JP3048644U - 携帯電話の収納に適した上衣 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 携帯電話を収納してもポケットや上衣表面に
ふくらみが生じず外観に優れ、不快感のない上衣を提供
することを目的とする。さらには、携帯電話の重量感を
ほとんど意識することなく、着用感に優れた上衣を提供
することも目的とする。 【解決手段】 袋布１５、１６の縦縫目線１８が胸側部
２１方向に傾斜して形成された電話用ポケット２を上衣
１の胸部裏側に取付けるとともに、バンド長さが調整可
能で、先端部に携帯電話のストラップが着脱自在な係止
具２６を有する吊下げバンド３を上衣衿腰部３２に縫着
した構成とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、携帯電話を収納するのに最適なブレザーや背広型上衣などの衿付き 上衣に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

近年、携帯電話の普及により、これを携帯するビジネスマンが急増している。 通常、これらビジネスマンを含む多くの者は、ブレザー、ジャケットあるいは背 広型上衣を着用しており、携帯電話を上衣のポケットに収納して携帯する方法が 身軽で最も好ましい。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、従来の上衣のポケットは、携帯電話のような容積・重量のものを収納 することを考慮していないため、実際に上衣に取付けられた腰ポケットや内ポケ ットに携帯電話を収納すると、ポケットや上衣表面にふくらみが生じて外観的に 好ましくない。加えて、携帯電話が身体を圧迫すると同時に、種々の身体動作に 対して上衣の動きが追従できず、不快感が生じていた。

【０００４】 さらに、携帯電話の重量が肩にかかるため、絶えず重量感を意識することにな り、着用感が悪いという問題もあった。

【０００５】 したがって、多くの者は、携帯電話を鞄やバッグあるいはベルトに取付けた専 用のケースに入れて携帯しているのが現状である。

【０００６】 そこで、本考案は、携帯電話を収納してもポケットや上衣表面にふくらみが生 じず外観に優れ、不快感のない上衣を提供することを目的とする。さらには、携 帯電話の重量感をほとんど意識することなく、着用感に優れた上衣を提供するこ とも目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

一般的に、ブレザーや背広型上衣などの上衣は、種々の動作に対して身体に窮 屈さを感じさせないように胸部、なかでも特に胸側部、にゆとりを持たせるとと もに、フロントダーツでウェストを細くしてシルエットを整えている。したがっ て、携帯電話を収納するには、従来の上衣の胸部裏側に形成されている内ポケッ トが最も適しているようにも思われる。

【０００８】 ところが、実際に携帯電話を内ポケットに収納した場合、内ポケットの収納部 はポケット口から垂設されているため、携帯電話は立てた状態に近い姿勢で保持 されることになる。また、上述のように胸部からウェストにかけて上衣の胴囲が 細くなるため、縦長で厚みのある携帯電話ではどうしてもウェスト付近で上衣表 面にふくらみが生じるとともに、携帯電話が身体を圧迫するため種々の身体動作 に対して上衣の動きが追従できず不快感が生じることになる。

【０００９】 そこで、本考案者は鋭意検討した結果、上衣胸部裏側において、携帯電話を斜 めにした状態で保持すれば上衣表面がふくらまず外観に優れ、さらに携帯電話が 身体を圧迫しないため不快感が生じないことを見出だして本考案を完成するに至 った。

【００１０】 すなわち、本考案に係る上衣は、胸部内側に胸側部方向に収納部が傾斜した携 帯電話収納用ポケット（以下「電話用ポケット」という）を備えたことを特徴と するものである。この電話用ポケットは、収納部が胸側部方向に傾斜していれば その構成については特に限定されない。例えば、内ポケットの収納部を大きめに 形成し、その内部を仕切って、一方を胸側部方向に傾斜するように形成すること ができる。また、内ポケットの一方の袋布を用い、これらに対して別の袋布を重 ね合せて縫着することもできる。

【００１１】 ただ、内ポケットの収納部の一部を利用して電話用ポケットの収納部を構成す る場合、内ポケットの内部に収納物が存在すると、それが障害となって携帯電話 の出入れに手間取るおそれが生じる。

【００１２】 そこで、本考案では、胸部内側に胸側部方向に収納部が傾斜した電話用ポケッ トを上衣の内ポケットと別個の袋状に形成して備えた構成を採用可能とした。

【００１３】 通常、上衣裏側に形成されるポケットの作成方法としては、布地にポケット口 を形成し、ポケット口の上側に取付けられる上口布と下側に取付けられる下口布 のそれぞれに縦長矩形の袋布を縫着し、袋布同士を重ね合せ、その両側縁部及び 下縁部をそれぞれ縫着する縦縫目線及び横縫目線によって略Ｕ字形のポケット収 納部を形成する方法が採られている。

