JPH07206899A - がん発生蛋白28kDを認識する単クローン抗体及び該単クローン抗体を含有する診断試薬 - Google Patents

がん発生蛋白28kDを認識する単クローン抗体及び該単クローン抗体を含有する診断試薬

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JPH07206899A
JPH07206899A JP1398594A JP1398594A JPH07206899A JP H07206899 A JPH07206899 A JP H07206899A JP 1398594 A JP1398594 A JP 1398594A JP 1398594 A JP1398594 A JP 1398594A JP H07206899 A JPH07206899 A JP H07206899A
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protein
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光生 中居
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雅一 石川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 悪性腫瘍のマーカー蛋白を認識すると共にこ
の蛋白に特異的に結合する単クローン抗体、及び、単ク
ローン抗体を含有してなることを特徴とする診断試薬を
提供する。 【構成】 本発明は、IgGlイムノグロブリンであ
り、がん発生蛋白28kDを認識し、正常ヒト血清蛋白
とは反応しないことを特徴とする単クローン抗体、及
び、この単クローン抗体を含有してなる診断試薬に関す
るものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば悪性腫瘍患者の
腹水中の蛋白を抗原として認識し、結合する単クローン
抗体、及び、この単クローン抗体を含有してなり、悪性
腫瘍の診断に有効な試薬に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】悪性腫
瘍のマーカー蛋白に対する特異抗体は、臨床上、がんの
診断や研究領域で蛋白の同定に用いられている。しかし
ながら、この悪性腫瘍のマーカー蛋白の存在と、その体
液中への出現を臨床的に検証した報告は国内外に未だな
く、それ故に、本発明の発明者らによる一連の論文が、
専門学術誌に掲載発表される機会を与えられることとな
った。勿論、上記マーカー蛋白を抗原として認識する抗
原特異性を含有する診断用試薬の開発は、医学上必須の
ものと考えられるのであるが、この特異抗体の存在に関
する報告も又、従来はなされていなかった。
【0003】本発明は、前述した従来技術の欠点を解消
するため、本発明の発明者らが上記マーカー蛋白と特異
的に反応する抗体、及び、該抗体を含有する診断試薬を
提供すべく研究を重ねた結果、上記マーカー蛋白を認識
すると共に、この蛋白に特異的に結合する単クローン抗
体を見いだし、本発明に到達したものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、IgG
lイムノグロブリンであり、がん発生蛋白28kDを認
識し、正常ヒト血清蛋白とは反応しないことを特徴とす
る単クローン抗体、及び、この単クローン抗体を含有し
てなる診断試薬を提供するものである。
【0005】以下に本発明を詳細に説明する。
【0006】本発明の単クローン抗体は、異なる既知の
腫瘍マーカー蛋白を認識せず、いっさいの交叉反応性を
示さず、がん発生蛋白28kDのみを認識し、これと特
異的に結合する。
【0007】上記がん発生蛋白(以下、ODPと略す)
とは、妊婦及び悪性腫瘍患者、特に卵巣腫瘍患者の体液
に顕著に増加するという特徴を有しているもので、その
出現の動態が特異的であるところから、腫瘍マーカーと
しての利用可能性がある。尚、このODPは体液中では
分子多様性を示すという特徴も有している。
【0008】本発明の単クローン抗体が認識する28k
D蛋白とは、上記ODPの内の一分子種であって、N末
