JP3048991U - 紡糸機のスピンドル構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スピンドルに取付けたボビンの巻き糸を容易
に切断する糸切り装置を具えて、ボビンの抜取り交換が
便利な紡糸機のスピンドル構造を提供する。 【解決手段】 糸切り装置を具えて、ボビン取換え過程
で巻糸端部を切断させると同時に、下端に鉄製保護リン
グ（７１）を具えた空ボビン（７０）を該スピンドル
（８０）に嵌設する際に確実に定位させることができ、
且つ磁性体（６０）の磁力吸引により空ボビン（７０）
をスピンドル（８０）に同期回動させて、紡糸作業を遂
行させ、これにより、巻き糸を容易に切断して、切断後
の巻端部長さを確実に制御でき、且つボビン（７２）を
容易にスピンドル（８０）から抜出すにとができて、紡
糸過程で糸切れ現象の生ずる回数を有効に低減し、自動
化生産を図る上で人手を減少して、生産コストの節減及
び自動化生産を達成できるようにする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は紡糸機のスピンドル構造に関し、特に糸切り装置を具えて紡糸切断後 に糸先のほつれが生ずるのを低減させ、ボビン（Ｂｏｂｂｉｎ）を確実に定位さ せ得る紡糸機のスピンドル構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

図４に示す如く、従来例の紡糸用スピンドル１０は、紡糸機（図示せず）に固 定される固定部１１及び該固定部１１上面に挿設される回動部１２を含んで、該 回動部１２に胴受座１２１を設けて、該胴受座１２１上面に上端先細のテーパ状 ボビン取付軸１２２を廷設し、該ボビン取付軸１２２にボビン２０を緊着係止可 能に外嵌して、紡糸過程において、該ボビン２０が該スピンドル１０と確実に一 体回動して、スリップして巻取り回転が遅れることがないようにする。該スピン ドル１０は紡糸過程で順調，便利な機能を発揮できるのであるが、実際の使用上 では尚も下記のような欠点がある。 １．糸切り装置を設けていないため、糸の巻取りを完成したボビン２０を取換 える際、自動化生産ラインでは、通常手先だけで直接糸を引き千切っているので 、糸先がほつれて垂れ下がりスピンドルから離れる現象を生じ易く、糸紡ぎを再 び続けるときは、人手により糸先を取り換えた空ボビンに巻付けなければならず 、稼動テンポが低下して生産コストが高くなる。 ２．ボビン２０とスピンドル１０のボビン取付軸１２２はテーパ嵌合方式によ り結合しているので、その嵌合の緊着度合いが一定せず、ボビンの取換え過程で きつ過ぎてボビン２０を抜き取るに骨折れる場合が少なくない。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来の紡糸機のスピンドル構造における問題点に鑑み、本考案は、スピン ドルに取付けたボビンの巻き糸を容易に切断する糸切り装置を具えて、ボビンの 抜取り交換が便利な紡糸機のスピンドル構造を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本考案は、そのスピンドルに絡み筒、刻み目付リン グ、環状糸切刃及び磁性体を含んだ糸切り装置を設けて、ボビン取換え過程で巻 き糸を切断すると同時に、下端に鉄製保護リングを具えた空ボビンを該スピンド ルに嵌設する際に確実に定位させることができ、 上記絡み筒をスピンドルの胴受座に嵌設して、該絡み筒の上段内周壁と該胴受 座との間にボビン先端部を嵌込む凹溝座を形成し、その下段内周壁と該スピンド ルとの間に環状容置溝を設けて、該絡み筒の外周壁にローレット切りを施した糸 絡み付き部を形成し、紡糸を満載に巻取った後の糸端部を該糸絡み付き部に絡ん だまま保持させて、上記刻み目付リングの下端部周回りを上記絡み筒上段の内周 壁に触接するように取付け、且つその上端に水平外向きに延伸して外周縁沿いに 複数の環状鋸歯及び各両鋸歯の間にそれぞれ欠口部を設けて、上記環状糸切刃を 該絡み筒と該刻み目付リングとの間に介設してボビンの取換え過程において糸端 部を切断させるようにし、上記磁性体を該絡み筒下段の容置溝に内装して、その 磁性により空ボビンを吸着して確実に定位させて空転しないように構成される。

【０００５】 そして、上記絡み筒の糸絡み付き部のローレット切り表面に、適当な間隔置き に複数の糸清掃溝を設けて、絡み筒に纏い付いた余分な残り糸を除去し易いよう にしたり、上記磁性体下方のスピンドルの胴受座上面に絶縁ワシャを嵌設して、 該絶縁ワシャにより該磁性体の磁力を分散させないようにすると一層好ましくな る。