【００１４】 本考案のようにポケット収納部を傾斜させる場合、携帯電話の形状に対応する 縦長矩形の袋布を胸側部方向に傾斜するようにポケット口布にそれぞれ縫着し、 袋布同士を重ね合せてその両縁部及び下縁部を縫着すればよい。ただ、ポケット 口が水平に形成されている場合には、ポケット口が水平に形成されている他のポ ケットと間違うおそれがある。

【００１５】 そこで、本考案では、ポケット口を含むポケット全体が胸側部方向に傾斜して 設けられた構成を採用可能とした。この構成のポケットは、ポケット口も傾斜し ているため他の水平方向に開口されたポケット口との区別が容易であり、識別性 の高い電話用ポケットを提供することができる。

【００１６】 ポケットの収納部としては、上記のように、あらかじめ袋布を携帯電話の形状 に対応する形に裁断し、その周囲を縫着した構成のものを使用することが可能で あるが、携帯電話を傾斜した状態で保持するという目的を達成するには、収納部 の縦縫目線さえ胸側部に傾斜していればよい。

【００１７】 そこで、本考案では、電話用ポケットの収納部が、重ね合せた袋布の縦縫目線 と横縫目線によって区画され、縦縫目線が胸側部方向に傾斜している構成を採用 可能とした。したがって、袋布は、携帯電話より十分に大きいサイズであればそ の形状、取付け方向については特に限定されない。

【００１８】 ここで、袋布とは、袋布単体のほか、向布を使用する場合には、向布までも含 む意味である。また、袋布を重ね合せる場合、２枚の布を重ね合せて使用しても よいし、１枚の布を折り返して重ね合せてもよい。さらに前述のように独立した 袋状に構成する場合のみならず、一方の袋布として上衣の前身頃裏布や見返しの 布あるいは内ポケットの一方の袋布を用い、これらに対して他方の袋布を重ね合 せて縫着することにより携帯電話収納用ポケットを構成することもできる。

【００１９】 具体的には、携帯電話に比べて十分に大きなサイズの袋布をポケット口布にそ れぞれ縫着して垂下させておき、縦縫目線を胸側部方向に傾斜して形成すればよ い。このとき、ポケット口および横縫目線については、縦縫目線に合せて傾斜さ せて形成してもよいし、水平方向に形成してもよい。このような構成のポケット においては、袋布のポケット口布への取付け位置を気にすることなく縫着するこ とができ、その後、袋布に描いた縫目の予定線上をミシン縫いするだけで収納部 を形成することができる。

【００２０】 以上説明したような電話用ポケットを上衣に形成し、そこへ携帯電話を収納し た場合、携帯電話は上衣胸部から胸側部にかけて斜めの状態で保持される。前述 のように上衣胸部から胸側部にかけては比較的ゆとりがあるため、携帯電話は身 体を圧迫することがなく、さらに種々の身体動作に対して上衣の動きを阻害する おそれがないため、不快感が生じることがない。なお、実際の収納部の傾斜角度 については、個々の上衣のシルエットに合せて適宜調整すればよい。

【００２１】 また、電話用ポケットに携帯電話のように容積・重量のあるものを収納する場 合、袋布を重ねて縫着しただけのポケットでは、ポケット口が開いてしまい、上 衣が型くずれを起こすおそれがある。そこで、本考案では、電話用ポケットの少 なくとも一方の袋布にプリーツを設けた構成を採用可能とした。これにより、ポ ケット口の開口を防止することが可能となる。なお、型くずれ防止のために、力 布等の補強材料を適宜使用すれば、より高い効果を得ることができる。

【００２２】 電話用ポケットのポケット口の形成位置については、上衣の胸部裏側であれば 特に限定されず、さらに、ポケット口は水平に形成してもよいし、斜めに形成す ることもできる。ただ、一般的に、従来の上衣に形成されている内ポケット口の 位置が収納物の出し入れに最も適しているため、電話用ポケット口についても同 じ位置に形成すれば、携帯電話の出入れが楽に行える利点がある。

【００２３】 そこで、本考案においては、電話用ポケットのポケット口が、上衣裏側に設け られた内ポケットの内部に開口している構成を採用可能とした。

【００２４】 この場合、電話用ポケットはポケット口から傾斜した状態で形成されるため、携 帯電話を収納したときでも、内ポケットに収納された財布等の収納物と重なり合 うことがなく、上衣にふくらみが生じない。

【００２５】 以上説明したところの電話用ポケットを形成した上衣は、携帯電話を収納して も上衣表面にふくらみや不快感が生じない優れた効果を発揮するものであるが、 携帯電話そのものの重量はポケットを通して肩にかかることになる。一般に上衣 は首で着るといわれるように、首部に重量がかかる場合は着用感を損なうことは ないが、肩に重量がかかると重量感がつきまとい着用感が悪くなる。