端側の20位までのアミノ酸配列が、l7位を除き、カ
ルシウム結合蛋白MRP−8および嚢胞性線維腫抗原の
示すアミノ酸配列と同一のものである。
【0009】而して、本発明の単クローン抗体は、腫瘍
抗原、例えばがん患者腹水蛋白で免疫した動物の抗体産
生細胞とミエローマ細胞との融合細胞から産生すること
ができる。この製造法について更に詳しく記載すると、
まず前記抗原を用いて例えばマウスを免疫し、次いで免
疫感作されたマウスの脾臓から感作細胞を単離して抗O
DP抗体産生細胞を得、これをミエローマ細胞(SP2
細胞)と融合させ、抗体産生性融合細胞(ハイブリドー
マ)を得る。この融合細胞を測定用プレート上の複数の
孔に分注し、培養し、各孔の上清をELISAなどの手
段によって分析し、当該蛋白のみに特異的に結合し、他
のヒト血清蛋白を含む腫瘍マーカーに結合しない単クロ
ーン抗体を選別する。この選別された単クローン抗体を
産生する融合細胞を更に培養すれば、目的とする本発明
の単クローン抗体を製造することができるのである。
【0010】尚、上記融合細胞による方法に代え、 1)In vivo刺激法 2)In vitro刺激法 3)電気細胞融合法 4)ヒトとマウスのヘテロブリドーマによるヒト型モノ
クローナル抗体作製法 5)脾内免疫法 6)IL−6法 等によってもよい。
【0011】この単クローン抗体は、これをODPの微
量定量測定診断の反応試薬として利用することにより、
ODP28kDの診断試薬として使用することができ、
深在する臓器に発生し発見の遅れ易い悪性腫瘍、特に卵
巣癌などの疾患において、病理組織学的診断及び血清学
的診断により、早期発見の目的に極めて高度の有用性を
もっている。
【0012】尚、上記単クローン抗体を診断試薬として
利用する場合、病理組織学的診断には、 Zamboni固定→本発明単クローン抗体との反応→ビオチ
ン加工マウスIgG、FITCラベル→アビジン反応→
鏡検 の順に行えばよく、体液中濃度微量測定診断には、蛋白
標準液、本発明単クローン抗体FITCラベル、アビジ
ン等の成分と共に、緩衝液成分を凍結乾燥し、キットと
すればよい。
【0013】
【実施例】以下に、実施例について本発明を更に詳細に
説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるもので
ないことはいうまでもない。
【0014】実施例1 1)モノクロナール抗体の作製 1.抗原の精製 悪性腫瘍患者腹水からポリエチレングリコール(PE
G)4000のl5〜25%(w/v)飽和画分を透折
した後、DEAEセファーローズカラムクロマトグラフ
イーによって分画し、ピーク4画分を回収し、濃縮し
た。この材料を調整用ポリアクリルアミドゲルの電気泳
動により分離し、免疫活性を示した部位を切り出し、蛋
白成分を抽出し、精製した。
【0015】前述の腹水をセファデックスG‐200カ
ラムクロマトグラフイーにより分画し、ピーク1画分
(を家兎に注射し抗血清を得た。この抗血清を硫安50
%飽和下で沈澱させ、透析脱塩後、正常ヒト血漿蛋白結
合セファローズカラムを通して純化し、特異抗体を得
た。
【0016】この純化抗体をCNBr活性化セファロー
ズに結合し、腹水の本蛋白を吸着させた。3M NaC
Iを含む0.1M 酢酸緩衝液(pH4.5)により前
記蛋白を溶出し、抗原活性を示した画分を採集、濃縮
し、更に抗ヒト正常血漿蛋白を結合したセファローズカ
ラムクロマトグラフイーを用いて精製し、ODPの部分
精製標品を得た。
【0017】2.免疫 上記1.で得られた高度純化標品を、Accollaら
の方法(Proceedings of the Na
tional Academy of Science
s 77(1980)563−566.)を参考にし
て、complete Freund’s adjuv
antに懸濁し、4週令のBALB/cマウスに2週間
隔で2回皮下注射し、抗体産生を確認した後、最終注射
から7日後にODP25μgを溶解した生理食塩水を静
脈内に投与し、その3日後に脾臓を摘出し、脾細胞を調
製した。
【0018】細胞融合の方法は、抗体産生の確認された
摘出脾臓を細切したのち、0.17M Tris−0.