【０００６】 上記のように構成された本考案は、紡糸過程で、先ず紡ぎ糸を空ボビンに巻付 かせて、糸案内機構により空ボビンの底端から次第に上へと糸を巻取らせ、巻き 取った紡ぎ糸が満載になれば、糸案内機構が自動的にその糸を該絡み筒に案内し て２〜３回巻き付かせ、巻き糸で満載になった実ボビンをスピンドルから抜取る 際に、実ボビン側の巻き糸が上記欠口部に進入して環状糸切刃により切断して、 切断後の糸端部が糸絡み付き部のロレット切り表面に巻付いたまま残り、次の空 ボビンをスピンドルに外嵌すると、該空ボビン下端に鉄製保護リングが設けられ ていることから、磁性体の磁力吸引により該空ボビンを迅速確実に該凹溝座上面 に定位させることができ、再び機台を起動すると、糸端部が該絡み筒に巻付いた ままに残っているので、直ちに紡糸作業に入ることができる。また、紡糸後の該 絡み筒には通常長さ適度の残り糸が巻付くのであるが、紡糸過程の合間に指を糸 清掃溝に挿入して容易に残り糸を清掃排除することができる。

【０００７】

【考案の実施の形態】

以下、本考案を実施の形態例に基づいて具体的に説明するが、本考案はこの例 のみに限定されない。 図１，図２に示す如く、本考案の紡糸機のスピンドル構造は、主として、絡み 筒３０、刻み目付リング４０、環状糸切刃５０、及び磁性体６０を含んだ糸切リ 装置を具えて、該糸切り装置を紡糸機のスピンドルに配設してボビンの取換え過 程で巻き糸を切断するに使用され、且つ下端に鉄製保護リング７１を具えた空ボ ビン７０をスピンドル８０に外嵌する際に、確実に定位させる働きをも務める。 該絡み筒３０は、スピンドル８０の胴受座８１上方に嵌設されて、その上段３１ の内周壁３１１と該スピンドル８０との間にボビン先端部が嵌め込む凹溝座３２ を形成すると共に、その下段３３の内周壁３３１と該スピンドル８０との間に環 状の容置溝３４を設けて、該絡み筒３０の外周壁３５にローレット切りを施され た糸絡み付き部３６を形成し、紡糸を満載に巻取った後の糸端部を該糸絡み付き 部に絡んだまま保持させるに用いられる。該刻み目付リング４０は、その下端部 周回りを上記絡み筒３０の上段３１の内周壁３１１に触接して取付けられ、その 上端に水平外向きに延伸して外周縁沿いに複数の環状鋸歯及び各両鋸歯の間にそ れぞれ欠口部４１を設ける。該環状糸切刃５０は、該絡み筒３０と該刻み目付リ ング４０との間に介設されて、ボビンの取換え過程において上記欠口部４１に進 入した糸端部を切断するに用いられる。該磁性体６０は、該絡み筒３０の下段３ ３の容置溝３４に内装される環状磁石であって、その磁性により空ボビン７０を 吸着するに用いられる。また、該絡み筒３０のロレット切り表面の糸絡み付き部 ３６には互いに対応する二条の糸清掃溝３６１，３６２が縦向きに開設されて、 絡み筒３０に巻付いた切断残りの糸屑を清掃するに用いられる。更に、該磁性体 ６０下方のスピンドル８０の胴受座８１上面に絶縁ワシャ９０を嵌設して、該絶 縁ワシャ９０により該磁性体６０の磁力を分散させないように規制する。

【０００８】 以上，本考案の比較的好ましい実施例の主要部材およびそれぞれの配設部位に ついて説明したが、次に本考案の使用態様、作動原理および得られる効果につい て下記の通りに述べる。 図３に示すように、紡糸過程では、先ず糸を鋼襟リング１００に通して空ボビ ン７０に巻付かせ、且つ空ボビン７０の底端から次第に上へと糸を巻取らせて、 巻き取った糸が満載になれば、該鋼襟リング１００が絡み筒３０の位置へ自動的 に下降し、その糸を該絡み筒３０に２〜３輸巻き付いて、糸端部を該絡み筒３０ のロレット切り表面の糸絡み付き部３６に緊縛に纏付かせ、更に抜取り器１１０ により巻き糸を満載した実ボビン７２を抜取る過程で、糸が欠口部（４１）に進 入して環状糸切刃５０により切断して、切断後の糸端部が該糸絡み付き部３６の ロレット切り表面に巻付いたまま残り、しかる後、次の空ボビン７０をスピンド ル８０に外嵌すると、該空ボビン７０下端に鉄製保護リング７１が設けられてい るので、上記磁性体６０の磁力吸引により該空ボビン７０を迅速確実に該凹溝座 ３２上面に定位させることができ、そして、再び機台を起動すると、糸端部が該 絡み筒３０に巻付いたままに残っているので、直ちに紡糸作業に入ることができ る。また、紡糸後の該絡み筒３０には通常長さ適度の残り糸が巻付くのであるが 、本考案は該糸絡み付き部３２に二条の糸清掃溝３６１，３６２を設けているこ とから、例えば紡糸過程の合間に指を糸清掃溝３６１，３６２に挿入して容易に 残り糸を清掃排除することができる。なお、図中の符号７０ａは予備の空ボビン である。