【００２６】 そこで、本考案においては、バンド長さが調整可能で、先端部に携帯電話のス トラップが着脱自在な係止具を有する吊下げバンドを使用し、このバンドの基部 を上衣の衿腰部に縫着した構成を採用可能とした。元来、上衣の衿腰部は首部の 補強用部材であるため、この部分にかかる重量は首部全体で受けることになる。 中でも衿付線と肩縫目線との交点近傍にバンドの基部を縫着すると、首部への重 量のかかり方が最も安定するため、より着用感に優れた上衣を提供することが可 能となる。

【００２７】 ここで、衿付線と肩縫目線との交点近傍とは、交点を中心とする半径約２ｃｍ 程度の範囲をいう。吊下げ具としては、例えば、帯状体の一端を折り返して折り 返し部を形成し、この折り返し部の位置を調節する周知の調整手段を設けるとと もに、折り返し部に環状の連結部を有するフックを取付けたものを挙げることが できる。吊下げ具の他端側は、そのまま上衣の所定位置に縫着すればよい。周知 の長さ調整手段としては、バック類のショルダーストラップに用いられるような ストラップ長さ調整具と同様のものを使用することもできるが、面状ファスナー を使用すればより簡単な構造の吊下げ具を得ることができる。

【００２８】 以上説明したように、吊下げバンドを使用すれば、電話用ポケットに収納した 携帯電話は傾いた姿勢のままでその重量を襟腰部で支持することが可能となる。 したがって、上衣表面のふくらみや不快感を生じることなく、着用感に優れた上 衣を提供することが可能となる。さらに、吊下げバンドを使用すれば、携帯電話 を落としても地面に衝突するおそれがなく、形態電話の破損を未然に防止するこ とができる。

【００２９】

【考案の実施の形態】

以下、本考案の実施の形態を図面に基づいて説明する。図１及び図２は、本考 案にかかる上衣の実施の形態を示す図であり、図１は上衣の裏側を、図２はその 要部断面図をそれぞれ示す。図中、上衣１は、電話用ポケット２及び吊下げバン ド３を備えている。上衣の胸部には、内ポケット４のポケット口５が見返し６か ら前身頃裏布７にかけて形成されている。このポケット口５の上側には上口布８ が、下側には下口布９が縫着されており、夫々の口布８、９には袋布１１、１２ が取付けられている。また、袋布１２の前面側上部には向布１３が縫着されてい る。電話用ポケット２は、この向布１３の位置にポケット口１４が形成されてお り、いわゆる二重ポケットを形成している。

【００３０】 ポケット口１４には内ポケット４と同様に、上口布８と下口布９が縫着されて おり、夫々の口布８、９には縦長矩形の袋布１５、１６が胸側部２１に向って斜 めに取付けられ、袋布１６の前面側上部には向布１３が縫着されている。なお、 手前側の袋布１５には、プリーツ１７が設けられており、携帯電話を収納したと きに電話用ポケット２及び上衣１の型くずれを防止する。

【００３１】 袋布１５、１６は重ね合わせた状態で、周囲を縦縫目線１８及び横縫目線１９ によって縫い合わされ、略Ｕ字型のポケット収納部２２を形成している。このよ うに胸側部２１に向って斜めに取り付けられた袋布１５、１６の周囲を縫着すれ ば、収納部２２は胸側部２１に向って傾斜して形成されることになる。

【００３２】 こうして形成された電話用ポケット２に携帯電話を収納すれば、携帯電話は内 ポケット４の収納部から少しずれた位置に保持されるため、内ポケット４の中の 収納物と重なり合うことがなく、上衣表面にふくらみも生じない。

【００３３】 吊下げバンド３は、幅が１ｃｍ程度の布製のバンドであって、先端付近を折り 返し、折り返した先端部と対向するバンド部分とに面状ファスナー２３を取付け てバンド長さの調整が可能となっている。折り返し部２４には、回動自在な環状 連結部２５を有するフック２６が取付けられており、携帯電話のストラップが着 脱自在となっている。吊下げバンド３の基部２７は、肩縫目線２８と衿付線２９ との交点３１に接するように、肩縫目線２８の中に縫い込まれている。なお、吊 下げバンド基部２７の取付け位置は、肩縫目線２８と衿付線２９との交点３１の 近傍以外でも、衿腰部３２の範囲内であれば上衣１の着用感を損ねるおそれはな い。

【００３４】 実際に吊下げバンド３に携帯電話を吊下げる際には、携帯電話を電話用ポケッ ト２に収納した状態でフック２６に携帯電話のストラップをかけ、電話の重量が 吊下げバンドにかかるように、バンドの長さを調節すればよい。