14M NH4Cl液(pH7.65)により洗浄して
赤血球を除去した後、上記の脾細胞浮遊液1×108
とマウスミエローマ細胞(SP2/0−Ag14)1×
107個とを1.0m1の50%(v/v)PEG40
00存在下に40℃で5分間反応させて融合させた。細
胞培養液には、DMEM培地(ダルベッコ変法MEM培
地に10%牛胎児血清、2mM L−グルタミン、10
0U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマ
イシンを加え、NaHCO3でpH7.4に調製したも
の)を用いた。融合細胞は前述の培養液にヒポキサンチ
ン、アミノプテリン、チミジンを加えたHAT培地に、
feeder cel1としてBALB/cマウス一匹
分の脾細胞と共に再懸濁した。次に、24穴平底プレー
トに1mlずつ分注し、5%CO2下に37℃で培養
し、2週間後からHAT培地よりアミノプテリンを除い
たHT培地に順次交換した(微工研菌寄No.FERM
P−14031)。
【0019】3.抗体活性のスクリーニング法 目的とする抗体産生細胞の識別には、免疫抗原と正常ヒ
ト血漿とに対する培養上清の抗原抗体反応の吸光度の差
を、酵素標識抗体測定法(enzyme−linked
immunosorbent assay,ELIS
A)を用いて定量した。
【0020】即ち、エライザプレートに、マウスの免疫
に用いた高度精製標品、および正常ヒト血漿100倍希
釈液を対照抗原液として50μlずつ分注してプレート
に吸着させた後、4℃で一晩放置し、0.05%Twe
en20を含むリン酸緩衝液(T‐PBS)で3回洗浄
した。2%ウシ血清アルブミン(BSA)液300μ1
ずつを加え、37℃で1時間反応させて抗体の非特異的
結合部位をブロックした。T−PBSで3回洗浄後、一
次抗体として培養上清を50μlずつ加え、37℃で1
時間反応させた後、T−PBSで3回洗浄した。次に2
次抗体として、1%馬血清を加えたPBSで2000倍
に希釈したペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウス免疫グロ
ブリン抗体を100μlずつ加え、37℃で30分間反
応させ、T−PBSで5回洗浄した。0‐phenyl
enediamine二塩酸(pH5.0)と過酸化水
素水をクエン酸−リン酸緩衝液にそれぞれ0.08%,
0.0l%に溶解した基質溶液200μlずつを加え、
暗所に室温で15分間静置後、6N硫酸溶液を50μ1
ずつ加えて反応を停止させた。その後、直ちにイムノリ
ーダー(NJ‐2000:日本インターメッド製)を用
い、波長492nmでの吸光度を測定した。その結果、
免疫抗原の吸光度が、正常ヒト血清に比較して500%
以上を示した反応を陽性と判定した。
【0021】抗体産生能が認められたハイブリドーマ
は、HT培地で6個/m1に調整し、96穴プレートに
100μlずつ分注し、feeder cellとして
BALB/cマウスの脾細胞を用いた。この限界希釈法
によるクローニングを連続的に3回行った後、HT培地
よりヒポキサンチン、チミジンを順次除き、増殖培地で
あるDMEM培地で継代培養を行った。
【0022】2)抗原特異性の証明 1.免疫グロブリンのクラス、サブクラス Isotying kitを用いてこの単クローン抗体
を同定すると、図1に示すように、この抗体はL鎖C末
端側のアミノ酸配列がカッパ型のIgGlイムノグロブ
リンであることが判明した。尚、図1において、短冊上
のKとG1の部位に出現した反応線は、一方がカッパ、
他方がIgGlとの反応を示している。
【0023】2.オクタロニー二重免疫拡散法 図2に示すように、多クローン抗体(PoAb)と癌患
者腹水中の特異抗原(MAF)との間に一本の沈降線が
形成されるが、本単クローン抗体(MoAb)とこの腹
水中特異抗原との間に形成される沈降線は、上記の沈降
線とは端・側融合し、いわゆる「免疫学的部分融合性」
反応を示す。即ち、本単クローン抗体は分子多様性を示
す抗原の内、28kDの分子量をもつ蛋白とのみ結合し
て、沈降線を形成する抗原特異性が証明された。又、本
単クローン抗体(MoAb)は抗家兎マウス免疫グロブ
リン(RA−nIgG1)との間に一本の沈降線を形成
し、この沈降線はマウスの免疫グロブリン(IgG1)
と完全融合するところから、本単クローン抗体は、軽鎖
のカルボキシル末端のアミノ酸配列がカッパ型のIgG
1であることが示された。
【0024】更に、図3に示すように、この単クローン
抗体(MoAb)は、多クローン抗体(PoAb)が癌
患者の腹水(MAF)及び胎盤組織抽出液(PE)と反
応したように、これら2種の試料と反応して沈降線を形
成した。特記すべきこととして、本単クローン抗体が多
クローン抗体の形成した沈降線と端・側融合したことか
ら、多クローン抗体とは異なり、このカッパ型IgG1
抗体がより抗原特異性をもち、28kD蛋白と結合した