【０００９】

【考案の効果】

上記のように構成された本考案は、下記のような優点・効果がある。 １．環状糸切刃を設けていることにより、ボビン取換え過程において、先ず糸 を切断してから巻き糸満載の実ボビンを抜き取るので、糸を引っ裂き切ることが なく、したがって、糸端部が紡糸機から離脱しなくなり、即ち、糸切れ現象の発 生する機会が低減される。 ２．磁性体を設けて、空ボビン下端に鉄製保護リングを配設していることから 、該空ボビンをスピンドルに外嵌する際、直ちに該磁性体の吸引力により空ボビ ンを迅速正確に凹溝座上に正確に定位させることができ、且つスピンドルが回動 する時に磁力の吸引から、該空ボビンを該スピンドルに追随して一体回動させる ことができて、空転状況が発生せずに紡糸機能を達成でき、更にスピンドルと空 ボビンが互いに吸引することから、空ボビンの嵌設がより容易、より便利になる 。 ３．糸絡み付き部に糸清掃溝を介設しているので、絡み筒に巻付いた残り糸の 清掃が容易である。 ４．上記各部材の組合わせにより、自動化生産の際に、人手を減らすことがで きて、コストを節減させ、生産量を高める自動化目標を達成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案における比較的好ましい実施例の立体分
解図。

【図２】上記実施例の側視部分断面表示図。

【図３】上記実施例におけるボビン取換え操作表示図。

【図４】従来の紡糸機におけるスピンドルの組立完了側
視図。

【符号の説明】

３０ 絡み筒 ３１１，３３１ 絡み筒の上下段内周壁 ３４ 環状容置溝 ３５ 絡み筒の外周壁 ３６ 糸絡み付き部 ３６１，３６２ 糸清掃溝 ４０ 刻み目付リング ４１ 欠口部 ５０ 環状糸切刃 ６０ 磁性体 ７０ 空ボビン ７１ 鉄製保護リング ７２ 実ボビン ８０ スピンドル ８１ スピンドル ９０ 絶縁ワシャ

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】そのスピンドルに絡み筒、刻み目付リン
   グ、環状糸切刃及び磁性体を含んだ糸切り装置を設け
   て、ボビン取換え過程で巻き糸を切断すると同時に、下
   端に鉄製保護リングを具えた空ボビンを該スピンドルに
   嵌設する際に確実に定位させることができ、 上記絡み筒をスピンドルの胴受座に嵌設して、該絡み筒
   の上段内周壁と該胴受座との間にボビン先端部を嵌込む
   凹溝座を形成し、その下段内周壁と該スピンドルとの間
   に環状容置溝を設けて、該絡み筒の外周壁にローレット
   切りを施した糸絡み付き部を形成し、紡糸を満載に巻取
   った後の糸端部を該糸絡み付き部に絡んだまま保持させ
   て、上記刻み目付リングの下端部周回りを上記絡み筒上
   段の内周壁に触接するように取付け、且つその上端に水
   平外向きに延伸して外周縁沿いに複数の環状鋸歯及び各
   両鋸歯の間にそれぞれ欠口部を設けて、上記環状糸切刃
   を該絡み筒と該刻み目付リングとの間に介設してボビン
   の取換え過程において糸端部を切断させるようにし、上
   記磁性体を該絡み筒下段の容置溝に内装して、その磁性
   により空ボビンを吸着して確実に定位させて空転しない
   ようにしてなる紡糸機のスピンドル構造。
2. 【請求項２】上記絡み筒の糸絡み付き部のローレット切
   り表面に、適当な間隔置きに複数の糸清掃溝を設けて、
   絡み筒に纏い付いた余分な残り糸を除去し易いようにし
   てなる請求項１に記載の紡糸機のスピンドル構造。
3. 【請求項３】上記磁性体下方のスピンドルの胴受座上面
   に絶縁ワシャを嵌設して、該絶縁ワシャにより該磁性体
   の磁力を分散させないようにしてなる請求項１に記載の
   紡糸機のスピンドル構造。