【００３５】 以上説明したような電話用ポケット２及び吊下げバンド３を備えた上衣１は、 携帯電話を傾けた姿勢のままでその重量を襟腰部３２で支持することが可能とな る。したがって、上衣表面のふくらみや不快感を生じることなく、さらに、着用 感に優れた上衣１を提供することが可能となる。

【００３６】

【考案の効果】

以上の説明から明らかなように、本考案によると、胸側部方向に収納部が傾斜 している電話用ポケットを上衣の胸部裏側に取り付けたため、携帯電話を収納し ても上衣表面がふくれず、さらに身体を圧迫することもないため不快感が生じる おそれがない。また、収納部の縦縫目線を胸側部方向に傾斜するように形成すれ ば、袋布の形状に関係なく、胸側部方向に傾斜した収納部を形成することができ る。

【００３７】 また、電話用ポケットと内ポケットとを別個の袋状に形成して備えることによ り、携帯電話の出入れがスムーズに行える利点を有する。

【００３８】 さらに、電話用ポケット全体を胸側部方向に傾斜して設けることにより、識別 性の高い電話用ポケットを提供することができる。

【００３９】 電話用ポケットのポケット口を内ポケットの内部に設ければ、携帯電話の出入 れが楽に行える利点がある。さらに、電話用ポケットの袋布の少なくとも一方に プリーツを設ければ、上衣の型くずれを防止することができる。

【００４０】 電話用ポケットに加えて、上衣の衿腰部にバンド長さが調整可能で、先端部に 携帯電話のストラップが着脱可能な係止具を有する吊下げバンドを取付ければ、 着用感に優れた上衣を提供することができる。特に、肩縫目線と衿付線との交点 近傍に吊下げバンドを取付ければ、より着用感に優れた上衣を提供することがで きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】上衣の実施の形態を示す図

【図２】図１において内ポケットと電話用ポケットとの
関係を示す要部断面図

【符号の説明】

１ 上衣 ２ 電話用ポケット ３ 吊下げバンド ４ 内ポケット ５、１４ ポケット口 ６ 見返し ７ 前身頃裏布 ８ 上口布 ９ 下口布 １１、１２ 袋布 １３ 向布 １５、１６ 袋布 １７ プリーツ １８ 縦縫目線 １９ 横縫目線 ２１ 胸側部 ２２ 収納部 ２３ 面状ファスナー ２４ 折り返し部 ２５ 環状連結部 ２６ フック ２７ バンド基部 ２８ 肩縫目線 ２９ 衿付線 ３１ 交点 ３２ 衿腰部 ３３ 上衿 ３４ アームホール

Claims (9)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 胸部内側に胸側部方向に収納部が傾斜し
   た携帯電話収納用ポケットを備えたことを特徴とする携
   帯電話の収納に適した上衣。
2. 【請求項２】 胸部内側に胸側部方向に収納部が傾斜し
   た携帯電話収納用ポケットを上衣の内ポケットと別個の
   袋状に形成して備えたことを特徴とする請求項１記載の
   携帯電話の収納に適した上衣。
3. 【請求項３】 携帯電話収納用ポケット全体が胸側部方
   向に傾斜して設けられた請求項１又は２記載の携帯電話
   の収納に適した上衣。
4. 【請求項４】 携帯電話収納用ポケットの収納部が、重
   ね合せた袋布の縦縫目線と横縫目線によって区画され、
   縦縫目線が胸側部方向に傾斜している請求項１又は２記
   載の携帯電話の収納に適した上衣。
5. 【請求項５】 携帯電話収納用ポケットの収納部を構成
   する袋布の少なくとも一方に、プリーツを形成した請求
   項１、２、３又は４記載の携帯電話の収納に適した上
   衣。
6. 【請求項６】 携帯電話収納用ポケットのポケット口
   が、上衣内側に設けられた内ポケットの内部に開口して
   いる請求項１、２、３、４又は５記載の携帯電話の収納
   に適した上衣。
7. 【請求項７】 携帯電話収納用ポケットのポケット口
   が、上衣内側に設けられた内ポケットの内部において、
   向布に設けられている請求項６記載の携帯電話の収納に
   適した上衣。
8. 【請求項８】 バンド長さが調整可能で、先端部に携帯
   電話のストラップが着脱自在な係止具を有する吊下げバ
   ンドを備え、該吊下げバンドの基部を前記上衣の衿腰部
   に縫着することにより、吊下げ具を介して携帯電話の重
   量を前記衿腰部で支持可能としたことを特徴とする請求
   項１、２、３、４、５、６又は７記載の携帯電話の収納
   に適した上衣。
9. 【請求項９】 前記吊下げバンドの基部が、前記上衣の
   肩縫目線と衿付線との交点近傍に縫着されたことを特徴
   とする請求項１、２、３、４、５、６又は７記載の携帯
   電話の収納に適した上衣。