ことを示している。
【0025】3.イムノブロット法 腹水抗原をドデシル硫酸ナトリウムを含むポリアクリル
アミドゲルによる電気泳動後、ウエスタンブロッティン
グを行った結果、図4に示すように、多クローン抗体が
3種の蛋白と結合して3本の蛋白バンドを明かにしたの
に対し、単クローン抗体は分子量28kDの蛋白とのみ
結合することが証明された。この28kD蛋白をポリア
クリルアミドゲル電気泳動によって分離した後、ゲルを
細切し抽出すると、単一の純化蛋白をうることが出来
た。尚、図4において、(A)はアフィゲル10による
吸着クロマトグラフィー精製後の癌患者腹水のクマシー
ブリリアントブルー染色の蛋白バンドを、(B)は単ク
ローン抗体の認識した28kD蛋白の免疫染色を、
(C)は分子量マーカー(kD)を示し、0は原点、T
Dは泳動先進染色バンドを示す。
【0026】4.他の血漿蛋白との交叉反応性 肘静脈から採血し、遠心分離により血清を得た後、その
9μlを試料として用い、ロケット免疫電気泳動法によ
り他の血漿蛋白との交叉反応性を検討したところ、以下
の表1に示すように、本発明の28kD ODPを認識
する単クローン抗体は他の血漿蛋白との交叉反応性を示
さず、当該蛋白のみを認識する特異性を有することが判
明した。
【表1】
【0027】3.認識された蛋白の特性解析 以下の表2に示すように、本単クローン抗体が認識する
28kD蛋白のN末端側の20位までのアミノ酸配列
は、l7位を除きカルシウム結合蛋白MRP−8および
嚢胞性線維腫抗原の示すアミノ酸配列と同一である。更
に、認識された蛋白がこれら2種の蛋白の持つ分子配列
と90%の相同性を示すことがGenbank/EMB
Lデータベースを通して検証された。上述の結果は特異
抗原である蛋白がS100蛋白(Kligman an
d Hilt:HIBS 13:437−443,19
88)と同族であることも判明し、これは従来知られて
いない新事実である。
【表2】
【0028】実施例2.臨床有用性の精度高度化 1)ODPのヒト体液中の微量検出 ODPは本発明の発明者らが発見した新しい腫瘍マーカ
ーであり、以下の表3に示す用に、この蛋白の血中濃度
測定が臨床的に有用であることを既に明らかにした。
【表3】
【0029】従来の測定法であるロケット法は、感度が
低いために(Nakai,M.ら:Journal o
f Immunological Methods,1
03(1987)178−l84.)、ODPの定量を
臨床応用することの重要性を理解することが困難で、日
常的に利用するには多くの解決すべき問題点があって実
用化されるに至らなかった。ODPには分子多様性があ
るが、ロケット法では上述の理由から、これら複数の蛋
白を区別して測定することはできなかった。本単クロー
ン抗体は28kD ODPを特異的に認識し、これと結
合するので、この性質を利用して特異的な反応性を利用
する高感度測定法の臨床応用が可能となった。図5及び
図6に示すように、この蛋白は特に女性生殖器に発生す
る悪性の腫瘍、特に卵巣癌患者で著明に増加する(Na
kai,M:Journal of Immuno1o
gical Methods.103(1987)17
9−184.;European Journal o
f Obstetrics& Gyneco1ogy
and Reproductive Biology,
43(1992)143−147.)ので、本蛋白の臨
床病理学的診断法としての意義は極めて大きい。
【0030】即ち、本ODP蛋白はカルシウム結合蛋白
MfRP−8と同様に急性および慢性炎症の発生時に血
液中に著明に増加する(図7)と共に、特に子宮頸癌の
病態の進行に伴って増加する傾向を示す点からも示唆さ
れる様に、一般的に悪性腫瘍患者の病態のモニターリン
グの有力な手段となる(図8)のである。その一例とし
て、卵巣の胎児性癌患者の術前と術後の病態の変化を患
者の血中ODP濃度でモニターリングすると、本癌に特
異的なアルファフェトプロテインに極めて極似した変動
を示した。この事実から、ODPの臨床有用性が明かで
あって、更に詳細な検証が進歩性の向上に必須であるこ
とがしめされた(図9)。本単クローン抗体を用いるE
LISA法の応用によって臨床診断上の精度が格段と上
昇する。
【0031】2)安定的大量供給のもたらす利益 本発明によって単クローン抗体の作成に成功したことか
ら、多クローン抗体では得られない均一な抗体を常時、
安定的に入手することが可能となった。即ち、これを利
用するELISA法によって、広くこの診断法を一般化
することが初めて可能となる。このELISAの高感度
微量測定法は単クローン抗体の利用によってのみ実現さ
れるもので、前述の悪性腫瘍の病態診断法として日常臨
床上応用可能な範囲は多数の臨床分野にわたり、この検
査から得られる結果が治療方針の決定に与える情報は極
めて重要かつ有益である。
【0032】3)抗原蛋白(28kD ODP)の単離
