF とグルタチオンsトランスフェラーゼとの融
合蛋白を用いて、Balb/cマウスを免疫した。VPF に対す
る抗体価が上昇したマウスから脾臓細胞を取り出し、常
法(ポリエチレングリコール法)に従って、マウスミエ
ローマ細胞と細胞融合を行いハイブリドーマを得た。得
られたハイブリドーマから抗VPF を産生しているハイブ
リドーマを選び出し限界希釈法でクローン化した。クロ
ーン化したハイブリドーマをマウス腹腔内に移植し、腹
水を採取し、その腹水からプロティンGアフニティーカ
ラムクロマトグラフィーで抗VPF モノクロナール抗体を
精製した。
【0029】 (j) 抗VPF モノクロナール抗体を用いた ELISA測定 調製した抗VPF モノクロナール抗体(IgG) を96穴のプラ
スチックプレートに吸着させ2 % bovine serum alubumi
n (BSA) でコートし、これを測定プレートとした。固相
に抗VPF モノクロナール抗体を固定化したプレートを用
いた点以外は、前述の抗VPF ポリクロナール抗体−ポリ
クロナール抗体の方法と同様にして行った。すなわち抗
VPF モノクロナール抗体(固相抗体)−抗VPF ポリクロ
ナール抗体(標識抗体)のいわゆるサンドイッチアッセ
イをおこなった。図4に、種々の癌患者の血清、健常人
の血清における測定の結果を示した。この結果からも、
癌患者血清中のVPF 量は健常人血清中のそれに比べて高
い傾向を示し、癌症例で血清中のVPF 量が上昇すること
を示した。
【0030】
【発明の効果】腫瘍の診断にあたりあらゆる固形癌が備
えていると考えられる腫瘍血管の誘導作用に関係すると
思われる新規な腫瘍関連分子VPF をマーカーとして腫瘍
の診断を行うという本発明は、その構成により以下の効
果が期待できる。
【0031】1.現在、腫瘍の診断において、腫瘍の発
生部位、あるいは腫瘍の種類により様々な腫瘍マーカー
を使い分けている。それはそれで意味深いことである
が、検査の対象が絞れない場合、例えば健康診断的な用
途では理屈上ありとあらゆるマーカーを用いなければな
らないことになるが、本発明は固形癌の一般的な性質を
利用したものであるために、遥かに広範な腫瘍診断に1
回の検査で対応することができる。
【0032】2.VPF は癌細胞そのものに由来するた
め、癌組織を切除した後は血中のレベルは低下する。ま
た転移や再発を起こしても再びVPF が産生されると考え
られるため、術語の経過、及び再発、転移をモニターす
る用途にも応用できる。
【0033】3.腫瘍への血管の伸長と腫瘍の増殖速度
とは密接に関連している。また血管は腫瘍が遠隔転移す
る際の主要ルートの一つでもある。従って腫瘍のVPF 産
生量を知ることによって腫瘍の悪性度を予測、判定する
ことにも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ELISA によるVPF の定量性を調べた図であり、
粗精製したVPF のHUVEC に対する増殖促進活性を調べ、
コントロールに対して2倍に促進させるVPF 量を1 unit
と定義し、unit数既知の粗VPF を段階希釈して、それぞ
れのELISA での測定値をプロットしたものである。
【図2】マウス生体内におけるVPF が腫瘍の増殖に与え
る影響を調べた図であり、VPFを過剰生産しているHeLa/
v5 とベクターのみで形質転換させたコントロール細胞H
eLa/cとをヌードマウスに移植し、その増殖速度をプロ
ットしたものであり、白丸がHeLa/v5 、黒丸がHeLa/cの
結果である。
【図3】健常者並びに癌患者血清中のVPF 濃度を調べた
図であり、健常者、各種癌患者より採取した血清のVPF
濃度を疾患部位別にプロットしたものである。
【図4】固相に抗VPF モノクロナール抗体を用いて、健
常人および癌患者血清中のVPF濃度を調べた図であり、
各種癌患者より採取した血清のVPF 濃度を疾患部位別に
プロットしたものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 合議体 審判長 後藤 千恵子 審判官 永田 雅博 審判官 竹之内 秀明 審判官 伊坪 公一 審判官 河原 英雄 (56)参考文献 Journal of Biolog ical Chemistry,264 (33)p20017−20024(1989) SCIENCE,219(1983)p983− 985

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】血管内皮細胞に対する特異的細胞増殖促進
    活性と血管透過性促進活性を有し、血清中に存在する分
    子量約 20000の血管透過性因子(VPF) の2量体を検出す
    ることを特徴とする腫瘍検出方法。
  2. 【請求項2】血管内皮細胞に対する特異的細胞増殖促進
    活性と血管透過性促進活性を有し、生体内に存在する分
    子量約 20000の血管透過性因子(VPF) の抗体からなる
    とを特徴とする腫瘍診断薬
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