と安定大量供給 この特異的な抗体を精製、純化し、抗28kD ODP
−結合吸着クロマトグラフィーを利用して、本抗体が認
識し、結合する蛋白(28kD ODP)を精製純化す
ることが可能となる。ここで得られる蛋白は測定試薬の
標準物質となるもので、量産化から得られる利益は多大
である。本蛋白は「がん発生蛋白」の名称の示す通りヒ
トの初期発生に伴って出現してくる特徴を持つが、これ
は具体的にはヒト胎盤の絨毛細胞あるいは胎児側の血管
内皮細胞に産生される物質であり、悪性の腫瘍患者に腹
水が貯留するのを待って試科を採取するという様な偶発
的、限定的且つ非目的的な手段を選ぶ必然性がない。本
研究の計画的且つ効果的な手段により未知の腫瘍関連蛋
白の純化、特性解析、臨床応用と一連の実現可能な成果
から得られる先進的利益は、この量産化過程の実現を可
能とした本単クローン抗体を産生するハイブリドーマの
確立によって実現可能となった。
【0033】実施例3 本単クローン抗体による正常組
織と各種癌組織における特異抗原の局在 本単クローン抗体による各種組織のホルマリン固定、パ
ラフイン切片はKami,K.らの方法(Histoc
hemical Jourual 23:259−26
6,1991)、染色はHsu,S.M.らの方法(H
istochem. Cytochem. 29:57
7−580,l981)に準じてアビジンービオチンー
ペルオキシダーゼ複合体法による染色により行った。
【0034】悪性腫瘍組織における本抗原の産生の有無
とその程度について検索した。本抗体は正常組織細胞に
は全く検出されないのに反して、この抗体が結合した特
異抗原は子宮頸癌、子宮内膜癌、卵巣癌などの癌病巣に
のみ限局的に局在した。良性と悪性との組織学的鑑別を
確然と為すことの出来るこの単クローン抗体による臨床
応用上に認められた有用性は、全く新しい発明による進
歩と結論できる。
【0035】
【発明の効果】
【0036】本単クローン抗体の純化IgG1抗体を用
いて28kD ODPを純化することが可能となり、そ
の結果、28kD蛋白がS100同族蛋白の一員である
こが検証された。
【0037】結論として、本単クローン抗体およびその
応用から得られる純化IgG1の利用から、新しい28
kD蛋白の純化、特性解析が可能となり、更なる大量安
定供給は関連同族蛋白であるSl00蛋白(カルシウム
結合蛋白MRP−8および嚢胞性線繊腫症)との分子生
物学的機能研究の面で新たな学際的課題を提供するもの
であり、利益の波及効果は多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の単クローン抗体の同定結果を示す電気
泳動の写真である。
【図2】本発明の単クローン抗体と、多クローン抗体と
のオクターロニー二重免疫拡散法による検定の結果を示
す写真である。
【図3】本発明の単クローン抗体と、多クローン抗体と
のオクターロニー二重免疫拡散法による検定の結果を示
す写真である。
【図4】本発明の単クローン抗体につき、ポリアクリル
アミドゲルによる電気泳動後、ウエスタンブロッティン
グを行った結果の写真である。
【図5】28kD ODPの量と疾病との関係を示すグ
ラフである。
【図6】28kD ODPの量と疾病との関係を示すグ
ラフである。
【図7】28kD ODPの量と疾病との関係を示すグ
ラフである。
【図8】28kD ODPの量と病態の変化との関係を
示すグラフである。
【図9】28kD ODPの量と病態の変化との関係を
示すグラフである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/574 A //(C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 IgGlイムノグロブリンであり、がん
    発生蛋白28kDを認識し、正常ヒト血清蛋白とは反応
    しないことを特徴とする単クローン抗体。
  2. 【請求項2】 単クローン抗体が、がん発生蛋白抗原に
    対する抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合し、得ら
    れた融合細胞をクローン化してがん発生蛋白28kDを
    認識する抗体を産生する融合細胞を選択し、当該融合細
    胞を更に培養することより得られるものである請求項1
    に記載の単クローン抗体。
  3. 【請求項3】 がん発生蛋白28kDを認識する単クロ
    ーン抗体を含有してなることを特徴とする診断試薬。
JP1398594A 1994-01-11 1994-01-11 がん発生蛋白28kDを認識する単クローン抗体及び該単クローン抗体を含有する診断試薬 Pending JPH07206899A (ja)

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